JP4987378B2 - 磁気抵抗素子の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気抵抗素子の製造装置に関するものである。
一般的に、HDD(Hard Disk Drive)の読み取りヘッドやMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの磁気デバイスには、磁気抵抗素子が備えられている。HDDに備えられた磁気抵抗素子は、外部からの信号磁界に応じて素子抵抗を変化させて、磁界強度に応じた電気信号を出力する。MRAMに備えられた磁気抵抗素子は、磁化方向の変換による素子の抵抗変化を用いてメモリ情報とする。
磁気抵抗素子には、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistive)効果を利用したGMR素子やトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistive)効果を利用したTMR素子が知られている。これらの磁気抵抗素子は、いずれも自発磁化の方向を強固に固定した固定強磁性層と、自発磁化の方向を回転可能にした自由強磁性層と、を有している。
自由強磁性層は、磁気抵抗素子が信号磁界を受けるときに、自発磁化の方向を信号磁界と同じ方向に回転させて、自由強磁性層と固定強磁性層の磁気モーメントを平行、あるいは反平行に変化させる。これによって、磁気抵抗素子は、信号磁界に応じた電気信号を出力したり、入力信号に応じた方向に自発磁化を固定したりする。
近年、携帯端末や電子機器の急速な普及にともなって、上記磁気デバイスには、一層の高集積化が要請されている。一方、磁気デバイスの高集積化は、磁気抵抗素子に入力する信号磁界の微弱化を招いて、磁気抵抗素子の検出感度を得難くしている。
そこで、上記磁気抵抗素子では、検出感度を向上させるために、自由強磁性層の自発磁化の反転に必要な反転磁場(保磁力)を小さくして軟磁気特性を向上させる提案がなされている。特許文献1,2は、自由強磁性層をコバルト−鉄(CoFe)からなる層で構成して、CoFe層の結晶粒径の調整や膜厚・組成の最適化を図ることにより軟磁気特性を向上させる。
特開2005−328064号公報 特開2006−18862号公報
しかしながら、上記自由強磁性層は、膜厚が数nmと薄いために、下地層の影響や成膜時の雰囲気の影響を受けて、バルクの磁気特性を発現し難くする。特に、膜厚が10nmに満たない極薄の自由強磁性層では、上記の影響を顕著に受けて保磁力の増加を引起こす。
図7は、下地層(Ta層)に積層した自由強磁性層(CoFe層)の磁化−磁場曲線(以下単に、磁化曲線という。)を示す。図7に示すように、CoFe層の保磁力は、上記各種の影響を受けるために、膜厚が薄くなる(図7の実線から破線)に連れて増大する。このため、薄膜の自由強磁性層に対して保磁力の増大を抑制できれば、自由強磁性層の膜厚範囲を拡張させることができ、ひいては磁気抵抗素子の検出感度の向上と安定化を図ることができる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、自由強磁性層の軟磁気特性を向上させた磁気抵抗素子の製造装置を提供することにある。
本発明者は、自由強磁性層の軟磁気特性を向上させる課題について検討し、自由強磁性層の表層部に所定時間の酸化処理を施すことによって、自由強磁性層の保磁力を低減可能であることを見出した。
請求項に記載する磁気抵抗素子の製造装置では、搬送系を有して基板を搬送する真空搬送チャンバと、前記真空搬送チャンバに連結して、固定された自発磁化を有する固定強磁性層を前記基板に積層する第1の下地膜用チャンバと、前記真空搬送チャンバに連結して、前記固定強磁性層にトンネルバリア層を積層する第2の下地膜用チャンバと、前記真空搬送チャンバに連結して、前記基板の一面方向に沿って磁場を形成し、コバルト−鉄のターゲットをスパッタしてコバルト−鉄からなる反転可能な自発磁化を有した自由強磁性層を前記トンネルバリア層に積層する自由層チャンバと、前記真空搬送チャンバに連結して、アルゴンガスと酸素ガスとによる誘導結合プラズマである酸素プラズマを形成し、前記自由強磁性層の自発磁化を維持できる所定時間だけ前記自由強磁性層直接前記酸素プラズマを照射する酸化チャンバと、前記搬送系を駆動制御し、前記第1の下地膜用チャンバ、前記第2の下地膜用チャンバ、前記自由層チャンバ、前記酸化チャンバの順に前記基板を搬送する搬送制御手段と、を備えたことを要旨とする。
請求項5の構成によれば、自由強磁性層を有した基板が、真空搬送チャンバを通じて、自由層チャンバから酸化チャンバに搬送される。そして、酸化チャンバで所定の時間だけ
施す酸化が、自由強磁性層の自発磁化を維持して、自由強磁性層の保磁力を低下させる。したがって、自由強磁性層を大気解放することなく、該自由強磁性層の軟磁気特性を向上させることができる。この結果、磁気抵抗素子の検出感度の向上と安定化を図ることができる。
上記したように、本発明によれば、自由強磁性層の軟磁気特性を向上させた磁気抵抗素子の製造方法及び磁気抵抗素子の製造装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1は、磁気抵抗素子10を説明する概略断面図である。磁気抵抗素子10は、例えばHDDの磁気ヘッドに搭載されて、磁気記録媒体(ハードディスク)に記憶された磁気情報を読み出すセンサ部として機能するものである。
図1において、磁気抵抗素子10の基板11には、下地層12、固定強磁性層13、トンネルバリア層14、自由強磁性層15、保護層16が、基板11側から順に積層されている。
下地層12は、基板11の表面荒れを緩和するバッファ層であって、上層(固定強磁性層13)との接続を円滑にする。また、下地層12は、上層の結晶配向を規定するシード層であって、固定強磁性層13の結晶配向を規定する。下地層12は、単層構造に限らず、例えば、バッファ層とシード層からなる2層構造によって構成してもよい。下地層12には、例えばTa、Ti、W、Cr、またはこれらの合金を用いることができる。
固定強磁性層13は、下地層12に積層されたピニング層13aと、ピニング層13aに積層されたピン層13bを有する。ピニング層13aとピン層13bは、それぞれ反強磁性層と強磁性層であって、ピン層13bの磁化方向がピニング層13aとの間の相互作用により一方向に固定される。ピン層13bは、単層構造に限らず、例えば強磁性層/磁気結合層/強磁性層からなる公知の積層フェリ構造で構成してもよい。ピニング層13aには、例えばIrMn、PtMn、PdPtMnを用いることができる。ピン層13bには、例えばNiFe、CoFe、CoFeBを用いることができる。
トンネルバリア層14は、非磁性の絶縁膜であって厚さ方向にトンネル電流が流れる程度の膜厚を有する。トンネルバリア層14の抵抗値は、固定強磁性層13の自発磁化と自由強磁性層15の自発磁化が平行であるか、反平行であるかによって変化する。トンネルバリア層14には、例えばMgOやAlを用いることができる。
自由強磁性層15は、自発磁化の方向を回転可能にする保磁力を有した強磁性体層である。自由強磁性層15は、自発磁化の方向を固定強磁性層13の自発磁化の方向と平行、あるいは反平行にする。自由強磁性層15には、例えばCoFeの単層構造、CoFeにNiFeを積層した積層構造を用いることができる。
自由強磁性層15の表層部15aは、予め設定された所定時間だけ酸素プラズマに晒されている(酸化処理が施されている)。本実施形態では、自由強磁性層15の表層部15aが酸素プラズマに晒されている時間を、酸化時間Toxと定義する。酸化時間Toxは、自由強磁性層15の保磁力に基づいて設定されて、本実施形態では10秒に設定されている。
保護層16は、外気に対するバリア層であって、バリア性の高い不動態を形成して自由
強磁性層15の自発磁化を保護する。また、保護層16は、表層部15aの荒れを緩和するバッファ層であって、周辺回路と磁気抵抗素子10の接続を円滑にする。保護層16には、例えばTa、Ti、W、Cr、またはこれらの合金を用いることができる。
次に、上記磁気抵抗素子10の製造方法を図2〜図4に従って説明する。図2は、磁気抵抗素子10の製造装置20を説明する図であり、図3は、酸化チャンバF6を説明する図である。図2及び図3において、各二点鎖線はそれぞれ電気的結線を示す。図4は、磁気抵抗素子10の製造工程を説明するフローチャートである。
図2において、磁気抵抗素子10の製造装置20は、移載機20Aと、成膜処理装置20Bと、搬送制御手段を構成する制御装置20Cと、を備えている。
移載機20Aは、複数の基板11を収容したカセットCと、カセットCに収容された基板11を移載するロボットを搭載し、カセットCに収容される基板11を順次成膜処理装置20Bに移載する。また、移載機20Aは、成膜処理装置20Bによって成膜処理の施された基板11を対応するカセットCに収容する。
成膜処理装置20Bには、真空搬送チャンバFXが備えられている。真空搬送チャンバFXには、ロードチャンバFLと、下地層チャンバ(第1〜第4下層膜用チャンバF1〜F4)と、上層膜用チャンバF5と、酸化チャンバF6と、が連通可能に連結されている。
ロードチャンバFLは、複数の基板11を収容するステージを有し、移載機20Aから移載される各基板11を収容してチャンバ内を所定の圧力まで減圧する。ロードチャンバFLは、成膜処理の施された各基板11を収納してチャンバ内を大気開放する。
真空搬送チャンバFXは、所定の圧力に減圧された真空チャンバであって、搬送系を構成する搬送ロボットRBを搭載する。搬送ロボットRBは、ロードチャンバFLに収容された各基板11を真空搬送チャンバFXに搬入して各チャンバF1〜F6に搬送する。真空搬送チャンバFXは、成膜処理の施された基板11を順次ロードチャンバFLに収納する。
第1下層膜用チャンバF1は、基板11の表面をスパッタするスパッタチャンバであって、基板11の表面をスパッタ洗浄する。
第2〜第4下層膜用チャンバF2〜F4は、それぞれ下地層12、固定強磁性層13(ピニング層13a、ピン層13b)及びトンネルバリア層14を積層するためのターゲットを装着したスパッタチャンバであって、各ターゲット種に対応した層を積層する。
例えば、第2下層膜用チャンバF2は、タンタルターゲットとPtMnターゲットを装着して、下地層12(タンタル層)とピニング層13a(PtMn層)を積層する。この際、第2下層膜用チャンバF2は、基板11の一面方向に沿う磁界を形成してPtMn層をスパッタ成膜し、基板11の一面方向に磁気異方性を有したピニング層13a(PtMn層)を形成する。また、第3下層膜用チャンバF3は、CoFeターゲット、Ruターゲット、CoFeBターゲットを装着して、ピン層13b(CoFe層/Ru層/CoFeB層)を積層する。この際、第3下層膜用チャンバF3は、基板11の一面方向に沿う磁界を形成してピン層13bをスパッタ成膜し、基板11の一面方向に磁気異方性を有したピン層13bを成膜する。また、第4下層膜用チャンバF4は、MgOターゲットを装着してトンネルバリア層14(MgO層)を積層する。
上層膜用チャンバF5は、自由強磁性層15及び保護層16を積層するためのターゲットを装着したスパッタチャンバであって、各ターゲット種に対応した層を積層する。
例えば、上層膜用チャンバF5は、CoFeターゲットを装着して自由強磁性層15(CoFe層)を積層する。この際、上層膜用チャンバF5は、基板11の一面方向に沿う磁界を形成して自由強磁性層15をスパッタ成膜し、基板11の一面方向に磁気異方性を有した自由強磁性層15を形成する。また、上層膜用チャンバF5は、Taターゲットを装着して保護層16(Ta層)を積層する。
図3において、酸化チャンバF6は、真空搬送チャンバFXに連通可能に連結されたチャンバ本体21を備えている。チャンバ本体21には、ArとO2の供給配管23,24が連結されて、所定流量のArとO2が供給される。チャンバ本体21には、排気配管25を介して減圧ポンプPが連結されて、チャンバ内の圧力が所定圧力に減圧される。
チャンバ本体21の内部には、基板ステージ26が配設されて、チャンバ内に搬入される基板11が搬出可能に保持される。チャンバ本体21の上側であって基板ステージ26の上方には、誘導コイル27が配設されている。誘導コイル27には、マッチングボックス28を介して高周波電源Eが接続されて、所定周波数(例えば、13.56MHz)の高周波電力が供給される。
誘導コイル27は、高周波電源Eが高周波電力を供給するときに、Ar/O2系の誘導結合プラズマ(酸素プラズマ)をチャンバ本体21の内部に形成する。基板ステージ26に保持される基板11の上面(表層部15a)は、高周波電源Eが高周波電力を供給するときに、予め設定された酸化時間Tox(本実施形態では10秒)だけ、上記酸素プラズマに晒される(酸化処理が施される)。
図2において、制御装置20Cは、各種制御指令を演算するためのCPUや製造プログラムを格納するためのメモリ、CPUのワーキングエリアとなるメモリなどを備えている。この制御装置20Cには、移載機20Aと、成膜処理装置20Bが電気的に接続されている。
移載機20Aは、搭載するカセットC(基板11)の位置を検出して各基板11の位置に関する情報(基板位置情報)を生成し、該基板位置情報を制御装置20Cに出力する。制御装置20Cは、移載機20Aからの情報に基づいて前記製造プログラムを実行し、移載機20Aに基板11の移載処理を実施させる。
成膜処理装置20Bの各チャンバは、それぞれチャンバの圧力や基板11の有無を検出してチャンバの状態に関する情報(チャンバ情報)を生成し、該チャンバ情報を制御装置20Cに出力する。制御装置20Cは、各チャンバ情報に基づいて前記製造プログラムを実行し、各チャンバの各々に成膜処理を実施させる。
真空搬送チャンバFXの搬送ロボットRBは、搬送アームの手先位置を検出して手先位置に関する情報(手先位置情報)を生成し、該手先位置情報を制御装置20Cに出力する。制御装置20Cは、手先位置情報とチャンバ情報に基づいて製造プログラムを実行し、ロードチャンバFLが収容する基板11を、第1、第2、第3、第4、上層膜用、酸化チャンバF1〜F6に順次搬送し、その後、再び上層膜用チャンバF5に搬送する。
すなわち、図4に示すように、制御装置20Cは、まず、ロードチャンバFLから第1下層膜用チャンバF1に基板11を搬送し、第1下層膜用チャンバF1で基板11をスパッタ洗浄する(スパッタ洗浄工程:ステップS1)。次いで、制御装置20Cは、第1下層膜用チャンバF1から第2下層膜用チャンバF2に基板11を搬送し、洗浄された基板11に下地層12とピニング層13aを積層する(ピニング層形成工程:ステップS2)。そして、制御装置20Cは、第2下層膜用チャンバF2から第3下層膜用チャンバF3
に基板11を搬送し、基板11のピニング層13aにピン層13bを積層する(ピン層形成工程:ステップS3)。
ピン層13bを積層すると、制御装置20Cは、第3下層膜用チャンバF3から第4下層膜用チャンバF4に基板11を搬送し、基板11のピン層13bにトンネルバリア層14を積層する(トンネルバリア層形成工程:ステップS4)。次いで、制御装置20Cは、第4下層膜用チャンバF4から上層膜用チャンバF5に基板11を搬送し、基板11のトンネルバリア層14に自由強磁性層15を積層する(自由層形成工程:ステップS5)。そして、制御装置20Cは、上層膜用チャンバF5から酸化チャンバF6に基板11を搬送し、自由強磁性層15の表層部15aに、予め設定された酸化時間Tox(本実施形態では10秒)だけ、酸化処理を施す(酸化工程:ステップS6)。
表層部15aに酸化処理を施すと、制御装置20Cは、酸化チャンバF6から上層膜用チャンバF5に再び基板11を搬送し、基板11の表層部15aに保護層16を積層する(保護層形成工程:ステップS7)。そして、制御装置20Cは、上層膜用チャンバF5からロードチャンバFLに基板11を搬送し、基板11の成膜処理を終了する。
なお、本実施形態では、スパッタ洗浄工程S1、ピニング層形成工程S2及びピン層形成工程S3によって固定層形成工程が構成され、該固定層形成工程とトンネルバリア層形成工程S4によって下地層形成工程が構成されている。
次に、実施例及び比較例をあげて本発明の効果を説明する。
まず、自由強磁性層15の磁化曲線について説明する。図5は、振動式磁化測定装置によって計測した自由強磁性層15の容易軸方向の磁化曲線である。図5は、(a)、(b)、(c)の順に酸化時間Toxを長くしたものであって、各々の酸化時間Toxは、0秒、10秒、40秒である。図6の実線と破線は、それぞれ振動式磁化測定装置によって計測した自由強磁性層15の困難軸方向と容易軸方向の磁化曲線である。図6は、(a)、(b)、(c)の順に酸化時間Toxを長くしたものであって、各々の酸化時間Toxは、0秒、10秒、40秒である。
(実施例)
シリコン酸化膜を有したシリコン基板を基板11として用い、基板11を、第1及び第2下層膜用チャンバF1,F2に搬送して、膜厚が3〜5nmのTa層(下地層12)を基板11に積層した。次に、Ta層の積層された基板11を上層膜用チャンバF5に搬送して、膜厚が4nmのCoFe層(自由強磁性層15)をTa層に積層した。次いで、CoFe層の積層された基板11を酸化チャンバF6に搬送して、CoFe層の表層部15aに酸素プラズマに10秒間だけ晒し、実施例の自由強磁性層15を得た。そして、振動式磁化測定装置を用いて実施例の容易軸方向と難易軸方向の磁化曲線を計測した(図5(b)及び図6(b)の実線参照)。
(比較例1)
シリコン酸化膜を有したシリコン基板を基板11として用い、基板11を、第1及び第2下層膜用チャンバF1,F2に搬送して、膜厚が3〜5nmのTa層(下地層12)を積層した。次に、Ta層の積層された基板11を上層膜用チャンバF5に搬送して、膜厚が4nmのCoFe層(自由強磁性層15)をTa層に積層し、比較例1の自由強磁性層15を得た。そして、振動式磁化測定装置を用いて比較例1の容易軸方向と難易軸方向の磁化曲線を計測した(図5(a)及び図6(a)の実線参照)。なお、比較例1の容易軸方向で残留磁化が0(esu)になる磁場を基準保磁力Hceとし、比較例1の困難軸方向で残留磁化が0(esu)になる磁場を基準保磁力Hchとする。また、比較例1の容易軸方向における飽和磁化を基準飽和磁化Msとする。
(比較例2)
シリコン酸化膜を有したシリコン基板を基板11として用い、基板11を、第1及び第
2下層膜用チャンバF1,F2に搬送して、膜厚が3〜5nmのTa層(下地層12)を基板11に積層した。次に、Ta層の積層された基板11を上層膜用チャンバF5に搬送して、膜厚が4nmのCoFe層(自由強磁性層15)をTa層に積層した。次いで、CoFe層の積層された基板11を酸化チャンバF6に搬送して、CoFe層の表層部15aを酸素プラズマに40秒間だけ晒し、比較例2の自由強磁性層15を得た。そして、振動式磁化測定装置を用いて比較例2の容易軸方向と難易軸方向の磁化曲線を計測した(図5(c)及び図6(c)の実線参照)。
図5において、実施例の容易軸方向(図5(b))は、比較例1(図5(a))よりも急峻な矩形の磁化曲線を描き、磁化曲線の急峻さを発現させる。実施例の容易軸方向の飽和磁化は、基準飽和磁化Msと略同じ値であり、10秒の酸化処理は、自発磁化量を維持させる。そして、実施例の容易軸方向の保磁力は、比較例1の基準保磁力Hceよりも小さく、10秒の酸化処理は、自発磁化を回転しやすくする。
一方、実施例の容易軸方向の飽和磁化(図5(b))は、比較例2の飽和磁化(図5(c))よりも大きく、40秒の酸化処理は、自発磁化量を減少させる。そして、実施例の容易軸方向の保磁力は、比較例2の保磁力よりも小さく、40秒の酸化処理は、自発磁化を回転し難くする。
この結果、酸化処理は、酸化時間Toxが過剰に長い場合に、容易軸方向の軟磁気特性を劣化させるものの、酸化時間Toxが10秒の場合には、容易軸方向の軟磁気特性を明確に向上させる。
図6において、実施例の困難軸方向(図6(b))は、比較例1(図6(a))よりも小さい不可逆性を有し、10秒の酸化処理は、磁気異方性を強くしている。実施例の困難軸方向の飽和磁化は、比較例1の飽和磁化と略同じ値であり、10秒の酸化処理は、自発磁化量を維持させる。そして、実施例の困難軸方向の保磁力は、比較例1の基準保磁力Hchよりも小さく、10秒の酸化処理は、困難軸方向においても、自発磁化を回転しやすくする。
一方、実施例の困難軸方向の飽和磁化(図6(b))は、比較例2の飽和磁化(図6(c))よりも大きく、40秒の酸化処理は、困難軸方向においても、自発磁化量を減少させる。そして、実施例の容易軸方向の保磁力は、比較例2の保磁力よりも小さく、40秒の酸化処理は、困難軸方向においても、自発磁化を回転し難くする。
この結果、酸化処理は、酸化時間Toxが過剰に長い場合に、困難軸方向の軟磁気特性と、自由強磁性層15の磁気異方性を損なうものの、10秒間の酸化処理の場合には、困難軸方向の軟磁気特性と、自由強磁性層15の磁気異方性を明確に向上させる。したがって、酸化工程(ステップS6)を有した製造工程によれば、磁気抵抗素子10の検出感度の向上と安定化を図ることができる。
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)上記実施形態では、自由層形成工程(ステップS5)の後に酸化工程(ステップS6)を行い、自由強磁性層15の表層部15aに、自由強磁性層15の自発磁化を維持可能な所定時間の酸化処理を施す。よって、自由強磁性層15の飽和磁化を基準飽和磁化Msに維持させた状態で、自由強磁性層15の保磁力のみを基準保磁力Hce,Hchよりも低下させることができる。したがって、自由強磁性層15の軟磁気特性を向上させることができる。この結果、自由強磁性層15の膜厚範囲や適用材料範囲を拡大させることができ、磁気抵抗素子10の検出感度の向上と安定化を図ることができる。
(2)上記実施形態では、酸化チャンバF6が、酸素ガスの誘導結合プラズマを生成して自由強磁性層15の表層部15aを酸化する。よって、酸素プラズマの圧力範囲やプラズマ密度の選択範囲などを拡張させることができる。したがって、酸化工程(ステップS6)と自由層形成工程(ステップS5)を、同じ減圧系で行うことができる。したがって、自由強磁性層15の酸化状態を常に安定させることができ、かつ、磁気抵抗素子10の生産性を向上させることができる。また、表層部15aの酸化条件を幅広く選択させることができ、本製造方法の適用範囲を拡張させることができる。
(3)上記実施形態では、自由強磁性層15に、高い耐熱性を有したCoFe層を採用した。したがって、軟磁気特性と耐熱性の双方に優れた自由強磁性層15を提供することができる。
(4)上記実施形態では、自由強磁性層15の磁化曲線に基づいて酸化時間Toxを設定した。したがって、自由強磁性層15の過剰な酸化を回避させることができ、より確実に、自由強磁性層15の軟磁気特性を向上させることができる。
(5)上記実施形態では、基板11を上層膜用チャンバF5から酸化チャンバF6に搬送するだけで、自由強磁性層15の軟磁気特性を向上させることができる。したがって、別途加熱処理システムを利用して自由強磁性層15の軟磁気特性を向上させる場合に比べて、より簡便な方法を提供することができ、磁気抵抗素子10の生産性を向上させることができる。
尚、上記各実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、自由強磁性層15(CoFe層)の磁化曲線に基づいて酸化時間Toxを設定した。これに限らず、例えば、固定強磁性層13/トンネルバリア層14/自由強磁性層15/保護層16の磁化曲線に基づいて酸化時間Toxを設定してもよい。すなわち、酸化時間Toxは、自由強磁性層15の自発磁化を維持できる時間であればよく、その設定方法に限定されるものではない。
・上記実施形態では、磁気抵抗素子10をTMR素子に具体化した。これに限らず、例えば、磁気抵抗素子10を自由強磁性層15のみからなる回転検出センサに具体化してもよい。すなわち、磁気抵抗素子10は、自由強磁性層15の自発磁化の回転を利用した素子であればよい。
本実施形態の磁気抵抗素子を説明する図。 同じく、磁気抵抗素子の製造装置を説明する図。 同じく、酸化チャンバを説明する図。 同じく、磁気抵抗素子の製造工程を説明する図。 同じく、(a)、(b)、(c)の順に酸化時間Toxを長くした磁気抵抗素子の容易軸方向における磁化曲線を説明する図。 同じく、(a)、(b)、(c)の順に酸化時間Toxを長くした磁気抵抗素子の困難軸方向における磁化曲線を説明する図。 従来例の磁気抵抗素子の容易軸方向における磁化曲線を説明する図。
符号の説明
10…磁気抵抗素子、11…基板、12…下地層、13…固定強磁性層、14…トンネルバリア層、15…自由強磁性層、16…保護層、20…製造装置、20C…搬送制御手段を構成する制御装置、FX…真空搬送チャンバ、F1〜F4…下地層チャンバとしての第1〜第4下層膜用チャンバ、F5…自由層チャンバを構成する上層膜用チャンバ、F6…酸化チャンバ、RB…搬送系を構成する搬送ロボット。

Claims (1)

  1. 搬送系を有して基板を搬送する真空搬送チャンバと、
    前記真空搬送チャンバに連結して、固定された自発磁化を有する固定強磁性層を前記基板に積層する第1の下地膜用チャンバと、
    前記真空搬送チャンバに連結して、前記固定強磁性層にトンネルバリア層を積層する第2の下地膜用チャンバと、
    前記真空搬送チャンバに連結して、前記基板の一面方向に沿って磁場を形成し、コバルト−鉄のターゲットをスパッタしてコバルト−鉄からなる反転可能な自発磁化を有した自由強磁性層を前記トンネルバリア層に積層する自由層チャンバと、
    前記真空搬送チャンバに連結して、アルゴンガスと酸素ガスとによる誘導結合プラズマである酸素プラズマを形成し、前記自由強磁性層の自発磁化を維持できる所定時間だけ前記自由強磁性層直接前記酸素プラズマを照射する酸化チャンバと、
    前記搬送系を駆動制御して、前記基板を、前記第1の下地膜用チャンバ、前記第2の下地膜用チャンバ、前記自由層チャンバ、前記酸化チャンバの順に搬送する搬送制御手段と、
    を備えたことを特徴とする磁気抵抗素子の製造装置。
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