JP4994950B2 - 圧延材の表面疵検査方法及び表面疵検査装置 - Google Patents
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Description
表面疵検査装置における検査では一般的に磁粉探傷法が用いられる。すなわち、圧延材の表面に磁粉を吹き付けた後、磁場を印可し、表面の漏れ磁束に伴う磁粉模様を撮像手段で撮影する。その後、撮像画像を画像処理することで、表面疵を検出するものである。
撮像手段としては、ラインセンサカメラが用いられることが多い。ラインセンサカメラは、外部からの制御によりラインレート(画像の取り込み時間の間隔)を変更することができ、圧延材の搬送速度に対応したラインレートとすることで、搬送速度によらず一定の分解能で撮像が可能となる。
しかしながら、圧延材の表面疵検査装置においては、以下述べるような搬送速度の変化が起こることが現場の実績より明らかとなっている。
例えば、圧延材を把持している入側ローラや出側ローラに回転計を取り付けた場合、ローラと圧延材との間に滑りが生じたり、ローラの摩耗によりローラ径が短くなったりして、回転計から算出された搬送速度と圧延材の実際の搬送速度とが異なる場合が往々にしてある。
このように検査対象物である圧延材の搬送速度は変化するものの、ラインセンサカメラのラインレートは一定又は実情に合わないものであると、撮像した画像が実際のものよりも長手方向に圧縮又は伸長されてしまう。例えば、実際の搬送速度が速くなりラインレートが遅い状態となると、撮像した画像が実際のものよりも長手方向に圧縮されてしまうし、その逆であると、画像が長手方向に伸張してしまう。このように正しい撮像画面が得られないと、表面疵を確実に検出することが不可能となる。
本発明は、上記問題点を鑑み、圧延材を検査する表面疵検査装置において、圧延材の先端部が出側ローラに噛み込んだ際に正確な撮像画像を得ることができ、表面疵を確実に検知可能な圧延材の表面疵検査方法及び表面疵検査装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る圧延材の表面疵検査方法は、ラインレートが可変であるラインセンサカメラにより、入側ローラ及び出側ローラで把持された圧延材の表面を撮像し、得られた撮像画像から該圧延材の表面疵を検査するものであって、
前記圧延材の先端部が出側ローラに達した際に、入側ローラの回転数を基に圧延材の入側搬送速度を求めると共に、出側ローラの回転数を基に圧延材の出側搬送速度を求め、
前記出側ローラに設けられた実速度検出部により圧延材の搬送速度の実績値を求め、
前記出側搬送速度が前記実績値に近い場合は、当該出側搬送速度を基にラインセンサカメラのラインレートを算出し、前記入側搬送速度が前記実績値に近い場合は、当該入側搬送速度を基にラインセンサカメラのラインレートを算出して、
前記算出されたラインレートをラインセンサカメラに適用した上で、圧延材の表面を撮像し圧延材の表面の疵を検査することを特徴とする。
前記出側ローラから第1の位置検出センサまでの距離と当該距離を圧延材の先端が通過する時間とから、圧延材の搬送速度の実績値を求めるとよい。
また好ましくは、前記実速度検出部は、出側ローラの下流側に設けられ且つ圧延材の先端部が到達したことを検出可能な第1の位置検出センサと、該第1の位置検出センサの下流側に設けられ且つ圧延材の先端部が到達したことを検出可能な第2の位置検出センサと、を有し、
前記出側ローラ又は第1の位置検出センサから第2の位置検出センサまでの距離と当該距離を圧延材の先端が通過する時間とから、圧延材の搬送速度の実績値を求めるとよい。
こうすることで、より正確な入側搬送速度、出側搬送速度を求めることができ、正しいラインレートを算出可能となる。
また、本発明に係る圧延材の表面疵検査装置は、ラインレートが可変であるラインセンサカメラにより、入側ローラと出側ローラとで把持される圧延材の表面を撮像し、得られた撮像画像から該圧延材の表面疵を検査するものであって、
前記入側ローラの回転数を基に圧延材の入側搬送速度を求める入側速度算出部と、
前記出側ローラの回転数を基に圧延材の出側搬送速度を求める出側速度算出部と、
前記出側ローラの下流側に設けられ且つ圧延材の搬送速度の実績値を求める実速度算出部と、
前記圧延材の先端部が出側ローラに達した際に、前記出側速度算出部により得られた出側搬送速度が前記実速度算出部により得られた搬送速度の実績値に近い場合は、前記出側搬送速度を基にラインレートを算出し、前記入側速度算出部により得られた入側搬送速度が前記搬送速度の実績値に近い場合は、前記入側搬送速度を基にラインレートを算出する信号制御部と、
前記信号制御部により算出されたラインレートをラインセンサカメラに適用するラインレート制御部と、
前記ラインレート制御部によりラインレートを制御されたラインセンサカメラで撮像された画像から圧延材の表面疵を検査する表面疵検査部と、
を有していることを特徴とする。
図1,図5,図6に示すように、ブルーム鋳片などの圧延材2の表面疵検査装置1は、装置1の入側に設けられて圧延材2を把持する入側ローラ3と、装置1の出側に設けられて圧延材2を把持する出側ローラ4とを有している。入側ローラ3、出側ローラ4とも、圧延材2の上下面を支持する上下一対のローラと、圧延材2の左右面を把持する左右一対のローラとを備えている。
散布手段6は、表面疵を検査したい圧延材2の表面に対して、磁粉(鉄粉に蛍光体を付着させたもの)が含まれた検査液をスプレー状に散布するものであって、圧延材2の表面に向く複数の散布ノズル6aを備えるものとなっている。
極間磁化手段7により磁場が印可されて圧延材2の表面に疵が存在した場合、かかる表面疵に対応するように磁粉の模様が現れる。その磁粉模様を撮像手段8で撮像する。本実施形態の場合、撮像手段8としてはラインレート(撮像レート、スキャンレートと呼ぶこともある)が外部から可変であるラインセンサカメラ8を採用している。また、磁粉模様を鮮明にするために、紫外線ランプ等を有する照明手段9から撮像範囲に向けて紫外線を照射するようにしている。
なお、磁粉探傷検査法における具体的な条件は、JIS規格G−0565に規定されたものを採用することが好ましい。
実速度算出部16は、入側ローラ3から距離(x1)だけ下流側に、圧延材2の先端部が到達したことを検出する入側位置検出センサ17を備えている。
加えて、実速度算出部16は、出側ローラ4から距離(x2)だけ下流側に圧延材2の先端部が到達したことを検出する第1出側位置検出センサ18(第1の位置検出センサ)を備えている。加えて、第1出側位置検出センサ18から距離(x3)だけ下流側に圧延材2の先端部が到達したことを検出する第2出側位置検出センサ19(第2の位置検出センサ)を備えている。
以上述べた入側速度算出部13、出側速度算出部14、入側位置検出センサ17、第1出側位置検出センサ18、第2出側位置検出センサ19からの出力は、信号制御部15に送られるようになっている。すなわち、入側ローラ3での回転パルス数N1、出側ロールでの回転パルス数N2、圧延材2の先端部が「入側ローラ3から下流側(x1)の距離に達した」信号、先端部が「出側ローラ4から下流側(x2)の距離に達した」信号、先端部が「出側ローラ4から下流側(x2+x3)の距離に達した」の信号は、瞬時に信号制御部15に伝達される。
以下、信号制御部15で行われる処理を、図4に示したフローチャートを基に説明する。
その後、圧延材2の先端部が入側位置検出センサ17に達し、入側位置検出センサ17は、先端部が入側位置検出センサ17の位置に来たことを信号制御部15に知らせる。[S2]
信号制御部15では、入力されたパルス信号(パルス数)N1と補正係数αとから、入側ローラ3での圧延材2の搬送速度v1’を計算する。[S3]
具体的には、時間t1(sec)の間に入側エンコーダ13が発生するパルス数をN1とし、1パルスで進む圧延材2の進む距離をa[m]とする。その場合、入側エンコーダ13(入側ローラ3)の情報から算出される圧延材2の速度v1は、式(1)のようになる。
そこで、式(2)の如く、補正係数αをかけることで、入側ローラ3での圧延材2の搬送速度v1’を求めるようにする。
まず入側ローラ3と入側位置検出センサ17の距離を(x1)[m]とする。圧延材2が(x1)[m]走行する間に入側エンコーダ13から発生するパルス数をN1とし、1パルス当たりに進む圧延材2の距離をa[m]とする。その場合、入側エンコーダ13から算出される圧延材2の搬送距離はN1・a[m]となる。このことから、1パルス当たりの誤差は、(x1−N1・a)/N1[m]となる。よって、入側エンコーダ13から計測される走行距離に対する補正係数αを、式(3)のようにして求めることとする。
その後、圧延材2の先端部は出側ローラ4に噛み込むこととなる。先端部が噛み込むと出側ローラ4は回転を始め、出側ローラ4に接続された出側エンコーダ14からパルス信号が出力される。このパルス信号は信号制御部15に入力され、出側ローラ4での圧延材2の搬送速度が計算される。(S5〜S7)
出側ローラ4での圧延材2の搬送速度の算出は、入側ローラ3での算出方法に準じており、まず、時間t2の間に出側エンコーダ14が発生するパルス数をN2とし、1パルスで進む圧延材2の進む距離をa[m]とする。その場合、出側エンコーダ14の情報から算出される圧延材2の速度は、式(5)のようになる。
そこで、式(6)の如く、補正係数βをかけることで、出側ローラ4での圧延材2の搬送速度の実績値を求めるようにする。
まず出側ローラ4と第1出側位置検出センサ18の距離を(x2)[m]とする。圧延材2が(x2)[m]走行する間に出側エンコーダ14から発生するパルス信号のパルス数をN2とし、1パルス当たりに進む圧延材2の距離をa[m]とする。その場合、出側エンコーダ14から算出される圧延材2の搬送距離はN2・a[m]となる。このことから、1パルス当たりの誤差は、(x2−N2・a)/N2[m]となる。よって、出側エンコーダ14から計測される走行距離に対する補正係数βを、式(7)のようにして求めることとする。
すなわち、入側ローラ3での搬送速度v1’と式(5)で求められる出側ローラ4での搬送速度v2を式(8)により比較する。(S8)
そして、圧延材2の先端部が第2出側位置検出センサ19に達した際に、第2出側位置検出センサ19から得られる搬送速度の実績値V3を式(11)で求めると共に、出側エンコーダ14の情報から算出される圧延材2の速度v3を式(12)により求めて、かかるV3,v3を用いて、式(13)の判定を行う。
式(13)でp<1の場合、出側ローラ4での速度v3が搬送速度の実績値V3に近いことになる。ゆえに、式(14),式(15)を基に、v3を補正したv3’を求め、得られたv3’を式(16)に代入し得られたラインレートf3をラインセンサカメラ8に適用し表面疵の検出を続ける。
もし、入側ローラ3での速度v1’を用いて表面疵を検査し続けることになった場合には、圧延材2の後端部が入側位置検出センサ17で検出された時、すなわち、入側位置検出センサ17が圧延材2の存在を検出せず出力信号がオフとなった時に、出側ローラ4での速度v2’で算出されたラインレートf2に切り換えることとする。
以上の工程により圧延材2と入側ローラ3及び出側ローラ4間のすべりによる小さな速度変化に対応して圧延材2の搬送速度を補正し、また入側と出側ローラ4間での圧延材2の受け渡しによる大きな速度変化に追従してラインレートを制御し撮像することで、画像の分解能を一定に保ち微少な疵を検知することのできる表面疵検査装置1が実現できる。
例えば、圧延材2の先端部が第2出側位置検出センサ19に達した際に、式(13)の判定を行い、出側ローラ4の情報を基に算出されたラインレートf3、又は入側ローラ3の情報を基に算出されたラインレートf1のいずれかをラインセンサカメラ8に適用していたが、圧延材2の先端部が第2出側位置検出センサ19に達した後は強制的にラインレートf3を採用するようにしてもよい。
2 圧延材
3 入側ローラ
4 出側ローラ
5 表面疵探傷部
6 散布手段
6a 散布ノズル
7 極間磁化手段
7a 磁性体
7b コイル
8 ラインセンサカメラ(撮像手段)
9 照明手段
12 表面疵検査部
13 入側エンコーダ(入側速度算出部)
14 出側エンコーダ(出側速度算出部)
15 信号制御部
16 実速度算出部
17 入側位置検出センサ
18 第1出側位置検出センサ
19 第2出側位置検出センサ
20 ラインレート制御部
Claims (5)
- ラインレートが可変であるラインセンサカメラにより、入側ローラ及び出側ローラで把持された圧延材の表面を撮像し、得られた撮像画像から該圧延材の表面疵を検査する圧延材の表面疵検査方法において、
前記圧延材の先端部が出側ローラに達した際に、入側ローラの回転数を基に圧延材の入側搬送速度を求めると共に、出側ローラの回転数を基に圧延材の出側搬送速度を求め、
前記出側ローラに設けられた実速度検出部により圧延材の搬送速度の実績値を求め、
前記出側搬送速度が前記実績値に近い場合は、当該出側搬送速度を基にラインセンサカメラのラインレートを算出し、前記入側搬送速度が前記実績値に近い場合は、当該入側搬送速度を基にラインセンサカメラのラインレートを算出して、
前記算出されたラインレートをラインセンサカメラに適用した上で、圧延材の表面を撮像し圧延材の表面の疵を検査することを特徴とする圧延材の表面疵検査方法。 - 前記実速度検出部は、出側ローラの下流側に設けられ且つ圧延材の先端部が到達したことを検出可能な第1の位置検出センサを有し、
前記出側ローラから第1の位置検出センサまでの距離と当該距離を圧延材の先端が通過する時間とから、圧延材の搬送速度の実績値を求めることを特徴とする請求項1に記載の圧延材の表面疵検査方法。 - 前記実速度検出部は、出側ローラの下流側に設けられ且つ圧延材の先端部が到達したことを検出可能な第1の位置検出センサと、該第1の位置検出センサの下流側に設けられ且つ圧延材の先端部が到達したことを検出可能な第2の位置検出センサと、を有し、
前記出側ローラ又は第1の位置検出センサから第2の位置検出センサまでの距離と当該距離を圧延材の先端が通過する時間とから、圧延材の搬送速度の実績値を求めることを特徴とする請求項1に記載の圧延材の表面疵検査方法。 - 前記入側ローラ又は出側ローラの回転数を基に算出された圧延材の搬送速度に対し補正を加えて、前記入側搬送速度又は出側搬送速度とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延材の表面疵検査方法。
- ラインレートが可変であるラインセンサカメラにより、入側ローラと出側ローラとで把持される圧延材の表面を撮像し、得られた撮像画像から該圧延材の表面疵を検査する圧延材の表面疵検査装置において、
前記入側ローラの回転数を基に圧延材の入側搬送速度を求める入側速度算出部と、
前記出側ローラの回転数を基に圧延材の出側搬送速度を求める出側速度算出部と、
前記出側ローラの下流側に設けられ且つ圧延材の搬送速度の実績値を求める実速度算出部と、
前記圧延材の先端部が出側ローラに達した際に、前記出側速度算出部により得られた出側搬送速度が前記実速度算出部により得られた搬送速度の実績値に近い場合は、前記出側搬送速度を基にラインレートを算出し、前記入側速度算出部により得られた入側搬送速度が前記搬送速度の実績値に近い場合は、前記入側搬送速度を基にラインレートを算出する信号制御部と、
前記信号制御部により算出されたラインレートをラインセンサカメラに適用するラインレート制御部と、
前記ラインレート制御部によりラインレートを制御されたラインセンサカメラで撮像された画像から圧延材の表面疵を検査する表面疵検査部と、
を有していることを特徴とする圧延材の表面疵検査装置。
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