JP4997372B2 - 構造色色相による転写画像及びその画像転写方法 - Google Patents

構造色色相による転写画像及びその画像転写方法 Download PDF

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Description

本発明は、構造色色相による新規な転写画像に関し、より詳細には、原版の画線部に基づく正像なる原像が、被転写体である支持体フィルム上に形成させる構造色色相中に色ガラなる正像として視感される新規な転写画像に関する。
本発明は、このような転写画像を、被転写体である支持体フィルム上に形成させる原版の画線部とは非接触下に形成させる白色系又は黒色系無彩色の特定単分散性球状粒子からなる構造色色相中に、正像として形成させる新規な画像転写方法にも関する。
従来から、原版の画像(又は画線部)を転写(又は印刷)させる方法としては、活版印刷、凹版印刷、平板印刷、孔版印刷が広く用いられている。
(1)活版印刷は、版の突起部(凸部)の画線部にインキをつけて、紙などの被印刷体にインキを転移させて原版の画像を転写させる凸版印刷法で、通常、活版印刷、フレキソ印刷として用いられている。
(2)凹版印刷は、版面のくぼんだ画線部にインキを付与させて印刷する方式で、通常、グラビア印刷として用いられている。
(3)平板印刷は、親油性の画線部と親水性の非画線部との間に明確な凹凸差がなく、水と親油性のインキを交互に与えながら印刷する方式で、通常、オフセット印刷として用いられている。
(4)孔版印刷は、版面がインキを通過できる小孔の集合からなる画線部と、インキ遮蔽層の非画線部とからなり、画線部の小孔からインキを押し出すことによって印刷する方式で、通常、スクリーン印刷として用いられている。
これらの凸版印刷、凹版印刷においては、原版に設ける左右逆の逆像である原像を、紙等の被印刷体に転写させることで、左右が反転した正像の印刷像を視感させる。また、オフセット印刷等の平板印刷においても原版の逆像である原像を、一端、ブランケットに転写させた正像を、被印刷体に印刷させる。従って、従来からの凸版印刷(活版印刷、フレキソ印刷)、凹版印刷(グラビア印刷)及び平版印刷(オフセット印刷)による画像転写は、何れも原版の逆像である原像を、被印刷体にインク像として左右反転された転写正像を視感することになる。
また、これらの印刷法では原版の逆像である原像を、被印刷体に適性な正像として転写印刷させるには、原版の画線部の原像にインキを付けて、その被印刷体上の転写インキ像を視感させるものである。そこで、このような転写インキ像に使用される印刷インキには、適性なインキ固形分濃度において、適性な粘度として100〜10000(cps)の範囲にあるインキが用いられている。また、これらの印刷法とその適性粘度とには、通常、グラビア印刷<フレキソ印刷<オフセット印刷<スクリーン印刷なる順に高粘度化されたインキを用いなければならない。従って、上記する印刷法で鮮明な画像を転写させるには、これら印刷法に適性な、インキ粘度が極めて重要であると言える([特許文献1,2])。
特開2003−53927号 特開2004−66804号
以上から、従来から文字、写真、線、線画、絵画等の画像を、紙等の被印刷体に印刷(又は転写)させるには、原版の画線部に、これらの画像の原像である左右逆の逆像を設けなければならない。この画線部の原像にインキを付与させ、被写体に転写させた印刷画像が、左右反転された印刷インク像なる正像が視感される。このように「原版の逆像なる原像」を被印刷体の紙体に「正像なる転写像」として印刷(又は転写)させるに、従来から凸版印刷(活版印刷、フレキソ印刷)、凹版印刷(グラビア印刷)及び平版印刷(オフセット印刷)が広く用いられている。
しかしながら、既に上述する如く、このような印刷法による画像印刷には、原版の原像に何れも左右逆の煩雑な逆像を用いなければならない。従って、通常、この原像が印刷インキを介して印刷(又転写)させた原像の左右反転されたインク像の正像を視感させることになる。また、使用するインキに関しても、対処させる活版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷及びオフセット印刷法に、それぞれ適性なインキ粘度を有するインキが不可欠であることから、従来の印刷法による画像印刷(又は画像転写)は、必ずしも技術的に簡便で、しかも、汎用性に優れる画像転写法でないとも言える。また、このように、従来の印刷法による画像印刷には、取り扱いに煩雑な印刷インキが不可欠である。
そこで、本発明者は、既に特開2005−60653号において、予め染顔料で灰色〜黒色等の黒色系無彩色に着色させた粒子径が数百nmサイズ(又はコロイド粒子サイズ)で、単分散性球状微細粒子の有機ポリマー又は無機ポリマーが分散する途布性に優れる特定な固−液水性サスペンジョンを提案している。このサスペンジョンをPETフィルム等の支持体上に塗布させると乾燥させることなく、この粒子からなる3次元粒子整合体相を形成させる。この塗工膜は、例えば、可視光線波長領域380〜780nmの自然光又は白色光の照射下に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の鮮明な単色系有彩色を視感させる構造色色相を形成させる。
すなわち、このような有彩色を視感させる特定固−液水性サスペンジョン部材は、従来の着色染顔料等の物体色や又はカラーテレビ等の自発光光源色とは明確に区別され、下記(イ)〜(ホ)なる要件を有し、可視光照射下に鮮明な単色系有彩色(又はスペクトル分光有彩発色)を視感させる。本発明者は、このような発色部材の有彩色を構造色と称している。
(イ)その有彩色を視感させる構造色色相は、灰色、黒褐色、黒色等の黒色系無彩色の有機又は無機ポリマー単分散球状粒子が、縦及び横方向に整合する流動性を有する3次元粒子状積層物(又は流動性コロイド結晶体)である。
(ロ)この黒色系無彩色の有機又は無機ポリマーの単分散球状粒子は、体積基準で表す平均粒子径が100nm以上で、900nmを超えない範囲にあるコロイド粒子サイズの特定粒子径を有する黒色系無彩色球状微細粒子である。
(ハ)粒子状積層物を形成する特定粒子径を有する単分散球状粒子に係わって、可視光照射下に、その3次元粒子整合体表面に対する垂直反射光色が、その特定する粒子径に係わって、ブラッグの反射式における角度依存を満足するスペクトル分光発色として、例えば、紫色系、青色系、緑色系、黄色系及び赤色系等の単色系有彩色の構造色を視感させる。
(ニ)また、本発明者が既に特開2005−60653号に提案する構造色色相を形成させる水性サスペンジョンは、体積基準で表す平均粒子径が、100nm以上で、900nmを超えない特定範囲にある有機ポリマー又は無機ポリマーの黒色系無彩色の単分散性球状微細粒子が、分散質粒子として体積基準で表して20%以上で、70%を超えない分散濃度の水性サスペンジョンである。しかも、固−液分散体としての電気伝導度が2000μS/cm以下にある塗布性に優れる特定の固−液水性サスペンジョン(又は流動性コロイド結晶体=流動性3次元粒子整合体)である。
(ホ)この水性サスペンジョンを用いて形成させるグリーンシート相を、20〜60℃の温度雰囲気下に曝し乾燥させることで、黒色系無彩色の球状微細粒子が、縦・横方向に規則的に整合した3次元粒子整合体を形成させる。しかも、自然光又は白色光の照射下に特性反射スペクトル光に基づく鮮明な単色系有彩色を視感させる構造色色相を形成させる。
従って、本発明の目的は、従来から、あらゆる画像印刷(又は画像転写)に用いられている各種の印刷法のように、原版の原像を、印刷インクを用いて印刷させるインク像ではなく、また、そのインク像を正像にするために、原版に設ける原像が、煩雑な逆像原像を用いることなく、原版の原像が正像とし転写されて、しかも、従来のようなインク像ではなく、可視光照射下に鮮明な単色系有彩色の構造色色相を形成させるグリーンシート相を転写体に用いてなる新規な転写画像を提供させることである。
また、本発明の他の目的は、このような従来の印刷法によるインク像とは異なる転写画像を、原版とは非接触下にある流動性3次元粒子整合体のグリーンシート相なる転写体に、形成させる構造色色相中に形成・視感させる新規な画像転写方法を提供させることである。
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、PETフィルム上に、平均粒子径が190nmの、黒色無彩色のMMA系単分散球状粒子が、体積基準で表す分散濃度30%で、その水性分散体の電気伝導度が450μS/cmである水性サスペンジョンを約10μm厚に塗布させたグリーンシート相を、ステンレス金網上に乗せて、約50℃の温度雰囲気下に靜置曝露させたとこら、PETフィルム上には鮮やかな青色の有彩色が視感され、しかも、その青色有彩色の構造色色相に、恰も金網の網目模様が転写されているような「青色の色ガラ」像が明確に視感されることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、凸部及び/又は凹部で構成される画線部を正像とする原版に基づく原像が、被転写体の可撓性の支持フィルム上に設ける転写体となるグリーンシート相に形成させる構造色色相中に転写正像として視感されていることを特徴とする新規な転写画像を提供する。
すなわち、原版の画像とは非接触下にある可撓性の支持フィルム上に形成させる構造色色相中に、原版の画線部の原像に対応している有彩色色相の「色ガラ」色相と、必要に応じて原版に設ける非画線部に対応している有彩色色相の「無色ガラ」色相とが、視感される。しかも、これらの「色ガラ」色相と「無色ガラ」色相とは、少なくとも同色の単色系有彩色の構造色色相である。
その被転写体の支持フィルム上に設ける転写体となって、原像を転写させるグリーンシート相に形成される構造色色相は、(1a)平均粒子径が100nm以上で、900nmを超えない範囲にある白色、灰白色、灰色、灰黒色、黒色から選ばれる何れか1種の染顔料で着色された白色系又は黒色系の無彩色着色粒子であり、(2b)更には、この粒子径サイズにある透明無着色粒子で、視感される乱反射色が白色系無彩色の無着色粒子である有機ポリマー又は無機ポリマーの単分散性球状粒子が、(3c)3次元粒子整合体として、相厚1〜30μm範囲にある転写体色相として形成される。
本発明によれば、このように転写体グリーンシート相に形成される3次元粒子整合体上に、透明部材によるトップ支持膜が施されている構造色色相中に、原版原像が、有彩色の「色ガラ」色相なる新規な転写正像を明確に視感することができる(なお、本発明における「色ガラ」とは、いわゆる色柄を意味し、また、「無色ガラ」とは、色柄の無い色相を意味する)。
また、本発明における上記する白色系又は黒色系の無彩色について更に説明すると、
(1)白色系無彩色とは、マンセル色票に表す彩度=0(零)であって、明度が限りなく≧9である。
(2)また、黒色系無彩色とは、彩度=0であって、明度が限りなく≦1である。
(3)また、本発明においては、上記する彩度=0で、1<明度<9にある灰白色、灰色、灰黒色等の色相は、何れも黒色系無彩色として扱うことができる。
(4)更に、本発明においける透明無着色粒子に係わる白色系無彩色とは、平均粒子径が100〜900nmサイズにある透明無着色球状粒子においては、通常、その粒子の分散系に対して、可視光照射下に視感される乱反射色は、例えば、透明ガラスの微粉砕物体から視感される反射色は、白色であることからよく理解することができる。
また、本発明によれば、このような構造色色相中に原版原像を、転写画像に相当する色ガラの有彩色色相として形成させるに、可撓性の支持フィルム上に形成させる構造色色相中に、凸部及び/又は凹部で構成される画線部を正像とする原版に基づく原像を、この原版上に重ね搭載する被転写体の可撓性の支持フィルム上に設けるグリーンシート相を介して形成される構造色色相中に、転写正像として形成させることを特徴とする新規な画像転写方法を提供する。
すなわち、
(1−a)数百nm程度の平均粒子径を有する白色、灰白色、灰色、灰黒色、黒色から選ばれる何れか1種の白色系又は黒色系無彩色の有機ポリマー又は無機ポリマーの単分散性球状粒子が、体積基準濃度で表して20%以上で、70%を超えない分散濃度の水性サスペンジョンで、しかも、その電気伝導度が2000μS/cm以下にある特定水性サスペンジョンを調製する。
(2−b)次いで、この水性サスペンジョンを、5〜500μm厚の可撓性支持フィルム上に、1.5〜40μm塗工厚に塗布させてなる転写体なるグリーンシート相を設ける。
(3−c)次いで、凸部及び/又は凹部で構成される画線部を正像とする原版上に、このグリーンシート相を設ける被転写体を重ね搭載させた状態で、20〜60℃の温度雰囲気下に曝露乾燥させて、このグリーンシート相に相厚1〜30μm範囲にある構造色色相を形成させる。
(4−d)次いで、原版から分離させた被転写体上に形成させた構造色色相中には、原版の画線部原像に対応する有彩色の「色ガラ」色相が、転写正像として視感される。また、必要に応じて原板に設ける非画線部の平坦部に対応する有彩色の「無色ガラ」色相が形成されている。
(5−e)次いで、透明部材のトップ支持膜を施して、被転写体上に固定された構造色色相中に、少なくとも「無色ガラ」色相と同色の単色系有彩色の「色ガラ」色相像が、転写正像として視感させる。
以上のように、本発明による転写画像の特徴は、従来の印刷法による印刷インキ画像とは、著しく相違して、可撓性の支持フィルム上に構造色色相を形成する特定水性サスペンジョンによるグリーンシート相を設けてなる転写体部材に、転写される転写画像である。また、本発明による転写画像は、印刷インキを要さない非インキ像であって、グリーンシート相に形成される構造色色相中に、有彩色色相なる構造色の「色ガラ」像として視感される転写画像である。
また、この本発明に用いる被転写体の樹脂支持フィルム基材は、グリーンシート相に構造色色相を形成させる常温以上の少なくとも20〜60℃の温度雰囲気下に、原版画線部(又は原像)の凸状及び/又は凹状部に、自在に撓み追随する可撓性樹脂フィルムであることが重要である。
本発明においては、この支持フィルム上において、20〜60℃程度の温度下にグリーンシート相中のサスペンド粒子が乾燥整合されながら、鮮明な有彩色の構造色を形成させる経時下に、[原版の「凸状及び/又は凹状画線部面」からなる原像\被転写体の可撓性支持フィルム\転写体のグリーンシート相]→(20〜60℃曝露乾燥中に)→[可撓性支持フィルム\単色系有彩色の「色ガラ」なる転写画像]が形成・視感される。
また、本発明による転写画像は、この凸状及び/又は凹状原版の画線部原像には全く非接触下にある転写体「グリーンシート相」に形成される構造色色相中に転写されている。従って、この画線部に対応して形成・視感される単色系有彩色の「色ガラ」転写像は、従来において全く知られていない新規な転写画像と言える。
このような本発明による画像転写の形成機構について、後述する[図3](a)に表示する原版原像と[図3](b)に表示する転写画像の概念模写図との事実関係として理解することができる。
すなわち、原版の凸状画線部及び/又は凹状画線部面に重ね搭載させた状態にある本発明における被転写体は、3次元粒子整合体を形成させる白色系又は黒色系無彩色の単分散性球状粒子からなる特定の固−液水性サスペンジョンを、所定厚に塗布させた塗工膜(又はグリーンシート相)を有する可撓性の支持フィルムである。
また、この転写体グリーンシート相を設ける可撓性支持フィルムの一体化物が、後述する実施例の事実関係として、原版の画線部の凸状及び/又は凹状面に対応して、凹部面に対しては、下方方向への撓みを発生させ、その撓みに併せてその周辺の凸部面で形成されるアレイ状の原像に、「色ガラ」像の単色系有彩色色相が、アレイ状に対応・形成されている事実関係として理解される。
以下に、本発明による構造色色相中に視感される転写画像及び原版とは非接触下に形成させる構造色色相に、原版原像を転写させる画像転写法の実施形態について、添付[図1]〜[図4]を参照しながら更に説明する。
<本発明による転写画像の特徴>
既に上述する如く、本発明による転写画像は、凸部及び/又は凹部で構成される画線部原像の原版に、
(A)自在に追随する可撓性支持フィルム上に形成させる構造色色相が、従来の印刷法における紙等の被転写体に相当する。
(B)しかも、従来の印刷法のインク像なる転写画像に相違して、本発明の転写画像は、原版の原像とは非接触下にある構造色色相中に形成される有彩色色相の「色ガラ」像として、視感される非インク像の転写画像であることを特徴とする。
(C)また、本発明による構造色色相に視感される画像は、原版原像をこの構造色色相中に、恰も投影像として視感されることから、原版原像をそのまま正像とする有彩色の「色ガラ」色相が転写正像であることを特徴とする。
また、本発明においては、このような凸部及び/又は凹部で構成される画線部を原像とする原版に基づく画像は、支持フィルム上の構造色色相に形成・視感される有彩色色相が、原版の画線部に対応して転写される「色ガラ」画像である。また、必要に応じて原版に非画線部の平坦部が設けられている場合には、支持フィルム上には、単色系有彩色の「無色ガラ」の構造色色相が視感され、しかも、原版の非画線部に対応している。従って、
(D)本発明による画線部を転写させた有彩色の「色ガラ」色相と、非画線部に対応する有彩色の「無色ガラ」色相とは、何れも単色系有彩色の構造色色相として形成され、しかも、本発明においては、「色ガラ」色相と「無色ガラ」色相は、少なくとも同色の単色系有彩色の構造色色相として視感されることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明による新規な転写画像の代表的な一例として、添付する[図3]を参照しながら以下に詳細に説明する。
[図3](a)には、原版であるステン製の網目状の金網が図示されている。図から明らかなように、横線の[S,S,S,S,S,S,S,S,S]が、縦線の[L,L,L,L,L,L,L,L,L]に対して図中の[Sa←→Sb]横方向及び[La⇔Lb]縦方向にある何れの縦線に、交互に上下になるように編まれている金網の拡大表面模写図を示している。従って、図中の黒丸印(●)で表示する箇所の全てが、縦線に対して編まれた横線が縦線の上になる凸部(200)になる箇所を表示し、また、この黒丸印(●)箇所を挟んで、図中の[Sa←→Sb]横方向及び[La←→Lb]縦方向の交互に、横線が縦線の下に編み込まれて凹部(100)になる箇所を表示されている。その結果、この黒丸印(●)箇所の図中の[Ca←→Cb]方向は、隣同士の全てが、凸部(200)となる。
以上から、このように凸部と凹部が網目状(アレイ状)に形成された金網を原版に用いて、本発明による可撓性の支持フィルム上の構造色色相に転写された画像が、[図3](b)に表示されている。このような金網の原版上に、PET等の可撓性の支持フィルムを搭載させて、20〜60℃程度の温度雰囲気下に放置することで、支持フィルムは黒丸印(●)の凸部(200)箇所を支点にして、図中の[Sa←→Sb]横方向及び[La←→Lb]縦方向の凹部(100)箇所が下方に弛む傾向になる。従って、このように凸凹部がアレイ状に形成されている原版画線部表面上には、重ね搭載された本発明における可撓性支持フィルムの被転写体上に構造色色相が形成されている。既に説明済みであるように、この支持フィルム表面上に形成される構造色色相の何れの箇所も、同色の単色系有彩色の構造色色相であって、[図3](a)に示す画線部が凸部(200)と凹部(100)とがアレイ状に形成された原版の原像が、「色ガラ」として[図3](b)に模写するような転写画像が明確に視感される。
すなわち、その「色ガラ」としての画像は、上記原版のアレイ状の黒丸印(●)凸部に対応して、[図3](b)に図示する略円形の「色ガラ」なる転写画像が、形成・視感される。例えば、[図3](b)の丸印内の77番目とは、[図3](a)に示す横線Sと縦線Lとで編まれてなる凸部(200)に対応していることを示している。同様に丸印内の51番目とは、横線Sと縦線Lとで編まれてなる凸部(200)に対応している。また、[図3](a)に図示する図中の[Sa←→b]横方向及び[La←→b]縦方向の凹部(100)箇所に対応して、[図3](b)に図示する例えば、[○印26,○印35,○印46,○印37]の「色ガラ」で囲まれて形成するダンベルの握り部のような「色ガラ」(100)として形成・視感される。従って、このような原版によって転写される画像は、正しく凸部及び凹部の何れもがアレイ状に形成する原版の原図が、凸部が円形図の「色ガラ」画像として、凹部がダンベルの握り部図の「色ガラ」像として、何れもがアレイ状に形成された転写画像を視感することができる[[図3](b)参照]。
また、[図1]には、既に[図3](b)で詳細に説明した転写画像の単色系有彩色「色ガラ」像に対して、略垂直視線方向から視感される転写模写画像を表示している。また、[図2](a)及び(b)には、上記水平表面方向から視感される転写模写画像を、それぞれ[図2](a)及び(b)に表示する視線方向に傾斜する傾斜面に視感される転写模写画像を表示している。従って、このように視感される転写画像の「色ガラ」像は、何れも構造色色相であることから、構造色の特徴として、水平表面と傾斜面のそれぞれ視感される色相は、それぞれ異なる単色系有彩色の構造色である。例えば、水平面が赤系で、傾斜面が緑系の「色ガラ」像として視感される。
また、特に、[図2](a)及び(b)に表示する傾斜視線で視感されるアレイ状の○印図ガラのそれぞれが、傾斜視線方向に半球色の○印図ガラの転写画像を視感させる特徴を呈している。このような特徴ある転写画像を視感させる詳細な理由は不明であるが、本発明による転写画像が、既に上述する如く、[原版の「凸状又は凹状画線部面」のアレイ状の凹凸原像\被転写体の可撓性支持フィルム\転写体のグリーンシート相]→(20〜60℃曝露乾燥)→[可撓性支持フィルム\色彩構造色色相のアレイ状「色ガラ」なる転写画像]となるに係わって、この傾斜視線方向に半球色の○印図ガラは、[図3](a)に図示する図中の[Sa←→b]方向及び[La←→b]方向の傾斜面に視感されて、[図3](a)に図示する図中の[Ca←→Cb]方向には視感されない。すなわち、凸部を挟んで凹部を有する傾斜面に沿って視感されている。
以上から、本発明によれば、例えば、凸部及び/又は凹部で構成される文字像、写真像、線、線画、絵画等の画線部を原像とする原版を用いることで、この原版原像に基づく画像を、可撓性の支持フィルム上に設ける上記グリーンシート相を介して形成される構造色色相中に「色ガラ」転写正像として形成・視感される転写画像を、適宜可能にできることが良く理解される。
また、この被転写体としての支持フィルム上に設けるグリーンシート相に形成される構造色色相は、既に上述した如く、本発明者が、既に特開2005−60653号において提案した構造色部材によるものであって、体積基準で表す平均粒子径が130〜310nmの範囲にある黒色系無彩色有機ポリマー又は無機ポリマーの単分散性球状粒子が、3次元粒子整合体として形成されていることから、本発明においては、相厚が1〜30μm範囲で、構造色がより鮮明で、しかも、転写体として原像をより鮮明な転写像にさせる観点から、好ましくは、5〜20μm相厚の構造色色相であることが好適である。
また、本発明において、体積基準で表す平均粒子径が300を超えて800nm未満の範囲にある着色粒子に係わる白色系又は黒色系無彩色粒子及び透明無着色粒子に係わる白色系無彩色粒子である有機ポリマー又は無機ポリマーの単分散性球状粒子も、適宜好適に3次元粒子整合体を形成させることから、本発明においては、被転写体としての支持フィルム上に、これらの粒子径からなるグリーンシート相を形成させて本発明による構造色からなる画像転写体として適宜用いることができる。この転写体グリーンシート相に形成される構造色は、その垂直視線方向に対しては、全く有彩色の「色ガラ」画像を視感されないが、特定する斜向視線方向に対して有彩色の「色ガラ」画像を視感することができる。
以上から、画線部の原像に対応する「色ガラ」色相と非画線部に対応する「無色ガラ」色相とは、自然光又は白色光の照射下に視感される垂直反射光色として単色系有彩色の構造色である。
そこで、本発明において、視感される垂直反射光色について更に言及すれば、本発明における転写画像である「色ガラ」色相は、構造色色相の3次元整合体中の互いに中心線方向に対向する粒子中心間で表す粒子間距離(L)に係わって、粒子間距離(L)と可視光線が照射されて視感される垂直反射光色としての単色系有彩色の「色ガラ」色相は、略ブラッグの反射式を満足させる反射スペクトル分光色である。なお、本発明においては、この粒子間距離(L)は、白色系又は黒色系無彩色有機ポリマー又は無機ポリマーの単分散性球状粒子の平均粒子径(d)と、略(L)≒(d)である。
上記する黒色系無彩色の有機又は無機の単分散球状粒子の体積基準で表す平均粒子径(d)が130〜310nmの範囲にあって、例えば、その屈折率(n)=1.5の(メタ)アクリル系ポリマーにおいては、この転写画像を形成している画線部の色ガラ構造色色相と非画線部の無色ガラ構造色色相との単色有彩色は、3次元粒子整合体を形成する特定粒子径を有する単分散球状粒子に係わって、可視光照射下に、この3次元粒子整合体の面心立方格子(111)結晶面に対して、ブラッグの反射式を満足させる垂直反射の「一次光色」を視感することができる。また、この「一次光色」は、特定する粒子径130〜310nmに係わって、ブラッグの反射式における角度依存を満足させて、例えば、紫色系、青色系、緑色系、黄色系及び赤色系等の単色系有彩色のスペクトル分光発色を視感させる。なお、可視光線領域(nm)におけるスペクトル分光発色は、通常、青紫色〜紫青色/400〜500(440)nmの反射スペクトルで、緑色/500〜600(540)nmの反射スペクトルで、赤色/650〜760(720)nmの反射スペクトルであって、それぞれ光の3原色(単色有彩光色)として視感されるものである。なお、括弧内の数値は、それぞれ3原色の反射スペクトル波形のピーク値nmを示す。
また、既に説明する如く、本発明において、(d)=310nmを超え800nm未満の範囲においては、この3次元粒子整合体の面心立方格子(111)結晶面に対する垂直反射光色(有彩色光色)は視感されなく、ブラッグの反射式を満足させて視感される垂直反射光色は、3次元粒子整合体の(111)結晶面に対して、所定の斜向視線方向に当たる(311)、(220)、及び(211)結晶面からの反射光が、鮮明な有彩色光色を視感させる。すなわち、視線を所定の斜向方向に向けることで、3次元粒子整合体の(311)、(220)及び(211)結晶面からの有彩色光色が、構造色として視感されることが特徴とする。
また、本発明において、このような画線部の色ガラ色相と非画線部の無色ガラ色相を形成させる白色系又は黒色系無彩色有機ポリマーの単分散性球状粒子としては、必ずしも限定されるものではないが、好ましくは、(メタ)アクリル系、(メタ)アクリル−スチレン系、フッ素置換(メタ)アクリル系及びフッ素置換(メタ)アクリル−スチレン系から選ばれる少なくとも一種の有機ポリマーを適宜好適に挙げることができる。また、同様に必ずしも限定されるものではないが、無機ポリマーの単分散球状コロイド粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタニア−セレン、チタニア−シリカ及びジルコニア−シリカから選ばれる少なくとも一種の無機ポリマーが挙げられる。本発明においては、既に特開2005−60653号において説明済みであるが、転写体のグリーンシート相中にサスペンド(分散)する単分散性の球状微細粒子は、体積基準で表す平均粒子径(d)が130〜310nmで、白色、灰白色、灰色、灰黒色、黒色から選ばれる何れか1種の着色粒子に係わる白色系又は黒色系無彩色及び透明無着色粒子に係わる白色系無彩色である有機ポリマー又は無機ポリマーが適宜好適に用いられる。また、本発明においては、体積基準で表す平均粒子径(d)が310nmを超え800nm未満ので、且つ着色粒子としての白色系又は黒色系無彩色粒子及び透明無着色粒子としての白色系無彩色である有機ポリマー又は無機ポリマーを適宜好適に用いることができる。
また、特に、シリカ、アルミニウム、ジルコニア、チタニウム等の金属アルコキシドのゾル−ゲル法で調製される無機ポリマー粒子は、染顔料を用いて比較的に黒色系無彩色に着色させ易いことから適宜好適に使用される。その金属アルコキシドとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラブチルシリケート;アルミニウムエトキシド,アルミニウムトリエトキシド,イソブチルアルミニウムメトキシド,イソブチルアルミニウムエトキシド,アルミニウムイソプロポキシド,イソブチルアルミニウムイソプロポキシド,アルミニウムブトキシド,アルミニウムt−ブトキサイド,スズt−ブトキサイド;アルミニウムトリ−n−プロポキシド,アルミニウムトリ−n−ブトキシド;テトラエトキシチタン,テトラ−n−プロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトラ−i−プロポキシチタン,チタンメトキサイド,チタンエトキサイド,チタン−n−プロポキサイド,チタンイソプロポキサイド,チタン−n−ブトキサイド,チタンイソブトキサイド;ジルコニウムエトキサイド,ジルコニウム−n−プロポキサイド,ジルコニウムイソプロポキサイド,ジルコニウム−n−ブトキサイド,エトキサイドテトラ−n−プロポキシジルコニウム等が挙げられる。
<被転写体の可撓性支持フィルム>
また、本発明における可撓性の支持フィルムは、透明、半透明、不透明に限定されないが、既に説明済みである如く、20〜60℃程度の温度雰囲気下に撓む程度の可撓性を有する樹脂フィルムであれば適宜好適に使用される。また、そのフィルム厚は5〜500μmであって、撓み性の応答性からして、好ましくは、300μm以下で、更に好ましくは200μm以下で、特に好ましくは100μm以下の可撓性樹脂フィルムであることが好適である。
本発明において、このような支持フィルムが重要な被転写体の転写用基材であるが、上記特定水性スペンジョンに係わって、耐水性又は耐溶剤性を有するものであれば、特に限定することない通常の可撓性を有する有機ポリマーフィルムが用いられる。特に必要に応じて透明であることが好適であれば、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン等が挙げられる。
また、本発明においては、これらの可撓性支持フィルムを、被転写体として用いるに際しては、被転写体上へのグリーンシート相の形成をよりスムーズにさせる等から、予め各種の接着剤(又は粘着剤)を適宜塗布させることができる。また、本発明において、このように可撓性支持フィルム上に予め設ける接着剤相を介して、転写画像を有する転写体相を別途被転写体にトランスファー(転写)させることができる。
<トップ支持膜>
また、本発明による転写画像が、このような支持フィルム上に形成される構造色色相中に形成・視感される。しかも、この構造色色相は既に上述する数百nm程度の微細球状粒子の3次元粒子整合体に視感されるものである。従って、この3次元粒子整合体の構造色色相を固定させるために、例えば、重合開始剤を含有する重合性有機モノマー液、有機ポリマー液又は無機バインダー液等の透明部材によるトップ支持膜が設けられる。
本発明におけるトップ支持膜は、3次元粒子整合体の構造色色相のトップ保護膜であって、3次元粒子整合体の粒子積層体の固定膜であって、しかも、このようなトップ支持膜を施すことで、構造色色相として単色系有彩色の光スペクトル色の視感を低下させてはならない。
本発明における「第1のトップ支持膜」としては、3次元粒子整合体を形成する黒色系無彩色の単分散性球状粒子の屈折率(nP)とは異なる屈折率(nB)を有する透明樹脂であって、しかも、両者の屈折率間には、好ましくは|nP−nB|≧0.05なる関係を満足することが重要である。この関係式から外れると構造色の色調を低下させ、また、全く構造色を視感することができなくなって好ましくない。
このような屈折率を満足させるトップ支持膜の膜厚は、保護・固定膜として、好ましくは1〜50μmで、更に好ましくは2〜30μmで、特に好ましくは5〜15μmの範囲で適宜好適に設けることができる。このような屈折率の透明樹脂を選択すれば、トップ支持膜を塗布させるに際して、樹脂バインダー(例えば、重合開始剤を含有する重合性有機モノマー液)が3次元粒子整合体の表面並びに粒子間隙に充分に浸透するよう塗布させられるので、全くその粒子配列構造体の配列・整合する粒子が光学的に明確に視認され、しかも、安定に支持固定させることができる。支持膜厚が、下限値1μm未満では、保護・固定膜として、充分に効果を発揮できず、また、上限値を超えると構造色としての明度、色調を低下させて好ましくない。
また、上記「第1のトップ支持膜」でも充分に目的を発揮させることができるが、両者の屈折率間における上記関係式を満足させる観点から、透明部材として著しく限定されることから必ずしも満足できる支持膜ではない。そこで、本発明における「第2のトップ支持膜」としては、分子量が30万以上で、分子量分布の分散指数(Mw/Mn)≦5.0である透明樹脂を選択することで、両者の屈折率に制約されることなく、また、全く同等の屈折率であっても、構造色色相の単色系有彩色の視感を阻害させることなく、保護・固定膜として適宜好適に施すことができる。
なぜならば、本発明に用いる3次元粒子整合体として構造色色相(色ガラ色相及び無色ガラ色相)を形成・視感させる黒色系無彩色の単分散性球状粒子は、その平均粒子径が、例えば130〜310nm又は310nmを超え800nm未満の範囲にある。また、この構造色色相としての3次元粒子整合体は、最密充填の粒子構造体であることから、この粒子間に介在する空隙間は、ほぼ80nm以下で、しかも、本発明におけるこの空隙のほぼ100%が、互いに連通状態にないことから、トップ支持膜として塗布させた重合性有機モノマー液、有機ポリマー液が、上記する特定条件を満足するものであれば、硬化する以前に、表面を含むこれらの空隙に浸透して満たされることがほぼ皆無である。従って、構造色色相を形成する3次元粒子整合体を覆う空気相が封止されて、トップ支持膜を施しても、構造色色相の粒子表面には、空気相が介在して、構造色色相の単色系有彩色の視感を阻害させることはないと言える。
本発明においては、これらの第1及び第2のトップ支持膜(又は保護・固定膜)の施工方法としては、グリーンシート相に構造色色相を形成させた後、例えば、刷毛塗り法、ブレードコーター、エアナイフコーター等の各種のコーター法、スプレー法、スピンコート法、フレキソ印刷、グラニヤ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷及びインクジェット塗工等の従来から公知の塗工機器及び印刷法でトップ支持膜を形成させることができる。
<本発明による新規な画像転写法>
そこで、本発明による新規な転写画像を、被転写体であるの可撓性の支持フィルム上におけるグリーンシート相を介して形成させた構造色色相中に、転写させる新規な画像転写法について、[図4]に図示する転写工程(又は印刷工程)図を参照して以下に説明する。
すなわち、本発明による新規な画像転写法とは、凸部又は凹部で構成される画線部を原像とする凸状又は凹状原版に基づく画像を、本発明における「被転写体である可撓性の支持フィルム」上に設ける「転写体であるグリーンシート相」を介して形成する構造色色相中に、少なくとも同色の単色系有彩色の有色彩色相である「色ガラ」正像として転写させるに、被転写体である可撓性の支持フィルム上に設ける「グリーンシート相」を、上記のような原像を設ける原版上に重ね搭載させ、この可撓性の支持フィルム上の「グリーンシート相」を、20〜60℃温度乾燥下に3次元粒子整合度を一層向上させてなる構造色色相中に、原版の原像に対応する有彩色色相なる「色ガラ」色相の転写正像を形成させる画像転写法である。
本発明に用いる凸状原版及び凹状原版の概念断面図について、それぞれ[図4](a)及び[図4](b)に図示されている。[図4](a)における凸状原版(1)には、凸部で構成される画線部(2)と、必要に応じて設けられる平坦な非画線部(3)が設けられている通常の凸状原版と言える。また、[図4](b)における凹状原版(4)には、凹部で構成される画線部(2)と、必要に応じて設けられる平坦な非画線部(3)が設けられている通常の凹状原版と言える。通常、従来の印刷法において、この凸状原版における凸部画線部(2)に印刷インキを付け、また、凹状原版を用いる場合には、この凹状原版の凹部画線部(2)に印刷インキを付与させて、紙等の被印刷体に転写させるそれぞれ凸版印刷(活版印刷、フレキソ印刷)、及び凹版印刷(グラビア印刷)と言われるものである。
本発明においても、このような凸状原版(1)及び凹状原版(4)の原像を用いて、その画像を転写させるが、既に説明する如く、本発明による転写法は、従来の印刷法のように印刷インキを介してのインク像ではなく、原版とは全く非接触下にある可撓性支持フィルム上に形成されている構造色色相中に形成・視感させる有彩色色相の「色ガラ」像を転写画像とするものである。
[図4](1)〜(5)に図示する転写工程図を参照しながら転写法を説明すると、
工程(1):易接着処理(5’)を施した5〜500μm厚の可撓性の樹脂支持フィルム(5)を準備する。
工程(2):次いで、この支持フィルム(5)上に構造色色相を形成させる平均粒子径130〜310nmの範囲にある白色系又は黒色系無彩色又は310nmを超え800nm未満の範囲にある白色系又は黒色系無彩色の単分散性球状粒子を分散質とする水性サスペンジョンを塗工厚1.5〜40μmに塗布させて、転写体であるグリーンシート相(6)[以後、単にグリーンシート相(6)と記す]を形成させる。
工程(3):次いで、この支持フィルム(5)上にグリーンシート相(6)を設けた支持フィルム(5)を、凸状原版(1)上に重ね搭載させる。
工程(4):次いで、この「グリーンシート相(6)/可撓性支持フィルム(5)/凸状原版(1)」なる積層部材を、20〜60℃温度雰囲気中に水平靜置状態に曝露乾燥させて、「構造色色相(10)/可撓性支持フィルム(5)/凸状原版(1)」のように、可撓性支持フィルム(5)上の「グリーンシート相(6)」→相厚1〜30μm範囲にある「構造色色相(10)」なる乾燥・整合体に変成させる。
このように変成させた支持フィルム(5)上の「構造色色相(10)」中には、工程(5)図に図示されている如く、原版(1)の画線部(2)に相当する「有色彩色相(7)」と原版(1)の非画線部(3)に相当する「無色彩色相(8)」が形成されている。
工程(5):次いで、原版(1)から分離した「構造色色相(10)/可撓性支持フィルム(5)」の「有色彩色相(7)」と「無色彩色相(8)」からなる「構造色色相(10)」を支持固定させるため、工程(5)において、「構造色色相(10)」上に透明部材からなる「トップ支持膜(9)」を施して、本発明による転写画像である「トップ支持膜(9)/有色彩色相(7)+無色彩色相(8)/可撓性支持フィルム(5)」が得られる。
<本発明に用いる転写体グリーンシート相用の水性サスペンジョンの調製>
本発明におけるグリーンシート相とは、体積基準で表す平均粒子径が、130〜310nm又は310nmを超え800nm未満の範囲にある灰白色、灰色、灰黒色、黒色等から選ばれる何れか1種の黒色系無彩色又は白色系無彩色の有機ポリマー又は無機ポリマーの単分散性球状粒子が分散する特定の水性サスペンジョン相であって、可撓性の被転写体の支持フィルム上に塗布層厚1.5〜40μmの範囲で適宜に形成させることができる。また、本発明者は、既に特開2005−60653号において、最適な構造色を形成させるに好ましい水性サスペンジョンを提供していることから、本発明に用いる特定の水性サスペンジョンとして適宜好適に用いることができる。
このような粒子サイズの黒色系無彩色の単分散性球状粒子を分散質とする固−液サスペンジョンを調製するには、分散媒溶液中に含有する有機及び/又は無機の酸・塩基官能基等に係わる電解質濃度として、このサスペンジョン中の体積濃度で表して、分散質粒子が20%以上で、70%を超えない、好ましくは、30〜55%の濃度範囲に分散する水性サスペンジョンである。しかも、透析処理等で電解質濃度を電気伝導度で表して2000μS/cm以下、好ましくは1000μS/cm以下に調整された水性サスペンジョンにすることで、既に上述した20〜60℃程度の温度下の靜置乾燥下に、サスペンジョン中の粒子が、3次元方向に極めて規則的に整合されてなる本発明に最適は3次元粒子整合体の構造色色相を、可撓性の支持フィルム上に形成させることができる。
また、このように調整するサスペンジョン中に分散する単分散性である分散質粒子の球状微細粒子の分散濃度は、本発明においては、体積基準で表して70%を超えない範囲になるように調整することが好適である。この上限値を超える分散濃度ではサスペンジョン中の分散質粒子をランダムに部分凝集する粒子群を生じさせ易く、本発明が求める3次元粒子整合体を形成させる粒子の規則的な整合を著しく阻害させる傾向にあって好ましくない。固−液サスペンジョンとしての分散安定性や、また、サスペンジョンを取り扱うハンドリング性の観点から、好ましくは、上限値として30〜50%程度の分散濃度に調整することが好適である。また、下限値は、そのグリーンシート中に、例えば、乾燥法によって粒子整合体を形成させる速度や、また、そのサスペンジョンの取り扱いハンドリング性から、好ましくは20%以上で、更に好ましくは、30%以上で、45%以下であることが好適である。
また、このように調整されたサスペンジョンを、平坦は下地部材上に流し込み、噴霧、塗布させて形成させる相当厚のサスペンジョン塗工相(又はグリーンシート相)は、本発明においては、固−液サスペンジョンにおける分散媒の氷点以上で、好ましくは、20℃±5程度の通常の室温程度である低温度下に曝すことで、暫時下地部材上には縦・横方向に規則的に整合されてなる球状微細粒子の3次元粒子整合体が形成される。このような温度下での靜置曝し下において、必要に応じて3次元粒子整合体の形成速度を高める場合には、好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃程度の温度下で適宜好適に対処させることができる。また、本発明においては、このような靜置曝しを、大気圧以下の減圧下において適宜好適に実施することもできる。
また、本発明における固−液サスペンジョン系で、配列粒子構造体として著しく均質である3次元粒子整合体を形成させるに、粒子形状が、好ましくは球状であって、しかも、この有機ポリマー又は無機ポリマーである球状微細粒子の平均粒子径は、その均斉度を示すCv値で表して、好ましくは5%以下、更に好ましくは3%の単分散粒子であることが好適である。その単分散性を表す粒子径の均斉度であるCv値が、5%以下で、反射光色の色みの濃さ、鮮明さから、より好ましくは3%以下の単分散粒子であることがより好適である。
具体例として、例えば、ソープフリー乳化重合では、通常、用いる重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が重合時に水性媒体に可溶であればよい。通常、重合単量体100重量部に対して、重合開始剤を0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部の範囲で添加すればよい。また、乳化重合法の場合では、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル等の乳化剤を重合単量体100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部で水性媒体に混合させて乳化状態にし、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩の重合開始剤を、重合単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部で添加すればよい。また、懸濁重合を含め、上記する乳化剤も特に特定する必要がなく、通常に使用されているアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤又は必要に応じてノニオン系界面活性剤等から選んで、その単独又は組合わせて使用することができる。
例えば、アニオン系界面活性剤としてはドデシルベンゼンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート、これらのナトリウム、カリウム塩等が挙げられ、また、カチオン系界面活性剤としてはセチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、また、ノニオン系界面活性剤としては、リピリジニウム等が挙げられる。また、反応性乳化剤(例えば、アクリロイル基、メタクロイル基等の重合性基を有する乳化剤)としては、例えば、アニオン性、カチオン性又はノニオン性の反応性乳化剤が挙げられ、特に限定することなく使用される。また、本発明に用いる黒色系樹脂粒子にするために、例えば、重合単量体、乳化剤及び水との混合系に着色剤である黒色系の油溶性染料又はカーボンブラックを含む黒色系の顔料を適宜分散混合又は懸濁混合させる。
そこで、上述する重合性モノマーから適宜選んだ単量体100重量部当たり、水200〜350重量部の範囲にある水を含む系に、例えば、C.Iソルベントブラック27のような黒色系染料の5〜10重量部を、加温攪拌下に添加し、次いで、乳化剤の0.05〜0.7とを添加させて、充分に攪拌混合後、窒素パージ下に攪拌しながら60〜80℃に昇温させる。次いで、0.3〜0.6重量部の範囲で過硫酸カリウム等の重合開始剤を添加させて、70〜90℃で4〜8時間重合反応を行う。
また、本発明に用いる単分散球状粒子の中に、上述する如く、例えば、黒色系の無彩色に着色させた球状単分散粒子を含め、必要に応じて予め他の添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光剤、染料、帯電付与剤、帯電防止剤、分散安定剤、消泡剤等を適宜添加させることができる。また、その他の添加剤として、生成させる分散質粒子の球状性、単分散性、及びサスペンジョン中での分散性等を阻害させない限り、必要に応じて、予め帯磁性、帯電性、吸着性、イオン交換性、化学反応性等の各種の機能剤又は官能基等を内包又は粒子表面に修飾させることもできる。
<本発明に用いる原版>
既に上述する如く、本発明による画像転写法に用いられる原版の原像は、凸部又は凹部で構成される画線部を原像とする凸状又は凹状原版に基づく画像であることから、その原版の部材として、例えば、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鉛板、セラミックス板、モルタル板、ガラス板、プラスチック板、木質板及び織布或いは不織布の布地等を挙げることができる。また、本発明においては、このような凸部及び/又は凹部で形成される画線部に係わって、原像を形成させる凸部間又は凹部間のピッチ幅及びその凸部又は凹部の段差は、鮮明な転写画像を形成させるに重要な要件になると思われる。
従って、可撓性の支持フィルムの撓み性にもよるが、本発明においては、文字像、線像、線画像、写真像、絵画像等の原像の種類によっても異なるが、実績事実から上記する原版部材に原像を形成させる凸部又は凹部のピッチ幅が0.5〜10mmの範囲にあれば適宜好適に鮮明な画像形成に対処できる。しかも、画線部を形成する凸部又は凹部の段差は、構造色色相を形成させる3次元粒子整合体の相厚に係わって転写画像の色ガラを鮮明にさせることから、0.5〜5mmの段差で、好ましくは、1〜3mmの段差範囲にある凸状及び/又は凹状の段差面で構成される画線部で形成される原像を原版として適宜好適に用いることができる。
また、本発明においては、特に、ネガ型フォトレジスト又はポジ型フォトレジストシート部材に、フォトリソグラフィー法で、更には、これらフォトレジスト及び通常のポリマーのGT温度以上におけるインプリントリソグラフィー法又はナノインプリント法で原像を形成させる凸部又は凹部のピッチ幅が0.5μm〜10mmで、その凸部又は凹部の段差が、1μm〜5mmの範囲にある凸状及び/又は凹状の段差面で構成される画線部で形成される原像を原版として適宜好適に用いることができる。
また、本発明における原版として、凸部又は凹部を有する部材として、例えば、ステンレス製、フッ素樹脂製、PVC製、ナイロン製及びビニロン製等から選ばれるメッシュ部材で、且つメッシュ部材の目開が3〜10mmで、アスペクト比が0.1〜2の範囲にあるメッシュ部材を挙げることができる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例にいささかも限定されるものではない。
(実施例1)
<青色構造色を呈する転写体グリーンシート相用サスペンジョン>
MMAを90g、MAAを10g、フラスコに入れ、黒色染料のC.Iソルベントブラック27の7.5g、乳化剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.8g、水567gを加え72℃に昇温した。窒素雰囲気下で開始剤KPS0.5gを加え乳化重合を行って負電荷を持つ体積基準で表す平均粒子径180nmの黒色系無彩色の単分散球状粒子が、体積基準で表す分散濃度15%のサスペンジョンを調製した。次いで、透析と濃縮で30%、電気伝導度1000μS/cmで、pH2.9のサスペンジョンに調製した。このサスペンジョンを用いて綜研製の粘着剤SKダイン2094をあらかじめ3μmdryで塗布した50μmPETフィルム上に10μmdryで塗工させた。次いで、このPET支持フィルム上に塗布したグリーンシート相を、40℃雰囲気下で、原版Aである線径0.5mm、線間隔5mmの平織りのステンレス製金網上に、重ね搭載させて乾燥させることで、このグリーンシート相は、順次構造色色相を形成させながら発色した。
すなわち、PET支持フィルムは、原版Aのステンレス製金網のステンレス線部材と接触している部分と非接触の部分とで段差が生じ、撓んだ状態になるが、その上に塗布したグリーンシート相表面の気液界面は、流動するサスペンジョンで水平化されるので、形成される構造色色相面は平坦化されるが、その3次元粒子整合相として粒子層厚さ差を形成させる。完全に乾燥させた後、原版Aから取り出した被転写体の支持フィルム側は平坦化されるが、形成された構造色色相の形成粒子層厚さ差は、そのまま残し、この構造色色相面には、恰も原版Aの網目模様に対応した構造色色彩像が転写されている。この粒子層にPVA235(クラレ社製)の5%水溶液を厚さ5μmになるように塗布して乾燥して固定化膜とした。なお、用いた原版Aのステンレス製金網は、ピッチ幅5mm、アスペクト比が0.5/5=0.5で、得られた転写体に転写された画像は、添付[図1]に模写したような図ガラの有彩色色相なる色ガラが転写されていた。
(実施例2)
原板Aに換えて、50mm角のステンレス平板にピッチ幅10mm、穴の深さ(又は段差)が3mmの円形穴が、9個を設ける凹状原版Bを用いて、PET支持フィルム上に設けるグリーンシート相を転写体とした以外は、実施例1と同様にして転写処理を行い、支持体上に形成される構造色色相中に明確な9個の円形状の有彩色色相なる色ガラを視感することができた。
(比較例1)
原版Bに換えて、このステンレス平板に、ピッチ幅1mm、穴の深さ(又は段差)が3mmの無数の穴を設ける凹状原版Cを用いた以外は、実施例2と同様に転写処理を行ったが、支持体上に形成される構造色色相は、有彩色色相の色ガラのない単なる単色系有彩色の構造色色相(又は無色ガラ相)を呈していた。
(実施例3)
<緑色構造色を呈する転写体グリーンシート相用サスペンジョン>
本発明に用いる黒色系無彩色の単分散球状粒子を調製する。容量1リットルの四つ口フラスコに、モノマーのメチルメタクリレート(MMA)の100重量部と黒色染料のC.Iソルベントブラック27の7.5重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.6重量部、水290重量部とを入れて攪拌混合後、窒素パージ下に攪拌しながら80℃に昇温させた。次いで、過硫酸カリウム0.5重量部を加えて80℃で約7時間重合反応を行った。電子顕微鏡法で測定した体積基準で表す平均粒子径180nmのほぼ単分散球状粒子の黒色系重合体粒子が分散するサスペンジョン(S1)を調製した。
次いで、容量1リットルの四つ口フラスコにMMAの80重量部と過酸化ベンゾイル1.0重量部とを入れて溶解させた後、水200重量部と、乳化剤のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の3.3重量部、黒色染料のC.Iソルベントブラック27の6.5重量部とを加えて強攪拌下に混合させた。次いで、サスペンジョン(S1)の28.6重量部を添加し、50℃×0.5時間穏やかに攪拌後、75℃×1.5時間反応させて、電子顕微鏡法で測定した体積基準で表す平均粒子径210nmの単分散球状粒子の黒色系重合体粒子を調製した。その固形分量は体積濃度で表して21%であった。この得られたサスペンジョン中の未反応モノマー、乳化剤などの不純物を取り除くと共に透析を行い、初期の電気伝導度4000μS/cmから300μS/cmに低減させたサスペンジョンを徐々に濃縮して体積濃度42%のサスペンジョン(S2)を調製した。このサスペンジョン(S2)で形成された3次元粒子整合体の構造色色相は、緑色の単色有彩色であった。
次いで、ステンレス製の70×200×5mm原板に、ピッチが3mmで、段差が3mmの凸状原版である「綜研化学」原像を試作した。この凸状原板上に、フィルム厚25μmのPET製支持フィルム上に、サスペンジョン(S2)を用いて10μm厚のグリーンシート相を形成させてなる転写体を、重ね搭載させて、実施例1と同様にして、50℃雰囲気下で転写処理を行った。その結果、支持フィルム上に形成された緑色構造色色相中に、同系色の有彩色色相なる色ガラ「綜研化学」像が形成・視感された。
(実施例4)
<赤色構造色を呈する転写体グリーンシート相用サスペンジョン>
容量1リットルの四つ口フラスコにMMAの78重量部と、エチレングリコールジメタクリレートの2重量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの15重量部とを加え、次いで過酸化ベンゾイルの0.5重量部とジメチル−2,2’−アゾビス2−メチルプロピオネートの1.0重量部と、C.Iソルベントブラック27の8重量部を加えて溶解させた後、水250重量部、乳化剤のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の10重量部とUNA−Naの0.1重量とを加えて強攪拌下に混合させた。次いで、サスペンジョン(S1)の40重量部を添加し、50℃×0.5時間穏やかに攪拌後、78℃×1.5時間反応させた後、90℃×1.5時間熟成させて得られたサスペンジョン中には、電子顕微鏡法で測定した体積基準で表す平均粒子径250nmの単分散球状粒子の黒色系重合体粒子が分散し、このサスペンジョン中の分散質粒子の体積濃度は31%であった。同様に透析処理後の電気伝導度を3900μS/cmから400μS/cmにしたサスペンジョンを徐々に濃縮して体積濃度37%のサスペンジョン(S3)を調製した。このサスペンジョン(S3)で形成された3次元粒子整合体の構造色色相は、赤色の単色有彩色であった。
次いで、ステンレス製の70×200×5mm原板に、ピッチが3.5mmで、段差が3.5mmの凹状原版である「綜研化学」原像を試作した。この凹状原板上に、フィルム厚25μmのPET製支持フィルム上に、サスペンジョン(S3)を用いて10μm厚のグリーンシート相を形成させてなる被転写体を、重ね搭載させて、実施例1と同様にして、50℃雰囲気下で転写処理を行った。その結果、支持フィルム上に形成された赤色構造色色相中に、同系色の有彩色色相なる色ガラの「綜研化学」文字像が形成・視感された。
(実施例5)
<緑色構造色を呈する転写体グリーンシート相用サスペンジョン>
MMAを90g、MAAを10g、フラスコに入れ、乳化剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.03g、水567gを加え72℃に昇温した。窒素雰囲気下で開始剤KPS0.5gを加え乳化重合を行って負電荷を持つ体積基準で表す平均粒子径「350nm」の透明無着色粒子の白色系無彩色単分散球状粒子が、体積基準で表す分散濃度15%のサスペンジョンを調製した。次いで、透析と濃縮で30%、電気伝導度540μS/cmで、pH6.5のサスペンジョン(S4)に調製した。このサスペンジョン(S4)を用いて実施例1と同様にして50μmPETフィルム上にグリーンシート相を形成させた後、40℃雰囲気下で、原版Aに重ね搭載させて乾燥させると、このグリーンシート相には順次構造色色相を形成させながら発色する。
これによって、既に実施例1に説明する如く、原版Aから取り出した完全に乾燥されたグリーンシート相の転写体に形成された構造色色相には、恰も原版Aの網目模様に対応した構造色色彩像が転写され、同様にしてPVA235(クラレ社製)の5%水溶液を厚さ5μmになるように塗布して乾燥させてこの構造色色相の固定化膜とした。得られた転写体に転写された画像は、垂直線視線方向からは色みのある色相を視感させないが、斜め視線方向からは有彩色色相の実施例1に視感された同様の転写像である色ガラ色相を視感することができた。
以上から、本発明による新規な転写画像及びその新規な画像転写法とは、凸状又は凹状の正像を原像とする原版を用いて、可撓性の支持フィルム上に設ける構造色色相を形成させるグリーンシート相なる転写体に、原像とは全く非接触下に形成される構造色色相中に有色彩色相の色ガラとしての正像が転写されることを特徴とする。
これによって、凸部又は凹部で構成される文字像、写真像、線及び線画像等の原像を、可撓性の支持フィルム上に設けるグリーンシート相を介して形成される構造色色相中に「色ガラ」転写正像として形成・視感させることができる。従って、従来からの各種の印刷法による印刷インク像とは異なる転写画像であって、また、従来の煩雑な逆像原版を要さず、しかも、原版とは非接触下にある転写体に、印刷インクを要さない構造色色相の色ガラ像である新規な転写画像及びその新規な画像転写法を提供することができる。
本発明による転写画像の一例として視感される表面色彩像を説明する概念図を示す。 図2に示す転写画像の角度依存において視感される傾斜面色彩像を説明する概念図を示す。 原版の画線部がメッシュ部材である[図2]に示す本発明による転写画像例の概念視感図を説明する拡大概念図を示す。 本発明による新規な画像転写法を説明する概念工程図を示す。
符号の説明
1 凸状原版
2 画線部(又は原像)
3 非画線部
4 凹状原版
5 可撓性支持フィルム(又は被転写体)
5’易接着処理
6 転写体グリーンシート相
7 色ガラ色相
8 無色ガラ色相
9 トップ支持膜
10 構造色色相

Claims (10)

  1. 凸部及び/又は凹部で構成される画線部を正像とする原版に基づく原像が、被転写体である可撓性の支持フィルム上に設ける転写体であるグリーンシート相に形成される構造色色相中に転写正像として視感される転写画像であって、
    前記原版の画線部に対応する前記転写画像の色ガラ色相と、前記原版に必要に応じて設ける非画線部の平坦部に対応する無色ガラ色相とは、少なくとも同色の有彩色の構造色色相で、
    これらの構造色色相は、平均粒子径が100nm以上で、900nmを超えない有機ポリマー又は無機ポリマーのCv値が5%以下の単分散性球状粒子で、且つ無彩色粒子が、相厚1〜30μm範囲にある3次元粒子整合体を形成し、且つ前記3次元粒子整合体上にはトップ支持膜が設けられ、
    前記色ガラ色相なる転写画像が、前記転写体の構造色色相中に視感されていることを特徴とする転写画像。
  2. 記無彩色粒子の平均粒子径が体積基準で表して130〜310nmの範囲にあることを特徴とする請求項に記載の転写画像。
  3. 記無彩色粒子の平均粒子径が体積基準で表して310nmを超えて800nm未満の範囲にあることを特徴とする請求項に記載の転写画像。
  4. 前記トップ支持膜は、前記Cv値が5%以下の単分散性球状粒子の屈折率(nP)とは異なる屈折率(nB)の透明部材で、且つ|nP−nB|≧0.05なる関係を満足する膜厚1〜50μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の転写画像。
  5. 前記トップ支持膜が、分子量30万以上で、分子量分布の分散指数(Mw/Mn)≦5.0の透明樹脂であることを特徴とする請求項に記載の転写画像。
  6. 前記色ガラ色相と前記無色ガラ色相とは、自然光又は白色光の照射下に視感される少なくとも同色の有彩色の構造色色相で、且つこれら構造色色相の3次元粒子整合体中の互いに中心線方向に対向する粒子中心間で表す粒子間距離(L)に係わって、粒子間距離(L)と前記有彩色と間には、略ブラッグの反射式を満足させるスペクトル分光発色の構造色色相として視感されることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の転写画像。
  7. 前記支持フィルムが、フィルム厚5〜500μmの範囲にある可撓性の樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の新規な転写画像。
  8. 凸部及び/又は凹部で構成される画線部を正像原像とする原版上に重ね搭載する被転写体の可撓性支持フィルム上に設ける転写体グリーンシート相に形成させる構造色色相中に、前記正像を転写させる画像転写方法であって、
    平均粒子径が100nm以上で、900nmを超えない範囲にある無彩色及び透明無着色粒子に係わる無彩色の有機ポリマー又は無機ポリマーのCv値が5%以下の単分散性球状粒子が、体積基準濃度で表して20%以上で、70%を超えない分散濃度で、且つその電気伝導度が2000μS/cm以下にある水性サスペンジョンを調製させ、
    次いで、この水性サスペンジョンを用いて、可撓性支持フィルム上に、1.5〜40μm塗工厚のグリーンシート相を形成させた後、
    前記原版上に、前記可撓性支持フィルムを重ね搭載させた状態で、20〜60℃の温度雰囲気下に曝露乾燥させ、
    次いで、前記原版から分離する前記被転写体上に設ける前記転写体の相厚1〜30μm範囲にある構造色色相中に、前記原像に対応する色ガラ色相なる転写正像と、必要に応じて前記原板に設ける非画線部平坦部に対応する無色ガラ色相とを形成させ、
    次いで、これらの構造色色相上に透明部材のトップ支持膜を塗布させ、
    てなる転写体グリーンシート相に、少なくとも同色有彩色の前記色ガラ色相と前記無色ガラ色相とを形成させることを特徴とする画像転写方法。
  9. 前記原版が、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、鉛板、セラミックス板、モルタル板、ガラス板、プラスチック板、フォトレジストシート、木質板、織布及び不織布の布地から選ばれる何れか1種の部材であって、画線部を形成する凸部又は凹部に係わるピッチ幅が0.5μm〜10mmの範囲で、且つその凸部又は凹部の段差が0.8μm〜5mmの範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の画像転写方法。
  10. 前記原版が、ステンレス製、フッ素樹脂製、PVC製、ナイロン製及びビニロン製から選ばれる何れかのメッシュ部材で、且つ前記メッシュ材の目開が1〜10mmで、アスペクト比が0.1〜2の範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の画像転写方法。
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