JP4803652B2 - 構造物の欠陥検出方法および装置 - Google Patents

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本発明は、構造物、特に、荷重が移動することによって欠陥が発生する荷役機械や橋梁等の大型鋼構造物における表面亀裂や内部亀裂・腐食などの欠陥を測定対象部位に近づくことなく遠方から検知する構造物の欠陥検出方法および装置に関する。
橋梁、クレーン、コンベアをはじめとする大型構造物や荷役機械の老朽化が社会問題となっており、この対策に対しては強いニーズがある。効率的な老朽化対策を実施するためには、老朽化度合いを知ることが先決である。このため、対象としている構造物の欠陥を検出する必要があり、その手段として、例えば、カラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などが従来から実施されている。
しかしながら、カラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などの手法は、それぞれ必要な処置を施すために測定対象物の近傍まで人が近づかなければ計測ができない。例えば、磁紛探傷においては、検知領域の錆などを落とし計測可能な表面性状にしたうえで、磁界をかける必要がある。このため、大型構造物の場合には検査を行うために足場を組んで高所作業の準備を整え、検査領域に作業員の手が届く状態にしなければ作業が行えない。その結果、欠陥検出費用よりも、足場を組む作業のほうが多くの人手と費用を費やさねばならない。
このような状況下において、遠隔計測を実現するため、さらには一度に広範囲の領域を検査できる利便性から、近年、赤外線カメラを用いた赤外線サーモグラフによる手法が提案されている。例えば、トンネル内部のコンクリート壁の亀裂や剥離などを検出する手段として、従来の打音テストによる診断方法に替わって、なんらかの熱源によりトンネル壁面を加熱し、正常部位の温度分布の差から欠陥部位を検出する方法が用いられている。これら赤外線カメラを用いたアクティブな手法の従来技術として、例えば、特許文献1には、コンクリート構造物に赤外線を均一に照射する手段を用いて、温度分布を測定することにより構造物の内部欠陥を検出する方法が開示されている。
また、特許文献2には、鋼構造物を対象として加熱前後における温度分布画像の差画像および健全・非健全のサンプル熱画像の差を用いた欠陥の識別方法が開示されている。
また、別の観点からは、例えば金属材料の加工時に試験片に生じる亀裂を検出する方法として、材料の熱弾性特性を利用して赤外線画像を用いた方法が特許文献3に開示されている。
しかしながら、上記特許文献1,2に記された方法では、加熱のために赤外線照射が前提とされており、この方法ではコンクリートなど比較的熱拡散速度の遅い対象には適用可能であるが、熱拡散速度の速い鋼構造物に対しては、近接距離から赤外線を照射しなければ赤外線カメラで検出できるほどの温度分布を作り出すことが困難である。このため、加熱を行うために測定対象まで近接する手段が必要となり、やはり、上述したカラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などの手法と同様、足場などを組む必要が生じてしまう。
上記特許文献3は、金属材料のプレスやパンチなどの加工時の塑性変形に伴って発生する亀裂を検出すために赤外線カメラで熱画像を撮像し、それを利用するものであるが、この技術を大型構造物の欠陥検出に適用する場合には、積極的に荷重負荷変動を生じさせるための大がかりな加振装置を別途用意する必要があるばかりか、特許文献3の場合とは異なりその際の荷重は当然のことながら構造物にさらなるダメージを与えない範囲の荷重でなければならないため、温度変化は微小であり、その温度変化を熱画像でとらえるためには、複数の熱画像データを使う煩雑な操作を行わざるを得ず装置が複雑になるとともに、遠隔からかつ広範囲の領域の欠陥を検出することは困難である。
特開2003−185608号公報 特開2004−37201号公報 特開平10−82726号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、橋梁や各種荷役機械などの大型の構造物であっても、その表面亀裂等の欠陥を、欠陥検出作業用の足場を組むことなく、赤外線照射等の加熱手段を必要とせずに、かつ加振装置などの構造物への荷重負荷の付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって、遠隔位置から容易かつ確実に検出することができる構造物の欠陥検出方法および装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、橋梁やクレーン等の荷役機械のような大型構造物において、実使用時に与えられる移動荷重により応力を付与すれば、熱弾性効果または塑性発熱に基づく温度変動を大きくすることができ、赤外線カメラによる熱画像を用いて遠隔位置から容易かつ確実に欠陥を検出することができることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜(11)を提供する。
検出対象となる構造物に移動荷重を与えることにより応力変動を生じさせ、この応力変動による熱弾性効果または塑性発熱により前記構造物に生じた温度分布変動を熱画像として計測し、この温度分布変動に基づいて応力変動を把握し、当該測定対象物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、
移動荷重を生じさせる移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を熱画像と同時に取り込み、移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
検出対象となる構造物に移動荷重を与えることにより応力変動を生じさせ、この応力変動による熱弾性効果または塑性発熱により前記構造物に生じた温度分布変動を熱画像として計測し、この温度分布変動に基づいて応力変動を把握し、当該測定対象物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、
前記移動荷重を生じさせる移動物体画像を同時に前記熱画像に取り込み、この熱画像内から移動物体の移動量または移動速度を推定し、これを参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
)前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的なピーク値を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする()または()に記載の構造物の欠陥検出方法。
)前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的でかつ急峻な温度変化部分を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする()または()に記載の構造物の欠陥検出方法。
)前記移動荷重は、前記構造物に沿って移動することを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
)前記構造物は、橋梁または荷役機械であることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
検出対象となる構造物に移動物体により移動荷重が与えられている状態で前記構造物を撮影する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラによって撮影した熱画像における温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を具備し、
前記情報処理部は、移動荷重を生じさせる移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を熱画像と同時に取り込み、移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
)前記移動荷重を生じさせる移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を検出するセンサをさらに具備することを特徴とする()に記載の構造物の欠陥検出装置。
検出対象となる構造物に移動物体により移動荷重が与えられている状態で前記構造物を撮影する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラによって撮影した熱画像における温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を具備し、
前記情報処理部は、前記移動荷重を生じさせる移動物体画像を同時に前記熱画像に取り込み、この熱画像内から移動物体の移動量または移動速度を推定し、これを参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
10)前記情報処理部は、前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的なピーク値を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする()〜()のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
11)前記情報処理部は、前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的でかつ急峻な温度変化部分を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする()〜()のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
本発明によれば、移動荷重を検出対象の構造物に付与して応力変動を生じさせ、この応力変動による熱弾性効果または塑性発熱により前記構造物に生じた温度分布変動を熱画像として計測し、これに基づいて当該測定対象物の欠陥を検出するので、欠陥検出作業用の足場を組むことなく、赤外線照射等の加熱手段を必要とせずに欠陥を測定することができ、しかも静止状態の荷重負荷よりも応力変動を大きくすることができ、より高精度で欠陥の検出を行うことができる。また、本発明が対象としている橋梁やクレーン等の荷役機械のような大型構造物では、もともと移動荷重が予定されており、その予定されている移動荷重を用いて応力変動を生じさせるので、加振装置等の特別な荷重負荷付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって構造物の欠陥を検出することができる。
従来、構造物の熱弾性効果等は、応力状態を可視化する手段としては用いられてきたが、構造物の欠陥検出に用いられていなかった、特に大型鋼構造物の欠陥検出に関しては、荷重負荷変動を与えたとしても、それによる温度変化が微小であるため、熱画像として捕らえられなかった。これに対して、本発明のように移動荷重を付与することにより、近年の赤外線カメラの性能向上と相俟って鋼構造物のような熱拡散性の良い金属に対しても熱弾性効果等を利用して欠陥を検出することが可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る方法によって天井クレーンの欠陥を検出する状態を示す模式図である。
天井クレーン1は、クレーン台車7が走行するガーダ4を有しており、このガーダ4は、建屋6に敷設されたガーダ走行用レール5に沿って移動可能となっている。クレーン台車7は荷物8を吊した状態で、ガーダ4の上をその長手方向に沿って移動する。地上にはガーダ4の熱画像を撮影するための赤外線カメラ9が配置され、赤外線カメラ9からの情報は、情報処理部10に取り込まれ、そこで欠陥を検出するための所定の処理が行われる。
実際の天井クレーン1のガーダ4における欠陥検出に際しては、まず、赤外線カメラを、ガーダ4までの距離が所定の距離、例えば約10〜20mになるように地上にセットし、荷重8を吊した状態のクレーン台車7をクレーン稼動時と同じようにガーダ4上を横行させる。これにより、ガーダ4には、応力変動が発生し、これに伴う熱弾性効果または塑性発熱により、わずかであるが温度分布変動が生じる。赤外線カメラ9は、この際のガーダ4の熱画像を撮影し、その情報を情報処理部10に送信する。情報処理部10ではその情報がパソコン11に取り込まれ、赤外線カメラ9により撮影したガーダ4上の熱画像計測面3における温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、その結果に基づいて欠陥Sの大きさおよび位置を検出し、その際の欠陥検出画面が表示部(ディスプレー)12に表示される。欠陥Sが大きいか、または応力集中が十分であれば、以上の構成によりリアルタイムの熱画像から温度変動箇所として現れる亀裂等の欠陥の検出が可能である。欠陥検出箇所が遠方の場合には、望遠レンズを使用する。
このように移動荷重を付与することにより、静止状態の荷重負荷よりも応力変動を大きくすることができ、それにともなって温度変化を大きくすることができるので、熱弾性効果または塑性発熱を利用して亀裂等の欠陥を精度良く把握することができる。また、本発明が対象としている橋梁やクレーン等の荷役機械のような大型構造物では、もともと移動荷重が予定されており、その予定されている移動荷重を用いて応力変動を生じさせるので、加振装置等の特別な荷重負荷付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって構造物の欠陥を検出することができる。
しかし、初期亀裂の場合や移動荷重が比較的軽い場合には、上記構成のみでは明確に欠陥に基づく温度分布変化が認識され難い場合もある。そこで、以下の第2実施形態および第3の実施形態は、そのような場合にも温度変動個所(すなわち欠陥発生個所)と正常部位の差を明確にして欠陥を検出できる方法を示す。
第2の実施形態では、図2に示すように、クレーン台車7にレーザ変位計13を設け、さらにガーダ4の端部に反射板14を設け、反射板14で反射させたレーザからレーザ変位計13により検出した検出信号を情報処理部10に設けたLock-in processor15に送信し、この検出信号から得られるクレーン台車7の移動量または移動速度を熱画像と同時にパソコン11に取り込み、これを参照信号として、これに同期して変動する熱画像を取り出すとともに表示部(ディスプレー)12に表示する。Lock-in processor15においては、参照信号と熱画像情報(温度データ)との関係が図3に示すようになっており、熱画像情報を参照信号に同期させて計測することにより、温度変動の振幅および位相のずれをもとに欠陥を検出するものであり、これにより、参照信号と相関のない温度変動による影響を小さくすることができる。したがって、参照信号およびLock-in processor15を用いることにより信号のS/N比を向上させることができる。
第3の実施形態では、図4に示すように、移動荷重変動を生じさせる移動物体としてのクレーン台車7を熱画像計測面3′に含め(すなわち、赤外線カメラ9の撮影画像にクレーン台車7の車輪を取り込む)、画像内の移動物体データから移動量または移動速度を推定し、これを参照信号とし、これに同期して変動する熱画像を取り出す。この場合には、情報処理部10では、赤外線カメラ9の熱画像信号がパソコン11に取り込まれるとともに、移動物体であるクレーン台車7の車輪の移動量または移動速度を算出し、信号合成部16にてこれらの信号を合成する。そしてパソコン11で処理された熱画像情報と、信号合成部16で合成された合成信号とがLock-in processor15で画像処理され、その画像が表示部(ディスプレー)12に表示される。
荷重の移動量と荷重が通過する際の構造体の応力変動には相関があるため、実施形態2および3のように参照信号を基準として熱画像データを同期加算あるいは参照信号との相互相関をとることにより、移動荷重による応力変動を参照信号なしの場合に比べて精度良く計測することができる。
測定対象である構造物が橋梁のような場合には、橋梁を通過する車と測定部の間の距離と相関のある情報を知り得る手段を用いて、測定部と移動荷重源との距離または速度情報を熱画像と同時に取り込むことが考えられる。例えば、測定部近傍に騒音計や振動計などを設置し、車両が測定部の上部に接近して通過するときの音や振動の情報を求めたり、あるいは、例えばGPSや超音波距離計などを搭載して車両側の位置情報を求めること、あるいは、CCDカメラなどにより測定対象と車両を同時に撮影してその画像から車両の位置を知ることを挙げることができる。
また、図2、4に示した上記第2または第3の実施形態のように熱画像と相関のある参照信号を用いる場合には、例えば図5に示す方法で測定対象の亀裂欠陥部分の判定を行うことができる。すなわち、図5の(a)に示す測定対象の熱画像の空間的変化と時間的変化から、移動荷重にともなって局所的に温度変化が急峻に変化している箇所を見出し、この箇所を亀裂先端とみなすことによる方法を用いることができる。この場合に、図5の(a)に示す矢印の部分の応力分布は図5の(b)に示すようになる。また、前記矢印の部分の応力分布の時間的変化は図5の(c)に示すようになる。
また、図6に示すように、移動荷重にともなって局所的に温度変化がピーク値を示している部分を見出し、この箇所を亀裂先端とみなすことによる方法を用いることもできる。すなわち、図6の(a)に示す測定対象の熱画像において、矢印の部分の熱画像の変化からその部分の応力分布の時間的変化は図6の(b)に示すようになり、そのピーク部分Pが図6の(a)の亀裂先端Kに対応する。
構造物の亀裂は部材同士の溶接部などあらかじめ発生箇所が概略予測可能な部分に発生しやすい。したがって、予想される亀裂の発生箇所を中心にその周辺部位において、移動荷重にともなって変化する温度分布の時間変化データから最も変化量の大きな部分、または急峻に変化する部分を見出せば、亀裂の部位が特定できる。なお、図5,6ともに応力値データは画像の局所的なデータを代表例として掲載したが、解析過程では当然のことながら熱画像全領域の応力分布の時間的変化を評価する。
ただし、周辺外乱の影響により移動荷重とは無関係に温度変化することも考えられるので、上述したように、移動荷重と相関のある信号を同時に計測して、この参照信号との相関をとる、あるいはこの参照信号と同期加算処理をすることが好ましい。これにより、亀裂検出精度を向上させることが可能である。
このような参照信号を用いた場合の欠陥判定フローを図7に示す。センサがある場合には、熱画像にセンサにより計測した荷重の移動量を取り込む(C1)。一方、センサを用いない場合には、移動荷重の車輪の回転等から荷重の移動量を推定する(C2)。そして、このようにして把握される荷重移動量を参照信号とする(S1)、次いで、参照信号と熱画像を同期加算するか、または参照信号と熱画像の相互相関をとる(S2)。次いで、急峻な温度(応力)変化、または温度(応力)のピーク値を熱画像の空間変化と時間的変化から検出し、これを亀裂端部と判断する(S3)。なお、図7において、移動量の代わりに移動速度を用いてもよい。
これらの方法により、特に大型構造物の欠陥を検出するために、従来、例えば、周辺に足場を組む、検査ロボットを使う、昇降装置付き作業用自動車を使う等により、測定対象の近くまでアクセスすることによって実施されていた欠陥検出作業が、赤外線カメラ(場合によっては、望遠レンズを使用する)と比較的簡易な情報処理部等とを用いることにより、測定対象の近くまでアクセスすることなく遠方から実施できることになる。このため、検査の準備に要する費用が大幅に低減されるだけでなく、検査時間も大幅に短縮することができる。したがって、構造物が荷役機械の場合には、検査のための稼動停止時間を短縮することができる。また、橋梁などであれば、車の通過によって発生する荷重変動に伴う温度分布変動を熱画像で捕らえることで、橋脚や橋桁の欠陥を検出することが可能になる。
本発明は、橋梁や荷役機械等の大型構造物に生じた亀裂等の欠陥の検出に極めて有効である。
本発明の第1の実施形態に係る方法によって天井クレーンの欠陥を検出する状態を示す模式図。 本発明の第2の実施形態に係る方法によって天井クレーンの欠陥を検出する状態を示す模式図。 Lock-in processorにおける参照信号と熱画像情報(温度データ)の関係を示す図。 本発明の第3の実施形態に係る方法によって天井クレーンの欠陥を検出する状態を示す模式図。 熱画像と相関のある参照信号を用いる場合における測定対象の亀裂欠陥部分の判定を行う方法の一例を示す図。 熱画像と相関のある参照信号を用いる場合における測定対象の亀裂欠陥部分の判定を行う方法の他の例を示す図。 熱画像と相関のある参照信号を用いた場合の欠陥判定フローを示すフローチャート。
符号の説明
1;天井クレーン
2;欠陥
3;熱画像計測面
4;ガーダ
5;レール
7;クレーン台車(移動荷重)
8;荷物
9;赤外線カメラ
10;情報処理部
11;パソコン
12;表示部
13;レーザ変位計
14;反射板
15;Lock-in processor
16;信号合成部

Claims (11)

  1. 検出対象となる構造物に移動荷重を与えることにより応力変動を生じさせ、この応力変動による熱弾性効果または塑性発熱により前記構造物に生じた温度分布変動を熱画像として計測し、この温度分布変動に基づいて応力変動を把握し、当該測定対象物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、
    移動荷重を生じさせる移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を熱画像と同時に取り込み、移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
  2. 検出対象となる構造物に移動荷重を与えることにより応力変動を生じさせ、この応力変動による熱弾性効果または塑性発熱により前記構造物に生じた温度分布変動を熱画像として計測し、この温度分布変動に基づいて応力変動を把握し、当該測定対象物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、
    前記移動荷重を生じさせる移動物体画像を同時に前記熱画像に取り込み、この熱画像内から移動物体の移動量または移動速度を推定し、これを参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
  3. 前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的なピーク値を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項または請求項に記載の構造物の欠陥検出方法。
  4. 前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的でかつ急峻な温度変化部分を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項または請求項に記載の構造物の欠陥検出方法。
  5. 前記移動荷重は、前記構造物に沿って移動することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
  6. 前記構造物は、橋梁または荷役機械であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
  7. 検出対象となる構造物に移動物体により移動荷重が与えられている状態で前記構造物を撮影する赤外線カメラと、
    前記赤外線カメラによって撮影した熱画像における温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
    を具備し、
    前記情報処理部は、移動荷重を生じさせる移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を熱画像と同時に取り込み、移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
  8. 前記移動荷重を生じさせる移動物体の移動量もしくは移動速度、または移動量もしくは移動速度と相関のある情報を検出するセンサをさらに具備することを特徴とする請求項に記載の構造物の欠陥検出装置。
  9. 検出対象となる構造物に移動物体により移動荷重が与えられている状態で前記構造物を撮影する赤外線カメラと、
    前記赤外線カメラによって撮影した熱画像における温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
    を具備し、
    前記情報処理部は、前記移動荷重を生じさせる移動物体画像を同時に前記熱画像に取り込み、この熱画像内から移動物体の移動量または移動速度を推定し、これを参照信号とすることによって、これと同期して変動する熱画像を用いて構造物の欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
  10. 前記情報処理部は、前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的なピーク値を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
  11. 前記情報処理部は、前記参照信号と前記熱画像を取り込み、この熱画像において参照信号と相関がありかつ温度変化の局所的でかつ急峻な温度変化部分を見出すことにより、前記熱画像内の構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
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