JP4991454B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents

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Description

本発明は、乾燥運転時に水槽内の空気を冷却除湿するための水冷式の熱交換器を備えた洗濯乾燥機に係り、特に熱交換器内を洗浄するようにしたものに関する。
洗濯乾燥機においては、通常、回転槽を収容した水槽の外部に、除湿器、循環用送風機および加熱器を設け、循環用送風機によって水槽内の空気を循環させながら、その循環空気を除湿器により除湿し、加熱器により加熱することによって回転層内の洗濯物を乾燥させるようにしている。
このような洗濯乾燥機にあって、従来、除湿器に水冷式の熱交換器を用いたものがある(例えば特許文献1)。この水冷式の熱交換器は、水槽の後端部に縦型に配置されたダクト状をなし、上部に注水部が設けられている。そして、ダクト状の熱交換器内を循環空気が下から上へと流れるようにし、その循環空気に対して上部の注水部から水を上から下へと流すことによって循環空気を水と接触させて冷却除湿するという構成のものである。
特開2005−224491号公報
特許文献1に見られるような水冷式の熱交換器を除湿器として用いた洗濯乾燥機においては、そのダクト状の熱交換器の空気流入口が水槽の下部に連通されているため、洗濯運転時には、水槽内の洗濯水が熱交換器の内部に浸入する。熱交換器の内部に浸入する洗濯水の水位は、水槽内の水位と同水位で、しかも、その浸入水には、洗濯物から出たリントが含まれているので、その浸入水に含まれていたリントの一部は熱交換器の内面に付着して残り勝ちとなる。
乾燥運転になると、熱交換器の内面に付着したリントは、循環空気によって生乾き状態にされたところで循環風に乗じて上流側へと運ばれ、循環風路の内面に再付着し、付着したまま乾燥してこびり付く。また、回転槽内で生じたリントの一部も循環風に運ばれて循環風路の内面に付着するようになる。
このような循環風路の内面へのリントの付着は洗濯乾燥運転の度に生ずるため、リントは次第に堆積して循環風路の通風面積を次第に狭める。そして、循環風路の通風面積が付着リントによって狭められると、循環風量が次第に少なくなり、乾燥効率の低下をもたらす。
循環風路の内面へのリントの付着を無くすには、水槽から循環風路への空気の入口である熱交換器の空気流入口にリントフィルタを設ければよい。この場合、リントフィルタが目詰りすると、やはり循環風量の低下をもたらすので、リントフィルタは定期的に掃除をする必要がある。しかしながら、熱交換器は水槽の後端部に配置されている関係上、リントフィルタを掃除のために外部に取り出す得る構造とすることが難しい。また、取り出し得る構造になし得たとしても、掃除を忘れたり、或いは長期間使用する間にリントフィルタから細かいリントが漏れ出て循環風路に溜まったりすることも考えられる。
このような事情から、水冷式の熱交換器を用いた洗濯乾燥機では、循環風路の内面に付着したリントの除去に苦慮しているのが実情である。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、循環風路の内面に付着したリントを除去することができる洗濯乾燥機を提供することにある。
本発明は、熱交換器は、上下方向に延び下側の端部が水槽に接続された縦型部分と当該縦型部分の上端から横方向に延びる横型部分を有し、乾燥運転時には、水槽内から出た空気は前記縦型部分を下から上へと流れさらに前記横型部分に沿って流れる構成とされ、前記熱交換器内に注水するための注水部を、前記縦型部分と前記横型部分とが交差する部分に配置し、前記横型部分において乾燥運転時の空気の流れで前記注水部よりも下流側であって加熱部材よりも上流側であり前記横型部分の先端部に位置させて放水部を設け、水源の水を放水制御のための放水用給水弁を介して前記放水部から前記横型部分の内部に当該横型部分の延び方向に沿って横向きに放水するようにし、前記放水部の放水口の開口面積は、前記放水用給水弁の出水口のそれよりも小となるように絞られていることを特徴とするものである。
この構成によれば、熱交換器の内面に付着したリントは、注水部から熱交換器内に供給される水によって除去され、また、熱交換器の注水部よりも下流側の循環風路内面に付着したリントは、放水部から放出される水によって除去される。
本発明によれば、注水部および放水部から供給される水によって循環風路内面を洗浄できるので、循環風路内面のリントの堆積を防止することができる。
そのうち、縦型部分22aに付着したリントは、乾燥運転中、注水口体35から縦型部分22a内に放散される熱交換用の水により流し落とされるが、循環風に乗じて横型部分22bに至ったリントは、注水口体35からの水の放散範囲から外れているため、横型部分22bの内面に付着したままとなり、循環風によって乾燥されると、そのリントは仕上げ剤などを含んでいるため、横型部分22bの内面に強くこびり付くようになる。そして、そのこびり付いたリントに、更にその後から循環風に運ばれてきたリントが付着するようになる。この場合、循環風の流れの方向が変化する個所、例えば図1にR1,R2で示すようなコーナー部分にリントは多く付着する。
上記水槽2および回転槽3は、共に前面部を開放した円筒状をなしている。このうち、水槽2の前面開方部分と外箱1の前面部に形成された洗濯物の出入口5との間は、ベローズ6によって連結されている。そして、外箱1には、出入口5を開閉する扉7が設けられている。水槽2内の回転槽3は、洗濯槽として機能することは勿論、脱水槽および乾燥槽としても機能するものであり、その関係上、回転槽3の周壁には、通水用および通風用の小孔3aが多数(図3には一部を図示)形成されていると共に、洗濯物掻き揚げ用のバッフル3bが複数個形成されている。
前記外箱1の上部内側には、給水弁ユニット8が配設されている。この給水弁ユニット8は、洗い用、すすぎ用、熱交換用および放水用の4個の給水弁9〜12(図1および図2参照)をユニット化してなるもので、それら4個の給水弁9〜12の共通の入水口13は、図示しない耐圧ホースを介して水源たる水道の蛇口に接続されている。
上記4個の給水弁9〜12のうち、洗い用およびすすぎ用の給水弁9および10の各出水口は、外箱1内の上部前側に配設された給水ケース14の洗剤貯溜部および仕上げ剤貯溜部(いずれも図示せず)に夫々接続されている。そして、洗い用およびすすぎ用の給水弁9および10は、洗い時およびすすぎ時に夫々開放されて水道水を洗剤貯溜部および仕上げ剤貯溜部を介して水槽2内に供給する。このため、洗い時には、給水と共に洗剤が水槽2内に供給され、すすぎ時には、給水と共に仕上げ剤が水槽2内に供給されるようになる。
水槽2の下部には、水槽2内と連通する水溜器15が取り付けられており、この水溜器15の内部に洗濯水加熱用のシーズヒータ16が配設されている。水溜器15の最低部である後部底面には、排水口17が形成されていて該排水口17に排水弁18を介して排水ホース19を接続することによって水槽2(回転槽3)内の水を機外に排出するようにしている。
水槽2の軸方向一端である後端部2aの中央部には、洗濯機モータ20が配設されている。この洗濯機モータ20は、アウターロータ型のブラシレスモータからなり、そのステータ20aが水槽2の後端部2aに取り付けられ、ロータ20bの中心部に設けた回転軸20cが水槽2内に突出されて回転槽3の底部の中心部に連結されている。これにて洗濯機モータが回転槽3を回転駆動する駆動装置として機能するようにしている。
水槽2の外側には、循環風路21が設けられている。この循環風路21は、水冷式の熱交換器22と循環用送風機23と加熱器24を直列に接続して構成されている。上記熱交換器22は、図1および図2に示すように、水槽2の円形をなす後端部2aの外周側部分に、洗濯機モータ20のほぼ半周を囲むように、即ち洗濯機モータ20の左右両側のうちの一方側から上側にかけて、この実施形態では、水槽2の後方から見て洗濯機モータ20の右側から上側にかけて設けられ、全体として「フ」の字状をなしている。
熱交換器22は、後面が開放された断面ほぼ「コ」の字状のベース部材25と、このベース部材25の開放面を覆う蓋部材26とから構成されてダクト状をなしている。ベース部材25には、図1に示すように、下側の一端部に空気流入口27が形成され、上側の他端部に空気流出口28が形成されており、そのうち空気流入口27は水槽2の空気出口部に接続されている。
一方、前述した循環用送風機23は、図3に示すように、ファンケーシング29内に送風ファン30を設け、この送風ファン30を駆動するモータ31をファンケーシング29の外側に設けた構成のもので、その吸気部は熱交換器22の空気流出口28に接続されている。また、循環風路21の最下流側に位置する前述の加熱器24は、ケース32内に例えばシーズヒータからなる加熱部材としての温風生成用ヒータ33を設けた構成のもので、そのケース32の空気入口部はファンケーシング29の吐気部に接続されている。
更に、水槽2の前部には、図3に示すように、給風管34が配設されている。この給風管34は、一端部が上記加熱器24のケース32の空気出口部に接続され、他端部が水槽2の前面開放部分に臨んでいる。以上により、熱交換器22、循環用送風機23および加熱器24からなる前記循環風路21が構成されている。そして、循環用送風機23が運転されると、水槽2(回転槽3)内の空気が空気流入口27から熱交換器22の内に吸入され、熱交換器22で冷却除湿された後、当該熱交換器22の下流側に存する加熱器24のヒータ33により加熱されて給風管34から水槽2(回転槽3)内に戻されるというように循環する。
上述のように全体として「フ」の字状に構成された熱交換器22は、洗濯機モータの右側にあって上下方向に延びる縦型部分22aと、洗濯機モータの上側にあって左右方向に延びる横型部分22bとを有しており、縦型部分22aと横型部分22bとが交差する部位の上部には、注水部として注水口体35が設けられている。そして、この注水口体35は、前記給水弁ユニット8の熱交換用給水弁11の出水口に接続管路としてのチューブ36を介して接続されている。
従って、熱交換用給水弁11が開かれると、水道水が注水口体35から熱交換器22の縦型部分22a内にその上部から放散される。そして、この縦型部分22aでは、空気が下から上へと流れるため、上昇する空気が上から下へと滴下する水と効率よく接触し、これにより、空気が水により冷却され、除湿されるようになる。そして、注水口体35から放出された水および空気が冷却除湿されることにより生じた水は、空気流入口27から水槽2内に流入し、最終的には、排水弁18の開時に排水口17から排水ホース19を介して機外へと排出されるようになっている。
さて、循環風路21のうち、注水口体35よりも下流側であって循環用送風機23よりも上流側の所定箇所、本実施形態では、熱交換器22の横型部分22bの最下流に放水部としての放水口体37が設けられており、この放水口体37は通水路としてのチューブ38を介して給水弁ユニット8の放水用給水弁12の出水口に接続されている。上記放水口体37は、具体的には、図5に示すように、ベース部材25の終端壁部である左端壁部25aに外方に突出するように形成された突管部39に継手口体40を嵌着してなり、継手口体40に前記チューブ38が接続されている。そして、突管部39の熱交換器22の横型部分22b内に臨む部分に放水口41が形成されている。
このような放水口体37は、放水用給水弁12が開かれると、水道水が放水口41から熱交換器22内に向けて勢い良く吐出されて熱交換器22の内面に吹き付けられ、これにより熱交換器22の内面に付着したリントが洗い流されるようにして除去される。このとき、放水口41は、図6に示すように、例えば横長のスリット状に絞った形状に形成されており、リントが溜まり易い個所により多くの水道水が勢い良く吹き当てられるようにしている。
また、放水口41の開口面積は、放水用給水弁12の出水口のそれよりも小さく定められていて水道水圧の高低変化に係わらず、放水口41からの単位時間当たりの放水水量が一定となるようにしている。つまり、図9は放水口41の開口面積を放水用給水弁12の出水口のそれよりも小さく設定した場合の水道水圧と放水口41からの放水水量との関係を実験して求めたものであるが、この図9から明らかなように、水道水圧がある値以上になると、水道水圧が高くなっても放水水量は、該放水口41の開口面積に応じたほぼ一定水量となることが理解される。このことから、通常の水道水圧の高低変化する範囲では、放出口40の開口面積を放水用給水弁12の出水口のそれよりも小さい所定面積に定めることにより、放水口41からの単位時間当たりの放水量をほぼ一定にすることができるものである。
なお、熱交換器22の外側には、図2に示すように、縦型部分22aと横型部分22bとが交差する部分に位置してエアトラップ42および温度センサ43が設けられている。そのうちエアトラップ42は、熱交換器22内に開口しており、その開口位置は、注水口体35のやや右側下方となっている。このエアトラップ42は、熱交換器22内に浸入する泡を検出するためのものである。つまり、洗剤洗いを行う場合に、低発泡の洗剤を用いれば良いが、非低発泡洗剤を用いた場合、洗い運転時に水槽2内や回転槽3内に多量の泡が発生し、洗濯物を回転槽3の回転により上げて落下させることでたたき洗いをするのに、回転槽3内の泡が洗濯物の落下の衝撃力を受けてしまって十分な洗い効果が得られなくなってしまう。
また、洗い直後の脱水運転時においても、水槽2内の泡が回転槽3の回転抵抗となることから回転槽3の回転速度が上がらず、十分な脱水ができなくなる。水槽2内に泡が発生すると、その泡は空気流入口27から熱交換器22内に浸入し、更に、エアトラップ42内に浸入してその内圧を高める。このエアトラップ42の内圧上昇は、圧力センサからなる泡センサ44(図4参照)により検出される。そして、泡センサ44により泡の発生が検出されると、排水弁18を開いて水槽2内の洗い水を減らす、または、回転槽3の回転速度を低くして洗い水の撹拌頻度を低くするといった泡対応制御を行うようにしている。
上記温度センサ43は、熱交換器22内を流れる空気温度を検出する。この温度センサ43の検出温度は、例えば給風管34から水槽2内に供給される空気温度を検出する温度センサ45(図4参照)とで乾燥率検出手段を構成する。つまり、乾燥運転時にヒータ33により加熱されて水槽2内に供給された温風の熱は、乾燥初期においては、主に洗濯物の温度上昇と洗濯物内の水分の蒸発潜熱に使用され、回転槽3から流出する空気温度は上昇し難い。乾燥が進行すると、衣類内の水分量は減少し、回転槽3内に流入した温風の熱は、洗濯物、回転槽3、空気温度の上昇に使用されるようになり、回転槽3から流出する空気温度が上昇する。よって、乾燥が進行すると、両温度センサ43,45の温風の温度差が次第に小さくなってくるので、両温度センサ43,45の検出温度差によって洗濯物の乾燥率を検出できるものである。
図4には、上記洗濯乾燥機の制御装置46が示されている。この制御装置46は、マイクロコンピュータを主体とするもので、洗濯乾燥機の動作全般を制御する制御手段として機能するようになっている。この制御装置46には、図示しない操作パネルに設けられた各種のキースイッチからなる操作入力部47より各種操作信号、水槽2内の水位を検出するように設けられた水位センサ48からの水位検知信号、前記泡センサ44からの泡検知信号、熱交換器22および水槽2に設けられた温度センサ43および45からの温度検知信号などが入力されるようになっている。
そして、制御装置46は、上記各種の入力信号および予め記憶された制御プログラムに基づいて、前記各種給水弁9〜12、排水弁18、洗濯機モータ20、循環用送風機のモータ(送風機モータ)31、洗濯水加熱用ヒータ16、温風生成用ヒータ33を駆動回路49を介して制御する。この場合、洗濯機モータ20は、インバータによるパルス幅変調(PWM)方式によって回転速度の制御がなされる。
次に、上記構成の作用を説明する。まず、洗濯乾燥運転を終えた後の状態では、次のような事情から、循環風路21の大部分を構成する熱交換器22のうち、特に横型部分22bの内面にリントが付着したまま残っていることが多い。即ち、洗濯乾燥運転の最終工程である乾燥運転時において、洗濯物から散出したリントは、回転槽3から水槽2内に出て該水槽2から熱交換器22内に流入する空気により運ばれ、熱交換器22の縦型部分22aおよび横型部分22bの内面に付着する。
そのうち、縦型部分22aに付着したリントは、乾燥運転中、注水口体35から縦型部分22a内に放散される熱交換用の水により流し落とされるが、循環風に乗じて横型部分22bに至ったリントは、注水口体35からの水の放散範囲から外れているため、横型部分22bの内面に付着したままとなり、循環風によって乾燥されると、そのリントは仕上げ剤などを含んでいるため、縦型部分22bの内面に強くこびり付くようになる。そして、そのこびり付いたリントに、更にその後から循環風に運ばれてきたリントが付着するようになる。この場合、循環風の流れの方向が変化する個所、例えば図1にR1,R2で示すようなコーナー部分にリントは多く付着する。
このようにして循環風路21、特に熱交換器22の横型部分22bに付着したリントは、次の洗濯運転時に自動的に除去される。このリント除去作用を図7および図8に示すタイムチャートをも参照しながら説明する。即ち、操作入力部47を操作して「洗濯乾燥コース」を選択すると、洗いから乾燥までの運転、つまり洗い、脱水、すすぎ、脱水、乾燥の各運転が順に連続して行われるようになる。これらの一連の運転は制御装置46によって制御される。
さて、「洗濯乾燥コース」の運転が開始されると、図7のタイムチャートに示すように、洗い水の供給に先立って、まず洗濯機モータ20が回転駆動されて回転槽3内の洗濯物の重量検知が行われる。この重量検知は、洗濯機モータ20の負荷電流を検出することによって行われる。つまり、洗濯物の量に応じて洗濯機モータ20にかかる負荷が大きくなるので、その負荷電流の大小によって洗濯物の重量を検知できるものである。
洗濯物の重量検知が行われると、その洗濯物重量に応じた水位が設定され、洗い用給水弁9が開かれて水道水が給水ケース14内に貯溜された洗剤と共に水槽2内に供給される。そして、水位センサ48により上記設定水位に達したことが検出されると、洗濯機モータが回転槽3を回転駆動し始めて洗い運転が開始される。この洗い運転の開始により洗濯物が撹拌され、そして、洗濯物に含まれていた空気が抜き出されたり、洗濯物に水がしみ込んだりして水槽2内の水位が設定水位よりも低下するので、洗い運転の開始から所定時間t0経過したところで補注水が行われる。
この補注水は、洗い用給水弁9と放水用給水弁12とが開かれることによって行われる。そして、洗い用給水弁9は、一定時間t1後に閉じられるが、放水用給水弁12は、その後も開かれたままとなり、補注水開始から一定時間t2(t1<t2)経過したところで閉じられる。この両給水弁9,12の開放により、水道水が水槽2内に供給されてその水位を上昇させる。
さて、補注水時に放水用給水弁12が開かれると、水道水が放水口41から熱交換器22の横型部分22b内に向って勢い良く放出される。この放水口41から放出された水は、横型部分22bの内面に吹き当てられ、横型部分22bの内面に付着しているリントを洗い流す。洗い流されたリントは、横型部分22bから縦型部分22aを経て空気流入口27から水槽2内へと流れる水に乗じて水槽2内へと排出される。このようにして前回の乾燥運転時に縦型部分22aに付着したリントは、洗い運転時の補注水時に放水口41からの放水によって除去されるものである。
洗い運転が終了すると、排水弁18が開かれて水槽2内の洗い水を排出する排水運転が行われ、その後、すすぎ洗い前に、洗濯機モータによって回転槽3を高速回転させる脱水運転(排水弁18は開いたまま)が行われる。この排水運転から脱水運転にかけて、つまり排水運転の開始から所定時間t2だけ経過した時点で放水用給水弁12が開かれて上述したと同様に放出口体37から熱交換器22内への放水が行われ、熱交換器22の横型部分22bの内面に付着したリントの除去が再度行われる。
そして、放水用給水弁12が開かれてから所定時間t3経過すると、放水用給水弁12が閉じられて放水口体37からの放水が停止される。このように排水弁18が開かれたままの状態にある排水運転から脱水運転にかけて放水口体37からの放水を行うことにより、熱交換器22内から流し出されたリントを水槽2内に止めることなく機外に排除できるもので、乾燥運転時に熱交換器22内に運ばれるリント量の減少に役立つ。
洗い後の脱水が行われると、排水弁18が閉じられ、次いですすぎ用給水弁10が開かれる。これにより水道水が給水ケース14内に貯溜された仕上げ剤と共に水槽2内に供給される。そして、水槽2内の水位が設定水位に達すると、すすぎ用給水弁10が閉じられて給水が停止される。その後、洗濯機モータにより回転槽3を回転させるすすぎが行われる。
すすぎが終了すると、排水弁18が開かれて排水運転が行われ、続いて脱水運転が行われる。この排水運転から脱水運転にかけても上記したと同様に放水用給水弁12が開かれて水道水が放水口体37から熱交換器22内に放出され、当該熱交換器22内面に付着しているリントが除去される。
ところで、洗い運転時およびすすぎ運転時には、熱交換器22の縦型部分22aの内部に洗い水やすすぎ水が浸入する。洗い水やすすぎ水には、リントが含まれているため、洗い運転後およびすすぎ運転後の排水時に、リントの一部が縦型部分22aの内面に付着したまま残される場合がある。このようにして洗い時やすすぎ時に縦型部分22aの内面に付着したリントは、洗い運転後およびすすぎ運転後に放水口41からの放水が行われても、その放水は縦型部分22aまでには十分に行き届かず、付着したまま残ることとなり勝ちである。
さて、すすぎ後の脱水が終了すると、引き続いて、乾燥運転に入る。この乾燥運転は、洗濯機モータにより回転槽3を回転させながら、送風機モータ31により送風ファン30を回転駆動し、ヒータ33を発熱され、且つ熱交換用給水弁11を開いて注水口体35から水道水を熱交換器22の縦型部分22a内に供給することによって行われる。そして、送風ファン30の回転により、水槽2内の空気が図3に矢印Aで示すように熱交換器22内に吸入され、該熱交換器22の縦型部分22a内を空気が上昇しながら注水口体35から放散されて落下する水道水と熱交換して冷却除湿される。
熱交換器22の縦型部分22aにて除湿された空気は、その後、横型部分22bを通って循環用送風機23のファンケーシング29内に吸引され、更に、ファンケーシング29から加熱器24のケース32内に吐出されてヒータ33により加熱され、温風となって図3に矢印B,Cで示すように給風管34から水槽2(回転槽3)内へと供給される。回転槽3内に供給された温風は、洗濯物を乾燥し、再び熱交換器22内に吸入されて冷却除湿される。このように水槽2(回転槽3)内の空気が循環風路21を通じて循環することにより、洗濯物の乾燥が行われる。
この乾燥運転時において、注水口体35から放散される水道水の一部が熱交換器22の縦型部分22aの内面に降りかかり、そして、該縦型部分22aの内面を伝って流下するため、その際に、洗い運転時やすすぎ運転時に縦型部分22aの内面に付着したまま残されたリントを洗い流す。そして、両温度センサ43および45の検出温度差から所定の乾燥率に達したことが検出されると、そこで乾燥運転が終了する。
以上のように、循環風路21にはリントフィルタは設けられていない。その理由は、前にも説明した通り、水冷式の熱交換器22は、注水口体35から供給されて下方に流れる水に、水槽2から流入した空気を接触させて冷却除湿する構成であるから、ある程度長い上下方向長さを必要とする。このため、熱交換器22は大型になり勝ちであるため、やはり大型である水槽2の後端部2aに配置される。一方、熱交換器22の内面へのリント付着を防止するには、空気流入口27にリントフィルタを設ければ良いが、空気流入口27が水槽2の後部にあるため、リントフィルタを着脱可能とすることは構造上困難である。従って、着脱できないリントフィルタ、つまり掃除できないリントフィルタは設けても無駄であるため、結局、循環風路21をリントフィルタ付きとする構造は採用され難いのである。
このように水冷式の熱交換器22を洗濯乾燥機の後部に配置する構造では、リントフィルタを設けられていないため、熱交換器22を含めて循環風路21の内面にはリントが付着する。そのうち、熱交換器22の縦型部分22a内には、乾燥運転時に注水口体35から熱交換のための注水が行われるため、その注水によって縦型部分22aの内面に付着したリントは除去されるが、横型部分22bの内面に付着したリントは除去されない。
しかしながら、本実施形態では、横型部分22bの最下流側に放水口体37を設け、この放水口体37から横型部分22b内に放水するようにしたので、横型部分22bの内面に付着したリントを除去して縦型部分22a、やがては水槽2へと排除することができる。この場合、放水口体37から放出された水がエアトラップ42の開口端部分や温度センサ43の感温部に吹き当たれば、それらに付着したリントをも除去することが可能となる。
また、本実施形態では、放水口体37からの放水を、洗い運転中の補注水時に行うようにしたので、放水運転を単独で行う場合に比べて洗濯乾燥コースの所要時間を短縮できる上、横型部分22bの内面に付着したリントの除去用の水を、補注水のための水として有効利用できる。このため、洗い用給水弁9の開時間を短くして節水を図ることが可能となる。
更に、本実施形態では、洗い運転後の排水・脱水、すすぎ運転後の排水・脱水においても放水口体37からの放水を行うようにしたので、リント除去をより確実なものとすることができる。例えば、補注水時の放水によって水分を吸収して付着力が弱まったリントを、その後の排水・脱水時の放水によって横型部分22bの内面から剥がし除去することができる。
図10は本発明の第2の実施形態を示すもので、この実施形態が上述の第1の実施形態と相違することころは、放水用給水弁12と、この放水用給水弁12よりも低い位置にある放水口体37の継手口体40とを接続するチューブ38に水封トラップを設けたところにある。
即ち、図10に示すように、チューブ38の途中の放水口体37側の部分にほぼ逆N字状の曲げ部分38aを設け、この曲げ部分38aの放水口体37(放水口41)よりも低い位置にある部分を水封トラップ50としている。従って、この水封トラップ50内には、放水用給水弁12が閉じた後も、水が溜められるようになる。この水封トラップ50内の水によって、放水用給水弁12と熱交換器22内とが遮断されるので、乾燥運転時に熱交換器22内を流れる温度の高い空気が放水用給水弁12側に流れることがなく、当該給水弁12を高温度から保護できる。
図11および図12は本発明の第3の実施形態を示すもので、上述の第1の実施形態との相違は、放水口体37を複数個設けたところにある。即ち、図11に示すように、チューブ38の途中、例えばチューブ38のファンケーシング29への固定部51の近傍に、図12にも示すように分岐手段として例えばT字管52が設けられている。一方、横型部分22bの最下流部に設けられている放水口体37とは別の放水口体53が例えば最下流部よりもやや上流側の部位の上面壁に設けられている。なお、放水口体53は、放水口体37と同一構成のものである。そして、放水口体53の継手口体40は、T字管52の分岐口52aとチューブ54によって接続されている。
この構成によれば、放水用給水弁12が開かれると、水道水が両放水口体37,53から横型部分22b内に放出される。そして、放水口体53からの放水によって、放水口体37からの放水によるリント除去を確実に、或いは放水口体37からの放出水が届かない個所があった場合には、その個所へも放水できて、より広い範囲に対してリント除去を行うことができるようになる。
図13は放水口体37,53の放出口40の変形例を示すもので、図13(a)は細長の十字状に形成した放水口41を示し、以下、(b)は細長の矩形状の放水口41を複数段(例えば2段)に形成した例を示し、(c)は円形の放水口41を複数個(例えば5個)形成した例を示している。
このように放出口40の形状、個数は、放水口体37,53からの放出水を吹き当てたい個所や範囲に応じて適宜定めることができるものである。
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限られるものではなく、以下のような変更或いは拡張が可能である。
脱水時の放水口体37からの放水は、洗い運転後の排水・脱水時またはすすぎ運転後の排水・脱水時だけに止めても良い。また、放水口体37からの放水は、洗濯乾燥コースにおいて、洗い運転の例えば補注水時に1度だけ行うものであっても良く、或いはすすぎ水の供給時にだけ行うようにしても良い。
放水口体37からの放水は、乾燥運転時に全期間にわたり、或いは初期だけ、または終期だけ、更には間欠的に行うようにしても良い。このようにすれば、リントが横型部分22bに入り込んでくる際に、同時に横型部分22bから排除できる。
水槽および回転槽は、中心軸を傾けた横軸配置に限られず、中心軸を水平状態としたもの、或いは、垂直状態とした縦型配置のものであっても良い。
放水口体は3個以上設けても良い。
熱交換器22の配設位置は水槽2の後端部2aに限られない。
本発明の第1の実施形態を示すもので、熱交換器を縦断して示す洗濯乾燥機の要部の背面図 同要部の背面図 洗濯乾燥機全体の縦断側面図 電気的構成を示すブロック図 放水口体の縦断面図 図5のア‐ア線に沿う断面図 洗い運転時の各電気部品のオンオフを示すタイムチャートおよび水槽の水位変化を示す図 脱水時の各電器部品のオンオフを示すタイムチャートおよび水槽の水位変化を示す図 水道水圧と放水口からの放水量との関係を示すグラフ 本発明の第2の実施形態を示す図1相当図 本発明の第3の実施形態を示す図1相当図 分岐部分と放水口体との拡大断面図 放水口の形状の変形例を示す図6相当図
符号の説明
図面中、2は水槽、3は回転槽、9は洗い用給水弁、10はすすぎ用給水弁、11は熱交換用給水弁、12は放水用給水弁、18は排水弁、20は洗濯機モータ、21は循環風路、22は熱交換器、23は循環用送風機、24は加熱器、27は空気流入口、28は空気流出口、33は温風生成用ヒータ(加熱部材)、34は給風管、35は注水口体(注水部)、37は放水口体(放水部)、38はチューブ(通水路)、41は放水口、46は制御装置、50は水封トラップ、53は放水口体を示す。

Claims (5)

  1. 回転槽を収容した水槽の外部に、前記回転槽内の空気を循環用送風機によって循環させるための循環風路を配設し、この循環風路に、ダクト状の熱交換器および前記熱交換器よりも風下側に位置する加熱部材を設け、乾燥運転時、前記回転槽内の空気を前記循環風路内を通して循環させながら前記熱交換器内に注水することにより前記熱交換器内を通る空気を冷却除湿するようにした洗濯乾燥機において、
    前記熱交換器は、上下方向に延び下側の端部が前記水槽に接続された縦型部分と当該縦型部分の上端から横方向に延びる横型部分を有し、乾燥運転時には、前記水槽内から出た空気は前記縦型部分を下から上へと流れさらに前記横型部分に沿って流れる構成とされ、
    前記熱交換器内に注水するための注水部を、前記縦型部分と前記横型部分とが交差する部分に配置し、前記横型部分において乾燥運転時の空気の流れで前記注水部よりも下流側であって前記加熱部材よりも上流側であり前記横型部分の先端部に位置させて放水部を設け、水源の水を放水制御のための放水用給水弁を介して前記放水部から前記横型部分の内部に当該横型部分の延び方向に沿って横向きに放水するようにし、
    前記放水部の放水口の開口面積は、前記放水用給水弁の出水口のそれよりも小となるように絞られていることを特徴とする洗濯乾燥機。
  2. 放水部からの放水は、水槽内への水の供給時に行うことを特徴とする請求項1記載の洗濯乾燥機。
  3. 放水部からの放水は、乾燥運転時に行うことを特徴とする請求項1または2記載の洗濯乾燥機。
  4. 放水部は複数個所に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の洗濯乾燥機。
  5. 放水用給水弁と放水部とは通水路によって接続され、前記通水路には水封トラップが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の洗濯乾燥機。
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