JP4997309B2 - 電子放出素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、電圧を印加することにより電子を放出する電子放出素子およびその製造方法に関するものである。
従来の電子放出素子として、スピント(Spindt)型電極やカーボンナノチューブ(CNT)型電極等で構成された電子放出素子が知られている。このような電子放出素子は、例えば、FED(Field Emision Display)の分野に応用検討されている。このような電子放出素子は、尖鋭形状部に電圧を印加して約1GV/mの強電界を形成し、トンネル効果により電子放出させる。
しかしながら、これら2つのタイプの電子放出素子は、電子放出部表面近傍が強電界であるため、放出された電子は電界により大きなエネルギーを得て気体分子を電離しやすくなる。気体分子の電離により生じた陽イオンは強電界により素子の表面方向に加速衝突し、スパッタリングによる素子破壊が生じるという問題がある。また、大気中の酸素は電離エネルギーより解離エネルギーが低いため、イオンの発生より先にオゾンを発生する。オゾンは人体に有害である上、その強い酸化力により様々なものを酸化することから、素子の周囲の部材にダメージを与えるという問題が存在し、これを避けるために周辺部材には耐オゾン性の高い材料を用いなければならないという制限が生じている。
このような背景から、上記とは別のタイプの電子放出素子として、MIM(Metal Insulator Metal)型やMIS(Metal Insulator Semiconductor)型の電子放出素子が開発されている。これらは素子内部の量子サイズ効果及び強電界を利用して電子を加速し、平面状の素子表面から電子を放出させる面放出型の電子放出素子である。これらは素子内部の電子加速層で加速した電子を放出するため、素子外部に強電界を必要としない。従って、MIM型及びMIS型の電子放出素子においては、上記スピント型やCNT型、BN型の電子放出素子のように気体分子の電離によるスパッタリングで破壊されるという問題やオゾンが発生するという問題を克服できる。
しかし、このような電子放出素子は、一般にピンホールや絶縁破壊等が生じやすい。このため、このような電子放出素子に、金属等の微粒子を有する絶縁膜を用いてピンホールや絶縁破壊等の発生を防止することが知られている。例えば、相対向する2枚の電極の間に金属等の微粒子を含む絶縁体を設けたMIM型の電子放出素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平1−298623号公報 特開2000−311640号公報
しかし、これらの電子放出素子は、金属等の微粒子を含む絶縁膜を構成要素とするため、絶縁膜を厚くすると、その電気抵抗の値が高くなり電子放出素子から放出される電子量が少なくなる場合がある。一方、絶縁膜を薄くすると、均一な絶縁膜を作製することが難しく絶縁破壊が生じやすくなる場合がある。このため、十分な電圧を電子放出素子に印加することが難しくなり、電子放出素子が十分な電子を放出できない場合がある。このように、十分な電子が放出されるとともに絶縁破壊が生じにくい電子放出素子の開発が望まれている。
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、十分な電子が放出されるとともに絶縁破壊が生じにくい電子放出素子を提供するものである。
この発明によれば、第1電極と、第1電極上に形成され、第1絶縁体微粒子と第1絶縁体微粒子よりも大きい第2絶縁体微粒子とにより構成され、その表面に第2絶縁体微粒子で形成された凸部が配置された絶縁体微粒子層と、前記絶縁体微粒子層上に形成された第2電極とを備え、第1電極と第2電極との間に電圧が印加されると、第1電極から供給される電子を前記絶縁体微粒子層で加速させて前記凸部を介して第2電極から放出させるように構成される電子放出素子が提供される。
この発明の発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意検討を行った結果、電子放出素子の電極間に設ける電子加速層を、絶縁体微粒子から構成される絶縁体微粒子層とすることで、金属などの導電微粒子がこの電子加速層に含まれなくとも、電子放出素子が電子放出できることを見出した。
さらに、この発明の発明者らは、上記絶縁体微粒子層における絶縁体微粒子の大きさにより電流の流れやすさに違いがあることに着目した。そして、上記絶縁体微粒子層上に大きな絶縁体微粒子による凸部を形成すると、上記絶縁体微粒子層における電流経路が限定され、放出される電子量が増加することを見出し、この発明を完成するに至った。
この発明によれば、十分な電子が放出されるとともに絶縁破壊が生じにくい電子放出素子を提供できる。
この発明の一実施形態における電子放出素子の構成を示す模式図である。 前記電子放出素子の図1におけるA−A断面図である。 電子放出実験の測定系を示す図である。 この発明の電子放出素子を用いた帯電装置の一例を示す図である。 この発明に係る電子放出素子を用いた送風装置及びそれを具備した冷却装置の一例を示す図である。 この発明の電子放出素子を用いた送風装置及びそれを具備した冷却装置の別の一例を示す図である。
この発明の電子放出素子は、第1電極と、第1電極上に形成され、第1絶縁体微粒子と第1絶縁体微粒子よりも大きい第2絶縁体微粒子とにより構成され、その表面に第2絶縁体微粒子で形成された凸部が配置された絶縁体微粒子層と、前記絶縁体微粒子層上に形成された第2電極と、を備え、第1電極と第2電極との間に電圧が印加されると、第1電極から供給される電子を前記絶縁体微粒子層で加速させて前記凸部を介して第2電極から放出させるように構成されることを特徴とする。
この発明は、第1電極から供給される電子を加速させる層(この明細書では、電子加速層ともいう。)が絶縁体微粒子で構成されるので、金属等の微粒子を含む絶縁体を設けたMIM型の電子放出素子と比較して、電子加速層における導電性の微粒子の分散(例えば、凝集)を考慮する必要がない。このため、電子加速層を薄く形成しても、この電子放出素子は絶縁破壊が生じにくい。
また、前記電子加速層である絶縁体微粒子層の、第2電極側の表面に、第2絶縁体微粒子による凸部が形成されているので、電子加速層が厚く形成しても、電流経路が限定される。このため、この電子放出素子は十分な電子を放出できる。従来のMIS素子の場合、十分な電子放出量を得るために、100V程度の電圧を印加する必要があったが、この発明の電子放出素子の場合、20V程度で電圧を印加すれば、同程度の電子放出量を得ることができる。
また、前記電子加速層が少なくとも2種類の絶縁体微粒子で構成されるので、その構成が簡便である。このため、この電子放出素子が容易に製造できる。また、前記電子加速層を形成するための材料が金属等の微粒子を含む絶縁体を設けたMIM型の電子放出素子と比較して少ないので、この電子放出素子は低い製造コストで製造できる。
なお、第1電極は、絶縁体微粒子層に電圧を印加するための導体又は半導体であり、単一の構造体であっても、複数の構造体で構成された構造体であってもよい。例えば、第1電極は、金属板であってもよいし、絶縁体上に形成された金属膜(ガラス基板に形成されたアルミ膜等)であってもよい。この第1電極は、いわゆる電極基板を含む。
この発明の電子放出素子は、前記構成に加え、前記絶縁体微粒子層は、その層が第1絶縁体微粒子で形成された部分と第1及び第2絶縁体微粒子で形成された部分とにより構成され、前記凸部は、第1及び第2絶縁体微粒子で形成された部分に形成される。
ここで、凸部の大きさは、前記絶縁体微粒子層における第1絶縁体微粒子で形成された部分の表面を、前記絶縁体微粒子層の表面とした場合に、前記絶縁体微粒子層における第1絶縁体微粒子で形成された部分の表面からの幅、高さをいう。
この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、第1絶縁体微粒子が、7〜400nmの平均粒径であってもよい。7nm以上の平均粒径であれば、絶縁体微粒子層を形成する際に、溶媒に分散して塗布して形成することが容易となるからであり、また、400nm以下の平均粒径であれば、絶縁体微粒子層を形成する際の層厚制御が容易となるからである。
この発明の実施形態において、第1絶縁体微粒子で形成された前記部分は、好ましくは、1μm以下の層厚である。このような構成であれば、絶縁体微粒子層の抵抗が高くなりすぎることがなく、電子放出素子は十分な電子量を放出できる。また、このような構成によれば、絶縁体微粒子を分散させた分散液を塗布して絶縁体微粒子層を形成する場合に生じる、絶縁体微粒子分散液の絶縁体微粒子の分散性が低下する問題や、分散液がゲル化する問題によらず電子放出素子を製造できる。さらに、塗布後に分散液の溶媒が絶縁体微粒子層に残留する問題も回避することができる。従って、第1絶縁体微粒子で形成された前記部分が上記範囲内の層厚であれば、より均一な層を形成することができ、かつ、安定して電子放出素子を製造できる。
また、第1絶縁体微粒子で形成された前記部分は、好ましくはその層厚が第1絶縁体微粒子の平均粒径よりも大きい。前記絶縁体微粒子層はその膜厚が薄いほど電流が流れやすいとされるところ、平均粒径とほぼ同じ層厚であれば、第1絶縁体微粒子が第1の基板上にほぼ均一に敷き詰められた状態となり、第1の基板上に第1絶縁体微粒子が存在しない個所が生じない。このため、その層厚が第1絶縁体微粒子の平均粒径よりも大きいことが好ましい。
また、より好ましくはその層厚が第1絶縁体微粒子が3個最密充填されたとき、つまり第1絶縁体微粒子の平均粒径の2.4倍よりも大きいことが好ましい。
第1絶縁体微粒子で形成された前記部分は電流を流れにくくし、第1および第2絶縁体微粒子で形成された凸部は電流が流れやすくすることで、凸部に電流を集中することができ、電子放出効率が向上する。
このため、その層厚が第1絶縁体微粒子の平均粒径の2.4倍よりも大きいことが好ましい。
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、第2絶縁体微粒子は、例えば、その平均粒径が第1絶縁体微粒子の平均粒径の9倍以上であってもよい。
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、第1及び第2絶縁体微粒子が、SiO2,Al23,TiO2の少なくとも1つの絶縁体で形成された粒子であってもよい。
第1及び第2絶縁体微粒子が金属酸化物や金属窒化物で形成された粒子であってもよいが、SiO2,Al23,TiO2の少なくとも1つの絶縁体で形成された粒子であれば、これらの絶縁体は絶縁性が高いので、これらの絶縁体の含有量を調整して、前記絶縁体微粒子層の電気抵抗の値を任意の範囲に調整できる。
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、第1及び第2絶縁体微粒子が、有機ポリマーを含む粒子であってもよい。例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、シリコーン等の材料を含む粒子であってもよい。
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、前記絶縁体微粒子層は、表面処理が施された第1及び第2絶縁体微粒子が分散された分散液を塗布することにより形成された層であってもよい。例えば、表面処理はシラノールまたはシリル基による処理であってもよい。
このような構成によれば、絶縁体微粒子を分散させた分散液を塗布して絶縁体微粒子層を形成する場合に、分散液における絶縁体微粒子の分散性が向上する。このため、分散液での凝集が生じにくく、より均一な絶縁体微粒子層を形成できる。
また、この発明の実施形態において、前記発明の構成に加え、第2電極が、金、銀、タングステン、チタン、アルミ、及びパラジウムの少なくとも1つの金属で形成されてもよい。これら物質は仕事関数が低いので、絶縁体微粒子層を通過した電子を効率よくトンネルさせて、第2電極から高いエネルギーの電子をより多く放出させる電子放出素子が提供される。
また、この発明の電子放出素子を、送風装置あるいは冷却装置に用いることにより、放電を伴わず、オゾンやNOxを始めとする有害な物質の発生がなく、被冷却体表面でのスリップ効果を利用することにより高効率で冷却することができる。
また、この発明の電子放出素子を、帯電装置、及びこの帯電装置を備えた画像形成装置に用いることにより、放電を伴わず、オゾンやNOxを始めとする有害な物質を発生させることなく、長期間安定して被帯電体を帯電させることができる。
また、この発明の電子放出素子を電子放出装置に用いてもよい。つまり、この発明は、前記いずれか一つの電子放出素子と、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電源部と、を備える電子放出装置であってもよい。例えば、第1電極と第2電極との間に直流電圧を印加する電源部を備えてもよい。十分な電子が放出されるとともに絶縁破壊が生じにくい電子放出素子を提供できる。
なお、これらの装置、つまり、送風装置、冷却装置、帯電装置、画像形成装置及び電子放出装置は、複数の電子放出素子を含んでもよい。例えば、複数の電子放出素子が平面体上に配置されて、これらの装置に適用されてもよい。また、複数の電子放出素子が第1電極を兼用して用いられてもよい。
また、この発明の電子放出素子の製造方法は、第1電極と、第1電極上に形成され、第1絶縁体微粒子と第1絶縁体微粒子よりも大きい第2絶縁体微粒子とにより構成され、その表面に第2絶縁体微粒子で形成された凸部が配置された絶縁体微粒子層と、前記絶縁体微粒子層上に形成された第2電極と、を備え、第1電極と第2電極との間に第1電極を陰極とする直流電圧が印加されると、第1電極から供給される電子が前記絶縁体微粒子層で加速させて第2電極から放出させるように構成される電子放出素子の製造方法であって、第1電極上に第1及び第2絶縁体微粒子で構成される絶縁体微粒子層を形成する工程と、前記絶縁体微粒子層上に第1電極と対向する第2電極を形成する工程と、を備え、前記絶縁体微粒子層を形成する工程が第1及び第2絶縁体微粒子が分散された分散液を第1電極上に塗布する工程であることを特徴とする。
この発明によれば、十分な電子が放出されるとともに絶縁破壊が生じにくい電子放出素子の製造方法が提供できる。
また、この発明の実施形態において、前記絶縁体微粒子層を形成する工程における第1及び第2絶縁体微粒子は、表面処理が施された絶縁体微粒子であってもよい。このようにすれば、分散液での凝集が生じにくく、より均一な絶縁体微粒子層を備える電子放出素子を製造できる。
以下、この発明の実施形態および実施例について、図1〜図6を参照しながら具体的に説明する。なお、以下に記述する実施形態および実施例はこの発明の具体的な一例に過ぎず、この発明はこれらよって限定されるものではない。
〔実施形態1〕
図1は、この発明の電子放出素子の一実施形態煮に係る構成を示す模式図である。図1に示すように、この実施形態に係る電子放出素子10は、電極基板1と、電極基板1上に形成され、絶縁体微粒子で構成された電子加速層4とを備えている。
電極基板1は、基板の機能を兼ねる電極であり、導体で形成された板状体で構成されている。つまり、ステンレス(SUS)で形成された板状体で構成されている。この電極基板1は、電子放出素子の支持体として機能するとともに電極として機能するため、ある程度の機械強度を有し、適度な導電性を有するものであればよい。ステンレス(SUS)のほか、例えばSUSやTi、Cu等の金属で形成された基板、SiやGe、GaAs等の半導体基板を用いることができる。
また、電極基板1は、金属膜で形成された電極が、ガラス基板のような絶縁体基板やプラスティック基板等に形成された構造体であってもよい。例えば、ガラス基板のような絶縁体基板を用いるのであれば、電子加速層4との界面となる絶縁体基板の面を金属などの導電性物質で被覆し、導電性物質で被覆された絶縁体基板を、電極基板1として用いてもよい。この導電性物質の電極は、マグネトロンスパッタ等を用いて導電性材料を形成できれば、その材質は問わない。ただし、大気中での安定動作を所望するのであれば、抗酸化力の高い導電性材料を用いることが好ましく、貴金属を用いることがより好ましい。
また、この導電性物質には、酸化物導電材料であり透明電極に広く利用されているITOも有用である。また、絶縁体基板を被覆する導電性物質には、強靭な薄膜を形成するため、複数の導電性物質を用いてもよい。例えば、ガラス基板表面にTiが200nm成膜され、さらに重ねてCuが1000nm成膜された金属薄膜を電極基板1として用いてもよい。このようなTi薄膜及びCu薄膜でガラス基板を被覆すると、強靭な薄膜を形成できる。
なお、絶縁体基板の表面を導電性物質で被覆する場合、電極を形成するため、周知のフォトリソやマスクを用いて方形等のパターンを形成してもよい。また、導電性物質や薄膜の膜厚は特に限定されないが、後述するように電極基板1に電子加速層等の構造体を形成するため、これらの構造体と接着性が良好であるとよい。
電子加速層4は、電極基板1上に電極の一部又は全部を覆う層として形成され、絶縁体微粒子で構成されている。この絶縁体微粒子は、2種類の絶縁体微粒子から構成されている。図2は、図1におけるA−A断面図であり、この発明の電子放出素子の一実施形態に係る構成のうち、電子加速層4付近の断面を拡大した図である。
図2に示すように、電子加速層4は、A絶縁体微粒子2とA絶縁体微粒子2よりも大きいB絶縁体微粒子3とにより構成され、薄膜電極5側の表面に、絶縁体微粒子3Bによって構成される凸部6が形成されている。
A絶縁体微粒子2は、平均粒径が10nmの絶縁体粒子で構成されている。A絶縁体微粒子2の平均粒径は、後述するB絶縁体微粒子3よりも小さい平均粒径であればよいが、その平均粒径は、7〜400nmであるとよい。平均粒径が7nm以上であれば、絶縁体微粒子を分散させた分散液でこの層4を形成する際に、分散液に分散しやすく、また、平均粒径が400nm以下であれば、適切な層厚の電子加速層4の形成が容易となるので、このような範囲内の平均粒径であればよい。また、このような範囲内の平均粒径であれば、適切な厚さの膜が形成しやすくなり、分散液で電子加速層4を形成する際に、分散液の溶媒が揮発しにくくなる問題が生じにくくなる。
また、A絶縁体微粒子2は、平均粒径が上記範囲内であればよいが、そのばらつき、つまり粒子径の分布状態が、平均粒径に対してブロードな分布であってもよい。例えば、平均粒径50nmの微粒子は、20〜100nmの領域にその粒子径分布を有していてもよい。この実施形態における電子加速層4は、B絶縁体微粒子3による凸部6を備えるが、この凸部6がA絶縁体微粒子2よりも大きい凸部6となるように、A絶縁体微粒子2の粒子径の分布状態は、B絶縁体微粒子3の平均粒径に対して小さければよく、また、B絶縁体微粒子3の粒子径の分布状態よりも相対的にブロードな分布であればよい。
また、A絶縁体微粒子2は、SiO2、Al23、TiO2といった絶縁体で形成されれば、実用的であるが、金属酸化物または金属窒化物で形成されてもよい。例えば、シリカ粒子を用いることができる。また、絶縁体微粒子5は、有機ポリマーから成る微粒子により形成されてもよい。例えば、有機ポリマーからなる微粒子として、JSR株式会社の製造販売するスチレン/ジビニルベンゼンから成る高架橋微粒子(SX8743)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のシリコーン樹脂微粒子であるトスパール等を用いることができる。
B絶縁体微粒子3は、平均粒径が1μmの絶縁体粒子で構成されている。B絶縁体微粒子3の平均粒径は、A絶縁体微粒子2よりも大きい平均粒径であればよいが、その平均粒径は、例えば、1〜9μmであるとよい。この実施形態における電子加速層4は、B絶縁体微粒子3で形成された凸部6を備えるが、凸部6がA絶縁体微粒子2よりも大きい凸部となるようにB絶縁体微粒子3を選択して用いるとよい。例えば、図2に示すような、A絶縁体微粒子2で形成された電子加速層4の部分よりも、B絶縁体微粒子3で形成された凸部6(B絶縁体微粒子3で形成された電子加速層4の部分)が十分に大きい場合、B絶縁体微粒子3の平均粒径は、A絶縁体微粒子2の平均粒径の9倍以上にするとよい。具体例と挙げると、A絶縁体微粒子2の平均粒径が110nmの場合、A絶縁体微粒子2の約9倍である、平均粒径1μmのB絶縁体微粒子3を用いる。また、A絶縁体微粒子2の平均粒径が10nmの場合、A絶縁体微粒子2の約860倍である、平均粒径8.6μmのB絶縁体微粒子3を用いる。このように、B絶縁体微粒子3の平均粒径は、A絶縁体微粒子2の平均粒径とその桁が異なる(例えば、A絶縁体微粒子2の平均粒径の10倍や100倍)ような粒子であるとよい。
B絶縁体微粒子3は、そのばらつき、つまり粒子径の分布状態が、平均粒径に対してシャープな分布であるとよい。B絶縁体微粒子3は、相対的にA絶縁体微粒子2よりも粒径が大きく、電子加速層4の表面に凸部を形成することから、A絶縁体微粒子2における粒子径の分布状態よりも相対的にシャープな分布であればよい。
また、B絶縁体微粒子3は、A絶縁体微粒子2と同様に、SiO2、Al23、TiO2といった絶縁体で形成されてもよく、金属酸化物または金属窒化物で形成されてもよい。また、有機ポリマーから成る微粒子により形成されてもよい。
A絶縁体微粒子2と同様に、シリカ粒子やスチレン/ジビニルベンゼンからなる高架橋微粒子、シリコーン樹脂微粒子を用いてもよい。
また、B絶縁体微粒子3は、A絶縁体微粒子2と異なる絶縁体材料で形成されてもよく、必ずしも同一の組成でなくてもよい。例えば、B絶縁体微粒子3にアルミナで形成された微粒子を用い、A絶縁体微粒子2にシリカで形成された微粒子を用いてもよい。
また、A絶縁体微粒子2及びB絶縁体微粒子3は、その表面が表面処理された微粒子であってもよい。この表面処理は、シラノールまたはシリル基による処理であってもよい。
電子加速層4を作製する際に、A絶縁体微粒子2及びB絶縁体微粒子3を溶媒へ分散させて電極基板1に塗布して作製するが、粒子表面がシラノールおよびシリル基により表面処理されていると溶媒への分散性が向上し、A絶縁体微粒子2及びB絶縁体微粒子3が均一に分散した電子加速層4が容易に作製できる。また、A絶縁体微粒子2及びB絶縁体微粒子3が均一に分散することより、層厚が薄く、(特にA絶縁体微粒子2で形成される個所について)表面平滑性が高い電子加速層4を形成できる。このため、電子加速層4上の薄膜電極を薄く形成することができる。
このシラノールまたはシリル基による表面処理方法として、乾式法および湿式法があるが、これらのいずれの方法を用いてもよい。
乾式法は、例えば、撹拌機中で、絶縁体微粒子を撹拌しながら、シラン化合物、またはその希釈水溶液を滴下またはスプレー等を用いて噴霧した後に、加熱乾燥する方法である。これにより、目的とする表面処理された絶縁体微粒子を得ることができる。
湿式法は、例えば、絶縁体微粒子に溶剤を加えてゾルの状態にし、シラン化合物またはその希釈水溶液を加え、表面処理を行う。次にこの表面処理された微粒子のゾルから溶媒を除去、乾燥、シーブする方法である。これにより、目的とする表面処理された絶縁体微粒子を得ることができる。なお、このようにして表面処理された絶縁体微粒子に再度表面処理を行っても構わない。
上記シラン化合物としては、化学構造式RaSiX4−a(式中、aは0〜3の整数であり、Rは水素原子、又はアルキル基やアルケニル基等の有機基を表し、Xは塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す)で表される化合物を使用することができ、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。
具体的なシラン化合物としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O―(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N―ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert―ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β―(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシランが、代表的なものとして例示することができる。中でも、特にジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン等が好ましい。
また、上記シラン化合物以外に、ジメチルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル等のシリコーンオイルを用いても良い。
凸部6は、A絶縁体微粒子2及びB絶縁体微粒子3で形成され、A絶縁体微粒子2の層の内部にB絶縁体微粒子3が存在することで生じている。具体的には、凸部6は、電子加速層4のA絶縁体微粒子2及びB絶縁体微粒子3で形成された一部分に形成され、その層を実質的にB絶縁体微粒子3が占めることにより生じている。例えば、電子加速層4のA絶縁体微粒子2で形成された他の部分の層厚よりもB絶縁体微粒子3の粒径が大きいことにより凸部6が形成される(B絶縁体微粒子3にA絶縁体微粒子2が付着することにより、B絶縁体微粒子3が電子加速層4内に埋もれる形態であってもよい)。図2に示す形態は、A絶縁体微粒子2で形成された層部分よりもB絶縁体微粒子3の粒径(平均粒径)が大きく(A絶縁体微粒子2で形成された層部分はB絶縁体微粒子3の粒径の約半分)、このため、半球状の凸部6が形成されている。
凸部6の高さは、例えば、B絶縁体微粒子3が半球状の凸部6を形成している場合、0.5〜4.5μm(平均粒径の約半分)の高さで形成される。このような凸部6は、電子加速層4におけるA絶縁体微粒子2で形成された部分の層厚よりもその平均粒径が大きいB絶縁体微粒子3を用いることにより形成できる。
なお、凸部6の幅は、後述する実施例で説明するように、例えば、1〜9ミクロンのB絶縁体微粒子3を用いて、1〜30μmの幅で形成してもよい。
ここで、電子放出素子のメカニズムにより凸部6の作用を説明する。
この実施形態に係る電子放出素子の電子を放出するメカニズムは、背景技術で説明したMIM型電子放出素子のメカニズムと類似すると考えられる。一般的にMIM型電子放出素子のメカニズムは、a)電極材料の絶縁体層中への拡散、b)絶縁体物質の結晶化、c)フィラメントと呼ばれる導電経路の形成、d)絶縁体物質の化学量論的なズレ、e)絶縁体物質の欠陥に起因する電子のトラップと、そのトラップ電子の形成する局所的な強電界領域等、により電子が放出されると説明されている。MIM型電子放出素子は様々な説で説明されているが、この実施形態に係る電子放出素子のメカニズムも、電子加速層4が絶縁体で構成されることから、同様のメカニズムによるものと考えられる。いずれの説によりにしても、この実施形態に係る電子放出素子は、絶縁体層に相当する絶縁体微粒子で構成される電子加速層に電界が印加されたときに、電流路が形成され、その電流の一部が2つの電極間の電界により加速された結果、弾道電子となり、電極基板から薄膜電極へ電子が通過して、電子が素子外へ放出されると考えられる。
上記で説明したa)〜e)の5つの導電経路形成に関するメカニズムのうち、例えばe)の解釈を用いると、この実施形態に係る電子放出素子を以下のように説明できる。この電子放出素子は、電極基板と電子加速層のほか、薄膜電極を備え、電極基板と薄膜電極との間に電圧が印加されると、電極基板から、電極基板と薄膜電極との間に設けられた電子加速層(絶縁体微粒子層)にあるA絶縁体微粒子及びB(第1及び第2絶縁体微粒子)の表面に電子が移る。絶縁体微粒子の内部は高抵抗であるため電子はA絶縁体微粒子及びBの表面を伝導していく。B絶縁体微粒子はA絶縁体微粒子よりも大きいので、主として、電子はB絶縁体微粒子の表面を伝導していく。このとき、絶縁体微粒子の表面の不純物や絶縁体微粒子が酸化物の場合に発生することのある酸素欠陥、あるいは絶縁体微粒子間の接点において、電子がトラップされる。このトラップされた電子は固定化された電荷として働く。その結果、A絶縁体微粒子及びB絶縁体微粒子の表面では印加電圧とトラップされた電子の作る電界が合わさって強電界となり、その強電界によって電子が加速され、薄膜電極から電子が放出される状態に至る。
一方、絶縁体微粒子層の表面には、B絶縁体微粒子による凸部が形成されているので、B絶縁体微粒子の表面を伝導した電子は、この凸部に向かって加速される。このため、凸部における薄膜電極から電子が放出される
このように、凸部6は、この実施形態に係る電子放出素子の作用に大きく関与していると考えられる。
凸部6は、上記のようなメカニズムにより電子を放出する機能を果たすことから、その形状は、半球状に限られない。例えば、楕円体状であってもよく、B絶縁体微粒子3としてロッド状の絶縁体微粒子を用いて凸部6を形成してもよい。また、凸部6は、 主としてB絶縁体微粒子3で形成されればよく、例えば、B絶縁体微粒子3に少量のA絶縁体微粒子2が付着して凸部6が形成されてもよい。さらに、凸部6は、電子加速層4に少なくとも1つ形成されればよい。
図2に示すように、電子加速層4は、その層がA絶縁体微粒子2で形成された部分と実質的にB絶縁体微粒子3で形成された部分とにより構成され、このA絶縁体微粒子2で形成された部分は、A絶縁体微粒子2のみから形成されている。また、実質的にB絶縁体微粒子3で形成された部分は、A絶縁体微粒子2及びB絶縁体微粒子3で形成され、B絶縁体微粒子3がその層厚のほとんどを占めることにより実質的にB絶縁体微粒子3で形成されている(A絶縁体微粒子2に対してB絶縁体微粒子3が十分に大きい場合、A絶縁体微粒子2はB絶縁体微粒子3で形成された部分の層厚にほとんど影響しない。)。このB絶縁体微粒子3で形成された部分は、1個のB絶縁体微粒子3で形成された部分であり、凸部6は、このB絶縁体微粒子3により形成されている。
電子加速層4におけるA絶縁体微粒子2で形成された部分は、A絶縁体微粒子2のみから形成され、その層厚は、2μm以下であるとよい。電子加速層4におけるA絶縁体微粒子2で形成された部分が2μmよりも厚い層厚であると、B絶縁体微粒子3による凸部を形成しても、電子加速層4の電気抵抗が大きくなるので、十分な電流が流れず、このため十分な電子を放出することができない。従って、電子加速層4におけるA絶縁体微粒子2で形成された部分の層厚は、2μm以下であることがより好ましい。
電子加速層4は、その層厚が薄いほど電流が流れやすくなるが、電子加速層4の絶縁体微粒子が互いに重なり合わず、電極基板上に均一に敷き詰められたときが最小となる。そうすると、電子加速層4におけるA絶縁体微粒子で形成された部分の層厚は、層を構成するA絶縁体微粒子の平均粒径以上の大きさであることが好ましいことになる。電子加速層におけるA絶縁体微粒子で形成された部分の層厚がA絶縁体微粒子の平均粒径よりも小さい場合、電子加速層4にA絶縁体微粒子2が存在しない部分が含まれることになり、このような層は、電子加速層として機能しない。一方、電子加速層4が絶縁体微粒子1個分の層厚であると、電子加速層4を流れる電流量は多くなるが、リーク電流が多くなり、電子加速層4にかかる電界が弱くなり効率良く電子を放出することができない。このため、電子加速層4におけるA絶縁体微粒子2で形成された部分は、絶縁体微粒子が2から3個以上積まれた状態が好ましいと考えられる。
しかし、一方で、絶縁体微粒子が2から3個以上積まれた状態であっても、その層厚が2μm以上であると、上記のように、電子加速層4の電気抵抗が大きくなるので、電子加速層4に電流が流れにくくなる。このため、電子加速層4におけるA絶縁体微粒子2で形成された部分の好ましい層厚は、絶縁体微粒子が2から3個以上積まれた層厚から、2μm以下の範囲となる。
また、図1に示すように、この実施形態に係る電子放出素子10は、電極基板1と電子加速層4のほか、さらに、電子加速層4上に電極基板1と対向して形成された薄膜電極5とを備えている。この電子放出素子10は、電極基板1と薄膜電極5との間に電圧が印加されると、電極基板1から供給される電子を電子加速層4で加速させて薄膜電極5から放出させる。
薄膜電極5は、電子加速層4上に電極基板1と対向するように形成されている。薄膜電極5は、電極基板1と対の電極を構成し、電極基板1とともに電子加速層4内に電圧を印加させるための電極である。このため、電極として機能する程度に導電性を有するものであればよい。ただし、電子加速層4内で加速され高エネルギーとなった電子をなるべくエネルギーロス無く透過させて放出させるという電極でもあるので、仕事関数が低くかつ薄膜で形成することが可能な材料であれば、より高い効果が期待できる。このような材料として、例えば、仕事関数が4〜5eVに該当する金、銀、タングステン、チタン、アルミ、パラジウムなどが挙げられる。中でも大気圧中での動作を想定した場合、酸化物および硫化物形成反応のない金が、最良な材料となる。また、酸化物形成反応の比較的小さい銀、パラジウム、タングステンなども問題なく実使用に耐える材料である。
また、薄膜電極5は、図2に示すように、電子加速層4上に形成され、B絶縁体微粒子3に形成された凸部6を覆うような膜厚で形成されている。薄膜電極5の膜厚は、凸部6を覆うとともに、電子放出素子10から素子外部へ電子を効率良く放出させるための条件として重要である。一般的には、電極は電気的導通を確保できる厚さであれば薄い程、効率よく電子を放出させることができるが、上記の観点から、薄膜電極5の膜厚は10〜55nmの範囲とするとよい。薄膜電極5を電極として機能させるための最低膜厚は10nmであり、膜厚が10nm以上であれば、電気的導通を確保できる。一方、電子放出素子10から外部へ電子を放出させるための最大膜厚は55nmであり、膜厚が55nm以下であれば、弾道電子の透過が生じ、また、薄膜電極5における弾道電子の吸収あるいは反射による電子加速層4への再捕獲が生じにくい。
なお、この実施形態に係る電子放出素子は、電極基板1と薄膜電極5とが電源7に接続されて用いられる。図1に示すように、電子放出素子1と、電極基板1と薄膜電極5とに接続された電源7とを備える電子放出装置を構成してもよい。この電源は直流電源であってもよい。
〔製造方法〕
次に、実施形態1に係る電子放出素子10の製造方法について説明する。
まず、溶媒にB絶縁体微粒子を分散させて分散液を作製する(分散工程1)。ここで用いられる溶媒としては、B絶縁体微粒子を分散でき、かつ塗布後に乾燥できれば、特に制限なく、用いることができる。例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール等を用いることができる。上記で説明したように、B絶縁体微粒子には、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子を用いる。この溶媒に、例えば、B絶縁体微粒子を0.3wt%の濃度で分散させる。なお、分散時には、溶媒にB絶縁体微粒子を十分拡散させるため、超音波分散器を用いてもよい。
次いで、作製された分散液に、A絶縁体微粒子を分散させる(分散工程2)。
上記で説明したように、A絶縁体微粒子には、例えば、シリカ粒子を用いる。A絶縁体微粒子は、所望の濃度となる量を上記分散液に混合して分散する。例えば、A絶縁体微粒子を分散液に対して8.0wt%の濃度で分散させる。A絶縁体微粒子の分散時にも超音波分散器を用いるとよい。
なお、分散工程1及び2は、ここで説明したように、粒径が大きい微粒子から溶媒に分散させているが、分散工程2の後に分散工程1を行ってもよい。
次いで、A絶縁体微粒子及びBが分散されて作製された分散液を電極基板1上にスピンコート法にて塗布し、(塗布工程)、塗布された分散液を乾燥させて電子加速層4を形成する(電子加速層形成工程)。スピンコート法による成膜、乾燥(乾燥工程)、を複数回繰り返すことで所定の膜厚にすることができる。電子加速層4は、スピンコート法以外に、例えば、滴下法、スプレーコート法等の方法でも形成することができる。
次いで、電子加速層4の形成後、電子加速層4上に薄膜電極3を成膜する(薄膜電極形成工程)。薄膜電極3の成膜には、例えば、マグネトロンスパッタ法を用いればよい。また、薄膜電極3は、例えば、インクジェット法、スピンコート法、蒸着法等を用いて成膜してもよい。
(実施例)
以下の実施例では、実施形態1に係る電子放出素子を用いて電流測定した実験について説明する。なお、この実験は実施の一例であって、この発明の内容を制限するものではない。
まず実施例1と2の電子放出素子と比較例1と2の電子放出素子を以下のように作製した。そして、作製した実施例1と2、比較例1と2の電子放出素子について、図3に示す実験系を用いて単位面積あたりの電子放出電流の測定実験を行った。図3の実験系では、電子放出素子1の薄膜電極3側に、絶縁体スペーサ9を挟んで対向電極8を配置させる。そして、電子放出素子1および対向電極8は、それぞれ、電源7に接続されており、電子放出素子1にはV1の電圧、対向電極8にはV2の電圧が印加されるようになっている。このような実験系を真空中に配置して、V1を段階的に上げていき、電子放出実験を行った。また、実験では、絶縁体スペーサ9を挟んで、電子放出素子と対向電極との距離は5mmとした。また、対抗電極への印加電圧V2=100Vとした。
(実施例1)
溶媒としてエタノールを3mL入れた試薬瓶を用意し、アルミナ微粒子1.0CR(バイコウスキー社製、バイカロックス1.0CR、メーカー公称値平均粒径1.0μm)を0.01g投入し、試薬瓶を超音波分散器にかけ、アルミナ粒子分散液を作製した。このアルミナ粒子分散液にヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面処理をしたシリカ粒子(平均粒径110nm、比表面積30m2/g)を0.25g投入し、試薬瓶を超音波分散器にかけ、絶縁体微粒子分散液を作製した。
次に、電極基板2として24mm角のSUS基板を用意し、それぞれのSUS基板上に、絶縁体微粒子分散液を滴下し、スピンコート法を用いて電子加速層を形成した。スピンコート法による成膜条件は、上記絶縁体微粒子分散液を基板表面へ滴下し、500rpmにて5秒間回転、続いて3000rpmにて10秒間の回転を行う、ものとした。この条件での成膜を2度繰り返し、SUS基板上に微粒子層を2層堆積させた後、室温で自然乾燥させた。
電子加速層の表面に、マグネトロンスパッタ装置を用いて薄膜電極3を成膜することにより、実施例1の電子放出素子を得た。成膜材料として金を使用し、薄膜電極3の層厚は40nm、同面積は0.01cm2とした。
この電子放出素子は、1×10-8ATMの真空中において電子放出電流を測定したところ、薄膜電極3への印加電圧V1=18Vにおける電子放出電流は0.3mA/cm2であった。
なお、作製された電子放出素子をSEM顕微鏡で観察したところ、電子加速層上にアルミナ微粒子によって形成された凸部があることが確認できた。形成された凸部はその大きさが幅1μmから5μmであり、この大きさからも凸部はアルミナ微粒子で形成されていることが確認できた。
(実施例2)
試薬瓶に溶媒としてトルエンを2.5mL入れ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面処理をしたシリカ粒子(平均粒径8.6μm、比表面積0.8m2/g)を0.003g投入し、試薬瓶を超音波分散器にかけ、シリカ粒子分散液を作製した。このシリカ粒子分散液に、高純度オルガノゾルPL−1−TOL(扶桑化学工業株式会社製、メーカー公称値粒子径10〜15nm、トルエン分散、固形分濃度40%)を0.36g投入、攪拌して、実施例2の絶縁体微粒子分散液を作製した。
この絶縁体微粒子分散液を用いて実施例1と同様に実施例2の電子放出素子を作製した。
この電子放出素子は、1×10-8ATMの真空中において電子放出電流を測定したところ、薄膜電極3への印加電圧V1=17Vにおける電子放出電流が5.0×10-2mA/cm2であった。
なお、実施例2についても、作製された電子放出素子を光学顕微鏡で観察したところ、電子加速層上にシリカ粒子(平均粒径8.6μm)によって形成された凸部があることが確認できた。形成された凸部はその大きさが幅10μmから30μmであり、実施例1と同様に、この大きさから凸部はこのシリカ粒子で形成されていることが確認できた。
(比較例1)
溶媒としてエタノールを3mL入れた試薬瓶を用意し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面処理をしたシリカ粒子(平均粒径110nm、比表面積30m2/g)を0.25g投入し、試薬瓶を超音波分散器にかけ、絶縁体微粒子分散液を作製した。
この絶縁体微粒子分散液を用いて実施例1と同様に比較例1の電子放出素子を作製した。
この電子放出素子は、1×10-8ATMの真空中において電子放出電流を測定したところ、薄膜電極3への印加電圧V1=25Vにおける電子放出電流が0.1mA/cm2であった。
(比較例2)
試薬瓶に高純度オルガノゾルPL−1−TOL(扶桑化学工業株式会社製、メーカー公称値粒子径10〜15nm、トルエン分散、固形分濃度40%)を0.33g投入し、次いでトルエン2.0mLを少量ずつ分けて投入攪拌し、絶縁体微粒子分散液を作製した。
この絶縁体微粒子分散液を用いて実施例1と同様に比較例2の電子放出素子を作製した。
この電子放出素子は、1×10-8ATMの真空中において電子放出電流を測定したところ、薄膜電極3への印加電圧V1=16Vにおける電子放出電流が1.5×10-3mA/cm2であった。
これら実施例および比較例から、A絶縁体微粒子およびA絶縁体微粒子よりも大きいB絶縁体微粒子を含み、B絶縁体微粒子に起因する凸部が少なくとも1つ存在する構成であると、安定かつ良好な量の電子放出が可能であることがわかる。
〔実施形態2〕
図4に、実施形態1に係る電子放出素子10を利用した帯電装置110の一例を示す。帯電装置90は、電子放出素子10とこれに電圧を印加する電源7とを有する電子放出装置100から成り、感光体111を帯電させるものである。この実施形態に係る画像形成装置は、この帯電装置110を具備している。この実施形態に係る画像形成装置において、帯電装置90を構成する電子放出素子1は、被帯電体である感光体111に対向して設置され、電圧を印加することにより、電子を放出させ、感光体111を帯電させる。この実施形態に係る画像形成装置では、帯電装置110以外の構成部材は、従来公知のものを用いればよい。ここで、帯電装置110として用いる電子放出素子1は、感光体111から、例えば3〜5mm隔てて配置するのが好ましい。また、電子放出素子1への印加電圧は25V程度が好ましく、電子放出素子1の電子加速層の構成は、例えば、25Vの電圧印加で、単位時間当たり1μA/cm2の電子が放出されるようになっていればよい。
帯電装置110として用いられる電子放出素子10は、放電を伴わず、従って帯電装置90からのオゾンの発生は無い。オゾンは人体に有害であり環境に対する各種規格で規制されているほか、機外に放出されなくとも機内の有機材料、例えば感光体111やベルトなどを酸化し劣化させてしまう。このような問題を、この実施形態に係る電子放出素子10を帯電装置110に用い、また、このような帯電装置110を画像形成装置が有することで、解決することができる。また、電子放出素子10は電子放出効率が高いため、帯電装置110は、効率よく帯電できる。
さらに帯電装置110として用いられる電子放出素子10は、板状の電極基板1に形成され面電子源として構成されているので、感光体111の回転方向へも幅を持って帯電を行え、感光体111のある箇所への帯電機会を多く稼ぐことができる。よって、帯電装置110は、線状で帯電するワイヤ帯電器などと比べ、均一な帯電が可能である。また、帯電装置110は、数kVの電圧印加が必要なコロナ放電器と比べて、10V程度と印加電圧が格段に低くてすむというメリットもある。
〔実施形態3〕
図5及び図6に、実施形態1に係る電子放出素子10を用いた送風装置の例をそれぞれ示す。以下では、この送風装置を、冷却装置として用いた場合を例に挙げて説明する。
図5に示す送風装置120は、電子放出素子10とこれに電圧を印加する電源7とを有する電子放出装置100からなる。送風装置120において、電子放出素子10は、電気的に接地された被冷却体41に向かって電子を放出することにより、イオン風を発生させて被冷却体41を冷却する。被冷却体41を冷却させる場合、電子放出素子1に印加する電圧は、18V程度が好ましく、この電圧で、雰囲気下に、例えば、単位時間当たり1μA/cm2の電子を放出することが好ましい。
図6に示す送風装置130は、図に示す送風装置120に、さらに、送風ファン131が組み合わされている。図6に示す送風装置160は、電子放出素子10が電気的に接地された被冷却体121に向かって電子を放出し、さらに、送風ファン131が被冷却体121に向かって送風することで電子放出素子10から放出された電子を被冷却体121に向かって送り、イオン風を発生させて被冷却体121を冷却する。この場合、送風ファン131による風量は、0.9〜2L/分/cm2とするのが好ましい。
ここで、送風によって被冷却体121を冷却させようとするとき、従来の送風装置あるいは冷却装置のようにファン等による送風だけでは、被冷却体121の表面の流速が0となり、最も熱を逃がしたい部分の空気は置換されず、冷却効率が悪い。しかし、送風される空気の中に電子やイオンといった荷電粒子を含まれていると、被冷却体121近傍に近づいたときに電気的な力によって被冷却体121表面に引き寄せられるため、表面近傍の雰囲気を入れ替えることができる。ここで、本発明に係る送風装置120130では、送風する空気の中に電子やイオンといった荷電粒子を含んでいるので、冷却効率が格段に上がる。
さらに、電子放出素子1は電子放出効率が高いため、送風装置120130は、より効率よく冷却することができる。送風装置120および送風装置130は、大気中動作が期待できる。
なお、実施形態1で説明した電子放出素子10は、送風装置、冷却装置、帯電装置、画像形成装置及び電子放出装置に用いるほか、自発光デバイス、画像表示装置、電子線硬化装置に用いてもよい。実施形態1に係る電子放出素子を自発光デバイス及びこの自発光デバイスを備えた画像表示装置に用いることにより、安定で長寿命な面発光を実現する自発光デバイスを提供できる。また、実施形態1に係る電子放出素子を電子線硬化装置に用いることにより、面積的に電子線硬化でき、マスクレス化が図れ、低価格化・高スループット化を実現することができる。
この発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についてもこの発明の技術的範囲に含まれる。
この発明に係る電子放出素子は、十分な電子が放出されるとともに絶縁は各破壊が生じにくい。このため、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の帯電装置や、電子線硬化装置、或いは発光体と組み合わせることにより画像表示装置、または放出された電子が発生させるイオン風を利用することにより冷却装置等に、好適に適用することができる。
1 電極基板(第1電極)
2 A絶縁体微粒子(第1絶縁体微粒子)
3 B絶縁体微粒子(第2絶縁体微粒子)
4 電子加速層(絶縁体微粒子層)
5 薄膜電極(第2電極)
6 凸部
7 電源(電源部)
8 対向電極(回収電極)
9 絶縁体スペーサー
10 電子放出素子
11 支持体
100 電子放出装置
110 帯電装置
111 感光体
120 送風装置
121 被冷却体
130 送風装置
131 送風ファン

Claims (16)

  1. 第1電極と、
    第1電極上に形成され、第1絶縁体微粒子と第1絶縁体微粒子よりも大きい第2絶縁体微粒子とにより構成され、その表面に第2絶縁体微粒子で形成された凸部が配置された絶縁体微粒子層と、
    前記絶縁体微粒子層上に形成された第2電極と、
    を備え、
    前記絶縁体微粒子層は、その層が第1絶縁体微粒子で形成された部分と第1及び第2絶縁体微粒子で形成された部分とにより構成され、前記凸部は、前記第1及び第2絶縁体微粒子で形成された部分に形成され、
    前記第1絶縁体微粒子で形成された部分は、第1絶縁体微粒子のみから形成され、
    第1電極と第2電極との間に電圧が印加されると、第1電極から供給される電子を前記絶縁体微粒子層で加速させて前記凸部を介して第2電極から放出させるように構成されることを特徴とする電子放出素子。
  2. 第1絶縁体微粒子が、7〜400nmの平均粒径である請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 前記第1絶縁体微粒子で形成された部分が1μm以下の層厚である請求項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 第2絶縁体微粒子は、その平均粒径が第1絶縁体微粒子の平均粒径の9倍以上である請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  5. 第1及び第2絶縁体微粒子が、SiO2,Al23,TiO2の少なくとも1つの絶縁体で形成された粒子である請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  6. 第1及び第2絶縁体微粒子が、有機ポリマーからなる微粒子である請求項1から4のいずれか1項に記載の電子放出素子。
  7. 前記絶縁体微粒子層は、表面処理が施された第1及び第2絶縁体微粒子が分散された分散液を塗布することにより形成された層である請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  8. 第2電極が、金、銀、タングステン、チタン、アルミ、及びパラジウムの少なくとも1つの金属で形成された請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  9. 送風装置に用いられ、電子を放出して送風する請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  10. 冷却装置に用いられ、電子を放出して被冷却体を冷却する請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  11. 帯電装置に用いられ、電子を放出して感光体を帯電する請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  12. 画像形成装置に用いられる請求項11に記載の帯電装置。
  13. さらに、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電源部を備える請求項1からのいずれか1項に記載の電子放出素子。
  14. 前記電源部は、第1電極と第2電極との間に直流電圧を印加する請求項13に記載の電子放出素子。
  15. 第1電極と、第1電極上に形成され、第1絶縁体微粒子と第1絶縁体微粒子よりも大きい第2絶縁体微粒子とにより構成され、その表面に第2絶縁体微粒子で形成された凸部が配置された絶縁体微粒子層と、前記絶縁体微粒子層上に形成された第2電極と、を備え、前記絶縁体微粒子層は、その層が第1絶縁体微粒子で形成された部分と第1及び第2絶縁体微粒子で形成された部分とにより構成され、前記凸部は、前記第1及び第2絶縁体微粒子で形成された部分に形成され、前記第1絶縁体微粒子で形成された部分は、第1絶縁体微粒子のみから形成され、第1電極と第2電極との間に第1電極を陰極とする直流電圧が印加されると、第1電極から供給される電子を前記絶縁体微粒子層で加速させて前記凸部を介して第2電極から放出させるように構成される電子放出素子の製造方法であって、
    第1電極上に第1及び第2絶縁体微粒子で構成される絶縁体微粒子層を形成する工程と、前記絶縁体微粒子層上に第1電極と対向する第2電極を形成する工程と、
    を備え、
    前記絶縁体微粒子層を形成する工程が第1及び第2絶縁体微粒子が分散された分散液を第1電極上に塗布する工程であることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  16. 前記絶縁体微粒子層を形成する工程における第1及び第2絶縁体微粒子は、表面処理が施された絶縁体微粒子である請求項15に記載の電子放出素子の製造方法。
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