JP5005860B2 - 溶融型固形洗浄剤組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融型固形洗浄剤組成物及びその製造方法に関し、更に詳細には自動食器洗浄機用溶融型固形洗浄剤組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬表面に対する洗浄剤、とくに自動食器洗浄機用洗浄剤としては液体もしくは粉末洗浄剤が使用されていた。しかし、例えば粉末洗浄剤の場合は、必要に応じて作業員が納められた容器から、粉末洗浄剤を取り出して洗浄剤供給装置に投入する方法がとられ、作業効率が悪い上に人体に対する危険性等の問題、さらには、粉末洗浄剤の配合成分の溶解速度の相違により、洗浄液の組成や濃度が常に一定にならず、洗浄性能が一定でなくなるという問題がある。また、液体洗浄剤の場合は、組成の経時変化はないが、液体となるために洗浄力に無関係な水を多量に配合しなくてはならず、有効成分が粉末洗浄剤と比較して少ないために十分な洗浄効果が得られないという問題がある。
【0003】
上記問題点を解決する一つの方法として、洗浄剤組成物の洗浄力を高めて洗浄効果を上げる方法が提案されている。例えば、米国特許第3166513号、同第3535285号、同第3579455号、同第3700599号及び同第3899436号明細書に記載されているように、高アルカリ剤(アルカリ金属水酸化物等)を飲食物の強固な汚れを除去するものとして配合し、さらに洗浄力を補助するものとして縮合リン酸塩、炭酸塩等が加えられ、さらにこれに塩素化イソシアヌール酸ソーダなどの塩素含有化合物、消泡剤が加えられた洗浄剤組成物が提案されている。このような洗浄剤組成物を固形水和物洗浄剤としてプラスチック製の洗浄剤容器に注型、充填したカートリッジ式の固体洗浄剤が提案され、最近では、安全性や使い勝手からこのようなカートリッジ式の洗浄剤が普及してきている。
【0004】
しかしながら、このような高アルカリ剤配合の洗浄剤は、金彩食器の絵柄を消失したり、グラスやアルミニウム製品を侵食したりする問題点がある。
また、アルカリ金属珪酸塩を主成分とした洗浄剤を使用すると、グラスやアルミニウム製品を侵食する問題は回避できることが知られているが、アルカリ金属珪酸塩をスラリー中に多量配合すると長時間固化しないという問題点がある。
【0005】
このような問題点を解決するために、特開昭64−51498号公報では、結晶性ケイ酸アルカリ金属塩に水和水を有するアルカリ金属の縮合リン酸塩を配合してスラリー化し、固化注型組成物とすることにより、グラスやアルミニウムのエッジングも防止できる固形洗浄剤組成物が報告されている。
【0006】
しかしながら、上記特開昭64−51498号公報では、添加水が脱イオン化されていることが必要であり、かつ水和水を有するアルカリ金属の縮合リン酸塩を多量に配合しなければならない課題があるのが現状である。
【0007】
さらに、特開2000−144196号公報では、溶融型固形洗浄剤組成物として、アルカリ金属珪酸塩,金属イオン封鎖剤及び水を含有する均一なスラリーから成る洗浄剤組成物を収納し、冷却固化する際に結晶水を有するアルカリ金属メタ珪酸塩の粒子を添加して短時間で冷却固化させることが記載されている。
【0008】
しかしながら、上記特開2000−144196号公報では、均一なスラリーを形成し収納した後に、結晶水を有するアルカリ金属メタ珪酸塩の粒子を添加するために、製造時に手間がかかると同時に製品中にて原料のばらつきが生じることが考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、水酸化ナトリウムなどの高アルカリ剤を用いることなく、製造が簡単で、均一なスラリーのまま短時間で全体を水和固化できることで原料のばらつきもなく、取り扱いが安全で、しかもグラスやアルミニウム製品などの侵食も防止できる自動食器洗浄機用の溶融型固形洗浄剤組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、水、結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩、無水アルカリ金属珪酸塩及び金属イオン封鎖剤から成る溶融型固形洗浄剤にて、製造が簡単で、均一なスラリーのまま短時間で全体を水和固化できることで原料のばらつきもなく、取り扱いが安全で、しかもグラスやアルミニウム製品などの侵食も防止でき、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩;(B)粒径1.0mm以下の無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を、各成分につき1種以上含有し、さらに(D)水を含有し、(A)成分の含有量が30〜70質量%、(B)成分の含有量が5〜30質量%、(C)成分の含有量が5〜50質量%、(D)成分の含有量が5〜30質量%であり、洗浄剤組成物中のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属を示す)の質量比が0.8〜1.0であることを特徴とする溶融型固形洗浄剤組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物中の、固形分/水分の質量比が1.0〜3.0であることを特徴とする。
更に、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩がメタ珪酸ナトリウム・5水塩であることを特徴とする。
また、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、(B)粒径1.0mm以下の無水アルカリ金属珪酸塩がメタ珪酸ナトリウムであることを特徴とする。
更に、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、アルミ対応洗浄剤であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、(1)(D)水及び(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を含むアルカリ水溶液を40〜70℃に維持し、均一に溶解する工程;(2)上記アルカリ水溶液を攪拌しながら、(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を加え、(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を分散させる工程;及び(3)上記で得られた混合物を常温で固化させる工程を含むことを特徴として製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩
本発明において使用する(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩は、例えば、メタ珪酸ナトリウム・5水塩、メタ珪酸ナトリウム・9水塩等の1種以上が挙げられ、好ましくはメタ珪酸ナトリウム・5水塩である。
(A)成分の結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩の量は、洗浄剤組成物全量に対して、30〜70質量%であり、40〜55質量%が好ましい。(A)成分の結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩の量が、30質量%未満では、製品の固化及び固化速度に悪影響を与えると同時に洗浄性能が劣り、また、70質量%を超えると、攪拌機による攪拌が困難で均一なスラリーを形成できなくなるために好ましくない。
【0015】
(B)無水アルカリ金属珪酸塩
本発明において使用する(B)無水アルカリ金属珪酸塩は、例えば、オルソ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、A珪酸カリウム、B珪酸カリウム、C珪酸カリウム等の一種以上が挙げられ、SiO2/M2O(Mはアルカリ金属を示す)の質量比が1.0以下であるものが好ましく、また、粒径が1.0mm以下のメタ珪酸ナトリウムが好ましい。
(B)無水アルカリ金属珪酸塩の量は、洗浄剤組成物全体に対して、5〜30質量%であり、10〜20質量%が好ましい。(B)無水アルカリ金属珪酸塩の量が、5重量%未満では製品の固化及び固化速度に悪影響を与え、また、30重量%を超えると、攪拌機による攪拌が困難で均一なスラリーを形成できなくなるために好ましくない
【0016】
本発明の溶融型固形洗浄剤組成物中のSiO2/M2Oの質量比も製品の固形化に大きく影響し、SiO2/M2O質量比が1.0を超えると製品の固化が困難になり、SiO2/M2O質量比が0.8以下になると製品のアルミ腐食性に悪影響を及ぼすために、本発明の溶融型洗浄剤組成物中のSiO2/M2O質量比は、0.8〜1.0である。したがって、SiO2/M2O質量比が1.0を超える無水アルカリ金属珪酸塩では、洗浄剤組成物中のSiO2/M2O質量比が1.0を超え、製品の固化が困難になることより、SiO2/M2O質量比が1.0以下である(B)無水アルカリ金属珪酸塩が好ましい。
【0017】
さらに、(B)無水アルカリ金属珪酸塩は、溶融型固形洗浄剤中に分散して配合するために、均一なスラリーを形成するのに無水アルカリ金属珪酸塩の粒径も大きな要因に挙げられ、1.0mm以下の(B)無水アルカリ金属珪酸塩が好ましい。すなわち、1.0mmより大きい無水アルカリ金属珪酸塩では、製品が水和固化するまでの間に、スラリー中にて沈降してしまい、製品中にて原料のばらつきが生じてしまうために、1.0mm以下の無水アルカリ金属珪酸塩が好ましい。
【0018】
これらのことより、製品の固化及び均一なスラリーを形成するには、(B)無水アルカリ金属珪酸塩として、SiO2/M2O質量比が1.0以下で、かつ粒径が1.0mm以下の無水メタ珪酸ナトリウムが特に好ましい。
【0019】
(C)金属イオン封鎖剤
本発明において使用する(C)金属イオン封鎖剤は、例えば、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等のヒドロキシカルボン酸塩、ニトリロトリ酢酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラ酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチレンジアミントリ酢酸ナトリウム等のアミノカルボン酸塩が挙げられ、好ましくはニトリロトリ酢酸ナトリウム及び、これ以外の金属イオン封鎖剤との組み合わせである。
(C)金属イオン封鎖剤の量は、洗浄剤組成物全体に対して、5〜50質量%であり、20〜40質量%が好ましい。(C)金属イオン封鎖剤の量が5質量%未満では、金属イオン封鎖能が劣るため好ましくなく、50質量%を超えると、攪拌機による攪拌が困難で均一なスラリーを形成できなくなるために好ましくない。
【0020】
(D)水
本発明において使用する(D)水は、溶融型固形洗浄剤を形成するための媒体であり、自由水及びアルカリ金属珪酸塩の結晶水が用いられ、洗浄剤組成物全量に対して、5〜30質量%であり、10〜20質量%が好ましい。(D)水の量が5質量%未満では、攪拌機による攪拌が困難で均一なスラリーを形成できなくなり、また、30質量%を超えると製品の固化及び固化速度に悪影響を与えるために好ましくない。
【0021】
本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物中の固形分/水分の質量比が、1.0〜3.0であるのが好ましく、1.5〜2.5であるのがより好ましい。固形分/水分の質量比が1.0より小さいと製品の固化及び固化速度に悪影響を与えるので好ましくなく、また、3.0より大きいと攪拌機による攪拌が困難で均一なスラリーを形成できなくなるために好ましくない。
【0022】
任意成分
本発明の溶融型固形洗浄剤組成物では、前記(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩、(B)無水アルカリ金属珪酸塩、(C)金属イオン封鎖剤及び(D)水以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他の任意成分を配合することができる。
その例を挙げると、無機塩類、高分子分散剤、各種界面活性剤、酸化剤、酵素、漂白剤、色素及び香料等を配合することができる。
無機塩類としては例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
高分子分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、アクリル酸/イタコン酸共重合体、アクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/メチルビニルエーテル共重合体、アクリル酸/オレフィン類共重合体、マレイン酸/スチレンスルホン酸共重合体等又はこれらの塩が挙げられる。
界面活性剤としては特に限定されないが、低発泡性のものがよく、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、エチレンジアミンのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、リン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
漂白剤としては、過炭酸ナトリウム、過ほう酸ナトリウム、過フタル酸ナトリウム、クロラミンB(N−クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム)、ジクロラミンB(N,N’−ジクロロベンゼンスルホンアミド)、クロラミンT(N−クロロ−P−トルエンスルホンアミドナトリウム)、ジクロラミンT(N,N’−ジクロロ−P−トルエンスルホンアミド)等のクロロアミン化合物、塩素化イソシアヌール酸塩、次亜塩素酸塩、塩化リン酸三ナトリウム等が挙げられる。
酵素としては、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、グリコシダーゼ、グルコースオキシターゼ、コレステロールオキシターゼ等が挙げられる。
【0023】
本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩、(B)無水アルカリ金属珪酸塩、(C)金属イオン封鎖剤及び(D)水を含有し、結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を均一に溶解し、無水アルカリ金属珪酸塩及び金属イオン封鎖剤が、洗浄剤組成物中に均一に分散していることが必要である。(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩が均一に溶解していない場合や、均一に分散していない場合、洗浄性能が一定でなくなる等の問題が生じる。
【0024】
(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を均一に溶解させるには、(D)水を40〜70℃に維持し、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を加えればよいが、40℃より低いと、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩が均一に溶解せず、70℃を超えると製品の固化及び固化速度に悪影響を与えるために好ましくない。
【0025】
また、(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を洗浄剤組成物中に均一に分散させるためには、(D)水、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を40〜70℃、好ましくは50〜65℃に維持し、該アルカリ水溶液を攪拌しながらこれに順次(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を加えればよいが、好ましくは、(B)無水アルカリ金属珪酸塩として、SiO2/M2O質量比が1.0以下で、かつ1.0mm以下の粒径であるメタ珪酸ナトリウムを使用するのが良い。
【0026】
(B)無水アルカリ金属珪酸塩を加え、分散させるときの温度は、40℃より低いと製造中に組成物が固化してしまい、70℃を超えると製品の固化及び固化速度に悪影響を与える。
【0027】
溶融型固形洗浄剤組成物の製造方法
本発明の溶融型固形洗浄剤組成物の好ましい製造方法は、(D)水、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩、さらに任意成分を含むアルカリ水溶液を40〜70℃に維持し、攪拌しながら(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を加えて、(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を分散させる。均一に分散後、この混合物をそのまま或いは小分け包装容器に充填して常温に放置すると、1〜2時間で固化し、本発明品の溶融型固形洗浄剤組成物が得られる。
【0028】
任意成分として、界面活性剤、高分子分散剤、補足剤(硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩類)を配合する場合の好ましい製造方法の例を挙げると、(D)水に界面活性剤、高分子分散剤、無機塩類を溶解し、水溶液を40〜70℃に維持し、(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を加え、攪拌溶解した後(この時点で結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩の吸熱反応により溶液の温度が低下する)、40〜70℃に昇温後、(B)無水アルカリ金属珪酸塩を加え、さらに無機塩類を加え、40〜70℃に維持しつつ(C)金属イオン封鎖剤を加え、攪拌、分散させる。均一に分散後、この混合物をそのままあるいは小分け包装容器に充填して常温に放置すると、1〜2時間で固化し、本発明品の溶融型固形洗浄剤組成物が得られる。
【0029】
本発明の溶融型固形洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用洗浄剤として使用するのが好ましい。その場合、自動食器洗浄機としては種々のものがあるが、例えば、洗浄剤は、容器に組成物を充填させたカートリッジを用いて、容器中の組成物の必要量を水(または湯)で溶解し、供給管を通って食器洗浄機に送られる。本発明の溶融型固形洗浄剤組成物の濃度は、洗浄剤組成物を水で0.05〜0.3%質量%希釈、より好ましくは0.1〜0.2質量%希釈した濃度のものを使用するのが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1〜6
(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩、(B)無水アルカリ金属珪酸塩、(C)金属イオン封鎖剤、(D)水を、表1の組成で配合し、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物を得た。
製造方法として、60℃の水に、結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を加え、60℃に維持しつつ攪拌溶解させ、さらに60℃に維持しつつ、無水アルカリ金属珪酸塩及び金属イオン封鎖剤を加えてスラリーを得た。該スラリーを所定の容器に入れ、常温で放置して固形化させ、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物を得た。
【0031】
評価として、固形化の状態、均一分散性について、下記の基準で評価し、表1に示した。比較品1〜6も同様に製造し評価した。結果を表2に示す。
<固形化>
○:1日後に固形化していた。
×:1日後に固形化していなかった。
<均一分散性>
○:原料が均一に分散していた。
△:やや固形分と水が分離していた。
×:固形分と水が分離していた。
【0032】
【表1】
*1:ドライメタ珪酸ソーダ・5水塩、SiO2/Na2O質量比=29/30*2:無水メタ珪酸ソーダAD、SiO2/Na2O質量比=47/51(広栄化学工業株式会社)
【0033】
【表2】
*1:ドライメタ珪酸ソーダ・5水塩、SiO2/Na2O質量比=29/30*2:無水メタ珪酸ソーダAD、SiO2/Na2O質量比=47/51(広栄
化学工業株式会社)
*3:粉末2号珪酸ソーダ、SiO2/Na2O質量比=60/25
【0034】
実施例4〜9、比較例7
(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩、(B)無水アルカリ金属珪酸塩、(C)金属イオン封鎖剤、(D)水を、さらに、高分子分散剤、界面活性剤を表3の組成で配合し、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物を得た。
製造方法として、室温の水に界面活性剤、高分子分散剤、補足剤を溶解し、その後水溶液を60℃に維持し、結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を加え攪拌溶解した後、さらに60℃に維持しつつ無水アルカリ金属珪酸塩、金属イオン封鎖剤、補足剤を加えてスラリーを得た。該スラリーを所定の容器に入れ、常温で放置して固形化させ、本発明の溶融型固形洗浄剤組成物を得た。
【0035】
評価として、固形化の状態、均一分散性について、実施例1〜3と同様に行なった。結果を表3に示した。
更に下記の条件でアルミ腐食試験を行った。
<アルミ腐食試験>
表3の配合の溶融型固形洗浄剤組成物0.3質量%水溶液に、アルミパネルを5分間浸漬し、70℃で30分間乾燥した。この浸漬乾燥工程を10回繰り返した後、アルミパネルの外観変化を目視にて確認し、下記の評価基準で評価した。
評価基準
○:変化なし
△:やや浸食あり
×:浸食あり
【0036】
【表3】
*1:ドライメタ珪酸ソーダ・5水塩、SiO2/Na2O質量比=29/30*2:無水メタ珪酸ソーダ、SiO2/Na2O質量比=47/51、粉末状であり、粒径1.0mm以下
*3:無水メタ珪酸ソーダ、SiO2/Na2O質量比=47/51、粉末状であり、粒径1.0mmより大きい
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、水酸化ナトリウムなどの高アルカリ剤を用いることなく、製造が簡単で、均一なスラリーのまま短時間で全体を水和固化できることで原料のばらつきもなく、取り扱いが安全で、しかもグラスやアルミニウム製品などの侵食も防止できる自動食器洗浄機用の溶融型固形洗浄剤組成物を提供することができる。
Claims (6)
- (A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩;(B)粒径1.0mm以下の無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を、各成分につき1種以上含有し、さらに(D)水を含有し、(A)成分の含有量が30〜70質量%、(B)成分の含有量が5〜30質量%、(C)成分の含有量が5〜50質量%、(D)成分の含有量が5〜30質量%であり、洗浄剤組成物中のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属を示す)の質量比が0.8〜1.0であることを特徴とする溶融型固形洗浄剤組成物。
- 洗浄剤組成物中の、固形分/水分の質量比が1.0〜3.0である、請求項1記載の溶融型固形洗浄剤組成物。
- (A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩がメタ珪酸ナトリウム・5水塩である、請求項1または2溶融型固形洗浄剤組成物。
- (B)粒径1.0mm以下の無水アルカリ金属珪酸塩がメタ珪酸ナトリウムである、請求項1ないし3のいずれか1項記載の溶融型固形洗浄剤組成物。
- アルミ対応洗浄剤である、請求項1ないし4のいずれか1項記載の溶融型固形洗浄剤組成物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載の溶融型固形洗浄剤組成物の製造方法において、(1)(D)水及び(A)結晶水を有するアルカリ金属珪酸塩を含むアルカリ水溶液を40〜70℃に維持し、均一に溶解する工程;(2)上記アルカリ水溶液を攪拌しながら、(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を加え、(B)無水アルカリ金属珪酸塩及び(C)金属イオン封鎖剤を分散させる工程;及び(3)上記で得られた混合物を常温で固化させる工程を含むことを特徴とする溶融型固形洗浄剤組成物の製造方法。
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