JP4998763B2 - 配線付基板およびその製造方法並びに表示装置 - Google Patents

配線付基板およびその製造方法並びに表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、透明基板上に電気信号を通じる配線を形成した配線付基板およびその製造方法並びに前記配線付基盤を用いたアクティブマトリクス表示装置に関する。
プラズマ表示装置や液晶表示装置を始めとする平板表示装置は、近年大型化の一途を辿っており、例えば基板サイズが横100cm×縦50cmといった大型の表示装置も生産され始めている。
このような表示装置において、表示サイズの大型化に伴い表示部を構成する各画素に表示信号を供給する配線長が長くなり、所望の信号を全ての画素に供給することが困難となる現象が生じ始めている。これは、配線の長距離化に伴って、配線抵抗(R)及び配線容量(C)が増加するために信号立ち上がり特性を決めるRC積が増大するために生じる現象である。
この問題を解決するために、特許文献1や特許文献2に開示されるように、配線幅を削減しながら配線の膜厚を厚くすることによって配線抵抗および配線容量を低減し、表示特性を良好に保つことが考案されている。
すなわち、特許文献1に記載の方法は、ガラス基板にITOをスパッタ成膜などにより成膜し、フォトリソグラフィを用いてITOをパターニングし、あらかじめ下地配線パターンとしておき、これを覆うように透明樹脂を塗布し、さらにフォトリソグラフィ法を用いて前記透明樹脂の下地配線パターン上に開口を設け、露出したITOを下地金属として開口内にめっき法により金属を充填するものである。
また、特許文献2に記載の方法は、あらかじめ配線となる部位のガラス基板にエッチング法により溝を形成しておき、この溝内にスパッタ法などにより配線となる金属を充填するものである。
いずれの手法においても、得られた配線表面と透明樹脂表面ないしはガラス基板表面は同一の高さとなっており、表示装置の製造工程においてこの後に続くゲート絶縁膜の成膜工程や続く上層配線形成工程において問題となる段差部を有しない構造が得られる。
上述の如く、特許文献1及び2には、平板表示装置の配線抵抗を低減する手法として、表面段差の問題を解決しながら配線膜厚を厚くする手法が開示されている。
特開平10−209463号公報 特開2003−066864号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、下地金属のリソグラフィ工程と透明樹脂に開口を設けるリソグラフィ工程との2つのリソグラフィ工程を必要とするため、高価な露光装置を使用せざるを得ず、製造コストが上昇するという問題がある。また、特許文献1において開示されている下地金属層としてはITO、Cu、Niなどが例示されているが、ITOの場合には電気抵抗が高く、続く主配線形成工程において電気めっきを行った場合、電流分布が生じ、場所によって配線膜厚が変化するという問題があり、Cu、Niなどの場合はガラス基板との密着性が悪く、透明樹脂の塗布前に下地金属層が剥離するという問題が生じる。
一方、特許文献2に記載の技術においては、ガラス基板に設けた溝内に配線を埋め込む手法としてスパッタ法を例示しているが、コストの低廉なめっき法を採用した場合、配線の密着性がとりにくいという問題が生じる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その課題は、配線膜厚が安定し、下地金属層の剥離を防止した配線付基板およびその低廉な製造方法並びに前記配線付基板を用いた表示装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するため、可視光を透過させる透光部と、電気信号を通じる配線部とを有する配線付基板であって、前記基板は、透明基板と、この透明基板に積層された透明合成樹脂組成物膜とを有し、前記配線部は、前記透明合成樹脂組成物膜に設けられ前記透明基板との接合部まで達する配線用開口部と、この開口部に嵌合する配線とを有し、前記透光部は、前記透明基板と透明合成樹脂組成物膜との積層部によって形成され、前記配線用開口部の配線方向に直交する断面形状は、開口上部幅をWt、開口下部幅をWb、開口上部と開口下部との間の開口最小幅をWmとしたとき、Wm<WbかつWm≦Wtの関係を満たすものであり、前記透明合成樹脂組成物膜に設けられた前記開口下部の内壁は前記配線に直交する方向において前記透明合成樹脂組成物膜内で終端していることを特徴とする。
この場合において、前記透明基板の前記透明合成樹脂組成物膜との接合面を高さ方向の基準面として高さ0とし、前記配線用開口部の開口最小幅Wmの位置における前記基準面からの高さをTmとし、前記基準面から配線の下端部までの高さをTとしたとき、0<T<Tmの関係が成立し、前記基準面から高さTmまでの間に少なくとも前記配線を構成する主金属の一部と、該主金属とは異なる配線形成補助材料層とが存在することが好ましい。
また、前記主金属は、Cu、Ni、Au、Ag、Crのいずれかを含有することが配線抵抗低減の観点から好ましい。
また、前記配線形成補助材料層は、仕事関数が4eVから6eVである金属もしくは半導体、または最高占有分子軌道準位が4eVから6eVである有機物であることが好ましく、具体的にはSiを含有することが好ましく、シリコンの結晶を含有することがさらに好ましい。
さらに、前記透明合成樹脂組成物膜は透明性が高いほど好ましく、このような樹脂としてはセルロース誘導体、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂が例示される。また、これらの樹脂に感光性成分を添加することが製造コスト低減の観点から好ましい。
本発明の配線付基板の製造方法は、可視光を透過させる透光部と、電気信号を通じる配線部とを有する配線付基板の製造方法であって、透明基板上の配線形成部に配線形成補助材料層を形成する工程と、該配線形成補助材料層を覆うように前記透明基板上に透明合成樹脂組成物膜を形成する工程と、該透明合成樹脂組成物膜の配線形成部に、前記配線形成補助材料層に達する開口部を設ける工程と、該開口部に配線形成めっき液を供給し、前記配線形成補助材料層を侵食しながら配線主金属初期層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
この場合において、前記配線主金属初期層を形成した後、前記配線主金属初期層を下地として、配線主金属層を形成する工程を含むことが好ましく、前記配線主金属層を形成する工程は電解または無電解めっき法であることが好ましい。
また、前記配線形成補助材料層はSiを含んでおり、前記配線形成めっき液はHFを含んでいるものとすることができ、さらに前記HF濃度は0.1体積%から1.0体積%であることが好ましい。
さらに、前記透明基板の配線形成部に前記配線形成補助材料層を形成する工程は、前記透明基板上に配線形成補助材料を用いて成膜する工程と、得られた配線形成補助材料膜上の配線形成部にエッチングマスクを形成し、それ以外の部分においては前記配線形成補助材料膜が露出した状態とする工程と、この補助材料が露出している部分にアルカリ溶液を接触させて前記露出した配線形成補助材料膜をエッチングする工程と、前記エッチングマスクを剥離する工程とを含むものとすることが好ましい。
さらに前記配線形成めっき液に、塩素イオンまたは臭素イオンを含ませることができる。前記配線形成めっき液のpHは0から7であり、かつ酸化還元電位は対標準水素電極電位で0.25Vから0.75Vであることが好ましい。
上述した配線付基板に薄膜トランジスタ等を積層して表示装置を形成することもできる。
本発明の配線付基板によれば、配線形成補助材料がSiを含有しているので、基板と配線との密着性を確保することができ、またCu等の低抵抗の膜を主配線初期膜として形成させたことにより、電気めっき法を用いても均一な主配線を有するものとなる。
本発明の配線付基板の製造方法によれば、露光機を用いたリソグラフィ法を一度適用するのみであり、めっき法によって厚膜配線を形成することができるので、配線付基板を低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る配線付基板の断面構造を示す概略図である。図1において、この配線付基板10は、透明基板1と、この透明基板1の上部平面を形成する透光部2上に配置された透明樹脂組成物膜3と、透明基板1の上部平面の中央部である配線部4上に配置された配線形成補助材料層5と、この配線形成補助材料層5上に順次積層された主金属初期膜6および主金属層7とから主として構成されている。
透明樹脂組成物膜3の前記配線形成補助材料層5、主金属初期膜6および主金属層7が配置された開口部は、図1における透明合成樹脂組成物膜3と、配線形成補助材料層5、主金属初期膜6および主金属層7からなる配線との境界線で定義され、その配線方向に直交する断面の開口最小幅Wmと開口下面幅Wbおよび開口上部幅Wtの間にはWm<WbかつWm≦Wtの関係が成立する。透明基板1の表面を高さ方向の基準面としてその高さを0(ゼロ)とし、前記開口最小幅Wmの位置における透明基板1の表面からの高さをTmとした場合に、配線部の下端までの高さTに対して、0<T<Tmなる範囲に、少なくとも前記主金属初期膜6と、前記配線形成補助材料層5とがともに存在した構造である。主金属初期膜6下部(透明基板側)の配線形成補助材料層5は残存させることが密着性向上の観点から好ましいが、主金属初期膜6と前記透明基板1の密着性が確保できる場合は、主金属初期膜6下部の配線形成補助材料層5を残存させなくとも良い。なお、この場合に、主金属初期膜6側面に存在する配線形成補助材料層5は残存させることが密着性を維持する観点から好ましい。
配線形成補助材料層5は、ガラス基板に代表される透明基板1との密着性と、配線部への配線形成補助材料層5のパターニングコストと、主金属初期膜6の形成容易性の観点からSiを含有することが好ましく、Si結晶を含有することがより好ましい。これについて、図2を用いて説明する。
図2は、本発明の配線付基板の製造方法において、主金属初期膜6を形成する際のめっき液として代表的な銅含有液を選択した場合の水溶液のpHと酸化還元電位の関係を示したものである。図2によれば、水に硫酸銅などの銅イオン源を溶解させた銅イオン溶液において、溶液が安定に存在できるためには、pHが7以下、対標準水素電極電位の酸化還元電位で0.25V以上の液性に調整する必要がある。例えば、0.25V以上の酸化還元電位を得られたとしても、pHが7から12.5の範囲となると、溶液中で水酸化銅が析出してしまい、めっき液としての安定性が失われる。一方、pHを7以下に保った状態であっても酸化還元電位が0.25V以下となると溶液中で単体のCuが析出してしまい、溶液としての安定性を失うことになる。
溶液の安定化を図るために、キレート剤を投入して錯インを形成することが考えられるが、めっき廃液の処理の容易さ、処理費用及び主金属初期膜形成後に同一の溶液で連続的に電解めっきに移行すること等を考慮すると、上述したような添加物を添加しないことが好ましい。一方で、当該水溶液中にSi表面を有する基板を投入した場合、下記化学式(1)に示される反応により、Si表面ではSiが溶液中に存在する水分子により酸化される結果、電子を放出し、この電子を銅イオンに与えることにより銅の析出が可能となり、Cu−Cu2+間の境界は0.75Vまで上昇する
本発明者らが鋭意検討を行った結果、溶液の酸化還元電位を0.25Vから0.75Vの範囲に保つことで溶液の安定性を確保しながら、Si表面ではCuの析出が可能となることが明らかとなった。しかしながら、SiOの酸化反応により銅イオンへの電子供給を行うため、Si表面が完全に酸化されてしまうと電子供給が止まり、Cuの析出は停止する。この場合、溶液にフッ酸を混合することにより、Siの酸化により生じた酸化膜(SiO)がフッ酸により除去されるので、連続的に銅の析出反応が生じることが明らかとなった。さらに検討を行った結果、フッ酸濃度が0.1%以下の場合は、SiOの形成速度が速くCu析出量が少なくなること、フッ酸濃度が1.0%以上の場合は異常析出が発生しやすく、配線の緻密性が得られないことが明らかになった。従って、フッ酸濃度は0.1〜1.0体積%の範囲が好適である。
さらに本発明者らの検討によれば、めっき液に塩素イオンまたは臭素イオンを混合することが好適であることが明らかになった。すなわち、通常、フッ酸によりSiOを除去したSi表面は水素終端されていることは公知であるが、塩素イオンや臭素イオンを混合することにより水素終端を除去し、塩素終端や臭素終端とすることができる。塩素や臭素はシリコンに比べ電気陰性度が高く、結合に寄与する電子が塩素原子や臭素原子側にひきつけられた状態となるので、塩素や臭素と結合したSi原子は正電位を持ち、酸化反応が生じやすくなる。従って、異常析出を抑制しながら成膜速度を増加させることが可能となる。この場合、塩素イオン濃度または臭素イオン濃度は、0.1体積ppm以上であることが好ましい。
上述のことは、Siのみに限られず、仕事関数が4eVから6eVの金属または半導体や、最高占有分子軌道準位が4eVから6eVの有機分子であってもよく、この場合、酸化物をエッチングするエッチャントとしては、フッ酸に代えてそれぞれの酸化物を好適にエッチングするエッチャントを適量、めっき液に混合することで同様の作用を得ることができる。
次に、本発明の配線付基板の製造方法について図3(a)〜(g)を用いて説明する。図3(a)〜(g)は、本発明の配線付基板の製造方法を示すフロー図である。配線付基盤の製造に際し、まず、透明基板1上に配線形成補助材料層5を成膜する(図3(a))。成膜方法としては、成膜する材料にもよるが、金属や半導体膜の場合はスパッタ法やCVD法、有機分子の場合は塗布法や蒸着法などが好適に選択される。成膜した配線形成補助材料層5上に、インクジェット法、スクリーン印刷法、ディスペンサ印刷法などによりエッチングマスク8を形成する(図3(b))。主配線層の表面パターン形状は、後の工程の透明樹脂パターニングにより決定されるため、ここでのエッチングマスク8はフォトリソグラフィ法のような高精度を必要とせず、露光機などの高価な機材を用いなくともよいので、低コストでの配線形成が可能である。
次に、前記エッチングマスク8をマスクとして、エッチング溶液に透明基板1毎浸漬することにより、前記エッチングマスク部以外の配線形成材料層5をエッチング除去する(図3(c))。配線形成補助材料層5がシリコンの場合は、KOH溶液などのアルカリエッチング液が好適に使用される。エッチングマスク8部以外の配線形成材料層5をエッチング除去した後、剥離液、有機溶剤などを使用してエッチングマスク8を除去し、残存する配線形成補助材料層5及び透明基板1上に、透明合成樹脂組成物膜3を塗布する(図3(d))。
次に、フォトリソグラフィ法を用いて前記透明合成樹脂組成物膜3に配線形成補助材料層5に達するような開口部9を設ける(図3(e))。配線形成補助材料層5に達する開口部9を設けた後、図2を用いて説明した上述の主金属初期膜形成用めっき液を開口部9より供給し、主金属初期膜6を形成する(図3(f))。さらに、主金属初期膜6を下地膜として、公知の無電解めっきまたは電解めっき法により主金属層7を形成して配線付基板とする。
本実施形態によれば、主金属初期膜形成用めっき液にキレート剤などが含まれていないので、溶液中の銅イオンはCu2+の状態で存在する。従って、連続的な電気めっきへの移行が可能となり、装置コストの低減、製造所要時間の短縮を図ることができる。
以下、本発明の配線付基盤の製造方法の具体的実施例について説明する。
まず、ガラス基板表面にスパッタ法によりSiを500nmの厚さで成膜した。次に、ディスペンサ塗布法により、幅20μmの配線形成部位にエポキシ樹脂を塗布し、窒素雰囲気中で170℃の温度で30分乾燥した後、70℃に加熱したKOH溶液に基板を浸漬し、配線形成部以外のSiをエッチング除去した。次に、フッ酸に侵食されない感光性樹脂として感光性エポキシ樹脂を塗布し、露光機により幅10μmのパターンを露光し、現像した後、ブリーチングを行い、170℃で30分間焼成して透明合成樹脂膜および配線部の開口を得た。このときの感光性樹脂の厚さは2μmであった。次に、テフロン製の容器内に調整した0.5%のフッ酸溶液に20秒間浸漬し、配線形成補助材料であるSiの自然酸化膜を除去後、純水によりリンスを行った。
次に、主金属初期膜めっき液として、テフロン製容器内に調整した3%の硫酸銅が溶解している希フッ酸(0.3%)入り無電解めっき溶液を容器ごとウォーターバスに設置し、溶液の温度が25℃の一定になるようにウォーターバスを調整した。溶液のpHを硫酸により制御してpH=4とした。この溶液の酸化還元電位は、対標準水素電極電位で0.5Vであった。得られためっき液に基板を2分間、浸漬することにより、シリコン露出面のみに銅を析出させて主金属初期層とした。この時、析出した金属銅の膜厚を計測したところ0.4μmであり、ほぼ一定の厚さとなった。得られた主金属初期膜6を下地膜として、公知の無電解めっきまたは電解めっき法により主金属層7を形成して配線付基板とした。
実施例1と同様の工程により、配線形成補助材料層、透明合成樹脂層を得た後、実施例1で使用した主金属初期膜めっき液に10ppmの塩酸を添加し、硫酸によりpHを制御してpH=4とした溶液に、フッ酸によってシリコンの自然酸化膜を除去した基板を30秒間浸漬したところ、シリコン露出面にのみ0.4μmの銅が析出した。このときめっき液の酸化還元電位を測定したところ、対標準水素電極電位で0.5Vであった。
次に、銅の析出によって形成された主金属初期膜6を下地膜として、公知の無電解めっきまたは電解めっき法により主金属層7を形成して配線付基板とした。
実施例2と同様の工程により配線形成補助材料層、透明合成樹脂組成物膜を形成した基板について、フッ酸洗浄を行って露出シリコン表面の自然酸化膜を除去した。次に、前記露出シリコン表面に電気的に接続するように外部取り出し電極を配置し、これを定電流源の一方の端子に接続した。定電流源の他方の端子に、対向電極として銅板を接地して、この2つの基板を実施例2で用いたものと同組成の液に浸漬した。30秒間の浸漬の後、連続して、2A/cmの電流を30秒間通じた。形成された配線部の膜厚を計測したところ、主金属初期層と主金属層を合わせて1.9μmとなり、前記透明合成樹脂層の高さと一致した。得られた配線の表面走査電子顕微鏡写真を図4に示した。図4において、基板41表面に良好な配線42が形成されたことが分かる。
図5は、本発明の一実施例である表示装置の断面構造を示す概略図である。この表示装置は、配線付基板を用いて以下のようにして形成される。即ち、実施例3で得られた配線付基板の配線をゲート電極およびゲート配線51として用い、その表面に、CVD法により厚さ350nmのSiN膜(ゲート絶縁膜)52を成膜し、その上に、厚さ500nmのアモルファスシリコン層53および厚さ100nmのリンドープアモルファスシリコン層を成膜した。次に公知のスパッタ法およびフォトリソグラフィ法を用いることにより、薄膜トランジスタのソース電極55およびドレイン電極56ならびにソース配線およびドレイン配線を形成した。次に、ソース電極55およびドレイン電極56をマスクとして、リンドープアモルファスシリコン層54およびアモルファスシリコン層53の一部をエッチング除去することによって薄膜トランジスタを得た。次に、この薄膜トランジスタ付基板上に、感光性アクリル樹脂60を塗布、露光することにより、ドレイン電極56に達するコンタクトホールを形成した。続いてスパッタ法により、ITO膜を成膜し、フォトリソグラフィ法によりパターニング、エッチングすることによって画素電極57を得た。次いで、この上にポリイミド配向膜58を塗布し、3μm乃至は4μmのスペーサー(非図示)を散布し、カラーフィルタおよび対向電極を有する対向基板59を、薄膜トランジスタ付基板に張り合わせ、スペーサーにより生じた空間に液晶61を充填して液晶表示装置50を得た。
この液晶表示装置50の表示特性を確認したところ、ゲート電極によってSiN膜52に生じる段差が減少したので、薄膜トランジスタのリーク電流が減少し、表示の保持特性が向上した。また、ゲート線およびソース線の交差部における段差が緩和したので、製造歩留まりが向上した。さらに、安価な手法によりゲート線を形成できたので、製造コストを低減できた。
本発明の実施形態に係る配線付基板の断面構造を示す概略図である。 主金属初期膜形成用めっき液におけるpHと酸化還元電位の関係を示す図である。 本発明に係る配線付基板の製造方法を示す図である。 本発明に係る配線付基板の製造方法を示す図である。 本発明に係る配線付基板の製造方法を示す図である。 本発明に係る配線付基板の製造方法を示す図である。 本発明に係る配線付基板の製造方法を示す図である。 本発明に係る配線付基板の製造方法を示す図である。 本発明に係る配線付基板の製造方法を示す図である。 配線付基板の表面を観察した走査電子顕微鏡写真図である。 本発明の一実施例である表示装置の断面構造を示す概略図である。
符号の説明
1:透明基板
2:透光部
3:透明合成樹脂組成物膜
4:配線部
5:配線形成補助材料層
6:主金属初期膜
7:主金属層
8:エッチングマスク
9:開口部
10:配線付基板
41:基板
42:配線
50:液晶表示装置
51:ゲート電極(配線)
52:SiN膜(ゲート絶縁膜)
53:アモルファスシリコン層
54:リンドープアモルファスシリコン層
55:ソース電極(配線)
56:ドレイン電極(配線)
57:画素電極
58:配向膜
59:カラーフィルタ付対向基板
60:アクリル樹脂
61:液晶

Claims (16)

  1. 可視光を透過させる透光部と、電気信号を通じる配線部とを有する配線付基板であって、
    前記基板は、透明基板と、この透明基板に積層された透明合成樹脂組成物膜とを有し、
    前記配線部は、前記透明合成樹脂組成物膜に設けられ前記透明基板との接合部まで達する配線用開口部と、この開口部に嵌合する配線とを有し、
    前記透光部は、前記透明基板と透明合成樹脂組成物膜との積層部によって形成され、
    前記配線用開口部の配線方向に直交する断面形状は、開口上部幅をWt、開口下部幅をWb、開口上部と開口下部との間の開口最小幅をWmとしたとき、Wm<WbかつWm≦Wtの関係を満たすものであり、
    前記透明合成樹脂組成物膜に設けられた前記開口下部の内壁は前記配線に直交する方向において前記透明合成樹脂組成物膜内で終端している
    ことを特徴とする配線付基板。
  2. 請求項1に記載の配線付基板において、
    前記透明基板の前記透明合成樹脂組成物膜との接合面を高さ方向の基準面として高さ0とし、
    前記配線用開口部の開口最小幅Wmの位置における前記基準面からの高さをTmとし、
    前記基準面から配線の下端部までの高さをTとしたとき、0<T<Tmの関係が成立し、
    前記基準面から高さTmまでの間に少なくとも前記配線を構成する主金属の一部と、該主金属とは異なる配線形成補助材料層とが存在する
    ことを特徴とする配線付基板。
  3. 請求項2に記載の配線付基板において、
    前記主金属は、Cu、Ni、Au、Ag、Crのいずれかを含有する
    ことを特徴とする配線付基板。
  4. 請求項2又は3に記載の配線付基板において、
    前記配線形成補助材料層は、Siを含有するものである
    ことを特徴とする配線付基板。
  5. 請求項2又は3に記載の配線付基板において、
    前記配線形成補助材料層は、仕事関数が4eVから6eVである金属または半導体からなる
    ことを特徴とする配線付基板。
  6. 請求項2又は3に記載の配線付基板において、
    前記配線形成補助材料層は、最高占有分子軌道準位が4eVから6eVである有機物からなる
    ことを特徴とする配線付基板。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配線付基板において、
    前記透明合成樹脂組成物膜はセルロース誘導体、オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種からなる
    ことを特徴とする配線付基板。
  8. 可視光を透過させる透光部と、電気信号を通じる配線部とを有する配線付基板の製造方法であって、
    透明基板上の配線形成部に配線形成補助材料層を形成する工程と、
    該配線形成補助材料層を覆うように前記透明基板上に透明合成樹脂組成物膜を形成する工程と、
    該透明合成樹脂組成物膜の配線形成部に、前記配線形成補助材料層に達する開口部を設ける工程と、
    該開口部に配線形成めっき液を供給し、前記配線形成補助材料層を侵食しながら配線主金属初期層を形成する工程と、を含む
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  9. 請求項8に記載の配線付基板の製造方法において、
    前記配線形成補助材料層はSiを含んでおり、前記配線形成めっき液はHFを含んでいる
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  10. 請求項9に記載の配線付基板の製造方法において、
    前記HF濃度は0.1〜1.0体積%である
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  11. 請求項8乃至10のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
    前記配線形成めっき液は、塩素イオンまたは臭素イオンを含む
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  12. 請求項8乃至11のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
    前記配線形成めっき液のpHは0〜7であり、かつ酸化還元電位は対標準水素電極電位で0.25Vから0.75Vである
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  13. 請求項8乃至12のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
    前記透明基板の配線形成部に前記配線形成補助材料層を形成する工程は、
    前記透明基板上に配線形成補助材料を用いて成膜する工程と、
    得られた配線形成補助材料膜上の配線形成部にエッチングマスクを形成し、それ以外の部分においては前記配線形成補助材料膜が露出した状態とする工程と、
    この補助材料が露出している部分にアルカリ溶液を接触させて前記露出した配線形成補助材料膜をエッチングする工程と、
    前記エッチングマスクを剥離する工程とを含む
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  14. 請求項8乃至13のいずれか1項に記載の配線付基板の製造方法において、
    前記配線主金属初期層を形成した後、この配線主金属初期層を下地として、配線主金属層を形成する工程を含む
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  15. 請求項14に記載の配線付基板の製造方法において、
    前記配線主金属層を形成する工程は電解または無電解めっき法である
    ことを特徴とする配線付基板の製造方法。
  16. 配線付基板と、この配線付基板に張り合わせられた薄膜トランジスタ及び対向電極を備えた対向基板とを有する表示装置であって、
    前記配線付基板が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の配線付基板である
    ことを特徴とする表示装置。
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