次に、本発明に係るボーリングマシンの最良の実施形態を図面に基づき詳しく説明する。図1は主柱を折り畳んだ状態の本発明に係るボーリングマシンの側面図、図2は主柱を起立させるときの本発明に係るボーリングマシンの側面図、図3は主柱を起立させ伸ばした状態の本発明に係るボーリングマシンの側面図、図4は主柱を起立させ伸ばした状態の本発明に係るボーリングマシンの正面図である。本発明に係るボーリングマシンは、自走手段を備え地面上を自在に移動できるようになっている。図1では、ボーリングマシンを見てその右側が正面、左側が背面であって、ボーリングマシンはその右側へ前進、左側へ後退することになる。
図1乃至4において、1はキャタピラーといった自走手段であり、ほぼ水平に配置される台枠2の下方に配置されている。該台枠2の上面に、エンジン3や油圧タンク4が装備されるボーリングマシン本体5が配置固定されている。また、台枠2上面の後側縁に、前記キャタピラー1を起動させる走行用エンジン6が配置される。ボーリングマシン本体5の一側には、挿通される不図示のボーリングロッドを挟着すると共に地中に掘進させる削孔装置7がほぼ鉛直に配置固定される。該削孔装置7は、その上部にチャック7aが配置されると共に下部にスピンドル7bが配置されている。そして、ボーリング削孔(図示せず。)の軸線上に、スピンドル7bが位置することになる。
ボーリングマシン本体5における削孔装置7を設けた一側に、櫓を構成する主柱8が配置される。該主柱8は下端部が軸着され自在に回動し、鉛直に起立または削孔装置7とは反対側であってボーリングマシン本体5の上面に重なるように傾倒する。主柱8は外側の方形角筒状の主管8aと該主管8a内に挿通されその先端開口から自在に伸縮する丸筒状の副管8bとから概ね構成され、主管8a内に副管8bを収納したとき主管8aの先端開口から副管8bの先端部9が突出するようになっている。そして、該副管8bの先端部9に、起立した主柱8を支持する櫓を構成する支え部材としての支持ワイヤ10が3本吊設されており、各支持ワイヤ10の下端には掛止孔11が設けられている。各支持ワイヤ10は、例えば直径約6mmの太さを有しスチール製である。
前記主柱8についてもう少し詳しく説明する。該主柱8における主管8aの下端部に対応して、ボーリングマシン本体5の上部に軸受部12が設けられる。図5(イ)(ロ)(ハ)に示すように該軸受部12の上面に後側が開放する平面コ字型の軸受板13が立設され、対向する軸受板13,13間に主管8aの下端が介入し、これら対向する両軸受板13,13間に差し渡される横軸14が主管8aを串通している。これにより、該横軸14を支点として主柱8が鉛直面内で前後に回動する。ただ、主柱8は起立したとき鉛直に起立ししかも回動する必要があることから、主管8aの下端がその長手方向に対して直交するように屈曲しており、その屈曲部15に前記横軸14が串通される。
前記両軸受板13,13のうちの一方の軸受板13の外側面に平行な小支板16,16が突設され、該両小支板16,16間に一方の軸受板13から他方の軸受板13に渡る長さの閉止板17が軸18により回動自在に軸着される。このため、両軸受板13,13の上端縁に、回動する閉止板17が介入する凹溝19が設けられる。閉止板17を回動させて凹溝19,19に介入させたとき、角筒状の主管8aの一側外周面に対し閉止板17が近接してほぼ平行に配置する。また、閉止板17の両側に螺子孔20,20が貫設されると共に、両螺子孔20,20にそれぞれ螺子21が螺合される。これら螺子21,21は締め付けることにより、それら螺子21,21の先端部が主管8aの一側外周面に当接して主管8aをその反対方向へ押し、対向位置する軸受板13aとの間で主管8aを挟着し該主管8aをしっかりと固定する。
図6(イ)(ロ)に示すように前記円筒状の副管8bの外周面であって、該副管8bを長手方向に対して直交する面内でその外周面を4等分したときの4点のうち3点に、短柱状の規制部材22,22,22が固着されている。これら規制部材22は、主管8a内で副管8bがその中心軸線の周りに沿って勝手に回動してしまうと良くないことから、前記各規制部材22が主管8aの内周面における各角部の空間内に位置するようになっている。そこで、仮に、主管8a内で副管8bが回動しようとしても、前記各規制部材22が主管8aの各角部内周面に当接してその動きを阻止するようにしている。このように、主管8aを断面方形角筒状、副管8bを円筒状に形成する以外に、図示は省略するが、例えば主管8aをその中心軸線に対する断面形状が前後方向に長い断面長方形角筒状、副管8bを該主管8a内に挿通されその中心軸線に対する断面形状が断面方形角筒状に形成されるようにしても良い。この場合は、副管8bが主管8a内でガタつくことのないように、主管8aにおける上端であって副管8bが配置されてない空間の両側面にそれぞれ該空間内に張り出される突片を設け、副管8bの下端であって前記空間に対向する外周面にその中央に位置して突片を設けるようにしても良い。前記主管8aの突片と副管8bの突片は、これら主管8a、副管8bの中心軸線に沿って投影した場合、互いに重ならないように位置しており、主管8aから副管8bを抜くことができるようにする。
また、副管8bの下端部には直径4mmのスチール製のワイヤ23の一端が止着され、他端側が副管8bの外側であって前記主管8a内の規制部材22が設けられてない角部を通って上方へ引き上げられる。一方、主管8aの外周面上端部に該主管8aの長手方向に沿った面内で回転する第一滑車24が取着されると共に、同じく主管8aの外周面であって前記第一滑車24の下方にウィンチ25が取着される。第一滑車24は、その一部が主管8a内に介入している。前記副管8bの外周面に沿って這わしたワイヤ23は、前記主管8aの上部の第一滑車24を介して該主管8aの外側へ引き出されウィンチ25に巻回される。そこで、該ウィンチ25によりワイヤ23を巻くと、副管8bが主管8aの先端開口から突出して伸びることになり、逆に、ワイヤ23を巻き戻すと副管8bが主管8a内に収納されることになる。また、主管8aの先端部を含め所定位置にはその外周面にその中心軸線と直交する支持孔26が貫設される。そして、副管8bの下端が支持孔26から主管8aの先端開口側へ通過した後に、該支持孔26に外側からポール支持ピン27を挿通することにより、副管8bの下端面が該ポール支持ピン27により受け止められ副管8bが主管8aから伸びた状態で保持される。
副管8bの先端部9には、吊下支持部材28が取着される。図7(イ)(ロ)に示すように、該吊下支持部材28は副管8bの先端部9が挿通される方形角筒状の基部28aを有する。該基部28aの上端外周面であって前側面281と後側面282に対応させて、該基部28aに対して直交する第一腕部28bと第二腕部28cとがそれぞれ一体に設けられる。よって、第一腕部281は前方を向き第二腕部282は後方を向くことになる。基部28aは主管8aとほぼ同じ外径を有し、しかも、吊下支持部材28が副管8bを軸として勝手に回動しないように、副管8bの先端部9の外周面にも吊下支持部材28の基部28aに対応位置させ上下部に前記規制部材22が対向位置して固着されている。基部28aの外周面であって後側面282にはその長手方向に沿って一対の螺子孔29,29が開設され、該各螺子孔29に螺子30が螺合される。これら螺子30,30を螺締することにより、その先端が副管8bの外周面に当接して該副管8bに吊下支持部材28がしっかりと固定される。因みに、基部28aの上端面は塞がれている。
第一腕部28bの先端部には円形状の取付孔33が開設され、その近傍に該取付孔33より小径の透孔34が開設されている。前記取付孔33は第三滑車67を取り付けるためのもので、透孔34は不図示のシートを張設する場合にその紐を挿通して係止するためのものである。一方、基部28aの後側面から後方へ伸びる第二腕部28cの後端に角筒状の短筒部材66が一体に設けられ、該短筒部材66の左右両側面661,661に主柱8が起立したとき上下両端面が開口した掛止筒31,31が一体に設けられる。該各掛止筒31は後記する補強杆50先端部に設けられた係止ピン53をその上から挿通するためのものであり、これにより起立した主柱8をしっかりと固定できることになる。また、主柱8が起立したときの短筒部材66の背面すなわち後側面662と基部28aにおける右側面283の上端部に、それぞれ前記支え部材としての3本の支持ワイヤ10の上端を掛止するリング32が一体に設けられる。短筒部材66側のリング32に二本の支持ワイヤ10,10が掛止され、基部28a側のリング32に一本の支持ワイヤ10が掛止される。図7(イ)(ロ)中、35は吊下支持部材28に添設され該吊下支持部材28の強度を増すための強化材である。
前記主管8aと吊下支持部材28との間で副管8bに主管8aと同径かつ角筒状の補助筒部材8cが嵌着され、該補助筒部材8cと主管8aの上部との外周面にそれぞれ主柱8の中心軸線に対しほぼ直交する受止杆36a,36bが一体に突設されている。これは削孔作業に際し、使用する複数本のボーリングロッドを立て掛けておくためのものである。補助筒部材8cの右側面に設けられる受止杆36aは、図8(イ)に示すように該右側面に直交状に配置される第1止杆361と該第1止杆361の先端から前側へ直交状に伸びる第2止杆362とからなる。そして、第1止杆361の基端部から下方へ突設された連結管363を補助筒部材8cの右側面に固着された保持管364に上から挿通させることで、受止杆36aが着脱自在に取着される。
補助筒部材8cの上端内周縁には、対向する角部に内周端縁が副管8bの外周面に沿った円弧状に形成される角覆板部68,68が設けられる。これは、主柱8が起立した状態でウィンチ25を巻き副管8bを上方へ伸ばすとき補助筒部材8cを副管8bの所定の位置に配置するため、副管8bの外周面に固着された規制部材22,22が該副管8bの伸びるのに伴い自動的に当接して補助筒部材8cを保持するように設けられたものである。該補助筒部材8cが保持された状態では、副管8bの外周面に補助筒部材8cに対応してその上下に2箇所ずつ規制部材22が固着されている。よって、主柱8を折り畳んだ状態では、補助筒部材8cに対応位置する副管8bの外周面に規制部材22が配置されていない。そこで、副管8bへ補助筒部材8cを着脱するときは、そのままでは角覆板部68が副管8bの先端部側の規制部材22に当たってしまうので、補助筒部材8cを副管8cの中心線に対して直交する面内で90度回転した位置で行なう。これにより、補助筒部材8cの着脱が可能になる。また、図8(ロ)に示すように主管8aの上部に設けられる受止管36bは、主管8aに対し直交するように配置される第1止管361と該第1止杆361の先端から前側へ直交状に伸びる第2止杆362とからなる。そして、第1止杆361の基端部側面から下方へ突設された連結管363を主管8aの後面に固着された保持管364に上から挿通することで、受止杆36bが着脱自在に取着される。
図9に示すようにボーリングマシン本体5における上面であって削孔装置7とは反対側の後側に、主柱8の回動する面に対して直交するようにして水平な枕管37が配置される。該枕管37は前記主管8aの下端部を軸着した横軸14とほぼ同じ高さに位置し、傾倒した主柱8の先端側を受け止めるようにしている。該枕管37の両側すなわち主柱8を中心としその中心から両側へ同じ寸法離れた位置に、前記主柱8が起立したとき副管8b上端部における吊下支持部材28の短筒部材66の後側面662に設けられたリング32に掛止された二本の支持ワイヤ10,10を掛止する引掛杆38,38が設けられる。該引掛杆38,38は、その軸方向で自在に進退できるようになっている。一方、主柱8の下端部が載る軸受部12から右側へ前記主柱8の回動する面に対して直交するようにして水平杆39が延設される。該水平杆39の先端上面に、前記主柱8が起立したとき副管8b上端の基部28aの右側面283に設けられるリング32に掛止した一本の支持ワイヤ10が掛止される引掛杆38が設けられている。該引掛杆38も、その軸方向で自在に進退できるようになっている。
削孔作業には、図3に示すように別に巻上ロープ40が用意される。該巻上ロープ40は、例えば直径約18mmの太さを有し繊維製であり、所定の長さを有すると共に一端にボーリングロッドを掴んで吊り下げるトング41が取着される。また、その他端にはハンマー42が取着される。そして、該巻上ロープ40は、前記主柱8上端の吊下支持部材28に取着される第三滑車67に掛けられる。該第三滑車67としては、スイベル滑車が使用される。また、ボーリングマシン本体5には傾倒した主柱8の下方であり該主柱8の下端部に近接させて、前記巻上ロープ40を前記第三滑車67に掛けた状態でトング41側またはハンマー42側を引き込むためのコーンプーリ43がほぼ水平に軸着される。該コーンプーリ43は、支軸が前後に配置され軸ボーリングマシン本体5の後側から見て右回転方向にのみ回転し、切替レバー43aにより回転できるようになっている。該切替レバー43aは、該コーンプーリ43と前記スピンドル7bとの作動を交互に切り替えるものである。
本発明にあっては、前記主柱8の起立または傾倒に際し、削孔装置7のスピンドル7bが使用される。このため、主柱8が傾倒した状態で前記チャック7aの上面に、着脱自在に立設される上動部材44を取着する。図11(イ)(ロ)に示すように該上動部材44はT字型に形成されると共に、その横杆44aの上面両側にそれぞれ軸が平行となる一対の第二滑車45,45が該横杆44aに沿って一直線状に配置される。また、縦杆44bにおけるほぼ中間位置の対向する側面に、該縦杆44bに対し直交する突片46,46が設けられている。この上動部材44は縦杆44bをチャック7a上面のチャック穴に上から突片46,46まで挿通し、該チャック7aを締め付け立設した状態で使用される。
また、前記上動部材44と共に図11(ハ)に示すような起動ワイヤ47が備えられる。該起動ワイヤ47は、例えば直径約8mmの太さを有しスチール製であり、前記上動部材44における上端のほぼ水平な一対の第二滑車45,45に掛け止めするものである。そして、その一端上部が環状に形成されると共に、該上環状部47aは主柱8における主管8aの外側面に設けられたフック48に掛け止めされる。また、起動ワイヤ47の他端も環状に形成されると共に、その下環状部47bがボーリングマシン本体5の下部の台枠2に設けられたフック49に掛止される。上・下環状部47a,47bを両フック48,49に掛止した起動ワイヤ47は余裕が少なく、スピンドル7bを上方へ伸ばし上動部材44を上げることにより緊張し、主柱8が起立または傾倒することになる。
主柱8を立設させたとき該主柱8の安定度を更に増すため、櫓を構成する各支持ワイヤ10と共に支え部材としての一対の補強杆50,50が使用される。該各補強杆50は、図12に示すように筒状の第1筒杆50aとその中に進退自在に収納される第2筒杆50bとからなる。第2筒杆50bの先端部には、該第2筒杆50bの長手方向に対して直交する支軸51によって揺動部材52が軸着され、該揺動部材52の下部に前記副管8b上端部の吊下支持部材28における第二腕部28c両側に設けられた掛止筒31に上から挿通する係止ピン53が一体に固着される。副管8bの先端を上方へ上げたとき、揺動部材52が鉛直面内で揺動しかつ係止ピン53がその自重で下方を向くことになる。
第1筒杆50aと第2筒杆50bには、それら長手方向に沿って互いに同じピッチの調節孔54,55が複数貫設される。第2筒杆50bを第1筒杆50aの先端から必要長さ伸ばした状態で、第1筒杆50aと第2筒杆50bとで互いに合致する調節孔54,55に停止ピン56を挿通し、第1筒杆50aに対して第2筒杆50bを固定する。第1筒杆50aの基端部とボーリングマシン本体5上面の枕管37とは、交差するパイプ同士を着脱自在に連結する連結クランプ57により連結される。
本発明に係るボーリングマシンは上記構成からなり、次にその作用を説明する。ボーリングマシンは自走式であることから、自在に移動して所定の位置に停止する。この際、主柱8は、ボーリングマシン本体5の上面に短く折り畳んである。主柱8を起立させる前に、補強杆50a,50b以外に必要な部材、例えば吊下支持部材28、三本の支持ワイヤ10,10,10、補助筒部材8c、第三滑車67、巻上ロープ40、受止杆36a,36bは予め所定位置に取り付けておく。そして、図2に示すように削孔装置7におけるチャック7aのチャック穴に、突片46まで縦杆44bを挿通して上動部材44を固定する。この際、両第二滑車45,45は主柱8を含む面内に位置する。次に、起動ワイヤ47の一端の上環状部47aを主管8aの外周面に設けられたフック48に掛止し、起動ワイヤ47の他端の下環状部47bを台枠2に設けられたフック49に掛止する。
この状態で、スピンドル7bを作動させて削孔装置7を上方へ伸ばす。これに伴い、上動部材44が上がり起動ワイヤ47の上環状部47a側を引っ張る。これにより、主柱8が起立を開始し、最終的に鉛直に起立する。主柱8が起立したら、その下端部の軸受板13における閉止板17を回動させて凹溝19に差し込み、更に、螺子21,21を螺締して主柱8の外側面に押圧し該主柱8を固定する。そして、削孔装置7を下方へ縮めた状態で、主管8aのフック48と台枠2のフック49とから両端の上・下環状部47a,47bをそれぞれ外し、起動ワイヤ47と共に上動部材44を取り外す。
次に、主管8aに設けられたウィンチ25を巻いてワイヤ23を巻き上げ、副管8bを主管8a上端開口から上方へ所定量伸ばし、所定の支持孔26にポール支持ピン27を挿通して副管8bを固定する。更に、図9および図10に示すように2本の支持ワイヤ10,10の下端を枕管37両側の引掛杆38,38に掛止し、残りの1本の支持ワイヤ10の下端を主柱8の下端部に位置する軸受部12から一側へ伸びる水平杆39に設けられた引掛杆38に掛止する。そして、これら引掛杆38,38,38を軸方向で後退させて各支持ワイヤ10を張設する。また、両補強杆50上端の係止ピン53を吊下支持部材28の両側面に設けられた掛止筒31,31に挿通すると共に、下端部を連結クランプ57によって枕管37に取り付けることにより、主柱8の上端部と枕管37との間に2本の補強杆50,50が架設される。これにより、主柱8がしっかりと保持される。
図10に示すように、副管8bを主管8aから伸ばして後側から見た場合、主柱8の上端部と枕管37との間に架設される2本の支持ワイヤ10(10a),10(10a)のなす角は約12度である。また、同じく後側から見た場合、主柱8の上端部と水平杆39との間に架設された支持ワイヤ10(10b)と、鉛直な主柱8の中心線Oと、のなす角は約8度である。このとき、前記枕管37に沿った両支持ワイヤ10(10a),10(10a)下端間の間隔は約850mm、主柱8の高さは約3900mmに設定される。
そして、主柱8上端の吊下支持部材28における第三滑車67に掛けられる巻上ロープ40であって、その一端に設けられたトング41によりボーリングロッドを吊り下げ、チャック7aのチャック穴に上から挿通して削孔作業を行なう。このうち、標準貫入試験を行なう場合は、ボーリングロッドに不図示のサンプラーを接続すると共に該ボーリングロッドの上部に不図示のノッキングヘッドを取り付ける。そして、ハンマー42の打撃によりボーリングロッドを打ち込む。図示は省略するが、ボーリングロッドの先端にビット(図示せず。)を取着し、基端にはウォータースイベル(図示せず。)を介して高圧ホース(図示せず。)を接続して削孔をするが、この場合、平面的に見て前記ボーリングロッドは、吊下支持部材28と受止杆36a,36bにより形成される平面コ字状の型内を上下することになる。
この際、巻上ロープ40における一端側のトング41によりボーリングロッドを吊り上げる場合は、該トング41でボーリングロッドを保持し、他端側を所定方向へ回転するコーンプーリ43に少し巻く。これにより、巻上ロープ40がコーンプーリ43側へ引かれ、ボーリングロッドが上昇する。また、巻上ロープ40を緩めれば、ボーリングロッドが下降する。更に、ボーリングロッドに遊嵌する他端側のハンマー42を吊り上げる場合は、一端側を所定方向へ回転するコーンプーリ43に少し巻く。これにより、巻上ロープ40がコーンプーリ43側へ引かれ、ハンマー42が上昇する。また、巻上ロープ40を離せばハンマー42が自由落下により下降する。
このように、第三滑車67に掛けられる巻上ロープ40はその一端側のトング41や他端側のハンマー42を頻繁に切り替えて使用され、同時にその反対側をコーンプーリ43に掛けることになる。そこで、平面的に見て主柱8を中心とする一側(前側)に第三滑車67に掛けられる巻上ロープ40を配置し、主柱8の他側(後側)に櫓を構成する三本の支持ワイヤ10,10,10や二本の補強杆50,50を配置するようにしている。また、コーンプーリ43は主柱8のほぼ真下に位置される。よって、主柱8上端の第三滑車67を支点として巻上ロープ40の一端トング41側または巻上ロープ40の他端ハンマー42側を主柱8の左側すなわち主柱8に対し三本の支持ワイヤ10,10,10や二本の補強杆50,50が掛け止めされてない側からコーンプーリ43へ頻繁に切り替えている。このように、巻上ロープ40の両端側をコーンプーリ43へ頻繁に切り替えるにも、前記3本の支持ワイヤ10,10,10や2本の補強杆50,50が邪魔になるようなことがなく、削孔作業がスムーズに行なえる。
かくして、削孔作業が終了し主柱8を折り畳むには、まず、下端部の連結クランプ57を外して二本の補強杆50,50を取り外す。主柱8に取り付けてある各螺子30を緩める。ウィンチ25を少し巻き上げて副管8bの下端を支持ピン27から離し、支持ピン27を抜く。この状態で、ウィンチ25を緩め補助筒部材8cと共に副管8bを下げる。副管8bが主管8aの最下部まで下がったら前記各螺子30を再び締め付け、主管8aと副管8bとを固定する。各支持ワイヤ10の下端部を外して主柱8に巻き付け収納する。
次に、上動部材44をチャック7aのチャック穴に挿通して立設すると共に、スピンドル7bを伸ばし上動部材44を上げておく。そして、第二滑車45,45を介して起動ワイヤ47の上・下環状部47a,47bを主柱8のフック48と台枠2のフック49に掛け止めし、起動ワイヤ47を緊張した状態としておく。主管8a下端部の閉止板17における各螺子21,21を緩め、該閉止板17を回動して開く。主管8を手で少し後側へ倒し、その後スピンドル7bを下方へ少しずつ収縮させチャック7aを下方へ下げる。これに伴い、主柱8が後方へ傾倒して折り畳まれる。主柱8を、枕杆37の上面に載せて固定する。最後に、第三滑車67や巻上ロープ40を取り外す。なお、必要なければこれらを取り外さなくても良い。このようにして削孔作業が終了する。よって、主柱8の起立・傾倒作業は、主柱8に登らなくてもできる。
図13(イ)(ロ)は、主管8aに対する副管8bの昇降方法の他の実施の形態を示す主柱の縦断面図である。なお、本実施の形態と同一部位は、同一番号を付して詳しい説明は省略する。図13(イ)に示すものは、主管8aの底部にスラスト軸受58を配置すると共に該スラスト軸受58の上面に該スラスト軸受58の中心軸を中心として回転する回転座部59を固着し、該回転座部59に中心軸が同じベベルギヤ60を設けている。また、該回転座部59の中心に、副管8b内をその長手方向に沿って伸びる螺子棒61が立設される。該螺子棒61には、主管8aの長手方向に対し直交する断面形状より一回り小さい方形状の可動体62が螺装される。更に、主管8aにおける下部一側の側壁に外側から操作できるハンドル部材63が軸着され、該ハンドル部材63の軸先端に前記ベベルギヤ60と噛合するピニオンギヤ64が設けられている。
そして、前記ハンドル部材63を所定方向へ回動させることにより、ベベルギヤ60が回動すると共に螺子棒61が回動し、同時に可動体62が螺子棒61に沿って上下に移動する。そして、副管8bの下端部を可動体62により受け止めて、該副管8bを進退動させるようになっている。このような構成であっても、本発明の目的は達成できる。
図13(ロ)に示すものは、主管8aの底部にシリンダーロッド65aを主管8aの長手方向に沿って進退動させる油圧シリンダー65が配置され、該シリンダーロッド65aの先端を副管8bにおける内周面の所定位置に固着している。そして、油圧シリンダー65を作動しシリンダーロッド65aを進退動させることにより、副管8bが進退動するようになっている。このような構成であっても、本発明の目的は達成できる。
このように本発明に係るボーリングマシンは、主柱8が傾倒しているとき削孔装置7に着脱自在に取着されかつ第二滑車45が設けられる上動部材44と、主柱8aが傾倒しているとき削孔装置7の第二滑車45を介して一端が該傾倒した主柱8に着脱自在に取着されると共に他端がボーリングマシン本体5を載置する台枠2に着脱自在に取着される起動ワイヤ47と、を備えてなる。そして、削孔装置7に取着された上動部材44の第二滑車45を介して起動ワイヤ47の両端をそれぞれ主柱8と台枠2に取着して掛け渡し、該起動ワイヤが緊張した状態で削孔装置7を上下に伸縮させることにより主柱8が起立または傾動できるようにしている。よって、主柱8を起立または傾倒させるために既設の装置が使用でき別途新たに駆動装置を設置する必要がなくなる。なお、前記起動ワイヤ47の下環状部47bが掛け止めされるフック49は、台枠2以外に例えばボーリングマシン本体5の下部に設けるようにしても良い。