JP5010078B2 - パルス・ドプラ超音波撮像において移動する血管上にサンプル空間を固定する方法及び装置 - Google Patents

パルス・ドプラ超音波撮像において移動する血管上にサンプル空間を固定する方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般的には、運動する超音波散乱体の撮像に関する。具体的には、本発明は、医療診断超音波撮像においてゲート又はサンプル空間(以下「サンプル・ゲート」と呼ぶ)を配置する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
優れた医療診断用超音波イメージング・システムには、広範な撮像モード・セットが必要である。これらのモードは臨床診断に用いられる主な撮像モードであり、タイムライン・ドプラ、カラー・フロー・ドプラ、Bモード及びMモードを含む。Bモードでは、これらの超音波イメージング・システムは、ピクセルの輝度がエコー反射の強度に基づいているような組織の2次元画像を作成する。代替的に、カラー・フロー撮像モードでは、体液(例えば血液)又は組織の運動を撮像することができる。ドプラ効果を用いた心臓及び血管での血流の測定は周知である。組織又は血液から後方散乱体の速度を測定するために、後方散乱した超音波の位相シフトを用いることができる。ドプラ・シフトを異なる色を用いて表示して、流れの速度及び方向を表わしてもよい。スペクトル・ドプラ撮像モードでは、これらのドプラ周波数シフトのパワー・スペクトルを算出して、速度−時間波形として視覚的に表示する。
【0003】
ドプラ超音波の主な利点の一つは、血管内の血流の非侵襲的且つ定量的な測定を可能にし得ることである。音波エネルギを与えるビームと流れ軸との間の角度(以下「ドプラ角」と呼ぶ)をθとすると、速度ベクトルの大きさを次の標準ドプラ方程式によって決定することができる。
【0004】
v=cfd/(2f0cosθ) (1)
ここで、cは血液内での音速であり、f0は送信周波数であり、fdは、後方散乱した超音波信号における運動に誘起されたドプラ周波数シフトである。
【0005】
従来の超音波スペクトル・ドプラ撮像では、操作者が、カラー・フロー・データを伴う2次元画像又は伴わない2次元画像においてサンプル・ゲートを測定位置へ手動で配置することが必要である。操作者はまた、検査対象の血管の直径に対するサンプル・ゲートの寸法を手動で調節する必要がある。多数回の送信ファイアリングにわたって取得された音波データから、ドプラ周波数スペクトル・データが標準的な高速フーリエ変換(FFT)スペクトル解析を介して取得される。
【0006】
血流スペクトル解析用のパルス・ドプラ・サンプル・ゲート(サンプル空間)の配置を誘導するために、2次元Bモード画像又はカラー(速度若しくはパワー)フロー画像を用いることができる。カラー・フローは通常、弱い流れ信号を比較的敏感に検出することができるため、比較的細い血管を撮像するのに用いられる。Bモード画像データを用いるかカラー・フロー画像データを用いるかによらず、選択された血管位置にドプラ・サンプル・ゲートを例えば10秒間にわたって維持して、信頼性のある診断波形指標(例えば、心収縮期対心拡張期比)計算を可能にできると望ましい。
【0007】
しかしながら、実際には、プローブの移動、並びに/又は心搏運動及び呼吸運動を含む患者の運動が存在するため、サンプル・ゲートを関心のある血管上に保持することはしばしば困難である。付随するアーティファクト又はデータの欠落を最小限に抑えるために、患者は数秒間にわたって呼吸を止めるようにしばしば求められるが、老年の患者又は疾患を持つ患者の一部にとっては困難な場合がある。超音波技師はまた、プローブを移動させることにより手動で血管の移動を追尾しようとすることもある。尚、カラー・フロー撮像が起動されている場合には、利用者は通例として、背景のBモード画像の解剖学的構造ではなく、移動するカラー付きの血管を追尾するのを望むことに留意されたい。しかしながら、実際には、プローブの移動又は患者の運動のため、腎臓のような器官においてカラー付きの血管の良好なパルス・ドプラ・サンプリングを得るのは依然として困難な課題となり得る。
【0008】
スペクトル・ドプラ法では、ドプラ・ビーム・カーソル(ビーム中心線)と血管配向(すなわち勾配)カーソルとの間の角度(すなわちドプラ角)を用いて、上述の式(1)に従ってドプラ周波数シフトを速度単位へ変換する。ドプラ角が血管の運動によって変化する場合には、正確な速度計算のためにドプラ角を更新する必要がある。
【0009】
米国特許第5,365,929号は、関心領域を走査するために多数のレンジ・ゲート及び多数のドプラ・ビームを利用することを記載している。多数のサンプル空間について全パワー又は最大速度のような何らかの信号特性を比較することにより、スキャナは自動的に、完全なスペクトル解析及び表示に最良のサンプル・ゲートを選択する。利用者にとっては、スキャナが、ドプラ信号が何らかの意味で最適となる位置へサンプル・ゲートを自動的に配置しているように見える。しかしながら、この方法の主な問題点は、多数のサンプル空間を順位付けするために行なわれる信号特性の定義にある。分かり易い選択肢は信号パワー又は速度であるが、例えば、利用者が、最強でもなく最高でもない速度信号を発生する血管の疾患部分を検査することを望む可能性は高い。また、複式ドプラ検査においては、カラー・データが利用可能でない。
【0010】
欧州特許出願第0842638 A2号は、Bモード画像において血管壁を追尾し、次いで、サンプル空間寸法を自動的に調節して、血管の全直径が常に確実に網羅されるようにして体積流を推定する方法を記載している。血管壁追尾はエッジ検出アルゴリズムに基づいており、このアルゴリズムは血管が比較的太く、明瞭に画定される壁を備えている場合には良好に作用し得るが、但し、フレームからフレームにかけて2つの壁の内側にサンプル空間の中心が留まっていることを条件とする。
【0011】
欧州特許出願第0985380 A1号は、血流情報又はカラー・フロー情報に基づくドプラ・サンプル・ゲートの自動的な配置方法を記載している。様々な特定の応用の中でも、サンプル・ゲートが最初に画像に出現したとき、或いはサンプル・ゲートが移動しているときに、サンプル・ゲート・カーソルを最適位置へ自動的に設定するのにこの方法を用いることができる。最適位置は、最大速度、最大の流れセグメントの中心点、又は次善の流れセグメントの中心点等を示すカラー・フロー・ピクセルによって画定することができる。換言すれば、この発明は、所与のカラー・フロー画像内で最適なドプラ・サンプリング位置の選択を行なうことに関わるものであって、フレームからフレームにかけて任意の所与の血管を追尾することに関わるものではない。
【0012】
移動する血管上にパルス・ドプラ・サンプル・ゲートを固定し、必要があればドプラ角を更新する自動的な方法が提供されれば、明らかに、ドプラ血流研究を促進し、且つ/又は検査速度を向上させることができよう。
【0013】
【発明の概要】
本発明は、組織又はプローブの移動中にBモード画像又はカラー・フロー画像において予め選択されている血管位置にドプラ・サンプル・ゲートを自動的に保持する方法及び装置に関する。本発明の目標は、血管位置が変化したときに自動的にサンプル・ゲートを選択された血管上に固定することにある。選択により、血管位置が変化したときに血管勾配カーソルを自動的に更新する。本方法は、連続したフレームからの画像のパターン・マッチングを採用して、一つのフレームから次のフレームにかけて画像フレーム内の血管がどれだけ並進し回転したかを決定する。
【0014】
本発明の一つの好適実施形態によれば、空間領域の撮像データに適用される相互相関法を用いて、画像フレーム間での物体の相対的な並進及び/又は回転を決定する。もう一つの実施形態によれば、周波数領域(すなわちフーリエ領域)の撮像データにマッチド・フィルタ処理法を適用して、画像フレーム間での物体の相対的な並進及び/又は回転を決定する。さらに他の好適実施形態によれば、空間領域法と周波数領域法とを組み合わせることにより画像位置合わせ(registration)を行なう。例えば、先ず一方の方法を用いてスケーリング及び回転位置合わせを行ない、次いで、他方の方法を用いてx−y並進オフセットを求めることにより画像位置合わせを行なう。
【0015】
パターン・マッチング法であるため、本発明は、明瞭な組織構造を示すBモード画像データ、Bモード・フロー画像及びカラー・フロー画像について良好に作用する。Bモード画像では明瞭に現われない比較的細い血管(例えば腹部の血管)についてはカラー・フローを利用すると好ましい。カラー・フローを利用するもう一つの利点は、カラー・フローを直接的に血管セグメント化に用いて、パターン・マッチング演算用の二値(フロー又は非フロー)画像を与えることができる点である。
【0016】
【好適実施形態の詳細な説明】
本発明の好適実施形態によるソフトウェアでプログラムされた超音波イメージング・システムを図1に全体的に示す。データの主経路は、トランスデューサ2からビームフォーマ・ボード4へのアナログRF入力で開始する。ビームフォーマ・ボード4は、送信ビーム形成(ビームフォーミング)及び受信ビーム形成を受け持つ。ビームフォーマの信号入力は、トランスデューサ素子からの低レベルのアナログRF信号である。ビームフォーマ・ボード4は、ビームフォーマ、復調器及びフィルタを含んでおり、取得されたデータ・サンプルから形成されるI及びQの2つの加算されたディジタル・ベースバンド受信ビームを出力する。これらのデータ・サンプルは、送信されたビームのそれぞれの焦点ゾーンから反射した超音波から導き出されている。I及びQのデータは、送信波形の基本周波数f0を中心とする周波数帯域又は基本周波数の高調波(若しくは低調波)周波数を通過させるフィルタ係数でプログラムされているFIRフィルタへ送られる。
【0017】
フィルタから出力された画像データは、中間プロセッサ・サブシステムへ送られ、ここで、取得モードに従って処理されて、処理済ベクトル・データとして出力される。典型的には、中間プロセッサ・サブシステムは、カラー・フロー・プロセッサ6と、Bモード・プロセッサ8と、スペクトル・ドプラ・プロセッサ10とを含んでいる。代替的には、ディジタル信号プロセッサ又はかかるプロセッサから成るアレイが、3つすべてのモードで信号を処理するようにプログラムされていてもよい。
【0018】
Bモード・プロセッサ8は、ビームフォーマ・ボード4からのI及びQのベースバンド・データを対数圧縮された形態の信号包絡線へ変換する。Bモード機能は、信号の包絡線の時間変化する振幅をグレイ・スケールとして画像化するものである。ベースバンド信号の包絡線は、I及びQが表わすベクトルの大きさである。I及びQの位相角は、Bモード表示には用いられない。信号の大きさは、これら直交する成分の平方和の平方根であり、すなわち(I2+Q21/2である。Bモード強度データは、スキャン・コンバータ12内のBモード音線メモリ(図示されていない)へ出力される。
【0019】
スキャン・コンバータ12は、処理済のBモード・ベクトル・データを受け取って、必要に応じて補間すると共に、このデータをビデオ表示用のXYフォーマットへ変換する。走査変換(スキャン・コンバート)されたフレームはビデオ・プロセッサ14へ渡され、ビデオ・プロセッサ14はビデオ・データをビデオ表示用のグレイ・スケール・マッピングへ写像(マッピング)する。従来の超音波イメージング・システムは典型的には、生の画像データの単純な伝達関数である多様なグレイ・マップを用いてグレイ・レベルを表示する。次いで、これらのグレイ・スケール画像フレームを表示モニタ16へ送って表示する。
【0020】
モニタ16によって表示されるBモード画像は、画像フレームを成すデータから形成されており、画像フレームにおいては、各々のデータが表示におけるそれぞれのピクセルの強度又は輝度を示している。1つの画像フレームは、例えば400×500のデータ配列を含み、各々の強度データは、ピクセル輝度を示す8ビットの二進数である。各々のピクセルは、呼び掛けを行なった超音波パルスに応答したそれぞれのサンプル空間の後方散乱体断面積と、用いられているグレイ・マップとの関数である強度値を有している。表示画像は、被写体を通る平面内での組織及び/又は血流を表わしている。
【0021】
撮像平面内での血液速度の実時間2次元画像を形成するためには、カラー・フロー・プロセッサ6が用いられる。血管及び心空間等の内部から反射した音波の周波数は血球の速度に比例してシフトし、トランスデューサへ近付く血球では正にシフトし、遠ざかる血球では負にシフトする。血液速度は、特定のレンジ・ゲートにおいてファイアリングからファイアリングにかけての位相シフトを測定することにより算出される。画像内で1つのレンジ・ゲートにおいてドプラ・スペクトルを測定する代替としては、多数のベクトル位置及び各々のベクトルに沿った多数のレンジ・ゲートから平均血液速度を算出し、この情報から2次元画像を形成する。カラー・フロー・プロセッサ6は、ビームフォーマ・ボード4から左右を加算した複素I/Qデータを受け取り、このデータを処理して、操作者が画定した領域内のすべてのサンプル空間について平均血液速度、分散(血液の乱流を表わす)及び全予備正規化パワーを算出する。次いで、これら3つの出力値を組み合わせて、1つの主出力及び1つの副出力の2つの最終出力とする。主出力は、速度又はパワーのいずれかとなる。副出力は、分散又はパワーのいずれであってもよい。どの2つの値を表示するかは、操作者が選択する表示モードによって決定される。両方の値が、スキャン・コンバータ12内のカラー音線メモリ(図示されていない)へ送られる。血液がトランスデューサに近付いて流れてくるときには後方散乱した周波数の変化又はシフトは増大し、血液がトランスデューサから遠ざかって流れていくときには減少する。典型的には、カラー・フロー・モードは、何百もの隣接したサンプル空間のすべてをBモード画像に重ね合わせ、色符号化して同時に表示し、各々のサンプル空間の速度を表現する。
【0022】
従来の超音波イメージング・システムのカラー・フロー・モードでは、超音波トランスデューサ・アレイが起動されて、一連のマルチ・サイクル(典型的には、4サイクル〜8サイクル)のトーン・バーストを送信する。これらのトーン・バーストは、同じ送信特性で同じ送信焦点位置に集束されている。これらのトーン・バーストは、一定のパルス繰り返し周波数(PRF)でファイアリングされる。PRFは典型的には、キロヘルツ・レンジにある。同じ送信焦点位置に集束されている一連の送信ファイアリングを「パケット(packet)」と呼ぶ。各々の送信ビームは、走査されている物体を通して伝播し、血球のような超音波散乱体によって反射される。反射信号は、トランスデューサ・アレイの各素子によって検出された後に、ビームフォーマによって受信ビームとして形成される。
【0023】
例えば、従来のカラー・ファイアリング系列は同じ位置に沿った一連のファイアリング(例えばトーン・バースト)であり、各ファイアリングがそれぞれの受信信号
1234 ... FM
を発生する。ここで、Fiはi番目のファイアリングについての受信信号であり、Mは1パケット内のファイアリング数である。これらの受信信号は、コーナ・ターナ・メモリ(corner turner memory)にロードされ、高域通過フィルタ(ウォール・フィルタ)が、各ファイアリングに跨がって各々の下降レンジ位置に対して適用され、すなわち「スロー・タイム(slow time)」で適用される。(1,−1)のウォール・フィルタという最も単純な例では、各々のレンジ点がフィルタ処理されて、それぞれの差信号
(F1−F2) (F2−F3) (F3−F4) ... (FM-1−FM
を発生し、これらの差がカラー・フロー速度推定器へ入力される。典型的には、コーナ・ターナ・メモリ、ウォール・フィルタ及びパラメータ(例えば速度)推定器は、カラー・フロー・プロセッサ6内に組み込まれている。
【0024】
スキャン・コンバータ12内のカラー音線メモリ及びBモード音線メモリはそれぞれ、カラー・フロー・プロセッサ及びBモード・プロセッサから処理済のディジタル・データを受け取る。スキャン・コンバータのこれらの構成要素はまた、カラー・フロー・データ及びBモード・データの極座標(R−θ)セクタ・フォーマット又はデカルト座標リニア・フォーマットから適当にスケーリングされたデカルト座標の表示ピクセル・データへの座標変換を行なって、変換後のデータはスキャン・コンバータ内のXY表示メモリ(図示されていない)に記憶される。カラー・フロー画像は、移動する血液等の物質の速度のカラー画像を白黒の解剖学的Bモード画像の上にスーパインポーズ(重ね合わせ表示)することにより形成される。
【0025】
表示したい画像が1つのBモード・フレームと1つのカラー・フロー・フレームとの組み合わせである場合には、両方のフレームをビデオ・プロセッサ14へ渡すと、ビデオ・プロセッサ14はBモード・データをグレイ・マップへ写像すると共にカラー・フロー・データをカラー・マップへ写像してビデオ表示する。最終的な表示画像では、カラーのピクセル・データがグレイ・スケールのピクセル・データの上にスーパインポーズされる。カラー・フロー・データ及び/又はBモード・データの連続したフレームは、先入れ先出し方式でシネ・メモリ24に記憶される。記憶は連続的であってもよいし、或いは外部のトリガ事象の結果として生じてもよい。シネ・メモリ24は、バックグラウンドで稼働する循環的な画像バッファ様のものであり、画像データを取り込んで、利用者に対して実時間で表示する。利用者が(操作者インタフェイス22上の適当な装置の操作によって)システムをフリーズさせると、利用者は、シネ・メモリに以前に取り込まれている画像データを観察することができるようになる。
【0026】
スペクトル・ドプラ撮像では、I及びQの各成分は、特定の時間区間にわたって積分(加算)された後に、スペクトル・ドプラ・プロセッサ10によってサンプリングされる。加算区間及び送信バースト長は併せて、利用者によって指定されるサンプル空間(すなわちサンプル・ゲート)の長さを画定する。「サム・アンド・ダンプ(sum and dump)」演算によれば、サンプル空間から後方散乱したドプラ信号を効率的に得ることができる。ドプラ信号は、静止した組織又は極めて低速で運動する組織に対応する信号内のあらゆるクラッタを除去するウォール・フィルタを通過する。次いで、フィルタ処理後の出力は、スペクトル解析器へ供給され、解析器は典型的には、32乃至128のサンプルの移動式時間ウィンドウにわたって高速フーリエ変換(FFT)を行なう。各々のFFTパワー・スペクトルは圧縮された後に、スペクトル・ドプラ・プロセッサ10によって図形/タイムライン表示メモリ18へ出力される。ビデオ・プロセッサ14は、圧縮されたスペクトル・ドプラ・データを、ドプラ速度(周波数)対時間のスペクトログラムにおける特定の時間点での単一のスペクトル線としてモニタ16に表示するためのグレイ・スケールへ写像する。
【0027】
システム制御は、ホスト・コンピュータ(すなわちマスタ・コントローラ)20に集中化されており、ホスト・コンピュータ20は、操作者インタフェイス22(例えば制御パネル)を介して操作者の入力を受け取って、様々なサブシステムを制御する。ホスト・コンピュータ20は、システム・レベルの制御作用を実行する。ホスト・コンピュータ20は、操作者インタフェイス22を介して操作者からの入力と共にシステム状態の変更(例えばモード変更)を受け取り、適当なシステム変更を行なう。システム制御バス(図示されていない)が、ホスト・コンピュータから各サブシステムへのインタフェイスを提供している。スキャン・コントローラ(図示されていない)が、様々なサブシステムへ実時間(音波ベクトル・レート)の制御入力を供給する。スキャン・コントローラは、音波フレーム取得用のベクトル系列及び同期の選択肢に従ってホスト・コンピュータによってプログラムされている。このようにして、スキャン・コントローラは、ビーム分布及びビーム密度を制御する。スキャン・コントローラは、ホスト・コンピュータによって定義されたこれらのビーム・パラメータを走査制御バス(図示されていない)を介して各サブシステムへ伝達する。
【0028】
従来のシステムは、任意の超音波画像上に図形記号をスーパインポーズする能力を有している。画像フレーム上への図形のスーパインポーズは、ビデオ・プロセッサ14において達成され、ビデオ・プロセッサ14は、スキャン・コンバータ12内のXY表示メモリから超音波画像フレームを、また図形/タイムライン表示メモリ18から図形データを受け取る。図形データは、ホスト・コンピュータ20によって、又は代替的にはホスト・コンピュータによって他のサブシステムに同期させられている専用の図形プロセッサによって、処理されて、図形/タイムライン表示メモリ18へ入力される。ホスト・コンピュータは、操作者インタフェイス上でシステム操作者によって操作されるトラックボールの位置を監視し、トラックボールの位置によって決定されるサンプル空間からスペクトル・ドプラ撮像データを取得して、トラックボールの位置に対応する位置で表示画像フレームにサンプル・ゲート・カーソルをスーパインポーズするようにプログラムされている。同様に、ホスト・コンピュータは、操作者インタフェイス上のトグル・スイッチの状態を監視して、トグル・スイッチの状態の関数としてサンプル空間(及びサンプル・ゲート・カーソル)の寸法を制御するようにプログラムされている。
【0029】
図2は、図1に示すシステムによって生成される画像フレーム32を示している。フレーム32に示す画像例は、従来の図形をスーパインポーズした状態での血管の視覚表現30を含む。表示される図形には、ドプラ・ビーム・カーソル(ビーム中心線)26、血管勾配カーソル28、及びサンプル・ゲート頂部図形36とサンプル・ゲート底部図形34とから成るドプラ・サンプル・ゲート(サンプル空間)カーソルがある。後者の形式のサンプル・ゲート・カーソルでは、サンプル・ゲートの寸法は、図2の底部図形34と頂部図形36とを離隔する距離によって表わされる。但し、サンプル・ゲート・カーソルが異なる幾何形状を有していてもよく、この場合には、サンプル・ゲートの寸法がかかる図形の一つの寸法、例えば、カーソルが円形である場合には直径に対応していてもよいことを当業者は容易に理解されよう。画像32においてドプラ・ビーム・カーソル26と、血管30上の血管勾配カーソル28との間のドプラ角の推定値を用いて、前述の式(1)に従ってドプラ周波数シフトを速度単位へ変換する。通常、図形と共にドプラ角の値が表示される。
【0030】
本発明の好適実施形態によれば、空間領域での相互相関法及び/又は周波数領域でのマッチド・フィルタ処理法を用いて、移動する血管の中心にサンプル・ゲートの位置を自動的に固定する。図3に、この血管追尾アルゴリズムの基本的な工程が示されており、以下で詳細に説明する。
【0031】
先ず、Bモード画像又はカラー・フロー画像において、血管内の関心のある部位にサンプル・ゲート・カーソルを配置する(例えばトラックボール制御によって。ステップ38)。次いで、カレントの画像フレームを画像メモリから取得する(ステップ40)。カレントの画像フレームはスキャン・コンバータ(図1の参照番号12)内のXY表示メモリから読み込んでもよいし、或いはシネ・メモリ(図1の参照番号24)から読み込んでもよい。カレントの画像フレームがカラー・フロー(速度又はパワー)画像である場合には、RGBピクセル・フォーマット又は他のカラー・ピクセル・フォーマットを用いてよい。画像フレームよりも小さく、且つサンプル・ゲート位置を中心とするピクセル・データのカーネルが画像フレームから抽出されて解析される(ステップ42)。カーネルの寸法は、フレームからフレームにかけての血管の最大変位の推定値に基づいて予め画定されるので、この予め画定されるカーネル寸法は、画像の深さ及び/又はカラー・フロー・フレーム・レートの関数として変化し得る。
【0032】
画像がカラー・フロー・データを含んでいる場合には(ステップ44)、カラー・ピクセル・データの基準カーネルを先ず二値画像へ変換する(ステップ46)。すなわち、フロー(カラー)が存在している場合には各々のピクセルに値1を割り当て、フロー(カラー)が存在してない場合には値0を割り当てる。選択により、二値化されたカーネルに、モルフォロジ・フィルタ処理を1回以上にわたって施すと(ステップ48)、存在している可能性のある微小構造のカラー雑音の殆どが封止される。一般的には、アダプティブ式閾値処理を施した後の二値化された画像は、微小な孤立した多数の構造から成っており雑音が極めて多い場合がある。これらの微小構造(殆どの場合、スペックル雑音)は、非線形画像変換法であるモルフォロジ・フィルタを用いることにより除去することができる。モルフォロジ・フィルタはディジタル画像処理の多くの教科書に教示されている(例えば、ニューヨーク、Wiley社刊、William K. Pratt著、“Digital Image Processing”、第2版を参照されたい。)。基本的なモルフォロジ演算は、直接パターン・マッチング(「当たり又は外れ(hit or miss)」変換によって具現化されたり、或いはさらに効率的なピクセル・スタッカ及びルックアップ・テーブル法を用いることにより具現化されたりする。収縮(erosion)及び膨張(dilation)が基本的な二つのモルフォロジ演算の代表であり、これらの演算を連続して用いると、スペックル雑音構造を封止するのに極めて実効的である。基本的に、収縮フィルタの各回の通過毎に、連続した明るい(「1」)領域の最外周のピクセル層が剥離する。この作用は、スペックル雑音のような無関係な明るい小構造を封止するのに役立つ。収縮演算はまた、あらゆる血流領域の最外周層も収縮させる。この望ましくない効果を相殺するために、収縮フィルタの各回の通過の後に膨張と呼ばれる逆演算を適用する。膨張フィルタの効果は、存在する明るい物体にピクセル層を加え戻すことにある。収縮フィルタ処理によって完全に封止された(最早存在しない)スペックル雑音の空隙が膨張フィルタによって再現することはない。実際には、収縮フィルタを1回通過させた後に膨張フィルタを通過させると、スペックル雑音構造の大半を除去することができる。しかしながら、必要があれば、収縮及び膨張を更なる回数にわたって実行してもよい。
【0033】
カラー・フロー・カーネルを二値化した後に、メモリから次のカラー・フロー画像フレームを検索する(ステップ50)。カラー・フロー画像を用いる場合には(ステップ52)、新たな画像フレーム内で予め画定されている探索領域を二値化して(ステップ54)、前述の手法を用いてモルフォロジ・フィルタ処理を施す(ステップ56)。次いで、空間的相互相関(若しくはマッチド・フィルタ処理、又はこれらの組み合わせ)を実行して(ステップ58)、第一のフレームの基準カーネルを第二の(新たな)フレームの探索領域内で位置合わせする。第二のフレームの探索領域内に位置の合ったカーネルが見つかった場合には(ステップ60)、オフセットから導き出された並進オフセット及び回転オフセットを適用して、新たな血管位置、例えば新たな血管中心位置を予測し或いは推定し、新たな血管位置にある血管上の所定の点に対して所定の関係を有する新たな位置へサンプル・ゲートを自動的に移動させる(ステップ62)。例えば、サンプル・ゲートを新たな血管位置にある血管の中心に配置することができる。表示画面上のサンプル・ゲート・カーソルは、表示されている画像フレーム上の対応する新たな位置へ移動する。選択により、新たな血管位置の関数として血管勾配及びドプラ角を計算し直して、更新された血管勾配カーソルを表示する(ステップ64)。関心のある血管が画像平面の外部に移動して一致する構造を見出せない程になった場合には、コンピュータはステップ50に戻って、このステップからアルゴリズムを続行する。(この場合には、超音波技師がプローブを操作して血管を画像平面に戻してもよいし、或いは心搏周期内の相対的に遅い時刻に血管が再び自然に現われる場合もある。)サンプル・ゲート位置が更新された後に、元のカーネルを基準カーネルに留めてもよいし、或いは新たな血管位置の周囲のカーネルが新たな基準カーネルとなる(ステップ66)。次いで、コンピュータはステップ50へ戻る。
【0034】
他方、コンピュータがステップ44において、取得した第一の画像フレームにカラー・フロー・データが存在しないと決定した場合には、ステップ50において次のBモード画像フレームを取得する。次いで、検索されたBモード画像フレームに対して、相互相関法若しくはマッチドフィルタ処理法、又はこれらの組み合わせのいずれかを用いて画像位置合わせ手順(ステップ52)を施す。画像位置合わせは、第一のフレームからのピクセル・データの基準カーネル、及び第二のフレームからのピクセル・データの探索領域に対して実行される。第二のフレームの探索領域内に位置の合ったカーネルが見つかった場合には(ステップ60)、オフセットから導き出された並進オフセット及び回転オフセットを適用して、新たな血管位置、例えば新たな血管中心位置を予測し或いは推定し、サンプル・ゲートを新たな血管位置へ自動的に移動させる(ステップ62)。表示画面上のサンプル・ゲート・カーソルは、表示されている画像フレーム上の対応する新たな位置へ移動する。選択により、新たな血管位置の関数として血管勾配及びドプラ角を計算し直して、更新された血管勾配カーソルを表示する(ステップ64)。
【0035】
ステップ42に関して述べると、基準カーネルを画定するために様々な方法を用いることができる。並進運動が存在していない場合であっても、血管の直径は心搏周期にわたって5%強だけ変化する可能性がある。計算時間を最短に抑え且つ選択された構造についての相関又は一致度を最大限に高めるために、カーネル寸法は、血管直径が最大となったときの血管構造を丁度網羅するものとなるように選択すべきである。血管の寸法(例えば直径)は、超音波画像用の標準的なエッジ検出法を用いて推定することができる。また、カーネル寸法を様々な雑音条件及び血管構造の下でアダプティブ方式で変化させることもできる。一般的には、画像の雑音が多くなるほど、カーネルを大きくしなければならない。カーネル寸法を大きくする代償は、計算経費が高くなり、且つ/又は細い血管に対する感度が低下することである。
【0036】
ステップ58について述べると、画像位置合わせの様々な周知の方法を用いることができる。空間領域におけるフレーム間相関については、「SAD(Sum of Absolute Differences)」と呼ばれる計算効率のよいアルゴリズムが、IEEE Trans. Biomedical Engineering誌、第BME−34巻、第965頁〜第967頁(1987年)のTrahey等の論文“Angle independent ultrasonic detection of blood flow”によって教示されている。もう一つの実効的な方法は、周波数領域(フーリエ領域)における位相単独(phase-only)マッチド・フィルタ処理法であり、これについては後に詳述する。この方法は、非剛性変換が関わっている場合に特に効率的である。
【0037】
空間領域法と周波数領域法とを組み合わせることにより画像位置合わせを行なうことも可能である。SAD法は並進オフセットを求める場合には相対的に高速であるかも知れないが、心搏周期の下で血管の直径が変化する場合のように画像フレームがスケール変化を伴っている場合には比較的実効的でない。一方、位相単独マッチド・フィルタは、スケーリング変換及び回転変換の両方を取り扱う場合に相対的に実効的であり得る。先ず位相単独マッチド・フィルタ位置合わせ法を用いてスケーリング及び回転位置合わせを行ない、次いで、SADアルゴリズムを用いてX−Y並進オフセットを求めることによる複合的な方法であれば、両方の方法から利点を得ることができる。
【0038】
図4を参照して述べると、位相単独マッチド・フィルタ処理を用いた公知の画像位置合わせアルゴリズムが以下のステップを含んでいる。メモリからカレントで検索された画像フレームをテスト画像g(x,y)として割り当てて、前回の画像フレームを基準画像f(x,y)として割り当てる。ここで、x及びyはピクセル座標である。選択により、テスト画像及び基準画像の両方をエッジ検出ブロック70に通す。テスト画像及び基準画像(又はエッジ検出後のこれらの変化形態)は、2次元高速フーリエ変換(FFT)72を用いて変換されるように送られる。結果は周波数領域表現を有する2つの画像G(u,v)及びF(u,v)となる。2次元FFT42の効率を高めるために、テスト画像データ及び基準画像データを結合してもよい(「偶数位置−奇数位置」分離として)。データはすべて実数であるので、テスト画像データ及び基準画像データの両方を変換するために1回の2次元FFTしか必要でない。2次元FFT72の後には、大きさ及び位相を有する複素データが生成されており、ここでテスト画像データ及び基準画像データを分離する。ステップ74において、テスト画像及び基準画像の両方のスペクトルの大きさ(すなわち絶対値)が極形式で対数変換されて、gp1(θ,λ)及びfp1(θ,λ)という画像表現となる。ここで、θは周波数領域における極座標系の角度であり、λ=log(ρ)であり、ρは周波数領域における極座標系の半径距離である。ステップ74の極形式対数変換の後に、テスト画像及び基準画像の極形式対数表現gp1(θ,λ)及びfp1(θ,λ)に対して2次元FFTを実行する(ステップ76)。ステップ76の複素数の結果をGp1(ξ,η)及びFp1(ξ,η)と表わすものとして、次いで、これらの結果に対してフーリエ位相マッチング・フィルタ78を作用させる。フィルタ78は、Gp1(ξ,η)及びFp1(ξ,η)から位相を抽出し、抽出された位相間の差を決定し、この位相差に対して2次元逆FFTを施し、2次元逆FFTの結果の最大値を求めて、最大値のx座標及びy座標すなわちxmax1及びymax1を決定する。検出された最大値の座標からスケーリング・パラメータ及び回転パラメータが決定され、すなわち回転角α=π(xmax1/Nx)及び
【0039】
【数1】
スケーリング係数σ=exp(ymax1/Ny
となる。ここで、Nx及びNyはそれぞれ、角度座標及び極座標に沿った再サンプル総数である。次いで、算出された回転パラメータα及びスケーリング・パラメータσに従って、周波数領域のテスト画像G(u,v)を角度−αだけ回転させると共にスケーリング係数σだけスケーリングする。アルゴリズムの速度を高めるために、本来の空間領域ではなく周波数領域においてテスト画像を再回転及び再スケーリングする。このことにより、高速のCPU又は専用の画像処理プロセッサを用いたとしても極めて経費の高い1回の2次元FFT計算が不要になる。ホスト・コンピュータ又は他の信号処理ユニットがこれらの回転演算及びスケーリング演算を実行する場合には、ホスト・コンピュータ又は他の信号処理ユニットは、双一次補間のような何らかの特定の補間法を用いてディジタル画像データをあらためてサンプリングする。次いで、下記の演算行列に従って回転及びスケーリングを実行する。
【0040】
【数2】
Figure 0005010078
【0041】
ここで、σはスケーリング係数であり、θは回転角である。サンプリング速度は回転の原点から遠い点については十分に高くなく、また回転の原点に近い点については過度に高い可能性が大きいという事実があるため、回転変換によってディジタル画像にエイリアシングが生ずる場合がある。この種のエイリアシングを防止する一つの方法は、回転及びスケーリング行列Tを連続した3つの演算に分離するものである。
【0042】
【数3】
Figure 0005010078
【0043】
ここで、Hx(−θ)はx軸に沿った横ずれ変換(shear transformation)であり、S(σcosθ,σsecθ)はx軸及びy軸の両方に沿ったスケーリングであり、Hy(θ)はy軸に沿った逆横ずれ変換である。このように、回転変換をx方向での横ずれ、x方向及びy方向の両方でのスケーリング、並びにy方向での逆横ずれという系列として表現することができる。これらの横ずれ及びスケーリング変換であればエイリアシングを導入することは一切ない。結果として、変換行列Tを3つの基本的な演算に分離することにより、エイリアシングを防止することができる。これらの演算は、アンチ・エイリアシング回転及びスケーリング・ブロック80(図4を参照)によって実行される。アンチ・エイリアシング回転及びスケーリング・ブロック80の出力は、テスト画像に回転及びスケーリングを施した後の周波数領域表現G′(u,v)となる。次いで、周波数領域表現F(u,v)及びG′(u,v)に対して、フーリエ位相マッチング・フィルタ82を作用させると、このフィルタ82はF(u,v)及びG′(u,v)から位相を抽出し、抽出された位相間の差を決定し、この位相差に対して2次元逆FFTを施し、2次元逆FFTの結果の最大値を求めた後に、最大値のx座標及びy座標すなわちxmax2及びymax2を決定する。検出された最大値の座標から並進パラメータが決定され、すなわちx軸オフセットxoffset=xmax2及びy軸オフセットyoffset=ymax2となる。
【0044】
連続した画像フレームの特徴に共通性が殆どない場合には(これは、操作者がプローブを過度に速く移動させたため一つのフレーム内の主要な解剖学的構造が以降のフレームに全く存在しなくなることにより生じ得る)、上述の方法は誤った回転パラメータ、スケーリング・パラメータ及び並進パラメータを与える。位置合わせの結果の正しさを評価し或いは予測するためには、ブロック82によって決定される位相差最大値を、位置合わせ精度閾値ブロック84(図4を参照)において所定の閾値、例えば0.05と比較する。最大値が閾値よりも小さい場合には、結果が正確でない可能性がある(図4においてNOと標示した出力によって示す。)。この場合には、カレントの位置合わせパラメータを用いるべきでないので、システムはカレントのフレームを無視して次のフレームを処理することになる。代替的には、システムは極形式対数変換における再サンプリング速度を高めて、位相差の最大値が所定の閾値を上回るまでカレントのフレームに対してアルゴリズムを繰り返すことができる。
【0045】
閾値を上回った場合には、(図4においてYESと標示した出力によって示す)、ホスト・コンピュータ又は専用プロセッサは、算出されたパラメータに従ってサンプル・ゲート・カーソルを移動させて、新たな血管位置にサンプル・ゲート・カーソルを固定する。明確に述べると、位置合わせから導き出された並進オフセット及び回転オフセットを適用して新たな血管位置を予測する。次いで、サンプル・ゲート・カーソルを新たな血管位置へ移動させる。図4に示す処理全体をメモリから検索された各々の新たな画像フレーム毎に繰り返すと、移動する血管上にサンプル・ゲート・カーソルを自動的に固定することが可能になる。
【0046】
好適実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、発明の範囲から逸脱せずに本発明の構成要素に様々な変形を施し、また本発明の構成要素を均等構成で置換し得ることが理解されよう。加えて、発明の本質的な範囲から逸脱せずに特定の状況を本発明の教示に合わせる多くの改変を施してもよい。従って、本発明は、本発明を実施するのに想到される最良の態様として開示されている特定の実施形態に限定されている訳ではなく、特許請求の範囲内に含まれるすべての実施形態を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施形態によるソフトウェアでプログラムすることのできる典型的な超音波イメージング・システムのブロック図を示す概略図である。
【図2】サンプル・ゲート図形、ドプラ・ビーム・カーソル及び血管勾配カーソルをスーパインポーズした状態での血管の一部の超音波画像を示す概略図である。
【図3】本発明の好適実施形態に従って、移動する血管上にパルス・ドプラ・サンプル・ゲートを自動的に固定するアルゴリズムの工程を示す流れ図である。
【図4】位相単独マッチド・フィルタ処理を用いた画像位置合わせアルゴリズムの工程を示す流れ図である。
【符号の説明】
2 トランスデューサ
26 ドプラ・ビーム・カーソル
28 血管勾配カーソル
30 血管
32 画像フレーム
34 レンジ・ゲート底部図形
36 レンジ・ゲート頂部図形

Claims (10)

  1. 試験被検体の血管セグメント上にサンプル・ゲートを固定する方法であって、(a) 前記試験被検体から、該試験被検体の前記血管セグメント画像を表わす画像ピクセル値を各々が第一及び第二の画像フレームを取得する工程と、
    (b) 前記第一の画像フレームと第二の画像フレームとの間での前記血管セグメントの相対的な並進及び相対的な回転を決定するように前記第一及び第二の画像フレームを処理する工程と、
    (c) 前記相対的な並進及び前記相対的な回転の関数として前記血管セグメントの新たな位置を推定する工程と、
    (d) 該推定された新たな位置にある前記血管セグメント内の所定の点に対して所定の位置関係を有する位置へスペクトル・ドプラ・サンプル・ゲートを移動させる工程とを備え
    前記処理する工程が、
    (b1)エッジ検出法を用いて前記血管セグメントの寸法を推定する工程と、
    (b2)前記血管セグメントの寸法を網羅するカーネル寸法を特定する工程と、
    (b3)前記第一の画像フレームから前記カーネル寸法におけるカーネルを抽出する工程と、
    (b4)前記第二の画像フレームから前記カーネルに対応する探索領域を抽出する工程と、
    (b5)前記カーネル内の前記画像ピクセル値に一致する画像ピクセル値の集合を前記探索領域において探索する工程とを含んでいる、方法。
  2. 前記処理する工程は画像位置合わせの工程を含んでいる請求項1に記載の方法。
  3. 前記処理する工程は、周波数領域データにマッチド・フィルタ処理法を適用して、前記第一及び第二の画像フレーム間での物体の相対的な並進及び/又は回転を決定する工程を含む、請求項に記載の方法。
  4. 前記サンプル・ゲートの移動先である前記位置に従って前記血管セグメントに対して配置されるサンプル・ゲート図形を、前記第二の画像フレームから導き出された画像上にスーパインポーズして表示する工程をさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
  5. 試験被検体の血管セグメントを表わす画像ピクセル値を各々が第一及び第二の画像フレームを取得する工程と、
    該第一の画像フレームと第二の画像フレームとを比較する工程と、
    前記第一の画像フレームに対する前記第二の画像フレームの並進オフセット及び回転オフセットを決定する工程と、
    該オフセットに基づいて、前記第二の画像フレームが取得された時刻での前記血管セグメントの位置を推定する工程と、
    前記血管セグメントの前記推定された位置の関数として配置されるサンプル・ゲートにおけるスペクトル・ドプラ撮像データを取得する工程と
    を実行するようにプログラムされているコンピュータ(20)を備え
    前記比較する工程が、
    (b1)エッジ検出法を用いて前記血管セグメントの寸法を推定する工程と、
    (b2)前記血管セグメントの寸法を網羅するカーネル寸法を特定する工程と、
    (b3)前記第一の画像フレームから前記カーネル寸法におけるカーネルを抽出する工程と、
    (b4)前記第二の画像フレームから前記カーネルに対応する探索領域を抽出する工程と、
    (b5)前記カーネル内の前記画像ピクセル値に一致する画像ピクセル値の集合を前記探索領域において探索する工程とを含んでいる、超音波イメージング・システム。
  6. 多数のピクセルを含んでいる表示装置(16)と、前記第一及び第二の画像フレームを記憶するメモリ(24)と、
    をさらに備える請求項5に記載のシステム。
  7. 前記コンピュータは、前記決定された位置に従って前記血管セグメントに対して配置されるサンプル・ゲート図形を、前記画像上にスーパインポーズして表示するように前記表示装置を制御する工程を実行するようにさらにプログラムされている請求項5に記載のシステム。
  8. 前記第一の画像フレームと第二の画像フレームとを比較する工程は、空間領域での相互相関法を適用する工程を含む請求項5に記載のシステム。
  9. 前記第一の画像フレームと第二の画像フレームとを比較する工程は、周波数領域データにマッチド・フィルタ処理法を適用する工程を含む、とを含んでいる請求項5に記載のシステム。
  10. 多数のトランスデューサ素子を含んでいる超音波トランスデューサ・アレイ(2)と、走査平面内に一連の超音波送信ビームを送信するように、選択されたトランスデューサ素子をパルス駆動する送信ビームフォーマ(4)と、前記トランスデューサ・アレイの選択されたトランスデューサ素子に結合されており、それぞれのビーム送信に続いてそれぞれの受信信号を取得する受信ビームフォーマ(4)と、前記受信信号から前記サンプル・ゲートに対応するスペクトル・ドプラ・データを導き出すスペクトル・ドプラ・プロセッサ(10)とをさらに含んでいる請求項5に記載のシステム。
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