JP4352659B2 - 磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果素子および磁気メモリ装置とこれらの製造方法に関わる。
【0002】
【従来の技術】
情報通信機器、特に携帯端末などの個人用小型機器の飛躍的な普及に伴い、これを構成するメモリやロジックなどの素子には、高集積化、高速化、低電力化など、一層の高性能化が要請されている。特に不揮発性メモリの高密度・大容量化は、可動部分の存在により本質的に小型化が不可能なハードディスクや光ディスクを置き換える技術として、ますます重要になってきている。
【0003】
不揮発性メモリとしては、半導体を用いたフラッシュメモリや、強誘電体を用いたFRAM(Ferro electric Random Access Memory ;強誘電体メモリ)等が挙げられる。
しかしながら、フラッシュメモリは、書き込み速度がμ秒オーダーであるという欠点がある。一方、FRAMにおいては、書き換え可能回数が少ないという問題が指摘されている。
【0004】
これらの欠点がない不揮発性メモリとして注目されているのが、例えば「Wang et al.,IEEE Trans. Magn. 33(1997),4498 」に記載されているような、MRAM(Magnetic Random Access Memory )と呼ばれる磁気メモリ装置である。
【0005】
このMRAMは、構造が単純であるため高集積化が容易であり、また磁気モーメントの回転による記憶がなされることから、書換え可能回数がきわめて大きいという特徴がある。また、このMRAMは、アクセス時間をかなり高速化することができると予想されていて、既に、ナノ秒台での動作が可能であることの確認がなされている。
【0006】
このMRAMのメモリ素子を構成する磁気抵抗効果素子として、トンネル磁気抵抗効果(Tunnel Magnetoresistance:TMR)素子がある。このTMR素子の基本的構造は、強磁性層/トンネルバリア層/強磁性層の積層構造による。
このTMR素子にあっては、そのトンネルバリア層を介して配置された対の強磁性層間に一定の電流を通電した状態で、外部磁場を印加することによって、両強磁性層の磁化の相対角度に応じて磁気抵抗効果が現れる。このとき、両強磁性層の互いの磁化の向きが反平行の場合は抵抗値が最大となり、平行の場合は抵抗値が最小となる。したがって、このTMR素子は、外部磁場により上述した反平行と平行の状態を作り出すことによって、抵抗値変化として、情報の記録を行うことができ、メモリ素子として機能させることができる。
【0007】
特にスピンバルブ型のTMR素子においては、対の強磁性層の一方の強磁性層は、これに反強磁性層を隣接配置して、この反強磁性層との反強磁性結合によって磁化の向きを一定の向きに固定させることによって固定磁化層とするものである。
そして、他方の強磁性層を、外部磁場等によって容易に磁化反転する磁化自由層とし、この磁化自由層をもって磁気メモリ装置においては、情報記録層とするものである。
【0008】
このスピンバルブ型のTMR素子における抵抗値の変化率は、その対の強磁性層のそれぞれのスピン分極率をP1,P2とすると、下記の式(1)で表される。
2P1 P2 /(1−P1 P2 ) (1)
つまり、両強磁性層のスピン分極率P1,P2が大きい程、抵抗変化率が大きくなる。この抵抗変化率と強磁性層の材料との関係については、すでに、Fe、Co、Ni等のFe族の強磁性元素や、これら金属の合金についての報告がなされている。
【0009】
ところで、MRAMの基本的構成は、例えば特開平10−116490号公報に開示されているように、複数のビット書き込み線(いわゆるビット線)と、これら複数のビット線に直交する複数のワード書き込み線(いわゆるワード線)とを設け、これらビット線とワード線との立体的交叉部に磁気メモリ素子としてのTMR素子が配置される。このMRAMでの記録は、アステロイド特性を利用したTMR素子に対する選択書き込みによる。
【0010】
すなわち、ビット線およびワード線に選択的に所要の通電がなされて、これによって発生する互いに直交する方向の誘導磁界の合成による反転外部磁界を、選択されたTMR素子に印加して、その磁化自由層すなわち情報記録層の磁化の向きを上述した磁化固定層の磁化の向きと平行もしくは反平行として、例えば“0”,“1”の記録を行う。
【0011】
このMRAMのビット線およびワード線には、通常の半導体装置における配線材料のCuや、Al等の導体薄膜が使用される。このような通常の配線材料を用い、かつ線幅0.25μmのビット線およびワード線によって例えば反転磁界Hcが20〔Oe〕である磁気メモリ素子に対して、書き込みを行うには、約2mAの電流が必要となる。ビット線およびワード線の厚さが、線幅と同じ0.25μmである場合、このときの電流密度は、エレクトロマイグレーションによる断線限界値に近い3.2×10 −6 A/cmである。
したがって、配線の信頼性を維持するためには、書き込み電流の低減が不可欠である。
【0012】
MRAMにおける書き込み電流の低減を実現する手法として、TMR素子の反転磁界を低減させることが挙げられる。
TMR素子の反転磁界Hcは、TMR素子の大きさ、形状、層構成、材料の選択等によって適宜決定されるものである。しかしながら、例えばMRAMの記録密度の向上を目的としてTMR素子を微細化した場合には、TMR素子の反転磁界が上昇するという不都合が生じる。したがって、MRAMの微細化すなわち高集積化と、書き込み電流の低減とを同時に達成するためには、材料面からTMR素子の反転磁界の低減化を達成する必要がある。
【0013】
また、MRAMにおいて、各メモリ素子となるTMR素子の磁気特性が素子毎にばらついたり、同一素子についての繰り返し使用で、磁気特性にばらつきが生じると、アステロイド特性を使用した選択書き込みが困難になるという問題がある。
したがって、各TMR素子において、安定して理想的なアステロイド曲線を描かせるに必要な磁気特性が求められる。理想的なアステロイド曲線を描かせるためには、TMR測定を行った際のR−H(抵抗−磁場)曲線においてバルクハウゼンノイズ等のノイズがないこと、波形の角形性が良いこと、磁化状態が安定しており、反転磁界のばらつきが少ないことが必要である。
【0014】
TMR素子の情報読み出しは、上述したトンネルバリア層を介して配置された情報記録層と磁化固定層との磁気モーメントが反平行で抵抗値が高い状態の、例えば“1”、その逆に、互いの磁気モーメントが平行で抵抗値が低い状態の、例えば“0”を、例えば一定バイアス電圧での差電圧の検出により行う。
したがって、素子間の抵抗のばらつきが同じである場合には、TMR比が高いほど、高速で集積度が高く、エラーレートの低いメモリ装置が実現できる。
【0015】
また、TMR素子には抵抗変化率のバイアス電圧依存性が存在し、バイアス電圧が上昇するにつれて、TMR比が減少していくことが知られている。
そして、差電流または差電圧で読み出しを行う場合に、多くの場合、抵抗変化率が、バイアス電圧依存性により半減する電圧Vhalfで読み出し信号の最大値をとることがが知られているので、バイアス電圧依存性が小さいほど読み出しエラーの低減において有効である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、MRAMに用いられるTMR素子には、上述の書き込み特性要件と、読み出し特性要件とを同時に満足することが必要である。
しかしながら、TMR素子の強磁性層の材料を選択する場合に、式(1)のP1 およびP2 で示されるスピン分極率が大きくなるような合金組成をCo、Fe、Niの強磁性遷移金属元素のみを成分とする材料から選択すると、一般的にTMR素子の反転磁界Hcが増大する傾向にある。
【0017】
例えばCo75Fe25(原子%)合金等を情報記録層に用いた場合は、スピン分極率が大きく40%以上の高いTMR比を確保できるが、反転磁界Hcも高くなる。
これに対して、軟磁性材料として知られているパーマロイと呼称されるNi80Fe20(原子%)合金等を用いた場合には、反転磁界Hcの低減は可能ではあるものの、上述のCo75Fe25(原子%)合金と比較してスピン分極率が小さくなることから、TMR比が33%程度まで低下してしまう。
また、Co90Fe10(原子%)は、約37%のTMR比が得られるとともに、反転磁界Hcを上述のCo75Fe25(原子%)合金とNi80Fe20(原子%)合金との中間程度に抑えられるが、R−H曲線の角形比が劣り、書き込みを可能とするアステロイド特性が得られない。また、素子毎の情報記録層の反転磁界が安定しないという問題も発生する。
【0018】
本発明は、特定材料による強磁性層と、その形成条件の選定によって上述した書き込み特性と、読み出し特性とを同時に向上することができる磁気抵抗効果素子の製造方法を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明による磁気抵抗効果素子の製造方法は、対の強磁性層が中間層を介して対向され、その膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子の製造方法であって、磁気抵抗効果素子が、対の強磁性層の一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であるスピンバルブ型磁気抵抗効果素子であり、磁化自由層を、FeCoBあるいはFeCoNiBを含有するアモルファスないしは微結晶組織の強磁性材料層を成膜し、その後、この強磁性材料層の結晶化温度以上の温度で、磁場中熱処理し、アモルファスないしは微結晶組織を結晶質に構造変更することによって形成して、磁気抵抗効果素子を得るものである。
【0021】
そのアモルファスないしは微結晶組織の強磁性材料層の成膜は、スパッタによって行うことが望ましい。
また、磁場中熱処理の熱処理温度T〔℃〕は、
280(B含有量〔%〕)≦T≦400 ・・・(1)
とすることが望ましいものである。
【0024】
そのアモルファスないしは微結晶組織の強磁性材料層の成膜は、FeCoBあるいはFeCoNiBのスパッタによって行うことによって、確実にアモルファスないしは微結晶組織の強磁性材料層としての成膜がなされる。
【0025】
また、上述した各本発明におけるFeCoBあるいはFeCoNiBの各組成は、FeCoBについては、組成式FeCo(組成式中、x、y、zは、原子%を表す)を有し、5≦x≦45、35≦y≦85、10≦z≦30、x+y+z=100とする。
また、FeCoNiBについては、組成式FeaCobNicBd(組成式中、a〜dは原子%を表す)を有し、5≦a≦45、35≦b≦85、0<c≦35、10≦d≦30、a+b+c+d=100とする。
【0026】
また、本発明による各製造方法における磁場中熱処理の熱処理温度T〔℃〕は、280(B含有量〔%〕)≦T≦400とすることが望ましいものである。
【0027】
本発明による磁気抵抗効果素子およびこの磁気抵抗効果素子を具備する磁気メモリ装置においては、その磁気抵抗効果素子を構成する、中間層を介して対向する対の強磁性層の磁化自由層を、FeCoB、あるいはFeCoNiBによって構成するものであるが、この構成において、この組成の磁性材料をスパッタによって成膜するとき、アモルファスないしは微結晶組織の成膜がなされるが、本発明においては、この成膜を結晶質に構造変更することによって、磁気抵抗効果素子の磁気抵抗(MR比)の向上、R−H曲線の角形比の改善、したがって、ステロイド特性の改善、MR比のバイアス電圧依存性の改善、保磁力のばらつきすなわち反転磁界のばらつきの改善を図ることができることを見出したものである。
【0028】
そして、本発明方法においては、その結晶質化を、磁場中熱処理によって行うことによって、上述したMR比の向上、反転磁界のばらつきの低減化等を確実に行うことができるものである。これは、この処理によって強磁性層の結晶磁気異方性が一方向に制御されることによると思われる。
【0029】
尚、上述した強磁性材料のスパッタは、放電ガスを用いて、各種方法によって発生させたプラズマからのイオンを、スパッタ材ターゲットに衝突させてスパッスパッタリングする方法、あるいはいわゆるイオンビームスパッタにおけるように、高エネルギーに加速させたイオンビームをターゲットに衝撃させるスパッタ等、各種のスパッタによることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
〔磁気抵抗効果素子〕
本発明による磁気抵抗効果素子の一実施形態は、磁気メモリ装置のメモリ素子としての磁気抵抗効果素子であるが、この実施形態に限られるものではない。
本発明による磁気抵抗効果素子は、対の強磁性層、具体的には、磁化固定層と磁化自由層とが、中間層を介して対向された積層構造部を有し、その積層面に垂直、すなわち厚さ方向に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成による。
そして、対の強磁性層の少なくとも磁化自由層を構成する強磁性層は、強磁性遷移金属元素の少なくともFeおよびCoと共にBを含有する、FeCoBあるいはFeCoNiBのスパッタ膜を結晶質化した強磁性層によって構成する。
【0031】
この磁気抵抗効果素子は、その中間層を、例えばトンネルバリア層によって構成することにより、トンネル磁気抵抗効果(TMR)素子とされる。
あるいは、その中間層を非磁性導電層によって構成してスピンバルブ型磁気抵抗効果素子とする。
強磁性層は、単層構造とすることもできるが、多層構造とすることができる。例えば磁化固定層を構成する強磁性層を、積層フェリ構造とすることができる。
【0032】
図1は、この磁気抵抗効果素子、例えばスピンバルブ型のTMR1の一例の概略断面図を示す。
この例では、基板2例えばSi基板上に、下地層3が形成され、この下地層3を介して反強磁性層4が形成され、この上に、中間層6を介して対の強磁性層5および7が形成された積層構造とされる。
この例では、反強磁性層4上に、磁化固定層を構成する強磁性層5が形成され、この上に、トンネルバリア層による中間層6が形成され、更にこの上に、情報記録層となる磁化自由層を構成する強磁性層7が形成されて、この積層構造によって強磁性トンネル接合(以下MTJという)が構成される。そして、このMTJ9上に保護層8いわゆるトップコート層が被着形成される。
【0033】
下地層3は、例えばTa膜によって構成される。
反強磁性層4は、一方の強磁性層5による磁化固定層5と反強磁性的に結合することにより、外部から印加される信号磁界、例えばメモリ装置における書き込み磁界によっても磁化が反転することなく、常に、磁化固定層5の磁化の向きを一定の向きに設定するものである。
この反強磁性層4は、Fe、Ni、Pt、Ir、Rh等を含むMn合金、Co酸化物、Ni酸化物等によって構成することができるものであり、この反強磁性層4は、例えばPtMnによって構成する。
【0034】
中間層6のトンネルバリア層は、金属膜例えばAlのスパッタ膜あるいは蒸着膜を、酸化した酸化膜あるいは窒化した窒化膜によって形成することができる。そのほか、このトンネルバリア層6は、有機金属と、酸素、オゾン、窒素、ハロゲン、ハロゲン化ガス等を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition) 法による成膜によって構成することもできる。
【0035】
そして、この中間層6を介して積層される磁化固定層5および磁化自由層7は、FeCoBあるいはFeCoNiBを含有する強磁性層によって構成される。磁化固定層5は、上述したように、反強磁性層4との反強磁性結合によって磁化の向きが一定に固定される。
【0036】
そして、中間層6を介して配置される両強磁性層、特に、例えば情報記録層となる磁化自由層、すなわち強磁性層7は、FeCoBあるいはFeCoNiBを含有するスパッタ膜を結晶質化した強磁性層によって構成される。
【0037】
例えば情報記録層としての磁化自由層7は、膜厚1nm〜10nmとすることが、良好な磁気特性を確保する上で望ましい。
すなわち、この磁化自由層7の膜厚が、1nm未満である場合は、磁化自由層としての磁気特性が大幅に損なわれ、また、10nmを超えると保磁力が大きくなり過ぎ、例えば磁気メモリ装置のメモリ素子として用いる場合、実用上不適当となるおそれがあることに因る。
【0038】
磁化自由層7は、上述したFeCoBあるいはFeCoNiBによる単層構造とするに限られるものではなく、例えばこの組成の強磁性層と、これに比し磁化量の小さいNiFe層との積層構造とすることができ、この場合は、これら層の総厚が10nmを超える構成とすることもできる。
【0039】
また、FeCoBあるいはFeCoNiBによって磁化固定層5を構成する場合、その膜厚は、0.5nm〜6nmに選定することが望ましい。
これは、磁化固定層5の膜厚が、0.5未満である場合には、磁化固定層としての磁気特性が損なわれ、また6nmを超えると反強磁性層との交換結合磁界が十分に得られなくなることに因る。
【0040】
また、図1で示した例では、磁化固定層5を単層構造とした場合であるが、図2にその一例の概略断面図を示すように、その磁化固定層5を、強磁性積層フェリ構造とすることができる。
この例では、反強磁性層4上に、この反強磁性層4と反強磁性結合する第1の磁化固定層5aが成膜され、この上に非磁性導電層5cを介して第2の磁化固定層5bが積層されている。
非磁性導電層5cは、例えばRu、Cu、Cr、Au、Ag等の金属膜によって構成することができる。
尚、図2において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
また、上述した例では、中間層6が、トンネルバリア層であってTMR素子構成とした場合であるが、中間層6が、非磁性導電層によって構成され、膜厚方向に通電がなされるいわゆるCPP(Current Perpendicular to Plane)構成のスピンバルブ型磁気抵抗効果素子に適用することもできる。
【0041】
〔磁気抵抗効果素子の製造方法〕
本発明による磁気抵抗効果素子の製造方法の一実施形態として、図1で示した磁気抵抗効果素子を製造する場合を例示する。しかしながら、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
この実施の形態においては、上述した基板2上への、下地層3、反強磁性層4、磁化固定層5、中間層6、磁化自由層7、保護層8の成膜は、例えばマルチチャンバー型のスパッタリング装置によって行うことができる。
【0042】
この場合、先ず、1つのチャンバー内に、例えばSiよりなる基板2を配置して、この上に、順次例えばTaによる下地層3、PtMnによる反強磁性層4、対となる強磁性層の下層側のFeCoBあるいはFeCoNiBによる磁化固定層5、例えばAl金属膜による中間層6を、連続的にスパッタリングによって形成する。
【0043】
その後、他のチャンバー内に、これら成膜を施した基板2を移行し、このチャンバー内において、中間層6を構成するAl金属膜の表面を酸化してトンネルバリア層を形成する。
その後、再び基板2を、例えば先のチャンバー内に持ち来し、中間層6上に、上述した対となる上層側の強磁性層として、FeCoBあるいはFeCoNiBによる磁化自由層7をスパッタリングし、更に、この上に、例えばTaによる保護層8を、連続スパッタリングによって形成する。
【0044】
これらスパッタリングは、前述したように、放電ガスを用いて、各種方法によって発生させたプラズマからのイオンを、スパッタ材のターゲットに衝突させてスパッタリングする方法、あるいはいわゆるイオンビームスパッタにおけるように、高エネルギーに加速させたイオンビームをターゲットに衝撃させるスパッタ等、各種のスパッタリングによることができる。
【0045】
このようにして、形成された各積層膜、特にFeCoBあるいはFeCoNiBによる磁化固定層5および磁化自由層7は、アモルファスないしは微結晶組織の層として成膜される。
【0046】
次に、この積層膜を有する基板2を、磁場中熱処理する。
この磁場中熱処理を行う磁場中熱処理装置は、図3にその一例の概略断面図を示すように、例えば真空チャンバー131を有し、その外周には例えばヒーターによる加熱手段132と、例えば電磁石による磁場印加手段133が配置された構成を有する。
【0047】
この真空チャンバー131内のラック134に、上述した積層膜を有する基板2を配置し、磁場印加手段133によって矢印135に示すように、積層膜の膜面方向に沿う、所定の向きの磁場を印加した状態で加熱手段132によって加熱する。この熱処理によって、アモルファスないしは微結晶組織として形成された磁化固定層5および磁化自由層7を結晶質化する。
このとき、この磁場中熱処理によって、同時に、反強磁性層4の規則化すなわち所定の向きに磁化し、これによってこの反強磁性層4上に接して形成され、反強磁性層4と反強磁性結合された強磁性層による磁化固定層5の磁化を一方向に固定することができる。
【0048】
この磁場中熱処理は、500kOe以上の磁場中で、強磁性層、すなわち磁化固定層および磁化自由層としての強磁性層5および7の強磁性材料の結晶化温度以上の温度で行う。
具体的には、この磁場中熱処理温度T〔℃〕は、後に詳述する280(B含有量〔%〕)≦T≦400とする。
【0049】
〔磁気メモリ装置とその製造方法〕
本発明による磁気メモリ装置は、そのメモリセルを構成するメモリ素子が、上述した本発明の各構成による磁気抵抗効果素子、例えばTMR素子によって構成される。
この磁気メモリ装置は、例えば図4に、その一例の要部の概略構成の斜視図を示し、図5に、その1つのメモリセル11の概略断面図を示すように、クロスポイント型のMRAMアレイ構造とすることができる。
【0050】
すなわち、このMRAMにおいては、並置配列された複数のワード線WLと、これらワード線WLとそれぞれ立体的に交叉するように並置配列された複数のビット線BLとを有し、これらワード線WLとビット線BLとの間の立体的交叉部に、それぞれメモリセル11として、本発明による磁気抵抗効果素子、例えばTMR素子1が配置される。
図4においては、磁気メモリ装置における3×3のメモリセル11がマトリクス状に配置された部分を示している。
【0051】
各メモリセル11は、図5に示すように、例えばシリコン基板より成る半導体基板2上すなわち半導体ウエハ上に、スイッチング用のトランジスタ13が形成される。
このトランジスタ13は、例えばMOSトランジスタ(絶縁ゲート電界効果型トランジスタ)より成る。この場合、半導体基板2上にゲート絶縁層14が形成され、この上にゲート電極15が被着された絶縁ゲート部が構成される。
また、半導体基板2に、絶縁ゲート部を挟んでその両側にソース領域16とドレイン領域17とが形成される。この構成において、ゲート電極15は、読み出し用のワード線WL1 を構成している。
【0052】
このトランジスタ13が形成された半導体基板2上には、ゲート電極15を覆って第1の層間絶縁層31が形成され、この第1の層間絶縁層31の、各ソース領域16およびドレイン領域17上に、層間絶縁層31を貫通してコンタクトホール18が穿設され、各コンタクトホール18に、導電性プラグ19が充填される。
そして、第1の層間絶縁層31上に、ソース領域16に対する配線層20が、ソース領域16にコンタクトされた導電性プラグ19上に跨がって被着形成される。
【0053】
更に、配線層20を覆って第1の層間絶縁層31上に第2の層間絶縁層32が形成される。
この第2の層間絶縁層32には、ドレイン領域17にコンタクトされた導電性プラグ19上に、コンタクトホール18が貫通穿設され、これに導電性プラグ19が充填される。
【0054】
第2の層間絶縁層32上には、例えば読み出し用ワード線WL1 の延長方向に延長して図4のワード線WLに相当する書き込み用ワード線WL2 が形成される。
また、この書き込み用ワード線WL2 を覆って、第2の層間絶縁層32上に、例えば酸化シリコンより成る第3の層間絶縁層33が形成される。この第3の層間絶縁層33においても、ドレイン領域17にコンタクトされた導電性プラグ19上に、コンタクトホール18が貫通穿設され、これに導電性プラグ19が充填される。
【0055】
そして、この第3の層間絶縁層33を貫通する導電プラグ19にコンタクトして、第3の層間絶縁層33上に、図1あるいは図2で示した導電性の例えばTaより成る下地層3を形成し、この下地層3上に、磁気抵抗効果素子例えばTMR素子1を形成する。
【0056】
更に、この下地層3とこの上のTMR素子1を覆って第4の層間絶縁層34が形成され、この上に、書き込み用ワード線WL上を横切って、ビット線BLを形成する。
【0057】
ビット線BL上には、図示しないが表面絶縁層が必要に応じて形成される。
上述した第1〜第4の各層間絶縁層や表面絶縁層等は、例えばプラズマCVDによって形成することができる。
【0058】
磁気抵抗効果素子のTMR素子1の構造および製造方法は、前述したように、図2あるいは図3の構造を、本発明製造方法で説明した構成材料および成膜方法によって、反強磁性層4、単層あるいは積層フェリ構造による磁化固定層5、中間層6をスパッタリングによって形成し、中間層6に対する酸化処理もしくは窒化処理を行い、続いて、磁化自由層7、保護層8のスパッタリングを行うことによって形成することができる。
【0059】
したがって、この場合においても、磁化固定層の強磁性層5、および磁化自由層すなわち情報記録層の強磁性層7は、FeCoBあるいはFeCoNiBのアモルファスないしは微結晶組織層として形成される。
これら、メモリセル11は、共通の半導体基板2すなわち半導体ウエハ上に、図4で示すように、マトリックス状に配列される。
【0060】
次に、この半導体基板2を、図3で説明した磁場中熱処理装置によって、同様に、磁場中熱処理して、磁気抵抗効果素子のTMR素子1の、アモルファスないしは微結晶組織として形成された磁化固定層および磁化自由層の強磁性層5および7を結晶質化する。
このとき、この磁場中熱処理によって、同時に、反強磁性層4の規則化すなわち反強磁性層4を所定の向きに磁化し、これによってこの反強磁性層4上に接して形成されこれと反強磁性結合された強磁性層による磁化固定層5の磁化を一方向に固定することができる。
【0061】
この構成による磁気メモリ装置は、ビット線BLと書き込みワード線WL(WL1 )とに所要の電流を通電することによって、選択された交叉部のメモリセル11の磁気抵抗効果素子例えばTMR素子1の磁化自由層に、両ビット線BLと書き込みワード線WLによる発生磁界の合成による所要の書き込み磁界を印加して、前述したように、磁化自由層の磁化を反転させて、情報の記録を行う。
【0062】
この情報の読み出しは、選択された読み出しを行うメモリセルに関わるトランジスタ13のゲート電極15すなわち読み出しワード線WL1 に所要のオン電圧を印加してトランジスタ13をオン状態とし、ビット線BLとトランジスタ13のソース領域16の配線層20との間に、読み出し電流を通電することによってその読み出しを行う。
【0063】
上述したように、本発明による磁気抵抗効果素子は、磁化固定層および磁化自由層を構成する強磁性層5および7、特に磁化自由層を構成する強磁性層7が強磁性遷移金属元素であるFe、Coと共にBを含有するFeCoB、FeCoNiBによって構成することにより反転磁界の増大化が図られる。
すなわち、強磁性遷移金属元素のみで強磁性層を構成する従来通常のTMR素子では、スピン分極率の向上と反転磁界の低減化とが相容れないという不都合がある。
これに比し、上述したFeCoB、FeCoNiBによるときは、スピン分極率の向上と共に保磁力すなわち反転磁界の低減が実現される。すなわち、スピン分極率が高められることによって、前記(1)式から高い抵抗変化率、すなわちTMR素子においては、高いTMR比が得られる。また、反転磁界の低減によって、磁気メモリ装置において、そのメモリ素子としての磁気抵抗効果素子に対する書き込み磁界、すなわち書き込み電流の低減を図ることができる。
【0064】
そして、特に本発明においては、アモルファスないしは微結晶組織として形成された、この組成の強磁性層を、磁場中熱処理することによって磁性層の磁気的困難軸と容易軸とで示される磁気異方性が制御され、R−H曲線の角形性が高められ、磁化自由層すなわち情報記録層の反転磁界が安定する。
また、B(ボロン)を含有することによってバイアス電圧依存性が改善される。
【0065】
ここで、情報記録層がCo72Fe8 20〔原子%〕を含有する本発明によるTMR素子と、情報記録層がCo90Fe10〔原子%〕を含有するTMR素子とを作製し、これらに付いて外部磁場の変化に対するトンネル抵抗値の変化率を測定した。このTMR〔%〕−外部磁場〔Oe〕曲線の測定結果を、図6に示す。図6においては、曲線61は、情報記録層がCo72Fe8020のTMR素子の場合のTMR−外部磁場曲線であり、曲線62は、情報記録層がCo90Fe10のTMR素子のTMR−外部磁場曲線である。
【0066】
曲線61と62を比較して明らかなように、情報記録層がFe、Co、Bを含有するTMRは、Fe、Coのみを含有するTMR素子に比してTMR比を高く維持しつつ、保磁力Hcを低減することが可能であった。
また、TMR−磁場ループの角形性が向上すると共に、バルクハウゼンノイズも改善されていることが分かる。
【0067】
したがって、本発明による磁気抵抗効果素子による磁気メモリ装置のメモリ素子は、書き込み電流の低減が図られるばかりでなく、アステロイド曲線の形状も改善されることによって、書き込み特性が向上し、特性のばらつきが改善され、て、書き込みエラーの低減が図られる。
【0068】
このような効果が現れる原因は明確でないが、Bを含有する強磁性層特有の現象と考えられ、また、この特性の改善は、強磁性層がアモルファスないしは微結晶状態において必ずしも得られるものではない。すなわち、上述した結晶化温度以上で、かつ磁場中熱処理によって結晶質化され、かつ磁気異方性を有するように制御されることによって生じると思われる。
【0069】
そして、磁気メモリ装置においては、同一基板上に、極めて多数のメモリ素子、すなわち磁気抵抗効果素子が形成されることから、上述した書き込み電流の低減は、きわめて大きな利益をもたらすものであり、また、すぐれたアステロイド曲線を得ることができること、つまり安定した磁気的特性の安定化が図られことは、極めて重要な点である。
【0070】
尚、強磁性層が含有するFeCoB、FeCoNiBの合金組成には、好ましい範囲が存在するものである。これらFeCoB、FeCoNiBによる強磁性層による磁気抵抗効果素子、メモリ素子については、本出願人による特許願2002−106926号ですでに提案しているところである。
【0071】
すなわち、強磁性層が含有するFe、Co、Bの合金組成については、不可避な不純物元素を除いて、組成式FeX Coy z (組成式中、x、y、zは、原子%を表す)から構成され、5≦x≦45、35≦y≦85、10≦z≦30であることが好ましい。このとき、x+y+z=100である。これら組成の特定について以下説明する。
【0072】
まず、Bの添加量について説明する。このBの添加量が10原子%未満であると、ベースとなるFe−Co合金の磁気特性が大きく反映され、緩やかな改善 効果が認められるのみである。したがって、10原子%以上のBを含有することにより、Fe、Co等を同じ比率で含む合金と比較して、TMR比が顕著に増大すると共に、抵抗−磁場曲線(R−H曲線)の角形性が改善される。また、TMR比のバイアス依存性も改善され、更に、情報記録層の磁化状態が安定しているため、保磁力のばらつきが小さく、R−H曲線上に見られるノイズも大幅に低減する。
【0073】
また、Bの添加量は、30原子%以下であることが好ましい。これは、Bの添加量が30原子%を超えると、例えば情報記録層としての強磁性的な特性および磁化固定層としての固定磁界が損なわれてくる。その結果、TMR比の低下、R−H曲線の角形性の劣化および保磁力の減少を来すおそれが生じる。したがって、Bを添加することによる効果を確実に得るためには、Fe−Co合金の組成によって若干変化するが、少なくとも一方の強磁性層の、情報記録層を構成する強磁性層7は、10原子%以上、30原子%以下のBが含有する組成とすることが望ましい。
【0074】
次に、ベースとなるFe−Co合金について説明する。
Bを含めた合金組成で少なくとも35原子%のCoが必要である。Bが添加された場合の効果を促進し、しかも強磁性的な性質を保持するためである。その上で、Feが添加されると、Co−Feベース合金での変化と同様に、TMR比の向上および保磁力の増大効果が認められる。しかし、Feの含有量が、45原子%を超えると実際の素子寸法では、保磁力が過剰に増大し、TMR素子として不適当となる。また、Feの含有量が5原子%未満であると、強磁性層のスピン分極率が小さくなり、磁気抵抗効果素子として動作するに十分なTMR比が得られなくなるおそれがある。したがって、Feの含有量は、5原子%以上、45原子%以下とすることが好ましい。
【0075】
また、強磁性層としては、上述したように、Fe、Co、BのほかにNiを含有する組成とすることができる。このNiを含有する場合でも、保磁力の増大を抑えつつ良好なTMR比を維持し、R−H曲線の角形性の改善効果を得ることができる。この場合、Ni含有量の好ましい範囲が存在する。すなわちNiは、35原子%以下であることが好ましい。これは、Niの含有量が、35原子%を超えると保磁力が小さくなり過ぎて、TMR素子の動作の制御が困難となるおそれがあることに因る。すなわち、FeCoNiBの強磁性層においては、不可避な不純物元素を除いて、組成式FeaCobNicBd(組成式中、a〜dは原子%を表す)から構成され、5≦a≦45、35≦b≦85、0<c≦35、10≦d≦30であることが好ましい。そして、このとき、a+b+c+d=100である。
【0076】
本発明は、上述した組成のFeCoBおよびFeCoNiB合金に対し、アモルファスないしはB結晶組織を磁場中で結晶化温度以上の温度で熱処理し、磁気異方性が制御された結晶質に変化させることにより、情報記録層の反転磁界が均一化し、書き込みエラーが抑制され、ギガビット級のMRAMが正しく動作し得る状態を作るものである。
この磁場中熱処理は、前述したように、500kOe以上とし、熱処理温度は、T〔℃〕は、前述したように、280(B含有量〔%〕)≦T≦400とするものであるが、この熱処理温度について説明する。
【0077】
すなわち、アモルファス相の結晶化温度は、熱処理時間に依存し、その制御範囲は広い。MRAMを製造する場合を考慮したとき、例えばそのMTJ9における各層の界面における各層の構成元素の相互拡散の発生等による特性への影響から、現実的な時間として、その熱処理時間すなわち温度保持時間を2時間として考えると、FeCoB合金およびFeCoB合金の結晶化温度は、B含有量に依存する。B含有量が10原子%のとき、結晶化温度は290℃、B含有量が20原子%のとき、結晶化温度は300℃、B含有量が30原子%のとき、結晶化温度は310℃であった。つまり、この結晶化温度は、Bの含有量に依存する。この結晶化温度の関係は、これらBの含有量と結晶化温度の関係から、結晶化温度の近似式は、280(B含有量(%))で与えられる。
したがって、結晶化の熱処理温度は、280(B含有量(%))以上とする。
一方、この熱処理において、上述のMTJ9において、そのトンネル磁気抵抗効果の特性が損なわれることがない温度とすることが必要であり、したがって、この熱処理温度は、400℃以下となる。
これらのことから、磁場中熱処理の、熱処理温度T〔℃〕は、前記(2)式の、280(B含有量(%))≦T≦400となる。
【0078】
尚、熱処理後の冷却時の冷却速度については、この冷却速度が余り遅いと、Bを多く含む微細析出物が生じ、特性の低下をもたらす。したがって、熱処理後の冷却速度にも考慮が望まれる。具体的には、熱処理温度から280℃に冷却するまでは、その冷却速度は毎分2℃以上とすることが望ましいことが確認された。
一方、加熱処理における昇温速度については、熱処理装置の性能に依存し、制御温度が、所望温度より高くなるいわゆるオーバーシュートが発生しない範囲でなるべく速い方が望ましい。
【0079】
また、熱処理中の磁場強度に関して、磁場強度は、5kOe以上必要である。
また、熱処理中にも磁場を印加し続けることが必要である。具体的に磁場を印加する温度域としては、熱処理温度から冷却中において、その温度70℃に達するまで印加することが望ましい。
【0080】
また、上述したMRAMの作製工程で、本発明における上述した熱処理は、MTJの形成直後に行うこともできるものの、積層構造部、すなわちMTJを形成して後に、層間絶縁層例えば酸化シリコンをプラズマCVDによって成膜する場合、この成膜において、300℃以上に温度上昇することが考えられることから、本発明における熱処理は、MTJの形成後になされるこのプラズマCVDの後に行うことが望ましい。
【0081】
〔特性評価〕
次に、本発明による磁気抵抗効果素子と、これをメモリ素子として用いたMRAMの実施例に対応する特性評価用素子(以下TEG(Test Element Group)という)を作製して、これによって本発明構成の特性評価を行った。この特性評価とその結果について説明する。
この場合、図5において説明したように、MRAMにおいては、メモリ素子としてのTMR素子以外に、スイッチング用のトランジスタ13が形成されるものであるが、このTEGにおいては、半導体基板2すなわち半導体ウエハには上述したスイッチング用トランジスタ13の形成を省略した。
【0082】
図7に概略平面図を示し、図8に、図7のA−A線の概略断面図を示すように、表面に厚さ2μmの熱酸化膜による絶縁層12が形成された、厚さ0.6mmの半導体基板(半導体ウエハ)2を用意した。
この半導体基板2上に、ワード線を構成する金属膜の形成、およびフォトリソグラフィによるパターンエッチングを行って、一方向に延長するワード線WLを形成した。
このとき、ワード線WLの形成部以外のエッチング部においては、半導体基板2の表面の酸化膜すなわち絶縁層12が深さ5nmまでエッチングされた。
【0083】
ワード線WL上の一部に、TMR素子1を作製した。このTMR素子1の形成は、先ず、半導体基板2側から、それぞれ全面的に、順次、厚さ3nmのTa層と厚さ100nmのCu層とによる下地層3、PtMn層による反強磁性層4、厚さ3nmのCoFe層と厚さ0.8nmのRu層による非磁性導電層と厚さ2.5nmのCoFe層とのフェリ磁性層による磁化固定層5、厚さ1nmのAlを酸化処理した中間層6、厚さ5nmのFeCoB層による磁化自由層7、厚さ5nmのTa層より成る保護層8を形成した。
【0084】
このようにして、形成した積層膜の一部によってTMR素子1を構成するものであり、このために積層膜のTMR素子1の形成部上に、フォトレジスト層によるマスク層(図示せず)をフォトリソグラフィによって形成する。
このマスク層を、エッチングマスクとして、上述の積層膜に対するエッチング例えばドライエッチングを行って、上述した積層膜による所要のパターンのTMR素子1を形成する。
更に、フォトレジスト層によるマスク層上から、TMR素子1の周囲を覆って厚さ100nm程度に、Al2 3 をスパッタし、その後、マスク層の除去を行って、TMR素子1上の絶縁層の除去、すなわちリフトオフを行ってTMR1の表面を露出する。
【0085】
この露出したTMR素子1上にコンタクトして全面的に金属膜の形成を成膜し、この金属膜をフォトリソグラフィによってパターンエッチングしてビット線BLを形成する。
【0086】
このビット線BLと上述したワード線WLとは、それぞれCu層によって形成し、相互に交叉する方向に延長するパターンに形成する。
【0087】
磁化自由層すなわち情報記録層を構成する強磁性層7のFeCoBの組成は、Fe8 Co7220〔原子%〕とした。
また、磁化固定層を構成する強磁性層5のCoFeの組成は、Co75Fe25〔原子%〕とした。
中間層6のトンネルバリア層は、先ずAl膜をDCスパッタ法により厚さ1nmに堆積し、その後に、酸素とアルゴンの流量比は、1:1とし、チャンバーのガス圧を0.1mTorrとし、ICP(Inductive Coupled Plasma: 誘導結合型プラズマ)により金属Al膜をプラズマ酸化することによって形成した。
この酸化時間は、ICPプラズマ出力に依存するが、この例では30秒の酸化処理を行った。
この中間層6以外の成膜は、DCマグネトロンスパッタ法を用いて成膜した。
TMR素子1は、短軸0.5μm、長軸1.0μmの楕円形パターンに形成した。
【0088】
ワード線WLおよびビット線BLは、それぞれ金属膜を形成し、これをフォトリソグラフィを用いたArプラズマエッチングによってパターン化して形成した。
ワード線WLおよびビット線BLの両端には、図7に示すように、それぞれ端子パッドを23および24を延長形成した。
このTEGは、共通の基板2上に、多数個配列形成した。
このようにして作製したサンプルのTEGにおける結晶化温度を測定したところ300℃であった。
【0089】
このようにして作製したTEGを上述した磁場中熱処理装置よって、磁場中熱処理した。この熱処理は、PtMnによる反強磁性層4の規則化熱処理も兼ねることができ、これによって強磁性トンネル接合MTJを構成した。
この磁場中熱処理は、磁場強度10kOe、熱処理時間(具体的には加熱保持時間)は、2時間とした。
【0090】
上述のようにして作製されたTEGについて、その熱処理温度を変化させて、TMR比、反転磁界Hcのばらつき、バイアス電圧依存性を測定した。これらは、次のように測定した。
【0091】
〔TMR比の測定〕
MRAMのメモリ素子への情報記録は、ビット線、ワード線への通電による誘導磁界によって行うが、この場合の測定においては、TEGの情報記録層すなわち磁化自由層7の磁化反転を、外部磁界の印加によって行い、TMR比の測定を行った。
この測定は、先ず、TMR素子1の情報記録層を磁化反転させるための外部磁界を、情報記録層の磁化容易軸に対して平行になるように印加した。
この磁界の大きさは、500〔Oe〕とした。
【0092】
次に、情報記録層の磁化容易軸の一方からみて、−500〔Oe〕から+500〔Oe〕まで掃引するのと同時に、ワード線WLの端子パッド23とビット線BLの端子パッド24とにかかるバイアス電圧が100mVとなるように調整して、強磁性トンネル接合(MTJ)にトンネル電流を流した。このときの各外部磁界に対する抵抗値を測定した。
【0093】
そして、磁化固定層5と情報記録層7との磁化が反平行の状態であって抵抗が高い状態の抵抗値RH と、磁化固定層5と情報記録層7との磁化が平行の状態であって抵抗が低い状態での抵抗値RL との差と、RL との比、{(RH −RL )/RL }×100を、TMR比とした。そして、このTMR比は、良好な読み出し特性を得るという観点から、45%以上であることが望ましい。
【0094】
〔反転磁界Hcとばらつきの測定〕
反転磁界Hcは、前記TMR比の測定法から求められるR−H曲線から求めた。そして、ウエハ内の素子毎にR−Hを測定し、反転磁界Hcの平均値と、標準偏差σを求めた。ばらつき値は、σ/Hc平均値として算出した。この反転磁界Hcのばらつきは、書き込み特性の向上を図るという観点から、10%以下が望ましい。
【0095】
〔バイアス電圧依存性の測定〕
バイアス電圧を100mVから1000mVまで10mV刻みに変化させながらR−H曲線の測定を行い、TMRを求め、バイアス電圧に対してプロットした。そして、これから外挿された0mVでのTMR比に対して、半分になるバイアス電圧を求め、これをVhalfとした。
Vhalfは、550mV以上であることが望ましい。
【0096】
図9は、熱処理温度とTMR比(平均値)との関係の測定結果を示し、図10は、熱処理温度と反転磁界Hcとの関係の測定結果を示し、図11は、熱処理温度と反転磁界Hcのばらつきとの関係の測定結果を示し、図12は、熱処理温度とバイアス電圧(平均値)との関係の測定結果を示した。
【0097】
図9〜図12によれば、300℃の結晶化温度以上、かつ400℃以下で磁場中熱処理することにより、TMR比、反転磁界Hc、反転磁界Hcのばらつき、バイアス電圧において、望ましい特性範囲を満足している。
【0098】
そして、図11から、結晶化温度以上400℃以下で磁場中で熱処理することにより、明らかに同一ウエハのTMR素子間での反転磁界のばらつきが抑制され、書き込み特性が直接大きく改善されることが分かる。
また、図12から、同様に、TMR比のバイアス依存性が明確に改善されており、読み込み特性ならびに書き込み特性に直接良好な効果をもたらすことが分かる。
【0099】
更に、図9および図10においても、結晶化温度から400℃の間で、磁場中熱処理によって、TMR比の改善と適正な反転磁界が維持されており、バランスに優れた良好な特性を備えていることが分かる。
【0100】
これらの結果から、MRAMとして、書き込み特性および読み込み特性、更にはいずれもエラーレートが大きく改善されることが明らかとなった。
【0101】
このように、少なくとも磁化自由層、すなわち磁気メモリ装置におけるメモリ素子の情報記録層としての強磁性層が、ボロンBを、好ましくは10原子%以上30%以下で含有させたFeCoBあるいはFeCoNiBによって構成したことによって、更に、この組成によるスパッタ膜において、アモルファスないは微結晶組織を有する膜として成膜された強磁性層を磁場中熱処理して結晶化するという構成によって、より安定してTMR比の増大、反転磁界の改善、そのばらつきの改善、R−H曲線の角形性の改善によるアステロイド特性の改善がはかられるものである。
【0102】
尚、上述した例では、主として、対の強磁性層5および7間の中間層6が、トンネルバリア層でTMR素子を構成する場合について説明したが、磁気抵抗効果素子として、中間層6が非磁性導電層によって構成したスピンバルブ型のいわゆるGMR素子とすることもできる。
【0103】
【発明の効果】
上述したように、本発明による磁気抵抗効果素子は、MR比の向上、MR比のバイアス電圧依存性の改善、反転磁界の低減およびばらつきの低減、アステロイド特性の改善が図られる。
また、これらの改善によって、この磁気抵抗効果素子をメモリ素子とする本発明による磁気メモリ装置は、書き込み特性および読み出し特性にすぐれ、エラーレートの改善、安定した信頼性の高い、また消費電力の低減化等を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気抵抗効果素子の一例の概略断面図である。
【図2】本発明による磁気抵抗効果素子の他の例の概略断面図である。
【図3】本発明製造方法に用いる磁場中熱処理装置の一例の概略断面図である。
【図4】本発明による磁気メモリ装置の一例の概略構成の斜視図である。
【図5】本発明による磁気メモリ装置の一例のメモリセルの概略断面図である。
【図6】本発明および従来のTMR素子の外部磁場に対するTMR測定曲線を示す図である。
【図7】特性評価素子の概略平面図である。
【図8】特性評価素子の概略断面図である。
【図9】TMR比の熱処理温度による変化を示す図である。
【図10】反転磁界の熱処理温度による変化を示す図である。
【図11】反転磁界の素子間の熱処理温度による変化を示す図である。
【図12】バイアス電圧Vhalf熱処理温度による変化を示す図である。
【符号の説明】
1・・・磁気抵抗効果素子(TMR素子)、2・・・基板、3・・・下地層、4・・・反強磁性層、5・・・強磁性層(磁化固定層)、5a・・・第1の磁化固定層、5b・・・第2の磁化固定層、5c・・・非磁性導電層、6・・・中間層(トンネルバリア層)、7・・・強磁性層(磁化自由層)、8・・・保護層、9・・・強磁性トンネル接合、11・・・メモリセル、12・・・絶縁層、13・・・トランジスタ、14・・・ゲート絶縁層、15・・・ゲート電極、16・・・ソース領域、17・・・ドレイン領域、18・・・コンタクトホール、19・・・導電性プラグ、20・・・配線層、23,24・・・端子パッド、30・・・絶縁層、31〜34・・・第1〜第4の層間絶縁層、131・・・真空チャンバー、132・・・加熱手段、133・・・磁場印加手段、134・・・ラック、WL・・・ワード線、BL・・・ビット線

Claims (2)

  1. 対の強磁性層が中間層を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    上記磁気抵抗効果素子が、上記対の強磁性層の一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であるスピンバルブ型磁気抵抗効果素子であり、
    上記磁化自由層を、組成式FeCo(組成式中、x、y、zは、原子%を表す)を有し、5≦x≦45、35≦y≦85、10≦z≦30、x+y+z=100であるFeCoB、あるいは、組成式FeaCobNicBd(組成式中、a〜dは原子%を表す)を有し、5≦a≦45、35≦b≦85、0<c≦35、10≦d≦30、a+b+c+d=100であるFeCoNiBを含有するアモルファスないしは微結晶組織の強磁性材料層の成膜工程と、その後、該強磁性材料層の結晶化温度以上の温度で、磁場中熱処理し、上記アモルファスないしは微結晶組織を結晶質に構造変更する工程とを経て形成する磁気抵抗効果素子の製造方法。
  2. 上記磁場中熱処理温度T〔℃〕を、
    280+(B含有量〔%〕)≦T≦400
    とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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