JP4990698B2 - セグメントの継手金具 - Google Patents

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Description

この発明は、相互に複数連結することにより掘削穴の軸方向に筒状壁体を構築するセグメントの継手金具に関する。
一般に、トンネルを構築する方法としては、掘削穴の内面側にコンクリート製のセグメントを相互に複数連結させ該掘削穴の軸方向に筒状壁体を構築するいわゆるシールド工法と呼ばれるものが知られている。また、前記セグメント同士を容易に接合させることができる接合構造として、例えば特許文献1〜特許文献3に記載された継手金具を使用したものが知られている。これは、隣り合うセグメントの接合面の互いに対向する位置に、C形の雌型継手を埋め込んで配置しておき、これら雌型継手の対に、H形の雄型継手を嵌め込み、該雄型継手の両端部が2つの雌型継手に夫々係合されることによって、これらセグメント同士を引き付け接合させるようになっている。
特開平11−236797号公報 特開2001−98894号公報 特開2003−3793号公報
ところで、このような継手金具は、一般に鋳造によって製作されており、また必要とされる用途や強度によって、様々なサイズのものが用意される。そしてその製作にあたっては、様々なサイズに合わせ複数の鋳型を準備する必要があるが、これら鋳型を製作・管理するための費用や労力が嵩み、また継手金具の製作には溶融・固化させる時間がかかるため、工程管理の労力も増える。よって継手金具の製品価格が高くなる。これらをいかにして、容易且つ短時間に行い、継手金具の価格を低減させるかが課題とされていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、継手金具の製作を簡便に行って価格を低減し、また製作のための設備費用を極力少なく抑えつつ様々なサイズのものを製作することが可能なセグメントの継手金具を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。すなわち本発明は、隣り合うセグメント同士を接合するための継手金具であって、前記セグメントの接合面近傍に配置される雌型継手と、隣り合うセグメントに夫々対向配置される前記雌型継手に嵌合されてこれら雌型継手を連結するための雄型継手とから成り、これら雌型継手及び/又は雄型継手が薄板の積層構造を有しており、該雌型継手及び/又は雄型継手は前記セグメント同士の接合方向に対して直交する方向に前記薄板を積層したことを特徴とする。
この発明における継手金具によれば、雌型継手及び/又は雄型継手が薄板を積層することにより製作されているため、この薄板をプレス加工等により製作し積層させることで、容易に継手金具を製造することができる。またこの製造によれば鋳造のように溶融・固化時間を必要としないため、短時間で製作することができる。また積層枚数を増減することで継手金具の用途・サイズに合わせ強度を増減させ調整させることができるので、従来のように何種類もの鋳型を用意し様々なサイズの継手金具を製作する必要がなく、設備費用を極力少なく抑えることができる。
本発明の継手金具において、雌型継手は、薄板の積層構造から成るブロックと、雄型継手を係止するための係止部とを備え、雄型継手は、薄板の積層構造から成る本体と、雌型継手を係合するためのフランジとを備えることとしてもよい。これによれば、薄板の積層構造をプレス加工等により製作することができるので、継手金具を短時間且つ安価に製造することができる。
本発明の継手金具において、雄型継手の薄板には、貫通孔が設けられており、この貫通孔には、雌型継手と係合するためのフランジが貫通されていることとしてもよい。これによれば、フランジを雄型継手に精度よく位置決めさせることができるので、係合される雌型継手と強固に確実に接合させることができる。また、貫通孔は薄板を製作する際のプレス加工等により予め設けられているので、これら薄板を積層させるだけで貫通孔を形成することができ、厚板の状態から貫通孔を加工するのに比べ加工精度が向上され、加工時間が短縮される。また、貫通孔の内面でフランジを支持させるためこのフランジの強度が増し、フランジを固定するための溶接箇所を極力少なく抑えつつその強度は十分確保される。よって、フランジの溶接を強固に行う必要はなく、製作時間を短縮することができる。また強度が増すため、重構造物への適用も可能となる。
本発明の継手金具において、フランジに代えて棒鋼を備えたこととしてもよい。これによれば、セグメントを雄型継手の棒鋼によって雌型継手と係合させ、接合させるので、雄型継手を製作するための材料費用をより低減することができる。
本発明の継手金具において、雌型継手には、セグメント内へ延びるアンカー筋が溶接されていることとしてもよい。これによれば、雌型継手とセグメントとの接合強度を確保させるために必要なアンカー筋を、雌型継手に容易に取り付けることができるので、従来のようにねじ込みのためのねじ切り加工を行う必要がなく、製作にかかる時間・費用を低減させることができる。
本発明の継手金具において、雌型継手には、アンカー筋を係止するための切り欠き部が設けられており、アンカー筋は、U字形又はL字形に形成されていることとしてもよい。これによれば、アンカー筋が、雌型継手の切り欠き部に係止されて固定されているので、セグメントの接合時に、アンカー筋が雌型継手から受ける引張応力を、この切り欠き部が効果的に受け止める。よって、雌型継手とアンカー筋との接合強度を、より向上させることができる。
本発明の継手金具において、雌型継手には、アンカー筋を係止するための貫通孔が設けられており、アンカー筋は、U字形又はL字形に形成されていることとしてもよい。これによれば、アンカー筋が、雌型継手の貫通孔に係止されて固定されているので、セグメントの接合時に、アンカー筋が雌型継手から受ける引張応力を、この貫通孔が効果的に受け止める。よって、雌型継手とアンカー筋との接合強度を、より向上させることができる。
本発明の継手金具において、雌型継手の薄板には、セグメント内へ延びるアンカー部が一体に形成されていることとしてもよい。これら薄板を積層してブロックを形成し、このブロックを用いて雌型継手を形成してセグメント内に配置すれば、このセグメント内に突出して延びるアンカー部が、この雌型継手をセグメント内に強固に固定する。これによれば、雌型継手にアンカー筋を溶接する必要は無く、またアンカー部は薄板を製作する際のプレス加工等と同時に形成されるため特別な加工工程を必要とせず、雌型継手の生産性を向上することができる。
本発明に係る継手金具によれば、継手金具の製作を簡便に行って価格を低減し、また設備費用を極力少なく抑えつつ様々なサイズのものを製作することが可能なセグメントの継手金具を提供することができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る継手金具を示す概略断面図、図2は図1におけるII−II線断面図、図3は雌型継手を示す平面図、図4は雌型継手を示す側面図、図5は雄型継手を示す斜視図、図6及び図7は継手金具の接合手順を示す概略断面図である。また、図8は雄型継手の変形例を示す斜視図、図9乃至図12は雌型継手及びアンカー筋の変形例を示す図、図13は雌型継手の薄板の変形例を示す正面図である。
図1及び図2において、セグメント1は、平面視長方形状且つ側面視円弧板状に形成されたコンクリート製のセグメント1であり、これら隣り合うセグメント1の周方向における端部の接合面2を互いに接合させることにより、掘削穴内にて筒状壁体を構成するリングが構築されるようになっている。図1において、矢印Cはリングの周方向を示しており、矢印Oは筒状壁体の軸方向を示している。図1における軸方向Oの左側は、シールドマシン等が配設される掘削側となる切羽側を示しており、軸方向Oの右側は、トンネル入口側となる坑口側を示している。
接合面2近傍には、継手金具10が軸方向Oに離間して2対設けられており、夫々が坑口側継手金具10a、切羽側継手金具(不図示)とされている。そしてこれら2対の継手金具が接合面2上に同一構造で形成されている。図1に示す継手金具10は坑口側継手金具10aの対であり、この対と同一構造の切羽側継手金具(不図示)は、軸方向Oの切羽側に離間して設けられている。
これら2対の継手金具が設けられ、隣り合わされるセグメント1同士は、軸方向Oの坑口側に向けて既設の筒状壁体へと順次接合させられていくことにより、リングが形成され、筒状壁体が構築されていくようになっている。また図2における矢印Dは、この筒状壁体の径方向を示している。
図1に示すように、継手金具10(10a)は、隣り合うセグメント1の夫々の接合面2側のコンクリート内に埋設された一対の雌型継手20と、これら雌型継手20同士を連結するための雄型継手30とにより構成されている。
図1、図2に示すように、これら一対の雌型継手20は、一方のセグメント1の雌型継手が先付け側雌型継手20aとされ、他方のセグメント1の雌型継手が嵌合側雌型継手20bとされる。夫々の雌型継手20a,20bは、断面C形を成し軸方向Oに筒状に延びる係止部21と、この係止部21の外周側を包むように係止部21の長手方向に離間して嵌め込まれる断面C形の2つのブロック22とを備えている。またこれら雌型継手20a,20bは、図1に示すように、接合面2に対し若干傾斜されて配置されている。
図2に示すように、係止部21は、その断面C形の開口側の内周面が係止面21aとされている。この係止面21aは、図1に示すように、接合面2に対し傾斜されてセグメント1内に配置されている。この係止面21aの傾斜勾配は、接合面2に対し1/20となるように設定されている。また図2乃至図4に示すように、係止部21の断面C形の開口される側と反対側の底面21bの外側の面には、2つのナット23が係止部21の長手方向に離間されて配置され、固定されている。底面21bには、これらナット23の固定される位置に貫通孔21cが夫々設けられている。これらナット23は、セグメント1を製造する際に型枠から延びるボルトに係合されてこの雌型継手20を精度良く型枠内に位置決め固定し、コンクリートを打設するために設けられている。
また、係止部21の断面C形の内周側に形成される空間は、係合空間21dとなされている。この係合空間21dは、その形成される長手方向の一端部が開口されて開口部21eとなっており、他端部が閉塞されて閉塞部21fとなっている。また、図2に示すように、係止部21は、断面C形の開口される側を接合面2へ向け、係合空間21dと接合面2とを連通させた状態でセグメント1内に埋設されている。
ブロック22は、図2乃至図4に示すように、夫々、C形を成す同形状の薄板22aを、係止部21の長手方向に複数積層させ、それらを互いに接合されて形成されている。本実施形態では、例えば厚み4.5mmの薄板22aを6枚重ね27mmの厚みとしたブロック22を、2つ配設している。そしてブロック22は、離間する2つのナット23の外側の面に接するようにして離間してこの係止部21に配置され、固定されている。なお、これらブロック22の配置される位置は、この雌型継手20が後述する雄型継手30のフランジ31と嵌合される際に、このフランジ31の両端近傍にくるようになされている。
係止部21は、断面C形の押出加工材料を用いたり、鋼板をベンダー加工したりすることにより製作される。またブロック22は、鋼板をプレス加工して製作した薄板22aを積層することにより製作される。そして、係止部21とブロック22とは互いに溶接により接合されている。また、図2に示すように、ブロック22には、その径方向Dの外側の両端面に棒鋼からなるアンカー筋24がこれら端面の形成される長手方向に沿うようにして配設され、セグメント1内へと延びている。これらブロック22とアンカー筋24とは、互いに溶接されて接合されている。このアンカー筋24によって、雌型継手20は、セグメント1を構成するコンクリートに強固に固定されるようになされている。
夫々の雌型継手20a,20bがセグメント1内に埋設された状態において、図1に示すように、雄型継手30を挿入するための穴状の挿入口3が、接合面2に開口されて形成されており、開口部21eの側近に配置されている。そして、この挿入口3と係合空間21dとは、開口部21eを通して連通されている。
一方、雄型継手30は、図5に示すように、矩形で同形状の薄板30aを複数積層させ、それらを互いに接合させて形成されている。本実施形態では、例えば厚み4.5mmの薄板30aを4枚重ね18mmの厚みとして形成している。また、夫々の薄板30aには矩形状の貫通孔30bが2つずつ同一箇所に形成されており、これら貫通孔30bは積層状態で夫々連通されている。またこれら2つの貫通孔30bは、薄板30aの一方の側端面30cから他方の側端面30dに向かうに従って、漸次互いに近づくように傾斜されて形成されている。
また、2つの貫通孔30bには、夫々直方体状の形状を有するフランジ31が嵌合されている。フランジ31は、その断面形状が貫通孔30bと略同一となされており、この貫通孔30bに嵌合されて、点付け溶接32によって接合されている。また、フランジ31は、その貫通する向きの一方と他方とに夫々略均等な長さの耳部31aを突出させてこの貫通孔30bに配置されている。これら2つのフランジ31の、互いに向かい合う耳部31aの内側の面は、夫々係合面31bとなされている。これら係合面31bは対称となるように互いに傾斜して形成されており、その傾斜勾配が夫々1/20となるように設定されている。
また図5に示すように、側端面30dの下方には、反力付与部材33が側端面30dに略直交する向きに延在されて配設されている。この反力付与部材33は、鋼管等からなる筒状体の内部に鉛等の軟質材料から成る丸棒を嵌合させるようにして形成されたものであり、その筒状体の側端面30dの側と反対側の端部から側端面30dに向け押圧力を受けた際に、押圧力に対し反力を付与させることができるよう構成されている。
また、この継手金具10(10a)の対と同じ接合面2上に形成されるもう一対の切羽側継手金具(不図示)も、この継手金具10(10a)と同一の構造で形成されて、軸方向Oの切羽側に離間して設けられている。
次に、このように構成される継手金具10を用いたセグメント1同士の接合について説明する。隣り合うセグメント1同士を接合させるには、まず、図6に示すように、予め一方のセグメント1に、雄型継手30の反力付与部材33に近い側に配置される一方のフランジ31を、反力付与部材33が閉塞部21fを向くようにして挿入口3に挿入させる。そして、このフランジ31を、先付け側雌型継手20aの係合空間21dの長手方向略中央近傍まで移動させて、配置しておく。そして、雄型継手30の他方のフランジ31を、接合面2の外方へ突出させて配置しておく。
次に、図7に示すように、外方へ突出された他方のフランジ31を他方のセグメント1の挿入口3に挿入し、夫々のセグメント1の接合面2同士を突き合わせる。そしてこの状態で、他方のセグメント1を、軸方向Oの坑口側(図7における右側)へと移動させると、他方のセグメント1の挿入口3に挿入されたフランジ31は、他方のセグメント1に配設される嵌合側雌型継手20bの係合空間21dへと配置させられる。そして、他方のセグメント1を坑口側に既設される筒状壁体(不図示)に当接するまで移動させると、図1に示すように、先付け側雌型継手20aと嵌合側雌型継手20bとが接合面2を挟んで対向配置させられる。
この接合の際、雄型継手30は、その反力付与部材33の側端面30dの側と反対側の端部が先付け側雌型継手20aの閉塞部21fの内側の面に当接されて押圧力を受け、この面に反力をとるので、この係合空間21dに安定して配置され、雌型継手20a,20bの対にバランスよく押し込まれた状態となる。
そして図1に示すように、2つのフランジ31は、夫々の係合空間21d内に嵌合され、雌型継手20a,20bの対を連結させるとともに、夫々の係止部21の係止面21aにその係合面31bを係合させる。夫々の係止面21aと係合面31bとは同一勾配となされているので、これらの係合が面と面とで強固に行われつつ、雌型継手20a,20b同士が引き寄せられセグメント1同士は接合されるようになっている。
なお、坑口側継手金具10aを用いてこの接合を説明したが、不図示の切羽側継手金具の接合についてもこの坑口側継手金具10aと同時に同様の手順で行われるようなされており、これら2対の継手金具が協働して、隣り合うセグメント1同士を接合させるようになっている。
本発明の実施形態の継手金具10によれば、雌型継手20のブロック22は、薄板22aを複数積層させそれらを互いに接合して製作されており、また雄型継手30は、その本体部分が薄板30aの積層構造によって形成されており、それらを互いに接合して製作されている。よって、これら薄板22a,30aを、夫々プレス加工等により製作し積層させることで、容易にこれら継手金具10を製造することができる。またこの製造によれば、従来のように鋳造により溶融・固化させる時間を必要としないため、短時間で製作することができる。また積層枚数を増減することで、継手金具10の用途・サイズに合わせ強度を増減させ調整させることができるので、従来のように何種類もの鋳型を用意し様々なサイズの継手金具を製作する必要がなく、設備費用を極力少なく抑えることができる。
また、雄型継手30の複数の薄板30aには夫々貫通孔30bが設けられ、フランジ31がこの貫通孔30bに嵌合されて配設されているので、フランジ31を雄型継手30に精度よく位置決めすることができ、係合される雌型継手20と強固に確実に接合させることができる。また、貫通孔30bは薄板30aを製作する際のプレス加工等により予め設けられているので、これら薄板30aを積層させるだけで貫通孔30bを形成することができ、厚板の状態から貫通孔を加工するのに比べ加工精度が向上され、加工時間が短縮される。
また、貫通孔30bの内面でフランジ31を支持させるため、フランジ31はその貫通方向に移動されない程度に点付け溶接されればよく、これにより、溶接箇所を極力少なく抑えつつこのフランジ31の強度は十分確保されている。よって雄型継手30の製作時間を短縮することができ、また強度が増すため、重構造物への適用も可能となる。
また、雌型継手20には、セグメント1内へ延びるアンカー筋24が溶接されて接合されているので、従来のようにねじ込みのためのねじ切り加工を行う必要はなく、アンカー筋24を雌型継手20に容易に取り付けることができ、製作にかかる時間・費用を低減させることができる。
以上説明したように、本実施形態におけるセグメント1の継手金具10によれば、その製作を簡便に行って価格を低減し、また設備費用を極力少なく抑えつつ様々なサイズのものを製作することが可能である。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態では雄型継手30にフランジ31を貫通させるとしたが、雌型継手20の対と係合可能な構成であればこれに限定されることはない。図8に示すものは、本実施形態の第一変形例であり、フランジ31の代わりに同径の複数の丸鋼34を用いている。そしてこれら丸鋼34の軸線を夫々同一直線上に配置し、これらの連設される直線を係合面31bと同一勾配となるよう傾斜させ、貫通孔の形状を丸孔30eとして、これら丸鋼34を嵌合させて接合し固定している。また丸鋼34に限らず、角鋼や楕円鋼など、別の形状の棒鋼を用いても構わない。これによれば、雄型継手30を製作するための材料費用を、より低減させることができる。
また、図9及び図10に示すものは、本実施形態の第二変形例であり、雌型継手20のブロック22に切り欠き部25を設けて、アンカー筋24aを図のようにU字形に形成しこの切り欠き部25に係止させ、これらを互いに固定している。これによれば、アンカー筋24aが、切り欠き部25に係止されて固定されるので、セグメント1の接合時に、アンカー筋24aが雌型継手20から受ける引張応力を、この切り欠き部25が効果的に受け止める。よって、雌型継手20とアンカー筋24aとの接合強度を、より向上させることができる。またこの第二変形例で、アンカー筋24aをL字形に形成しても構わない。
図11及び図12に示すものは、本実施形態の第三変形例であり、雌型継手20のブロック22を薄板22aの積層方向に貫通する複数の貫通孔26を設けて、この貫通孔26に夫々L字形のアンカー筋24bを挿入しこの貫通孔26に係止させ、これらを互いに固定している。ここで、アンカー筋24bを貫通させる方向は、一方から他方、または他方から一方へと、交互に向きを変えるようにして配置するのが好ましい。これによれば、アンカー筋24bが、貫通孔26に係止されて固定されているので、セグメント1の接合時に、アンカー筋24bが雌型継手20から受ける引張応力を、この貫通孔26が効果的に受け止める。よって、雌型継手20とアンカー筋24bとの接合強度を、より向上させることができる。また、これらアンカー筋24bが交互に向きを変えるようにして貫通して配置されているので、引張応力を均等に受け止め、より接合強度を高めるようになされている。またこの第三変形例で、アンカー筋24bを貫通孔26に挿入した後に折り曲げ、U字形に形成しても構わない。
また図13に示すものは、本実施形態の第四変形例であり、この薄板22aは、図のように略Y字状に形成されており、略C字状の係合本体部22bから突出して延びるアンカー部22cを備えている。そして、これら薄板22aを積層してブロック22を形成し、このブロック22を用いて雌型継手20を形成してセグメント1内に配置すれば、このセグメント1内に突出して延びるアンカー部22cが、この雌型継手20をセグメント1内に強固に固定するようになっている。この第四変形例によれば、雌型継手20にアンカー筋を溶接する必要は無く、またアンカー部22cは薄板22aを製作する際のプレス加工等と同時に形成されるため特別な加工工程を必要とせず、よって雌型継手20の生産性を向上することができる。
また本実施形態では、雌型継手20のブロック22を係止部21の長手方向に2つ離間して配置するとしたが、これに限らず、ブロック22を離間して3つ以上配置したり、或いは図9や図11に示すように、ブロック22を1つにして、薄板22aの積層枚数を増やしたりして、その強度を確保させるようにして配置させてもよい。
また本実施形態では、反力付与部材33は、鋼管等からなる筒状体の内部に鉛等の軟質材料から成る丸棒を嵌合させるようにして形成されるとしたが、反力を付与させることが可能な構成であればこれに限らず、例えば2つの嵌め合わされる有底筒状体の管内部にバネ部材等からなる弾性部材を内蔵させ、この弾性部材の付勢力により反力を付与させるように構成してもよい。また、鋼管等からなる2つの筒状体同士を、締まりばめにより嵌合させ、反力を付与させるように構成してもよい。
また、本実施形態ではセグメント1をコンクリート製としたがこれに限ることなく、例えば、ダクタイルセグメントやスチールセグメント、ダクタイルとコンクリートとの合成セグメントなど、各種セグメントに適用しても構わない。また継手金具10の材質は、溶接等により接合可能な材料であればよく、その材質を限定されるものではない。
尚、上述の実施形態では、雄型継手30と雌型継手20との両方について薄板の積層構造を採用したが、いずれか一方のみにこの積層構造を採用することとしてもよい。
本発明の一実施形態に係る継手金具を示す概略断面図である。 図1におけるII−II線断面図である。 雌型継手を示す平面図である。 雌型継手を示す側面図である。 雄型継手を示す斜視図である。 継手金具の接合手順を示す概略断面図である。 継手金具の接合手順を示す概略断面図である。 雄型継手の変形例を示す斜視図である。 雌型継手及びアンカー筋の変形例を示す側面図である。 雌型継手及びアンカー筋の変形例を示す正面図である。 雌型継手及びアンカー筋の変形例を示す側面図である。 雌型継手及びアンカー筋の変形例を示す正面図である。 雌型継手の薄板の変形例を示す正面図である。
符号の説明
1 セグメント
2 接合面
10 継手金具
20 雌型継手
21 係止部
22 ブロック
22a 薄板
22c アンカー部
24 アンカー筋
24a アンカー筋
24b アンカー筋
25 切り欠き部
26 貫通孔
30 雄型継手
30a 薄板
30b 貫通孔
31 フランジ
34 丸鋼

Claims (8)

  1. 隣り合うセグメント同士を接合するための継手金具であって、
    前記セグメントの接合面近傍に配置される雌型継手と、隣り合うセグメントに夫々対向配置される前記雌型継手に嵌合されてこれら雌型継手を連結するための雄型継手とから成り、
    これら雌型継手及び/又は雄型継手が薄板の積層構造を有しており、該雌型継手及び/又は雄型継手は前記セグメント同士の接合方向に対して直交する方向に前記薄板を積層したことを特徴とする継手金具。
  2. 前記雌型継手は、前記薄板の積層構造から成るブロックと、前記雄型継手を係止するための係止部とを備え、
    前記雄型継手は、前記薄板の積層構造から成る本体と、前記雌型継手を係合するためのフランジとを備えることを特徴とする請求項1記載の継手金具。
  3. 前記雄型継手の前記薄板には、貫通孔が設けられており、
    前記貫通孔に、前記フランジが貫通されていることを特徴とする請求項2記載の継手金具。
  4. 前記フランジに代えて棒鋼を備えたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の継手金具。
  5. 前記雌型継手には、セグメント内へ延びるアンカー筋が溶接されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の継手金具。
  6. 前記雌型継手には、アンカー筋を係止するための切り欠き部が設けられており、
    前記アンカー筋は、U字形又はL字形に形成されていることを特徴とする請求項5記載の継手金具。
  7. 前記雌型継手には、アンカー筋を係止するための貫通孔が設けられており、
    前記アンカー筋は、U字形又はL字形に形成されていることを特徴とする請求項5記載の継手金具。
  8. 前記雌型継手の前記薄板には、セグメント内へ延びるアンカー部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の継手金具。
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