JP5010171B2 - 耐火床構造およびこの耐火床構造を用いた耐火建物 - Google Patents

耐火床構造およびこの耐火床構造を用いた耐火建物 Download PDF

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    • C04B2111/28Fire resistance, i.e. materials resistant to accidental fires or high temperatures

Description

本発明は、耐火床構造およびこの耐火床構造を用いた耐火建物に係り、特に、硬質木片セメント板等の面材を床板とし、石膏ボード等の面材を天井板とした耐火床構造と、この耐火床構造を用いた複数階構造の耐火建物に関する。
従来、この種の耐火床としては、例えば国土交通省告示で例示されている仕様として、ALC75mm以上やRC造などの分厚くて重い床が一般的である。また、従来の耐火構造の床は、床根太、天井根太等からなる枠組に面材を取り付けてなり、鉛直荷重を支える枠組を、板厚t(mm)が1.0≦t<2.3のメッキ鋼板による薄板軽量形鋼で構成し、床根太に可燃物である構造用合板を取付け、この構造用合板にせっこう板等の耐火被覆材を取付けて耐火床を構築している(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−171988号公報
ところで、前記特許文献1に記載の耐火床は、吊り天井部のみで天井面を被覆しているため、加熱時変形によって天井が脱落するおそれがあり、天井が脱落すると梁の耐力低下や、梁温度基準の未達等の耐火性能を確保できなかった。また、施工が煩雑であり、耐火性能が施工の影響を大きく受ける仕様であった。さらに、RC造の耐火床は施工が煩雑で、重量が大きいため構造体に対する負荷が大きくなる問題点がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、薄い板材等のボード状の面材を用いて軽量に形成できると共に、コストを低減できる耐火床構造と、この耐火床構造を用いた耐火建物を提供することにある。また、施工が容易であり、施工バラツキが少なく耐火性能が安定している耐火床構造と、耐火建物を提供することにある。
前記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明による耐火床構造は、構造体の上方に固定した硬質木片セメント板等の準不燃以上の面材からなる床板と、構造体の下方に固定した石膏ボード等の面材からなる天井板とを備え、構造体と天井板との間に熱膨張性耐火シートを配置し、熱膨張性耐火シートは、加熱時に構造体と天井板との間に熱膨張できる空隙を有して配置され、天井板と床板との間に、他の石膏ボード等の面材をさらに配置し、他の石膏ボード等の面材は、構造体を構成する部材に近接して空間部が形成され、該空間部を塞ぐグラスウール等の不燃断熱材をさらに配置したことを特徴としている。床板としては厚さが18mm以上の面材が好ましい。また、天井板は厚さが12mm以上の面材が好ましい。熱膨張性耐火シートは、加熱されると体積膨張して耐火断熱層を形成して加熱が防止される。このため、構造体等の加熱変形を防止できると共に、火炎等が直接構造体等に当たるのを防止して、構造体を熱から守るものである。
前記のごとく構成された請求項1に記載の耐火床構造は、薄いボード状の石膏ボード等の面材を天井板とし、硬質木片セメント板等の面材を床板として軽量な耐火床を形成することができるため、施工性がよい。また、従来の耐火床と比較して安価に形成することができ、施工負荷を減らすことができると共に、施工バラツキの影響を受けにくい。火災等が発生すると、熱膨張性耐火シートが膨張して耐火断熱層を形成し、熱や火炎から構造体を守り、耐火性能を安定して確保することができる。また、梁等の構造体の下の天井板が加熱により変形し、隙間ができたり脱落しても天井面被覆を保持して耐火性能を確保できる。
また、請求項に記載の発明による耐火床構造では、天井板と床板との間に、他の石膏ボード等の面材を配置している。すなわち、天井側の面材を2枚の石膏ボード等の面材で平行状態に構成している。天井板を固定する天井根太の上下に2枚の面材を固定すると、2枚の面材間に空間が形成されて好ましい。2枚の石膏ボードを密着させて配置してもよい。この構成によれば、火災時の天井板の脱落を、より効果的に防止することができる。
さらに、請求項に記載の発明による耐火床構造では、前記他の石膏ボード等の面材は、前記構造体を構成する部材に近接して空間部が形成され、該空間部を塞ぐグラスウール等の不燃断熱材をさらに配置している。空間部としては他の石膏ボードを天井板より短く形成し、構造体を構成する部材との間に隙間を形成することや、他の石膏ボードに貫通孔を形成して空間部を形成してもよい。空間部を塞ぐ不燃断熱材としてはグラスウールの他にロックウールや耐火ボード等を用いることができる。
請求項に記載の発明による耐火床構造は、前記熱膨張性耐火シートは、構造体の下面に貼着され、天井板は該熱膨張性耐火シートの下面に固定されることを特徴としている。熱膨張性耐火シートに粘着性を付与し、あるいは熱膨張性耐火シートに両面粘着テープを貼着して構造体の下面に固定すると好適である。この構成によれば、構造体と天井板との間に熱膨張性耐火シートを容易に配置することができ、施工バラツキを少なくすることができる。
請求項に記載の発明による耐火床構造において、熱膨張性耐火シートは、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、前記熱膨張性無機物および無機充填材の合計量が40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成されることが好ましい。この構成によれば、熱膨張性耐火シートは火災等の加熱によって膨張し、必要な体積膨張を得ることができ、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成することができ、構造体への熱の伝達を防いで安定した防火性能を達成できる。
請求項に記載の発明による耐火床構造を用いた耐火建物は、前記のいずれかに記載の耐火床構造を用いた複数階構造の耐火建物であって、この耐火建物は耐火外壁材と、該耐火外壁材に間隙を有して平行に固定された壁面石膏ボード等の面材から構成される内壁材とを備えており、硬質木片セメント板等の床板と上階の内壁材とを連結し、石膏ボード等の天井板と下階の内壁材とを連結したことを特徴としている。この構成によれば、下階の天井板と下階の壁面石膏ボード等の内壁材とを連結し、上階の床板と上階の壁面石膏ボード等の内壁材とを連結することで、すなわち、面材同士を連結し、隙間を無くすことで、耐火性能に優れた耐火建物を容易に施工することができる。
本発明の請求項1に記載の耐火床構造は、準不燃以上の硬質木片セメント板等の面材と、石膏ボード等の面材を使用して、薄くて軽量な耐火床構造を形成できる。また、構成が簡単なため、施工が容易となり、施工バラツキを少なくでき、コストダウンを達成できる。さらに、火災等による加熱により、熱膨張性耐火シートが膨張して構造体等を断熱被覆するため、安定した耐火性能を確保することができる。
また、請求項に記載の発明による耐火床構造は、天井面側の面材を二重にして火災時の天井面の脱落を防止でき、構造体の熱変形を防止して、耐火性能を向上させることができる。さらに、請求項に記載の発明による耐火床構造は、他の面材と構造体を構成する部材に近接して空間部が形成されているため、この空間部を通して電気配線等の接続を容易に行うことができ、容易な施工が可能となる。請求項に記載の発明による耐火床構造は、構造体と天井面との間に熱膨張性耐火シートを容易に配置することができ、火災時に加わる熱による構造体の熱変形や、火炎による構造体への影響を確実に防止することができる。
請求項に記載の発明による耐火床構造では、熱膨張性耐火シートは、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、熱膨張性無機物および無機充填材の合計量が40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成することで、火災時の加熱により熱膨張性耐火シートが確実に熱膨張し3〜50倍に熱膨張して耐火断熱層を形成し、天井板や床板を固定する構造体の熱変形を防止すると共に、火炎が構造体に直接当たることを防止でき、安定した耐火性能を確保することができる。
請求項に記載の発明による耐火建物は、下階の石膏ボード等の面材から形成される天井板と下階の壁面石膏ボード等の内壁材とが連結され、上階の硬質木片セメント板等の床板と上階の壁面石膏ボード等の内壁材とが連結され、構造体を被覆するため、軽量で耐火性能の安定した耐火建物を、容易に施工することができる。
以下、本発明に係る耐火床構造の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る耐火床構造の要部断面図、図2は、図1の構造体の要部を示す分解斜視図、図3は構造体の中間に位置する制振シートの要部断面図である。図1,2において、本実施形態の耐火床構造は、1階の天井構造10と2階の床構造20とを結合して形成される例を示している。この実施の形態は鉄骨軸組のユニット建物であり、隣接する建物ユニットに跨る部分は現場施工となる。個々の建物ユニットがボックスラーメン構造となるので、図1に示す部分で隣接する建物ユニットの床梁、天井梁がそれぞれ反対向きに並んでいる。
先ず、1階の天井構造10について説明する。1階の天井大梁11は2つのC型鋼のウェブを間隔をあけて対向させて形成し、天井大梁11の下方のウェブに載置した状態で天井根太12が固定されている。天井根太12は薄い鉄板からなる角パイプ状のライトスチール根太が使用されている。天井根太12の上部に準不燃材以上の面材として石膏ボードからなる面材13が載置固定されている。面材13は、12.5mm以上の厚さを有する石膏ボードを使用している。天井根太12の下方にはスペーサ14を挟んで天井板15が釘やタッカー等で固定されている。天井板15も12.5mm以上厚の石膏ボードが使用されている。このように、1階の天井部分は面材として、2枚の石膏ボード13,15が間隔を有した平行状態で積層され、固定されている。
つぎに、2階の床構造20について説明する。2階の床構造20は2つのC型鋼のウェブを間隔をあけて対向させて形成した床大梁21の開口側に、床小梁22の端部に固定されたC型鋼が架け渡されて溶接等で固定され、床大梁21と床小梁22により2階の床の構造体が構成されている。床小梁22の上に床根太23が固定され、床根太上に準不燃以上の面材として、厚さが18mm以上の硬質木片セメント板からなる床板25が釘等により固定されている。床根太23は金属製の角パイプ状のライトスチールが使用されている。床板25として、硬質木片セメント板の代わりに繊維混入珪酸カルシウム板、スレート板等を用いることもできる。
本実施形態の構造体は、1階の天井大梁11と2階の床大梁21とがジョイント部材30により連結されて構成され、床大梁21の上からおよび天井大梁11の下から挟み込んで締め付けている。ジョイント部材30はジョイント金具31と、受け板32と、ナット33から構成され、ジョイント金具31の軸部31aの上部が受け板32の貫通孔に挿入され、軸部31aのねじ部にナット33がねじ込まれて結合する構成となっている。ナット33の下面に座金34を挟んでもよく、受け板32をビス35で床大梁21にねじ込んで固定してもよい。ジョイント部材30の軸部31aを天井大梁11のC型鋼の間隔を通して挿入し、床大梁21のC型鋼の間隔にさらに挿入し、軸部31aの先端を受け板32の貫通孔に通してナット33をねじ込んで天井大梁11と床大梁21とを連結する。
ナット33を締め付けることで天井大梁11と床大梁21とを連結固定することができる。そして、天井大梁11と床大梁21との間に緩衝材として制振シート40が間隔をあけて配置されている。ジョイント部材30は天井大梁11と床大梁21とを連結してから、天井板や床板等の面材を固定するものでもよく、あるいは面材を固定してから連結するものでもよい。ユニット建物のように、建物ユニットを上下に重ねて連結する場合は、ジョイント部材をあとから連結することができる。
天井大梁11と床大梁21との間に設置される制振シート40は厚さが10〜15mm程度に形成されている。制振シート40は、図3に示されるように、鋼板や鉄板等の金属板材41をベースとしてアクリル樹脂等の樹脂組成物のシート材42を接着剤43により積層して形成されている。本実施形態の制振シート40は、2枚の鉄板41,41と3枚の樹脂シート材42,42…とを接着剤43,43…により積層して形成されている。すなわち、中心の樹脂シート材42の両面に鉄板41,41を接着し、さらにその外側に樹脂シート材42,42を接着し、外周には両面粘着シート44,44および離型紙45,45を貼着している。接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましい。
鉄板41の厚さは0.5mm程度が好ましい。樹脂シート材42は厚さが数mm程度のシートが好ましい。樹脂シート材42として、本実施形態では、紫外線処理を施した厚さが3mm強のUVアクリル板を使用している。このように積層した制振シート40を構造体の中間、すなわち天井大梁11と床大梁21との間に配置することで、例えば上階で発する振動の下階への伝達を大幅に低減することができる。なお、制振材は、前記の制振シートの限られるものでなく、ゴム基材をベースとする振動吸収体や、発泡樹脂をベースとする緩衝材を用いてもよい。
また、樹脂シート材42として、炭素数14〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体もしくは共重合体を含む組成物で、単独重合体もしくは共重合体が、炭素数14〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー100重量部に対し、光重合開始剤を0.05〜5重量部含む組成物を光重合することにより得られた単独重合体もしくは共重合体であるものや、炭素数14〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート100重量部に対し、炭素数2〜13のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを400重量部以下の割合で共重合してなるアクリル系共重合体を含むもの等を用いると好適である。さらに、アクリル系共重合体が炭素数14〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数2〜13のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー組成100重量部に対し、光重合開始剤を0.05〜5重量部含む組成物を光重合することにより得られたアクリル系共重合体であると好適である。
ジョイント部材30の下端の受け具31bの下面に、図1に示されるように、1mm程度の厚さを有する熱膨張性耐火シート46が貼着され、熱膨張性耐火シート46の下方に天井板の石膏ボード15が固定されている。熱膨張性耐火シート46は加熱されたとき、体積膨張して耐火断熱層を形成し、火炎の貫通を防止すると共に、石膏ボード等の面材を支持する構造体の熱変形を防止するものであり、その体積膨張率は3〜50倍に設定されている。熱膨張性耐火シート46は、膨張後は所定の断熱性能を有すると共に所定の強度を有する残渣を形成し、この耐火シートが固定された構造体である天井大梁11を被覆して熱変形を防止する。
熱膨張性耐火シート46はジョイント部材30の下端の受け具31bの下面に貼り付けられており、受け具31bの幅より広く、しかも天井大梁11の下フランジの幅より広く貼り付けられているため、天井大梁11の下方フランジと天井板15との間には空隙が形成されている。したがって、熱膨張性耐火シート46が加熱により膨張すると、この空隙内で膨張して構造体を連結するジョイント部材30の受け具と共に天井大梁11の下方フランジを耐火断熱層で覆うことができ、天井大梁11に火炎が直接当たることを防止でき、天井大梁の熱変形を防止することができる。
つぎに、前記した熱膨張性耐火シート46を構成する熱膨張性耐火材料について詳細に説明する。天井大梁11の下面に貼着される熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物の樹脂成分としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。
また、前記の熱可塑性樹脂の代わりに、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等のゴム物質を使用することができる。さらに、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂を使用することも可能である。
これらの樹脂のうち、後述する熱膨張性無機物、特に熱膨張性黒鉛を配合する場合に、その膨張温度以下で成形可能であるという観点から、ポリオレフィン系樹脂またはゴム物質が好ましく、中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレンを主成分とする共重合体、これらの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
前記エチレンを主成分とする共重合体としては、例えば、エチレン部を主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体の具体的商品としては、デュポンダウ社製の「CGCT」、エクソンモービルケミカル社製の「EXACT」等の市販品が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、防火性能をより向上させるために、充填剤を多量に配合することが可能であるという観点からは、上述のゴム物質が好ましい。
さらに前記したように、熱膨張性耐火材料からなる耐火シート46を、建物の構造体を構成する型鋼部材との貼着を容易にするため、樹脂組成物自体に粘着性を有することが好ましく、その方法としては、例えば、ゴム物質に粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、低分子量化合物等を添加することが挙げられる。粘着付与樹脂としては特に限定されず、例えば、ロジン、ロジン誘導体、ダンマル樹脂、コーパル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、非反応性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油系炭化水素樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
粘着性を付与する可塑剤は、単独で粘着性を発現させることは難しいが、前記粘着付与樹脂との併用で粘着性を向上させることができる。例えば、フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、セバシン酸エステル系可塑剤、リシノール酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、塩化パラフィン等が挙げられる。
粘着性を付与する油脂類は、可塑剤と同じ作用を有するため、可塑性付与と粘着調整剤の目的で用いることができる。油脂類としては特に限定されず、例えば、動物性油脂、植物性油脂、鉱物油、シリコーン油等が挙げられる。また粘着性を付与する低分子量化合物は、粘着性付与以外に耐寒性向上、流動調整の目的を兼ねて用いることができる。低分子量化合物としては特に限定されず、例えば、低分子量ブチルゴムや、ポリブテン系化合物等が挙げられる。
さらに、樹脂自体の難燃性を上げて防火性能を向上させるという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。特に分子構造の選択が広範囲で、樹脂組成物の防火性能や力学物性を調整することが容易であることから、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、基本的にはエポキシ基を持つモノマーと硬化剤を反応させて得られる樹脂である。エポキシ基をもつモノマーとしては、2官能のグリシジルエーテル型、2官能のグリシジルエステル型、多官能のグリシジルエーテル型が挙げられる。
熱膨張性耐火シート46を構成する熱膨張性耐火材料に含有される熱膨張性無機物としては、加熱して膨張する熱膨張性無機物であれば特に限定されないが、例えば、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛、ケイ酸金属塩、ホウ酸塩等が挙げられる。これらの中でも、膨張開始温度が低くかつ膨張度が高いことから熱膨張性黒鉛が好ましい。
熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。このように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、さらにアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和したものを使用するのが好ましい。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物に、さらに無機充填剤を配合することが好ましい。無機充填剤は、膨張断熱層が形成される際、熱容量を増大させ伝熱を抑制するとともに、骨材的に働いて膨張断熱層の強度を向上させる。無機充填剤としては特に限定されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩等が挙げられる。
熱膨張性耐火材を構成する樹脂組成物では、膨張断熱層の強度を増加させ防火性能を向上させるために、前記の各成分に加えて、さらにリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記化学式(1)で表される化合物等が挙げられる。これらのうち、防火性能の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記化学式(1)で表される化合物が好ましく、性能、安全性、コスト等の点においてポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。
Figure 0005010171
化学式(1)中、R1及びR3は、水素、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、または、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状あるいは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、または、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
熱膨張性耐火材料を構成する樹脂組成物において、熱膨張性無機物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して10〜300重量部が好ましい。配合量が10重量部未満では、体積膨張率が低く間隙等を十分埋めきらないため防火性能が低下し、300重量部を超えると機械的強度の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。より好ましくは、20〜250重量部である。樹脂組成物において、無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜400重量部が好ましい。配合量が30重量部未満では、熱容量の低下に伴い十分な防火性能が得られなくなり、400重量部を超えると機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは40〜350重量部である。
樹脂組成物において、リン化合物を添加する場合、リン化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して30〜300重量部である。配合量が30重量部を下回ると、膨張断熱層の強度を向上させる効果が十分でなくなり、300重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは40〜250重量部である。
熱膨張性無機物と無機充填剤の合計量は、樹脂成分100重量部に対して40〜500重量部が好ましい。合計量が40重量部未満になると、十分な膨張断熱層が得られず、500重量部を超えると、機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは、70〜400重量部である。
さらにリン化合物を添加させる場合、リン化合物、熱膨張性無機物及び無機充填剤の合計量は、樹脂成分100重量部に対して70〜500重量部が好ましい。合計量が70重量部未満になると十分な膨張断熱層が得られず、500重量部を超えると機械的強度の低下が大きく使用に耐えられなくなる。より好ましくは100〜400重量部である。
前記の如く構成された本実施形態の耐火床構造の施工動作について以下に説明する。耐火床構造Aは、前記のように下階の天井構造10と上階の床構造20とを連結して構成される。天井構造10は、天井大梁11に天井根太12を固定し、天井根太12の上方に不燃材である厚さが12.5mmの石膏ボード等の面材13を載置して固定する。天井根太12の下面にスペーサ14を挟んだ状態で、天井板15として厚さ12.5mm石膏ボードを固定する。このように、天井構造10は構造体である天井大梁11に天井根太12を固定し、この天井根太の上下に面材13と天井板15を固定するだけの施工であり、構造が簡単であると共に施工が容易となる。
上階の床構造20は、床大梁21に床小梁22を溶接等で固定し、床小梁22上に床根太23を固定し、床根太23上に準不燃材以上の総厚が18mm以上の面材として硬質木片セメント板からなる床板25を釘等により固定する。このように、床構造20は構造体である床大梁21と床小梁22上に床根太23を固定し、この上にボード状の面材である床板25を固定するだけの施工であり、構造が簡単で施工が容易となる。このため、施工時のバラツキは殆ど生じない。
本実施形態では、天井構造10と床構造20とはジョイント部材30で結合されるため、天井板15の天井梁の下方の石膏ボードは開口しており、床板25の床大梁21の上部も開口している。天井大梁11の上に床大梁21を重ねるときに、天井大梁11上に制振シート40を載置して、その上に床大梁21を載置する。なお、制振シート40は所定の間隔を置いて載置すれば十分機能する。そして天井板15の開口から、ジョイント部材30のジョイント金具31の軸部31aを2つの天井大梁11のC型鋼の隙間に挿入し、さらに床大梁21のC型鋼の隙間に挿入し、床板25の開口から軸部の上端に受け板32を挿入してナット33で固定する。
このあと、上階の床板25の開口を床板帯板25aで塞ぎ、床面を完成させる。ついで、下階側からジョイント金具31の受け具31bの下面に、熱膨張性耐火シート46を貼着する。そして、熱膨張性耐火シート46の下方に天井板15の開口を塞ぐ天井帯板15aを固定して天井面を完成させる。この施工により、構造体である天井大梁11と天井板15との間に、熱膨張性耐火シート46が配置される。
なお、構造体をジョイント部材で結合しない場合は、構造体である梁材の下面に熱膨張性耐火シート46を固定してから天井板を一度に固定すればよい。このように、耐火床構造Aは、構造体の下面に熱膨張性耐火シート46を挟んだ状態で石膏ボードからなる天井板15を固定し、また必要に応じて石膏ボードからなる他の面材13を構造体に固定し、構造体の上面に準不燃以上の床板25として硬質木片セメント板を固定することで容易に耐火床構造Aを形成することができ、施工が容易であり、施工バラツキを少なくすることができる。
このように形成された耐火床構造Aが火災等で加熱されると、熱膨張性耐火シート46が膨張して耐火断熱層を形成し、構造体である天井大梁11や床大梁21、床小梁22に熱が加わることを防止するため、梁等の構造体の熱変形を防止できると共に、構造体の耐力低下を防止することができる。このように、梁下の天井板が加熱により変形し、隙間ができたり脱落しても耐火性能を確保できる。また、他の面材13を配置することで、天井板が脱落しても天井面被覆を保持できる。
つぎに、本発明の他の実施形態である耐火建物を図4に基づき詳細に説明する。図4は本発明に係る耐火床構造Aを用いた耐火建物の実施形態の要部断面図である。なお、この実施形態は前記した耐火床構造Aを用いた複数階構造の耐火建物であることを特徴とする。そして、耐火床構造Aの実施形態と実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態の耐火建物Bは、前記した耐火床構造Aを用いている。この耐火建物Bは、耐火外壁材51と、該耐火外壁材に間隙を有して平行に固定された壁面石膏ボード52,53とから構成される耐火壁面とを備えている。耐火建物Bは図示していない柱等の構造体の外側に外壁材51が固定され、内側に石膏ボード等の内壁材52,53が固定されている。外壁材51と内壁材52,53とは所定の間隔を有して平行状態に固定され、間隔内には図示していないがグラスウール等の断熱材が配置されている。また、上下階の外壁材の間隙には、図示していないが防水状態に目地が形成される。
このように構成された耐火建物Bは、耐火床構造Aにより天井構造10の構造体である天井大梁11や、床構造20の構造体である床大梁21および床小梁22が石膏ボードの天井板15、他の石膏ボード13および床板25で覆われ、天井板15と天井大梁11との間に熱膨張性耐火シート46(図1参照)を配置しているため、構造体を火炎や熱から防護することができる。また、耐火建物Bを構成する柱材等の構造体(図示せず)も、外壁材51と内壁材52,53により覆われているため、火災時等の加熱から構造体を防護することができる。
この耐火建物Bは、硬質木片セメント板からなる床板25と上階の壁面石膏ボード53とを隙間無く連結し、石膏ボードからなる天井板15と下階の壁面石膏ボード52とを、同様に隙間無く連結して、図示していない柱等の構造体を覆うため、梁材や柱材等の構造体を熱から守ることができる。また、構成を簡単にできると共に、軽量化を図ることができる。しかも、施工が容易で、施工バラツキを少なくすることができ、コストを低減することができる。
そして、天井構造10の天井板15が、下階の内壁材52と隙間無く連続し、下階の内部空間が形成されている。また、床構造20の床板25が上階の内壁材53と隙間無く連続し、上階の内部空間が形成されている。この耐火建物Bは、下階の鉄骨躯体を備える建物ユニット上に、上階の鉄骨躯体を備える建物ユニットを載置固定したユニット建物の例を示しているが、木製の柱や梁を用いた木造等の2階建ての建物にも適用できる。
図1に示すように、2つのC型鋼(200×50×2.3)を、間隔を有して対向させて天井大梁11を形成し、C型鋼の下部のフランジ上にライトスチール製の板厚0.5mmの天井根太12を固定し、天井根太上に板厚が12.5mmの石膏ボード13を載置固定した。また、天井根太12の下方に板厚が12.5mmの石膏ボードをスペーサ14を介して天井板15として固定し、天井構造10とした。なお、天井板はジョイント部材30を装着する個所に開口が形成してある。
2つのC型鋼(150×50×3.2)を、間隔を有して対向させて床大梁21を構成し、この床大梁に75×125×1.6の角型鋼を連結して床小梁22を構成して床の構造体を形成した。そして、床小梁22の上にライトスチール製の板厚0.5mmの床根太23を固定し、床根太23上に18mm厚の硬質木片セメント板の床板25を固定し、床構造20とした。床板25にも、ジョイント部材30を装着する個所に開口が形成してある。
天井板15の開口から、天井大梁11の間隔を通してジョイント部材30のジョイント金具31を挿入し、さらに床大梁21の間隔を通して上部に突出させ、受け板32の貫通孔を通してナット33で固定する。ナット33を締めこむことで天井大梁11と床大梁21とが強固に連結される。天井大梁11と床大梁21とを連結するジョイント部材30の受け具31bの下面に、厚さが1mmの熱膨張性耐火シート46を貼着し、天井板15の開口に天井帯板15aを固定し、天井板と天井大梁11との間に熱膨張性耐火シート46を配置した。床板25の開口を床板帯板25aで塞いで床板を完成させた。
前記の耐火床構造Aを用いて、(財)建材試験センターの試験業務方法書に記載のある耐火床評価方法に準拠して耐火試験を行なった。すなわち、床面および天井面の加熱を1時間とし、加熱後観察を3時間行い、合計4時間の試験を行なった。試験結果は、図5に示されるように、最大たわみ量、最大たわみ速度とも、基準値を満たした。また、遮熱性については、裏面最大温度上昇が180K以下であり、裏面平均温度上昇が140K以下で問題が無かった。さらに、遮炎性については、非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がなく、非加熱面で10秒を超えて継続する発炎がなく、火炎が通る有害な亀裂等の損傷も生じなかった。このように、実施例1では、すべての面で耐火床の判定基準を満たした。
つぎに、本発明に係る耐火床構造の他の実施形態を図6,7に基づいて説明する。図6は本発明に係る耐火床構造の他の実施形態の要部を示す断面図、図7は図6の動作状態を示す要部断面図である。この実施形態に示される耐火床構造は、天井板と床板との間に他の石膏ボード等の面材が配置され、この面材は構造体を構成する部材、例えば梁を構成する型鋼に近接して空間部が形成され、この空間部を塞ぐグラスウール等の不燃断熱材をさらに配置していることを特徴としている。
この実施形態の耐火床構造は、複数の建物ユニットを並置すると共に上下に積み重ねて構成するユニット建物において、施工を簡略化することができる。ユニット建物の場合、例えば隣接する建物ユニット間、あるいは上下の建物ユニット間では電気配線や配管等を接続する必要がある。この場合、前記の実施形態の耐火床構造では、石膏ボード等の面材からなる天井板の上部に他の石膏ボード等の面材が平行状態に配置されているため、配線や配管等を接続する作業が煩雑となり、施工・生産性が低下する。また、隣接または上下の建物ユニット同士の配線や配管作業を行ってから石膏ボード等の面材を張る必要があり、現場施工への負荷が大きい。本実施形態の耐火床構造は、このような問題点を解消することを更なる目的としている。
このような問題点を解決するべく、本実施形態の耐火床構造Cでは、天井板15の上方に水平状態に配置された他の石膏ボード等の面材13Aは、構造体を構成する部材、例えば1階の天井大梁11に近接して空間部17が形成され、この空間部を塞ぐ不燃断熱材としてグラスウール18をさらに配置している。グラスウール18は建物を建築する地域の耐火基準に合わせて厚さが設定され、50〜100mm程度の厚さに設定される。グラスウール18は空間部17により露出している天井根太12Aの上部に水平に載置され、グラスウール18の端部は石膏ボード等の面材13A上に重ねられ、面材13Aと共に耐火層を形成する。グラスウール18は必要に応じて天井根太12Aに固定される。
この実施形態の耐火床構造Cでは、熱膨張性耐火シート46Aはジョイント部材30の下端の受け具31bの下面に貼着され、天井大梁11のフランジ部分を覆うことができる幅に設定され、天井大梁11の方向に延在している。そして、熱膨張性耐火シート46Aの端部は傾斜状態に上方に曲げられ、受け具31bと天井大梁のフランジ部分を被覆している。
この実施形態の耐火床構造Cでは、天井根太12Aは、天井大梁11と接合する端部は段差部が形成され、天井板15はスペーサ(図1の参照符号14)を挟まない状態で天井根太12Aの下面に固定されている。そして、1階の天井大梁11と2階の床大梁21とを連結するジョイント金具31の受け具31bは、天井根太の段差部に位置するように設定されている。この構成により、天井根太12Aに天井板15を固定するとき、スペーサが不要となり、構成を簡略化することができると共に、施工を簡略化できる。空間部17としては本実施形態のように石膏ボード等の面材13Aを天井大梁11に突き当たらないように短く切断して全幅にわたって、例えば天井大梁11から20〜30cm程度離して形成することが好ましいが、面材13Aに長方形や円形の貫通孔を形成して空間部としてもよい。この場合は、貫通孔を通して配線作業等を行なうことができる。
このように構成された図6に示される実施形態においては、施工時に隣接する建物ユニット同士を電気配線や配管で接続するとき、天井板15の上方に平行状態に設置されている面材13Aには天井大梁11に近接して空間部17が形成されているため、この空間部を通して電気配線等を容易に接続することができる。そして、配線等の施工を完了したあと、図7に示すように、空間部17を覆うようにグラスウール18を載置することで、天井板15と平行に面材13Aとグラスウール18により耐火層を形成することができる。この実施形態において、前記の実施例と同様の耐火試験を行ったところ、図5に示されるように最大たわみ量、最大たわみ速度とも、基準値を満たした。また、遮熱性、遮炎性についても問題なく、すべての面で耐火床の判定基準を満たした。
なお、前記の施工においては、平行状態に隣接する建物ユニットの例を説明したが、建物ユニットを上下に積み重ねる場合にも、構造体を構成する部材に近接して形成された空間部を通して上下のユニット間の電気配線等を容易に接続することができるため、施工時間を短縮できる。また、建物ユニットで構成するユニット建物以外の木造等の建物においても、本発明の耐火床構造を適用できる。さらに、構造体を構成する部材として、C型鋼を用いた梁材の例を示したが、I型鋼や他の形状の鋼材、あるいは木材等を用いてもよい。また、この実施形態では、天井大梁11と床大梁21との間に制振シート40を挟んでいないが、前記の実施形態と同様に両者間に制振シートを挟んで構成してもよい。この実施形態で示す耐火床構造Cを用いて、図4に示される複数階構造の耐火建物Bと同様の耐火建物を構成することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、構造体として、1階の天井大梁と2階の床大梁とをジョイント部材で連結した例を示したが、H鋼等の1つの構造体で構成するようにしてもよい。
構造体と天井板との間に熱膨張性耐火シートを配置する例として、構造体を連結するジョイント部材の下面に貼着する例を示したが、ジョイント部材を用いない場合は構造体である天井大梁の下面に直接、熱膨張性耐火シートを貼着してもよい。また、貼着せずに、天井板と天井大梁との間に挟んで配置し、天井板の固定の際に、同時に固定するようにしてもよい。
本発明の活用例として、前記の耐火床構造を用いて3階建て以上の建物に使用することができ、住宅等に限らず倉庫等の建物の用途にも適用できる。
本発明に係る耐火床構造の一実施形態の要部断面図。 図1の1階の構造体と2階の構造体とを連結する構成の分解状態の斜視図。 図1,2に示される構造体の中間に位置する制振シートの要部断面図。 図1,2に示す耐火床構造を用いた耐火建物の要部断面図。 本発明に係る耐火床構造の耐火試験の結果を示す表図。 本発明に係る耐火床構造の他の実施形態の要部断面図。 図6の耐火床構造の動作状態を示す要部断面図。
符号の説明
10:天井構造、11:天井大梁(構造体)、12,12A:天井根太、13,13A:他の面材(石膏ボード)、15:天井板(石膏ボード)、17:空間部、18:グラスウール(不燃断熱材)、20:床構造、21:床大梁(構造体)、22:床小梁(構造体)、23:床根太、25:床板(硬質木片セメント板)、30:ジョイント部材、40:制振シート(緩衝材)、46,46A:熱膨張性耐火シート、51:外壁材、52,53:内壁材(石膏ボード)、A,C:耐火床構造、B:耐火建物

Claims (4)

  1. 構造体の上方に固定した硬質木片セメント板等の準不燃以上の面材からなる床板と、前記構造体の下方に固定した石膏ボード等の面材からなる天井板とを備え、
    前記構造体と前記天井板との間に熱膨張性耐火シートを配置し、
    前記熱膨張性耐火シートは、加熱時に前記構造体と前記天井板との間に熱膨張できる空隙を有して配置され
    前記天井板と前記床板との間に、他の石膏ボード等の面材をさらに配置し、
    前記他の石膏ボード等の面材は、前記構造体を構成する部材に近接して空間部が形成され、該空間部を塞ぐグラスウール等の不燃断熱材をさらに配置したことを特徴とする耐火床構造。
  2. 前記熱膨張性耐火シートは、前記構造体の下面に貼着され、前記天井板は、該熱膨張性耐火シートの下面に固定されることを特徴とする請求項1に記載の耐火床構造。
  3. 前記熱膨張性耐火シートは、樹脂成分100重量部に対して、熱膨張性無機物を10〜300重量部、無機充填材を30〜400重量部含有し、前記熱膨張性無機物および無機充填材の合計量が40〜500重量部含有する樹脂組成物の材料で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火床構造。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の耐火床構造を用いた複数階構造の耐火建物であって、
    該耐火建物は耐火外壁材と、該耐火外壁材に間隙を有して平行に固定された壁面石膏ボード等の面材から構成される内壁材とを備えており、
    前記硬質木片セメント板等の床板と上階の内壁材とを連結し、前記石膏ボード等の天井板と下階の内壁材とを連結したことを特徴とする耐火建物。
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