JP5000450B2 - トルクコンバータのロックアップ制御装置 - Google Patents
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Description
また、駆動系のガタ打ちショックや音の発生を防止するために、走行状態の所定の領域においては、ロックアップを解除するようにしている。
例えば、車速に基づいてロックアップとその解除を判断する装置として、特許文献1に開示されたものがある。
そのため、スロットル開度に基づいて判断する装置の場合、運転者のアクセル操作の仕方によっては、ロックアップが解除されたのち、ロックアップが再びされないままで、車両が定常走行を続ける場合がある。
図7の(a)に示すように、ロックアップクラッチがロックアップ状態にある際にアクセルがOFFにされてアクセル開度が減少を始めると、図7の(b)に示すように、アクセル開度の減少に応じてスロットル開度が減少する。
スロットル開度が減少して、ロックアップの解除を判断するロックアップ解除開度よりも小さくなると(時刻t1)、図7の(d)に示すように、ロックアップクラッチに供給する作動油圧を、ロックアップクラッチをロックアップ状態(締結状態)にする油圧(ロックアップ油圧)で所定時間保持したのちにロックアップを解除する油圧(ロックアップ解除油圧)に向けて減少させるロックアップ解除制御が開始される。そして、作動油圧が、ロックアップ解除油圧に到達した時点(時刻t2)で、ロックアップが解除される。
ここで、アクセル操作の傾向は運転者毎に異なる。そのため、同じ車両であっても、ロックアップが解除されやすいアクセル操作をする運転者の場合、ロックアップが解除された状態で走行することが多くなるので、他の運転者の場合よりも燃費が悪化する。
すなわち、同じ車両であっても運転者により燃費のバラツキが生じてしまう。
よって、一旦アクセルを戻したのち、すぐに踏み直すようなアクセル操作をした場合には、ロックアップクラッチはロックアップ状態のままで維持されるので、ロックアップが解除される頻度を抑えることができる。
これにより、ロックアップが解除されやすいアクセル操作をする運転者であっても、ロックアップが解除された状態で走行することを抑えることができるので、運転者による燃費のバラツキを抑えることができる。
図1は実施例にかかるトルクコンバータのロックアップ制御装置の構成図である。
エンジン10は、運転者が操作するアクセルペダル(図示せず)に連動してその踏み込みにつれ全閉から全開に向け開度増大する電子制御スロットル11のスロットル弁(図示せず)により出力を加減される。
電子制御スロットル11は、スロットル弁の開閉により、エンジン10内に供給される空気の量を調整する。空気量の調整は、図示しないスロットルモータが、ECU(電子制御部)60から入力される駆動信号に基づいて、スロットル弁を開閉駆動することで行われる。
電子制御スロットル11は、スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ12を有しており、スロットル開度センサ12は、検出したスロットル弁の開度に応じた信号を生成し、ECU60に出力する。
トルクコンバータ21のロックアップクラッチ22は、アクチュエータ30から供給される作動油圧に応じて、エンジン10の出力軸側と変速機構24の入力軸との締結(ロックアップ)/解放を行う。ロックアップクラッチ22は、作動油圧を検出する油圧センサ23を有しており、油圧センサ23は、検出した油圧に応じた信号を生成し、ECU60に出力する。
アクセル開度センサ40は、図示しないアクセルペダルの踏込量(アクセル開度)を検出し、検出したアクセル開度に応じた信号を生成し、ECU60に出力する。
車速センサ50は、例えば変速機構24の出力側に設けられて車速を検出し、検出した車速に応じた信号を生成し、ECU60に出力する。
ECU60には、スロットル開度センサ12から出力される信号、油圧センサ23から出力される信号、アクセル開度センサ40から出力される信号、車速センサ50から出力される信号などが入力される。
さらに、油圧制御部62は、ロックアップクラッチ22のロックアップの解除の要否を判断し、ロックアップの解除が必要であると判断した場合は、作動油圧をロックアップ油圧で一定時間保持したのちにロックアップ解除油圧に向けて所定の割合で減少させるロックアップ解除制御を実施する。
また、ロックアップ解除制御を実施している際のスロットル開度の変化に応じて、ロックアップ解除制御の継続・中止(終了)を判断する。
具体的には、油圧センサ23の検出値により作動油圧を特定し、特定した作動油圧が、ロックアップクラッチ22をロックアップ状態で保持するロックアップ油圧である場合には、ロックアップ状態であると判断する。
ステップ100においてロックアップ状態である場合には、ステップ101においてスロットル制御部61は、アクセル開度センサ40の検出値に基づいて、運転者がアクセルを戻したか否か(アクセルをOFFにしたか否か)を確認する。
これは、スロットル開度が減少を開始してから、ロックアップ状態を解除するか否かを判断するためのスロットル開度(ロックアップ解除開度)Th1を下回るまでの時間を長くするためである。
図3の(a)に示すように、時刻t1においてアクセル開度が減少し始めてアクセルがOFFにされたと判断された場合、図3の(b)において点線で示すように、本来ならばスロットル弁の開度を減少させる制御はアクセル開度の減少に追従して開始される。
しかし、本実施例では、図中実線で示すように、スロットル弁を減少させる制御は、所定時間T1遅延されて時刻t2から開始される。
ここで、通常の場合、アクセル開度の減少に基づいてスロットル開度を減少させる際のスロットル開度Thの減少割合は、図3の(b)の点線に示すように、アクセル開度の減少割合(図3の(a)参照)と同じ割合に設定される。
しかし、本実施例の場合、スロットル開度Thが減少を開始してから、ロックアップ解除開度)Th1を下回るまでの時間を長くするために、図3の(b)において実線で示すように、スロットル開度が、アクセル開度の変化割合よりも小さい変化割合で減少するようにしている。
ステップ104においてロックアップ解除開度Th1未満になった場合、ステップ105において、油圧制御部62はロックアップ解除制御を開始する。
エンジントルクが大きい時点でロックアップを解除すると、エンジンの吹き上がりによる運転フィーリングの悪化や、ロックアップの解除によるショックが起こる。そのため、ロックアップ解除制御により、エンジントルクがパワーオフ(ゼロ)の近傍まで減少してからロックアップが解除されるようにして、このような問題を生じないようにしている。
図3の(b)に示すように、スロットル開度が減少して、時刻t3の時点においてロックアップ解除開度Th1未満の値となっているので、図3の(d)に示すように、この時点t3からロックアップ解除制御が開始される。
これにより、アクチュエータ30は、入力される制御指令に基づいて、ロックアップクラッチ22に供給される油圧を調整する。
ステップ106において作動油圧が減少し始めていないと判断された場合、ステップ107において、スロットル開度センサ12の出力値に基づいて、スロットル開度Thがロックアップ解除開度Th1以上となったかを確認する。
図3の(a)および(b)に示すように、時刻t4におけるアクセル開度の増大により、時刻t2以降減少を続けていたスロットル開度が増大に転じ、時刻t5においてロックアップ解除開度Th1を超えている。そして、(d)に示すように、時刻t5の時点では、作動油圧は減少し始めていないので、油圧制御部62は、ロックアップ解除制御を終了(中止)する。
これにより、図3の(d)において点線で示すように、通常のロックアップ解除制御の場合には、時刻t3から時刻t6までロックアップ油圧で保持されたのちにロックアップ解除油圧に向けて減少するはずの作動油圧が、時刻t5の時点でロックアップ解除制御が中止されたために、時刻t6以降もロックアップ油圧のままで維持されるので、ロックアップクラッチ22はロックアップ状態のままで保持される。
すなわち、ロックアップ解除制御を開始したのち、作動油圧が減少し始める前に、スロットル開度Thがロックアップ解除開度Th1以上になれば、ロックアップ突入開度Th2を超えなくても、ロックアップクラッチ22はロックアップ状態で維持される。
よって、図3の(c)において点線で示すように、従来はアクセル開度の減少に追従してエンジントルクが低下していたため、アクセル開度が減少し始めたのち比較的短時間でエンジントルクがゼロ点を交差してゼロクロスショックを生じていたが、図中実線で示すように、ロックアップ解除制御の中止の判断までの間にエンジントルクがゼロ点を交差しないようにして、ゼロクロスショックが起こらないようにすることができる。
時刻t1においてアクセル開度が減少し始めて、時刻t2から減少し始めたスロットル開度がロックアップ解除開度Th1よりも小さくなった時点(t3)から、ロックアップ解除制御が開始される。そして、時刻t6においてロックアップ解除制御の下で作動油圧が減少し始めるまでに、スロットル開度Thがロックアップ解除開度Th1以上とならなかった場合、すなわち、図2のフローチャートのステップ106において作動油圧が減少し始めたと判断された場合、ロックアップ解除制御はそのまま継続される。
この場合、図4の(d)に示すように、作動油圧は、時刻t6以降も減少を続け、ロックアップ解除油圧に到達した時点(t7)で、ロックアップクラッチ22のロックアップが完全に解除される。
そして、所定時間T2が経過している場合は処理を終了し、経過していない場合にはステップ104の処理に戻る。
ここで、ステップ109の処理は、例えばアクセルが踏み戻された場合のように、スロットル開度がロックアップ解除開度Th1よりも小さい開度に至らない場合に、ステップ104の処理が繰り返されることを防止するために行われる。所定時間T2は、スロットル開度が減少を続けた場合に、スロットル開度がロックアップ解除開度Th1よりも小さい開度に到達するのに要する時間よりも長い時間に設定されている。
これにより、ロックアップ解除制御を開始したのち作動油圧がロックアップ油圧のままで保持されている間にスロットル開度Thが再びロックアップ解除開度Th1以上になった場合には、ロックアップ解除制御が中止されるので、ロックアップクラッチ22に作用する作動油圧は、ロックアップ油圧のままで保持される。
よって、一旦アクセルを戻したのち、すぐに踏み直すようなアクセル操作をした場合には、ロックアップクラッチ22はロックアップ状態のままで維持されるので、ロックアップ状態が解除される頻度を抑えることができ、燃費が向上する。
さらに、このようなロックアップ状態が解除されやすいアクセル操作をする運転者であっても、ロックアップが解除された状態で走行することを抑えることができるので、運転者による燃費のバラツキを抑えることができる。
これにより、ロックアップが解除された状態で、車両が定常走行を続けることを防止できる。
これにより、スロットル開度Thが減少を開始してから、作動油圧が減少し始めるまでの時間を長くすることができるので、ロックアップ解除制御を終了するか否かの判断を行うまでの時間を長く取ることができる。
よって、運転者がすぐにアクセルを踏み戻さずに、多少時間をあけて踏み戻した場合でも、作動油圧が減少し始めるまでの間にスロットル開度Thがロックアップ解除開度Th1以上になった場合には、ロックアップ解除制御が中止されるので、ロックアップが解除された状態で走行することを抑えることができ、燃費を向上させることができる。
これにより、スロットル開度Thが減少を開始してから、作動油圧が減少し始めるまでの時間を長くすることができるので、ロックアップ解除制御を終了するか否かの判断を行うまでの時間を長く取ることができる。
よって、運転者のアクセル操作をモニタする時間を長くすることができるので、ロックアップ解除制御を終了するか否かの判断をより正確に行うことができる。
よって、ロックアップを解除するタイミングと、エンジントルクをOFFにするタイミングとのマッチングがしやすくなるので、ロックアップを解除するタイミングとエンジントルクをOFFにするタイミングとがズレた場合に生じる問題、すなわち、駆動系のガタ打ちショックの発生やエンジン回転数が急激に上昇することによる吹き上がりの発生を回避しやすくなる。
また、図3の(c)に示すように、エンジントルクの変化量が小さくなる結果、ロックアップ解除制御を終了した場合でも、エンジントルクがゼロ(パワーオフライン)を交差せずに済むので、駆動側と被駆動側との間の切り替わりの際に生ずるショックの発生を防止することができる。
上記実施例では、スロットル制御部61がアクセル開度に基づいてスロットル開度を決定し、電子制御スロットル11がスロットル制御部61で決定したスロットル開度となるようにスロットル弁を操作する場合を例に挙げて説明をした。
変形例にかかるロックアップ制御装置では、電子制御スロットルの代わりに、スロットル弁の開閉がアクセルペダルの操作に連動して機械的に行われる機械制御スロットルを採用している。そのため、ECU(電子制御部)60は、油圧制御部62のみを備え、スロットル弁11Aは、図示しないアクセルペダルの操作に連動して全閉から全開の範囲で動作するように構成されている。
変形例にかかるロックアップ制御装置における処理を説明する。
ステップ200において、油圧制御部62は、トルクコンバータ21のロックアップクラッチ22がロックアップ状態であるか否かを確認する。
ステップ200においてロックアップ状態である場合には、ステップ201において油圧制御部62は、スロットル開度Thが減少して、ロックアップ解除開度Th1未満になったか否かを確認する。
ステップ201においてロックアップ解除開度Th1未満になった場合、ステップ202において、油圧制御部62はロックアップ解除制御を開始する。
ステップ203において作動油圧が減少し始めていないと判断された場合、ステップ204において油圧制御部62は、スロットル開度センサ12の出力値に基づいて、スロットル開度Thがロックアップ解除開度Th1以上となったかを確認する。
よって、上記実施例の場合と同様の効果を奏することができ、ロックアップ状態が解除される頻度を抑えることができることになる。
11 電子制御スロットル
12 スロットル開度センサ
20 自動変速機
21 トルクコンバータ
22 ロックアップクラッチ
23 油圧センサ
24 変速機構
30 アクチュエータ
40 アクセル開度センサ
50 車速センサ
60 ECU
61 スロットル制御部
62 油圧制御部
Th1 ロックアップ解除開度(ロックアップ解除閾値)
Th2 ロックアップ突入開度(ロックアップ締結閾値)
Claims (4)
- スロットル開度と、ロックアップ締結閾値および前記ロックアップ締結閾値よりも所定量小さいロックアップ解除閾値との比較に基づいて、ロックアップクラッチのロックアップとその解除を制御するトルクコンバータのロックアップ制御装置であって、
前記ロックアップクラッチに作用する作動油圧を制御する油圧制御部を備え、
前記油圧制御部は、ロックアップ状態で前記スロットル開度が減少して前記ロックアップ解除閾値未満になった時点で、前記作動油圧をロックアップ油圧のままで所定時間保持したのちにロックアップ解除油圧に向けて減少させるロックアップ解除制御を開始すると共に、
前記作動油圧を前記ロックアップ油圧のままで保持している間に、前記スロットル開度が再度前記ロックアップ解除閾値以上になった場合、その時点で前記ロックアップ解除制御を中止することを特徴とするトルクコンバータのロックアップ制御装置。 - 前記油圧制御部は、前記ロックアップ解除制御を中止したのち、前記スロットル開度が再度前記ロックアップ締結閾値を超えなくても、ロックアップ状態を維持することを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータのロックアップ制御装置。
- アクセル開度に基づいて前記スロットル開度を制御するスロットル制御部を設け、前記スロットル制御部は、前記アクセル開度が減少する場合には、前記アクセル開度が減少し始めた時点から所定時間遅延させて前記スロットル開度を減少させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトルクコンバータのロックアップ制御装置。
- 前記スロットル制御部は、前記アクセル開度が減少する場合に、前記スロットル開度を、前記アクセル開度の変化量よりも小さい変化量で減少させることを特徴とする請求項3に記載のトルクコンバータのロックアップ制御装置。
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