以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、使用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客等)との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
筐体2は、その前側に使用者が対峙した状態で紙幣又は硬貨の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に応対部3が設けられている。応対部3は、カード入出口4、硬貨入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、使用者との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。硬貨入出金口5は、使用者によって入金される硬貨が投入されると共に、使用者へ出金する硬貨が排出される部分である。また硬貨入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。因みに応対部3には、使用者により入金される紙幣が投入されると共に該使用者へ出金する紙幣が排出される紙幣入出金口(図示せず)等も設けられている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面や取引内容等を表示する液晶表示パネルと、使用者の入力操作を検知するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルである。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
以下では、現金自動預払機1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、取引対象である硬貨に関する種々の処理を行う硬貨処理装置10や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣処理装置(図示せず)等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1-2.硬貨処理装置の全体構成]
硬貨処理装置10は、図2に模式的な右側面図を示すように、硬貨処理装置筐体11の内部に、硬貨に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この硬貨は、例えば銅及びニッケルの合金やアルミニウム等、十分な強度を有する種々の材料でなり、薄い円板状に形成されている。以下では、硬貨処理装置10において取り扱われる硬貨のうち、最も直径が大きい硬貨を最大径硬貨とも呼び、最も直径が小さい硬貨を最小径硬貨とも呼び、最も厚さが厚い硬貨を最大厚硬貨とも呼び、最も厚さが薄い硬貨を最小厚硬貨とも呼ぶ。日本国内に配置される硬貨処理装置10においては、最大径硬貨及び最大厚硬貨は500円硬貨であり、最小径硬貨及び最小厚硬貨は1円硬貨となっている。
硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的上側ないし中央付近に、入出金部13、シュート部14、上分離部15、認識搬送部16、受渡部17、ピンベルト搬送部18、6個のスタッカ部21、出金搬送部22及び一時保留部23が設けられている。また硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的下側に、硬貨制御部12、補充回収庫24、第1補充リジェクト庫25、第2補充リジェクト庫26、リジェクト庫27、取忘取込庫28及び下分離部29が設けられている。
硬貨制御部12は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行い、硬貨処理装置10を統括制御する。また硬貨制御部12は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1-2-1.入出金部、シュート部及び上分離部の構成]
入出金部13は、使用者との間で硬貨を受け渡すことにより、該使用者に硬貨を入金させ、又は該使用者に硬貨を出金する。また入出金部13は、使用者により硬貨が投入されると、投入された硬貨をシュート部14に引き渡して該シュート部14内を下降させ、該シュート部14の下側に設けられた上分離部15内に到達させる。また入出金部13は、ピンベルト搬送部18から硬貨が搬送されてくると、該硬貨を集積した後、使用者に受け取らせる。
シュート部14は、硬貨の直径よりも十分に大きい内径を有する筒状に形成されており、重力を利用して硬貨を入出金部13から上分離部15へ進行させる。すなわちシュート部14は、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で移動させることができる。
上分離部15は、大きく分けて、下側の比較的大きい容積を占める部分である集積分離部15Aと、該集積分離部15Aから上方に突出するように形成された分離搬送部15Bとにより構成されている。集積分離部15Aは、左側(すなわち図2における紙面の奥側)に傾斜円盤15Cが配置されると共に、該傾斜円盤15Cの右側に集積カバー(図示せず)が設けられている。傾斜円盤15Cは、硬貨と比較して十分に大きい直径でなる円盤状に形成されており、中心軸が右斜め上方を向くように傾斜している。この傾斜円盤15Cは、中心軸を中心に回転可能に支持されており、また表面に複数の突起が設けられている。集積カバーは、下側部分が傾斜円盤15Cの外周に極めて近接した円弧状でなり、上側へ進むに連れて該傾斜円盤15Cから離れるような曲面を形成しており、該傾斜円盤15Cとの間に集積空間を形成している。このため集積分離部15Aは、シュート部14から硬貨が落下してくると、この硬貨を集積空間内に集積する。また集積分離部15Aは、傾斜円盤15Cを図2の時計回りに回転させることにより、集積された硬貨を適宜撹拌しながら、突起に硬貨を1枚ずつ引っ掛け、該硬貨の盤面を該傾斜円盤15Cに対向(すなわち当接)させた姿勢で持ち上げていき、分離搬送部15Bに引き渡す。
分離搬送部15Bは、硬貨を案内する搬送ガイドと、該搬送ガイドに沿って走行するピンベルトとを有している。搬送ガイドは、上方へ進行してから後ろ斜め下方向へ屈曲するような搬送経路に沿って形成されている。また搬送ガイドには、搬送経路の左側において硬貨の盤面と対向するガイド面を貫通するようにして、該搬送経路に沿った溝が形成されている。
ピンベルトは、搬送ガイドの左側に配置されており、図示しないプーリ等によって搬送経路に沿って走行するように張架されている。このピンベルトは、走行方向に沿って所定間隔毎に搬送ピンが設けられており、搬送ピンの先端が搬送ガイドの溝に入り込むように、ガイド面よりも右側に突出している。分離搬送部15Bは、傾斜円盤15Cの回転と同期するようにピンベルトを走行させることにより、集積分離部15Aから引き渡された硬貨を搬送ガイドに沿って上方向へ搬送してから後ろ斜め下方へ搬送し、認識搬送部16に引き渡す。
[1-2-2.認識搬送部及び受渡部の構成]
認識搬送部16は、シュート部14の右側(図2における紙面の手前側)に位置しており、上分離部15の分離搬送部15Bにより硬貨が搬送されてくると、これを圧接搬送ベルト(図示せず)と搬送ガイド(図示せず)の搬送面との間に挟み込み、圧接搬送ベルトの走行に伴ってこの硬貨を摺動させながら搬送面に沿って後方へ搬送する。やがて認識搬送部16は、この硬貨が撮像部(図示せず)の右側に到達すると、該撮像部により該硬貨を撮像して画像信号を生成し、これを硬貨制御部12へ供給すると共に、引き続き該圧接搬送ベルトの走行によりこの硬貨を後方へ搬送して、後側の受渡部17に引き渡す。
受渡部17は、前側の認識搬送部16と後側のピンベルト搬送部18との間に位置しており、搬送ガイドにより硬貨を後ろ斜め下方へ進行させる。これにより受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨を、ピンベルト搬送部18による硬貨の搬送経路上に位置させて該ピンベルト搬送部18に引き渡す。このとき受渡部17は、硬貨を1枚ずつ受け渡す。すなわち受渡部17は、認識搬送部16において1枚ずつ認識された硬貨を、1枚ずつに分離された状態を維持したまま、且つ受け取った順序も維持したまま、ピンベルト搬送部18に順次引き渡す。
[1-2-3.ピンベルト搬送部の構成]
ピンベルト搬送部18は、スタッカ部21の前側下部、下側、後側及び上側を取り囲むように配置されている。説明の都合上、以下ではピンベルト搬送部18の前側下部、下側、後側及び上側をそれぞれ前ピンベルト搬送部18F、下ピンベルト搬送部18D、後ピンベルト搬送部18B及び上ピンベルト搬送部18Uと呼ぶ。このうち下ピンベルト搬送部18Dの大部分は、出金搬送部22及び一時保留部23の左側、すなわち図2における紙面の奥側に位置している。
ピンベルト搬送部18は、大きく分けて搬送ガイド及びピンベルト(図示せず)により構成されている。搬送ガイドは、硬貨の搬送面を形成し、搬送面を硬貨の盤面と当接させる。ピンベルト搬送部18のうち上ピンベルト搬送部18Uと下ピンベルト搬送部18Dとは、前後方向に沿って硬貨を案内する。また上ピンベルト搬送部18Uは、前端近傍において、前斜め下方向へ屈曲し、入出金部13と接続されている。一方、ピンベルト搬送部18のうち前ピンベルト搬送部18F及び後ピンベルト搬送部18Bは、概ね上下方向に沿って硬貨を案内する。
ピンベルトは、搬送ベルト及び搬送ピン(図示せず)により構成されている。搬送ベルトは、可撓性を有する材料によって円環状に形成されている。一方、硬貨処理装置筐体11には、主に搬送ガイドが屈曲する箇所の近傍に、複数のプーリがそれぞれ回転可能に設けられている。搬送ベルトは、各プーリを順次結ぶように張架される。ピンベルト搬送部18は、図示しないモータから一部のプーリに駆動力が伝達されると、該プーリを反時計回りに回転させ、これに伴ってピンベルトを図の反時計回りとなるように走行させる。これに伴いピンベルト搬送部18は、搬送ガイドの搬送面に硬貨の盤面(すなわち左側面)を寄りかからせた状態で、搬送ピンにより該硬貨に対し搬送方向へ力を加え、該搬送ガイドに沿って進行させること、すなわち搬送することができる。
このピンベルト搬送部18は、受渡部17から硬貨を受け取ると、この硬貨を前ピンベルト搬送部18Fに沿って下方へ進行させ、さらに下ピンベルト搬送部18Dに沿って後方へ進行させる。続いてピンベルト搬送部18は、この硬貨を後ピンベルト搬送部18Bに沿って上方へ進行させ、さらに上ピンベルト搬送部18Uに沿って前方へ進行させた後、入出金部13へ進行させる。すなわちピンベルト搬送部18は、認識搬送部16から受渡部17を介して受け渡された硬貨を、スタッカ部21の周囲を周回するようにして、概ね環状に形成された搬送経路に沿って入出金部13へ搬送する。
かかる構成に加えてピンベルト搬送部18には、6箇所の分岐部が設けられている。この分岐部は、ピンベルト搬送部18を進行する硬貨の進行先を、それぞれ、補充回収庫24へ切り替え可能な前補回分岐部と、第1補充リジェクト庫25又は第2補充リジェクト庫26へ切り替え可能な前リジェクト分岐部と、一時保留部23へ切り替え可能な一時保留分岐部と、リジェクト庫27へ切り替え可能な後第1リジェクト分岐部と、取忘取込庫28へ切り替え可能な後第2リジェクト分岐部と、補充回収庫24が硬貨処理装置筐体11の後側に取り付けられた場合に該補充回収庫24へ切り替え可能な後補回分岐部とにより構成されている。
各分岐部は、硬貨制御部12の制御に基づいて分岐板(図示せず)を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、又は該硬貨をピンベルト搬送部18から分岐させてそれぞれの搬送先へ進行させるかを切り替える。
さらにピンベルト搬送部18には、6個のスタッカ部21のそれぞれ上側となる6箇所に、スタッカ分岐部が設けられている。各スタッカ分岐部は、搬送経路の方向に合わせて前補回分岐部を時計回りに90度回転させたように構成されている。スタッカ分岐部の左側には、硬貨をスタッカ部21へ案内する案内部31が設けられている。各スタッカ分岐部は、硬貨制御部12の制御に基づいて分岐板を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、又は該硬貨をピンベルト搬送部18から分岐させて各スタッカ部21へ進行させるかを切り替える。
このようにピンベルト搬送部18は、認識搬送部16から受渡部17を介して受け渡された硬貨を搬送経路に沿って搬送し、該硬貨の搬送経路を分岐部又はスタッカ分岐部により適宜分岐させて補充回収庫24やスタッカ部21等へ進行させ、又は入出金部13へ進行させる。
[1-2-4.スタッカ部、出金搬送部及び一時保留部の構成]
硬貨処理装置10には、前後方向に沿って6個のスタッカ部21(21A、21B、21C、21D、21E及び21F)が整列配置されている。各スタッカ部21は、それぞれ所定の金種の硬貨と対応付けられている。このスタッカ部21は、大きく分けて、案内部31の下側においてスタッカ部21の大部分を占める集積部32と、該集積部32の下側に設けられた繰出部34とにより構成されている。
集積部32は、硬貨の盤面をほぼ水平とした姿勢で順次積み上げるようにして、上下方向に沿って集積する円筒状の集積筒33を有している。因みに集積部32では、3本の集積筒33が設けられており、これらを水平面内で移動させ得るようになっている。案内部31は、スタッカ分岐部から引き渡される硬貨を集積筒33の上端近傍へ案内し、該集積筒33内に既に集積されている他の硬貨の上側に載置させる。
繰出部34は、集積筒33の下端近傍において、該集積筒33に集積されている硬貨のうち最も下側の1枚を繰り出す。具体的に繰出部34は、集積筒33の真下から右側にかけてベルト及びプーリの組み合わせでなる搬送機構を構成しており、このベルトの上面を右方向へ向けて走行させることにより、集積筒33内に集積されている最も下側の硬貨を右方向へ搬送して繰り出す。
ここで、スタッカ部21は下ピンベルト搬送部18Dのほぼ真上に位置している。またスタッカ部21における繰出部34は、ベルトの右端を出金搬送部22の真上に、すなわち下ピンベルト搬送部18Dの右側に位置させている。このためスタッカ部21から繰り出された硬貨は、下ピンベルト搬送部18Dへ落下することなく、出金搬送部22又は一時保留部23へ落下する。
出金搬送部22は、後側から4個のスタッカ部21、すなわちスタッカ部21C~21Fの右下側に位置している。この出金搬送部22は、上側及び前側が開放された中空の直方体のような形状となっており、内部に硬貨を収容し得る空間を形成している。また出金搬送部22の底部には、左端近傍及び右端近傍にそれぞれプーリが配置されており、その周囲にベルトが張架されている。すなわち出金搬送部22は、左右それぞれに側板が配置され、その間の下部に配置されたベルトの上面が、内部に形成された空間の底面となっている。出金搬送部22は、上側のスタッカ部21から硬貨が落下してくると、これらを内部空間に収容し、ベルトの上面に載置させ、若しくは既に収容している他の硬貨と共に集積させる。また出金搬送部22は、硬貨制御部12の制御に基づいてプーリを回転させることにより、ベルトの上面を前方向へ進行させ、該ベルト上に載置若しくは集積されている硬貨を前方向へ搬送し、やがて一時保留部23内へ落下させる。このとき出金搬送部22は、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で搬送する。
一時保留部23は、硬貨を一時的に集積させる箇所であり、出金搬送部22の前側、すなわちスタッカ部21A及び21Bの右下側に位置している。この一時保留部23は、出金搬送部22の後端を下げると共に前端を持ち上げ、さらに左右の側板を三角形状としたような構成となっており、その内部に硬貨を収容する空間を形成している。この一時保留部23は、出金搬送部22と同様に、上側が開放されている。また一時保留部23における後側の側面は、下側部分がほぼ閉塞されているものの、その上側の部分、すなわち出金搬送部22のベルトよりも上側の部分が開放されている。このため一時保留部23の内部空間は、出金搬送部22の内部空間と連通している。さらに一時保留部23の底部は、出金搬送部22の底部と同様に、ベルトが組み込まれている。このため一時保留部23は、スタッカ部21E及び21Fから硬貨が繰り出されて落下してくると、これらを内部空間に収容し、ベルト上に載置させ、若しくは他の硬貨と共に集積させる。また一時保留部23は、出金搬送部22から搬送されてきた硬貨も、内部空間のベルト上に載置若しくは集積させる。このため一時保留部23は、ピンベルト搬送部18から一時保留分岐部を介して硬貨が引き渡されると、この硬貨も内部空間のベルト上に載置若しくは集積させる。
この一時保留部23は、ベルトを停止させている場合、内部空間に集積している硬貨をそのまま保持する。一方、一時保留部23は、硬貨制御部12の制御に基づいてベルトの上面を前上方向に走行させた場合、集積している硬貨を前斜め上方へ進行させていき、やがて該ベルトの前端部分から繰り出して上分離部15に受け渡すこと、すなわち認識搬送部16へ搬送させる。このとき一時保留部23は、出金搬送部22と同様に、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で搬送する。
[1-2-5.補充回収庫、リジェクト庫等及び下分離部の構成]
補充回収庫24は、硬貨処理装置筐体11の下部前側に設けられており、右方向から見て英大文字の「L」に似た立体形状となっている。他の観点から見れば、補充回収庫24は、直方体における後上側部分を仕切って第1補充リジェクト庫25及び第2補充リジェクト庫26とした場合の残った部分となっている。この補充回収庫24は、内部に硬貨を集積する空間が形成されている。また補充回収庫24の底部には、出金搬送部22と同様に、複数のプーリの周囲に張架されたベルトが配置されている。このため補充回収庫24は、ピンベルト搬送部18から前補回分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に進行させて集積する。また補充回収庫24は、ベルトを停止させている場合には、硬貨を集積した状態を保持する一方、硬貨制御部12の制御に基づいてベルトの上面を後方へ進行させるように走行させた場合、この硬貨を後方へ搬送して該ベルトの後端近傍から補充回収庫24の後方へ繰り出す。
第1補充リジェクト庫25は、補充回収庫24の後上側における右側に位置しており、該補充回収庫24と比較して十分に小さい直方体状に形成されている。また第1補充リジェクト庫25は、補充回収庫24と同様に、内部に硬貨を集積する空間が形成されている。この第1補充リジェクト庫25は、ピンベルト搬送部18から前リジェクト分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
第2補充リジェクト庫26は、第1補充リジェクト庫25の左側に位置しており、該第1補充リジェクト庫25とほぼ同様に構成されている。この第2補充リジェクト庫26は、ピンベルト搬送部18から前リジェクト分岐部と、該前リジェクト分岐部よりも下側に設けられた前第2リジェクト分岐部とを順次介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
ところで補充回収庫24、第1補充リジェクト庫25及び第2補充リジェクト庫26は、一体に構成されて補回カセット35となっている。これを換言すれば、補充回収庫24、第1補充リジェクト庫25及び第2補充リジェクト庫26は、補回カセット35の内部が適宜仕切られることにより形成されている。
リジェクト庫27は、第1補充リジェクト庫25と同様に構成されており、後第1リジェクト分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。取忘取込庫28は、リジェクト庫27の左側に設けられており、第2補充リジェクト庫26と同様に構成されており、後第2リジェクト分岐部を介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
このリジェクト庫27及び取忘取込庫28は、一体に構成されてリジェクトカセット36となっている。これを換言すれば、リジェクト庫27及び取忘取込庫28は、リジェクトカセット36の内部が適宜仕切られることにより形成されている。
下分離部29は、硬貨処理装置筐体11の下部における中央付近であり、補充回収庫24の後側に隣接する位置に配置されている。この下分離部29は、上分離部15と類似した構成となっており、集積分離部15A、分離搬送部15B及び傾斜円盤15Cとそれぞれ対応する集積分離部29A、分離搬送部29B及び傾斜円盤29Cにより構成されている。集積分離部29Aは、補充回収庫24において硬貨を繰り出す繰出口と隣接する箇所に硬貨を受け取る受取口(図示せず)が形成されており、この受取口を介して補充回収庫24から硬貨を受け取って内部に集積する。また集積分離部29Aは、内部の傾斜円盤29Cを回転させることにより、集積されている硬貨を1枚ずつに分離して分離搬送部29Bに引き渡す。分離搬送部29Bは、下側部分が集積分離部29Aと接続される一方、上側部分が一時保留部23の後側面に形成された放出口と接続されている。このため分離搬送部29Bは、集積分離部29Aから受け取った硬貨を1枚ずつ上方へ持ち上げるように搬送し、一時保留部23の放出口から内部の空間へ放出する。
このように下分離部29は、硬貨処理装置10内において比較的下側に位置する補充回収庫24から繰り出された硬貨を、これよりも上側に位置する一時保留部23へ搬送する。
[1-3.各種処理における硬貨の搬送]
次に、硬貨処理装置10において硬貨の搬送を伴う種々の処理、すなわち入金処理及び出金処理等における硬貨の搬送や集積等について説明する。ここでは、現金自動預払機1と顧客との間で入金取引及び出金取引を行う場合における硬貨処理装置10での処理についてそれぞれ説明する。
[1-3-1.入金取引における硬貨の搬送]
まず、現金自動預払機1(図1)において顧客との間で入金取引が行われる場合について説明する。この場合、硬貨処理装置10は、前段の入金計数処理により、顧客に入金された硬貨の金種等を認識しながら枚数を計数し、これに続く後段の入金収納処理により、各硬貨を適切な収納箇所へ搬送して収納する。
具体的に硬貨処理装置10の硬貨制御部12は、現金自動預払機1の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6(図1)を介して顧客から入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始する。
このとき硬貨制御部12は、まず主制御部9と連携して硬貨入出金口5(図1)のシャッタ及び入出金部13の上シャッタを開いて顧客に入出金部13内へ硬貨を投入させる。次に硬貨制御部12は、顧客から操作表示部6(図1)を介して硬貨の取り込みを開始する操作入力を受け付けると、硬貨入出金口5のシャッタ及び入出金部13の上シャッタを閉塞した上で、入出金部13からシュート部14を介して上分離部15に硬貨を引き渡す。
上分離部15は、硬貨を1枚ずつに分離して繰り出し、認識搬送部16へ引き渡す。認識搬送部16は、硬貨を1枚ずつ搬送しながら認識し、受渡部17に引き渡すと共に、得られた認識結果を硬貨制御部12へ通知する。
これに応じて硬貨制御部12は、通知された認識結果を基に、該硬貨を受け入れ得るか否かを判定すると共にその搬送先を決定し、さらに記憶する。このとき硬貨制御部12は、該硬貨が取扱可能な金種であり、且つ正当である(すなわち偽造されていない)と判定した場合にこれを受入可能とし、それ以外の場合を受入不可能とする。また硬貨制御部12は、受入可能と判定した硬貨の金額を逐次加算することにより合計金額を集計する。
受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。ピンベルト搬送部18は、該硬貨が受入可能であれば、一時保留分岐部まで搬送して分岐させて一時保留部23へ進行させ、該一時保留部23に集積させる。またピンベルト搬送部18は、該硬貨が受入不可能であれば、入出金部13まで搬送して収容させる。
やがて硬貨制御部12は、上分離部15から全ての硬貨を繰り出し終えると、入出金部13に受入不可能な硬貨を収容していれば、主制御部9(図1)と協働し上シャッタ等を開放させ、該硬貨を顧客に返却して確認させると共に、必要に応じて再投入させる。一方、硬貨制御部12は、入出金部13に受入不可能な硬貨を収容していなければ、入金計数処理を完了し、入金計数処理を完了したこと及び集計した合計金額(以下これを入金額と呼ぶ)を主制御部9に通知する。これに応じて現金自動預払機1の主制御部9は、所定の操作指示画面を操作表示部6(図1)に表示させ、顧客にこの入金額を提示すると共に入金取引を継続するか、又は中止するかを選択させる。
ここで入金取引の中止が選択されると、主制御部9はこのことを硬貨制御部12に通知する。これに応じて硬貨制御部12は、入金返却処理を行うことにより、一時保留部23に集積している硬貨を入出金部13へ搬送して顧客に返却する。
具体的に硬貨制御部12は、まず、一時保留部23のベルトを走行させることにより、一時保留部23内に集積している硬貨を前方へ搬送して繰り出し、上分離部15に順次引き渡す。上分離部15、認識搬送部16、受渡部17及びピンベルト搬送部18は、硬貨を順次搬送して入出金部13へ繰り出し、該入出金部13内に集積させる。硬貨制御部12は、全ての硬貨を搬送し終えると、入出金部13の上シャッタを開放して顧客に硬貨を受け取らせ、その後上シャッタを閉塞して入金返却処理を終了する。
一方、顧客から入金取引の継続が選択されると、主制御部9はこのことを硬貨制御部12に通知する。これに応じて硬貨制御部12は、入金収納処理を行うことにより、一時保留部23に集積している硬貨をスタッカ部21へ搬送して金種毎に集積させる。
具体的に硬貨制御部12は、まず入金返却処理の場合と同様に、一時保留部23のベルトを走行させることにより、一時保留部23内に集積している硬貨を前方へ搬送して繰り出し、上分離部15に順次引き渡す。上分離部15及び認識搬送部16は、硬貨を1枚ずつに分離してから認識すると共に、受渡部17へ引き渡す。
これに応じて硬貨制御部12は、得られた認識結果を基に、該硬貨が再利用可能であるか否か、すなわち以降の出金処理において出金可能な硬貨であるか否かを判定し、該硬貨の搬送先を決定する。このとき硬貨制御部12は、該硬貨が再利用可能であれば、その金種に応じたスタッカ部21(21A~21F)を搬送先とし、再利用不可能であれば、リジェクト庫27を搬送先とする。因みに以下では、再利用不可能と判定された硬貨をリジェクト硬貨とも呼ぶ。
受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。ピンベルト搬送部18は、該硬貨が再利用可能であれば、前ピンベルト搬送部18F、下ピンベルト搬送部18D及び後ピンベルト搬送部18Bにより該硬貨を順次搬送する。やがてピンベルト搬送部18は、該硬貨が上ピンベルト搬送部18Uに到達すると、金種に応じたスタッカ分岐部により該硬貨を分岐させ、案内部31を介して集積部32に集積させる。
ところでスタッカ部21では、集積部32の集積筒33に集積可能な硬貨の最大枚数が規定されており、既に最大枚数の硬貨が集積されている場合、新たな硬貨を集積することができない。このような場合、硬貨制御部12は、該硬貨を入出金部13まで搬送して繰り出し、さらにシュート部14を介して上分離部15へ進行させる。これにより該硬貨は、やがて搬送経路に沿って再びスタッカ部21まで搬送される。
一方スタッカ部21は、複数の集積筒33を水平面内で移動させるための移動機構(図示せず)を有しており、1個の集積筒33に最大枚数の硬貨が集積された場合、該集積筒33を案内部31の下側から他の箇所へ移動させると共に、他の集積筒33を案内部31の下側に移動させる。すなわちスタッカ部21は、その内部において、案内部31の下側に位置する集積筒33を交換する。これによりスタッカ部21は、次に硬貨が搬送されてきたときに、該硬貨を集積できる。
一方、ピンベルト搬送部18は、該硬貨が再利用不可能であれば、後第1リジェクト分岐部まで搬送して分岐させてリジェクト庫27へ進行させ、収容させる。やがて硬貨制御部12は、一時保留部23に集積していた全ての硬貨をそれぞれの搬送先に搬送し終えると、入金収納処理を終了する。
[1-3-2.出金取引における硬貨の搬送]
次に、現金自動預払機1(図1)において顧客との間で出金取引が行われる場合について説明する。この場合、硬貨処理装置10は、出金処理により、顧客に指示された金額の硬貨を入出金部13へ搬送して出金する。
具体的に硬貨処理装置10の硬貨制御部12は、現金自動預払機1の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6を介して顧客から出金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、出金処理を開始する。
このとき硬貨制御部12は、まず主制御部9と連携して操作表示部6を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付けると、硬貨制御部12において出金額に応じた硬貨の金種及び枚数を決定する。続いて各スタッカ部21は、決定した金種及び枚数に応じて、集積部32に集積している硬貨を繰出部34によりそれぞれ繰り出し、下側の出金搬送部22又は一時保留部23内へ落下させ、集積させる。出金搬送部22は、ベルトの上面を前方へ走行させることにより、集積されている硬貨を前方へ搬送し、一時保留部23内へ落下させて集積させる。
その後、硬貨制御部12は、入金返却処理及び入金収納処理の場合と同様に、一時保留部23、上分離部15及び認識搬送部16により硬貨を1枚ずつに分離して順次搬送させ、該硬貨を認識して受渡部17へ引き渡す。受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。
また硬貨制御部12は、得られた認識結果を基に該硬貨が出金可能であるか否かを判定し、その搬送先を決定すると共に記憶する。すなわち硬貨制御部12は、該硬貨が出金可能であれば、入出金部13を搬送先とし、出金不可能であれば、リジェクト庫27を搬送先とする。因みに以下では、出金不可能と判定された硬貨をリジェクト硬貨とも呼ぶ。
ピンベルト搬送部18は、該硬貨が出金可能であれば、入出金部13へ搬送して収容させる。一方、ピンベルト搬送部18は、該硬貨が出金不可能であれば、後第1リジェクト分岐部まで搬送して分岐させてリジェクト庫27へ進行させ、収容させる。因みに硬貨制御部12は、リジェクト硬貨が発生した場合、該硬貨と同一金種の新たな硬貨をスタッカ部21から繰り出させる。
やがて硬貨制御部12は、出金額に応じた金種及び枚数の硬貨を入出金部13内に収容し終えると、主制御部9(図1)と協働して入出金部13の上シャッタ等を開放して顧客に該硬貨が取り出されるのを待ち受ける。その後、硬貨制御部12は、顧客により入出金部13内の硬貨が取り出されたことを検知すると、再び主制御部9と協働して上シャッタ等を閉塞し、出金処理を終了する。
[1-4.受渡部の構成]
[1-4-1.搬送ガイドの構成]
図4に示すように受渡部17には、上方から下方へ向かって順に受渡搬送部40、傾斜搬送部42及び通常搬送部44が形成されている。それぞれ受渡搬送部40、傾斜搬送部42及び通常搬送部44は、受渡搬送ガイド48、傾斜搬送ガイド50及び通常搬送ガイド52により、硬貨CNを搬送する搬送路を形成している。以下では受渡搬送ガイド48、傾斜搬送ガイド50及び通常搬送ガイド52をまとめて搬送ガイド46とも呼ぶ。それぞれ受渡搬送ガイド48、傾斜搬送ガイド50及び通常搬送ガイド52の右側面には、平面であり硬貨CNを滑らせながら搬送方向であるほぼ下方に沿って搬送させる受渡搬送面48S、傾斜搬送面50S及び通常搬送面52Sが形成されている。以下では受渡搬送面48S、傾斜搬送面50S及び通常搬送面52Sをまとめて搬送面46Sとも呼ぶ。通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sは、上方から下方に向かうに連れて右方へ向かって傾斜している。
以下では、硬貨CNが搬送される方向である、上方から下方に向かうに連れて右方へ向かって傾斜する方向を搬送方向とも呼び、搬送方向に直交する、硬貨CNの幅方向に沿う前後方向を搬送幅方向とも呼び、搬送方向と搬送幅方向とに直交する、すなわち通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sと直交する方向を搬送面離接方向とも呼ぶ。また搬送面離接方向のうち、通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sが向く右方、すなわち通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sから離隔していく方向を搬送面離隔方向とも呼び、左方から通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sへ近接していく方向を搬送面近接方向とも呼ぶ。また以下では、搬送される硬貨の円形状の盤面における、搬送ガイド46の搬送面46Sに対向して当接する側の盤面をガイド当接面とも呼び、搬送ガイド46の搬送面46Sと対向していない側、すなわちガイド当接面の逆側の盤面をガイド非当接面とも呼ぶ。
通常搬送面52Sは、ピンベルト搬送部18(図2)の一部分であり、上方から下方に向かうに連れて右方へ向かって傾斜する平面形状である。この通常搬送面52Sは、受渡部17から搬送方向下流側へ硬貨CNを受け渡す位置である搬送箇所Atとして機能する。
受渡搬送面48S及び傾斜搬送面50Sは、認識搬送部16からピンベルト搬送部18へ硬貨CNが受け渡される際にまず硬貨CNが受け渡される位置である受渡箇所Adとして機能する。受渡搬送面48Sは、通常搬送面52Sと平行な平面形状であり、通常搬送面52Sに対し、最大厚硬貨の厚さである最大硬貨厚よりも高さが低く、すなわち搬送面近接方向側に形成されている。以下では、搬送面離隔方向に沿う方向を、高さが高くなる方向とする。受渡部17は、受渡搬送面48Sにおける上端部近傍に認識搬送部16から硬貨CNが受け渡される。
傾斜搬送面50Sは、受渡搬送面48Sと通常搬送面52Sとの間に位置し、受渡搬送面48Sから通常搬送面52Sに向かって、徐々に高さが高くなるように通常搬送面52Sに対し傾斜した平面形状である。これにより傾斜搬送面50Sは、高さが異なる受渡搬送面48Sと通常搬送面52Sとの間を、硬貨CNが引っかからないように滑らかに接続している。
受渡搬送面48Sからは、落下防止ピン64が搬送ピン対58に接触しない程度の長さで搬送面離隔方向へ突設している。この落下防止ピン64は、認識搬送部16から受け渡された硬貨CNの搬送方向下流側に当接することにより、硬貨CNを下側から支持し該硬貨CNの落下を防止する。また落下防止ピン64は、押動ピン60(後述する)によって押動され搬送方向下流側へ向かって移動した硬貨CNに当接されると、図3に矢印で示すように硬貨CNの搬送経路よりも前方へ退避することにより、硬貨CNを搬送方向下流側へ移動可能にする。
[1-4-2.搬送機構の構成]
受渡部17は、搬送機構54により硬貨CNを搬送する。搬送機構54は、搬送ベルト56と複数の搬送ピン対58とにより構成されている。搬送機構54は、硬貨CNの搬送方向上流側の外周面に押動ピン60を当接させた状態で搬送ベルト56を走行させることにより、搬送面46S上を滑らせつつ硬貨CNを搬送方向に沿って搬送方向下流側へ搬送する。
搬送ベルト56は、搬送ガイド46の右側と対向する位置において、搬送される硬貨CNよりも搬送面離隔方向側に位置し、硬貨CNの搬送路における搬送幅方向のほぼ中央部において搬送方向に沿って架け渡されている。また、搬送ベルト56の搬送面近接方向側の端部である先端部は、硬貨CNと間隔を空けて搬送面46Sと対向している。搬送ベルト56には、搬送ピン対58が搬送方向に沿って等間隔に搬送ベルト56に固定されている。すなわち搬送ベルト56には、搬送方向上流側の搬送ピン対58の押動ピン60と、該搬送ピン対58の押動ピン60よりも搬送方向下流側に所定の間隔(後述する押動ピン間隔Ip1)を空けて配置された搬送ピン対58の押動ピン60とが、搬送方向に沿って等間隔に固定されている。1組の搬送ピン対58は、搬送方向上流側に位置する1本の押動ピン60と、該押動ピン60よりも搬送方向下流側に所定の間隔(後述する押動ピン規制ピン間隔Ipr1)を空けて配置された1本の規制ピン62とにより構成されている。搬送ベルト56及び搬送ピン対58は、搬送方向、すなわち通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sと平行な方向に沿って移動する。
押動ピン60は、略円柱形状であり、搬送方向に沿って複数の押動ピン60が搬送ベルト56に固定されており、隣接する押動ピン60同士の搬送方向に沿った間隔は等間隔となっている。また押動ピン60は、通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sに対し直交するように搬送ベルト56から搬送面46Sに向かって突出している。この押動ピン60は、受渡搬送面48Sとの間に搬送面近接方向側端部が僅かに隙間を空け、最小厚硬貨の搬送方向上流側の端面に当接し得る程度の長さとなっており、該受渡搬送面48Sと接触しないようにしつつ搬送方向に移動する。また押動ピン60は、搬送面近接方向側端部が通常搬送面52Sよりも搬送面近接方向まで突出しており、通常搬送面52Sに入り込むことにより、通常搬送面52Sとオーバーラップしている。通常搬送面52Sには、押動ピン60を入り込ませる溝が搬送方向に沿って形成されている。それぞれの押動ピン60は、搬送方向に沿った間隔である押動ピン間隔Ip1が、認識搬送部16から一定速度で連続的に硬貨CNが搬送されても、受渡搬送部40において該硬貨CNを搬送機構54に受け渡し可能な最小限の間隔となるように配置されている。この押動ピン60は、搬送面近接方向側の先端部が硬貨CNの搬送方向上流側を搬送方向下流側に向かって押動することにより、硬貨CNを移動させる。
規制ピン62は、略円柱形状であり、搬送方向に沿って複数の規制ピン62が搬送ベルト56に固定されており、隣接する規制ピン62同士の搬送方向に沿った間隔は等間隔となっている。また規制ピン62は、通常搬送面52S及び受渡搬送面48Sに対し直交するように搬送ベルト56から搬送面46Sに向かって突出している。この規制ピン62は、押動ピン60よりも搬送面離接方向の長さが短くなっている。具体的に規制ピン62は、受渡搬送面48Sに載った状態の最大厚硬貨の搬送面離隔方向側端面との間に搬送面近接方向側端部が僅かに隙間を空ける程度の長さであり、該受渡搬送面48Sに載った状態の最大厚硬貨と接触しないようにしつつ、最大厚硬貨の搬送面離隔方向側を通過するように搬送方向に移動する。また規制ピン62は、通常搬送面52Sとの間に搬送面近接方向側端部が僅かに隙間を空けており、通常搬送面52Sに載った状態の最小厚硬貨の搬送方向上流側の端面に当接し得る程度の長さとなっており、該通常搬送面52Sと接触しないようにしつつ搬送方向に移動する。規制ピン62は、同一の搬送ピン対58内の押動ピン60との搬送方向に沿った間隔である押動ピン規制ピン間隔Ipr1が、最大径硬貨の直径である最大硬貨径よりも僅かに広くなるように配置されている。規制ピン62は、搬送面近接方向側の先端部が硬貨CNの搬送方向下流側に当接することにより、押動ピン60に押された硬貨CNの搬送方向下流側への飛び出しを規制する。
このように搬送機構54は、押動ピン60と、該押動ピン60よりも長さが短い規制ピン62との2種類の搬送ピンからなる1組の搬送ピン対58により、硬貨CNの前後を規制する。
かかる構成において認識搬送部16から受渡搬送面48Sへ硬貨CNが受け渡される、すなわち硬貨CNが受渡箇所Adに来ると、図5(A)に示すように、硬貨CNは落下防止ピン64によって支持され該落下防止ピン64の上で停止する。このとき規制ピン62は受渡搬送面48Sにある硬貨CNには接触しない長さであるため、受渡箇所Adにある硬貨CNの上を飛び越し搬送方向下流側へ通過する。
一方、押動ピン60は、受渡搬送面48Sにある硬貨CNの周側面に接触する長さであるため、受渡箇所Adにある硬貨CNの上を飛び越すことなく、硬貨CNの搬送方向上流側の周側面に当接して、硬貨CNを搬送方向下流側へ向かって押動し、硬貨CNを介して落下防止ピン64を押して該落下防止ピン64を硬貨CNの搬送経路から退避させる。続いて押動ピン60が硬貨CNを搬送方向下流側へ向かって押動していくと、図5(B)に示すように硬貨CNが傾斜搬送面50Sに到達する。
引き続き押動ピン60が硬貨CNを押動し、硬貨CNが傾斜搬送面50Sを通過して通常搬送面52Sに進入すると、図5(C)に示すように規制ピン62と通常搬送面52Sとの間には硬貨CNがすり抜けられるような隙間がなくなる。このため受渡部17は、通常搬送面52Sを搬送される硬貨CNに対し、搬送方向の上流側から下流側へ向かって押動ピン60で押動しつつ、規制ピン62により搬送方向の下流側への移動を規制できる。
[1-5.動作及び効果等]
以上の構成において受渡部17は、受渡搬送面48Sを通常搬送面52Sよりも低く形成し、規制ピン62を受渡搬送面48Sにある硬貨CNには当接しない長さにすると共に、押動ピン60は受渡搬送面48Sにある硬貨CNに当接し得る長さにするようにした。このため受渡部17は、通常搬送面52Sよりも低く形成した受渡搬送面48Sに硬貨CNを一旦落とし込み、規制ピン62を硬貨CNの搬送面離隔方向側を通過させ、押動ピン60で確実に硬貨CNを押動できる。また受渡部17は、規制ピン62を通常搬送面52Sにある硬貨CNに当接し得る長さにするようにした。このため受渡部17は、通常搬送面52Sにおいては、規制ピン62で硬貨CNの移動を規制しながら押動ピン60で硬貨CNを押動できる。
従来の搬送部1012(図13)においては、ゲート92よりも搬送方向上流側の直前にブレーキ機構を設け、該ブレーキ機構のブレーキ部材を硬貨CNに押し付けて硬貨CNを減速させることにより、押動する搬送ピン90から硬貨CNが離れてしまうことを防ぐことも考えられる。
しかしながらそのような場合、ブレーキ機構の機構部品が追加されるため構成が複雑化してしまうと共に、コストアップしてしまう。またそのような場合、ブレーキ機構のブレーキ部材を硬貨CNに積極的に押し付けるため、ブレーキ部材が摩耗してしまい交換する必要性が発生してしまう。さらにそのような場合、硬貨CNをブレーキ機構で減速させるため、硬貨CNが詰まってジャムが発生する等、搬送異常が発生しやすくなってしまう。またさらにそのような場合、ブレーキ部材が押し付けられた硬貨CNを搬送するため、搬送負荷が増加してしまう。
これに対し受渡部17は、ブレーキ機構を追加することなく、押動ピン60から硬貨CNが離れてしまうことを規制ピン62により規制できる。これにより受渡部17は、構成が複雑化してしまうことを防止してコストを低減でき、硬貨CNのジャムのリスクを低減でき、ブレーキ機構の摩耗リスクを低減でき、搬送負荷が増加してしまうことも防止できる。
また従来の搬送部1012においては、搬送方向に沿った搬送ピン90の間隔を、硬貨1枚分の直径程度の間隔まで狭めて、硬貨CNの搬送方向下流側への遊びを減らし、押動する搬送ピン90から硬貨CNが離れてしまうことを防ぐことも考えられる。
しかしながらそのような場合、搬送方向上流側から搬送部1012へ硬貨CNを受け渡す際に、搬送ピン90が一定速度で連続して動いていると、受け渡し可能なタイミングの範囲が狭くなり、硬貨CNの受け渡しが困難になる。このため、搬送部1012においては、搬送方向上流側から搬送部1012への硬貨CNの受渡箇所において搬送ピン90の搬送を一旦止めて、硬貨CNが搬送ピン90同士の間に受け渡された後に、搬送ピン90の搬送を再開するという、間欠搬送を繰り返す搬送にしなければならない。したがって搬送部1012は、ストップ&ゴーを繰り返すため、駆動系に負担がかかってしまう。またそのような場合、搬送される硬貨CNの挙動が安定しないため、硬貨CNのジャムが発生しやすくなってしまう。
さらに、搬送部1012よりも搬送方向の上流側は認識部であるため、正常に認識を行うためには、認識部においては―定速度で硬貨CNが搬送されなければならない。搬送部1012が間欠搬送を行う場合であっても、認識部は連続駆動を行うため、駆動モータを搬送方向上流側の認識部と搬送方向下流側の搬送部1012で共通化できず、それぞれの搬送系でモータが必要になり、構成が複雑化すると共に、コストアップしてしまう。
これに対し受渡部17は、間欠搬送を行うことなく、連続的に搬送ベルト56を駆動できる。これにより受渡部17は、駆動系への負担を軽減できると共に、硬貨CNの挙動を安定化させて硬貨CNのジャムのリスクを低減できる。また受渡部17は、受渡部17を認識搬送部16と共に連続駆動可能となるため、認識搬送部16と受渡部17とを共通のモータで駆動でき、アクチュエータ数を低減できるため、構成が複雑化してしまうことを防止してコストを低減できる。
このように受渡部17は、ブレーキ機構を不要にすると共に間欠搬送も不要にすることにより構成が複雑化してしまうことを抑えつつ、硬貨CNの搬送安定性を向上させることができる。
以上の構成によれば受渡部17は、硬貨CNの搬送面46Sを形成する搬送ガイド46と、硬貨CNの搬送方向の上流側に当接して該硬貨CNを搬送する規制ピン62と、規制ピン62に対し搬送方向の下流側で規制ピン62と所定の間隔を空けて配置される押動ピン60とを設け、押動ピン60は、搬送ガイド46へ硬貨CNが受け渡される受渡箇所Adと、受渡箇所Adよりも搬送方向の下流側に位置する搬送箇所Atとにおいて、硬貨CNの周側面に当接可能であり、規制ピン62は、受渡箇所Adにおいては、硬貨CNに対し搬送方向の上流側から下流側へ移動可能であり、搬送箇所Atにおいては、硬貨CNの周側面に当接可能であり、該硬貨CNの搬送方向の下流側への移動を規制するようにした。
これにより受渡部17は、硬貨CNの搬送速度を一定に保ったまま、一定速度で連続的に規制ピン62及び押動ピン60を移動させつつ、規制ピン62で硬貨CNの移動を規制しながら押動ピン60で硬貨CNを押動できる。
[2.第2の実施の形態]
[2-1.現金自動預払機及び硬貨処理装置の構成]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、硬貨処理装置10(図2)に代わる硬貨処理装置110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態による硬貨処理装置110は、第1の実施の形態による硬貨処理装置10と比較して、受渡部17に代わる受渡部117(図6)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2-2.受渡部の構成]
図4と対応する部材に同一符号を付した図6に示すように、第2の実施の形態による受渡部117は、第1の実施の形態による受渡部17と比較して、搬送機構54に代わる搬送機構154を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2-3.搬送機構及び搬送ピン対の構成]
第2の実施の形態による搬送機構154は、第1の実施の形態による搬送機構54と比較して、搬送ピン対58に代わる搬送ピン対158を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態による搬送ピン対158は、第1の実施の形態による搬送ピン対58と比較して、規制ピン62に代わる規制ピン162を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2-4.規制ピンの構成]
規制ピン162は、規制ピン62と比較して、切欠部162cが形成されている。切欠部162cは、規制ピン162の搬送面近接方向側端部の搬送方向下流側の半分程度が、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって、下方から上方へ向かって傾斜する平面形状である。
ここで、第1の実施の形態による規制ピン62は、図7に示すように硬貨CNにバリCNbが存在した場合、規制ピン62が硬貨CNの搬送面離隔方向側を通過する際に硬貨CNのバリCNbに引っ掛かり、通常搬送面52Sへ進入する際に傾斜搬送面50Sとの間で硬貨CNを挟み込んでしまい、それ以上は搬送方向下流側へ移動できなくなり、ロックしてしまう可能性がある。
これに対し第2の実施の形態による受渡部117(図6)は、規制ピン162の搬送面近接方向の先端形状をテーパ形状とするようにした。このため受渡部117は、硬貨CNにバリCNbが存在しても、規制ピン162の搬送面近接方向側先端を硬貨CNのバリCNbから退避させてバリCNbに引っ掛からないようにでき、規制ピン162が硬貨CNの搬送面離隔方向側を搬送方向上流側から搬送方向下流側まで通過可能にできる。これにより受渡部117は、硬貨CNにバリCNb等、通常の状態から搬送面離隔方向側に向かって突出する箇所が存在したとしても、規制ピン162がロックしないようにし、正常に硬貨CNを搬送できる。
その他の点においても、第2の実施の形態による受渡部117は、第1の実施の形態による受渡部17と同様の作用効果を奏し得る。
[3.第3の実施の形態]
[3-1.自動取引装置及び硬貨処理装置の構成]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、硬貨処理装置10(図2)に代わる硬貨処理装置210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第3の実施の形態による硬貨処理装置210は、第1の実施の形態による硬貨処理装置10と比較して、受渡部17に代わる受渡部217(図8)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[3-2.受渡部の構成]
図4と対応する部材に同一符号を付した図8に示すように、第3の実施の形態による受渡部217は、第1の実施の形態による受渡部17と比較して、搬送ガイド46に代わる搬送ガイド246を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[3-3.搬送ガイドの構成]
第3の実施の形態による搬送ガイド246は、第1の実施の形態による搬送ガイド46と比較して、傾斜搬送部42に代わる傾斜搬送部242を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[3-4.傾斜搬送部の構成]
第3の実施の形態による傾斜搬送部242は、第1の実施の形態による傾斜搬送部42(図4)と比較して、板状の傾斜搬送ガイド250の下面側に、圧縮ばねである図示しないスプリングが設けられている。傾斜搬送ガイド250は、搬送方向上流側の端部を支点として回動可能に構成されており、スプリングにより露出方向である搬送面離隔方向に向かって付勢されていると共に、通常状態においては図示しないストッパに当接することにより、受渡搬送面48Sと通常搬送面52Sとの間を滑らかに接続した状態で停止する。このため傾斜搬送ガイド250は、硬貨CNによって搬送面近接方向へ押圧された際、搬送方向下流側の端部が退避方向である搬送面近接方向へ向かって回動し、通常搬送面52Sと面一となることにより、傾斜搬送面250Sを受渡搬送面48Sよりも突出しない位置まで受渡搬送面48Sの方向へ退避可能となっている。
上述したように第1の実施の形態による規制ピン62は、図7に示したように硬貨CNにバリCNbが存在した場合、規制ピン62が硬貨CNの搬送面離隔方向側を通過する際に硬貨CNのバリCNbに引っ掛かり、通常搬送面52Sへ進入する際に傾斜搬送面50Sとの間で硬貨CNを挟み込んでしまい、それ以上は搬送方向下流側へ移動できなくなり、ロックしてしまう可能性がある。
これに対し第3の実施の形態による受渡部217は、図8(A)に示すように規制ピン62が硬貨CNのバリCNbを引っ掛けながら該硬貨CNを搬送方向下流側へ搬送し、硬貨CNが傾斜搬送面250Sへ到達すると、硬貨CNが傾斜搬送ガイド250を退避方向へ向けて押圧する。このため図8(B)に示すように傾斜搬送面250Sは、通常搬送面52Sと面一となることにより、受渡搬送面48Sの方向へ退避する。これにより規制ピン62は、硬貨CNの搬送面離隔方向側を搬送方向上流側から搬送方向下流側まで通過可能となる。このため受渡部217は、硬貨CNにバリCNbが存在していても、規制ピン62の搬送面近接方向側先端が硬貨CNのバリCNbに当接すると、傾斜搬送ガイド250を退避方向へ回動させることにより、傾斜搬送面250Sを硬貨CNの搬送経路から退避させて硬貨CNのバリCNbに引っ掛からないようにできる。これにより受渡部217は、硬貨CNにバリCNb等、通常の状態から搬送面離隔方向側に向かって突出する箇所が存在したとしても、規制ピン162がロックしないようにできる。
続いて規制ピン62が硬貨CNの搬送面離隔方向側を搬送方向下流側へ通過すると、傾斜搬送ガイド250は硬貨CNによって搬送面近接方向へ向けて押圧されなくなるためスプリングの付勢力により搬送方向下流側端部が露出方向へ回動し、図8(C)に示す通常状態へ戻り、受渡搬送面48Sと通常搬送面52Sとの間を傾斜搬送面250Sで滑らかに接続した状態となる。これにより受渡部217は、押動ピン60で硬貨CNを押し、受渡搬送面48Sから通常搬送面52Sへ傾斜搬送面250Sを通過させて硬貨CNを搬送可能となる。
その他の点においても、第3の実施の形態による受渡部217は、第1の実施の形態による受渡部17と同様の作用効果を奏し得る。
[4.第4の実施の形態]
[4-1.現金自動預払機及び硬貨処理装置の構成]
第4の実施の形態による現金自動預払機301(図1)は、第2の実施の形態による現金自動預払機101と比較して、硬貨処理装置110(図2)に代わる硬貨処理装置310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第4の実施の形態による硬貨処理装置310は、第1の実施の形態による硬貨処理装置10と比較して、受渡部117に代わる受渡部317(図9)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[4-2.受渡部の構成]
図6と対応する部材に同一符号を付した図9に示すように、第4の実施の形態による受渡部317は、第2の実施の形態による受渡部117と比較して、搬送ガイド46に代わる搬送ガイド346を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[4-3.搬送ガイドの構成]
第4の実施の形態による搬送ガイド346は、第2の実施の形態による搬送ガイド46と比較して、受渡搬送部40に代わる受渡搬送部340を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[4-4.受渡搬送部の構成]
第4の実施の形態による受渡搬送部340は、第2の実施の形態による受渡搬送部140と比較して、受渡搬送ガイド48に代わる受渡搬送ガイド348を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第4の実施の形態による受渡搬送ガイド348は、第2の実施の形態による受渡搬送ガイド48と比較して、受渡搬送面48Sに代わる受渡搬送面348Sが形成されている。
受渡搬送面348Sは、認識搬送部16と通常搬送面52Sとの間に位置し、上方から通常搬送面52Sに向かって、徐々に高さが高くなるように通常搬送面52Sに対し傾斜した平面形状である。これにより受渡搬送面348Sは、高さが異なる受渡搬送面348Sの上端部と通常搬送面52Sとの間を、硬貨CNが引っかからないように滑らかに接続している。また受渡搬送面348Sは、受渡搬送面48S(図3)よりも深く形成されている。
このため受渡部317は、受渡搬送面48S(図6)と傾斜搬送面50S(図6)とを足した搬送方向に沿った距離の分だけ受渡搬送面348Sを形成できることとなる。このため受渡部317は、傾斜搬送面50S(図6)と比較して、通常搬送面52Sに対する受渡搬送面348Sの傾斜角度を小さくでき、傾斜を緩やかにできる。このため受渡部317は、傾斜搬送面50Sと通常搬送面52Sとの接続箇所(図6)よりも、受渡搬送面348Sと通常搬送面52Sとの接続箇所の方を、角度変化を小さく滑らかに接続できる。これにより受渡部317は、図8(B)及び図8(C)に示すように、受渡搬送面348Sから通常搬送面52Sへ硬貨CNが進入する際の硬貨CNの姿勢変化を、受渡部17と比較して、より一層穏やかにでき、硬貨CNの姿勢変更をスムーズに行わせ、搬送する際の挙動を安定化させることができる。
その他の点においても、第4の実施の形態による受渡部317は、第2の実施の形態による受渡部117と同様の作用効果を奏し得る。
[5.第5の実施の形態]
[5-1.現金自動預払機及び硬貨処理装置の構成]
第5の実施の形態による現金自動預払機401(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、硬貨処理装置10(図2)に代わる硬貨処理装置410を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第5の実施の形態による硬貨処理装置410は、第1の実施の形態による硬貨処理装置10と比較して、受渡部17に代わる受渡部417(図10)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[5-2.受渡部の構成]
図4と対応する部材に同一符号を付した図10に示すように、第5の実施の形態による受渡部417は、第1の実施の形態による受渡部17と比較して、搬送ガイド46に代わる搬送ガイド446を有すると共に、搬送機構54に代わる搬送機構454を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[5-3.搬送ガイドの構成]
第5の実施の形態による搬送ガイド446は、第1の実施の形態による搬送ガイド46と比較して、通常搬送部44に代わる通常搬送部444を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[5-4.通常搬送部の構成]
第5の実施の形態による通常搬送部444は、第1の実施の形態による通常搬送部44と比較して、通常搬送ガイド52に代わる通常搬送ガイド452を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。通常搬送ガイド452は、平面形状の通常搬送面452Sが図4に示した受渡箇所Adから搬送箇所Atまでに亘って延設されている。
[5-5.搬送機構及び搬送ピン対の構成]
第5の実施の形態による搬送機構454は、第1の実施の形態による搬送機構54と比較して、搬送ピン対58に代わる搬送ピン対458を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第5の実施の形態による搬送ピン対458は、第1の実施の形態による搬送ピン対58と比較して、規制ピン62に代わる規制ピン462を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[5-6.規制ピンの構成]
規制ピン462は、規制ピン62と比較して、回動部462rが形成されている。回動部462rは、規制ピン462の搬送面近接方向側端部が、回動支点を軸として回動可能に構成されており、自重により露出方向である搬送面近接方向に向かって搬送面近接方向側端部が回動可能であると共に、通常状態においては図示しないストッパに当接することにより、規制ピン462が搬送面離接方向に沿った棒状の状態で停止する。このため規制ピン462は、搬送方向下流側へ移動するときに硬貨CNに当接した際、回動部462rの搬送面近接方向側端部が退避方向である搬送面離隔方向へ向かって回動することにより、規制ピン462を硬貨CNの搬送経路から退避可能となっている。
かかる構成において、図10(A)に示すように規制ピン462が、落下防止ピン64によって落下が防止されている硬貨CNの搬送方向上流側端部に当接すると、回動部462rが退避方向へ回動する。このため図10(B)に示すように規制ピン462は硬貨CNの搬送経路から退避する。これにより規制ピン462は、硬貨CNの搬送面離隔方向側を搬送方向上流側から搬送方向下流側まで通過可能となる。
続いて規制ピン462が硬貨CNの搬送面離隔方向側を搬送方向下流側へ通過すると、回動部462rは硬貨CNによって搬送面離隔方向へ向けて押圧されなくなるため自重により露出方向へ回動し、図10(C)に示す通常状態へ戻り、硬貨CNの搬送方向下流側端部における搬送面離隔方向の端部よりも搬送面近接方向まで位置する状態となる。これにより受渡部417は、規制ピン462で硬貨CNの搬送方向下流側への移動を規制可能な状態となる。また押動ピン60は、落下防止ピン64を硬貨CNの搬送経路から退避させつつ硬貨CNを搬送方向へ押動する。
第1の実施の形態による受渡部17(図3)は、規制ピン62に硬貨CNを搬送方向下流側へ乗り越えさせるために、通常搬送面52Sよりも低い受渡搬送面48Sを形成し、受渡搬送面48Sに硬貨CNが位置している際に硬貨CNの搬送面離隔方向側を規制ピン62に通過させる必要があった。
これに対し受渡部417は、規制ピン462が、硬貨CNの搬送方向上流側端部に当接すると硬貨CNの搬送経路から退避するようにした。このため受渡部417は通常搬送面452Sよりも低い受渡搬送面48Sを形成する必要なく、受渡箇所Adから搬送箇所Atまでに亘って通常搬送面452Sを平面形状にすることができる。
その他の点においても、第5の実施の形態による受渡部417は、第1の実施の形態による受渡部17と同様の作用効果を奏し得る。
[6.第6の実施の形態]
第1乃至第5の実施の形態においては、搬送ベルト56に固定された搬送ピン対58、158又は458により硬貨CNを押動したが、図11に示す硬貨選別部70にも適用可能である。
[6-1.硬貨選別部の構成]
硬貨選別部70は、該硬貨選別部70よりも搬送方向の上流側に設けられた認識搬送部516による認識結果に基づいて、硬貨CNを搬送しながら選別して下方へ排出する。硬貨選別部70は、選別ハウジング72と、回転部材の一例である回転ディスク74と、図示しないディスク駆動部と、図示しない複数の硬貨排出口とを有している。
[6-2.選別ハウジングの構成]
選別ハウジング72は、略円筒状の部材であり、ハウジング底面72Sbと外側ガイド面72Soと内側ガイド面72Siとが形成されている。ハウジング底面72Sbは、水平方向に沿って回転ディスク74の回転軸を中心とする円形状に沿う平面であり、認識搬送部516から受け渡された硬貨CNを搬送させる。ハウジング底面72Sbには、硬貨選別部70の下方に設けられた図示しない硬貨収納部へ硬貨CNを落下させる図示しない硬貨排出口が複数個形成されている。外側ガイド面72Soは、ハウジング底面72Sbよりも選別ハウジング72の外周側においてハウジング底面72Sbから立設し、選別ハウジング72の内周側を向く平面であり、ハウジング底面72Sbを搬送される硬貨CNにおける、選別ハウジング72の外周側をガイドする。内側ガイド面72Siは、ハウジング底面72Sbよりも選別ハウジング72の内周側においてハウジング底面72Sbから立設し、選別ハウジング72の外周側を向く平面であり、ハウジング底面72Sbを搬送される硬貨CNにおける、選別ハウジング72の内周側をガイドする。
[6-3.回転ディスクの構成]
回転ディスク74は、樹脂製の略円板形状の部材であり、選別ハウジング72内に設けられている。この回転ディスク74は、図示しないディスク駆動部からの駆動力によりハウジング底面72Sb上で水平に沿って、回転ディスク74に固定された図示しない回転軸を回転中心として図11中反時計回りに回転することにより、選別ハウジング72のハウジング底面72Sb上の硬貨CNを図11中反時計回りである搬送方向に沿って搬送する。第6の実施の形態による受渡部517は、回転ディスク74における外周側の下端部と、選別ハウジング72におけるハウジング底面72Sbとにより構成されている。
回転ディスク74は、回転することにより、ハウジング底面72Sbの環状の搬送路上の硬貨CNを搬送する。回転ディスク74は、円板部76と、環状リブ78と、連結部80と、搬送突起対82とが形成されている。
円板部76は、回転ディスク74の中央側に位置する平板状の部分である。この円板部76は、ハウジング底面72Sbと平行になるように選別ハウジング72内に配置されている。円板部76の中央には、図示しない回転軸と嵌合する嵌合部76aが設けられている。環状リブ78は、回転ディスク74の外周部において円周方向に環状に設けられたリブである。この環状リブ78は、回転ディスク74の半径方向において、円板部76から所定間隔だけ離れて外側ガイド面72Soと内側ガイド面72Siとの間に設けられている。連結部80は、円板部76の側面と、環状リブ78とを連結する板状の部分である。この連結部80は、回転ディスク74の円周方向に沿って、所定間隔で設けられている。すなわち連結部80は、回転ディスク74の中央から見て放射状に配置されている。
[6-4.受渡部の構成]
図12に示すように受渡部517には、搬送方向上流側である前方から搬送方向下流側である後方へ向かって順に受渡搬送部540、傾斜搬送部542及び通常搬送部544が形成されている。それぞれ受渡搬送部540、傾斜搬送部542及び通常搬送部544は、受渡搬送ガイド548、傾斜搬送ガイド550及び通常搬送ガイド552により、硬貨CNを搬送する搬送路が形成されている。以下では受渡搬送ガイド548、傾斜搬送ガイド550及び通常搬送ガイド552をまとめて搬送ガイド546とも呼ぶ。それぞれ受渡搬送ガイド548、傾斜搬送ガイド550及び通常搬送ガイド552の上側面には、平面であり硬貨CNを滑らせながら搬送方向であるほぼ後方に沿って搬送させる受渡搬送面548S、傾斜搬送面550S及び通常搬送面552Sが形成されている。以下では受渡搬送面548S、傾斜搬送面550S及び通常搬送面552Sをまとめて搬送面546Sとも呼ぶ。
以下では、硬貨CNが搬送される方向である、図11中反時計回りであり、受渡箇所Adにおいては後方へ向かう方向を搬送方向とも呼び、搬送方向に直交する、硬貨CNの幅方向に沿う回転ディスク74の半径方向、すなわち受渡箇所Adにおいては左右方向を搬送幅方向とも呼び、搬送方向と搬送幅方向とに直交する、すなわち通常搬送面552S及び受渡搬送面548Sと直交する上下方向を搬送面離接方向とも呼ぶ。また搬送面離接方向のうち、通常搬送面552S及び受渡搬送面548Sが向く上方、すなわち通常搬送面552S及び受渡搬送面548Sから離隔していく方向を搬送面離隔方向とも呼び、上方から通常搬送面552S及び受渡搬送面548Sへ近接していく方向を搬送面近接方向とも呼ぶ。
通常搬送面552Sは、ハウジング底面72Sb(図11)の一部分であり、前方から後方に向かって水平方向に沿う平面形状である。この通常搬送面552Sは、受渡部517から搬送方向下流側へ硬貨CNを受け渡す箇所である。
受渡搬送面548Sは、認識搬送部516から受渡部517へ硬貨CNが受け渡される際にまず硬貨CNが受け渡される位置である受渡箇所Adとして機能する。受渡搬送面548Sは、通常搬送面552Sと平行な平面形状であり、通常搬送面552Sに対し、最大硬貨厚よりも高さが低く、すなわち搬送面近接方向側に形成されている。
傾斜搬送面550Sは、受渡搬送面548Sと通常搬送面552Sとの間に位置し、受渡搬送面548Sから通常搬送面552Sに向かって、徐々に高さが高くなるように通常搬送面552Sに対し傾斜した平面形状である。これにより傾斜搬送面550Sは、高さが異なる受渡搬送面548Sと通常搬送面552Sとの間を、硬貨CNが引っかからないように滑らかに接続している。
搬送機構554は、環状リブ78と複数の搬送突起対82とにより構成されている。搬送機構554は、硬貨CNの搬送方向上流側の外周面に押動突起84を当接させた状態で環状リブ78を走行させることにより、搬送面546Sを滑らせつつ硬貨CNを搬送方向に沿って搬送方向下流側へ搬送する。
環状リブ78は、搬送ガイド546の上側と対向する位置において、搬送される硬貨CNよりも搬送面離隔方向側に位置し、硬貨CNの搬送路であるハウジング底面72Sbにおける搬送幅方向のほぼ中央部において搬送方向に沿って環状に配置されている。また、環状リブ78の搬送面近接方向側の端部である先端部は硬貨CNと間隔を空けて搬送面546Sと対向している。環状リブ78には、搬送突起対82が搬送方向に沿って等間隔に形成されている。すなわち環状リブ78には、搬送方向上流側の搬送突起対82の押動突起84と、該搬送突起対82の押動突起84よりも搬送方向下流側に所定の間隔(後述する押動突起間隔Ip2)を空けて配置された搬送突起対82の押動突起84とが、搬送方向に沿って等間隔に固定されている。1組の搬送突起対82は、搬送方向上流側に位置する1本の押動突起84と、該押動突起84よりも搬送方向下流側に所定の間隔(後述する押動突起規制突起間隔Ipr2)を空けて配置された1本の規制突起86とにより構成されている。環状リブ78及び搬送突起対82は、搬送方向、すなわち通常搬送面552S及び受渡搬送面548Sと平行な方向である水平方向に沿って移動する。
押動突起84は、全体として側面視で英大文字の「I」字形状であり、搬送方向に沿って複数の押動突起84が環状リブ78に形成されており、隣接する押動突起84同士の搬送方向に沿った間隔は等間隔となっている。また押動突起84は、通常搬送面552S及び受渡搬送面548Sに対し直交するように環状リブ78から搬送面546Sに向かって突出している。この押動突起84は、受渡搬送面548Sとの間に搬送面近接方向側端部が僅かに隙間を空け、最小厚硬貨の搬送方向上流側の端面に当接し得る程度の長さとなっており、該受渡搬送面548Sと接触しないようにしつつ搬送方向に移動する。また押動突起84は、搬送面近接方向側端部が通常搬送面552Sよりも搬送面近接方向まで突出しており、通常搬送面552Sに入り込むことにより、通常搬送面552Sとオーバーラップしている。通常搬送面552Sには、押動突起84を入り込ませる溝が搬送方向に沿って開いている。それぞれの押動突起84は、搬送方向に沿った間隔である押動突起間隔Ip2が、認識搬送部516から一定速度で連続的に硬貨CNが搬送されても、受渡搬送部540において該硬貨CNを搬送機構554に受け渡し可能な最小限の間隔となるように配置されている。この押動突起84は、硬貨CNの搬送方向上流側を搬送方向下流側に向かって押動することにより硬貨CNを移動させる。
規制突起86は、全体として側面視で英大文字の「I」字形状であり、搬送方向に沿って複数の規制突起86が環状リブ78に形成されており、隣接する規制突起86同士の搬送方向に沿った間隔は等間隔となっている。また規制突起86は、通常搬送面552S及び受渡搬送面548Sに対し直交するように環状リブ78から搬送面546Sに向かって突出している。この規制突起86は、押動突起84よりも搬送面離接方向の長さが短くなっている。具体的に規制突起86は、受渡搬送面548Sに載った状態の最大厚硬貨の搬送面離隔方向側端面との間に搬送面近接方向側端部が僅かに隙間を空ける程度の長さであり、該受渡搬送面548Sに載った状態の最大厚硬貨と接触しないようにしつつ、最大厚硬貨の搬送面離隔方向側を通過するように搬送方向に移動する。また規制突起86は、通常搬送面552Sとの間に搬送面近接方向側端部が僅かに隙間を空けており、通常搬送面552Sに載った状態の最小厚硬貨の搬送方向上流側の端面に当接し得る程度の長さとなっており、該通常搬送面552Sと接触しないようにしつつ搬送方向に移動する。規制突起86は、同一の搬送突起対82内の押動突起84との搬送方向に沿った間隔である押動突起規制突起間隔Ipr2が、最大硬貨径よりも僅かに広くなるように配置されている。規制突起86は、押動突起84に押された硬貨CNの搬送方向下流側への飛び出しを規制する。
このように搬送機構554は、押動突起84と、該押動突起84よりも長さが短い規制突起86との2種類の搬送突起からなる1組の搬送突起対82により、硬貨CNの前後を規制する。
かかる構成において認識搬送部516から受渡搬送面548Sへ硬貨CNが受け渡される、すなわち硬貨CNが受渡箇所Adに来ると、規制突起86は受渡搬送面548Sにある硬貨CNには接触しない長さであるため、受渡箇所Adにある硬貨CNの上を飛び越し送方向下流側へ向かって通過する。
一方、押動突起84は、受渡搬送面548Sにある硬貨CNの周側面に接触する長さであるため、受渡箇所Adにある硬貨CNの上を飛び越すことなく、硬貨CNの搬送方向上流側の周側面に当接して、硬貨CNを搬送方向下流側へ向かって押動し、押動突起84が硬貨CNを搬送方向下流側へ向かって押動していくと、硬貨CNが傾斜搬送面50Sに到達する。
引き続き押動突起84が硬貨CNを押動し、硬貨CNが傾斜搬送面550Sを通過して通常搬送面552Sに進入すると、規制突起86と通常搬送面552Sとの間には硬貨CNがすり抜けられるような隙間がなくなる。このため受渡部517は、通常搬送面552Sを搬送される硬貨CNに対し、搬送方向の上流側から下流側へ向かって押動突起84で押動しつつ、規制突起86により搬送方向の下流側への移動を規制できる。
その他の点においても、第6の実施の形態による受渡部517は、第1の実施の形態による受渡部17と同様の作用効果を奏し得る。
[7.他の実施の形態]
なお上述した第5の実施の形態においては、規制ピン462の搬送面近接方向側端部に回動部462rを形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、規制ピンの搬送面近接方向側端部において、搬送面離接方向に沿って伸縮可能な伸縮部を設け、該伸縮部が硬貨CNに当接した際に該伸縮部を搬送面離隔方向へ縮めることにより硬貨CNの搬送経路から退避させても良い。また、規制ピンの搬送面近接方向側端部において、搬送方向への硬貨CNの移動は規制可能であると共に、落下防止ピン64に載って規制ピンに押された硬貨CNに当接すると弾性変形するような弾性部材を設け、弾性部材が硬貨CNに当接した際に該弾性部材を搬送面離隔方向へ弾性変形させることにより硬貨CNの搬送経路から退避させても良い。
また上述した第5の実施の形態においては、規制ピン462の回動部462rを、該回動部462rの搬送面近接方向側端部を退避方向である搬送面離隔方向へ向かって回動させることにより、規制ピン462を硬貨CNの搬送経路から退避させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、規制ピン462の回動部462rを、搬送面近接方向側端部を搬送幅方向へ向かって回動させることにより、規制ピン462を硬貨CNの搬送経路から退避させても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、切欠部162cを、規制ピン162の搬送面近接方向側端部の搬送方向下流側の半分程度が搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって下方から上方へ向かって傾斜する平面形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、規制ピン162の搬送面近接方向側先端が硬貨CNのバリCNbに引っ掛からないようにできれば、切欠部を他の種々の形状にしても良い。第4の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、押動ピン60及び規制ピン62を略円柱形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨CNに当接できれば押動ピン60及び規制ピン62を他の種々の形状にしても良い。第2乃至第5の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、規制ピン62の先端を通常搬送面52Sにオーバーラップさせない場合について述べた。本発明はこれに限らず、規制ピン62の先端を通常搬送面52Sにオーバーラップさせても良い。第2乃至第6の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、押動ピン60の先端を受渡搬送面48Sにオーバーラップさせない場合について述べた。本発明はこれに限らず、押動ピン60の先端を受渡搬送面48Sにオーバーラップさせても良い。第2乃至第6の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、押動ピン60の先端を通常搬送面52Sにオーバーラップさせる場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨CNの周側面に当接できれば、押動ピン60の先端を通常搬送面52Sにオーバーラップさせなくても良い。第2乃至第6の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1乃至第5の実施の形態においては、落下防止ピン64を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、搬送方向下流側が下方を向いていなければ、落下防止ピン64を省略しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、現金自動預払機1に組み込まれる硬貨処理装置10に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば自動券売機等のように顧客との間で硬貨に関する取引を行う種々の装置や、金融機関の職員や小売店の店員等が現金を管理するために使用する現金管理装置等に本発明を適用しても良い。第2乃至第6の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、操作部としての操作表示部6と、搬送ガイドとしての搬送ガイド46と、規制部としての規制ピン62と、押動部としての押動ピン60とによって、自動取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる操作部と、搬送ガイドと、規制部と、押動部とによって、自動取引装置を構成しても良い。