JP4994952B2 - ポリエーテル変性シリコーンを含むオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体、その共重合体含有組成物、防汚塗料組成物、その塗膜および防汚方法 - Google Patents
ポリエーテル変性シリコーンを含むオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体、その共重合体含有組成物、防汚塗料組成物、その塗膜および防汚方法 Download PDFInfo
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いた。この防汚塗料中の該共重合体は、海水中で加水分解されてビストリブチル錫オキサイド(トリブチル錫エーテル,Bu3Sn-O-SnBu3:Buはブチル基)あるいはトリブチル錫ハロゲン化物(Bu3SnX:Xはハロゲン原子)等の有機錫化合物を放出して
防汚効果を発揮するとともに、加水分解された共重合体自身も水溶性化して海水中に溶解していく「加水分解性自己研磨型塗料」であるため、船底塗装表面は、樹脂残渣が残らず、常に活性な表面を保つことができる。
クリレートの共重合体やその用途に防汚塗料が開示されている。しかし、これらの防汚塗料も長期防汚保持性が不十分であり、塗膜の耐クラック性、強度などの物性も十分ではなかった。
下記ポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で共重合され、
下記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]と、下記オルガノシロキサンチオブロック[C]とを有する
ことを特徴としている;
[A]下記式[I]で表される変性シリコーン(a1)、および/または下記式[II]で表される変性シリコーン(a2);
R12は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
R13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
R15は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
a、b、cおよびdは、それぞれ正の整数を示す。〕、
R22は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
R23およびR24は、互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
R25は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
p、q、rおよびsは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[B]下記式[III]で表され、ポリオキシアルキレン化合物単位の少なくともその片末
端で重合性不飽和カルボン酸とエステルを形成してなるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(b1)、および/または
該成分単位(b1)以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)
を有するポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック;
R34−[OR31]m−[OR32]n−OCOR33・・・[III]
〔式[III]中、R31およびR32は、互いに同一であっても異なっていてもよい2価の炭
化水素基を示し、
R33は重合性不飽和炭化水素基含有基を示し、
R34は水素原子、重合性不飽和結合を有してもよい1価の炭化水素基、または重合性不飽和結合を有してもよい1塩基性または2塩基性の有機カルボン酸残基
R35CO−(R35は重合性不飽和結合を有してもよい有機基を示す)を示し、
mおよびnは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[C]下記式[IV]で表される成分単位からなるオルガノシロキサンチオブロック;
R42、R43およびR44は、それぞれ独立にR41、または炭素原子数が1〜20の2価のチオ有機基を示し、
tおよびuは、それぞれ正の整数を示す。〕。
上記ポリエーテル変性シリコーン[A]1〜80重量%の存在下で共重合され、
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量は5〜98重量%であり、上記オルガノシロキサンチオブロック[C]の含量は1〜80重量%(ただし、[A]、[B]および[C]の合計を100重量%とする。)である
ことが好ましい。
上記ポリエーテル変性シリコーン[A]5〜50重量%の存在下で共重合され、
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量は10〜90重量%であり、上記オルガノシロキサンチオブロック[C]の含量は5〜50重量%(合計100重量%)である
ことがさらに好ましい。
上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]は、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が300〜100,000であるメルカプト変性ポリオルガノシロキサンから誘導されることが好ましい。
上記非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)は、(メタ)アクリル酸またはそのエステルから誘導される成分単位であることが好ましい。
キシル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、シラノール基およびアミノ基のうちのいずれか1種以上であることが好ましい。
また本発明に係る防汚塗料組成物は、上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体をビヒクル成分として含有することを特徴としている。
また、本発明に係る防汚塗料組成物は、前記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物からなっていてもよい。
本発明の防汚塗膜は、上記防汚塗料組成物または上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物から形成されることを特徴としている。
本発明の水中構造物は、基材の表面が、上記防汚塗膜で被覆されていることを特徴としている。
本発明の、基材の防汚方法は、基材表面を、上記防汚塗膜で被覆することを特徴としている。
本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、下記のようなポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で共重合され、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]と、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]とを有している。
分子量がこのような範囲にあると、得られる共重合体は、溶液または防汚塗料組成物として適当な濃度において、ハンドリングに適した粘度となり、該共重合体を含む防汚塗料組成物は、塗装に適した粘度となり、得られる塗膜(特に防汚塗膜)は適度な強度を有し、防汚持続性に優れる傾向がある。
本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体は、下記式[I]で表されるポリエーテル変性シリコーン(a1)、および/または下記式[II]で表されるポリエーテル変性シリコーン(a2)の存在下で共重合される。
R11は、それぞれ独立に、非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基を示す。またR11は、非重合性の炭化水素基である。R11としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、2-フェニルエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい、すべてのR11がメチル基であることが特に好ましい。
CH2CH2CH2−が好ましく、特に−CH2CH2CH2−が好ましい。
CH2CH2−等のアルキレン基が挙げられ、これらの中でも、−CH2CH2−、−CH2
CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−が好ましく、特に−CH2CH2−が好ましい。
R15は水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)であり、1価の炭化水素基としては、上記R11と同様の炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、R15としては、水素原子およびメチル基が好ましい。
H2CH(CH3)−O)単位とが1個づつ交互に配列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がそれぞれa、bとなっていてもよい。
R21、R22、R23、R24およびR25は、それぞれ上記R11、R12、R13、R14およびR15と同様である。
また、繰り返される上記(R23−O)および(R24−O)単位は、互いに同一であっても異なっていてもよい。したがって、たとえば上記(R13−O)および(R24−O)単位として、(CH2CH2−O)単位と(CH2CH2CH2−O)単位とが1個づつ交互に配
列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がpあるいはqとなっていてもよい。
上記式[I]で表わされる変性シリコーンとしては、市販品であれば、「KF−6016」、「KF−6015」、「KF−352」、「KF−353」、(商品名;信越化学工業(株)製)、「SH−8400」、「ST−114PA」、「FZ−2191」(商品名;東レダウ(株)製)などが挙げられる。または上記式[II]で表わされる変性シリコーンとしては、市販品であれば、「FZ−2203」、「FZ−2207」、「FZ−2208」(商品名;東レダウ(株)製)、などが挙げられる。
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]は、
(b1)下記式[III]で表され、ポリオキシアルキレン化合物が少なくともその片末端
で重合性不飽和カルボン酸とエステルを形成してなるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート(以下「モノマー(b1)」とも言う。)から誘導される成分単位(以
下「ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)」とも言う。)と、
(b2)上記(b1)成分以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル(以下「モノマー(b2)」とも言う。)から誘導される成分単位(以下「非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位(b2)」とも言う。)と、
(b3)必要に応じて、架橋型重合性不飽和単量体(以下「モノマー(b3)」とも言う。)から誘導される成分単位(以下「架橋型重合性不飽和単量体成分単位(b3)」とも言う。)と、
(b4)必要に応じて、その他の重合性不飽和単量体(以下「モノマー(b4)」とも言う。)から誘導される成分単位(以下「その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)」とも言う。)と
からなる。
<ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)>
ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)は、下記式[III]で表されるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III]から誘導される成分単位である。
式[III]中、R31およびR32は、互いに同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素
基を示し、脂肪族系、脂環族系、芳香族系が挙げられ、脂肪族系が好ましく、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン:−(CH2)3−、メチルジメチレン:−CH2CH(CH3)−)、ブチレン基(テトラメチレン)など、炭素数1〜10,好ましくは1〜5のポリメチレン基が挙げられる。
、CH2=C(CH3)−、CH3−CH=CH−、CH3−CH=C(CH3)−、HOC
OCH=CH−、CH3OCOCH=CH−など、総炭素数が2〜15、好ましくは2〜
10であって、置換基を有していてもよい不飽和炭化水素基含有基が挙げられる。
−、CH2=C(CH3)−、CH3−CH=CH−、CH3−CH=C(CH3)−などの
他に、CH3−、C2H5−、C3H7−、C4H9−などの炭素数1〜10、好ましくは1〜
5のアルキル基;置換基を有していても良い炭素数6〜20のアリール基;CH3CO−
、C2H5CO−、C3H7CO−、C4H9CO−などの炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキルカルボニル基;などが挙げられる。R34としては、これらの中でも、水素原子(イ)および上記アルキル基が好ましい。
、好ましくは、それぞれ1〜50の数である。このようなポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)を誘導しうるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III]としては、特開平9−216922号公報の段落[0009]
に記載のものなどを用いることができ、具体的には、例えば、
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEシリーズ、PE-90、PE-200、PE-350)、
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPMEシリーズ、PME-100 、PME-200 、PME-400 ;新中村化学工業(株)製NKエステルシリーズ、M-20G、M-40G、M-90G、M-230G)、
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPPシリーズ、PP-1000 、PP-500、PP-800)、
ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEP シリーズ、70PEP-370B)、
ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマー55PET-800)、
ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーNKH-5050)、
ポリプロピレングリコールモノアクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAP-400)、
ポリエチレングリコールモノアクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAE-350)、さらには、
メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート:[H3C-(OC2H4)m+n−OC
O(CH)=CH2]、
エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:[H5C2-(OC2H4)m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
メチルカルボキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:[H3C-CO-(OC2H4)m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
メチルカルボキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート:[H3C-CO-(O
C3H6)m+n−OCORC(CH3)=CH2]、
メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート:[H3C-(OC2H4)m(OC3H6)n−OCORC(CH3)=CH2]、
カルボキシメチレンカルボキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:[HOCO-CH2-CO(OC2H4)m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
ヒドロキシマレイオイルポリエチレングリコールモノメタクリレート:[HOOCCH=CHCO(OC2H4)m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
ポリエチレングリコールジメタクリレート:[CH2=CHCO-(OC2H4)m+n−O
COC(CH3)=CH2]、
ポリエチレングリコールジメタクリレート:[CH2=C(CH3)CO-(OC2H4)m+n−OCOC(CH3)=CH2]、
フェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:
ン(メタ)アクリレート類(オキシアルキレン基の炭素数:1〜10)が好ましく、さらには、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコールの繰り返し数:2〜100)が望ましい。
非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位(b2)は、上記成分ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)以外の、「少なくとも1種の非架橋型(非架橋性とも言う。)の重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル」から誘導される成分単位である。
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜30程度で、脂肪族、脂環族あるいは芳香族系の(メタ)アクリル酸エステル;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和カルボン酸エステル;
(メタ)アクリロキシプロピルポリジメチルシロキサンなどのケイ素含有不飽和カルボン酸エステル;
2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有不飽和カルボン酸エステル
などが挙げられる。
架橋型重合性不飽和単量体成分単位(b3)としては、上記(b1)、(b2)以外の
、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位」が挙げられる。
必要により用いられる架橋剤と反応可能なOH基を有する重合性不飽和単量体として、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、
また、自己架橋可能な加水分解性シリル基含有重合性不飽和単量体として、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等が挙げられ、
必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なエポキシ基を有する重合性不飽和単量体として、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、
自己架橋可能な又は必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なイソシアネート基を有する重合性不飽和単量体として(メタ)アクロイルイソシアネート、2-(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート等が挙げられ、
必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体等が挙げられる。
<その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)>
その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)としては、上記(b1)、(b2)、(b3)以外の必要により用いられる重合性不飽和単量体から誘導される成分単位が挙げられる。
スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;
N,N-ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などの二塩基性重合性単量体やそれらのエステル類;
アクリロニトリル
などを挙げることができる。
上記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(b1)は通常、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1.0〜20重量%の量で、
上記重合性不飽和カルボン酸系成分単位(b2)は、通常、60〜99.9重量%、好ましくは70〜99.5重量%、特に好ましくは80〜99.0重量%の量で含まれていることが望ましい。
上記その他の重合性不飽和単量体成分単位(b4)は、通常、0〜39重量%、好ましくは0〜29重量%、特に好ましくは0〜19重量%の量で含まれていても良い。
本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を構成するオルガノポリシロキサンチオブロック[C]は、下記式[IV]で表される。
[C]一般式[IV]:
特許第2863562号公報第3頁に示されるような、チオメチレン基(−S−CH2
−)、チオジメチレン基(−S−(CH2)2−)、チオトリメチレン基(−S−(CH2
)3−)、チオプロピレン基「−S−CH(CH3)CH2−」、チオブチレン基「−S−C
H2CH(CH3)CH2−」、チオジメチルメチレン基「−S−C(CH3)2−」、チオジメ
チルエチレン基「−S−CH2C(CH3)2−」、チオオクタメチレン基「−S−(CH2)8
−」等のように、分岐を有することのある、炭素数が1〜10で鎖状の2価炭化水素基を有するチオ炭化水素基;
チオフェニレン基「−S−C6H4−」、チオフェニレンエチレン基「−S−C6H4−(CH2)2−」等のように、芳香族系2価炭化水素基を有するチオ炭化水素基;
また、特開平9−100445号公報に記載のような末端に、エポキシ基を有するポリジメチルシロキサン化合物に、HS−CH2COOH、HS−CH2CH2COOHを付加
して得られるような構造に由来する2価有機基を有するチオ有機基;
等が挙げられる。
上記tは、繰り返し単位[Si(R41)2−O]の総数(正の数)を示し、uもこれと
同様に、繰り返し単位[Si(R41)(R44−)−O]の総数(正の数)を示し、各繰り返し単位[Si(R41)2−O]と、[Si(R41)(R44−)−O]とは、任意の順序
で結合して各繰り返し単位の総個数がそれぞれt、uとなっていてもよい。例えば、各繰り返し単位が1個づつ交互に配列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がそれぞれt、uとなっていてもよい。
4a]中、R45は、炭素数1〜10,好ましくは1〜5の二価有機基を示す。R41は、式[IV]中のものと同じ。)
(1) 式[IV]中、オルガノポリシロキサンの片末端基R42またはR43の一方が、2価のチオ有機基であり、かつその他方、R43およびR44が、前記R41と同様の基であるもの(片末端型):
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基、フェニル基、フルオロアルキル基を示す。t+u=2〜1,500の整数である。)
このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−1a]として、より具体的には
、α-メルカプトプロピルポリジメチルシロキサン、エポキシ基含有ポリジメチルシロキ
サン(品名:「サイラプレーンFM-0511、FM-0521、FM-0525」、チッソ(株)製)への3-
メルカプトプロピオン酸付加物などが挙げられる。
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基、フェニル基、フルオロアルキル基を示す。t+u=2〜1500の整数。)このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV
−2a]としてより具体的には、信越化学工業(株)製「X−22−167B」などが挙げられる。
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基を示す。t=1〜1500の整数、u=1〜100の整数、0≦w≦u(w:整数)。)このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−3a]としてより具体的には、信越化学工業(株)製、商品名「KF−200
1、KF−2004、KP−358」などが挙げられる。
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[IV−4]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−4a]としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
メチレン基「-(CH2)3-」、R41はメチル基を示す。t=1〜1500の整数、u=1〜100の整数、0≦w≦u(w:整数)。)
なお本明細書では、上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−1a]、上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−2a]、上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−3a]および上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−4a]をまとめて「メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV−a]」ともいう。
)5頁[0015]欄にも示されるように、通常、1ブロック(あるいは1分子)当たり、平均して1.0〜100個、好ましくは1.0〜50、さらに好ましくは1.0〜30が望ましい。
末端型[IV−1]である場合には、本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体の構造は、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の片末端あるいは両末端に、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]が付加(末端封止)したブロック共重合体([B]・[C]型、あるいは[C]・[B]・[C]型)となり、
またオルガノポリシロキサンチオブロック[C]が上記両末端型[IV−2]である場合には、ブロック[B]が、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]の両末端に付加したブロック共重合体([B]・[C]・[B]型など)となり、
またオルガノポリシロキサンチオブロック[C]が上記側鎖型[IV−3]である場合には、ブロック[B]が、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]の側鎖に付加したグラフト共重合体(櫛型共重合体)となり、
また上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]が上記側鎖両末端型[IV−4]である場合には、ブロック[B]が、オルガノポリシロキサンチオブロック[C]の両末端および側鎖に付加したスター型共重合体となると考えられる。但し、これらの反応はラジカルの複雑な停止反応により、この他のブロック構造の存在も推定し得る。
本発明のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体を製造するには、例えば、
上記式[I]で表わされる変性シリコーン、および/または上記式[II]で表わされる変性シリコーンと、
上記モノマー(b1)、すなわち、上記(b1)ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[III](例:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、式
[III]中、m+n=2〜100)と、
上記モノマー(b2)、すなわち、上記(b1)以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル(例:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート)と、
上記モノマー(b3)、すなわち、必要に応じて用いられる架橋型基含有重合性不飽和単量体(例:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシブチルアクリレート)と、
上記モノマー(b4)、すなわち、必要に応じて用いられるその他の重合性不飽和単量体(例:スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル)と、
上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[IV](例:商品名「KF-2001、KP-358」
、信越化学工業(株)製、メルカプト変性シリコーン)と
を、必要によりラジカル重合開始剤等のラジカル発生源の存在下に、通常の反応条件に従って、熱または光で重合させればよい。
は白濁の溶液である。
このような本発明に係るオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(シリコーンブロックビニル共重合体)は、例えば、防汚塗料に代表される塗料用の塗膜形成成分(ビヒクル成分)として好適に用いられる。該オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体の、その他の用途としては、例えば、貼紙防止塗料、汚れ防止塗料、着氷・着雪防止塗料、落書き防止塗料、離型材料等が挙げられる。
本発明に係る共重合体組成物、防汚塗料組成物には、上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体が塗膜形成成分あるいはビヒクルとして含有されている。本発明の塗膜、防汚塗膜は、このオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物または防汚塗料組成物から形成されたものである。
本発明の防汚塗料組成物において、防汚剤としては、金属銅、亜酸化銅、ロダン銅、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、オキシキノリン銅、ナフテン酸銅、ロジン酸銅、銅ピリチオン、ジンクピリチオン、テトラメチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、N,N-ジメチルジクロロフェニル尿素、2-メチルチオ-4-tert-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2,4,6-トリクロロフェニルマレイミド、ピリジン-トリフェニルボラン、アミン-トリフェニルボラン等が挙げられる。
溶出助剤としては、配合する撥水剤の表面移行を補助するような、又は上記防汚剤を効率的に徐放させ得るような界面活性剤的作用を有する各種化合物を使用できる。例えばロジン、ナフテン酸等の一塩基酸、各種ポリアルキレン変性物等を必要により用いることができる。
可塑剤としては、塗膜に可撓性を付与し、耐ワレ性や密着性を向上するために正リン酸エステル、塩素化パラフィン、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等、通常、塗料用に用いられる可塑剤を使用しても良い。
脱水剤(安定剤)は、特に架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)中にアルコキシシリル基やイソシアネート基を含む場合に、(防汚塗料)組成物の貯蔵安定性を一層向上することができる。
成ゼオライト系吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソホウ酸エステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:アディティブTI)等が挙げられる。本発明に係る防汚塗料組成物においては、この脱水剤は、必要に応じ、上記シリコーンブロックビニル共重合体(固形分)100重量部に対して0〜40重量部の量で含まれていても良い。
本発明では、塗装時の厚塗り性、タレ止性の向上や必要により用いられる溶剤不溶分(顔料等)の沈降防止のため、各種タレ止め・沈降防止剤(接着剤)を配合しても良い。
ワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘度系が用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディ
スパロン4200-20」等の他、「ディスパロンA630-20X」等の商品名で上市されているもの
が挙げられる。このようなタレ止め・沈降防止剤は、この防汚塗料組成物中に、必要に応じ、例えば、0〜10重量%の量で含まれていてもよい。
防汚剤以外の顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種着色または体質顔料を用いることができる。有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、紺青等があげられる。無機系顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、バライト粉、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末等があげられる。このような各種顔料は、防汚塗料組成物中に、必要に応じ、合計で0〜45重量%程度の量で配合されていてもよい。
本発明の防汚塗料組成物には、塗膜形成成分として本発明のシリコーンブロックビニル共重合体以外の樹脂が含まれていてもよい。その他の塗膜形成成分としては、例えばアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン樹脂(ゴム)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム(樹脂)、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン-
酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、クマロン樹脂、トリアルキルシリルアクリレート(共)重合体(シリル系樹脂)、石油樹脂、ケトン樹脂、フォルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアルキルエーテル樹脂などがあげられる。
<溶剤>
本発明の防汚塗料では、上記のような各種成分は、溶剤に溶解若しくは分散している。ここで使用される溶剤としては、例えば、脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系、エーテル系など、通常防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。上記芳香族系溶剤としては、例えばキシレン、トルエン等があげられ、ケトン系溶剤としては、例えばMIBK、メチルアミルケトン等があげられ、エステル系溶剤としては、酢酸ブチル等があげられ、エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)等があげられる。
<硬化剤・硬化触媒>
本発明では、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)中の架橋型官能基を架橋させて本発明のオルガノポリシロキサンチオブロック共重合体あるいは該共重合体を含む塗料を塗布してなる塗膜を硬化させ、或いは、自己架橋を含む架橋反応を促進させて本発明のオルガノポリシロキサンチオブロック共重合体あるいは該共重合体を含む塗料を塗布してなる塗膜を硬化させるために、公知の硬化剤、硬化触媒を適宜使用することができる。
を硬化剤として使用することもでき、更に自己架橋を促進し、また硬化剤を用いた架橋反応を促進するために錫、アルミ、チタン系等の硬化触媒を用いることができ、また(b3)中にエポキシ基を含む場合には、市販の種種のアミン類、チオール類、カチオン系開始剤、エポキシ硬化剤を用いることができ、また(b3)中にイソシアネート基を含む場合には、アクリルポリオール等のポリオール成分やポリアミノ化合物を硬化剤として使用することもでき、更に湿気硬化などの自己架橋を促進し、また硬化剤を用いた架橋反応を促進するために錫、アルミ、チタン系等の硬化触媒を用いることができ、また(b3)中にカルボキシル基を含む場合には、ポリグリシジル系化合物や多価金属及びその塩等を硬化剤として用いることができ、また(b3)中に(メタ)アクリロキシ基やビニル基を含む場合には、ラジカル発生剤を硬化触媒として使用したり、ポリアミン、ポリメルカプト化合物を硬化剤として使用することができる。
本発明の防汚塗料組成物は、従来から公知の方法を適宜利用することにより製造することができる。例えば溶液重合により得られる本発明のシリコーンブロックビニル共重合体溶液をそのまま防汚塗料組成物として用いることもでき、必要に応じて撥水性官能基含有成分を添加・混合しても良く、必要により防汚剤、溶出助剤、可塑剤、脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、顔料、その他の塗膜形成成分、溶剤などとを所定の割合で一度あるいは任意の順序で加えて撹拌、混合し均一に溶解・分解等すればよい。
本発明に係る防汚塗料組成物は、安定した防汚性能を長期間有する塗膜を形成でき、例えば、船舶、漁業資材(例:ロープ、漁網、浮き子、ブイ)、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路、海洋土木工事の汚泥拡散防止膜などの各種基材の表面に塗布すれば防汚性に優れた防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物などが得られる。
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例により何等限定されるものではない。
<原料>
使用した原料は以下のとおりである。
GCPおよびIRの測定条件は下記の通りである。
[GPC測定条件]
装置:東ソー社製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー社製 Super H2000+H4000 6mm I.D. , 15cm
溶離液:THF
流速:0.5ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃。
装置:パーキンエルマー製 Spctrum One FT−IR
測定方法:KBrセル、塗布法。
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、酢酸ブチル28.8重量部とKF−6016(商品名「KF−6016」、信越化学工業(株)製側鎖EO変性シリコーンオイル、固形分100重量%)23.8重量部とを仕込んで、窒素ガス雰囲気中で115℃まで昇温した。次いで、表2に示すように、
メチルメタクリレート(MMA)42.5重量部、
n−ブチルメタクリレート(BMA)20重量部、
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)10重量部、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「NKエステル M−230G」、新中村化学工業(株)製、−C2H4−O−単位数=23(平均値)、固形分:100重量%)2.5重量部、および
重合開始剤のt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(商品名「カヤエステルO」、化薬アクゾ(株)製、過酸化物)2.5重量部
の混合液Aと、
KF−2001(商品名「KF−2001」、信越化学工業(株)製メルカプト変性シリコーン、重量平均分子量Mw9200、固形分100重量%、SH基の位置は側鎖型)25重量部、および
酢酸ブチル12.5重量部
の混合液Bと
を、内温115℃を保ちながら同時に、上記反応容器に滴下開始した。
混合液Aの滴下終了1時間後に、さらに20%カヤエステルO(酢酸ブチル溶液)を45分毎に0.5重量部、0.5重量部、1重量部の順で3回加えた後1.5時間保温攪拌し、共重合体と変性シリコーンオイル(KF−6016)との混合物(以下「混合物A−1」という。)を含む溶液を得た。この混合物A−1を含む溶液(以下「混合物A−1溶液」ともいう。)の外観は透明であり、NV(105℃の熱風乾燥機中3時間乾燥後の加熱残分)は72.5重量%であり、粘度は29,590mPa・s/25℃であった。
Rスペクトルのチャートを図2に示す。
配合組成を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、混合物(共重合体と変性シリコーンオイルとの混合物)を含む溶液を合成した。各混合物あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物A−2、A−5〜A−7、H−2溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、混合物A−2、A−5〜A−7、H−2溶液の性状などを表2に示す。
[実施例3]
攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、滴下装置および還流冷却管を備えた反応容器に、酢酸ブチル28.8重量部とST−114PA(商品名「ST−114PA」、東レダウ(株)製側鎖EO変性シリコーンオイル)、固形分100重量%)23.8重量部とを仕込んで、窒素ガス雰囲気中で100℃まで昇温した。次いで、表2に示すように、
メチルメタクリレート(MMA)42.5重量部、
n−ブチルメタクリレート(BMA)15重量部、
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)10重量部、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「NKエステル M−230G」、新中村化学工業(株)製、−C2H4−O−単位数=23(平均値)、固形分:100重量%)2.5重量部、
A−174(商品名「A−174」、日本ユニカー製、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)5重量部、および
重合開始剤の2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E
」、日本ヒドラジン(株)製、アゾ化合物)2.2重量部
の混合液Aと、
KF−2001(商品名「KF−2001」、信越化学工業(株)製メルカプト変性シリコーン、重量平均分子量Mw9200、固形分100重量%、SH基の位置は側鎖型)25重量部、および
酢酸ブチル12.5重量部
の混合液Bと
を、内温100℃を保ちながら同時に、上記反応容器に滴下開始した。
混合液Aの滴下終了1時間後に、さらに20%ABN−E(酢酸ブチル溶液)を45分毎に0.5重量部、0.5重量部、1重量部の順で3回加えた後1.5時間保温攪拌し、混合物(共重合体と変性シリコーンオイルとの混合物)A−3を含む溶液(以下「混合物A−3溶液」ともいう。)を得た。この混合物A−3溶液の外観は半透明であり、NV(105℃の熱風乾燥機中3時間乾燥後の加熱残分)は72.5重量%であり、粘度は11,060mPa・s/25℃であり、混合物A−3の重量平均分子量(Mw)は21,980であった。
配合組成を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、混合物(共重合体と
変性シリコーンオイルとの混合物)A−4を含む溶液を得た。混合物A−4あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物A−4溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、混合物A−4溶液の性状などを表2に示す。
[比較例1]
配合組成を表2に示すように変え、混合液Aの滴下終了1時間後に、さらに20%ABN−E(酢酸ブチル溶液)を45分毎に1重量部、1重量部、1重量部の順で3回加えた後た以外は実施例1と同様にして、混合物(共重合体と変性シリコーンオイルとの混合物)H−1を含む溶液を得た。混合物H−1あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物H−1溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、混合物H−1溶液の性状などを表2に示す。
メチルメタクリレート(MMA)60重量部と、
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)10重量部と、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名「NKエステル M−230G」、新中村化学(株)製、n=23、固形分100重量%)5重量部と
を混合し、混合モノマーを調製した。
メチルn−アミルケトン(MAK)52.2重量部と、
KF−6016(商品名「KF−6016」、信越化学工業(株)製側鎖EO変性シリコーンオイル、固形分100重量%)20重量部と、
KF−2001(商品名「KF−2001」、信越化学工業(株)製メルカプト変性シリコーン、重量平均分子量Mw9200、固形分100重量%、SH基の位置は側鎖型)25重量部と、
上記混合モノマー10重量部と
を仕込んで、窒素ガス雰囲気中で115℃まで昇温した。次いで、表3に示すように、
上記混合モノマー65重量部、および
重合開始剤のt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(商品名「カヤエステルO」、化薬アクゾ(株)製、過酸化物)2.5重量部
の混合液Aを、内温115℃を保ちながら、上記反応容器に3時間かけて滴下した。
配合組成を表3に示すように変えた以外は実施例8と同様にして、混合物(共重合体と
変性シリコーンオイルとの混合物)を含む溶液を合成した。各混合物あるいはその溶液の物性を上記実施例1と同様に評価した。混合物A−9〜A−10、H−3〜H−4溶液製造の際の、原料の配合組成(重量部表示)、触媒、溶剤、反応温度などの他、重合体A−9〜A−10、H−3〜H−4溶液の性状などを表3に示す。
[実施例C−1]
表4に示すように、混合物A−1溶液100重量部および酢酸ブチル14重量部を混合して、希釈溶液C−1を調製した。希釈溶液C−1の性状などを表4に示す。
表4、5に示すように混合物溶液の種類および各成分の配合量を換えたほかは実施例C−1と同様にして、希釈溶液C−2〜C−10、およびHC−1〜HC−10を調製した。希釈溶液C−2〜C−10、およびHC−1〜HC−10の性状などを表4、表5に示す。
[希釈溶液の透明性]
希釈溶液30gを容量30mlのガラス瓶に入れ、その透明性を目視で評価した。
厚さ2mmのガラス板の表面に希釈溶液を8ミルドクターブレードで塗布し、100℃で10分乾燥して厚さ約120μmのフィルムを形成し、その透明性を目視で評価した。
次に、以下の方法により、表6〜表7に示す配合組成の防汚塗料組成物を製造した。
[実施例T−1]
表6に示すように、
混合物A−1溶液(NV=72.5重量%) 100重量部、
シリコーンオイル(KF−53−3万) 4.6重量部、ならびに
溶剤としてキシレン 9.5重量部およびメチルイソブチルケトン(MIBK) 2.4重量部、
を容器に仕込み、ハイスピードディスパーを用いて充分に攪拌・混合し、120メッシュのフィルターにてろ過して防汚塗料組成物を調製した。
表6、7に示すように混合物溶液の種類および各成分の配合量を換えたほかは実施例T−1と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。防汚塗料組成物T−2〜T−10、HT−1〜HT−10の性状などを表6、7に示す。
[実施例T−11]
表8に示すように、
混合物A−1溶液(NV=72.5重量%) 100重量部、
シリコーンオイル(KF−53−3万) 4.6重量部、
消泡剤としてKF−96−1000CS 0.6重量部
溶剤としてキシレン10.7重量部およびメチルイソブチルケトン(MIBK) 2.
4重量部、
顔料として弁柄(商品名「月光BB」、日本弁柄工業(株)製) 1.2重量部、フジフ
ァーストレッド2305W 0.6重量部および酸化チタン(商品名「TCR−73」、
堺化学(株)製)3.6重量部、ならびに
添加剤としてディスパロン6900−10X 7.1重量部
をガラスビーズをメディアとしたペイントシェイカーに仕込み、2時間振とうした後、120メッシュのフィルターにてろ過して防汚塗料組成物を調製した。
表8、9に示すように混合物溶液の種類および各成分の配合量を換えたほかは実施例T−11と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
上記各防汚塗料組成物の防汚性の評価を行った。結果を表6〜9に示す。
防汚性の評価は以下の方法を用いた。100mm×300mm×5mmの塩化ビニル板にエポキシ系下塗塗料を乾燥膜厚が100μmとなるようエアースプレーを用いて塗装し、2週間室温で乾燥後、アプリケーターを用いて乾燥膜厚が150μmとなるよう塗布し、一週間室内で乾燥した後、広島湾内に設置された筏より水面下1mの場所に浸漬し、18ヶ月間の生物の付着状況を目視観察した。なお、実施例T−3、T−4、T−13およびT−14、ならびに比較例HT−3、HT−4、HT−13およびHT−14においては、塗装直前に、ぞれぞれの防汚塗料組成物と表6〜9に記載された量の触媒とを充分に混合した。
Claims (20)
- 1〜80重量%の下記ポリエーテル変性シリコーン[A]の存在下で共重合され、
5〜98重量%の下記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]と、
1〜80重量%の下記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]とを有し(ただし、[A]、[B]および[C]の合計を100重量%とする。)、
GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が1,000〜400,000である
ことを特徴とするオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体;
[A]下記式[I]で表される変性シリコーン(a1)、および/または下記式[II]で表される変性シリコーン(a2);
R12は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
R13およびR14は、互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
R15は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
a、b、cおよびdは、それぞれ正の整数を示す。〕、
R22は、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の2価の炭化水素基を示し、
R23およびR24は、お互いに同一であっても異なっていてもよくそれぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、
R25は、水素原子、1価の炭化水素基、または−CO−R16(R16は1価の炭化水素基を示す。)を示し、
p、q、rおよびsは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[B]下記式[III]で表され、ポリオキシアルキレン化合物単位の少なくともその片末
端で重合性不飽和カルボン酸とエステルを形成してなるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(b1)、および/または
該成分単位(b1)以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)
とを有するポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック;
R34−[OR31]m−[OR32]n−OCOR33・・・[III]
〔式[III]中、R31およびR32は、互いに同一であっても異なっていてもよい2価の炭化水素基を示し、
R33は重合性不飽和炭化水素基含有基を示し、
R34は水素原子、重合性不飽和結合を有してもよい1価の炭化水素基、または重合性不飽和結合を有してもよい1塩基性または2塩基性の有機カルボン酸残基
R35CO−(R35は重合性不飽和結合を有してもよい有機基を示す)を示し、
mおよびnは、それぞれ正の整数を示す。〕、
[C]下記式[IV]で表される成分単位からなるオルガノシロキサンチオブロック;
R42、R43およびR44は、それぞれ独立にR41、または炭素原子数が1〜20の2価のチオ有機基を示し、
tおよびuは、それぞれ正の整数を示す。〕。 - 上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]が、さらに、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクロイルイソシアネートおよび2-(メタ)アクリロキシエチルイソシアネートからなる群から選ばれる架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b3)を有することを特徴とする請求項1に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
- 上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]が、さらに、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルおよびアクリロニトリルからなる群から選ばれるその他の重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(b4)を有することを特徴とする請求項1または2に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
- 上記ポリエーテル変性シリコーン[A]5〜50重量%の存在下で共重合され、
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック[B]の含量が10〜90重量%であり、上記オルガノシロキサンチオブロック[C]の含量が5〜50重量%(ただし、[A]、[B]および[C]の合計を100重量%とする。)である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。 - 上記ポリエーテル変性シリコーン[A]のGPCで測定される重量平均分子量(Mw)が300〜100,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
- 上記オルガノポリシロキサンチオブロック[C]が、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が300〜100,000であるメルカプト変性ポリオルガノシロキサンから誘導されることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
- 上記ポリエーテル変性シリコーン[A]が、ポリオキシエチレン基および/またはポリオキシプロピレン基を有することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
- 上記非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(b2)が、(メタ)アクリル酸またはそのエステルから誘導される成分単位であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
- 上記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(b1)が、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートから誘導される成分単位であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と前記ポリエーテル変性シリコーン[A]とを含有する防汚塗料組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体をビヒクル成分として含有することを特徴とする防汚塗料組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体と、撥水性官能基含有成分とを含有することを特徴とするオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物。
- 上記撥水性官能基含有成分が、シリコーンオイル類および/またはパラフィン類であることを特徴とする請求項12に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物。
- 請求項12または13に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物からなる防汚塗料組成物。
- さらに、防汚剤を含有することを特徴とする請求項10、11または14に記載の防汚塗料組成物。
- 請求項10、11もしくは14に記載の防汚塗料組成物または請求項12もしくは13に記載のオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体組成物から形成された防汚塗膜。
- 請求項16に記載の防汚塗膜で被覆された基材。
- 基材の表面が、請求項16に記載の防汚塗膜で被覆された水中構造物。
- 船舶基材の表面が、請求項16に記載の防汚塗膜で被覆された船舶。
- 基材表面を、請求項16に記載の防汚塗膜で被覆することを特徴とする基材の防汚方法。
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