JP5008365B2 - 塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)下記の塩化ビニリデン系共重合体(A)と塩化ビニリデン系共重合体(B)からなる塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物であって、共重合体(A)の含有量が75重量%以上95重量%以下であり、共重合体(A)の重量平均分子量が共重合体(B)の重量平均分子量より小さく、且つ、共重合体(A)中の塩化ビニリデン含有量が共重合体(B)中の塩化ビニリデン含有量より大きいことを特徴とする、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物。
塩化ビニリデン系共重合体(A):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上99重量%
以下であり、重量平均分子量が、7万以上12万以下である塩化ビニリデン系共重合体
塩化ビニリデン系共重合体(B):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上97重量%以下であり、重量平均分子量が、9万以上20万以下である塩化ビニリデン系共重合体
(2)(1)に記載の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。
(3)(2)に記載のフィルムまたはシートからなる食品包装材料。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物は、重量平均分子量と塩化ビニリデン含有量の異なる2種類の塩化ビニリデン系共重合体から成る。塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物中に70重量%以上含有され、重量平均分子量が小さく、塩化ビニリデン含有量が高い共重合体(A)は、押出加工性、フィルムの高周波シール適性付与成分として位置づけられる。重量平均分子量が小さいことにより加工時のせん断発熱が抑制でき、また塩化ビニリデン含有量が高いことにより、樹脂の結晶性が上がりバリア性と高周波シール適性が良好となる。30重量%以下の含有率で重量平均分子量が大きく、塩化ビニリデン含有量の低い共重合体(B)は、フィルムにソーセージ・ハムを充填後のボイル・レトルト処理時のフィルム力学強度を付与する成分として位置づけられる。重量平均分子量が大きいことと塩化ビニリデン含有量が共重合体(A)に比較して低いことにより、フィルムに強靭性と柔軟性を付与させ、レトルト適性が向上すると考える。
塩化ビニリデン系共重合体(A)の塩化ビニリデン含有量の好ましい範囲は、80重量%以上97重量%以下であり、更に好ましい範囲は、85重量%以上95重量%以下であり、特に好ましい範囲は、89重量%以上93重量%以下である。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の塩化ビニリデン系共重合体(B)の重量平均分子量が9万未満の時は、得られるフィルムにソーセージ・ハムを充填後のボイル・レトルト処理時のフィルム力学強度が十分ではなくレトルト適性が不満足なものとなり、重量平均分子量が20万を超えるときは、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の押出
加工性が不満足なものとなる。重量平均分子量の好ましい範囲は、10万以上15万以下であり、更に好ましくは10.5万以上13万以下である。
なお、重量平均分子量はポリスチレンを標準とした、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した。
また、本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を得るには、通常の乳化重合や懸濁重合が用いられるが、優れた熱安定性を得るためには懸濁重合法が好ましい。
ジ(3メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(3メトキシ3メチルブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(ブトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2イソプロポキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2イソプロポキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、等のパーカーボネート系開始剤、
t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ア
ミルパーオキシネオデカネート、t−オクチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、アミルパーオキシピバレート、t−オクチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシピバレート、パーヘキシルオキサレート、ジ−t−ブチルパーオキシオキザレート、アセチルシクロヘキシルサルフォニルパーオキサイド、1.1.3.3.テトラメチルブチルパーオキシフェノキシアセテート等のパーエステル系開始剤、
ラウロイルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、2エチルヘキサノイルパーオキサイド、3.5.5トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系開始剤、
t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシジグリコレート等のジ−t−アルキルパーオキシジグリコレート系開始剤、
2.2’アゾビスイソブチロニトリル、2.2’アゾビス−2.4ジメチルバレロニトリル、2.2’アゾビス−4メトキシ−2.4ジメチルバレロニトリル、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2.2’−アゾビス(N.N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ハイドロクロライド等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性過酸化物またはこれらにアミン、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添加した系等を挙げることが出来る。
また、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物のスラリーpHが低下しすぎると重合機内及び、その後工程の装置の腐食速度が早くなるので、重合系内のこのような問題を可能な限り回避するために、重合初期もしくは重合途中にpHの調整のため、アルカリ性物質を必要最小限添加してもよい。
ためには反応器内を窒素、アルゴンガス等の雰囲気にすることが好ましい。
また、重合温度、重合時間については塩化ビニリデン及び重合性ビニルモノマーの種類、量、重合開始剤の種類、量及び連鎖移動剤の種類、量等によって適宜決定される。例えば、重量平均分子量が約7万から約12万の場合、重合温度は概ね35℃から65℃にて20時間から100時間であり、重量平均分子量が約9万から約20万の場合、重合温度は概ね30℃から50℃にて30時間から100時間である。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を用いた押出加工において、公知の可塑剤、熱安定剤、加工助剤、光安定剤、顔料、滑剤、抗酸化剤、フィラー、界面活性剤などの添加剤を配合することができる。
また、ビタミンE類、クエン酸及びその塩類、水酸化マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、酸化マグネシウムおよびカルシウムヒドロキシホスフェート、エチレンジアミン四酢酸及びその塩類、ブチルヒドロキシ−アニソール、2,2’メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等のフェノール系酸化防止剤類、チオジプロピオン酸;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオジプロピオン酸アルキルエステル;ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオプロピオネート)等ペンタエリスリトール系のチオプロピオン酸アルキルエステルのチオエーテル系酸化防止剤類、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(モノ及び/又はジノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)等のホスファイト系酸化防止剤類を挙げることができる。本発明において使用する酸化防止剤は二種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、これらの可塑剤や熱安定剤の添加剤は、通常は塩化ビニリデン系共重合体の加工前の粉末状で混合されるが、塩化ビニリデン系モノマーの重合終了後のスラリー状態で混合されてもよく、また予め重合前の塩化ビニリデン系モノマーに添加して重合して混合してもよい。添加剤は押出時には塩化ビニリデン系共重合体に吸着または吸収
され、押出加工性に寄与する。
塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の供給方法は、押出機のホッパー部へ連続的に計量し、定量的に供給するフィーダーを用いることが好ましい。このフィーダーとしては例えばスクリューフィーダー、サークルフィーダー、電磁フィーダー、重量式フィーダー、容積式フィーダー等が挙げられる。この中では、重量フィーダーを用いて混合する方法が、押出加工時のモーター負荷の変動、押出し量の変動を抑制することができ、押出機への定常的な供給が可能となり、安定した押出加工を可能とするので好ましい。
このように本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物は、溶融押出して延伸あるいは未延伸フィルム、シートなどに成形される。成形方法としては公知の、例えばサーキュラーダイによるインフレーション成形法などが適用できる。
また、本発明のフィルムを共押出加工が可能な他の樹脂や樹脂組成物からなるフィルムと積層しても差し支えない。
以下に本発明に使用される測定方法をまとめて記す。
(1)塩化ビニリデン系共重合体の塩化ビニリデン(VDC)含有量
高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置(H−NMR:日本電子製α−400(商品名))を用いて測定する。重水素化テトラヒドロフランにサンプルを5%溶解した溶液を、測
定温度約27℃の条件下、400MHzのH−NMRで測定する。塩化ビニリデン含有量はスペクトル中のテトラメチルシランを基準とした特有の化学シフトを用いて塩化ビニリデン含有量を計算する。
例えば、塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体では、3.50〜4.20ppm、2.80〜3.50ppm、2.00〜2.80ppmの間のピークから溶媒由来のピークを差し引いて求めた積分値、各々(a)、(b)、(c)として、下記計算式にて求めた。
VDC含有量(重量%)={97.0×((a)+(b)/2)×100}/{97.0×((a)+(b)/2)+62.5×((c)+(b)/2)}
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を使用して測定した。具体的に説明すると、塩化ビニリデン系共重合体をテトラヒドロフランに0.05%溶解し、分子量既知の単分散ポリスチレンを標準物質として測定する。測定装置としては東ソー(株)製8000シリーズ(商品名)を使用した。
高周波シール適性は以下の(3)〜(5)の項目を全て満足させる必要がある。
(3)ダブルプライフィルムのフィルム−フィルム膜間強度
塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を押出−インフレーション後、2枚に重ねてダブルフィルムとしてフィルム巾50mmにスリットする。スリットしたダブルプライフィルムの一端を剥がし、5gのおもりをぶら下げて180℃ピールハクリ試験を実施する。50mm剥がれるのに要した時間で評価する。
○:5秒以上
×:5秒未満
自動充填包装機(旭化成ライフ&リビング(株)社製、ADP(登録商標))でフィルム巾50mmのフィルムを円筒状に製袋し、オーバーラップ部を10mmに設定し、オーバーラップの中央にシール線巾が1.0〜1.5mmになるようシール電極をフィルムに触れながら高周波にてシールし、円筒状に形成して円筒状フィルムの内部に魚肉用すり身を充填し、両端をアルミニウム鋼線でクリップし、240本/分の充填条件で、クリップ間の長さを195mmに設定して包装体を作製する。
7500本の包装体を作製する際に、高周波シール不良による包装体の破袋本数により評価を行う。
○:0〜3本
×:4本以上
側面部が開閉できる容器に上記(4)高周波シール強度評価時と同様にして作製したソーセージ200本を20本×10段となるように並べて入れ、容器ごと120℃で20分間レトルト処理し、その後水で冷却して、10段目の包装体の表面温度が60℃〜65℃になるように調整した後、容器の側面部を開いて机に置き、容器の底と机面との角度が45°になるまで傾けて包装体の容器からの落ちかたを下記の要領にて評価を行う。
○:50%以上落ちる
×:50%未満しか落ちない
上記(5)フィルム滑り性評価時と同様にしてレトルト処理したソーセージ200本のレトルト後のソーセージ破袋率をもって評価した。
◎:破袋率25%未満
○:破袋率25%以上40%未満
×:破袋率40%以上
酸素ガス透過性で評価した。酸素ガス透過度測定装置(Modern Control社製 OX−TRAN 100 TWIN)を用いて23℃、65%相対湿度で測定した。単位はml/m2/day/0.1MPaであり、ダブルプライフィルムで測定した。
◎:23以下
○:23を超えて25以下
×:25を超える
径40mmの押出機にサーキュラーダイを設置して、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を環状に押出す(パリソンという)。ダイリップ部分に炭化物が付着して、パリソン表面に炭化物による筋状形跡が現れるまでの連続押出時間で評価した。この筋状形形跡が発生すると、ダイリップ部分の掃除が必要となり、生産を一時停止する必要がある。
◎:10時間以上パリソン表面に形跡が現れない
○:7時間以上10時間未満でパリソン表面に形跡が現れる
×:7時間未満でパリソン表面に形跡が現れる
内面がグラスライニングされた攪拌機付き反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体80重量部、塩化ビニル単量体20重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を45℃に昇温して重合を開始する。30時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−1)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は10万、VDC含有量は91重量%であった。
このダブルプライフィルムのフィムル滑り性、高周波シール強度、ダブルプライフィルムの膜間強度、レトルト時の破袋(パンク)率、バリア性を評価した。結果を表1に示す。
以下の塩化ビニリデン系共重合体PVDC−3〜PVDC−8を使用して表1のとおり
にブレンドを行い、ジブチルセバケート3.0重量部、エポキシ化大豆油2.0重量部配合し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
なお、使用した塩化ビニリデン系共重合体の作製方法は以下のとおりである。
PVDC−3
内面がグラスライニングされた攪拌機付き反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体75重量部、塩化ビニル単量体25重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を35℃に昇温して重合を開始する。100時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−3)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は11万、VDC含有量は83重量%であった。
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体80重量部、塩化ビニル単量体20重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を40℃に昇温して重合を開始する。60時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−4)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は13万、VDC含有量は89重量%であった。
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体78重量部、塩化ビニル単量体22重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を35℃に昇温して重合を開始する。80時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−5)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は12万、VDC含有量は89重量%であった。
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体80重量部、塩化ビニル単量体20重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を50℃に昇温して重合を開始する。30時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−6)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は8.5万、VDC含有量は89重量%であった。
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水200重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体85重量部、塩化ビニル単量体15重量部、t−ブチルパーオキシピバレート0.7重量部の混合物を投入し、反応機内を65℃に昇温して重合を開始する。10時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−7
)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は5万、VDC含有量は90重量%であった。
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体83重量部、塩化ビニル単量体17重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を37℃に昇温して重合を開始する。45時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−8)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は13万、VDC含有量は93重量%であった。
PVDC−1とPVDC−2を80/20(重量%)の割合でブレンドした後、これらの塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物100重量部に対して、ジブチルセバケート3.0重量部、エポキシ化大豆油2.0重量部配合し、サーキュラーダイを設置した径40mm溶融押出機に供給し、溶融し管状に押出した。ダイリップ部分に炭化物が付着して、パリソン表面に炭化物による筋状形跡が現れるまでの連続押出時間を評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]、[比較例7〜9]
PVDC−1、3、4、7を使用して表2のとおりにブレンドを行い、ジブチルセバケート3.0重量部、エポキシ化大豆油2.0重量部配合し、実施例5と同様に評価した。結果を表2に示す。
Claims (3)
- 下記の塩化ビニリデン系共重合体(A)と塩化ビニリデン系共重合体(B)からなる塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物であって、共重合体(A)の含有量が75重量%以上95重量%以下であり、共重合体(A)の重量平均分子量が共重合体(B)の重量平均分子量より小さく、且つ、共重合体(A)中の塩化ビニリデン含有量が共重合体(B)中の塩化ビニリデン含有量より大きいことを特徴とする、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物。
塩化ビニリデン系共重合体(A):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上99重量%以下であり、重量平均分子量が、7万以上12万以下である塩化ビニリデン系共重合体
塩化ビニリデン系共重合体(B):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上97重量%以下であり、重量平均分子量が、9万以上20万以下である塩化ビニリデン系共重合体 - 請求項1に記載の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。
- 請求項2に記載のフィルムまたはシートからなる食品包装材料。
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