JP4987755B2 - 繊維状ピッチの製造方法及び炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、エレクトロスピニング法を用いた繊維状ピッチの製造方法及び炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、強度や弾性率が高い材料であり、高性能複合材料のフィラー繊維として最も注目されている。その中でもピッチ系炭素繊維は、炭化工程の歩留が大きい、繊維の弾性率が高いなど、ポリアクリロニトリル系炭素繊維に比べて種々の利点を有する。
周知のように、重質油,タール,ピッチ等の炭素質原料を350〜500℃に加熱すると、粒径が数μm〜数百μmの光学的異方性を示す小球体が生成する。そして、さらに加熱するとこれらの小球体は成長、合体し、ついには全体が光学的異方性を示す状態となる。この異方性組織は、炭素質原料の熱重縮合反応により生成した平面状分子である芳香族縮合環が層状に積み重なり配向したもので、黒鉛結晶構造の前駆体とみなされている。
このような異方性組織を含む熱処理物は、一般的にはメソフェーズピッチと呼称されている。メソフェーズピッチを紡糸用ピッチとして使用する方法としては、たとえば、石油系ピッチを静置条件下で約350〜450℃で加熱処理し、40〜90質量%のメソフェーズを含有するピッチを得て、これを紡糸用ピッチとする方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、光学的に等方質の炭素質原料を上記方法によってメソ化するには長時間を要する。そこで、まず炭素質原料を充分量の溶媒で処理してその不溶分を得て、これを230〜400℃の温度で短時間加熱処理することにより、高度に配向され、光学的異方性部分が75質量%以上で、キノリン不溶分が25質量%以下の所謂ネオメソフェーズピッチを形成し、これを紡糸用ピッチとする方法が提案されている(特許文献2)。
上記以外で高特性炭素繊維製造用の配向性の良い紡糸用ピッチとしては、たとえば、コールタールピッチを水添処理し、次いで450℃程度で短時間加熱処理して得られる、光学的に等方性で600℃以上に加熱することによって異方性に変わる性質を有するピッチ、所謂プリメソフェーズピッチが提案されている(特許文献3)。また、メソフェーズピッチをBirch還元法等により水素化処理して得られる、光学的に等方性で外力を加えるとその方向への配向性を示すピッチ、所謂ドーマントメソフェーズピッチ(特許文献4)等が提案されている。このような紡糸用ピッチをノズルを通して溶融紡糸することによりピッチ繊維を得ることができ、次いでこのピッチ繊維を不融化、炭化、さらに場合により黒鉛化することによって、ピッチ系の高特性炭素繊維を得ることができる。
しかしながら、これらの各種メソフェーズピッチは、加熱処理時に発生する低沸点成分や、加熱処理時の雰囲気気体である窒素等のガス成分を含有している。低沸点成分やガス成分を含有したピッチを溶融紡糸,不融化,炭化して炭素繊維を製造すると、安定した紡糸状態が維持できないことはもとより、得られた繊維に糸切れ、ケバ立ち等の問題が生じやすいので、高特性の製品となりにくい傾向があった。
そこで、特許文献5には、ピッチに含有される低沸点成分を放出させる技術が開示されている。すなわち、炭素質原料を加熱処理してメソフェーズの含有量が70%以上のピッチとし、これを溶融状態で、減圧下335〜400℃の温度で回転体上に供給し、遠心力により前記回転体上に薄膜状に展開して、含有している低沸点成分を放出させるという技術である。
特開昭49−19127号公報 特開昭54−160427号公報 特開昭58−18421号公報 特開昭57−100186号公報 特開平10−102066号公報
しかしながら、このようなピッチを335℃以上の温度で連続的に配管、回転体等に長時間流し続けると、所謂コーキングという現象が発生し、とりわけ配管等の流れが澱んでいる部分では、コーキングの発生が顕著であった。また、コーキングが発生すると熱伝導が悪くなるので、ピッチの温度を335℃以上に維持するためには、配管等を335℃よりもかなり高い温度に加熱する必要があり、その結果さらにコーキングが起こりやすくなるという悪循環が生じる問題があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、ピッチが安定な335℃未満の温度で低沸点成分やガス成分を取り除くことが可能な繊維状ピッチの製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、高特性の炭素繊維の製造方法を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る繊維状ピッチの製造方法は、帯電させたピッチ系物質の溶融物をノズルから吐出して繊維状に形成しコレクタに捕集するエレクトロスピニング法によって繊維状ピッチを製造するに際して、前記ピッチ系物質を250℃以上335℃未満に加熱して溶融物とすることを特徴とする。前記繊維状ピッチの融点は、原材料である前記ピッチ系物質の融点よりも高いことが好ましい。
また、本発明に係る炭素繊維の製造方法は、前述のような繊維状ピッチの製造方法で得られた繊維状ピッチを熱処理して炭素繊維とすることを特徴とする。
本発明の繊維状ピッチの製造方法によれば、ピッチが安定な335℃未満の温度で低沸点成分やガス成分を取り除くことができる。また、本発明の炭素繊維の製造方法によれば、高特性の炭素繊維を製造することができる。
本発明に係る繊維状ピッチの製造方法及び炭素繊維の製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、エレクトロスピニング法によって繊維状ピッチを製造する繊維状ピッチ製造装置の構造を示す概念図である。
この繊維状ピッチ製造装置は、原材料であるピッチ系物質の溶融物10を貯蔵する貯蔵タンク1と、貯蔵タンク1を加熱してピッチ系物質を溶融状態に保つ電熱ヒーター2と、貯蔵タンク1に設けられ貯蔵タンク1内のピッチ系物質の溶融物10を吐出するノズル3と、繊維状ピッチ11を捕集するコレクタ4と、ノズル3とコレクタ4との間に電圧を印加してピッチ系物質の溶融物10を帯電させる電圧発生機5と、を備えている。
まず、原材料であるピッチ系物質を、以下のようにして調製した。コールタール,石油の減圧残油等の炭素質原料を、窒素,アルゴン等の不活性ガス雰囲気下又は前記不活性ガスを吹き込みながら、350〜500℃(より好ましくは380〜450℃)で2分〜50時間(より好ましくは5分〜5時間)加熱処理することによって、融点が150℃以上のピッチ系物質を調製した。このピッチ系物質には、該加熱処理時に発生する低沸点成分や、該加熱処理時の雰囲気気体である不活性ガス等のガス成分が含有されている。
このようにして得られたピッチ系物質を貯蔵タンク1に装入し、電熱ヒーター2により加熱して溶融した。この溶融物10は、貯蔵タンク1内で250℃以上335℃未満に保持されている。次に、電圧を印加して貯蔵タンク1,ノズル3,及び溶融物10を正電荷に帯電させ、コレクタ4を負電荷に帯電させた。帯電している溶融物10が貯蔵タンク1からノズル3に送り出されノズル3から吐出されると、溶融物10がコレクタ4に引き寄せられ繊維状となり、マイクロメーターオーダー又はナノメーターオーダーの直径を有する極細の繊維状ピッチ11がコレクタ4に捕集された。
高電圧のみでは溶融物10がノズル3から吐出されない場合は、貯蔵タンク1内を加圧状態にして溶融物10をノズル3に送り出すとよい。貯蔵タンク1内を加圧状態とするには、窒素,アルゴン等のガス圧を利用してもよいし、ギアポンプ等を用いてもよい。
このような繊維化時に、ピッチ系物質に含有されている前述の低沸点成分やガス成分が効率よく除去されるので、安定した繊維化を行うことができる。粘度,導電性,弾性,表面張力等の溶融物10の物性や、印加電圧,溶融物10の送り出し量,ノズル3とコレクタ4との間の距離等の製造条件や、雰囲気温度,湿度,気圧等の環境条件によって、繊維状ピッチ11の直径,長さ,形状,表面性状等を制御することができるが、ノズル3の内径,印加電圧,溶融物10の送り出し量等を調整して繊維状ピッチ11の直径を5μm以下とすれば、低沸点成分やガス成分の除去効率がより高くなる。繊維状ピッチ11の直径が細いほど、低沸点成分やガス成分の除去効率は高くなる。また、溶融物10が吐出されるノズル3の周辺を減圧状態とすれば、低沸点成分やガス成分の除去効率を高めることができる。
溶融物10の温度が250℃未満であると、低沸点成分やガス成分の除去効率が不十分となるおそれがある。一方、溶融物10の温度が335℃以上であると、コーキングが発生するおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、溶融物10の温度は250℃以上330℃未満とすることがより好ましい。
なお、繊維化とは、溶融物10が一旦繊維状になることを意味するものであって、その後に熱変形して球状等の他の形状となってもよいし、融着してバルク状に戻ってもよい。もちろん、そのまま繊維状の形状が保持されても差し支えない。
このようにして得られた繊維状ピッチ11を熱処理すれば、炭素繊維を製造することができる。この繊維状ピッチ11は、低沸点成分やガス成分が十分に除去されているので、得られた炭素繊維には糸切れやケバ立ち等の問題が少ない。よって、高特性の炭素繊維が得られる。繊維状ピッチ11の熱処理には、不融化処理及び炭化処理が含まれ、必要に応じて黒鉛化処理をさらに行ってもよい。
不融化処理,炭化処理,及び黒鉛化処理の条件は特に限定されるものではないが、たとえば、不融化処理は、酸化性ガス雰囲気下100〜300℃で1〜100時間加熱する条件が好ましく、炭化処理は、不活性ガス又は還元性ガス雰囲気下500〜800℃で1〜10時間加熱する条件が好ましく、黒鉛化処理は、不活性ガス雰囲気下2000〜3000℃で1〜10時間加熱する条件が好ましい。
ここで、繊維状ピッチ製造装置について、さらに詳細に説明する。まず、貯蔵タンクの数は、ひとつでもよいが、複数でも差し支えない。すなわち、連続的に繊維化を行うような装置においては、固体状態のピッチ系物質をあらかじめ融解して貯蔵しておく別の貯蔵タンクを設け、その貯蔵タンクからギアポンプ等でノズル3が設けられた貯蔵タンク1に溶融物10を供給してもよい。
貯蔵タンク1の材質は溶融物10の性質によって任意に選択することができ、ステンレスやガラスが安価で好ましいが、腐食性の高い溶融物に対しては白金,ニッケル等の貴金属を用いることが好ましい。さらに、セラミックを用いてもよい。貯蔵タンク1は、一体的な構造である必要はなく、むしろメンテナンスを考慮すると、複数の部材から構成され分解可能な構造であることが好ましい。この場合は、内圧によって溶融物10が漏出しないように工夫することが好ましく、部材間にアルミニウム,銅等で構成されたパッキンを介装することが好ましい。低温の場合は、PTFEで構成されたパッキンを用いることもできる。
次に、ノズル3について説明する。ノズル3は、貯蔵タンク1から溶融物10をコレクタ4に向けて吐出する部位である。ノズル3の数は単数でもよいし複数でもよいが、生産性を向上するという点では複数の方が好ましい。また、ノズル3の形状は、溶融物10の吐出方向に向かって凸状であることが好ましい。これにより、溶融物10がコレクタ4に向かって直進しやすくなるため、安定な繊維化を実現することが可能となる。
ノズル3の形状が平面状又は凹状であると、溶融物10の離脱部位付近の等電位面が溶融物10の吐出方向に対して垂直な平面状になるため、帯電した溶融物10が方向性を失うおそれがある。その結果、溶融物10の移動方向を制御することが著しく困難となり、繊維化の安定性が損なわれるおそれがある。
ノズル3の形状の例としては、針状,棒状,円錐状,多角錘状(三角錐,四角錐等),ドーム型,かまぼこ型,楕円体及びこれらの組み合わせなどがあげられる。ノズル3の先端の断面形状は円形である必要はなく、三角形(正三角形,二等辺三角形等),矩形(正方形,長方形等),その他の多角形,Y字,C字,中空,扁平など、特に限定されるものではない。溶融物10は、ノズル3の内部を毛細管現象により通るようになっていてもよいし、貯蔵タンク1に負荷したガス圧力、底面からの表面張力や重力、延伸張力などによって、ノズル3の先端まで誘導されるようになっていてもよい。
次に、コレクタ4について説明する。コレクタ4は、ノズル3から吐出された溶融物10により形成された繊維状ピッチ11を捕集する部位である。コレクタ4は複数のユニットから構成されていてもよく、またベルトコンベアのように移動するようになっていてもよい。なお、繊維状ピッチ11がノズル3から離れ、実質的に最初に接触した部分はコレクタ4に含まれる。ノズル3又は溶融物10とコレクタ4との間には電圧が印加され、コレクタ4にて捕集される。
電圧を印加する方法は特に限定されるものではなく、コレクタ4は正極でも負極でもどちらでも構わないが、通常はコレクタ4をグランドしてノズル3を正極にする方が、繊維状ピッチ製造装置の簡易性,安全性の観点から好ましい。ノズル3及びコレクタ4に印加される電圧は、500V以上100kV以下であることが好ましく、両者間の距離によって適宜設定される。500V未満であると、溶融物10がノズル3から離脱しにくくなり、100kV超過であると、両者間に放電が生じるおそれがある。
次に、電熱ヒーター2について説明する。この繊維状ピッチ製造装置においては、温度調節器8によって電熱ヒーター2を制御して溶融物10の温度を調節している。高電圧が印加されるノズル3や貯蔵タンク1に電熱ヒーター2が近接しているため、電圧発生機5による高電圧が電熱ヒーター2に流れ込むおそれがあるが、電熱ヒーター2と電熱ヒーター用電源6との間に絶縁変圧器7が設けられ閉回路が構成されているので、絶縁変圧器7の1次側である電熱ヒーター用電源6には高電圧が流入することがない。
このように、電熱ヒーター2の電源6に高電圧が逆流することがないので、電熱ヒーター用電源6に故障等の問題が生じたり、電熱ヒーター2による溶融物10の温度制御が適切に行えなくなったりするおそれがない。したがって、溶融物10の温度を所望の温度に安定的に保持することができるので(すなわち、溶融物10の溶融粘度がほぼ一定であるので)、安定した繊維化が可能となる。
電熱ヒーター2は、温度制御性及び経済性が優れているので、繊維状ピッチ製造装置においてピッチ系物質を加熱する熱源として好適である。電熱ヒーター2の形式は特に限定されるものではなく、通常のものを用いることができ、500℃程度まで昇温できれば充分である。電熱ヒーター2は貯蔵タンク1内に設置してもよいが(内熱式)、装置を複雑にしないという観点から、貯蔵タンク1の外側に取り付ける方(外熱式)が好ましい。なお、ピッチ系物質を加熱する方法は電熱ヒーターに限定されるものではなく、熱風や熱媒体等、一般的な加熱方法を問題なく採用することが可能である。
溶融物10の溶融粘度は、10ポイズ(1Pa・s)以上10000ポイズ(1000Pa・s)以下とすることが好ましい。このような溶融粘度となるように、原材料であるピッチ系物質の種類によって適切な温度に加熱する。
原材料であるピッチ系物質の種類は特に限定されるものではないが、コ−ルタ−ルピッチ、石油ピッチなどがあげられる。ピッチ系物質には、有機物又は無機物の粉末,ウイスカー等を混合して用いることも可能である。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例〕
図1に示すような構造の繊維状ピッチ製造装置を用いて、繊維化を行った。原材料としては、コールタールから調製した融点232℃のピッチを用いた。
このピッチをステンレス製の貯蔵タンク(容量10mL)に充填した。貯蔵タンクの下部にはステンレス製の24Gのノズル(内径0.31mm)が取り付けられており、また貯蔵タンクの外周部には電熱ヒーターが巻き付けられている。電熱ヒーターには一般的な温度調節器が接続されており、貯蔵タンクの中のピッチの温度が330℃に制御されるように設定されている。
貯蔵タンクには、電圧発生機で発生させた20kVの電圧を印加し、ノズルの直下150mmの位置にアース電極(コレクタ)を置いた。その後、密閉してある貯蔵タンクに0.2〜0.4MPaの窒素圧を負荷して、ピッチをノズルから吐出して繊維化を行った。繊維化は良好に進み、極細の繊維状ピッチが得られた。
得られた繊維状ピッチの直径を走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定したところ、大部分は1〜2μmであった。また、空気雰囲気下、4℃/minの昇温速度で示差走査熱量測定(DSC)を行った。結果を図2に示す。図2から分かるように、溶融のはじまりと考えられる吸熱現象が約255℃に観測されはじめるとともに、約340℃以降に酸化に起因すると考えられる発熱が観測された。
原材料であるピッチについても、上記と同様の条件で示差走査熱量測定を行ったところ、溶融のはじまりと考えられる吸熱現象が約232℃に観測されはじめた(図3を参照)。溶融のはじまりの温度が232℃から255℃に上昇していることから、繊維化において低沸点成分(化合物)が除去されていることが確認された。すなわち、ピッチのような種々の化合物の混合物の場合は、融点の低い低沸点化合物が除去されて、残存した化合物のなかで最も低い融点の化合物の融点に対応する溶融のはじまりの温度が上昇したと理解できる。
エレクトロスピニング法によって繊維を製造する繊維状ピッチ製造装置の構造を示す概念図である。 繊維状ピッチのDSC測定チャートである。 原材料であるピッチのDSC測定チャートである。
符号の説明
1 貯蔵タンク
2 電熱ヒーター
3 ノズル
4 コレクタ
5 電圧発生機
10 溶融物
11 繊維状ピッチ

Claims (3)

  1. 帯電させたピッチ系物質の溶融物をノズルから吐出して繊維状に形成しコレクタに捕集するエレクトロスピニング法によって繊維状ピッチを製造するに際して、前記ピッチ系物質を250℃以上335℃未満に加熱して溶融物とすることを特徴とする繊維状ピッチの製造方法。
  2. 前記繊維状ピッチの融点が原材料である前記ピッチ系物質の融点よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の繊維状ピッチの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の繊維状ピッチの製造方法で得られた繊維状ピッチを熱処理して炭素繊維とすることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
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