JP4998763B2 - 配線付基板およびその製造方法並びに表示装置 - Google Patents
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Description
このような表示装置において、表示サイズの大型化に伴い表示部を構成する各画素に表示信号を供給する配線長が長くなり、所望の信号を全ての画素に供給することが困難となる現象が生じ始めている。これは、配線の長距離化に伴って、配線抵抗(R)及び配線容量(C)が増加するために信号立ち上がり特性を決めるRC積が増大するために生じる現象である。
すなわち、特許文献1に記載の方法は、ガラス基板にITOをスパッタ成膜などにより成膜し、フォトリソグラフィを用いてITOをパターニングし、あらかじめ下地配線パターンとしておき、これを覆うように透明樹脂を塗布し、さらにフォトリソグラフィ法を用いて前記透明樹脂の下地配線パターン上に開口を設け、露出したITOを下地金属として開口内にめっき法により金属を充填するものである。
また、特許文献2に記載の方法は、あらかじめ配線となる部位のガラス基板にエッチング法により溝を形成しておき、この溝内にスパッタ法などにより配線となる金属を充填するものである。
いずれの手法においても、得られた配線表面と透明樹脂表面ないしはガラス基板表面は同一の高さとなっており、表示装置の製造工程においてこの後に続くゲート絶縁膜の成膜工程や続く上層配線形成工程において問題となる段差部を有しない構造が得られる。
上述の如く、特許文献1及び2には、平板表示装置の配線抵抗を低減する手法として、表面段差の問題を解決しながら配線膜厚を厚くする手法が開示されている。
一方、特許文献2に記載の技術においては、ガラス基板に設けた溝内に配線を埋め込む手法としてスパッタ法を例示しているが、コストの低廉なめっき法を採用した場合、配線の密着性がとりにくいという問題が生じる。
また、前記主金属は、Cu、Ni、Au、Ag、Crのいずれかを含有することが配線抵抗低減の観点から好ましい。
また、前記配線形成補助材料層は、仕事関数が4eVから6eVである金属もしくは半導体、または最高占有分子軌道準位が4eVから6eVである有機物であることが好ましく、具体的にはSiを含有することが好ましく、シリコンの結晶を含有することがさらに好ましい。
さらに、前記透明合成樹脂組成物膜は透明性が高いほど好ましく、このような樹脂としてはセルロース誘導体、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂が例示される。また、これらの樹脂に感光性成分を添加することが製造コスト低減の観点から好ましい。
この場合において、前記配線主金属初期層を形成した後、前記配線主金属初期層を下地として、配線主金属層を形成する工程を含むことが好ましく、前記配線主金属層を形成する工程は電解または無電解めっき法であることが好ましい。
さらに、前記透明基板の配線形成部に前記配線形成補助材料層を形成する工程は、前記透明基板上に配線形成補助材料を用いて成膜する工程と、得られた配線形成補助材料膜上の配線形成部にエッチングマスクを形成し、それ以外の部分においては前記配線形成補助材料膜が露出した状態とする工程と、この補助材料が露出している部分にアルカリ溶液を接触させて前記露出した配線形成補助材料膜をエッチングする工程と、前記エッチングマスクを剥離する工程とを含むものとすることが好ましい。
さらに前記配線形成めっき液に、塩素イオンまたは臭素イオンを含ませることができる。前記配線形成めっき液のpHは0から7であり、かつ酸化還元電位は対標準水素電極電位で0.25Vから0.75Vであることが好ましい。
上述した配線付基板に薄膜トランジスタ等を積層して表示装置を形成することもできる。
本発明の配線付基板の製造方法によれば、露光機を用いたリソグラフィ法を一度適用するのみであり、めっき法によって厚膜配線を形成することができるので、配線付基板を低コストで製造することができる。
図2は、本発明の配線付基板の製造方法において、主金属初期膜6を形成する際のめっき液として代表的な銅含有液を選択した場合の水溶液のpHと酸化還元電位の関係を示したものである。図2によれば、水に硫酸銅などの銅イオン源を溶解させた銅イオン溶液において、溶液が安定に存在できるためには、pHが7以下、対標準水素電極電位の酸化還元電位で0.25V以上の液性に調整する必要がある。例えば、0.25V以上の酸化還元電位を得られたとしても、pHが7から12.5の範囲となると、溶液中で水酸化銅が析出してしまい、めっき液としての安定性が失われる。一方、pHを7以下に保った状態であっても酸化還元電位が0.25V以下となると溶液中で単体のCuが析出してしまい、溶液としての安定性を失うことになる。
溶液の安定化を図るために、キレート剤を投入して錯インを形成することが考えられるが、めっき廃液の処理の容易さ、処理費用及び主金属初期膜形成後に同一の溶液で連続的に電解めっきに移行すること等を考慮すると、上述したような添加物を添加しないことが好ましい。一方で、当該水溶液中にSi表面を有する基板を投入した場合、下記化学式(1)に示される反応により、Si表面ではSiが溶液中に存在する水分子により酸化される結果、電子を放出し、この電子を銅イオンに与えることにより銅の析出が可能となり、Cu−Cu2+間の境界は0.75Vまで上昇する
上述のことは、Siのみに限られず、仕事関数が4eVから6eVの金属または半導体や、最高占有分子軌道準位が4eVから6eVの有機分子であってもよく、この場合、酸化物をエッチングするエッチャントとしては、フッ酸に代えてそれぞれの酸化物を好適にエッチングするエッチャントを適量、めっき液に混合することで同様の作用を得ることができる。
次に、フォトリソグラフィ法を用いて前記透明合成樹脂組成物膜3に配線形成補助材料層5に達するような開口部9を設ける(図3(e))。配線形成補助材料層5に達する開口部9を設けた後、図2を用いて説明した上述の主金属初期膜形成用めっき液を開口部9より供給し、主金属初期膜6を形成する(図3(f))。さらに、主金属初期膜6を下地膜として、公知の無電解めっきまたは電解めっき法により主金属層7を形成して配線付基板とする。
本実施形態によれば、主金属初期膜形成用めっき液にキレート剤などが含まれていないので、溶液中の銅イオンはCu2+の状態で存在する。従って、連続的な電気めっきへの移行が可能となり、装置コストの低減、製造所要時間の短縮を図ることができる。
以下、本発明の配線付基盤の製造方法の具体的実施例について説明する。
次に、主金属初期膜めっき液として、テフロン製容器内に調整した3%の硫酸銅が溶解している希フッ酸(0.3%)入り無電解めっき溶液を容器ごとウォーターバスに設置し、溶液の温度が25℃の一定になるようにウォーターバスを調整した。溶液のpHを硫酸により制御してpH=4とした。この溶液の酸化還元電位は、対標準水素電極電位で0.5Vであった。得られためっき液に基板を2分間、浸漬することにより、シリコン露出面のみに銅を析出させて主金属初期層とした。この時、析出した金属銅の膜厚を計測したところ0.4μmであり、ほぼ一定の厚さとなった。得られた主金属初期膜6を下地膜として、公知の無電解めっきまたは電解めっき法により主金属層7を形成して配線付基板とした。
次に、銅の析出によって形成された主金属初期膜6を下地膜として、公知の無電解めっきまたは電解めっき法により主金属層7を形成して配線付基板とした。
2:透光部
3:透明合成樹脂組成物膜
4:配線部
5:配線形成補助材料層
6:主金属初期膜
7:主金属層
8:エッチングマスク
9:開口部
10:配線付基板
41:基板
42:配線
50:液晶表示装置
51:ゲート電極(配線)
52:SiN膜(ゲート絶縁膜)
53:アモルファスシリコン層
54:リンドープアモルファスシリコン層
55:ソース電極(配線)
56:ドレイン電極(配線)
57:画素電極
58:配向膜
59:カラーフィルタ付対向基板
60:アクリル樹脂
61:液晶
Claims (16)
- 可視光を透過させる透光部と、電気信号を通じる配線部とを有する配線付基板であって、
前記基板は、透明基板と、この透明基板に積層された透明合成樹脂組成物膜とを有し、
前記配線部は、前記透明合成樹脂組成物膜に設けられ前記透明基板との接合部まで達する配線用開口部と、この開口部に嵌合する配線とを有し、
前記透光部は、前記透明基板と透明合成樹脂組成物膜との積層部によって形成され、
前記配線用開口部の配線方向に直交する断面形状は、開口上部幅をWt、開口下部幅をWb、開口上部と開口下部との間の開口最小幅をWmとしたとき、Wm<WbかつWm≦Wtの関係を満たすものであり、
前記透明合成樹脂組成物膜に設けられた前記開口下部の内壁は前記配線に直交する方向において前記透明合成樹脂組成物膜内で終端している
ことを特徴とする配線付基板。 - 請求項1に記載の配線付基板において、
前記透明基板の前記透明合成樹脂組成物膜との接合面を高さ方向の基準面として高さ0とし、
前記配線用開口部の開口最小幅Wmの位置における前記基準面からの高さをTmとし、
前記基準面から配線の下端部までの高さをTとしたとき、0<T<Tmの関係が成立し、
前記基準面から高さTmまでの間に少なくとも前記配線を構成する主金属の一部と、該主金属とは異なる配線形成補助材料層とが存在する
ことを特徴とする配線付基板。 - 請求項2に記載の配線付基板において、
前記主金属は、Cu、Ni、Au、Ag、Crのいずれかを含有する
ことを特徴とする配線付基板。 - 請求項2又は3に記載の配線付基板において、
前記配線形成補助材料層は、Siを含有するものである
ことを特徴とする配線付基板。 - 請求項2又は3に記載の配線付基板において、
前記配線形成補助材料層は、仕事関数が4eVから6eVである金属または半導体からなる
ことを特徴とする配線付基板。 - 請求項2又は3に記載の配線付基板において、
前記配線形成補助材料層は、最高占有分子軌道準位が4eVから6eVである有機物からなる
ことを特徴とする配線付基板。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配線付基板において、
前記透明合成樹脂組成物膜はセルロース誘導体、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種からなる
ことを特徴とする配線付基板。 - 可視光を透過させる透光部と、電気信号を通じる配線部とを有する配線付基板の製造方法であって、
透明基板上の配線形成部に配線形成補助材料層を形成する工程と、
該配線形成補助材料層を覆うように前記透明基板上に透明合成樹脂組成物膜を形成する工程と、
該透明合成樹脂組成物膜の配線形成部に、前記配線形成補助材料層に達する開口部を設ける工程と、
該開口部に配線形成めっき液を供給し、前記配線形成補助材料層を侵食しながら配線主金属初期層を形成する工程と、を含む
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 請求項8に記載の配線付基板の製造方法において、
前記配線形成補助材料層はSiを含んでおり、前記配線形成めっき液はHFを含んでいる
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 請求項9に記載の配線付基板の製造方法において、
前記HF濃度は0.1〜1.0体積%である
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 請求項8乃至10のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
前記配線形成めっき液は、塩素イオンまたは臭素イオンを含む
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 請求項8乃至11のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
前記配線形成めっき液のpHは0〜7であり、かつ酸化還元電位は対標準水素電極電位で0.25Vから0.75Vである
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 請求項8乃至12のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
前記透明基板の配線形成部に前記配線形成補助材料層を形成する工程は、
前記透明基板上に配線形成補助材料を用いて成膜する工程と、
得られた配線形成補助材料膜上の配線形成部にエッチングマスクを形成し、それ以外の部分においては前記配線形成補助材料膜が露出した状態とする工程と、
この補助材料が露出している部分にアルカリ溶液を接触させて前記露出した配線形成補助材料膜をエッチングする工程と、
前記エッチングマスクを剥離する工程とを含む
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 請求項8乃至13のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
前記配線主金属初期層を形成した後、この配線主金属初期層を下地として、配線主金属層を形成する工程を含む
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 請求項14に記載の配線付基板の製造方法において、
前記配線主金属層を形成する工程は電解または無電解めっき法である
ことを特徴とする配線付基板の製造方法。 - 配線付基板と、この配線付基板に張り合わせられた薄膜トランジスタ及び対向電極を備えた対向基板とを有する表示装置であって、
前記配線付基板が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の配線付基板である
ことを特徴とする表示装置。
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