JP5008595B2 - 表示バンド用積層体および表示バンド - Google Patents

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Description

本発明は表示バンド用積層体等に関し、さらに詳しくは、表面に個別情報の印字が可能で、医療機関、娯楽施設等で個人識別用として手首、足首等へ取り付けられる、安価で軽量、印字走行性が良好な表示バンド用積層体および表示バンドに関するものである。
近年、医療機関、娯楽施設等で個人を識別するために表示バンドが用いられるようになってきている。特に最近では、医療機関などにおいて、医療事故防止のため、入院患者の情報を元に、個人識別用の情報をプリンタ印字し記録した表示バンドの需要が増加してきている。しかしながら、これまでの表示バンドにおいては、安価で軽量、印字走行性が良好な表示バンド用積層体が得られていなかった。
特許文献1には3層構成のリストバンドが提案されているが、部品点数が多く、生産工程も多いので、コスト的に高価であり、汎用性に欠けるものであった。
特許文献2には、人体への接触面の素材としてエチレンメタクリル酸共重合体を使用したリストバンドが提案されているが、エチレンメタクリル酸共重合体はその分子鎖中にカルボキシル基を含んでいるため、プリンタによる印字に伴って金属等への接着による走行不良の懸念があり、問題のあるものであった。
特開2003−164307号公報 特開2007−176033号公報
本発明は、表面に個別情報の印字が可能で、医療機関、娯楽施設等で個人識別用として手首、足首等へ取り付けられる、安価で軽量、印字走行性が良好な表示バンド用積層体および表示バンドを得ることなどを本発明の目的とし、そのような課題の解決手段を提案するものである。
本発明は、上記課題を解決するために、少なくともプリンタ印字可能な表示面基材と人体に接する裏面基材を貼りあわせてなる積層体であって、裏面基材がエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなり、裏面基材の伸び率が700〜800%であり、かつ表示面基材の伸び率が120%以下であり、両基材の伸び率が(表示面基材の伸び率<裏面基材の伸び率)の関係にあることなどにより、上記課題を解決しうることを見いだし、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、
「1.少なくともプリンタ印字可能な表示面基材と人体に接する裏面基材を貼りあわせてなる積層体であって、裏面基材がエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなり、裏面基材の伸び率が700〜800%であり、かつ表示面基材の伸び率が120%以下であり、両基材の伸び率が(表示面基材の伸び率<裏面基材の伸び率)の関係にあることを特徴とする、表示バンド用積層体。
2.第1項に記載の表示バンド用積層体を短冊状に形成した表示バンド。」に関する。

上記表示バンド用積層体および表示バンドによれば、表面に個別情報の印字が可能で、医療機関、娯楽施設等で個人識別用として手首、足首等へ良好に取り付けられる、安価で軽量、印字走行性が良好な表示バンド用積層体等を得ることができる優れた効果を奏するものである。また、必要強度を備えつつ、不要になった際には比較的容易に破断し廃棄することができるなど、優れた効果を奏するものである。
本発明の表示バンド用積層体は、少なくともプリンタ印字可能な表示面基材と人体に接する裏面基材を貼りあわせてなる積層体であって、両基材の伸び率が(表示面基材の伸び率<裏面基材の伸び率)の関係にあることを特徴とする。
表示バンド用積層体の製造にあたっては、長手方向にテンションをかけながら複層構造を接着していくが、その際、伸び率の違いによりテンションを解除した後の積層体に素材ごとの復元力がかかる。その結果、得られた表示バンド用積層体にカール加工をすることができる。すなわち、表示面基材と裏面基材の伸び率が(表示面基材の伸び率<裏面基材の伸び率)の関係にあると、良好なカール加工を施すことができるのである。
該カール加工によれば、自然な形態で人体に巻着することができるので、容易に装着することができ、好ましい形態となる。
また、本発明の表示バンド用積層体は、裏面基材の伸び率が00〜800%であることを特徴とする。この範囲にあれば、良好なカール加工を施すことはもちろんのこと、耐久性や、印字性能、さらには、不要になった際の破断性能などのバランスが良く、特に好ましい。さらに好ましくは750〜800%であれば最適である。なお、表示面基材の伸び率は120%以下が最適である。
伸び率は、JIS−K7113(2号試験片)により測定することができ、引張破壊呼びひずみや引張破壊ひずみという名称で表現されることもある。また、JIS−K7161(1BA形試験片)により比較測定することもできる。


本発明の表示バンド用積層体は、少なくとも、プリンタ印字可能な印字適正を備えた表示面基材と表示面基材より伸び率の高い裏面基材という2層構成にすることで製造工程を簡略化でき安価なものを作製することができる。
プリンタ印字可能な印字適正を備えた表示面基材としては、合成紙が好適に用いられる。合成紙には、ポリプロピレン(PP)系やポリエステル(PET)、あるいはポリスチレン(PS)系の材料があり、いずれも使用することができる。具体的には、PPと無機充填材を主原料とし、二軸延伸フィルム成型法によりミクロボイドを発生させながら成膜した「ユポ(商品名)」(王子油化合成紙株式会社)や、PPやPET、PSなどのフィルムをベースとし、表面に白色ピグメントを塗工し、多孔質構造でインキの吸収性に優れる「ピーチコート(商品名)」(日清紡績株式会社)などが挙げられる。その他の材料も印字特性等を備えていれば使用可能であるが、耐水性、装着性などの観点から合成紙が最適である。
裏面基材は、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体を使用するのが好ましい。エチレン−メタクリル酸メチル共重合体は、柔軟でプリンタ印字走行性が良好な表示バンド用積層体を作製するのに好適な材料である。特許文献2に挙げられたようなエチレン−メタクリル酸共重合体も柔軟な材料ではあるが、その分子鎖中にカルボキシル基を含んでいるため、プリンタによる印字に伴って金属等への接着による走行不良の懸念がある。一方、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体は、メチルエステルになっているため、カルボキシル基のような極性の影響による走行不良の懸念がなく、柔軟で印字走行性が良好なものを得ることができる。
人体に接する側の裏面基材が所定のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなる表示バンド用積層体という構成にすれば、該カール加工を容易に施すことが可能となるため、特に好ましい。
また、表示バンド用積層体は適度の破断強度を有するものが好ましい。基材の強度としては、高強度であれば好ましいが、不要となった際に、素手で基材を切り廃棄するニーズがあるので、その場合はあまり破断強度が高すぎると素手で切れないので問題となる。
そこで、本発明の裏面基材にエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を使用すると好ましく、さらにエチレン−メタクリル酸メチル共重合体におけるメタクリル酸メチルの含量が特定範囲であれば、より好ましい。具体的には、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体におけるメタクリル酸メチルの含量が10〜35%であると好ましく、15〜25%であるとより好ましく、20〜25%であるとさらに好ましい。コモノマー含量、すなわちメタクリル酸メチルの含量が増加すると、柔軟性が上がり、下がると引っ張り破壊応力が上がるが、この範囲であれば柔軟性と強度とのバランスが良く、より好ましい形態となる。
この範囲にあるエチレン−メタクリル酸メチル共重合体は、基材の伸びがよいので、使用時に誤って切れてしまうことを抑制することができる。一方、必要以上の強い力をかけた場合には破断し、人体から取り外すことができる。ちなみに、前記特許文献2に挙げられたようなエチレン−メタクリル酸共重合体は、その分子鎖中にカルボキシル基を含んでいるため、破断強度が高すぎ、プリンタ印字に都合のよい厚み等の条件でバンドを作製した場合には、通常の人間の力で引っ張った程度では破断するのが容易ではなく、人体から取り外す際に、人体を傷付けたり、刃物を使用しなければならないなどの煩わしさがあるものである。また、前記カール加工に関しても、この範囲のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体であれば、十分な伸びが期待でき、好ましい形態となる。
また、表示面基材および裏面基材の厚みがそれぞれ120μm以下、総厚が250μm以下であると、原材料の絶対量を押えられ安価にできるとともに全体的な柔軟性が向上する上、全体重量も軽減できるので、好ましい。なお、裏面基材には抗菌処理及びエンボス加工を施しても良い。
また、複層化にあたっては二種以上の材料を接着剤を用いて一体化する。接着剤は、耐水性があり肌に触れても影響がないものを使用するとよい。表示バンドは直接、人体に貼り付けるものではないが安全性の観点から医療用接着剤等の安全性の高いものを用いるのが好ましい。医療用接着剤には、一般に、アクリル系やウレタン系、あるいはゴム系、シリコン系、ビニルエーテル系の接着剤が用いられる。入浴の際に剥がれないような耐水性のある接着剤を用いることが好ましい。
また、表示面基材が密度1.0g/cm3以下の合成紙であることでも重量を軽減できる。最適なのは、PPと無機充填材を主原料とし、二軸延伸フィルム成型法によりミクロボイドを発生させながら成膜した「ユポ(商品名)」(王子油化合成紙株式会社)である。
表示バンド用積層体は、通常プリンタ印字しやすいように、図示したように表示バンドにガイド枠を設けた長尺形態となっている。表示バンドとして使用する際には、必要な情報をプリンタ印字後、不要なガイド部分を切除し、図示したような短冊状部材を人体に巻着した上で、係止手段により係止し、使用する。その際、図のように膨出部を設けた短冊状部材としてもよいし、膨出部のない形態としてもよい。また、係止にあたっては、別途適切な係止具を使用することもできる。
次に、表示バンド用積層体および表示バンドの使用方法について説明する。帯状にスリットされ、支管に巻回してある表示バンド用積層体を熱転写印字プリンタに通して所定事項の印字を行う。プリンタは、あらかじめ患者の氏名等の特定事項を入力しておき、バーコードや文字を所定のフォーマットでモノクロまたはカラー出力できるものが好ましい。入浴等の必要から耐水性の印字をするものであればなお好ましい。
印字した後、図2のように、表示バンド用積層体1から表示バンド2を抜き取り、手首などの人体の一部を囲むようにして、両端の穴位置を合わせ、係止具(図示せず)により係止する。この際、係止具を用いてもよいし、粘着剤等により係止してもよい。
表示バンド用積層体の製造方法について説明する。まず、表示面基材1−1および裏面基材1−3とを長手方向にテンションをかけながら接着剤1−2を用いて複層構造に接着する。裏面基材にはエンボス加工を施したものを用いると、肌触りがよく、蒸れないので好ましい。この際、伸び率の違いによりテンションを解除した後の積層体に素材ごとの復元力がかかり、表示バンド用積層体にカール加工をすることができる。
そして、表示バンド部分を抜き刃によりハーフカット加工し、容易に抜き取ることができるように加工する。印字の際には破断しないが、その後、容易に抜き取りできるように加工することが肝要である。
この点においても、裏面基材に上記所定のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を用いた表示バンド用積層体という構成にすれば、柔軟性と強度とのバランスが良く、該目的をより好適に達成することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
以下に、図を参照しながら、本発明の実施例を説明する。
表示面基材1−1としてPPと無機充填材を主原料とし、二軸延伸フィルム成型法によりミクロボイドを発生させながら成膜した、厚さ80μm、伸び率106%、密度0.77の「ユポ(商品名)」(王子油化合成紙株式会社)を、裏面基材1−3として、メタクリル酸メチル含量(MMA含量)20%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体ペレットを抗菌剤を練り込みつつ、押し出しラミネーションによりフィルム化した、厚さ90μm、伸び率720%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体フィルムを用い、長手方向にテンションをかけながら接着剤1−2を用いて複層構造に接着し、総厚225μmの表示バンド用積層体を得た。
この際、裏面基材1−3にはエンボス加工を施したものを用いた。
そして、係止穴を抜きつつ、表示バンド部分2を容易に抜き取ることができるように抜き刃によりハーフカット加工し、巻物にするためにスリット加工し図4のような巻物に整えた。
得られた表示バンド用積層体は、表裏素材の伸び率の違いにより、テンションを解除した後の積層体に素材ごとの復元力がかかり、表示バンド用積層体に適度なカール加工をすることができた。
その後、上記表示バンド用積層体を熱転写プリンタにかけ、必要な情報を印字した後、ハーフカット部分を抜き取り、本発明の表示バンドを得た。
この表示バンドを手首に巻き付け、係止具により容易に係止し、使用することができた。
実施例1の表示バンド用積層体は、適度にカール加工が施されており、柔軟性と強度とのバランスが良く、表面に個別情報の印字が可能で、医療機関、娯楽施設等で個人識別用として、違和感なく、手首、足首等へ良好に取り付けられる、安価で軽量、印字走行性が良好な表示バンド用積層体であった。
また、該カール加工がかかっていても、裏面基材1−3として所定のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体フィルムを用いたので、プリンタ印字の際の走行安定性がよいものであった。
また、ハーフカット部分は、印字の際には破断しないが、その後、容易に抜き取りできるように好適に加工されたものであった。
また、適度な破断強度に整えてあるので、不要になった際には手の力で破断させ、廃棄することができるものであった。
実施例2
実施例1の裏面基材1−3をエンボス加工のないものに変更した他は実施例1と同様にして、総厚180μmの表示バンド用積層体を完成した。
実施例3
実施例1の裏面基材1−3を、厚さ100μm、伸び率720%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体フィルムを用いた他は実施例1と同様にして、総厚240μmの表示バンド用積層体を得た。
実施例4
実施例3の裏面基材1−3をエンボス加工のないものに変更した他は実施例3と同様にして、総厚190μmの表示バンド用積層体を完成した。
実施例5
実施例1の表示面基材1−1に厚さ88μm、伸び率100%、密度0.7のピーチコート紙を用いた他は実施例1と同様にして総厚235μmの表示バンド用積層体を完成した。
実施例6
実施例1の表示面基材1−1に厚さ130μm、伸び率100%、密度1.2のピーチコート紙を用いた他は実施例1と同様にして総厚285μmの表示バンド用積層体を完成した。
実施例7
実施例2の裏面基材1−3に厚さ200μm、伸び率750%、メタクリル酸メチル含量(MMA含量)25%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体フィルムを用いた他は実施例2と同様にして総厚290μmの表示バンド用積層体を完成した。
実施例8〜10
実施例1の裏面基材1−3を表1に記載のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体フィルムに変更した他は実施例1と同様にして、表示バンド用積層体を完成した。
Figure 0005008595
上記のように実施例により得られた表示バンド用積層体について、印字性能、装着性、破断性などの各種評価を行った。
上記のように、実施例1〜10のものはいずれも良好な結果を得ることができ、とりわけ、実施例1〜5、実施例8のものは、非常に良好な結果を得ることができた。
実施例6は表面基材が厚すぎて重く、装着感もやや硬いものであった。
実施例7は裏面基材が厚すぎて、やはり装着感がやや硬いものとなってしまった。
実施例9のものは、やや硬いものとなり、装着感が十分でないことがあった。
一方、比較例1のものは、強度に乏しく、伸びずに切れやすい傾向があり、用途によっては使用中に破断してしまうことがあった。比較例2のものは、ほとんどカールしないので、人体に巻き付ける際に手間がかかるものであった。また、破断強度が強すぎて容易に手で除去することができなかった。
本発明は、医療機関、娯楽施設等で個人を識別するための表示バンドとして用いることができる。特に医療機関などにおいて、医療事故防止のため、入院患者の情報を元に、個人識別用の情報をプリンタ印字し記録した表示バンドとして有効に利用可能である。
表示バンド用積層体の一例を模式的に表した断面図 表示バンド用積層体の一例を表した図 表示バンドを取り外した際の表示バンド用積層体の一例を表した図 表示バンド用積層体を巻物にした一例を表した斜視図
符号の説明
1・・・表示バンド用積層体
1−1・・・表示面基材
1−2・・・接着剤
1−3・・・裏面基剤
2・・・表示バンド

Claims (2)

  1. 少なくともプリンタ印字可能な表示面基材と人体に接する裏面基材を貼りあわせてなる積層体であって、裏面基材がエチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなり、裏面基材の伸び率が700〜800%であり、かつ表示面基材の伸び率が120%以下であり、両基材の伸び率が(表示面基材の伸び率<裏面基材の伸び率)の関係にあることを特徴とする、表示バンド用積層体。
  2. 請求項1に記載の表示バンド用積層体を短冊状に形成した表示バンド。
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