JP4996979B2 - ナビ協調走行制御システム、および、ナビ協調走行制御方法 - Google Patents

ナビ協調走行制御システム、および、ナビ協調走行制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両に搭載されるナビ協調走行制御システム、および、ナビ協調走行制御方
近年、オートクルーズ制御(ACC:Adaptive Cruise Controlともいう)を搭載した車両が普及してきている。オートクルーズ制御では、通常、適正な車間距離の保持、レーン保持、制限速度の保持、カーブでの走行制御などが行われている。そして、このオートクルーズ制御は、ナビゲーション装置によって得られる情報を利用して、よりきめ細かな走行制御を実現するナビ協調走行制御へと進化しつつある。
一般に、ナビ協調走行制御においては、まず、ナビゲーション装置がGPS(Global Positioning System)、自律航法(車速センサおよび方位センサから得られる車速および方位を時間積分して移動位置を定める方法)またはそれらを組み合わせたロケータ機能により現在位置を求め、その現在位置を地図上での道路位置に投射するマップマッチング処理を行い、走行中の道路およびその道路での車両位置を同定する。そして、ナビゲーション装置は、その同定した道路および車両位置に基づき、地図情報DB(Database)を検索して、走行中道路の前方に存在する交差点、カーブ、制限速度区間などの情報を抽出し、走行制御装置に送信する。
すなわち、走行制御装置が、例えば、カメラや車間距離センサなどを用いて先行車両への追従走行などのオートクルーズ制御を行っているときに、さらに、一時停止線での停止制御やカーブ減速などの制御を行おうとすると、カメラなどから入力される前方道路の映像情報だけでは、減速開始など制御のタイミングが間に合わないことがある。そこで、ナビ協調走行制御では、ナビゲーション装置が走行制御装置に対し、道路の前方に存在する交差点、カーブ、制限速度区間などの情報を事前に提供することによって、走行制御装置が一時停止線での停止制御、カーブ減速、速度制限などの制御を確実にかつスムーズに行うことができるようにしている。
なお、このようなナビ協調走行制御の技術については、例えば、特許文献1、特許文献2などに開示されている。
特開2006−35951号公報 特開2007−38903号公報
ところで、ナビ協調走行制御が適正に機能するには、ナビゲーション装置においてマップマッチング処理が正しく行われる必要がある。すなわち、走行中の道路が地図上で正しく同定される必要がある。もし、走行中の道路が地図上で誤って同定された場合には、ナビゲーション装置からは誤った一時停止線やカーブなどの位置情報が送信されてくるので、走行制御装置は、適正な走行制御を行うことができない。
一方、現実には、ナビゲーション装置がマップマッチング処理で、走行中の道路をうまく同定できないケースが存在する。例えば、走行中の道路の前方に、道路が2つに分岐する交差点(三差路)があり、その分岐角度が小さかったとする。その場合には、GPSや自律航法による車両位置の測位精度が充分でないため、ナビゲーション装置は、車両がその交差点を通過後しばらくの間は、分岐したどちらの道路を走行中であるかを同定することができない場合がある。従って、このような場合、ナビ協調走行制御を行うと、誤った走行制御が行われる可能性がある。
すなわち、従来のナビ協調走行制御においては、ナビゲーション装置が走行中の道路の同定をうまくできず、そのため、誤った走行制御が行われる可能性があるという問題を含んでいる。そこで、その誤った走行制御が行われるのを回避する必要がある。それを最も簡単に実現するには、ナビ協調走行制御装置による走行制御を停止すればよい。
ちなみに、従来のオートクルーズ機能を搭載した車両には、そのオートクルーズ機能をオン・オフするスイッチがついており、また、ドライバがアクセルやブレーキペダルを踏んだ場合には、オートクルーズ機能はオフされることになっている。これは、ドライバが車両のオートクルーズができないと判断したときには、その機能を停止させる機能に他ならない。
従って、ナビ協調走行制御の場合にも、ドライバがマニュアルスイッチなどをオン・オフすることによって、ナビ協調走行制御を実行させたり、停止させたりすることが可能である。しかしながら、ナビ協調走行制御は、オートクルーズ制御よりもきめ細かな制御、すなわち、道路に設けられた施設や道路の形状など(以下、これらを総称して、道路属性という)に応じたきめ細かな制御を行うので、ドライバは、どのような場合またはどのような時点でナビ協調走行制御を停止させ、また、どのような時点でナビ協調走行制御を再開させればよいか分からない。
以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、道路属性に応じて協調走行制御の実施の可または不可を判断し、その判断に従い協調走行制御を、適宜、停止または再開させることができ、それによって、誤った走行制御を回避することが可能なナビ協調走行制御システム、ナビ協調走行制御方法、および、ナビゲーション装置を提供することにある。
以上の目的を達成するために、本発明のナビ協調走行制御システムは、地図情報を記憶する記憶装置を備え、前記車両のドライバが設定する目的地までの誘導経路を前記地図情報に基づき探索し、その探索した誘導経路を前記ドライバに提供するとともに、前記地図情報に含まれる各道路の所定の位置にそれぞれ付された道路属性情報を検索して、走行中の前記車両前方の道路位置に付された道路属性情報を取得するナビゲーション装置と、そのナビゲーション装置によって取得される前記道路属性情報のうち車両の走行速度の制限を指示する第1の道路属性情報に基づき、その車両の走行制御を行う車両制御装置と、を含んで構成される。
そして、そのナビ協調走行制御システムは、前記車両制御装置が、前記ナビゲーション装置によって取得される前記道路属性情報のうち車両の走行制御の少なくとも一部の制御不可を指示する第2の道路属性情報に基づき、前記走行制御の少なくとも一部を中断または再開させる走行制御中断・再開制御手段と、前記走行制御中断・再開制御手段により前記走行制御を中断または再開するとき、併せて、その中断または再開をドライバに報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
前記ナビゲーション装置は、
前記走行制御の少なくとも一部が制御不可であることを表す制御不可エリア情報を、前記道路属性情報の一部として、前記地図情報に記憶し、
前記制御不可エリア情報が、駐車場、駅前広場、サービスエリア、ショッピングセンタ、ビル街、および、トンネルのうち、少なくとも1つを表す情報であり、
前記走行制御中断・再開制御手段は、
前記第2の道路属性情報が前記制御不可エリア情報であり、さらに、その制御不可エリア情報が付されている前記道路位置の先の道路に前記車両の走行速度の制限を指示する第3の道路属性情報が付されており、かつ、前記車両位置が前記制御不可エリア情報が示すエリアを抜けたあとに、
前記第3の道路属性情報で示される前記道路位置での指定速度まで前記車両速度を減速するのに必要な距離が、前記車両位置から前記第3の道路属性情報が付されている道路位置までの距離以上であるときに、前記中断されていた前記走行制御を再開すること
を特徴とする。
本発明によれば、道路属性に応じて協調走行制御の実施の可または不可を判断し、その判断に基づき、協調走行制御を、適宜、停止または再開させることができるようになり、従って、誤った走行制御を回避することが可能なナビ協調走行制御システム、ナビ協調走行制御方法、および、ナビゲーション装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るナビ協調走行制御システムの構成の例を示した図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係るナビ協調走行制御システム1は、ナビゲーション装置部10と車両制御装置部20とにより構成される。このとき、ナビゲーション装置部10と車両制御装置部20とは、CAN(Controller Area Network)30などの通信ネットワークにより相互に接続されている。
ナビゲーション装置部10は、いわゆるナビゲーション装置によって構成され、現在位置算出部11、マップマッチング処理部12、道路属性情報取得部13、協調制御情報出力部14、制御中断・再開指示部15、GPSレシーバ16、地図情報17などを含んで構成される。なお、ナビゲーション装置部10は、このほかに経路誘導など本来のナビゲーション機能に係る機能ブロックを有しているが、ここでは、その記載を省略している。
ナビゲーション装置部10において、現在位置算出部11は、ロケータとも呼ばれ、GPSレシーバ16によって得られる位置情報と、自律航法によって得られる移動位置情報と、に基づき自車位置を算出する。また、マップマッチング処理部12は、現在位置算出部11により算出された現在位置が地図情報17に含まれる道路のどの位置に対応するかを同定する。
また、道路属性情報取得部13は、地図情報17を参照して、マップマッチング処理部12により同定された道路の自車位置前方の道路に設定された道路情報(例えば、カーブ情報、制限速度情報、一時停止線情報など)や交差点情報(分岐数など)を取得する。なお、地図情報17は、ハードディスク装置などに保持された電子地図情報であり、その構成の例については、別途、説明する。
また、協調制御情報出力部14は、道路属性情報取得部13により取得された自車位置前方の道路に設定された道路情報や交差点情報に基づき、ナビ協調走行制御を行うための協調制御情報を、CAN30を介して、車両制御装置部20の協調走行制御装置21へ送信する。また、制御中断・再開指示部15は、協調走行制御装置21に対し、ナビ協調走行制御の中断または再開を指示する情報を送信する。
このようなナビゲーション装置部10は、GPSレシーバ16を除き、図示しない演算処理装置と記憶装置とから成るコンピュータによって構成され、現在位置算出部11、マップマッチング処理部12、道路属性情報取得部13、協調制御情報出力部14および制御中断・再開指示部15などの機能は、その演算処理装置が記憶装置に格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。
これに対し、車両制御装置部20は、協調走行制御装置21、マンマシンインタフェース部22、環境情報認識部23、走行状態センサ部24、アクチュエータ制御部25などを含んで構成される。そして、これらの機能ブロックは、通常、その機能ブロックの機能に応じて適所に分離して配置され、相互にCAN30などのネットワークによって相互に接続される。
車両制御装置部20において、協調走行制御装置21は、さらに、走行制御部211、制御中断・再開制御部212などを含んで構成される。ここで、走行制御部211は、協調制御情報出力部14から送信される協調制御情報を受信して、所定のナビ協調走行制御を実行する。すなわち、ナビ協調走行制御に応じて、所定の制御信号をアクチュエータ制御部25へ出力する。また、制御中断・再開制御部212は、制御中断・再開指示部15から送信されるナビ協調走行制御の中断または再開の指示情報に受信して、走行制御部211の動作を停止または再開させる。
このような協調走行制御装置21は、図示しない演算処理装置と記憶装置とから成るコンピュータによって構成され、走行制御部211、制御中断・再開制御部212などの機能は、その演算処理装置が記憶装置に格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。なお、ここでは、協調走行制御装置21は、ナビゲーション装置部10とは別体のコンピュータであるものとして記載したが、ナビゲーション装置部10が走行制御部211および制御中断・再開制御部212の機能を含むように構成してもよい。
また、マンマシンインタフェース部22は、協調走行制御装置21の入出力装置であり、表示装置221、警報装置222、ボタン/SW(スイッチ)223などを含んで構成される。ここで、表示装置221は、LCD(Liquid Crystal Display)などから成り、ナビ協調走行制御の実行の状態などを表示する。また、警報装置222は、警報ランプやスピーカなどから成り、ナビ協調走行制御の開始、終了、中断、再開などをドライバに報知する。また、ボタン/SW223は、ドライバがナビ協調走行制御に係る指示情報や設定情報を入力するのに用いられる。
なお、マンマシンインタフェース部22は、その一部または全部が、ナビゲーション装置部10に付属する表示装置、スピーカ、ボタンなど(いずれも図示せず)を兼用することにより実現されるものであってもよい。
また、環境情報認識部23は、走行方向前方の車線情報や先行車の情報を取得するための撮像装置(カメラ)231、先行者との車間距離を計測する車間距離センサ232などを含んで構成される。
また、走行状態センサ部24は、車輪の回転数に応じたパルスを検知して車速を出力する車速センサ241、ジャイロなどから成る方位センサ242、さらには、図示しない操舵角センサ、ヨーレートセンサなどを含んで構成される。
また、アクチュエータ制御部25は、操舵制御装置251、ブレーキ制御装置252、エンジン制御装置253、変速機制御装置254などを含んで構成され、それぞれ、操舵装置、ブレーキ、エンジン、変速機などのアクチュエータを作動させる。
図2は、協調走行制御装置21の走行制御部211が実行するナビ協調走行制御の例を示した図である。図2において、「制御種別」の欄は、ナビ協調走行制御の種別を識別する情報、「道路属性情報」の欄は、その制御種別のナビ協調走行制御が実行される道路の属性情報、「必要な情報」の欄は、ナビ協調走行制御を実行するのに必要な情報である。これらの情報は、ナビゲーション装置部10から走行制御部211へ提供される。また、「制御概要」の欄は、その「制御種別」に応じて、走行制御部211が実行するナビ協調走行制御の具体的な制御の内容の概要を示したものである。
ちなみに、「カーブ減速」制御は、カーブの道路属性が付された道路において実行され、そのカーブ減速を実行するには、そのカーブの曲率、カーブの区間情報(開始地点および終了地点の情報)が必要である。すなわち、「カーブ減速」制御では、走行制御部211は、与えられたカーブの曲率と現在位置からカーブ開始地点までの距離に基づき、カーブ走行時の横加速度が所定値以下になるように目標速度を求め、その目標速度を達成可能なように事前に車速を減速制御する。
同様に、「速度制限」制御は、走行制御部211は、現在地点から制限速度が変化する地点(制限速度区間の開始地点)までの距離と制限速度とに基づき、車速の減速制御を行うとともに、制限速度区間内では、車速をその制限速度以下に制限する。また、「一時停止」制御では、走行制御部211は、現在位置から一時停止線までの距離をもとに、車速を減速制御し、一時停止線で車両停止するように制御する。また、「徐行」制御では、走行制御部211は、徐行区間やスクール−ゾーンにおいて設定された徐行速度以下になるように車速を制御する。また、「レーンキープ」制御では、走行制御部211は、環境情報認識部23の撮像装置231から得られる車線情報に基づき、車線を逸脱しないように操舵制御を行う。また、「車間制御」では、走行制御部211は、車間距離センサ232により先行車までの相対距離を計測し、先行車との間の相対速度が0、車間時間(相対距離/速度)が一定になるように車速を制御する。
以上のように、走行制御部211は、ナビゲーション装置部10から提供される走行中の道路の前方に付された、主として、車両の走行速度制限(一時停止は走行速度が0)を指示する道路属性情報に基づき、車両の走行制御を行っている。
なお、以上のナビ協調走行制御において、「レーンキープ」および「車間制御」の場合には、走行制御部211は、ナビゲーション装置部10から提供される情報を必ずしも必要とはしないが、制御中断・再開制御部212が走行制御部211の動作を中断または再開する制御を行う場合には、ナビゲーション装置部10から少なくともその中断または再開を指示するタイミングの情報が必要となる。
続いて、ナビゲーション装置部10からの情報に基づき、走行制御部211の動作を、適宜、中断または再開する制御中断・再開制御部212の動作について詳しく説明する。ここでは、まず、走行制御部211の動作の中断または再開が必要となる理由について、図3に示す例を用いて説明する。
図3は、走行制御部211の動作の中断または再開が必要となる例を示した図である。図3に示すように、車両31(位置A)が三差路32に差しかかったとき、ナビゲーション装置部10により事前に走行経路が指定経路33のように指定されていた場合には、通常、ドライバは、その指定経路33に沿って、車両31を位置Aから位置Bを通って位置Cへと走行させる。ただし、ドライバは、車両31の進路を変更することもあり得る。ドライバが三差路32で車両31の進路を位置Dの方向へ変更した場合には、ナビゲーション装置部10では、すぐに指定経路33を引き直す必要がある。
しかしながら、前記したようにGPSや自律航法による測位誤差などのために、マップマッチング処理部12における処理では、三差路32を通過後、例えば、10数m程度の区間は、車両31が直進(位置Dの方向へ走行)したのか、左折したのか(位置Cの方向へ走行)を適切に判別することができない。すなわち、ナビゲーション装置部10は、三差路32の近傍では、進路確定中の状態となり、進路を確定できず、三差路32を、例えば、10数m通過後の位置Cまたは位置D近辺で進路の分岐を確定することになる。従って、その場合には、ナビゲーション装置部10は、例えば、車両31が直進するような表示をしておきながら、車両31が位置D近辺に来たところで、不連続的に進路を訂正し、車両31の位置を位置Dから位置Cへと変更する場合がある。
ただし、このような場合が生じたとしても、その間の時間は、10秒にも満たないわずかの時間であるので、通常のナビゲーション機能を実行する上では、大きな問題とはならない。しかしながら、走行制御部211が所定の走行制御を実行中に、このような走行経路の不連続的な変更が行われると、大きな問題が生じる場合がある。
例えば、図3において、車両31は、位置A→位置B→位置Cへと走行する場合には、一時停止線34で停止する必要がある。そのためには、車両31は、場合によっては、三差路32の手前から減速を開始する必要がある。従って、ナビゲーション装置部10が、車両31の進路を位置Dの方向(直進方向)と判断し、その後、車両31の進路を位置Cの方向(左折方向)と判断し、車両31の位置を位置Dから位置Cへと不連続的に変更したとすると、走行制御部211は、一時停止線34での停止制御を行うことができない。また、逆に、ナビゲーション装置部10が、車両31の進路を位置Cの方向(左折方向)と判断し、その後、車両31の進路を位置Dの方向(直進方向)と判断し、車両31の位置を位置Cから位置Dへと不連続的に変更したとすると、走行制御部211は、一時停止線34があるかのごとく不必要な停止制御を行うことになる。すなわち、走行制御部211は、誤った制御を行う可能性がある。
そこで、本実施形態においては、走行制御部211が誤った制御を行うのを回避するために、協調走行制御装置21に制御中断・再開制御部212を設けている。制御中断・再開制御部212は、事前に、ナビゲーション装置部10から提供される情報に基づき、走行中の道路の前方に走行制御部211が制御不可能な地点の有無を判定し、制御不可能な地点が存在したときには、走行制御部211の制御を中断し、制御不可能な地点を通過した後に走行制御部211の制御を再開する。なお、走行制御部211による制御が中断される期間は、ドライバがマニュアル操作によって走行制御することになる。
図4は、制御中断・再開制御部212が実行する走行制御中断制御の概要の例を示した図である。図4(a)に示すように、制御中断・再開制御部212は、ナビゲーション装置部10から提供される情報に基づき、車両31が通過不可道路属性を有する道路部分に差し掛かったことを認知したときには、走行制御部211に対し、走行制御の中断を指示し、併せて、ドライバに対して、音声スピーカや警報ランプなどの警報装置222、表示装置221などを用いて走行制御の中断を報知する。
ここで、通過不可道路属性を有する道路部分とは、図2に示した走行制御の少なくとも1つが困難になる可能性がある道路部分をいい、例えば、三差路や五差路などがある。本実施形態では、このような通過不可道路属性を有する道路部分で走行制御部211による走行制御を継続すると、不都合を生じる可能性があるので、原則として、その走行制御を中断する。ただし、通過不可道路属性を有する道路部分であっても、走行制御部211による走行制御を中断しなくても済む場合もある。その場合の詳細については後記する。
また、制御中断・再開制御部212は、車両31が通過不可道路属性を有する道路部分を通過し終えたときには、走行制御部211に対し、走行制御の再開を指示し、併せて、ドライバに対して、音声スピーカや警報ランプなどの警報装置222、表示装置221などを用いて、走行制御の再開を報知する。ただし、その通過不可道路属性を有する道路部分を通過したすぐ後に、一時停止線34などがあり、走行制御部211がその一時停止線34などに対して走行制御を行うことができなかった場合には、制御中断・再開制御部212は、その一時停止線34などを通過後に、走行制御の再開を指示し、併せて、走行制御の再開を報知する。
以上の動作に従えば、図4(b)に示すように、協調走行制御装置21は、走行制御部211が走行制御実施中と走行制御中断中の2つの状態を有し、制御中断・再開制御部212が発する制御中断指示または制御再開指示により、その状態を相互に遷移しあう。
図5は、制御中断・再開指示処理の処理フローの例を示した図である。なお、この制御中断・再開指示処理は、制御中断・再開制御部212に含まれる処理としてもよいが、前方の道路の道路属性を地図情報17(図1参照)から取得する必要があるため、ここでは、ナビゲーション装置部10の協調制御情報出力部14に含まれるものとしている。
また、この制御中断・再開指示処理は、ナビゲーション装置部10の図示しない処理装置により、所定時間ごとに(通常、数10ms〜数100msごとに)呼び出されて実行されるものとする。
まず、ナビゲーション装置部10の処理装置(以下、単に、処理装置という)は、道路属性情報取得部13により地図情報17を検索して、自車が走行中の道路の現在位置から前方の道路の所定の距離(例えば、300m)以内に設定された道路属性情報を取得する(ステップS1)。
次に、処理装置は、協調走行制御装置21における走行制御部211による走行制御を中断中(以下、単に、制御中断中という)であるか否かを判定する(ステップS2)。なお、制御中断中であるか否かは、ナビゲーション装置部10の記憶装置の制御中断フラグに記憶されているものとする。なお、制御中断フラグは、初期状態でリセットされているものとし、従って、このとき、走行制御部211は、車間制御など、何らかの走行制御をしていることが多い。
処理装置は、ステップS2の判定で制御中断中でないと判定した場合には(ステップS2でNo)、走行制御部211が実施中の走行制御または新たに実施すべき走行制御を中断または実施せずに、自車がその道路部分を通過可か否かを判定する(ステップS3)。なお、ステップS3の通過可か否かの判定の詳しい処理内容については、別途、図9を参照して説明する。
次に、処理装置は、ステップS3の判定で通過可であると判定した場合には(ステップS3でYes)、走行制御部211に対し、走行制御の実施を指示し(ステップS5)、処理を終了する。ここで、走行制御部211は、その指示を受けると、そのとき実施していた走行制御があればその制御を継続し、また、ステップS1で取得した道路属性情報に従って、新たな走行制御を実施する必要がある場合には、その走行制御を実施する。なお、この場合、走行制御部211に新たな走行制御を指示するときには、処理装置は、協調制御情報出力部14の処理として、図2に示した制御の種別、道路属性情報、必要な情報などを走行制御部211に提供する。
一方、処理装置は、ステップS3の判定で通過不可であると判定した場合には(ステップS3でNo)、さらに、警報出力が必要であるか否かを判定する(ステップS4)。なお、ステップS5の警報出力の詳しい処理内容については、別途、図10を参照して説明する。
次に、処理装置は、ステップS4の判定で警報出力が必要であると判定した場合には(ステップS4でYes)、警報装置222などに制御中断の警報を出力し(ステップS6)、協調走行制御装置21に制御中断を指示し(ステップS7)、制御中断フラグをセットして(ステップS8)、処理を終了する。一方、処理装置は、ステップS4の判定で警報出力が不要であると判定した場合には(ステップS4でNo)、何もせずにそのまま処理を終了する。
続いて、処理装置は、ステップS2の判定で制御中断中であると判定した場合には(ステップS2でYes)、走行制御部211による走行制御を再開(以下、単に、制御再開という)するか否かを判定する(ステップS9)。なお、ステップS9の制御再開判定の詳しい処理内容については、別途、図11を参照して説明する。
処理装置は、ステップS9の判定で制御を再開すると判定した場合には(ステップS9でYes)、警報装置222などに制御再開の警報を出力し(ステップS10)、協調走行制御装置21に制御再開を指示し(ステップS11)、制御中断フラグをリセットして(ステップS12)、処理を終了する。一方、処理装置は、ステップS9の判定で制御を再開しないと判定した場合には(ステップS9でNo)、何もせずにそのまま処理を終了する。
図6は、地図情報17のデータ構成の例を示した図である。一般に、ナビゲーションシステムにおいては、地図情報17は、リンクと呼ばれる線分に付される情報を単位として構成される。すなわち、地図情報17において、道路または道路網は、リンク、リンクの列またはリンクを接続したネットワークとして表現される。
図6に示すように、1つのリンクデータには、そのリンクをユニークに識別するリンクNoが付され、そのリンクNoに紐付けられて開始・終了座標、進路方向、付帯情報、接続数などが記憶される。ここで、開始・終了座標は、リンクの始点位置の座標および終点位置の座標である。また、進路方向は、一方通行や狭道を示す情報、付帯情報は、道路の種別や高速道路などを示す情報である。また、接続数は、このリンクが終了座標点で次のリンクに接続するときの接続リンク数である。このとき、接続数には、その接続数分の次リンクNoが後続する。なお、次リンクNoは、次リンクのデータを指し示すポインタであってもよい。
リンクデータには、さらに、制限速度、徐行速度、平均曲率、一時停止線の位置などのそのリンクに付属する道路属性情報が付加される。このとき、制限速度区間、徐行区間、カーブ区間がリンクの一部であった場合には、その区間情報を含んでいてもよい。また、カーブが複数のリンクの列により構成されている場合には、そのリンクの開始・終了座標の点列から補間曲線を求め、その補間曲線により曲率を計算してもよい。また、一時停止線の位置は、例えば、リンク開始点または終了点からの道のりの距離などで表される。
本実施形態の場合、リンクデータには、さらに、制御不可エリアおよび通過制御メニューが付属している。制御不可エリアは、当該リンクが、例えば、駐車場や、GPS電波状態の悪いビル街、トンネルなどに含まれる場合に設定され、その制御不可エリア内では、走行制御部211による一部または全部の走行制御が不可能になる可能性があることを表している。従って、走行制御部211は、その制御不可エリア内では、少なくとも一部の走行制御を中断する。
通過制御メニューは、「制御の一時中断」、「指定経路優先」、「通常制御」のいずれかを指定できるものとする。そこで、「制御の一時中断」を選択すると、図5で示した制御中断・再開指示処理が実行され、交差点などでは、走行制御部211による走行制御が中断されたり、再開されたりすることになる。また、「指定経路優先」を選択すると、車両がナビゲーション装置部10によって求められた誘導経路に従って走行するものとして、走行制御部211による走行制御が行われる。また、「通常制御」を選択すると、走行制御部211により交差点の状況などを考慮しない走行制御が行われる。なお、ここでいう走行制御とは、図2に示したような走行制御をいう。
通過制御メニューには、さらに、カーブ減速可否、速度制限可否、一時停止可否、徐行可否、レーンキープ可否、車間制御可否など図2に示した走行制御の実施の可否を表すフラグデータが付される。通常、これらのフラグには「可」のデータが設定されているが、例えば、レーンキープ可否に「否」のデータが設定されていたときには、レーンキープの走行制御は行われない。
図7は、通過不可の道路属性を有する道路部分の例を示した図である。図7(a)に示すように、通過不可の交差点形状の例としては、三差路、五差路、ロータリ形状の交差点などがある。なお、本明細書では、以下、通過不可の道路属性を有することを、単に、通過不可という。また、通過不可となるエリアは、図6で説明した制御不可エリアがそれに相当し、例えば、駐車場、駅前広場、サービスエリア、ショッピングセンタ、ビル街、トンネルなどがある。
また、図7(b)に示すように、一般には、通過不可の三差路の交差点であっても、通過方向により、通過可になる場合がある。例えば、図7(b)において、道路cにその交差点から進入禁止となる一方通行が指定されていた場合には、道路aまたは道路bからは道路cへ進入することができない。従って、道路aから道路b、または、道路bから道路aへの経路は、それ以外選択しようがないので通過可となる。一方、道路cから出る場合は、道路aまたは道路bのいずれかへ進入することができるので、通過不可となる。
図8は、制御可・不可エリアテーブルの例を示した図である。ここで、制御可・不可エリアテーブルは、特定の道路またはエリアに対し、その特定の道路またはエリアにおける走行制御の可・不可の状況を示したものである。
図8に示すように、制御可・不可エリアテーブルの列の項目は、特定の道路またはエリアに付される道路属性を表し、行の項目は、走行制御部211によって実行される走行制御の種別を表している。そして、その列と行とが交わる欄には、その行の走行制御が可または不可の情報が格納される。ここで、○印は、走行制御が可、×印は、走行制御が不可であることを示している。
例えば、複数進路のある交差点では、交差点手前の一時停止線での一時停止制御は、可であるが(ただし、交通信号機があればその表示に従う)、交差点通過直後の一時停止線での一時停止制御は、不可である。また、レーンキープ制御は、レーンを区画する白線などが鮮明なところでは可であり、レーンを区画する白線などが不鮮明または存在しないところでは不可である。また、車間制御は、操舵角量が小さくて済む交差点では可であり、操舵角量が大きくなるような交差点では不可である。
同様に、駐車場/駅前広場では、徐行のみを制御可とする。また、スクールゾーンでは、複数のリンクにわたって設定されることが多いが、その場合、交差点部分を除き、すべての走行制御を可とする。また、高速道路では、すべての走行制御を可とするが、一時停止や徐行の制御は、料金所近傍などで行われるだけである。また、GPSの電波環境の悪いビル街やトンネルでは、ナビ協調走行制御が必要な制御を不可とし、ナビゲーション情報が不要な制御(レーンキープおよび車間制御)を可とする。
なお、図8において、道路属性は、これらの例に限定されず、適宜、追加してもよい。その場合には、例えば、実車走行により経路を誤りやすい道路の状況を調査したり、ナビゲーションの走行状態のシミュレーションにより経路の不連続が起き易い場所を抽出したりすることによって、新たな道路属性を設け、また、それに対応する走行制御の可・不可の情報を設定する。
この制御可・不可エリアテーブルは、ナビゲーション装置部10の図示しない記憶装置に記憶されるものとする。なお、地図情報17のリンクデータ(図6参照)の制御不可エリアは、この制御可・不可エリアテーブルでいう道路属性を指し示す情報であり、リンクデータで制御不可エリアが指定されても、走行制御部211は、制御可・不可エリアテーブルで可とされた(丸印付き)走行制御を行うことができる。例えば、走行制御部211は、トンネル内であっても、レーンキープや車間制御を行うことができる。
図9は、図5の制御中断・再開処理における通過判定処理(ステップS3)の詳細な処理フローの例を示した図である。
処理装置は、まず、得られた道路属性情報が通過可の道路属性であるか否かを判定する(ステップS20)。ここで、通過可の道路属性とは、図7(a)の例に示した形状の交差点でなく、かつ、リンクデータ(図6参照)において、制御不可エリアが設定されていない場合をいう。処理装置は、その判定で通過可と判定したときには(ステップS20でYes)、通過可フラグをセットし(ステップS25)、処理を終了する。
また、処理装置は、道路属性情報が通過不可の道路属性と判定し(ステップS20でNo)、その道路属性が交差点でなかった場合(ステップS21でNo)、つまり、制御不可エリアが設定されていた場合には、通過可フラグをリセットし(ステップS24)、処理を終了する。一方、その道路属性が交差点であった場合(ステップS21でYes)、つまり、交差点形状が三差路、五差路、ロータリなどであったときには、処理装置は、地図情報17を参照して、その交差点の先に一時停止線またはカーブがあるか否かを判定する(ステップS22)。
その判定の結果、交差点の先に一時停止線またはカーブがなかった場合には(ステップS22でNo)、処理装置は、通過可の交差点と判定し、通過可フラグをセットし(ステップS25)、処理を終了する。一方、交差点の先に一時停止線またはカーブがあった場合には(ステップS22でYes)、処理装置は、方向指示器、または、車線位置情報で進行車線を、特定可能か否かを判定する(ステップS23)。なお、方向指示器が指し示す情報は、走行状態センサ部24から供給され、また、車線位置情報は、環境情報認識部23から供給される。
そこで、処理装置は、進行車線を特定可能と判定した場合には(ステップS23でYes)、通過可フラグをセットし(ステップS25)、処理を終了する。また、進行車線を特定不可能と判定した場合には(ステップS23でNo)、通過可フラグをリセットし(ステップS24)、処理を終了する。
図10は、図5の制御中断・再開処理における警報出力判定処理(ステップS4)の詳細な処理フローの例を示した図である。この処理では、走行制御中断の警報を出力すべきか否かを判定する。
処理装置は、まず、道路属性情報が交差点であるか否かを判定し(ステップS30)、交差点でない、つまり、制御不可エリアが設定されていた場合には(ステップS30でNo)、そのまま警報フラグをセットして(ステップS35)、処理を終了する。また、道路属性情報が交差点であった場合には(ステップS31)、処理装置は、その交差点の先にあるものが一時停止線か、カーブか、速度制限または徐行区間かに従って、次のような処理を行う。
すなわち、交差点の先に一時停止線がある場合には、処理装置は、その一時停止線に停止するために必要な距離Lを、式(1)に従って計算し、その距離Lが、現在位置から一時停止線までの距離と等しいか大きくなったとき(ステップS31でYes)、つまり、一時停止線での停止ができなくなると判定したとき、警報フラグをセットして(ステップS35)、処理を終了する。
Figure 0004996979
また、交差点の先にカーブがある場合には、処理装置は、式(2)を用いて、そのカーブの曲率に応じた目標速度Vを計算し、さらに、その目標速度Vに減速するために必要な距離Lを、式(3)に従って計算し、その距離Lが、現在位置からカーブまでの距離と等しいか大きくなったとき(ステップS32でYes)、つまり、カーブに到るまでの減速ができなくなると判定したとき、警報フラグをセットして(ステップS35)、処理を終了する。
Figure 0004996979
また、交差点の先に速度制限区間または徐行区間がある場合には、処理装置は、制限速度または徐行速度に減速するために必要な距離Lを、式(4)に従って計算し、その距離Lが、現在位置から速度制限区間または徐行区間までの距離と等しいか大きくなったとき(ステップS33でYes)、つまり、制限速度または徐行速度まで減速ができなくなると判定したとき、警報フラグをセットして(ステップS35)、処理を終了する。
Figure 0004996979
また、交差点の先に一時停止線も、カーブも、速度制限区間も、徐行区間もない場合には(ステップS33でNo)、処理装置は、警報出力が不要と判定し、警報フラグをリセットし(ステップS35)、処理を終了する。
図11は、図5の制御中断・再開処理における制御再開判定処理(ステップS9)の詳細な処理フローの例を示した図である。この処理では、中断中にある走行制御の再開の可否を判定する。
処理装置は、まず、地図情報17から得られる道路属性情報に基づき、車両の現在位置が制御不可エリアを抜けたか否かを判定し(ステップS40)、制御不可エリアを抜けたと判定したときには(ステップS40でYes)、その道路の前方にある一時停止線、カーブ、速度制限、徐行区間までの停止または減速が可能か否かを判定する(ステップS42)。なお、ステップS42における判定の処理は、図10のステップS31〜ステップS33の判定の処理と同様である。
一方、ステップS40で制御不可エリアを抜けたと判定しなかったときには(ステップS40でNo)、通過不可交差点を抜けたか否かを判定するが、この場合、処理装置は、マップマッチング処理の結果、分岐後の車両の進路が確定したか否かを判定する(ステップS41)。すなわち、マップマッチング処理の結果、分岐後の車両の進路が確定したと判定したときには(ステップS41でYes)、その確定した進路の前方にある一時停止線、カーブ、速度制限、徐行区間までの停止または減速が可能か否かを判定する(ステップS42)。
そこで、処理装置は、前方にある一時停止線、カーブ、速度制限、徐行区間までの停止または減速が可能と判定したときには(ステップS42でYes)、再開が必要と判定して、再開フラグをセットして(ステップS43)、処理を終了する。
また、処理装置は、ステップS41で、分岐後の車両の進路がまだ確定していないと判定したとき(ステップS41でNo)、または、ステップS42で、前方にある一時停止線、カーブ、速度制限、徐行区間までの停止または減速が可能でないと判定したときには(ステップS42でNo)、まだ、再開はできないと判定して、再開フラグをリセットして(ステップS44)、処理を終了する。
以上、本実施形態によれば、協調走行制御装置21は、走行中の道路に付された道路属性情報を取得し、交差点などで走行進路を確定できなくなったり、GPS電波状態の悪化のために走行制御をうまくできなくなったりする可能性があると判定したときには、その走行制御を中断し、その旨をドライバに報知する。また、協調走行制御装置21は、走行制御が可能になったと判定したときには、走行制御を再開し、その旨をドライバに報知する。従って、ドライバは、協調走行制御装置21による走行制御の状態を把握できるようになる。すなわち、ドライバは、協調走行制御装置21がいつ走行制御を行わないかを知ることができるので、その場合には、ドライバ自らがマニュアル操作で走行制御を行えばよい。従って、協調走行制御装置21によって誤った走行制御が行われるような事態を避けることができる。
(第2の実施形態)
以上に説明した実施形態(以下、第1の実施形態という)では、ナビ協調走行制御システム1(図1参照)は、交差点などにおいて信号機の有無を判定していないが、信号機の表示色の情報を考慮した走行制御を行うこともできる。この場合には、信号機の表示色を認識する手段が必要となるが、ここでは、その手段として、例えば、撮像装置231を利用する。そして、信号機設置場所における走行停止・通過制御が実現され、その走行停止・通過制御が図2の走行制御の種別に加えられる。
この信号機による走行停止・通過制御においては、走行制御部211は、信号機の表示が「青」のときには、通過制御を行ない、信号機の表示が「黄」または「赤」のときには、信号機位置における一時停止線での停止制御を行う。すなわち、信号機の表示が「青」のときには、一時停止線があってもその一時停止制御を行わないので、信号機による走行停止・通過制御は、一時停止での一時停止制御よりも優先して実施されるとみなすことができる
図12は、本発明の第2の実施形態に係る制御中断・再開指示処理の処理フローの例を示した図である。図12に示すように、ナビゲーション装置部10の図示しない処理装置は、道路属性情報取得部13により地図情報17を検索して、自車が走行中の道路の現在位置から前方の道路の所定の距離以内に設定された道路属性情報を取得する(ステップS51)。このとき、前方に信号機があれば、処理装置は、撮像装置231により、その信号機の表示色を取得する。ただし、この信号機を通過後の信号機の情報までは取得しない。
次に、処理装置は、その信号機の状態を判定し(ステップS52)、その表示が「黄」または「赤」のときには、信号機前の一時停止線での停止制御を行う(ステップS53)。なお、このとき、一時停止線の位置に先行車両が停止していた場合には、その先行車両に対する車間制御を行う。
また、ステップS52の判定で信号機の表示が「青」のときには、その信号機がない状態に等価なので、その信号機前の一時停止線では、停止制御を行わず、通過制御を行う。そして、その信号機が交差点に設置されていた場合の処理については、図5のステップS02(ステップS2〜ステップS12)の処理を実行する(ステップS54)。
なお、以上の第2の実施形態の説明では、ナビゲーション装置部10の処理装置が、走行制御を直接行うように記載しているが、実際には、処理装置は、協調制御情報出力部14から走行制御を指示する情報を出力するだけで、走行制御は、走行制御部211によって行われる。
以上、第2の実施形態によれば、信号機による走行停止・通過制御を追加したことにより、現実により忠実に車両の走行制御を行うことができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、所定の道路部分に設定された道路属性情報に対応して車両の走行制御を実施し、また、その走行制御の中断・再開制御を実施している。これに対し、第3の実施形態においては、交差点などの特定の道路属性を有する部分に対して、あらかじめ通過制御メニューを選択しておき、その選択した通過制御メニューに従って、車両の走行を制御する例を示す。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る制御中断・再開指示処理の処理フローの例を示した図である。図13に示すように、ナビゲーション装置部10の図示しない処理装置は、道路属性情報取得部13により地図情報17を検索して、自車が走行中の道路の現在位置から前方の道路の所定の距離以内に設定された道路属性情報および通過制御メニューを取得する(ステップS61)。
ここで、通過制御メニューは、あらかじめ設定されたデータとして、地図情報17にのリンクデータ(図6参照)として記憶され、そのリンクの出口側の交差点での走行制御方法を定める。第3の実施形態では、そのデータとして、「制御の一時中断」、「指定経路優先」または「通常制御」のいずれかが格納される。
そこで、その通過制御メニューが「制御の一時中断」であったときには(ステップS62でYes)、図5のステップS02の処理を実行する(ステップS64)。すなわち、この場合の処理は、第1の実施形態の場合と同じになる。
また、通過制御メニューが「制御の一時中断」でなく(ステップS62でNo)、「指定経路優先」であったときには(ステップS63でYes)、指定経路優先処理を実行する(ステップS65)。なお、処理装置がこの指定経路優先処理を実行すると、走行制御部211は、車両がナビゲーション装置部10によって求められた誘導経路に従って走行するものとして、その走行制御を行う。この場合には、制御中断・再開制御部212による走行制御の中断・再開制御は行われない。
また、通過制御メニューが「指定経路優先」でなかったときには(ステップS62でNo)、「通常制御」が選択されたことになり、通常処理を実行する(ステップS66)。なお、処理装置がこの通常処理を実行すると、走行制御部211は、指定された走行制御を実行するのみで、制御中断・再開制御部212による走行制御の中断・再開制御は行われない。これは、従来技術の走行制御に対応する。
以上のように、第3の実施形態は、いわば、第1の実施形態の走行制御と従来技術の走行制御を、適宜、選択できるようにしたものである。このとき、現実の多くの交差点では、制御中断・再開制御部212による走行制御の中断・再開制御を行う必要がない場合が多いので、通過制御メニューにより、「指定経路優先」または「通常制御」を選択することにより、多くの場合、制御中断・再開指示部15における制御中断・再開指示処理(図5参照)を実行する必要がなくなる。従って、ナビゲーション装置部10における処理装置の処理負荷を軽減することができる。
本発明の実施形態に係るナビ協調走行制御システムの構成の例を示した図である。 協調走行制御装置の走行制御部が実行するナビ協調走行制御の例を示した図である。 走行制御部の動作の中断または再開が必要となる例を示した図である。 制御中断・再開制御部が実行する走行制御中断制御の概要の例を示した図である。 制御中断・再開指示処理の処理フローの例を示した図である。 地図情報のデータ構成の例を示した図である。 通過不可の道路属性を有する道路部分の例を示した図である。 制御可・不可エリアテーブルの例を示した図である。 図5の制御中断・再開処理における通過判定処理の詳細な処理フローの例を示した図である。 図5の制御中断・再開処理における警報出力判定処理の詳細な処理フローの例を示した図である。 図5の制御中断・再開処理における制御再開判定処理の詳細な処理フローの例を示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る制御中断・再開指示処理の処理フローの例を示した図である。 本発明の第3の実施形態に係る制御中断・再開指示処理の処理フローの例を示した図である。
符号の説明
1 ナビ協調走行制御システム
10 ナビゲーション装置部
11 現在位置算出部
12 マップマッチング処理部
13 道路属性情報取得部
14 協調制御情報出力部
15 制御中断・再開指示部
16 GPSレシーバ
17 地図情報
20 車両制御装置部
21 協調走行制御装置
22 マンマシンインタフェース部
23 環境情報認識部
24 走行状態センサ部
25 アクチュエータ制御部
30 CAN
211 走行制御部
212 制御中断・再開制御部
221 表示装置
222 警報装置
231 撮像装置(カメラ)
232 車間距離センサ
241 車速センサ
242 方位センサ
251 操舵制御装置
252 ブレーキ制御装置
253 エンジン制御装置
254 変速機制御装置

Claims (6)

  1. 車両に搭載され、地図情報を記憶する記憶装置を備え、前記車両のドライバが設定する目的地までの誘導経路を前記地図情報に基づき探索し、その探索した誘導経路を前記ドライバに提供するとともに、前記地図情報に含まれる各道路の所定の位置にそれぞれ付された道路属性情報を検索して、走行中の前記車両前方の道路位置に付された道路属性情報を取得するナビゲーション装置と、
    前記ナビゲーション装置によって取得される前記道路属性情報のうち前記車両の走行速度の制限を指示する第1の道路属性情報に基づき、その車両の走行制御を行う車両制御装置と、
    を含んで構成されたナビ協調走行制御システムであって、
    前記車両制御装置が、
    前記ナビゲーション装置によって取得される前記道路属性情報のうち前記車両の走行制御の少なくとも一部の制御不可を指示する第2の道路属性情報に基づき、前記走行制御の少なくとも一部を中断または再開させる走行制御中断・再開制御手段と、
    前記走行制御中断・再開制御手段により前記走行制御を中断または再開するとき、併せて、その中断または再開をドライバに報知する報知手段と、を備え、
    前記ナビゲーション装置は、
    前記走行制御の少なくとも一部が制御不可であることを表す制御不可エリア情報を、前記道路属性情報の一部として、前記地図情報に記憶し、
    前記制御不可エリア情報が、駐車場、駅前広場、サービスエリア、ショッピングセンタ、ビル街、および、トンネルのうち、少なくとも1つを表す情報であり、
    前記走行制御中断・再開制御手段は、
    前記第2の道路属性情報が前記制御不可エリア情報であり、さらに、その制御不可エリア情報が付されている前記道路位置の先の道路に前記車両の走行速度の制限を指示する第3の道路属性情報が付されており、かつ、前記車両位置が前記制御不可エリア情報が示すエリアを抜けたあとに、
    前記第3の道路属性情報で示される前記道路位置での指定速度まで前記車両速度を減速するのに必要な距離が、前記車両位置から前記第3の道路属性情報が付されている道路位置までの距離以上であるときに、前記中断されていた前記走行制御を再開すること
    を特徴とするナビ協調走行制御システム。
  2. 前記第1の道路属性情報は、一時停止線、カーブ、徐行または速度制限のいずれかであり、その道路属性情報に応じて、前記車両制御装置は、一時停止線での停止制御、カーブに到るまでおよびカーブ区間での速度制御、徐行区間に到るまでおよび徐行区間での速度制御、もしくは、速度制限区間に到るまでおよび速度制限区間での速度制御のいずれかの走行制御を行うこと
    を特徴とする請求項1に記載のナビ協調走行制御システム。
  3. 前記車両制御装置は、
    前記車両の前方の道路に設置された信号機の表示色を認識する信号機表示色認識手段をさらに備え、
    前記信号機が設置された道路位置では、前記信号表示色機認識手段によって認識した信号機の表示色に従って、前記車両の走行停止または通過制御を行い、
    前記信号機が設置された道路位置の直ぐ手前に前記一時停止線が設けられていたときには、前記信号機の表示色に従う走行停止または通過制御を、前記一時停止線での停止制御に優先して行うこと
    を特徴とする請求項2に記載のナビ協調走行制御システム。
  4. 車両に搭載され、地図情報を記憶する記憶装置を備え、前記車両のドライバが設定する目的地までの誘導経路を前記地図情報に基づき探索し、その探索した誘導経路を前記ドライバに提供するとともに、前記地図情報に含まれる各道路の所定の位置にそれぞれ付された道路属性情報を検索して、走行中の前記車両前方の道路位置に付された道路属性情報を取得するナビゲーション装置と、
    前記ナビゲーション装置によって取得される前記道路属性情報のうち前記車両の走行速度の制限を指示する第1の道路属性情報に基づき、その車両の走行制御を行う車両制御装置と、
    を含んで構成されたナビ協調走行制御システムにおけるナビ協調走行制御方法であって、
    前記車両制御装置は、
    前記ナビゲーション装置が取得した前記道路属性情報が前記車両の走行制御の少なくとも一部の制御不可を指示する第2の道路属性情報であったときには、その取得した第2の道路属性情報に基づき、前記走行制御の少なくとも一部を中断または再開させ、併せて、その中断または再開を前記ドライバに報知することとし、
    前記ナビゲーション装置は、
    前記走行制御の少なくとも一部が制御不可であることを表す制御不可エリア情報を、前記道路属性情報の一部として、前記地図情報に記憶し、
    前記制御不可エリア情報が、駐車場、駅前広場、サービスエリア、ショッピングセンタ、ビル街、および、トンネルのうち、少なくとも1つを表す情報であり、
    前記車両制御装置は、前記走行制御の少なくとも一部を中断または再開させる工程において、
    前記第2の道路属性情報が前記制御不可エリア情報であり、さらに、その制御不可エリア情報が付されている前記道路位置の先の道路に前記車両の走行速度の制限を指示する第3の道路属性情報が付されており、かつ、前記車両位置が前記制御不可エリア情報が示すエリアを抜けたあとに、
    前記第3の道路属性情報で示される前記道路位置での指定速度まで前記車両速度を減速するのに必要な距離が、前記車両位置から前記第3の道路属性情報が付されている道路位置までの距離以上であるときに、前記中断されていた前記走行制御を再開すること
    を特徴とするナビ協調走行制御方法。
  5. 前記第1の道路属性情報は、一時停止線、カーブ、徐行または速度制限のいずれかであり、その道路属性情報に応じて、前記車両制御装置は、一時停止線での停止制御、カーブに到るまでおよびカーブ区間での速度制御、徐行区間に到るまでおよび徐行区間での速度制御、もしくは、速度制限区間に到るまでおよび速度制限区間での速度制御のいずれかの走行制御を行うこと
    を特徴とする請求項4に記載のナビ協調走行制御方法。
  6. 前記車両制御装置は、
    前記車両の前方の道路に設置された信号機の表示色を認識し、
    前記信号機が設置された道路位置では、前記認識した信号機の表示色に従って、前記車両の走行停止または通過制御を行い、
    前記信号機が設置された道路位置の直ぐ手前に前記一時停止線が設けられていたときには、前記認識した信号機の表示色に従う走行停止または通過制御を、前記一時停止線での停止制御に優先して行うこと
    を特徴とする請求項5に記載のナビ協調走行制御方法。
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