JP4997447B2 - 可変容量計測装置及び可変容量計測方法 - Google Patents
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Description
より詳細には、静電容量が圧力によって変化する容量型圧力センサを用いた圧力計測装置に好適な、低消費電力の可変容量計測装置と、その方法に関する。
その中で、医療分野においては、血圧等の代表的な圧力の計測の他に、前立腺疾患の手術に先立って、膀胱の内圧を計測する、という需要がある。これは、膀胱内にある程度の圧力がないと、手術をしても良くならない、という臨床例が存在することに起因する。
この計測は、患者にとって非人道的であることは明らかである。
なお、従来技術として、血圧計のための圧力センサに関する技術文献を非特許文献1及び2に示す。
図10の回路は、NOTゲートとコンデンサと抵抗の組み合わせよりなる、無安定マルチバイブレータによる発振器である。この発振器の中に容量型圧力センサが介在することで、無安定マルチバイブレータの発振周波数が変化する。この周波数変化を、圧力センサの容量変化として取り出す。
一方、我々が所望するカプセル状の計測装置には、超小型の電池しか装備できない。したがって、このような回路は、三日間という長時間に渡って、大電力の外部電源の供給を受けずに計測をし続ける、という需要には適さない、という不都合がある。
可変容量計測装置101は、容量型圧力センサC102と、容量オフセット補正回路103と、容量変化計測回路104と、コンパレータ105と、スイッチ制御部106と、RAM107より構成される。
容量型圧力センサC102は、静電容量Csのコンデンサである。気体或は液体中に投入することにより、その雰囲気に存在する圧力に応じて、静電容量Csが変化する。
容量型圧力センサC102には、二つのスイッチが接続されている。一つはセンサ用電圧源Vsとのオン・オフを制御するスイッチS108である。もう一つは接地のオン・オフを制御するスイッチS109である。この二つのスイッチは、どちらかが接続されているか、或は両方共接続されていないかの、三つの状態が存在する。
そして、このラインには、容量オフセット補正回路103と、容量変化計測回路104が接続されている。
N番目のC110NとC111は、Co/2Nと、同じ静電容量である。
これら、C110AからC110N及びC111よりなる、N+1個のコンデンサは、その合成静電容量がCoである。
これらN+1個のコンデンサは、切り替えスイッチS112A〜S112N及びS113を通じて、参照電圧源Vrefと接地のいずれかに接続される。
L番目のC114LとC115は、Cm/2Lと、同じ静電容量である。
これら、C114AからC114L及びC115よりなる、L+1個のコンデンサは、その合成静電容量がCmである。
これらL+1個のコンデンサは、切り替えスイッチS116A〜S116L及びS117を通じて、参照電圧源Vrefと接地のいずれかに接続される。
以上の説明よりわかるように、容量オフセット補正回路103と、容量変化計測回路104は、その回路構成は殆ど同じである。
スイッチ制御部106はマイコンであり、RAM107内にオフセットビット記憶部119と計測ビット記憶部120を設けている。スイッチ制御部106は、図7以降にて詳述する処理にて、スイッチS108、スイッチS109、切り替えスイッチS112A〜S112N及びS113、切り替えスイッチS116A〜S116L及びS117及びスイッチS118を制御する。
最初に、容量オフセット補正回路103の切り替えスイッチS112A〜S112N及びS113を操作して、切り替えスイッチS112A〜S112N及びS113の接続状態を決定する、オフセットキャンセル処理を行う。この動作の指令のために、押しボタンスイッチS121がスイッチ制御部106に接続されている。
次に、容量変化計測回路104の切り替えスイッチS116A〜S116L及びS117を操作して、切り替えスイッチS116A〜S116L及びS117の接続状態を決定する、計測処理を行う。この動作の指令のために、押しボタンスイッチS122がスイッチ制御部106に接続されている。
最終的には、スイッチ制御部106に設けられる、図示しない任意のインターフェースによって、計測ビット記憶部120の情報が取り出される。
図2(a)及び(b)は、可変容量計測装置101の初期段階の回路状態と、等価回路を説明する図である。
図3は、可変容量計測装置101の第二段階の回路状態を説明する図である。
図4(a)及び(b)は、可変容量計測装置101の第三段階の回路状態と、等価回路を説明する図である。
図5(a)及び(b)は、可変容量計測装置101の第四段階の回路状態と、等価回路を説明する図である。
次に、スイッチ制御部106はスイッチを制御して、可変容量計測装置101を、図2(a)に示す初期段階の状態にする。この状態は、Csにのみセンサ用電圧源Vsを供給し、これ以外のコンデンサは全て接地でショートさせた状態である。
この状態において、容量型圧力センサC102(Cs)の共通ラインX側には、電荷Qxが溜まる。電荷Qxは、
Qx=−VsCs
である。
このように、容量型圧力センサC102(Cs)から他のコンデンサへ電荷が移動するので、共通ラインXの電位は、当初の状態(−Vs)から上がる。言い換えれば、電位差の絶対値が縮小する。
このときの、可変容量計測装置101の等価回路が、図4(b)である。共通ラインXに存在する電荷Qxは保持されているので、電圧Vxは
Vx=−Cs・Vs/(Cs+Co+Cm)
となる。
このときの、可変容量計測装置101の等価回路が、図5(b)である。共通ラインXに存在する電荷Qxは保持されているので、電圧Vxは
Vx=(−Vs・Cs+Vref・Co/2)/(Cs+Co+Cm)
となる。
「−Vs・Cs+Vref・Co/2」という式は、その演算結果が正であるか負であるかで、コンパレータ105の判定結果が変わる。この式を「−Vs」で割ると、
Vref・Co/2Vs−Cs
となる。上記式のうち、Vref/Vsを定数Kと置き換えると、
K・Co/2−Cs
となる。
コンパレータ105が「1」の時は、当該ビットが立つことを示す。一旦「−Vx」まで下がった共通ラインXの電位が、当該コンデンサを通じてVrefで持ち上げても負の電位のままなので、当該ビットは必要だからである。
コンパレータ105が「0」の時は、当該ビットが立たないことを示す。一旦「−Vx」まで下がった共通ラインXの電位が、当該コンデンサを通じてVrefで持ち上げた結果、正の電位に転換したので、当該ビットは不要だからである。
Vx=(−Vs・Cs+Vref・3Co/4)/(Cs+Co+Cm)
となる。分子に注目すると、
K・3Co/4−Cs
が正か負かが、コンパレータ105によって判定されることとなる。
コンデンサC110B(Co/4)のみにVrefが印加された場合の、Vxの演算結果は、
Vx=(−Vs・Cs+Vref・Co/4)/(Cs+Co+Cm)
となる。分子に注目すると、
K・Co/4−Cs
が正か負かが、コンパレータ105によって判定されることとなる。
図6は、容量型圧力センサC102の、圧力に対する静電容量の変化を示すグラフである。
元々コンデンサである容量型圧力センサC102は、圧力が加わっていない状態でも、一定の静電容量を持っている。この状態から、圧力が加わるに連れて、電極同士の距離が縮まるので、容量型圧力センサC102の静電容量が増加する。
容量オフセット補正回路103は、このために存在する。
図7は、可変容量計測装置101の全体の動作の手順を示すフローチャートである。
図8は、可変容量計測装置101の、オフセットキャンセル処理を示すフローチャートである。
図9は、可変容量計測装置101の、計測処理を示すフローチャートである。
先ず、処理を開始すると(ステップS701)、予め、容量型圧力センサC102に基準圧力を加える(ステップS702)。
この状態で、押しボタンスイッチS121を操作して、可変容量計測装置101においてオフセットキャンセル処理を行う(ステップS703)。これは、前述の図2から図5に至るまでの動作である。
次に、測定対象の雰囲気の中へ、容量型圧力センサC102を投入する(ステップS704)。
そして、この状態で押しボタンスイッチS122を操作して、計測処理を行い(ステップS705)、計測が終わると終了する(ステップS706)。この時点で、計測ビット記憶部120には、容量型圧力センサC102の静電容量変化分に相当するデータが記憶されているので、これを取り出し、任意の計算機等にて利用する。
また、予めオフセットキャンセル処理に要する時間が判っていれば、その時間だけ待てばよい。容量型圧力センサC102はおよそ数pF程度なので、充電する時間は一瞬で済む。また、コンパレータ105の動作速度も一般的に極めて高速なので、オフセットキャンセル処理及び計測処理にかかる時間は、数百nsec〜数μsec程度である。
いずれにせよ、ユーザインターフェースは実装形態に応じて任意に選択できるものである。
処理を開始すると(ステップS801)、スイッチ制御部106は、最初に
・スイッチS108をオフ制御し、
・スイッチS109及びS118をオン制御し、
・切り替えスイッチS112A〜S112N、S113、S116A〜S116L、S117を全て接地側に接続する。この動作によって、容量型圧力センサC102、コンデンサC110AからC110N及びC111、C114AからC114L及びC115の、全てのコンデンサは全て放電される(ステップS802)。
次に、スイッチ制御部106はスイッチS108をオフ制御して、センサ用電圧源Vsを容量型圧力センサC102から切断する(ステップS804)。この後、スイッチ制御部106はスイッチS118をオフ制御する(ステップS805)。
これ以降の動作はループ処理である。
先ず、スイッチ制御部106は切り替えスイッチS112A〜S112Nのうちのi番目のスイッチを制御して、オフセットキャンセル用コンデンサC110A〜C110Nのうちのi番目のコンデンサに、参照電圧源Vrefを印加する(ステップS808)。
次に、スイッチ制御部106はコンパレータ105の判定結果を見る(ステップS809)。
ステップS809にてコンパレータの判定結果が「0」であれば(ステップS809のN)、スイッチ制御部106は、改めて切り替えスイッチS112A〜S112Nのうちのi番目のスイッチを制御して、オフセットキャンセル用コンデンサC110A〜C110Nのうちのi番目のコンデンサを、参照電圧源Vrefから接地へ切り替える(ステップS811)。そして、オフセットビット記憶部119の、i番目のビットに「0」を書く(ステップS812)。
なお、ステップS901からステップS906までは、図8のステップS801からステップS806と同一である。
処理を開始すると(ステップS901)、スイッチ制御部106は、最初に
・スイッチS108をオフ制御し、
・スイッチS109及びS118をオン制御し、
・切り替えスイッチS112A〜S112N、S113、S116A〜S116L、S117を全て接地側に接続する。この動作によって、容量型圧力センサC102、コンデンサC110AからC110N及びC111、C114AからC114L及びC115の、全てのコンデンサは全て放電される(ステップS902)。
次に、スイッチ制御部106はスイッチS108をオフ制御して、センサ用電圧源Vsを容量型圧力センサC102から切断する(ステップS904)。この後、スイッチ制御部106はスイッチS118をオフ制御する(ステップS905)。
以上が、図8のステップS801からステップS806と同一の処理である。
これ以降の動作はループ処理である。
先ず、スイッチ制御部106は切り替えスイッチS116A〜S116Lのうちのi番目のスイッチを制御して、計測用コンデンサC114A〜C114Lのうちのi番目のコンデンサに、参照電圧源Vrefを印加する(ステップS909)。
次に、スイッチ制御部106はコンパレータ105の判定結果を見る(ステップS910)。
ステップS910にてコンパレータの判定結果が「0」であれば(ステップS809のN)、スイッチ制御部106は、改めて切り替えスイッチS116A〜S116Lのうちのi番目のスイッチを制御して、計測用コンデンサC114A〜C114Lのうちのi番目のコンデンサを、参照電圧源Vrefから接地へ切り替える(ステップS912)。そして、計測ビット記憶部120の、i番目のビットに「0」を書く(ステップS913)。
(1)超低消費電力を実現できる。
回路を構成する主要な要素は、コンデンサとコンパレータである。この部分は貫通電流が流れない。したがって、従来技術の周波数型容量計測装置等と比べると、消費電力が極めて小さい。
(2)集積化が容易である。
コンデンサは集積回路に納めることが容易である。また、その際、べき乗による静電容量の形成は、正方形を半分に割る、という、べき乗の定理そのままの形態が利用できる。
(3)温度変化に強い。
一般的に抵抗は温度変化によって抵抗値が変化する。しかし、コンデンサは温度による静電容量の変化が無視できる程極めて小さいので、正確な測定が実現できる。
(1)切り替えスイッチS112A〜S112N及びS113を通じて、コンデンサC110AからC110N及びC111に印加する参照電圧源と、切り替えスイッチS116A〜S116L及びS117を通じて、コンデンサC114AからC114L及びC115に印加する参照電圧源とを、異なる電圧にすることができる。これは、容量型圧力センサの特性に応じて、参照電圧源とセンサ用電圧源を適切に設定することで、容量型圧力センサの容量変化に適合した可変容量計測装置を実現するためである。
本実施形態の可変容量計測装置を構成する主要な要素は、コンデンサとコンパレータであるので、貫通電流が一切流れない。したがって、従来技術と比べて、消費電力を圧倒的に小さくすることができる。
また、コンデンサは集積回路に納めることが容易であるので、本実施形態の可変容量計測装置は、集積化が容易であり、小型化に適している。
更に、コンデンサは温度による静電容量の変化が無視できる程極めて小さいので、温度変化が大きい医療用途の測定において、正確な圧力測定が実現できる。
Claims (3)
- 可変容量コンデンサと、
前記可変容量コンデンサに印加する容量測定用電圧源と、
参照電圧源と、
自然数N個の、公比1/2の等比級数で設定される静電容量よりなる複数の第一のコンデンサ群と、
前記複数の第一のコンデンサ群に前記参照電圧源と接地とを選択的に接続する複数の第一の切り替えスイッチ群とよりなる容量オフセット補正回路と、
自然数L個の、公比1/2の等比級数で設定される静電容量よりなる複数の第二のコンデンサ群と、
前記複数の第二のコンデンサ群に前記参照電圧源と接地とを選択的に接続する複数の第二の切り替えスイッチ群とよりなる容量変化計測回路と、
前記可変容量コンデンサと前記容量オフセット補正回路と前記容量変化計測回路に接続される放電用スイッチと、
前記可変容量コンデンサと前記容量オフセット補正回路と前記容量変化計測回路に接続されるコンパレータと、
前記第一の切り替えスイッチ群と前記第二の切り替えスイッチ群と前記放電用スイッチを制御するスイッチ制御部と、
前記第一の切り替えスイッチ群の状態を記憶するオフセットビット記憶部と、
前記第二の切り替えスイッチ群の状態を記憶する計測ビット記憶部と
を具備する可変容量計測装置。 - 前記参照電圧源は、前記第一のコンデンサ群と前記第二のコンデンサ群とで異なる電圧を供給する、請求項1記載の可変容量計測装置。
- 公比1/2の等比級数で設定される静電容量の複数の第一のコンデンサ群と、公比1/2の等比級数で設定される静電容量の複数の第二のコンデンサ群が接続されている、容量値の変化の原点となる動作環境状態にある可変容量コンデンサに、基準電圧を印加する第一基準電圧印加ステップと、
前記可変容量コンデンサに印加していた前記基準電圧を除去する第一基準電圧除去ステップと、
前記可変容量コンデンサと、前記第一のコンデンサ群及び前記第二のコンデンサ群の接続点の電位を接地電位と比較し、その比較電圧差がゼロに収束するように、前記複数の第一のコンデンサ群の各コンデンサに印加される電圧を参照電圧もしくは接地電圧を選択するように制御し、前記複数の第一のコンデンサ群の前記参照電圧との接続状態を記憶するオフセット記憶ステップと、
使用状態の前記可変容量コンデンサに前記基準電圧を印加する第二基準電圧印加ステップと、
前記可変容量コンデンサに印加していた前記基準電圧を除去する第二基準電圧除去ステップと、
前記記憶された前記複数の第一のコンデンサ群の前記参照電圧との接続状態に基づき前記複数の第一のコンデンサ群の各コンデンサに印加される電圧を参照電圧もしくは接地電圧を選択するオフセットロードステップと、
前記可変容量コンデンサと、第一および第二のコンデンサ群の接続点の電位を接地電位と比較し、その比較電圧差がゼロに収束するように前記複数の第二のコンデンサ群の各コンデンサに印加される電圧を参照電圧もしくは接地電圧を選択するように制御し、前記複数の第二のコンデンサ群の前記参照電圧との接続状態を記憶する静電容量変化記憶ステップと、
前記記憶された第二のコンデンサ群の前記参照電圧との接続状態により前記容量値の変化の原点となる動作環境状態からの容量値の変化を計測する計測ステップと
を有する可変容量計測方法。
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