JP2003331712A - 電界放出型電子源およびその製造方法ならびに表示装置 - Google Patents

電界放出型電子源およびその製造方法ならびに表示装置

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JP2003331712A
JP2003331712A JP2002136086A JP2002136086A JP2003331712A JP 2003331712 A JP2003331712 A JP 2003331712A JP 2002136086 A JP2002136086 A JP 2002136086A JP 2002136086 A JP2002136086 A JP 2002136086A JP 2003331712 A JP2003331712 A JP 2003331712A
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layer
electron source
upper electrode
electrode
lower electrode
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JP2002136086A
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English (en)
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Tomoshi Ueda
智志 上田
Toshihiro Yamamoto
敏裕 山本
Masahiko Seki
昌彦 関
Mizuyoshi Atozawa
瑞芳 後沢
Tatsuya Takei
達哉 武井
Hiroshi Hagiwara
啓 萩原
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Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に大面積に形成することができる電界放
出型電子源およびその製造方法ならびに表示装置を提供
する。 【解決手段】 電界放出型電子源10は、下部電極12
と微粒子層14と絶縁層15と上部電極16とを有す
る。絶縁層15および上部電極16は、多数の連通する
孔部15aおよび孔部16aを有する。微粒子層14
は、導電性材料からなる微粒子14aが充填された層で
ある。上部電極16および下部電極12の間に電界を印
加すると、上部電極16の孔部16aより離間した位置
にある微粒子14a―1から放出された電子が孔部15
aおよび孔部16aを通って外部に飛び出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放出型電子源
およびその製造方法ならびに表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電界放出型冷陰極電子源(以下、単に電
子源という。)として、いわゆるスピント型と呼ばれる
電子源や、下部電極、絶縁層および上部電極を順次積層
した構造を有する平面積層型電子源がある。
【0003】前者のスピント型電子源1aは、図1に模
式的に示すように、通常モリブデンからなる微小な三角
錐状のチップ(エミッタ)2aを多数配置した下部電極
3aと、チップ2aの先端部を露出する孔部4aが形成
された上部電極5aと、下部電極3aおよび上部電極5
aの間に形成された絶縁部6aとを有する。スピント型
電子源1aは、下部電極3aに対して上部電極5aに正
電圧を印加することにより、孔部4aを通して電子を放
出するように構成されている。
【0004】このスピント型電子源は、研究の歴史も長
く現在最も完成度の高い技術と考えられている。
【0005】しかしながら、上記スピント型電子源は、
立体形状のチップを含む電子源を複雑な微細加工技術に
より形成するため製造プロセスが複雑であり、また、多
数の三角錐状の下部電極を精度良く形成することは必ず
しも容易ではない等の不具合点がある。特に、スピント
型電子源を大面積に形成するときには、これらの不具合
は顕著になる。
【0006】このスピント型電子源と類似の構成の電子
源として、カーボンナノチューブ型の電子源が検討され
ている。カーボンナノチューブ型電子源1bは、図2に
模式的に示すように、スピント型電子源1aにおけるチ
ップ2aに変えてカーボンナノチューブの層2bをエミ
ッタとするものである。なお、図2中、参照符号3bは
下部電極を示し、参照符号4bはカーボンナノチューブ
の層2bを露出する孔部を示し、参照符号5bは上部電
極を示す。
【0007】カーボンナノチューブ型電子源は、電子放
出特性、化学的安定性等に優れるとされている。
【0008】しかしながら、カーボンナノチューブ型電
子源は、カーボンナノチューブの長さを揃えて形成する
ことが難しく、カーボンナノチューブの先端位置がまち
まちとなる。そのため、上部電極とカーボンナノチュー
ブの先端との間の距離が場所によって異なり、電子を引
き出す電界に違いを生じる。したがって、カーボンナノ
チューブ型電子源を用いた画素構造のディスプレイの場
合には、画素によって輝度等にバラツキを生じるという
不具合がある。
【0009】上記したスピント型電子源等の不具合点を
解消するものとして、電子源の各構成部分を全て積層方
法によって形成する、前記後者の平面積層型の電子源が
ある。平面積層型電子源には、代表的なものとして、M
IS(Metal Insulator Semiconductor)型およびMI
M(Metal Insulator Metal)型がある。下部電極とし
て、MIS型の場合はn型シリコン基板が用いられ、M
IM型の場合は例えばアルミニウム等の金属材料が用い
られる。
【0010】上記積層型の電子源は、下部電極から供給
された電子がトンネル現象により絶縁層を通過して上部
電極に到達し、到達した電子の一部が上部電極の仕事関
数の障壁を越えて、上部電極から放出されるように構成
されている。このため、上部電極の厚みは、上部電極の
表面から均一に電子を放出できるように、上部電極内で
の電子の平均自由工程と同程度の1〜10nmに形成さ
れる。
【0011】また、積層型電子源と類似の構成の電子源
として、BSD型(Ballistic electron Surface-Emi
tting Display)電子源が検討されている。BSD型電
子源1cは、図3に模式的に示すように、柱状の半導体
結晶であるポリシリコン7cと、ポリシリコン7c間に
介在するシリコン酸化膜(図示せず。)が表面に形成さ
れたナノメータオーダーの微結晶シリコン層2cとから
なる多孔質ポリシリコン層6cをエミッタとするもので
ある。
【0012】BSD型電子源は、電子放出特性の真空度
依存性が小さく、かつホッピング現象が発生せず安定し
て高効率で電子を放出することができるとされている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
MIS型等の一般的な積層型電子源およびBSD型電子
源は、いずれも、上部電極を上記のように薄層に形成す
るため、生産性が低く、また、大面積の電子源を製造す
ることが困難であるという課題を有する。
【0014】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたも
のであり、容易に大面積に形成することができる電界放
出型電子源およびその製造方法ならびに表示装置を提供
することを主な目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電界放出型
電子源は、下部電極と、金属または半導体からなる多数
の微粒子が充填された、電子放出源としての微粒子層
と、絶縁層と、上部電極とが順次積層された積層構造を
有し、該絶縁層および該上部電極は、該絶縁層および該
上部電極間で連通する多数の孔部を有することを特徴と
する。
【0016】本発明の上記の構成により、発光素子を形
成したときに、陽極基板に向けた電子放出箇所となる多
数の孔部を絶縁層および上部電極に備え、微粒子層の上
面の最上部の微粒子を含む複数の微粒子が各孔部から露
出することにより、無数の電子放出サイトを有するた
め、平均化効果により均一に電子を放出することができ
る。また、微粒子層を構成する微粒子は、市販の金属や
半導体等の材料を容易に入手することができ、この微粒
子を用いて大面積化に適した塗布法により下部電極の上
に簡易に微粒子層形成することができる。また、微粒子
層以外の他の層についても大面積にわたって形成するこ
とができるため、発光素子を容易に大面積に形成するこ
とができる。
【0017】この場合、前記微粒子層は、第1および第
2の充填部で構成され、該第1の充填部は、該上部電極
の該孔部より離間した位置から下方に延出し、下面が該
下部電極に接するように柱状に設けられた前記微粒子の
層であり、該第2の充填部は、該第1の充填部の周囲に
配置され、上面が該絶縁層に接するように柱状に設けら
れた前記微粒子の層であって、該第2の充填部の微粒子
が絶縁材料で被覆されてなると、より良好な絶縁性能を
得ることができる。このとき、電子放出サイトとなる第
1の充填部はエッチング法により容易に形成することが
できる。
【0018】ここで、前記絶縁材料は、被覆厚みが1μ
m以下であると、第1の充填部の微粒子を形成するとき
に酸化皮膜の除去を容易に行うことができ、より好適で
ある。また、被覆厚みの下限は特に制限がないが、1n
m以上程度が好ましい。
【0019】また、本発明に係る電界放出型電子源にお
いて、前記微粒子が5μm以下の平均粒径を有すると、
微粒子層から容易に電子を放出させることができるとと
もに、微粒子の塗布性が向上することで微粒子層を容易
に形成することができる。ここで、平均粒径の下限は特
に制限がないが、1nm以上程度が好ましい。
【0020】また、本発明に係る電界放出型電子源の製
造方法は、請求項1記載の電界放出型電子源の製造方法
であって、下部電極を形成した後、該下部電極上に多数
の微粒子を積層して微粒子層を形成する工程と、該微粒
子層上に非水溶性樹脂の水性乳剤を塗布、乾燥してバッ
ファ層を形成する工程と、該バッファ層上に絶縁層およ
び上部電極を順次積層して形成する工程と、焼成して該
バッファ層を揮散させて、該バッファ層が逸出する通路
となった該絶縁層および該上部電極の部位に、連通する
孔部を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0021】これにより、例えばスパッタリング法等に
よって上部電極を所望の厚みに簡易に形成することがで
き、また、従来のフォトプロセスを用いたエッチング法
によって上部電極の孔部を形成する方法に比べて、上部
電極の微細な孔部を簡易な方法で形成することができ
る。
【0022】また、本発明に係る表示装置は、上記の電
界放出型電子源を含む陰極基板と、該陰極基板の電子放
出方向に対向して設けられた陽極基板とを有する発光素
子を備えてなることを特徴とする。
【0023】ここで、発光素子を構成する陽極基板は、
蛍光部および電極を有するものである。
【0024】これにより、上記電界放出型電子源の効果
を好適に発揮する表示装置を得ることができる。
【0025】また、本発明に係る表示装置は、陰極基板
と、該陰極基板の電子放出方向に対向して設けられた陽
極基板とを有する発光素子を備え、該陰極基板は下部電
極および上部電極を有し、該下部電極および該上部電極
はそれぞれ複数の帯状電極部で構成され、該下部電極の
該複数の帯状電極部および該上部電極の該複数の帯状電
極部を交差させて行列状に配列して複数の交差部が設け
られ、該交差部が、該下部電極および上部電極の間に微
粒子層を備えた上記の電界放出型電子源であり、該陽極
基板は、電極と、該交差部に対向する位置に該交差部に
対応して設けられた蛍光部とを有することを特徴とす
る。
【0026】これにより、行列状に形成された画素にパ
ターンを表示することができる。
【0027】この場合、前記蛍光部は、異なる色の蛍光
を発生する2以上の種類の蛍光体が配置されてなると、
カラー表示することができて好適である。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態(以下、本実
施の形態例という。)について、以下に説明する。
【0029】まず、本実施の形態の第1の例に係る電界
放出型電子源について、図4を参照して説明する。
【0030】図4に示すように、本実施の形態の第1の
例に係る電界放出型電子源10は、下部電極12と、下
部電極12上に形成される微粒子層14と、微粒子層1
4上に形成される絶縁層15と、絶縁層15上に形成さ
れる上部電極16とを有する。なお、図4中、絶縁層1
5については、視認し易いように便宜的に梨地模様を付
して表示した。
【0031】下部電極12は、通常のMIM型積層型電
子源の下部電極と同様のアルミニウム等の導電性材料か
らなる薄膜または厚膜である。導電性材料としては、ア
ルミニウムのほか、金、銀、クロム、銅、ニッケル、
鉄、コバルト、モリブデン等の金属を用いてもよく、ま
た、これらの金属の合金を用いてもよい。この場合、下
部電極12は、単一の種類の導電性材料によりまたは複
数の種類の導電性材料を混合して形成した単一の層であ
ってもよく、あるいはまた複数の層の積層構造であって
もよい。また、下部電極12は、通常のMIS型積層型
電子源の下部電極と同様のn型シリコン基板等であって
もよい。
【0032】下部電極12の厚みT3には特に制限はな
いが、例えば、100nm(1000Å)〜10μm程
度である。
【0033】微粒子層14は、電子放出源となる、多数
の微粒子14aが充填された層である。微粒子層14の
厚みT1に特に制限はないが、好適には、100μm以
下の厚みに形成する。微粒子14aの材料は、導電性材
料または半導体である。導電性材料としては、アルミニ
ウムや金等の適宜の金属微粒子を用いることができる。
また、半導体としては、リンをドープしたシリコン等の
適宜のものを用いることができる。微粒子14aは、好
ましくは5μm以下の平均粒径を有するものを用いる。
平均粒径の下限は特に制限がないが、1nm以上程度が
好ましい。
【0034】微粒子層14は、図4では多数の微粒子1
4aが水平方向に配置された状態に示されているが、微
粒子を充填する構造上、最上部では少なくとも1個の微
粒子14a−1が絶縁層15の孔部15aから露出し、
孔部16aに最も近接した状態に配置される。一方、下
方、例えば、最下部では、複数個の微粒子14aが水平
方向に配置されていてもよい。
【0035】微粒子層14は、孔部16aの下部に位置
する微粒子14a−1が孔部16aとの間に存在する空
間(隙間)によって上部電極16と電気的に絶縁可能な
状態にあり、一方、微粒子14a−1の周辺の微粒子1
4aは絶縁層15によって上部電極16と絶縁された状
態にある。また、柱状に充填された状態の上下の各微粒
子14aが相互に接触するとともに下面の最下部の微粒
子14a−2が下部電極12に接することによって下部
電極12と導通可能な状態にある。すなわち、微粒子層
14は、最上部の微粒子14a−1が電子放出サイトと
なり、いわば、スピント型電子源の微小な三角錐状のチ
ップに相当する。但し、スピント型電子源の場合、チッ
プの先端部のみから電子が放出する構造であるのに対し
て、微粒子層14の場合、孔部16aに近接した微粒子
14a−1およびこの微粒子14a−1の周辺の微粒子
14aから電子を放出することができる構造である点で
スピント型電子源と相違する。
【0036】絶縁層15は、例えば二酸化ケイ素や酸化
アルミニウム等の絶縁材料からなる層である。絶縁層1
5は、多数の孔部15aを有する。絶縁層15の厚み
は、電気的絶縁が保たれるのに充分な厚さであるととも
に、孔部15aを容易に形成できる程度の薄さである。
材料によって最適な厚みは異なるが、100nm〜5μ
m程度の厚みが好ましい。
【0037】上部電極16は、下部電極12と同様の導
電性材料からなる薄膜である。但し、上部電極16は、
多数の孔部16aを有する点が通常の上部電極と相違す
る。上部電極16は、厚みT4には制限がないが、好適
には50〜200nm程度の厚みに形成する。この上部
電極16の厚みは、抵抗値が大きくならない程度の充分
な厚さであるとともに、孔部16aを容易に形成できる
程度の薄さである。
【0038】以上説明した本実施の形態例に係る電界放
出型電子源10の製造方法について、以下説明する。
【0039】電界放出型電子源10は、前掲した図4に
示すように、基板18上に形成される。この電界放出型
電子源10および基板18は、後述する発光素子の陰極
基板を構成する。
【0040】基板18は、ガラスやセラミクス等の絶縁
性材料で形成したものを用いる。
【0041】この基板18の上に下部電極12を形成す
る。
【0042】電極の形成方法は、金属ペーストをスクリ
ーン印刷する方法やスパッタリング法等を用いることが
できる。ここでは、例えばアルミニウムを材料としてス
パッタリング法により成膜して下部電極12を形成す
る。
【0043】下部電極12上に微粒子層14を形成す
る。
【0044】微粒子層14は、例えば市販の平均粒径が
70nm程度の銀の金属微粒子(真空冶金株式会社製
商品名:Ag超微粒子)を準備し、この金属微粒子を適
当な媒体を用いてスラリー化したものを下部電極12上
に塗布することにより形成される。
【0045】つぎに、例えば二酸化ケイ素を材料として
EB蒸着法により微粒子層14の上に蒸着して絶縁層1
5を形成する。このとき、絶縁層15は島(アイラン
ド)状に形成され、隣り合う島間に無数の孔部15aを
有する。
【0046】上部電極16は、下部電極12と同様の方
法により形成することができる。このとき、例えばスパ
ッタリングして成膜することで、絶縁層15の成膜形態
に引きずられて島(アイランド)状に形成され、隣り合
う島間に無数の孔部16aを有する上部電極16が形成
される。あるいは、無数の孔部16aを有する島(アイ
ランド)状または板状の上部電極16が形成される。
【0047】なお、上記した絶縁層15の孔部15aお
よび上部電極16の孔部16aについて、図4では、孔
部15aおよび孔部16aが連通した状態にあるものの
みを模式的に示したが、詳細には、孔部15aおよび孔
部16aはそれぞれ別々に独立して形成される。このた
め、孔部15aおよび孔部16aが連通しないケースも
ある。但し、このとき、上記のように無数の孔部15a
および孔部16aの大部分は、それぞれ1つの微粒子1
4を露出した状態で形成され、また、孔部15aの上に
は略確実に孔部16aが形成されるため、結局は図4の
ように多数の連通した孔部15aおよび孔部16aが形
成されることになる。
【0048】ここで、従来の平面積層型の電子源の場
合、電子を透過させるために上部電極は前記したように
10nm以下程度の薄膜に形成する必要があるが、本実
施の形態例の場合、上部電極16は電子放出サイトでは
なく電子を孔部に吸引するためのものであるため、任意
の厚みに形成することができ、また、厚みの均一性も必
要ではない。このため、印刷法等の塗布法により上部電
極16を容易に大面積に形成することができる。
【0049】以上説明した本実施の形態の第1の例に係
る電界放出型電子源10は、無数の電子放出サイトを有
するため、平均化効果により均一に電子を放出すること
ができる。また、微粒子層を構成する微粒子は、市販の
金属や半導体等の材料を容易に入手することができ、こ
の微粒子を用いて塗布法等により下部電極の上に簡易に
微粒子層形成することができる。また、微粒子層以外の
他の層についても塗布法によって形成することができる
ため、発光素子を容易に大面積に形成することができ
る。
【0050】本実施の形態の第1の例に係る電界放出型
電子源10は、後述するように蛍光部を発光させる発光
素子に構成することにより、表示装置、ライトバルブあ
るいはバックライトに好適に用いることができるととも
に、さらに走査型電子顕微鏡等の他の用途にも広く適用
することができる。
【0051】つぎに、本実施の形態の第2の例に係る電
界放出型電子源20について、図5および図6を参照し
て説明する。
【0052】電界放出型電子源20は、図5に示すよう
に、基本的な構成は電界放出型電子源10と同様であ
る。このため、以下の説明において、同一の構成要素に
ついては同一の参照符号を付すとともに重複する説明を
省略する。
【0053】電界放出型電子源20は、下部電極12
と、微粒子層17と、絶縁層15と、上部電極16とを
有する。なお、図5中、絶縁層15については、図4と
同様に梨地模様を付して表示した。
【0054】電界放出型電子源20は、微粒子層17の
構成が電界放出型電子源10の微粒子層14の構成と相
違する。
【0055】微粒子層17は、第1および第2の充填部
22、24で構成される。
【0056】第1の充填部22は、上部電極16の孔部
16aより離間した位置から下方に延出し、下面が下部
電極12に接するように、柱状に設けられた導電性材料
からなる微粒子22aの層である。微粒子22aは、例
えばアルミニウムにより形成される。
【0057】第2の充填部24は、第1の充填部22の
周囲に配置される。第2の充填部24は、図6に示すよ
うに、上面が上部電極16に接する、絶縁材料からなる
絶縁層26で被覆された導電性材料からなるコア28を
有する微粒子24aの層である。なお、図5に示すよう
に第2の充填部24の下面が下部電極12に接する構造
であってもよく、また、第2の充填部24の下面と下部
電極12との間に第1の充填部22の微粒子22aが介
在した構造であってもよい。
【0058】微粒子24aは、コア28を形成する導電
性材料として第1の充填部22の微粒子22aと同様の
金属等を用いることができ、例えばアルミニウムを用い
る。微粒子24aは、図6に示すように、コア28の平
均粒径Dが例えば第1の充填部22の微粒子22aと同
様に5μm以下であり、例えば第1の充填部22の微粒
子22aと同じ100nm程度である。コア28を被覆
する絶縁層26は、厚みが1μm以下に形成され、ここ
では例えば1〜10nm程度の厚みT2を有する。
【0059】第2の充填部24は、第1の充填部22を
上部電極16と離間させて電気的に絶縁状態に保持可能
とする機能を有するとともに、上部電極16と下部電極
12とを電気的に絶縁状態で接合する絶縁層としての機
能を有する。この場合、絶縁層15の存在により、より
確実な絶縁性を得ることができる。
【0060】以上説明した本実施の形態の第2の例に係
る電界放出型電子源20の製造方法について、図7およ
び図8を参照して以下説明する。
【0061】電界放出型電子源20の製造方法は、基板
18、下部電極12については、電界放出型電子源10
の製造方法と同様であるため、重複する説明を省略す
る。
【0062】第1および第2の充填部22、24からな
る微粒子層17は、以下の方法により形成する。
【0063】下部電極12上に微粒子層17の元となる
微粒子積層部を形成する。
【0064】微粒子積層部は、まず、ガス中蒸発法等を
用いて、アルミニウムの微粒子の表面を酸化させて微粒
子24aを形成した後、スクリーン印刷法、静電振動
法、スプレー法あるいは圧着法等の適宜の方法を用いて
微粒子24aを下部電極12上に積層することにより形
成することができる。なお、ガス中蒸発法で形成した微
粒子24aを直ちにスプレー法で下部電極12上に噴射
して積層して微粒子積層部を形成することも可能であ
る。
【0065】例えば、まず、ガス中蒸発法により微粒子
24a形成する場合、ヘリウム等の不活性ガス中に適量
の酸素を導入したガス雰囲気下でアルミニウム材料を抵
抗加熱して蒸発させる。これにより、緻密な酸化皮膜を
有するアルミニウムの微粒子24aを得る。つぎに、ス
クリーン印刷法により微粒子積層部を形成する場合、微
粒子24aと、溶媒およびビヒクル等とを混合したペー
ストを下部電極12にスクリーン印刷した後、120℃
程度の温度で乾燥してビヒクル中の溶媒を除去し、さら
に400〜520℃の温度で焼成して、ビヒクル中の樹
脂等の有機物を除去する。これにより、微粒子24aが
積層された微粒子積層部を得る。この場合、ガス中蒸発
法により形成された酸化皮膜が緻密であるため、微粒子
24aの酸化皮膜が厚くなりすぎることがない。また、
電子源として使用するときに酸化が進行することもな
い。
【0066】また、スクリーン印刷法に代えて静電振動
法により微粒子積層部を形成する場合、特開平6−15
8350号公報に開示された方法を用いることができ
る。
【0067】この場合、図7に示すように、表面酸化し
たアルミニウムの微粒子24aを下部電極12上に分布
させ、ついで、下部電極12上に図示しない絶縁部材を
載置し、絶縁部材の上に微粒子積層部形成電極30を配
置し、下部電極12、微粒子積層部形成電極30および
絶縁部材により密閉空間を形成する。その後、密閉空間
内を減圧した状態で所定の電圧を下部電極12および微
粒子積層部形成電極30間に印加し、さらに所定の条件
で印加電圧を上昇させる。その結果、下部電極12およ
び微粒子積層部形成電極30間に形成された電界によ
り、微粒子24aは下部電極12および微粒子積層部形
成電極30間で振動を開始し、電界の強度の増大に伴い
激しくなった振動により、微粒子24aは下部電極12
および微粒子積層部形成電極30に衝突し、下部電極1
2および微粒子積層部形成電極30の表面に埋め込まれ
堆積され、微粒子積層部が形成される。この方法によれ
ば、略常温下で微粒子層積層部を形成することができる
ため、酸化皮膜が厚膜に形成されるおそれがない点にお
いて、上記スクリーン印刷法よりもより好適である。な
お、図7中、参照符号32a、32bはそれぞれ下部電
極12および微粒子積層部形成電極30が載置されるガ
ラス基板を示す。
【0068】上記いずれかの方法により下部電極12の
上に微粒子積層部を形成した後、微粒子積層部の上に絶
縁層15および上部電極16を形成する。絶縁層15お
よび上部電極16の形成方法については、後述する。
【0069】絶縁層15および上部電極16を形成した
後、さらに、以下の方法により、第1および第2の充填
部22、24からなる微粒子層17を形成する。
【0070】上部電極16を言わばマスクとして、例え
ばふっ酸等のエッチング液を用いて微粒子積層部をエッ
チングする。このとき、孔部16aおよび孔部15aか
ら微粒子層17内に浸透したエッチング液は略孔部16
aの直下の微粒子のみをエッチングし、微粒子表面の酸
化皮膜が除去される。これにより、酸化皮膜が除去され
た柱状の微粒子の層が第1の充填部22となり、酸化皮
膜が除去されなかった微粒子の層が第2の充填部24と
なる。このとき、エッチング液の流入により、下層の微
粒子が密充填されるにつれて、孔部16aの直下の微粒
子は下方へあるいは周囲に押し流されて、孔部16aと
その直下の微粒子22a−1との間に隙間が形成され
る。
【0071】つぎに、絶縁層15および上部電極16の
形成方法について、図8および図9を参照して説明す
る。
【0072】上記した微粒子層17の言わば前駆体であ
る微粒子積層部を形成した後(図8(a)。微粒子積層
部に参照符号34を付し、便宜的に層状に表示。)、絶
縁層15および上部電極16を形成するに先立ち、微粒
子積層部34の上にバッファ層(フィルミング乳剤層)
36を形成する(図8(b))。
【0073】バッファ層36を形成するには、まず、非
水溶性樹脂の水性乳剤である、下記配合例のフィルミン
グ乳剤を準備する。
【0074】 ・アクリル樹脂共重合体(商品名:B74M) 196.8g ・純水 133.5g ・コロイド状シリカ水溶液(商品名:Ludox(登録商標)) 12.7g ・過酸化水素水(35%) 8.4g ・グリセリン 15.0g 上記5種類の溶液を混合し、さらに水酸化アンモニウム
(28%)を適量加えて混合溶液のpHを約7に中和す
る。
【0075】この中和した混合溶液をフィルミング乳剤
とよぶ。
【0076】上記のフィルミング乳剤をスクリーン印刷
法やスピンコート法等により、微粒子積層部34の上に
例えば5μm以下程度の厚みに塗布する。その後、例え
ば55℃で3分間乾燥することで、水分が蒸発し、バッ
ファ層(フィルミング乳剤層)36が形成される。
【0077】バッファ層36の上に、本実施の形態の第
1の例と同様の方法により、絶縁層15および上部電極
16を形成する(図8(c)、(d))。この場合、こ
の段階では本実施の形態の第1の例のように孔部15a
および孔部16aを形成する必要がないため、絶縁層1
5および上部電極16は所望の厚みに形成することがで
きる。
【0078】最後に、バッファ層36ならびに絶縁層1
5および上部電極16が形成された基板18を例えば4
00〜600℃で焼成する。焼成により、バッファ層3
6が逸散するが、このとき、バッファ層36が逸散する
通路となる絶縁層15および上部電極16の部位に微細
な孔部15aおよび孔部16aが連通して形成される
(図8(e))。
【0079】この孔部15aおよび孔部16aは、図9
に示すように、例えば20μm角の面積中に数十個の亀
裂状に形成される。この亀裂状の孔部15aおよび孔部
16aは、幅が例えば120〜600nm程度であり、
長さが例えば600nm〜6μm程度である。
【0080】なお、上記の方法により絶縁層15および
上部電極16に孔部15aおよび孔部16aを形成した
後、前記した方法により、微粒子積層部34から微粒子
層17が形成される。
【0081】以上説明した本実施の形態の第2の例に係
る電界放出型電子源20は、本実施の形態の第1の例に
係る電界放出型電子源10と同様の効果を得ることがで
きるとともに、特に、上部電極を所望の厚みに簡易に形
成することができ、また、従来のフォトプロセスを用い
たエッチング法によって上部電極の孔部を形成する方法
に比べて、上部電極の微細な孔部を簡易な方法で形成す
ることができる。
【0082】つぎに、本実施の形態例に係る表示装置の
第一の例について、図10を参照して説明する。
【0083】表示装置は、図10に示す発光素子38を
有する。
【0084】発光素子38は、陰極基板40と、陰極基
板40に対向して設けられた陽極基板42とで構成され
る。
【0085】陰極基板40は、本実施の形態の第2の例
に係る電界放出型電子源20と、電界放出型電子源20
が載置された基板18とで構成される。
【0086】陽極基板42は、ガラス等により形成した
基板44の上にITO等により形成した透明電極46が
設けられ、さらに順次、例えばCRTで使われるP22
蛍光体で形成した蛍光部48およびアルミバック50が
積層して形成され、アルミバック50の側を陰極基板4
0に向けて配置されている。なお、アルミバック50
は、透明電極がない場合に透明電極に変わって電極とし
て機能するとともに、輝度の向上、蛍光部の劣化防止あ
るいは蛍光部の帯電防止等の役割を有するものである
が、通常、透明電極を有する場合であって後述する電圧
Vaが4kV以下のときには設けなくてもよい。
【0087】陰極基板40および陽極基板42は、図示
しないスペーサにより所定間隔離間して保持、一体化さ
れる。また、各部材は図示しない筐体内に収容され、陰
極基板40と陽極基板42との間の空間部が真空に保持
される。
【0088】発光素子38は、陰極基板40において、
下部電極12を負極とし上部電極16を正極として例え
ば50V以下の電圧Vkを印加することにより、生成す
る高電界下、第1の充填部22の最上部の微粒子22a
−1等から孔部16aを通って電子が放出され、さらに
上部電極16に対して透明電極46を正極として例えば
4kV以上の電圧Vaを印加することで、電子が陽極基
板42に吸引、加速され、蛍光部48に衝突し、発光す
る。生成した発光(可視光)は、透明電極46および基
板44を透過して外部より視認される。なお、図10
中、記号Igはダイオード電流を示し、記号Iaはエミ
ッション電流を示す。
【0089】上記第一の例の発光素子38を有する表示
装置は、前記した電界放出型電子源20の効果を好適に
発揮することができる。
【0090】つぎに、本実施の形態例に係る表示装置の
第二の例について、図11〜図16を参照して説明す
る。
【0091】第二の例の表示装置は、第一の例の発光素
子38と同様に陰極基板52および陽極基板54で構成
される発光素子を有する。
【0092】陰極基板52について、図11〜図13を
参照して説明する。
【0093】陰極基板52は、下部電極56が、基板5
8の上に図11中上下方向に延出する帯状(ストライプ
状)に形成された9本の下部電極部56a〜56iとし
て形成されている。また、上部電極60が下部電極56
の上に下部電極部(帯状電極部)56a〜56iと交差
して図11中左右方向に延出する帯状に形成された3本
の上部電極部(帯状電極部)60a〜60cとして形成
されている。上部電極60と下部電極56とが交差する
3行9列の交差部(図11中矢印Aで示す。)は、上部
電極60と下部電極56との間に本実施の形態の第2の
例に係る電界放出型電子源20の微粒子層17が形成さ
れている。すなわち、交差部Aは、本実施の形態の第2
の例に係る電界放出型電子源20で構成されている。
【0094】陰極基板52は、以下の方法により形成す
る。
【0095】基板58上に形成する下部電極56は、厚
みに応じて適宜選択した方法を用いることができる。下
部電極56を厚膜に形成するときは、導電性ペーストを
スクリーン印刷する方法あるいはフォトリソグラフィ法
を用いることができる。また、下部電極56を薄膜に形
成するときは、スパッタリング法等の成膜法を用いるこ
とができ、この場合、蒸着後、レジストをパターニング
し、エッチングやリフトオフ等により不要部分を除去
し、9つの下部電極部56a〜56iを形成することが
できる。
【0096】ついで、下部電極56上に、既に説明した
方法により微粒子層17を形成する。この場合、図示す
るように交差部Aのみに選択的に微粒子層17を積層し
てもよいが、前記したように積層される微粒子24aは
絶縁層26で被覆されているため、これに限らず、全面
ベタに微粒子層17、言い換えれば、微粒子積層部を形
成してもよい。
【0097】さらに、下部電極56と同様の方法によ
り、上部電極60を形成する。
【0098】最後に、既に説明した方法で微粒子層17
をエッチングして第1および第2の充填部22、24を
形成する。
【0099】陽極基板54について、図14〜図16を
参照して説明する。
【0100】陽極基板54は、蛍光部62が、基板64
の上に、陰極基板52と対応して3行9列の帯状の蛍光
体部62aに形成されている。蛍光体部62aは、例え
ば近接する3つの蛍光体部62a−1、62a−2.6
2a−3がそれぞれ赤、青、緑色の発色を呈する蛍光体
で形成される。基板64上の蛍光体部62a間の隙間に
は、ブラックマトリクス66が形成されている。さら
に、最上層にアルミバック68が蛍光体部62aおよび
ブラックマトリクス66の全面を覆って形成される。な
お、この場合、アルミバック68は陽極基板54の電極
部の役割を果たす。
【0101】上記陽極基板54の各層は、スクリーン印
刷法やスパッタリング法等の適宜の方法を用いて形成す
ることができる。
【0102】上記のように構成された第2の例の表示装
置は、赤、青、緑色の発色を呈する蛍光体部52a−
1、62a−2.62a−3の組で構成される9個の画
素(交差部A)を制御することにより、カラー動画表示
することができ、このとき、前記した電界放出型電子源
20の効果を好適に発揮することができる。
【0103】つぎに、本実施の形態例に係るライトバル
ブについて、図17を参照して説明する。
【0104】図17に示すように、本実施の形態例に係
るライトバルブ70は、直径が5〜30mm程度の真空
管72の内部に、本実施の形態例の表示装置と同様の陰
極基板74および陽極基板76を対向させて配置した構
成を有する。すなわち、陰極基板74は、基板78、下
部電極80、微粒子層82および上部電極84を積層し
た構造であり、陽極基板76は、基板としてのレンズ8
6に蛍光部88および電極としてのアルミバック90を
積層した構造である。
【0105】本実施の形態例に係るライトバルブ70
は、屋外や屋内の大型表示装置用の発光素子や、信号機
用の発光素子としての利用が考えられ、このとき、前記
した電界放出型電子源10、20の効果を好適に発揮す
ることができる。
【0106】つぎに、本実施の形態例に係るバックライ
トについて、図18を参照して説明する。
【0107】図18に示すように、本実施の形態例に係
るバックライト92は、所謂直下型のバックライトであ
り、光照射部としての本実施の形態例の表示装置と同様
の陰極基板94と、発光部としての本実施の形態例の表
示装置と同様の陽極基板96とを対向させて配置した構
成を有する。すなわち、陰極基板94は、基板98、下
部電極100、微粒子層102および上部電極104で
構成され、陽極基板96は、基板106、蛍光部108
およびアルミバック110で構成される。陰極基板94
および陽極基板96は、スペーサ112により所定間隔
離間して固定されている。
【0108】本実施の形態例に係るバックライト92
は、例えば液晶パネルをバックライト92の上に載置す
ることにより、透過型液晶表示装置として利用すること
ができ、このとき、前記した電界放出型電子源10、2
0の効果を好適に発揮することができる。
【0109】
【発明の効果】本発明に係る電界放出型電子源によれ
ば、下部電極と、金属または半導体からなる多数の微粒
子が充填された、電子放出源としての微粒子層と、絶縁
層と、上部電極とが順次積層された積層構造を有し、絶
縁層および上部電極は、絶縁層および上部電極間で連通
する多数の孔部を有するため、発光素子を形成したとき
に、平均化効果により均一に電子を放出することができ
る。また、微粒子層を構成する微粒子は、市販の金属や
半導体等の材料を容易に入手して、大面積化に適した塗
布法により下部電極の上に簡易に形成することができ
る。また、微粒子層以外の他の層についても大面積にわ
たり形成することができるため、発光素子を容易に大面
積に形成することができる。
【0110】また、本発明に係る電界放出型電子源によ
れば、微粒子層は、第1および第2の充填部で構成さ
れ、第1の充填部は、上部電極の孔部より離間した位置
から下方に延出し、下面が下部電極に接するように柱状
に設けられた微粒子の層であり、第2の充填部は、第1
の充填部の周囲に配置され、上面が絶縁層に接するよう
に柱状に設けられた微粒子の層であって、第2の充填部
の微粒子が絶縁材料で被覆されてなるため、より良好な
絶縁性能を得ることができる。また、電子放出サイトと
なる第1の充填部はエッチング法により容易に形成する
ことができる。
【0111】また、本発明に係る電界放出型電子源によ
れば、微粒子が5μm以下の平均粒径を有するため、微
粒子層から容易に電子を放出させることができるととも
に、微粒子層を容易に形成することができる。
【0112】また、本発明に係る電界放出型電子源の製
造方法によれば、上記の電界放出型電子源の製造方法で
あって、下部電極を形成した後、下部電極上に多数の微
粒子を積層して微粒子層を形成する工程と、微粒子層上
に非水溶性樹脂の水性乳剤を塗布、乾燥してバッファ層
を形成する工程と、バッファ層上に絶縁層および上部電
極を順次積層して形成する工程と、焼成して該バッファ
層を揮散させて、バッファ層が逸出する通路となった絶
縁層および上部電極の部位に、連通する孔部を形成する
工程とを有するため、例えばスパッタリング法等によっ
て上部電極を所望の厚みに簡易に形成することができ、
また、上部電極の微細な孔部を簡易な方法で形成するこ
とができる。
【0113】また、本発明に係る表示装置によれば、上
記の電界放出型電子源を含む陰極基板と陽極基板とを有
する発光素子を備えてなるため、上記電界放出型電子源
の効果を好適に発揮する表示装置を得ることができる。
【0114】また、本発明に係る表示装置によれば、下
部電極の複数の帯状電極部および上部電極の複数の帯状
電極部を交差させて行列状に配列して複数の交差部が設
けられ、交差部が上記の電界放出型電子源であり、陽極
基板は、電極と蛍光部とを有するため、行列状に形成さ
れた画素にパターンを表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピント型電子源の概略構成を示す図である。
【図2】カーボンナノチューブ型電子源の概略構成を示
す図である。
【図3】BSD型電子源の概略構成を示す図である。
【図4】本実施の形態の第1の例に係る電界放出型電子
源の概略構成を示す図である。
【図5】本実施の形態の第2の例に係る電界放出型電子
源の概略構成を示す図である。
【図6】本実施の形態の第2の例に係る電界放出型電子
源の微粒子の断面図である。
【図7】本実施の形態の第2の例に係る電界放出型電子
源の微粒子層を静電振動法で形成するときの装置の概略
構成を示す図である。
【図8】本実施の形態の第2の例に係る電界放出型電子
源の絶縁層および上部電極を形成する方法を説明するた
めの図である。
【図9】本実施の形態の第2の例に係る電界放出型電子
源の絶縁層および上部電極に形成された亀裂状の孔部を
示す図である。
【図10】本実施の形態例に係る表示装置の第一の例の
発光素子の概略構成を示す図である。
【図11】本実施の形態例に係る表示装置の第二の例の
陰極基板の概略平面図である。
【図12】本実施の形態例に係る表示装置の第二の例の
陰極基板の図11中XII−XII線上断面図である。
【図13】本実施の形態例に係る表示装置の第二の例の
陰極基板の図11中XIII−XIII線上断面図であ
る。
【図14】本実施の形態例に係る表示装置の第二の例の
陽極基板の概略平面図である。
【図15】本実施の形態例に係る表示装置の第二の例の
陽極基板の図14中XV−XV線上断面図である。
【図16】本実施の形態例に係る表示装置の第二の例の
陽極基板の図14中XVI−XVI線上断面図である。
【図17】本実施の形態例に係るライトバルブの概略構
成を示す図である。
【図18】本実施の形態例に係るバックライトの概略構
成を示す図である。
【符号の説明】
10、20 電界放出型電子源 12、56、80、100 下部電極 14、17、82、102 微粒子層 14a、22a、24a 微粒子 15 絶縁層 15a、16a 孔部 16、60、84、104 上部電極 18、44、58、64、98、106 基板 22 第1の充填部 24 第2の充填部 26 絶縁層 28 コア 36 バッファ層 38 発光素子 40、52、74、94 陰極基板 42、54、76、96 陽極基板 46 透明電極 48、62、88、108 蛍光部 50、68、90、110 アルミバック 56a〜56i 下部電極部 60a〜60c 上部電極部 62a 蛍光体部 66 ブラックマトリクス 70 ライトバルブ 72 真空管 86 レンズ 92 バックライト 112 スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関 昌彦 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 (72)発明者 後沢 瑞芳 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 (72)発明者 武井 達哉 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 (72)発明者 萩原 啓 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 Fターム(参考) 5C036 EE01 EE14 EF01 EF06 EF09 EG12 EH06 EH08 5C127 AA01 CC18 CC21 CC22 DD07 DD13 DD40 DD64 EE14 5C135 CC01 CC09 DD07 DD09 HH14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極と、金属または半導体からなる
    多数の微粒子が充填された、電子放出源としての微粒子
    層と、絶縁層と、上部電極とが順次積層された積層構造
    を有し、 該絶縁層および該上部電極は、該絶縁層および該上部電
    極間で連通する多数の孔部を有することを特徴とする電
    界放出型電子源。
  2. 【請求項2】 前記微粒子層は、第1および第2の充填
    部で構成され、 該第1の充填部は、該上部電極の該孔部より離間した位
    置から下方に延出し、下面が該下部電極に接するように
    柱状に設けられた前記微粒子の層であり、 該第2の充填部は、該第1の充填部の周囲に配置され、
    上面が該絶縁層に接するように柱状に設けられた前記微
    粒子の層であって、該第2の充填部の微粒子が絶縁材料
    で被覆されてなることを特徴とする請求項1記載の電界
    放出型電子源。
  3. 【請求項3】 前記微粒子が5μm以下の平均粒径を有
    することを特徴とする請求項1または2に記載の電界放
    出型電子源。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電
    界放出型電子源を含む陰極基板と、該陰極基板の電子放
    出方向に対向して設けられた陽極基板とを有する発光素
    子を備えてなることを特徴とする表示装置。
  5. 【請求項5】 陰極基板と、該陰極基板の電子放出方向
    に対向して設けられた陽極基板とを有する発光素子を備
    え、 該陰極基板は下部電極および上部電極を有し、 該下部電極および該上部電極はそれぞれ複数の帯状電極
    部で構成され、 該下部電極の該複数の帯状電極部および該上部電極の該
    複数の帯状電極部を交差させて行列状に配列して複数の
    交差部が設けられ、 該交差部が、該下部電極および上部電極の間に微粒子層
    を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の電界放出
    型電子源であり、 該陽極基板は、電極と、該交差部に対向する位置に設け
    られた複数の蛍光部とを有することを特徴とする表示装
    置。
  6. 【請求項6】 前記複数の蛍光部は、各蛍光部ごとにそ
    れぞれ異なる色の蛍光を発生する2以上の種類の蛍光体
    が配置されてなることを特徴とする請求項5記載の表示
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の電界放出型電子源の製造
    方法であって、 下部電極を形成した後、該下部電極上に多数の微粒子を
    積層して微粒子層を形成する工程と、該微粒子層上に非
    水溶性樹脂の水性乳剤を塗布、乾燥してバッファ層を形
    成する工程と、該バッファ層上に絶縁層および上部電極
    を順次積層して形成する工程と、焼成して該バッファ層
    を揮散させて、該バッファ層が逸出する通路となった該
    絶縁層および該上部電極の部位に、連通する孔部を形成
    する工程とを有することを特徴とする電界放出型電子源
    の製造方法。
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