JP4988186B2 - 抗皮膚障害剤、及びこれを含有する皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
又、加齢、紫外線曝露等により生じる皮膚のシワやタルミ、ハリや弾力性の低下を予防、あるいは改善するために、レチノイン酸(非特許文献4参照)、抗炎症薬(非特許文献5参照)やオウバクエキス、シラカバエキス、セージエキス、ローマカミツレエキス等(特許文献2参照)、メリッサ抽出物(特許文献3参照)、更に細胞外マトリックス成分の異常蓄積、皮膚肥厚、シワ等の抑制に活性型ビタミンD3(非特許文献6参照)の配合が報告されている。
本発明に用いられる9−オクタデセン二酸は、炭素数18の9位に不飽和結合を有し、両末端にカルボン酸を持つ不飽和ジカルボン酸であり、安全性が確認され化粧料や皮膚外用剤に用いることができるものであればよく、通常一般に市販されている9−オクタデセン二酸等を用いることができる。
既に抗シワ効果が報告されているシラカバ樹皮乾燥物の破砕物100gに対して、25vol%エタノール水溶液1,000mLを加え、還流抽出を2時間行なった。これを遠心分離、加圧ろ過し、膜分離を用い、分子量5,000以下のものを採取し、抽出液660mLを得、エバポレーターで減圧濃縮し、エタノールを留去後、この液を凍結乾燥し、シラカバ樹皮抽出物を7.4g得た。
下記調製方法により抗皮膚障害製剤を調製し、紫外線照射による皮膚肥厚、シワ形成、皮膚硬化、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積(総ヒドロキシプロリン量、デルマタン硫酸量)、コラーゲン架橋(ペプシン耐性ヒドロキシプロリン)について評価した。
9−オクタデセン二酸及び上記製造例によるシラカバ樹皮抽出物を基剤(ポリエチレングリコール1000:エチルアルコール=1:1)に溶解して試料を調製し、ヘアレスマスウス紫外線照射による皮膚評価試験に用いた。尚、9−オクタデセン二酸は2%濃度に、シラカバ樹皮抽出物は陽性コントロールとして5%濃度に調製し用いた。
1群8匹とし、紫外線照射90分前に上述の試料をヘアレスマウス(10週齢)背中に0.1g塗布し、一定量の紫外線(東芝FL20S・BLBランプ)を1日2時間(5回/週)20週間照射し(総照射量:720J/cm2)、皮膚肥厚、シワ形成、及び皮膚硬化の抑制効果を調べた。
尚、これらの試料の紫外線吸収スペクトルを測定し、これらは評価試験に影響を与えないことを確認した。
(皮膚肥厚抑制効果)
紫外線照射前と紫外線照射20週後の皮膚の厚みをダイアル厚みゲージ(OZAK.MFG.CO.LTD.)を用い測定した。結果は、8匹の皮膚厚みの平均値、及びその20週間後の増加率で評価した。
紫外線照射20週後のシワ形成について、下記表4に示す「光皮膚老化グレード」に基づいてシワグレードを判定した。結果は、8匹の評点の平均値で評価した。
ヘアレスマウス皮膚背部中央部位を摘み、復元に5秒以上を要する皮膚を皮膚硬化とし、マウス8匹中の発現率で評価した。
(総ヒドロキシプロリン;コラーゲン定量法)
皮膚中のヒドロキシプロリンを測定し、コラーゲン異常蓄積量を評価した。
ヒドロキシプロリンの定量は先ず、ヘアレスマウス背部皮膚の凍結切片(20ミクロン)を作製し、スライドガラス上で皮膚切片を加熱処理後、0.05%アルカリ性プロテアーゼ(アクチナーゼE;科研製薬製)(500チロシナーゼ単位/mL)で酵素分解(40℃−2時間)し、この酵素溶液に可溶化した。その後、真空封印し、6N塩酸を用い加水分解後(145℃−4時間)、Woessener法にてヒドロシキプロリンを発色させ、測定した。
コラーゲン同様、細胞外マトリックス成分であるデルマタン硫酸の異常蓄積は紫外線照射による皮膚老化指標の一つで、この成分を測定することにより皮膚老化度を評価した。ヘアレスマウス背部皮膚をホルマリン固定後、6ミクロンの皮膚切片を作製し、スライドガラス上で皮膚切片をコンドロイチナーゼABC(0.5単位/mL)及びコラーゲナーゼ(500マンデル単位/mL)の酵素混合溶液で酵素分解(37℃−2時間)し、この酵素溶液に可溶化させた後、下記の条件のポストカラム法にてHPLC装置を用いて試料を分離し、反応試薬1と混合し、次いで反応試薬2と混合後、110℃−2分間チューブ内で反応させ、蛍光誘導体とし、蛍光検出器で測定した。
HPLCカラム:DOCOSIL(4.6i.d.×150mm:センシュー科学社製)
蛍光検出:Ex.346nm、Em.410nm
移動相:8.5%アセトニトリル−1mMテトラn−ブチルアンモニウム水素硫酸
流速:1.5mL/分
カラム温度:60℃
反応試薬1:0.3M NaOH(0.25mL/分)
反応試薬2:0.25%2−シアノアセトアミド
酸性プロテアーゼ(ペプシン;ナカライテスク社製)による分解の難易により、皮膚中のコラーゲン架橋度を評価した。
先ず、上記コラーゲン定量法で作製したヘアレスマウス背部皮膚の凍結切片(20ミクロン)をスライドガラス上で0.01%ペプシン(366単位/mL)で酵素分解(5℃−64時間)し、ペプシン可溶のコラーゲンを水にて洗浄し除去した。その後、上述した同様な方法にてペプシン耐性のコラーゲンを加熱後、アクチナーゼEを用い酵素分解し、この酵素溶液に可溶化した。次に溶液を真空封印し、6N塩酸を用い加水分解後(145℃−4時間)、Woessener法にてヒドロシキプロリンを発色させ、ペプシン耐性ヒドロキシプロリンを測定した。
皮膚中の総ヒドロキシプロリンに対するペプシン耐性ヒドロキシプロリンの含有率を算出し、コラーゲン架橋形成の指標とした。
ペプシン耐性ヒドロキシプロリン含有率(%)=(ペプシン耐性ヒドロキシプロリン/総ヒドロキシプロリン)×100
(成分) (%)
(1)モノステアリン酸
ポリエチレングリコール(40E.O.) 2.0
(2)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 5.0
(3)ステアリン酸 5.0
(4)ベヘニルアルコール 1.0
(5)流動パラフィン 10.0
(6)トリオクタン酸グリセリル 10.0
(7)9−オクタデセン二酸*1 2.0
(8)グリセリン 5.0
(9)防腐剤 適量
(10)香料 適量
(11)精製水 残量
*1 ユニケマ社製
A.成分(1)〜(7)を混合し、加熱して70℃に保つ。
B.成分(8)及び(9)、(11)を混合し、加熱して70℃に保つ。
C.AにBを加えて乳化する。
D.Cに成分(10)を加えた後、冷却してクリームを得た。
(成分) (%)
(1)グリセリン 10.0
(2)1,3−ブチレングリコール 6.0
(3)クエン酸 0.1
(4)クエン酸ナトリウム 0.3
(5)精製水 残量
(6)9−オクタデセン二酸*1 0.1
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.8
(8)エチルアルコール 8.0
(9)防腐剤 適量
(10)香料 適量
A.成分(1)〜(6)を混合溶解する。
B.成分(7)〜(10)を混合溶解する。
C.AとBを混合して、均一にし、化粧水を得た。
(成分) (%)
(1)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(2)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン
(20E.O.) 0.1
(3)親油型モノステアリン酸グリセリル 0.2
(4)ステアリン酸 0.5
(5)セタノール 0.5
(6)スクワラン 3.0
(7)流動パラフィン 4.0
(8)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
(9)ジメチルポリシロキサン 1.0
(10)9−オクタデセン二酸*1 0.1
(11)水素添加大豆リン脂質 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー水溶液(1.0%) 10.0
(13)水酸化ナトリウム 0.05
(14)グリセリン 5.0
(15)1,3−ブチレングリコール 7.0
(16)精製水 残量
(17)エチルアルコール 5.0
(18)防腐剤 適量
(19)香料 適量
A.成分(1)〜(11)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(12)〜(16)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.AにBを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後(17)〜(19)を加え、均一に混合して乳液を得た。
(成分) (%)
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)無水ケイ酸 0.5
(3)ポリエチレングリコール 0.5
(4)ポリオキシプロピレンメチルグルコシド 5.0
(5)グリセリン 5.0
(6)精製水 残量
(7)エチルアルコール 10.0
(8)防腐剤 適量
(9)9−オクタデセン二酸*1 0.2
(10)香料 適量
A.成分(1)〜(6)を混合し、70℃に加熱して溶解後、冷却する。
B.成分(7)〜(10)を混合して溶解する。
C.AにBを加え、混合してパックを得た。
(成分) (%)
(1)ジペンタエリトリットテトラ12ヒドロキシステアリン酸
セスキステアリン酸ヘミロジンエステル 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 8.0
(7)9−オクタデセン二酸*1 0.1
(8)防腐剤 適量
(9)グリセリン 5.0
(10)トリエタノールアミン 1.0
(11)カルボキシメチルセルロース 0.2
(12)ベントナイト 0.5
(13)精製水 残量
(14)酸化チタン 6.0
(15)微粒子酸化チタン 2.0
(16)微粒子酸化亜鉛 5.0
(17)マイカ 2.0
(18)タルク 4.0
(19)着色顔料 4.0
(20)香料 適量
A.成分(1)〜(7)を加熱し混合溶解する。
B.Aに成分(14)〜(19)を加え、均一に混合し、70℃に保つ。
C.成分(8)〜(13)を均一に溶解し、70℃に保つ。
D.CにBを添加して、均一に乳化する。
E.Dを冷却後、成分(20)を添加してリキッドファンデーションを得た。
(成分) (%)
(1)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.0
(2)ジメチルポリシロキサン 5.0
(3)オクタメチルシクロテトラシロキサン 20.0
(4)イソノナン酸イソトリデシル 5.0
(5)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 5.0
(6)微粒子酸化チタン 10.0
(7)微粒子酸化亜鉛 10.0
(8)酸化ジルコニウム 5.0
(9)ポリスチレン末 3.0
(10)トリメチルシロキシケイ酸 0.5
(11)9−オクタデセン二酸*1 0.2
(12)防腐剤 適量
(13)ジプロピレングリコール 3.0
(14)エチルアルコール 10.0
(15)精製水 残量
(16)食塩 0.2
(17)香料 適量
A.成分(1)〜(11)を混合分散する。
B.成分(12)〜(16)を混合溶解する。
C.AにBを添加して、均一に乳化する。
D.Cに成分(17)を添加して日焼け止め乳液を得た。
Claims (4)
- 9−オクタデセン二酸を有効成分とする、紫外線曝露に起因する、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積、コラーゲン架橋形成、シワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化の少なくとも一つ以上を抑制又は改善するための剤。
- 皮膚外用剤に添加するための、請求項1記載の剤。
- 皮膚外用剤が老化防止用であることを特徴とする、請求項2記載の剤。
- 9−オクタデセン二酸を皮膚へ投与することを特徴とする、紫外線曝露に起因する、皮膚細胞外マトリックス成分の異常蓄積、コラーゲン架橋形成、シワ形成、皮膚肥厚、皮膚硬化の少なくとも一つ以上を、抑制又は改善する方法(ヒトに対する医療行為を除く。)。
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