JP5008370B2 - 人工毛髪 - Google Patents

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Description

本発明は、人毛の代替品として使用できるポリエステル系繊維からなる人工毛髪に関し、詳しくは、ポリエステル系繊維からなる人工毛髪の欠点である光沢を抑制した、ウィービング、ウィッグ、ツーペ、ヘアーエクステンションまたはヘアーアクセサリー等の頭飾製品として好適に用いられる人工毛髪およびそれからなる頭飾製品に関するものである。
ヘアーウィッグ、ツーペ、エクステンション、ヘアーアクセサリー、ドールヘアー等に用いられる毛髪用繊維材料としては当初、人毛が用いられていたが、近年においては、人毛の入手が困難になったために、各種人工毛髪繊維材料(例えば、モダクリル繊維等のアクリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエステル系繊維等)への代替が進んでいる。
前記各種人工毛髪用繊維材料の中でも、ポリエステル系繊維を用いた人工毛髪用繊維材料は、アクリル系繊維やポリ塩化ビニル系繊維を用いた人工毛髪用繊維材料に比べて耐熱性が高いためアイロンセット性が良いとして好ましく用いられているが、ポリエステル系繊維を用いた人工毛髪は表面の光沢が強く、人毛と一緒に用いるような頭飾製品、特にヘアーウィッグやツーペ等のかつら用途に用いた場合には人毛との光沢感の違いにより頭髪全体として違和感が生じるという問題があった。
前記光沢感を調整する方法としては、例えば、ポリエステル系人工毛髪用繊維に有機粒子や無機粒子を含有させたポリエステル系繊維を用いることにより繊維の艶を調整する技術が開示されている(特許文献1)
特開2005−42234号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の有機微粒子や無機微粒子を含有するポリエステル系繊維を用いても、人毛と同等の光沢レベルに抑制するのは困難であった。また、有機微粒子や無機微粒子の添加量を増やすことにより、光沢を抑制することが可能になるが、発色性(色相)の低下が生じ、人毛に近い外観を有する、発色性に優れ、かつ、光沢が十分に抑制されたポリエステル系繊維を用いた人工毛髪は得られていなかった。
本発明は、ポリエステル系繊維を用いた人工毛髪において、光沢を抑制して人毛により近い光沢感と、高い発色性を有し、かつ、アイロンセット性、カール保持性、触感、くし通り性を維持したポリエステル系繊維を用いた人工毛髪およびそれからなる頭飾製品を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、コア−シェル型グラフト重合体を特定の割合で含有し、特定の粒子径で分散させることにより、ポリエステル系人工毛髪の表面光沢を抑制するのに適した凹凸を形成し、人毛に近い光沢感や発色性を実現することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アルキレンテレフタレート単位を主構成単位とするポリエステル(A)100質量部に対して、コア−シェル型グラフト重合体(B)0.5〜9.0質量部含有するポリエステル系人工毛髪である人工毛髪からなることを特徴とするものである。前記コア−シェル型グラフト重合体(B)としては、(e−1)ブタジエンおよび/またはアルキルアクリレート単量体35〜100質量%、(e−2)芳香族ビニル単量体0〜65質量%、(e−3)これらと共重合可能なビニル単量体0〜20質量%、および(e−4)多官能性単量体0〜5質量%を含有する単量体混合物(e)からなり、ガラス転移温度が0℃以下であるゴム状重合体(e')50〜95質量部をコア層として含有し、(f−1)アルキルメタクリレート単量体10〜100質量%、(f−2)アルキルアクリレート単量体0〜60質量%、(f−3)芳香族ビニル単量体0〜90質量%、(f−4)シアン化ビニル単量体0〜25質量%、および(f−5)これらと共重合可能なビニル単量体0〜20質量%含有する単量体混合物(f)からなる重合体(f')5〜50質量部をシェル層として含有するコア−シェル型グラフト重合体であることが人毛に近い光沢感や発色性を得られる点から好ましい。
より高い効果を得るためには、エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)を含有させ、コア−シェル型グラフト重合体(B)の分散安定性を向上させるのが好ましい。前記エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)としては、エポキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート(g)15〜95質量%、その他のアルキル(メタ)アクリレート(h)5〜85質量%、これらと共重合可能なその他のビニル単量体(i)0〜80質量%からなる質量平均分子量1000〜40万の共重合体であることが、前記ア−シェル型グラフト重合体(B)の分散安定性を向上させる点から好ましい。
このように、アルキレンテレフタレート単位を主構成単位とするポリエステルとコア−シェル型グラフト重合体とを含有する人工毛髪において、人毛に近い光沢感や発色性を発現させることができる。また、前記人工毛髪が、(D)リン含有難燃剤および/または臭素含有難燃剤を含有する場合には、繊維に優れた難燃性を付与することができる。前記ポリエステル(A)として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーを含有することが耐熱性、ヘアセット性、カール保持性に優れている点から好ましい。
本発明によると、ポリエステル系人工毛髪において、人毛に近い光沢感や発色性を備え、また、人工毛髪として用いる際に安全性の点から重要な要素である優れた難燃性を備えた人工毛髪を提供することができる。
以下に、本発明を具体的に説明する。本発明の人工毛髪は、アルキレンテレフタレート単位を主構成単位とするポリエステル(A)とコア−シェル型グラフト重合体(B)0.2〜9.0質量部を含有するポリエステル系人工毛髪である。
本発明に用いられるアルキレンテレフタレート単位を主構成単位とするポリエステル(A)としては、アルキレンテレフタレート単位を80モル%以上含有するポリエステルであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、および前記各種アルキレンテレフタレート単位を80モル%以上含有し、その他の共重合単位を20モル%未満含有する共重合ポリアルキレンテレフタレートが挙げられる。前記その他の共重合単位を20モル%未満含有する共重合アルキレンテレフタレートの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主構成単位として、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどが挙げられる。前記ポリアルキレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましい。前記ポリエステル(A)の固有粘度としては、0.5〜1.4であるのが好ましく、さらには0.6〜1.2であるのが、得られる人工毛髪のセット性が優れる点から好ましい。
本発明に用いられるコア−シェル型グラフト重合体(B)は、ガラス転移温度が0℃以下のゴム状重合体(e')をコア層として含み、共重合体(f')をシェル層として含むコア−シェル型グラフト重合体である。前記グラフト重合体のコア層を形成するゴム状重合体(e')は、1層のみの層構造を有するものであってもよく、あるいは2層以上の多層構造を有するものであってもよい。同様に、シェル層を形成する重合体(f')も1層のみの層構造を有するものであってもよく、あるいは2層以上の多層構造を有するものであってもよい。コア層であるゴム状重合体(e')は、ブタジエンおよび/またはアルキルアクリレート単量体(e−1)35〜100質量%、芳香族ビニル単量体(e−2)0〜65質量%、これらと共重合可能なビニル単量体(e−3)0〜20質量%、および多官能性単量体(e−4)0〜5質量%からなる単量体混合物(e)を重合して得られる重合体であることが好ましい。該単量体混合物(e)を例えば乳化重合させることによって、ゴム状重合体(e')を含むゴムラテックス(e")を得ることができる。
前記ブタジエンおよび/またはアルキルアクリレート単量体(e−1)中のブタジエンとしては、1,3−ブタジエンが挙げられる。アルキルアクリレートの具体例としては、例えば,メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記ブタジエンおよび/またはアルキルアクリレート単量体(d−1)の使用量は、単量体混合物(e)中、35〜100質量%、さらには、50〜100質量%であり、とくには、65〜95質量%が好ましい。
前記芳香族ビニル単量体(e−2)は、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物から最終的に得られる繊維の透明性を向上させる作用を有し、コア−シェル型グラフト重合体(B)の屈折率と前記ポリエステル(A)の屈折率との差がなるべく小さくなるように調整するための成分である。芳香族ビニル単量体(e−2)の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記芳香族ビニル単量体(e−2)の使用量は、0〜65質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましい。使用量が、65質量%をこえると、相対的にブタジエンおよび/またはアルキルアクリレートの単量体(e−1)の使用量が少なくなるため好ましくない。
前記これらと共重合可能なビニル単量体(e−3)は、前記コア−シェル型グラフト重合体(B)と前記ポリエステル(A)との相溶性の微調整を行うための成分である。これらと共重合可能なビニル単量体(e−3)の具体例としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体や、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどをあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記これらと共重合可能なビニル単量体(e−3)の使用量は、0〜20質量%、さらには0〜10質量%、とくには0〜5質量%であることが好ましい。
前記多官能性単量体(e−4)は、得られるゴム状重合体(e')中に架橋構造を形成させるための成分である。前記多官能性単量体(e−4)の具体例としては、例えばジビニルベンゼン、アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。多官能性単量体(e−4)としては他に、マクロマーと呼ばれる両末端にラジカル重合可能な官能基を有する分子、例えばα,ω−ジメタクリロイロキシポリオキシエチレンなどを用いることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記多官能性単量体(e−4)の使用量は0〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。
前記ゴム状重合体(e')を得る方法には特に限定がなく、ブタジエンおよび/またはアルキルアクリレートの単量体(e−1)、芳香族ビニル単量体(e−2)、これらと共重合可能なビニル単量体(e−3)および多官能性単量体(e−4)をそれぞれ所望量含有した単量体混合物(e)に、水性媒体、重合開始剤、乳化剤などを配合し、例えば通常の乳化重合法によって重合させ、ゴムラテックス(e")として得る方法などを採用することができる。ゴム状重合体(e')を得る際の、単量体混合物(e)の添加および重合は、一段階で行っても良く、また多段階で行っても良く、特に限定はない。単量体混合物(e)の添加は、まとめて一括で添加して良く、連続して添加しても良く、2段階以上に分けて、それらの組み合わせで添加を行っても良く、特に限定はない。単量体混合物(e)は、水性媒体、開始剤、乳化剤などが予め導入された反応容器中に、ブタジエンおよび/またはアルキルアクリレートの単量体(e−1)、芳香族ビニル単量体(e−2)、これらと共重合可能なビニル単量体(e−3)および多官能性単量体(e−4)をおのおの別々に、あるいはそれらのいくつかの組み合わせで別々に導入し、反応容器中で撹拌混合して、ミセルの形で得ることもできる。この場合、反応容器内を重合開始可能な条件に移行することにより、例えば通常の乳化重合法によって単量体混合物(e)を重合させ、ゴムラテックス(e")に含有させた状態でゴム状重合体(e')を得ることができる。得られるゴム状重合体(e')のガラス転移温度は、0℃以下であることが好ましい。
前記シェル層を構成する単量体混合物(f)は、アルキルメタクリレート(f−1)10〜100質量%、アルキルアクリレート単量体(f−2)0〜60質量%、芳香族ビニル単量体(f−3)0〜90質量%、シアン化ビニル単量体(f−4)0〜25質量%、およびこれらと共重合可能なビニル単量体(f−5)0〜20質量%からなるものである。アルキルメタクリレート単量体(f−1)は、前記コア−シェル型グラフト重合体(B)と前記ポリエステル(A)との接着性、相溶性を向上させ、本発明の人工毛髪の透明性、発色性を向上させるための成分である。アルキルメタクリレート単量体(f−1)の具体例としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどの炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルメタクリレートがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記アルキルメタクリレート単量体(f−1)の使用量は、10〜100質量%、さらには20〜100質量%、とくには30〜100質量%であることが好ましい。さらに、アルキルメタクリレート単量体(f−1)全体を100重量%とした時、60〜100質量%、さらには80〜100質量%のメチルメタクリレートを含有することにより、接着性、相溶性を飛躍的に改善することができる。
前記アルキルアクリレート単量体(f−2)は、前記コア−シェル型グラフト重合体(B)のシェル層の軟化温度を調整することにより、最終的に得られる成形体中におけるコア−シェル型グラフト重合体(B)の前記ポリエステル(A)中への良好な分散を促進し、成形体の耐衝撃強度を向上させるための成分である。アルキルアクリレート単量体(f−2)の具体例としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどの炭素数2〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレートがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記アルキルアクリレート単量体(f−2)の使用量は、0〜60質量%、さらには0〜50質量%であり、とくには0〜40質量%であることが好ましい。
前記コア−シェル型グラフト重合体(B)と前記ポリエステル(A)との接着性を充分に維持しつつ、最終的に得られる成形体中におけるコア−シェル型グラフト重合体(B)のポリエステル(A)中への良好な分散を達成するために、単量体混合物(f)に含まれるアルキルメタクリレート単量体(f−1)とアルキルアクリレート単量体(f−2)の合計量を100重量%として、(f−1)60〜100質量%、(f−2)0〜40質量%とすることが好ましく、(f−1)70〜100質量%、(f−2)0〜30質量%とすることがより好ましく、(f−1)80〜100質量%、(f−2)0〜20質量%とすることがさらに好ましい。(f−1)が、60質量%未満であると、得られる人工毛髪の透明性、発色性が低下する傾向がある。前記芳香族ビニル単量体(f−3)は、最終的に得られる人工毛髪の透明性を向上させる作用を有し、前記コア−シェル型グラフト重合体(B)の屈折率と前記ポリエステル(A)の屈折率との差がなるべく小さくなるように調整するための成分である。
芳香族ビニル単量体(f−3)の具体例としては、例えば芳香族ビニル単量体(e−2)の具体例としてあげられた単量体などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記芳香族ビニル単量体(f−3)の使用量は、0〜90質量%、さらには0〜50質量%、とくには0〜30質量%であることが好ましい。
前記シアン化ビニル単量体(f−4)は、前記コア−シェル型グラフト重合体(B)と前記ポリエステル(A)との相溶性の微調整を行うための成分である。シアン化ビニル単量体(f−4)の具体例としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記シアン化ビニル単量体(f−4)の使用量は、0〜25質量%、さらには0質量%であることが好ましい。
前記これらと共重合可能なビニル単量体(f−5)は、前記ポリエステル樹脂組成物の溶融混練、溶融紡糸時の加工性を改良するための成分である。前記ビニル単量体(f−5)の具体例としては、例えばメチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記これらと共重合可能なビニル単量体(f−5)の使用量は、0〜20質量%、さらには0〜10質量%、とくには0重量%であることが好ましい。
本発明に用いられる前記コア−シェル型グラフト重合体(B)は、前記ゴム状重合体(e')と単量体混合物(f)とをグラフト共重合させて得られるものである。単量体混合物(f)は、グラフト共重合の結果として重合体(f')を与える。この際、乳化重合法により前記ゴム状重合体(e')を得た場合には、該ゴム状重合体(e')は水性媒体中に分散されたゴムラテックス(e")の状態のままで、単量体混合物(f)とのグラフト共重合に用いることができる。本発明に用いられるコア−シェル型グラフト重合体(B)のコア層であるゴム状重合体(e')およびシェル層である重合体(f')の比率は、(e')50〜95重量部、(f')50〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは(e')60〜95重量部、(f')40〜5重量部である。ゴム状重合体(e')が、50重量部より少なく、重合体(f')が50重量部より多くなると、シェルによる被覆状態が悪くなり、熱可塑性ポリエステル中でのコア−シェル型グラフト重合体(B)の分散性不良が起こり、本発明の人工毛髪の光沢が強く(過多)なる傾向がある。また、ゴム状重合体(e')が95重量部より多く、重合体(f')が5重量部より少なくなると、グラフト重合体(B)とポリエステル(A)との接着性が失われて本発明の人工毛髪の透明性、発色性が低下する傾向がある。
前記コア−シェル型グラフト重合体(B)を得る方法には特に限定がなく、前記のごとく調製したガラス転移温度が0℃以下のゴム状重合体(e')を含むゴムラテックス(e")に、アルキルメタクリレート単量体(f−1)、アルキルアクリレート単量体(f−2)、芳香族ビニル単量体(f−3)、シアン化ビニル単量体(f−4)および単量体(f−1)〜単量体(f−4)と共重合可能なビニル単量体(f−5)をそれぞれ所望量含有した単量体混合物(f)を添加し、重合開始剤などを配合して通常の重合法によって重合させ、グラフト重合体ラテックスから粉末状のグラフト重合体を得る方法などを採用することができる。
なお、前記単量体混合物(f)の添加および重合は、1段階で行ってもよく、多段階で行ってもよく、特に限定がない。前記単量体混合物(f)の添加は、まとめて一括で添加して良く、連続して添加しても良く、2段階以上に分けてそれらの組み合わせで添加を行っても良く、特に限定がない。
前記ポリエステル(A)と前記コア−シェル型グラフト重合体(B)との配合割合は、ポリエステル(A)100質量部に対して、コア−シェル型グラフト重合体(B)0.5〜9.0質量部、さらには0.8〜6質量部である。0.2質量部未満では光沢調整効果が不十分となる傾向があり、10質量部を超えると透明性、発色性が低下する傾向がある。
前記ポリエステル系人工毛髪中に分散されたコア−シェル型グラフト重合体(B)の数平均粒子径は、0.2〜10μm、さらには、0.5〜8μm、とくには、1〜5μmであることが好ましい。数平均粒子径が0.2μm以上の場合には、繊維表面に形成される凹凸が大きくなり、光沢が十分に抑制できるようになり、また、10μm以下の場合には、透明性が上昇して、発色性が向上する傾向がある。
本発明で用いられるエポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)は、エポキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート(g)15〜95質量%、その他のアルキルアクリレート(h)5〜85質量%、およびこれらと共重合可能なその他のビニルモノマー(i)0〜80質量%からなる単量体混合物を重合して得られる。
前記ポリエステル(A)および前記コア−シェル型グラフト重合体(B)のみからなる組成物では、該組成物中でのコア−シェル型グラフト重合体(B)の分散性は、条件により不十分となるが、エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)を添加することにより、本発明の組成物中でのコア−シェル型グラフト重合体(B)の分散性は大幅に改善される。その結果、本発明の人工毛髪は、物理的、化学的特性を低下させることなく、光沢感、発色性を向上させることができる。
前記エポキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート(g)の具体例としては、例えばグリシジルアクリレートなどのエポキシ基含有アクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エポキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート(g)の配合量は、エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)中、15〜95質量%、さらには20〜95質量%、とくには30〜95質量%であることが好ましい。配合量が、5質量%未満であると、溶融粘度を充分に増大できず、安定した加工性が得られない傾向があり、95重量%をこえると、溶融粘度が高すぎ、溶融紡糸による繊維形成が困難になる傾向がある。
前記その他のアルキル(メタ)アクリレート(h)の具体例としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレートなどのアルキル基の炭素数1〜8のアルキルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレートなどのアルキル基の炭素数1〜8のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他のアルキル(メタ)アクリレート(h)の配合量は、エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)中、5〜85質量%、さらには5〜80質量%、とくには5〜70質量%であることが好ましい。配合量がこの範囲を外れると、溶融粘度を充分に増大できず、安定した加工性が得られない傾向がある。
前記エポキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート(g)と前記その他のアルキル(メタ)アクリレート(h)に共重合可能なその他のビニルモノマー(i)の具体例としては、例えば、スチレンやα−メチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。共重合可能なその他のビニルモノマー(i)の配合量は、0〜80質量%、さらには0〜75質量%、とくには0〜65質量%であることが好ましい。配合量が80質量%を超えると、溶融粘度を充分に増大できず、安定した加工性が得られない傾向がある。
本発明で用いられるエポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)の質量平均分子量は1000〜40万、さらには1000〜20万、とくには1000〜10万であることが好ましい。質量平均分子量が、1000未満では、重合後のラテックスからパウダーを得るのが困難になる傾向があり、質量平均分子量が40万を超えると、熱可塑性ポリエステル樹脂への分散性が悪化するために充分な増粘効果が得られない傾向がある。
本発明で用いられるエポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば懸濁重合、乳化重合などの方法で製造することができるが、乳化重合が好ましい。
乳化重合法で製造する場合、単量体混合物を適当な媒体、乳化剤、連鎖移動剤および重合開始剤などの存在下で乳化重合させるとよい。前記乳化重合で使用される媒体は、通常、水である。前記乳化剤としては、公知のものが使用される。例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホコハク酸ジエステル塩などのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
前記重合開始剤としては特に限定はないが、水溶性や油溶性の重合開始剤などが使用される。例えば、通常の過硫酸塩などの無機重合開始剤、または有機過酸化物、アゾ化合物などを単独で用いてもよいが、これら開始剤化合物と亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどを組み合わせて、レドックス系で用いてもよい。好ましい過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどがあげられ、また、好ましい有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどが挙げられる。前記連鎖移動剤としては特に限定はないが、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−デシルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどのアルキルエステルメルカプタンなどが使用され得る。前記重合反応時の温度や時間なども特に限定はなく、使用目的に応じて所望の質量平均分子量になるように適宜調整すればよい。
本発明で用いられるエポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)は、1段重合体であってもよく、または2段および3段重合体などの多段重合体であってもよい。2段重合で重合を行なう場合は、2段目以降の単量体の添加にあたって、1段目の重合が完結していることを確認して添加することにより、1段目のモノマーと混合することなく、2段目の重合を行なうことができる。このようにして得られる重合体ラテックス中の粒子は、通常、平均粒子径が100〜3000Å程度であり、通常の電解質の添加による塩析、凝析や熱風中に噴霧、乾燥させることにより、ラテックスから取り出される。また、必要に応じて、通常の方法により洗浄、脱水、乾燥などが行なわれる。
前記エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)の配合量は、前記ポリエステル(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部、さらには0.2〜7質量部であり、とくには0.5〜4質量部である。エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)の配合量が、0.1質量部未満では溶融粘度を十分に増大できず、コア−シェル型グラフト重合体(B)の分散性改善効果が得られない傾向にある。また、10質量部を超えると、溶融粘度が高すぎ、溶融紡糸が困難になる傾向がある。
本発明における人工毛髪は、さらに、難燃性を付与する目的で難燃剤(D)を含有することが好ましい。前記難燃剤としては、具体的には、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリネフチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどのほか、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェート、縮合リン酸エステル系化合物、リン酸エステルアミド化合物または有機環状リン系化合物などが挙げられる。
また、臭素含有難燃剤の具体例としては、例えば、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの臭素含有リン酸エステル類、臭素化ポリスチレン類、臭素化ポリベンジルアクリレート類、臭素化エポキシオリゴマー類、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリカーボネートオリゴマー類、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)などのテトラブロモビスフェノールA誘導体、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジンなどの臭素含有トリアジン系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどの臭素含有イソシアヌル酸系化合物などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、リン含有難燃剤としては、リン酸エステルアミド化合物、有機環状リン系化合物、臭素系難燃剤としては、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フェノキシ樹脂系難燃剤が難燃性に優れている点から好ましい。
前記難燃剤の含有量としては、前記ポリエステル(A)100質量部に対して、3〜30質量部、さらには、6〜25質量部、とくには、7〜20質量部であることが好ましい。前記含有量が少なすぎる場合には、難燃効果が不十分になり、30質量部を超える場合には、人工毛髪のヘアセット性が低下するとともに、接炎時にドリップしやすくなる傾向がある。本発明においては、前記難燃剤成分を配合することにより、難燃性は発現されるものの、シリコーン系の繊維処理剤を使用した場合や可燃性の人工毛髪と混合して使用する場合には、難燃性のレベルが不十分な場合がある。このような場合には、さらに、難燃助剤を配合することにより、難燃効果が著しく向上し、さらに高いレベルの難燃性を得ることができる。
前記難燃助剤としては、特に限定はなく、その具体例としては、例えば、メラミンシアヌレート、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、混合物の紡糸加工性の点から、アンチモン酸ナトリウムが好ましい。
前記難燃助剤の含有量としては、0.5質量部以上、さらには、1質量部以上含有することが好ましい。前記難燃助剤の平均粒子径としては、1.5μm未満が好ましく、1.4μm以下がより好ましく、1.3μm以下がさらに好ましい。平均粒子径の下限値としては、0.2μm超が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.8μm以上がさらに好ましい。
本発明の人工毛髪は、必要に応じて、さらに、耐熱性、光安定性、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料などの各種添加剤を含有してもよい。本発明の人工毛髪は、紡糸後に染色する方法(後染法)や樹脂の溶融混練の際に顔料や染料を配合して着色する方法(原着)により着色して使用することができる。後染色により着色する場合には、通常のポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。また、原着の場合には、通常のポリエステル系繊維に用いられる顔料を溶融混練することにより、原着繊維を得ることができる。染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明の人工毛髪は、前記各成分をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練して得られる樹脂組成物を溶融紡糸することにより形成される。樹脂組成物の製造に用いられる前記混練機の例としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。前記樹脂組成物を溶融混練する際の条件は、ポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルの種類によるため具体的には特定できないが、前記ポリエステルが十分に溶融して、両者が均一に混合されるように温度条件等を調整する。
例えば、一例として、ポリエチレンテレフタレートとコア−シェル型グラフト重合体を含有する樹脂組成物を二軸押出機を用いて溶融混練する場合には、バレル設定温度を260〜300℃程度の温度条件が挙げられる。そして、得られた樹脂組成物を用いて溶融紡糸することにより、本発明の人工毛髪が得られる。本発明の人工毛髪を、通常の溶融紡糸法で溶融紡糸する場合には、例えば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を250〜300℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させた後、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。なお、本発明の人工毛髪を得る別の方法としては、前記各成分をドライブレンドした組成物を、ギアポンプおよび紡糸ノズルを備えた二軸押出機または混練能を有するスクリューを使用した単軸押出機を用いて、樹脂組成物を一旦ペレット化することなく、直接溶融紡糸してもよい。
本発明においては、得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および、巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
さらに、繊維処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合いを付与して、より人毛に近づけることができる。前記繊維処理剤としては、例えば、触感やくし通りを向上させるためのシリコーン系繊維処理剤や非シリコーン系繊維処理剤などが挙げられる。
また、本発明の人工毛髪の繊度としては、10〜100dtex、さらには20〜90dtexであることが好ましい。
このようにして得られた本発明の人工毛髪は、ヘアセット性に優れ、繊維表面に適度に凹凸が形成されるために、艶消しされており、人工毛髪として好適に使用することができる。さらに、ポリエステル系繊維からなるため、美容熱器具を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れている。したがって、ヘアウィッグ、ツーペ、ウィービング、ヘアエクステンション、ブレード、ヘアアクセサリーなどの頭飾製品や、ドールヘアなどの人工毛髪として好ましく用いられる。
また、これらの頭飾製品を作製する場合に、本発明の人工毛髪と、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリアミド繊維などの他の人工毛髪や、人毛や獣毛などの天然繊維とを組み合わせて用いてもよい。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例および比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
ポリエチレンテレフタレート:三菱化学(株)製、商品名:BK−2180
ポリトリメチレンテレフタレート:Shell Chemicals社製、商品名:コルテラCP509200
ポリブチレンテレフタレート:東レ(株)製、商品名:トレコン1401X04
コア−シェル型グラフト重合体A:(株)カネカ製、商品名:カネエースMP-90、平均粒子径4μm
コア−シェル型グラフト重合体B:(株)カネカ製、商品名:カネエースMP-90、微粒タイプ、平均粒子径2μm
エポキシ基含有増粘剤A:(株)カネカ製、商品名:カネエースMP-20
エポキシ基含有増粘剤B:(株)カネカ製、商品名:カネエースMP-40
シリカ:東ソー・シリカ(株)製、商品名:NIPGEL AZ−200、平均粒子径3.5μm
架橋アクリル粒子:積水化成品(株)製、商品名:MBX−15、平均粒子径15μm
リン含有難燃剤:環状リン化合物系難燃剤、三光(株)製、商品名:MエステルHP
臭素含有難燃剤:臭素化エポキシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製、商品名:SR−T20000
顔料:顔料マスタバッチ、カーボンブラック20wt%含有、大日精化工業(株)製、商品名:PESM22367BLACK
(実施例1〜10、比較例1〜5)
表1に示す配合比率の配合組成物の各成分を、水分率100ppm以下に乾燥した後、ドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)に供給し、バレル設定温度260℃で溶融混練し、ペレット化した。そして、水分率100ppm以下に乾燥させた前記ペレットを、溶融紡糸機(シンコーマシナリー(株)製、SV30)に供給し、バレル設定温度260℃で扁平比が1.4:1の繭形断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。そして前記未延伸糸を、75℃に加熱したヒートロールを用いて3.5倍に延伸し、180℃に加熱したヒートロールで熱処理し、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が60dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られたポリエステル系繊維に、親水性繊維処理剤であるKWC−Q(エチオキサイド−プロピレンオキサイドのランダム共重合ポリエーテル;丸菱油化(株)製)/加工剤29(カチオン性界面活性剤;丸菱油化(株)製)=0.20/0.20%omfとなるように、それぞれの純分を0.80%含む水溶液を調製し、総繊度10万dtexのトウフィラメントに、トウ重量に対して含液率25%になるように溶液を付着させ、熱風乾燥機を用いて120℃にて10分間乾燥させた。
Figure 0005008370
得られた繊維を用いて、以下に示す評価方法により評価した。
<毛質>
(触感)
人毛との比較で官能評価を行い、4段階で評価した。
◎:人毛と同等の非常に柔らかな風合い
○:人毛に似た柔らかな風合い
△:人毛に比べやや硬い風合い
×:人毛に比べ硬い風合い
(くし通り)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントに繊維表面処理剤を付着させる。処理されたトウフィラメントにくし(デルリン樹脂製)を通し、くしの通り易さを評価した。
◎:全く抵抗ない(非常に軽い)
○:ほとんど抵抗ない(軽い)
△:若干抵抗がある(重い)
×:かなり抵抗がある、または、途中で引っかかる。
<外観>
(光沢)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により、以下の基準で評価した。
◎:対比して注意深く比較しても、人毛との差を認めることができない程度の光沢
○:対比して注意深く比較した場合に、人毛よりも光沢が多い、または、少ないと判断できる光沢
△:対比して通常の注意力で比較した場合に、人毛よりも光沢が多い、または、少ない
と判断できる光沢
×:対比を要することなく、明らかに人毛よりも光沢が多すぎる、または、少なすぎる
と判断できる光沢
(発色性)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により、以下の基準で評価した。
◎:透明感があり、色の深み(鮮やかさ)がある
○:若干不透明感があるが、色の深み(鮮やかさ)は低下していない
△:不透明感(曇り)があり、若干色の深み(鮮やかさ)が低下している
×:不透明感があり、色の深みがない
<ヘアセット性>
繊維束を蓑毛にし、これを直径60mmφのパイプに巻いて、120℃でスチームセットしてカールを付与し、カールの付いた蓑毛をヘアキャップに縫い付けてショートボブスタイルのウィッグを作製し、専門美容師により、毛先カール保持性、カールの安定性、中間部のストレート性、スタイルの順応性、商品の触感およびくし通りを評価した。
(毛先カール保持性)
スタイルに必要なカールを毛先に付与した時にその形状を維持し、また、霧吹きなどで水分を十分に吸収させ後、乾燥しても、その形状を維持している時を○、そうでないときを×とした。
(カールの安定性)
商品を実用的な範囲で振り、その際にスタイルが維持している時を○、そうでない時を×とした。
(中間部のストレート性)
スタイルに不要な中間部のカールの出現が抑えられている時を○、そうでない時を×とした。
(スタイルの順応性)
ヘアアイロンを用いて、フォワード巻き、フォワード縦巻き、リバース巻き、リバース・フォワード・フリップ(外はね)のスタイルセットをし、そのカール形状が安定な場合を○、不安定な場合を×とした。
<スチームによる変色>
長さ30cm、総繊度5万dtexの繊維束を、高圧滅菌装置(平山製作所(株)製)内に入れて密閉し、スチームを発生させて120℃に昇温した。120℃に到達してから1時間経過後に繊維束を取り出し、80℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、専門美容師の目視により、変色の程度を処理前の繊維束と比較して以下の基準により評価した。
◎:注意深く対比して比較しても白化が確認できない
○:注意深く対比して比較することにより白化したことが確認できる
△:対比して比較することにより白化が確認できる
×:対比して比較しなくとも白化したことが明らかである。
<難燃性>
得られたフィラメントを150mmの長さに切断した。そして、前記フィラメント0.7g分を束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに有効長120mmになるように固定して垂直に垂らした。前記固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎し、火炎を遠ざけた後の燃焼時間を測定し、以下の基準により判定した。
◎:燃焼時間が1秒未満
○:1秒〜5秒未満
△:5秒〜8秒未満
×:8秒以上。
<繊維物性>
(強度および伸度)
引張圧縮試験機(インテスコ社製、INTESCO Model201型)を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定した。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製した。そして、前記試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、引張速度20mm/分で試験を行ない、破断時の引張強度および伸度を測定した。なお、測定はN=10で行い、その平均値を求めた。
<SEMによる人工毛髪の数平均粒子径測定>
走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)製、S−3500N)を用い、倍率1万倍で人工毛髪の断面に分散した粒子の分散状態を撮影した。断面観察のための試料は、液体窒素を用いて凍結割断して調整した。なお、数平均粒子径は、画像解析装置(インタークエスト社製、PIAS III)により、分散粒子の形状を円形近似処理して算出した。
評価結果を、表2に示す。
Figure 0005008370
本発明の人工毛髪である実施例1〜10においては、いずれも光沢感および発色性に優れ、また、ヘアセット性にも優れていることがわかる。一方、コア−シェル型グラフト重合体が本発明の範囲外である比較例1、2や他の艶消し剤を使用した比較例3、4においては、いずれも光沢感と発色性を兼ね備えたものが得られていないことがわかる。

Claims (7)

  1. アルキレンテレフタレート単位を主構成単位とするポリエステル(A)100質量部に対して、コア−シェル型グラフト重合体(B)0.5〜9.0質量部を含有するポリエステル系人工毛髪。
  2. 前記コア−シェル型グラフト重合体(B)が、(e−1)ブタジエンおよび/またはアルキルアクリレート単量体35〜100質量%、(e−2)芳香族ビニル単量体0〜65質量%、(e−3)これらと共重合可能なビニル単量体0〜20質量%、および(e−4)多官能性単量体0〜5質量%を含有する単量体混合物(e)からなり、ガラス転移温度が0℃以下であるゴム状重合体(e')50〜95質量部をコア層として含有し、(f−1)アルキルメタクリレート単量体10〜100質量%、(f−2)アルキルアクリレート単量体0〜60質量%、(f−3)芳香族ビニル単量体0〜90質量%、(f−4)シアン化ビニル単量体0〜25質量%、および(f−5)これらと共重合可能なビニル単量体0〜20質量%含有する単量体混合物(f)からなる重合体(f')5〜50質量部をシェル層として含有するコア−シェル型グラフト重合体である請求項1に記載の人工毛髪。
  3. 前記人工毛髪が、エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)を含有する請求項1または請求項2に記載の人工毛髪。
  4. 前記エポキシ基を含有するポリエステル用増粘剤(C)が、エポキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート(g)15〜95質量%、その他のアルキル(メタ)アクリレート(h)5〜85質量%、これらと共重合可能なその他のビニル単量体(i)0〜80質量%からなる質量平均分子量1000〜40万の共重合体である請求項3に記載の人工毛髪。
  5. 前記人工毛髪が、リン含有難燃剤および/または臭素含有難燃剤(D)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の人工毛髪。
  6. 前記ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工毛髪。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の人工毛髪からなる頭飾製品。
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