JP3798556B2 - 天井や壁等に用いる面材の補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天井板や壁板等の面材において、特にその耐火性能を向上するための補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物における天井板や壁板等には、石膏ボードやロックウール吸音板等の安価で施工性の容易な面材が多く用いられている。しかし、これらの面材は、その厚さが一般的に薄く、耐火性能や強度面に問題がある。例えば、石膏ボードの場合には、火災等によって高温になると、結晶水の放出に伴う吸熱反応が起こることで遮熱効果を発揮するが、結晶水が放出してしまうと、大きく強度が低下して亀裂が生じたりその一部が脱落してしまい、遮熱効果はおろか遮炎効果までも著しく損なうことがある。また、ロックウール吸音板の場合には、石膏ボードのような高温時の亀裂や脱落は起こりにくく、火災時の遮炎効果は期待できるが、それ自体の強度が低いため、人や物が頻繁に接触する壁等に使用した場合には破損し易く、このため使用部位が天井等の非接触部位に限定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来より、建築物の耐火構造として、天井板や壁板等の面材の耐火性能を高めることによって、鉄骨構造躯体を火災の加熱から保護したり、面材が燃え抜けて火災が拡大することを抑制するようにしたものがあるが、上記の石膏ボードやロックウール吸音板の耐火性能を向上させようとする場合、幾重にも重ね合わせたり、或いは厚みを十分に厚くするといった方法が採られており、施工性が悪かったり、材料費の高騰を招いていた。
【0004】
本発明は、上記に鑑み、安価にしかも施工性を損なうことなく面材の耐火性能を向上させることができる面材の補強構造の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、天井や壁等に用いる面材を固定するための複数の下地材が一定の間隔をあけて配され、これら下地材に跨って、耐火性能を有する複数の薄い金属板が重ね代を取って張り付けられており、前記下地材とは反対側において、これら金属板に面材が重ね合わされて、面材側から打ち込むか又はねじ込んだ固定具で面材が金属板とともに下地材に固定され、前記下地材と金属板の重ね代が互いに交差するように配置されて、隣接する面材の目地部分が、前記下地材及び金属板の重ね代によって塞がれていることを特徴とする。
【0006】
特に、前記面材を、金属板の重ね代部分とともに前記下地材にビス止めすることによって、金属板同士を連結している。また、前記金属板は、厚さ60ミクロン程度の亜鉛鉄板箔から構成されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る天井板の補強構造の分解斜視図、図2は同じくその金属板の重ね代部分の縦断面図である。
【0008】
図において、(1)は天井裏に配された下地材としての角パイプ状の鋼製野縁であり、この鋼製野縁(1)は、一定の間隔をあけて水平方向に複数本配されている。そして、これら鋼製野縁(1)(1)…の下面間に跨って、接着剤や両面粘着テープ(3)(3)…により耐火性能を有する複数の金属板(4)(4)…が張り付けられている。
【0009】
これら金属板(4)(4)…は、ボードナイフ等で切断可能な厚さ60ミクロン程度の帯状の亜鉛鉄板箔からなり、重ね代(5)(5)…を取りながら鋼製野縁(1)方向に沿って順次張り付けられている。これにより、金属板(4)(4)…は、天井面全体に隙間なく連続した状態となっている。
【0010】
(6)は、面材としての石膏ボード等からなる天井板である。これら天井板(6)(6)…は、金属板(4)(4)…に重ね合わせた状態で鋼製野縁(1)(1)…の下面に跨って順次配され、その下方から天井板(6)(6)に打ち込んだ固定具としてのビス(7)(7)…を、金属板(4)(4)…を貫通させて鋼製野縁(1)(1)…に螺合させることによって、天井板(6)(6)…が金属板(4)(4)…とともに鋼製野縁(1)(1)…に固定されている。
【0011】
この天井板(6)(6)…の固定に際して、図2に示すように、一部のビス(7)(7)…を金属板(4)(4)…の重ね代(5)(5)…部分に対応して打ち込むことで、天井板(6)(6)…を重ね代(5)(5)…部分とともに鋼製野縁(1)(1)…にビス止めするようしている。これにより、隣り合う金属板(4)(4)同士をビス(7)(7)…を介して互いに連結することができ、金属板(4)(4)…の取付強度を向上させることができる。
【0012】
また、隣接する天井板(6)(6)の短手方向の目地部分(8)を、鋼製野縁(1)に沿って配置することで、この目地部分(8)を金属板(4)とともに鋼製野縁(1)によっても塞ぐようにし、目地部分(8)からの炎の侵入を確実に防止するようにしている。
【0013】
さらに、隣接する天井板(6)(6)の長手方向の目地部分(9)を、金属板(4)(4)の重ね代(5)に沿って配置することで、この目地部分(9)を重ね代(5)すなわち2枚重ねの金属板(4)(4)によって塞ぐようにし、目地部分(9)からの炎の侵入を確実に防止するようにしている。なお、このようにして固定した天井板(6)(6)…の下面側すなわち表面側にも、金属板(4)(4)…を張り付けるようにしても良い。
【0014】
ここで、壁板の場合を例にとって、その裏面側のみ及び表裏面側の両方に金属板(4)を張り付けた場合の耐火性能について説明する。まず、図3に示すように、壁板(20)の裏面側にのみ金属板(4)を張り付けた場合には、表面側から火災加熱(21)を受けると、壁板(20)に亀裂が生じたり、壁板(20)の一部が脱落することがあるが、金属板(4)はビス(22)によって鋼製下地材(23)に固定されたまま脱落することがない。従って、壁板(20)の内側に炎が直接入り込むのを防止することができ、遮炎効果を発揮することができる。この場合、金属板(4)よりも内側に不燃性の断熱材(24)等を充填してある程度の遮熱効果を確保する。これは、天井板(6)の場合にも、同じことが言える。
【0015】
図4に示すように、壁板(20)の表裏面側の両方に金属板(4)(4)を張り付けた場合には、表面側から火災加熱(21)を受けても、表裏面側の金属板(4)(4)はともに亀裂が生じたり、脱落するようなことはないので、壁板(20)の脱落を金属板(4)(4)だけで確実に防止することができ、遮炎効果とともに壁板(20)の遮熱効果を有効に発揮させることができる。なお、天井板(6)の場合にも、同じことが言える。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、薄い金属板に重ね合わせた面材を、金属板とともに固定することによって、特にその遮炎効果を高めるようにしており、従来のように面材を幾重にも重ね合わせたり、厚みを十分に厚くすることなく、安価にしかも簡単に面材の耐火性能を向上させることができる。
【0017】
その上、金属板の重ね代部分に対応してビスを打ち込むようにすることで、金属板同士をビスを介して互いに連結することができ、金属板の取付強度を向上させることができ、耐火性能の信頼性を高めることができる。
【0018】
さらに、金属板を、厚さ60ミクロン程度の亜鉛鉄板箔から構成することによって、金属板の切断や加工を簡単に行うことことができ、施工性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る天井板の補強構造の分解斜視図である。
【図2】同じくその金属板の重ね代部分の縦断面図である。
【図3】壁板の裏面側にのみ金属板を張り付けたときの耐火性能を説明するための図である。
【図4】壁板の表裏面側の両方に金属板を張り付けたときの耐火性能を説明するための図である。
【符号の説明】
(1) 鋼製野縁
(4) 金属板
(5) 重ね代
(6) 天井板
(7) ビス
Claims (3)
- 天井や壁等に用いる面材を固定するための複数の下地材が一定の間隔をあけて配され、これら下地材に跨って、耐火性能を有する複数の薄い金属板が重ね代を取って張り付けられており、前記下地材とは反対側において、これら金属板に面材が重ね合わされて、面材側から打ち込むか又はねじ込んだ固定具で面材が金属板とともに下地材に固定され、前記下地材と金属板の重ね代が互いに交差するように配置されて、隣接する面材の目地部分が、前記下地材及び金属板の重ね代によって塞がれていることを特徴とする天井や壁等に用いる面材の補強構造。
- 前記面材を、金属板の重ね代部分とともに前記下地材にビス止めするようにした請求項1の天井や壁等に用いる面材の補強構造。
- 前記金属板は、厚さ60ミクロン程度の亜鉛鉄板箔からなる請求項1又は2記載の天井や壁等に用いる面材の補強構造。
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