JP5007816B2 - 固体高分子電解質膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
なお、(部分)加水分解・縮合とは、アルコキシシリル基の一部又は全部が加水分解・縮合されたことを示す。
〔1〕 (a)下記平均組成式
R a SiO (4-a)/2
(式中、Rは炭素数1〜10の同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基である。ただし1分子中にアルケニル基を2個以上含む。aは1.95〜2.05の正数を表す。)
で示されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部、
(b)(A)下記一般式(1)
で示されるアルコキシシリル基含有不飽和モノマーと、
(B)下記一般式(2)
で示されるアルケニルシリル基含有不飽和モノマーと、
(C)スルホン酸基含有不飽和モノマー及び/又はホスホン酸基含有不飽和モノマーとを、
(A)成分と(B)成分の使用割合をモル比で(A)/(B)=90/10〜10/90とし、(C)成分と(A),(B)成分の使用割合をモル比で(C)/[(A)+(B)]=100/0.1〜100/50として共重合してなるイオン伝導性高分子物質又はこのイオン伝導性高分子物質のアルコキシシリル基の一部又は全部を加水分解・縮合することにより得られた水不溶性物質:20〜400質量部、
(c)架橋剤:0.1〜10質量部
を含有してなるシリコーン組成物を製膜、硬化してなることを特徴とする固体高分子電解質膜。
〔2〕 イオン伝導性高分子物質及び/又はその誘導体の酸基が、アミン塩、アンモニウム塩又はアルカリ金属塩を形成していることを特徴とする〔1〕に記載の固体高分子電解質膜。
〔3〕 スルホン酸基含有不飽和モノマーとホスホン酸基含有不飽和モノマーが、モル比で(ホスホン酸基含有不飽和モノマー)/(スルホン酸基含有不飽和モノマー)=0/100〜90/10の割合で使用されてなることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の固体高分子電解質膜。
〔4〕 ホスホン酸基含有不飽和モノマーが、下記一般式(3)で表されるものであることを特徴とする〔3〕に記載の固体高分子電解質膜。
〔5〕 シリコーン組成物が、更に(d)補強性シリカ粉末を(a)成分100質量部に対して3〜70質量部配合してなることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の固体高分子電解質膜。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のシリコーン組成物を、120℃〜180℃の温度の熱プレスにより架橋・製膜した後、酸基がアミン塩、アンモニウム塩又はアルカリ金属塩を形成している場合は酸処理することで酸型にもどすことにより、プロトン伝導性とゴム弾性を有する膜にすることを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
本発明のイオン伝導を担う高分子物質は、シリコーンゴムとの共架橋のためにアルケニルシリル基を有するモノマーを、また、水への溶け出し防止のためにアルコキシシリル基を含有するモノマーを、酸基含有不飽和モノマーと共重合した、脂肪族低級アルコールに可溶な酸基含有共重合体である。この共重合体は、重合時は脂肪族低級アルコール等の適当な溶剤に溶解させることができ、シリコーンゴムと共架橋・製膜した後は水に不溶化し、電解質膜として使用でき、経時で導電性が劣化する不都合がない。また溶媒として脂肪族低級アルコールを用いることができるので、環境上安全に製造することができる。
そのため、燃料電池用電解質膜、一次電池用電解質膜、二次電池用電解質膜、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに好適に利用できる。
(1)イオン伝導性高分子物質の原料
本発明のイオン伝導性高分子物質は、(A)分子内に1個以上のアルコキシシリル基と1個以上のエチレン性不飽和結合とを有するアルコキシシリル基含有不飽和モノマーと、(B)分子内に1個以上のケイ素原子と直接に結合したエチレン性不飽和結合と1個以上のケイ素原子と直接には結合しないエチレン性不飽和結合とを有するアルケニルシリル基含有不飽和モノマーと、(C)分子内に1個以上の酸基と1個以上のエチレン性不飽和結合とを有する酸基含有不飽和モノマーとを含む不飽和モノマーを共重合した高分子物質である。
(A)成分の導入は、アルコキシシリル基を(部分)加水分解・縮合させた誘導体にすることにより水に対する不溶化・耐水性向上を、(B)成分の導入は、オルガノポリシロキサンとの共架橋によるゴム弾性、強度、耐熱性の向上を目的とする。また、(C)成分の導入は、イオン伝導性の発現を行うためのものである。
(A)分子内に1個以上のアルコキシシリル基と1個以上のエチレン性不飽和結合とを有するアルコキシシリル基含有不飽和モノマーは、以後アルコキシシリル基含有不飽和モノマーと略記する。
エチレン性不飽和結合としては、メタクリロキシ基やアクリロキシ基などがある。アルコキシシリル基含有不飽和モノマーとしては、こうした基を持つエステルやアミドが挙げられ、(メタ)アクリロキシ基あるいは(メタ)アクリルアミド基などを含有するシラン化合物が望ましい。
(B)分子内に1個以上のケイ素原子と直接に結合したエチレン性不飽和結合と1個以上のケイ素原子と直接には結合しないエチレン性不飽和結合とを有するアルケニルシリル基含有不飽和モノマーは、以後アルケニルシリル基含有不飽和モノマーと略記する。
(C)分子内に1個以上の酸基と1個以上のエチレン性不飽和結合とを有する酸基含有不飽和モノマーは、以後酸基含有不飽和モノマーと略記する。
イオン伝導性高分子物質は、この酸基含有不飽和モノマーを共重合して生まれるものであり、酸基としては、(C−1)ホスホン酸(リン酸)基と、(C−2)スルホン酸基と、(C−3)その他の酸基に大別できる。
ホスホン酸基を含有する不飽和モノマーとしては、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基を含有するホスホン酸エステル、あるいはメタクリロキシ基又はアクリロキシ基を含有するホスホン酸アミド及びその誘導体が挙げられる。ホスホン酸基含有不飽和モノマーは、リン酸が三価の酸であることを反映してイオン交換容量の大きいものが多く、例えばユニケミカル社製のホスマーシリーズを挙げることができる。
とりわけ、(C−1)ホスホン酸基含有不飽和モノマーの望ましい構造は、下記一般式(3)により表されるものである。
スルホン酸基を含有する不飽和モノマーとしては、不飽和基として、ビニル基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、メタクリルアミド基又はアクリルアミド基を含有するスルホン酸基含有モノマー又はその誘導体が挙げられる。
上記ホスホン酸基、スルホン酸基以外の他の酸基を含有する不飽和モノマーとしては、カルボキシル基を含む不飽和モノマーがあり、この例示化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物等が挙げられる。
本発明のイオン伝導性高分子物質は、その他の不飽和モノマーを共重合成分として含んでもよい。その他の不飽和モノマーとしては、酸基を含有しない不飽和モノマーが挙げられ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド類;置換又は非置換のスチレン類;塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等のビニル類等が挙げられる。
アルコキシシリル基含有不飽和モノマー(A)と、アルケニルシリル基含有不飽和モノマー(B)との使用割合は、モル比で(アルコキシシリル基含有不飽和モノマー)/(アルケニルシリル基含有不飽和モノマー)=90/10〜10/90で、好ましくは75/25〜25/75、最も好ましくはほぼ等モルに設定することができる。アルコキシシリル基含有不飽和モノマーがこれよりも多い場合、重合中にゲル化を起こしやすくなり、オルガノポリシロキサンとの配合時に分散性が悪くなるため膜強度が低下するおそれがあり、これよりも少ない場合、水溶性になり、ゴム膜の耐水性が悪くなるおそれがある。
共重合体における(C−1)ホスホン酸基含有不飽和モノマーと、(C−2)スルホン酸基含有不飽和モノマーとの使用割合は、モル比で(ホスホン酸基含有不飽和モノマー)/(スルホン酸基含有不飽和モノマー)=0/100〜90/10とすることが好ましく、より好ましくは1/99〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20、最も好ましくはほぼ等モルに設定することができる。
本発明のイオン伝導性高分子物質は、上述した各種の不飽和モノマーの混合物をラジカル重合により共重合させることによって製造できる。
アルコキシシリル基含有不飽和モノマーと、アルケニルシリル基含有不飽和モノマーと、酸基含有不飽和モノマーを含有する不飽和モノマーの共重合体は、アルコキシシリル基含有不飽和モノマー及びアルケニルシリル基含有不飽和モノマーが親油性であり、酸基含有不飽和モノマーが親水性であるため、この違いにより共重合化が難しく、とりわけアルコキシシリル基含有不飽和モノマーは、重合する際にゲル化を起こし易く、溶媒不溶となってしまい、工業的に製造することが困難であった。本発明においては、親水性重合触媒と親油性重合触媒を併用する重合方法をとることにより、ゲルの生成を伴わずに共重合することが可能となる。
重合手順について述べる。まず撹拌器、還流冷却器付き反応器に、上記各種不飽和モノマー及び溶媒からなる溶液を投入し、40℃〜90℃、好ましくは50℃〜80℃に昇温する。所定温度到達直後に重合開始剤(親水性重合触媒及び親油性重合触媒)を添加する。このとき若干の発熱があり、重合開始を確認することができる。所定温度に到達してから1〜10時間程度重合反応を継続する。反応温度は最初から最後まで一定である必要はなく、重合末期に温度を上げて未反応モノマーを極力少なくする方法をとってもよい。
得られた共重合体の分子量は、1質量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000、特に10,000〜100,000であることが好ましい。
本発明は、更に上記イオン伝導性高分子物質を(部分)加水分解・縮合して得られるイオン伝導性高分子誘導体を提供する。ここで、イオン伝導性高分子誘導体とは、イオン伝導性高分子物質のアルコキシシリル基の一部又は全部を加水分解・縮合することにより得られるもので、該イオン伝導性高分子物質の(部分)加水分解・縮合物からなる水不溶性のものである。
本発明の電解質膜は、特に、(a)オルガノポリシロキサンと、(b)イオン伝導性高分子物質及び/又はその誘導体と、(c)硬化させるに十分な量である架橋剤を含むシリコーン組成物を製膜・硬化してなるものとすることができる。
(b)イオン伝導性高分子物質及び/又はその誘導体
イオン伝導性高分子物質又はその誘導体は、アンモニアのような塩基性化合物により中和して酸基を塩としてあることが好ましく、かかる場合、中性−弱塩基性の固体又はその溶液である。なお、水の存在下でアンモニア等の塩基性化合物によりイオン伝導性高分子物質を中和すると、アルコキシシリル基の一部又は全部は加水分解・縮合し、誘導体に変化しているものである。
本発明で用いられる(a)オルガノポリシロキサンは、アルケニル基を有するものを用い、組成物の主剤であり、強度に大きな影響を与えるものである。
これは、平均組成式RaSiO(4-a)/2で示され、末端がトリオルガノシロキシ基又はジオルガノヒドロキシシロキシ基で封鎖されたものであることが好ましく、式中のRは炭素数1〜10の同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基、aは1.95〜2.05の正数である。
(c)成分は、本組成物を硬化させるための架橋剤である。シリコーンゴム組成物の架橋に使用されるラジカル反応等を利用して架橋、硬化させるものであれば、その硬化機構に制限はなく、従来公知の種々の硬化剤を用いることができる。とりわけラジカル反応では有機過酸化物が使用される。
本発明に係るシリコーン組成物には、上記必須成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ、他の導電剤、補強剤、発泡剤、難燃剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤を加えることができる。
補強性シリカ粉末の添加量は、(a)オルガノポリシロキサン100質量部に対して0〜70質量部、特に3〜50質量部とすることが好ましい。
本発明のシリコーン組成物において、成分の配合量は(a)オルガノポリシロキサン100質量部に対して(b)イオン伝導性高分子物質及び/又はその誘導体が20〜400質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜200質量部の範囲である。(b)成分の配合量が20質量部未満であると、得られた膜の導電性が著しく低下する場合があり、また400質量部を超えると、得られた組成物の流動性が著しく低下し、その組成物の取り扱い作業性が著しく困難となる場合がある。
(a)〜(c)成分を含有するシリコーン組成物を製造するに当たり、(a)オルガノポリシロキサンに、(b)イオン伝導性高分子物質及び/又はその誘導体を混合させた後、(b)イオン伝導性高分子物質及び/又はその誘導体が含有している水やアルコールのような溶剤を除去する。この場合、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練り機を用いて均一に混合することができる。
本発明の高分子電解質膜の強度は高いものであるが、それはオルガノポリシロキサンのアルケニル基やイオン伝導性高分子誘導体のアルケニルシリル基の架橋と、オルガノポリシロキサン中に残存するシラノール基、イオン伝導性高分子誘導体のアルコキシシリル基に由来するシラノール基や未反応の加水分解によってなくなっていないアルコキシシリル基の加水分解・縮合反応による架橋に主に起因するものと考えられ、その他に、特にシリコーン組成物としてシリカを配合した場合は、シリカのシラノール基と、イオン伝導性高分子誘導体のアルコキシシリル基由来のシラノール基や未反応の加水分解によってなくなっていないアルコキシシリル基の加水分解・縮合反応による架橋に主に起因するものと考えられる。そのイオン伝導性高分子誘導体の酸基が、アルコキシシリル基やシラノール基の架橋触媒として作用し、アルコキシシリル基、シラノール基が架橋することも寄与しているものと考えられ、これが耐水性の向上に寄与する面もあると考えられる。
特にスルホン酸基含有不飽和モノマーとホスホン酸基含有不飽和モノマーを用いた場合、ナフィオン膜の4倍以上という非常に高いイオン交換容量をもち、低湿度条件下でもプロトンは、ポリマー中の酸基からなる親水部に沿って効率的に伝導できると考えられる。
表1に示す配合組成に従い、シリル基含有不飽和モノマー(アルコキシシリル基含有不飽和モノマー(KBE−AA)、ビニルシリル基含有不飽和モノマー(Sty−ViSi))と酸基含有不飽和モノマー(ホスホン酸基含有不飽和モノマー(ホスマーN2P)、スルホン酸基含有不飽和モノマー(AASO3H))を、重合触媒を用いて重合を行い、得られたイオン伝導性高分子物質の物性を評価した。また、その誘導体(ポリマーと略記)を調製した。
[合成例1]
還流冷却管、滴下漏斗、温度計及び窒素ガス導入管を接続した反応装置に、トリエトキシプロピルアクリルアミド(KBE−AA)22g(2mol%)と、トリス(ジメチルビニルシロキシ)スチリルシラン(Sty−ViSi)18g(1mol%)と、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AASO3H)392g(48.5mol%)と、アクリルアミドビスホスフェート(ユニケミカル社製、ホスマーN2P)444g(48.5mol%)と、エタノール(EtOH)4,500gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌し、オイルバスの温度を重合温度となる80℃まで昇温した。
この溶液は、1質量%DMF溶液 GPCでのポリスチレン換算重量平均分子量68,000で、重合しなかった残留モノマーと考えられる分子量が300以下のエリア面積は3%であり重合は良好に進行したと考えられる。
還流冷却管、滴下漏斗、温度計及び窒素ガス導入管を接続した反応装置に、トリエトキシプロピルアクリルアミド(KBE−AA)11g(2mol%)と、トリス(ジメチルビニルシロキシ)スチリルシラン(Sty−ViSi)9g(1mol%)と、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AASO3H)385g(97mol%)と、エタノール(EtOH)4,500gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌し、オイルバスの温度を重合温度となる80℃まで昇温した。
比較のために、実施例1と同様の実験条件で、トリエトキシプロピルアクリルアミド(KBE−AA)22g(2mol%)と、トリス(ジメチルビニルシロキシ)スチリルシラン(Sty−ViSi)18g(1mol%)だけを使用しないで、共重合体を合成した。この時も、重合開始が確認され、6時間重合させて、共重合体を含むEtOH溶液を得た。
このポリマーは水溶性のため、一旦溶媒を除いて製膜できても経時で環境の水分を吸収して溶解してしまうため、導電率の測定はできなかった。
比較のために、実施例1と同様の実験条件で、トリエトキシプロピルアクリルアミド(KBE−AA)22g(2mol%)だけを使用しないで、共重合体を合成した。この時も、重合開始が確認され、6時間重合させて、共重合体を含むEtOH溶液を得た。
このポリマーは水溶性のため、一旦溶媒を除いて製膜できても経時で環境の水分を吸収して溶解してしまうため、導電率の測定はできなかった。
比較のために、実施例1と同様の実験条件で、トリス(ジメチルビニルシロキシ)スチリルシラン(Sty−ViSi)18g(1mol%)だけを使用しないで、共重合体を合成した。この時も、重合開始が確認され、6時間重合させて、共重合体を含むEtOH溶液を得た。
この溶液からは、湿度43%の室内で24時間放置して、膜厚255μmのイオン伝導性高分子膜を作製した。この膜は、イオン導電性の測定を行ったところ、10-5S/cmオーダーの値が得られた。
(2) Sty−ViSi:トリス(ジメチルビニルシロキシ)スチリルシラン。
(3) AASO3H:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸。
(4) ホスマーA:アクリルアミドビスホスフェート。
(5) (NH4)2S2O8:アンモニウムパーオキシジサルフェイト。
(6) V−59:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)。
(7) DMF:ジメチルホルムアミド。
10〜23質量%(不揮発分の値)EtOH溶液のオストワルド粘度計による25℃の溶液粘度。
不揮発分:
アルミシャーレに一定量はかりとり、105℃のオーブンに3時間入れ、質量の減少から求めた。
膜厚:
ミツトヨ社製のシックネスゲージ(Model ID C112B)で測定。
還流冷却管、滴下漏斗、温度計及び窒素ガス導入管を接続した反応装置に、合成例1,2及び比較合成例3の溶液を仕込み、撹拌・冷却下に、アンモニア水溶液を滴下漏斗から滴下した。リトマス紙で中性〜弱塩基性を示すまで徐々に加えて中和したあと、全反応液と2倍容積のアセトンに撹拌下に加えることで、固体として析出させた。この固体は、オルガノポリシロキサン生ゴムに配合し、実施例1〜3、比較例2のプロトン伝導材料として使用した。
[実施例1〜3、比較例1,2]
(3)シリコーンゴム用コンパウンドの製造
(CH3)2SiO単位99.50モル%、(CH3)(CH2=CH)SiO単位0.475モル%及び(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位0.025モル%からなるジオルガノポリシロキサン生ゴム100質量部、アエロジル R−972(フュームドシリカ、日本アエロジル社製)40質量部、末端水酸基ジメチルシリコーンオイル(重合度10、分散助剤)5質量部をニーダーにて配合し、160℃で2時間熱処理してコンパウンドとした。これは、シリカ含有量が、ポリシロキサンを含む全不揮発成分中27.5%であるシリカを含むシリコーンゴム用コンパウンド(以下KE−MUと略記する)である。
このコンパウンドは、二本ロールで混練した後、コンパウンド100質量部に対してC−8B(信越化学工業株式会社製パーオキサイド)を3.0質量部添加し、パーオキサイド架橋用のコンパウンドを調製した。このコンパウンドは、165℃で10分間という条件でプレス成型(圧力70kgf/cm2)を行い、100〜300μm膜厚の電解質膜を得た。この電解質膜は、105℃のオーブンに2時間入れ、後架橋を行った。
この電解質膜を1N硫酸水溶液に、室温下1日間浸漬処理後、水洗することによって、電解質膜中の酸基中のアンモニウムイオンをプロトンと交換させた。
実施例1〜3で作製した電解質膜、比較例1,2で作製した電解質膜、及び比較例3のNafion117について、ゴム弾性、引っ張り強度、耐熱性、導電率(プロトン伝導性)を測定した。
表2の結果より、実施例1〜3の電解質膜は、いずれも相対湿度100%での導電率が10-2〜10-1S/cmのオーダーであり、相対湿度30%での導電率が10-5〜10-2S/cmのオーダーにある。とりわけ、リン酸基及びスルホン酸基を両方持つ高分子を含有する電解質膜の場合は、相対湿度30%での導電率が10-3〜10-2S/cmのオーダーと非常に良好な水準にあることがわかる。
Claims (6)
- (a)下記平均組成式
R a SiO (4-a)/2
(式中、Rは炭素数1〜10の同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基である。ただし1分子中にアルケニル基を2個以上含む。aは1.95〜2.05の正数を表す。)
で示されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部、
(b)(A)下記一般式(1)
で示されるアルコキシシリル基含有不飽和モノマーと、
(B)下記一般式(2)
で示されるアルケニルシリル基含有不飽和モノマーと、
(C)スルホン酸基含有不飽和モノマー及び/又はホスホン酸基含有不飽和モノマーとを、
(A)成分と(B)成分の使用割合をモル比で(A)/(B)=90/10〜10/90とし、(C)成分と(A),(B)成分の使用割合をモル比で(C)/[(A)+(B)]=100/0.1〜100/50として共重合してなるイオン伝導性高分子物質又はこのイオン伝導性高分子物質のアルコキシシリル基の一部又は全部を加水分解・縮合することにより得られた水不溶性物質:20〜400質量部、
(c)架橋剤:0.1〜10質量部
を含有してなるシリコーン組成物を製膜、硬化してなることを特徴とする固体高分子電解質膜。 - イオン伝導性高分子物質及び/又はその誘導体の酸基が、アミン塩、アンモニウム塩又はアルカリ金属塩を形成していることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子電解質膜。
- スルホン酸基含有不飽和モノマーとホスホン酸基含有不飽和モノマーが、モル比で(ホスホン酸基含有不飽和モノマー)/(スルホン酸基含有不飽和モノマー)=0/100〜90/10の割合で使用されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜。
- シリコーン組成物が、更に(d)補強性シリカ粉末を(a)成分100質量部に対して3〜70質量部配合してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン組成物を、120℃〜180℃の温度の熱プレスにより架橋・製膜した後、酸基がアミン塩、アンモニウム塩又はアルカリ金属塩を形成している場合は酸処理することで酸型にもどすことにより、プロトン伝導性とゴム弾性を有する膜にすることを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
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