JP2012054576A - 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱処理による磁気抵抗変化率の劣化を抑制することにより、良好な磁気特性を有する磁気抵抗効果素子を備えて優れた書き込み特性を有する磁気メモリ装置を提供する。
【解決手段】膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成であり、磁化固定層5と、この磁化固定層5上に形成されたトンネルバリア層6と、このトンネルバリア層6上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層7とを有する磁気抵抗効果素子1と、この磁気抵抗効果素子1を厚み方向に挟むビット線及びワード線とを備えた磁気メモリ装置を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成であり、磁化固定層5と、この磁化固定層5上に形成されたトンネルバリア層6と、このトンネルバリア層6上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層7とを有する磁気抵抗効果素子1と、この磁気抵抗効果素子1を厚み方向に挟むビット線及びワード線とを備えた磁気メモリ装置を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗効果素子を備えて成る磁気メモリ装置に係わる。
情報通信機器、特に携帯端末等の個人用小型機器の飛躍的な普及に伴い、これを構成するメモリやロジック等の素子には、高集積化、高速化、低電力化等、一層の高性能化が要請されている。特に不揮発性メモリの高密度・大容量化は、可動部分の存在により本質的に小型化が不可能なハードディスクや光ディスクを置き換える技術として、ますます重要になってきている。
不揮発性メモリとしては、半導体を用いたフラッシュメモリや、強誘電体を用いたFRAM(Ferro electric Random Access Memory )等が挙げられる。
しかしながら、フラッシュメモリは、書き込み速度がμ秒のオーダーと遅いという欠点がある。一方、FRAMにおいては、書き換え可能回数が少ないという問題が指摘されている。
しかしながら、フラッシュメモリは、書き込み速度がμ秒のオーダーと遅いという欠点がある。一方、FRAMにおいては、書き換え可能回数が少ないという問題が指摘されている。
これらの欠点がない不揮発性メモリとして注目されているのが、例えば「Wanget al.,IEEE Trans. Magn. 33(1997),4498 」に記載されているような、MRAM(Magnetic Random Access Memory )と呼ばれる磁気メモリである。このMRAMは、構造が単純であるため高集積化が容易であり、また磁気モーメントの回転により記録を行うために書き換え可能回数が大である。またアクセス時間についても非常に高速であることが予想され、既にナノ秒台で動作可能であることが確認されている。
このMRAMに用いられる、磁気抵抗効果素子、特にトンネル磁気抵抗効果(Tunnel Magnetoresistance:TMR)素子は、基本的に強磁性層/トンネルバリア層/強磁性層の積層構造で構成される。この素子では、強磁性層間に一定の電流を流した状態で強磁性層間に外部磁場を印加した場合、両磁性層の磁化の相対角度に応じて磁気抵抗効果が現れる。双方の強磁性層の磁化の向きが反平行の場合は抵抗値が最大となり、平行の場合は抵抗値が最小となる。メモリ素子としての機能は外部磁場により反平行と平行の状態を作り出すことによってもたらされる。
特にスピンバルブ型のTMR素子においては、一方の強磁性層が隣接する反強磁性層と反強磁性的に結合することによって磁化の向きが常に一定とされた磁化固定層とされる。他方の強磁性層は、外部磁場等によって容易に磁化反転する磁化自由層とされる。そして、この磁化自由層が磁気メモリにおける情報記録層となる。
スピンバルブ型のTMR素子において、その抵抗値の変化率は、それぞれの強磁性層のスピン分極率をP1,P2とすると、下記の式(A)で表される。
2P1P2/(1−P1P2) (A)
2P1P2/(1−P1P2) (A)
このように、それぞれのスピン分極率が大きい程、抵抗変化率が大きくなる。強磁性層に用いる材料と、この抵抗変化率の関係については、これまでにFe,Co,Ni等のFe族の強磁性体元素やそれら3種類のうちの合金についての報告がなされている。
MRAMのTMR素子における情報の読み出しは、トンネルバリア層を挟んだ一方の強磁性層と他方の強磁性層の磁気モーメントの向きが反平行であり抵抗値が高い場合を例えば“1”、その逆に各々の磁気モーメントが平行である場合を“0”としてそれらの状態での一定バイアス電圧での差電流や一定バイアス電流での差電圧により読出しを行う。
従って、TMR比(磁気抵抗変化率)が高いほど有利であり、高速で集積度が高く、エラーレートの低いメモリが実現される。
従って、TMR比(磁気抵抗変化率)が高いほど有利であり、高速で集積度が高く、エラーレートの低いメモリが実現される。
また、強磁性層/トンネルバリア層/強磁性層の基本構造を有するTMR素子にはTMR比のバイアス電圧依存性が存在し、バイアス電圧が上昇するにつれてTMR比が減少していくことが知られている。差電流又は差電圧で読み出しを行うときに、多くの場合にTMR比がバイアス電圧依存性により半減する電圧(Vh)で読み出し信号の最大値をとることが知られているので、バイアス電圧依存性も少ない方が読み出しエラーの低減において有効である。
ところで、MRAMは、上述したTMR素子の他に、読み出しの際にTMR素子を選択するためのトランジスタ等のスイッチング素子を有して成り、スイッチング素子を含む半導体回路が形成されている。
このような半導体回路とTMR素子とを同一チップ内に共存させる場合には、半導体回路の作製に350℃以上の加熱を必要とする工程があるため、TMR素子にも同様な温度耐久性が必要とされる。
このような半導体回路とTMR素子とを同一チップ内に共存させる場合には、半導体回路の作製に350℃以上の加熱を必要とする工程があるため、TMR素子にも同様な温度耐久性が必要とされる。
しかしながら、Fe、Co、Ni等のFe族元素の合金等を強磁性層に用いたTMR素子は、およそ300℃以上で磁気抵抗変化率が著しく劣化することが知られており、耐熱性の面で問題を有している。この磁気抵抗変化率の劣化は、TMR素子の構成層の成分が熱により相互拡散し、強磁性層又はトンネルバリア層に望ましくない不純物が侵入することによると考えられている。
そこで、Fe、Co、Ni等のFe族元素の合金に対して、B、Si、C、P、Al、Ge、Ti、Nb、Ta、Zr、Moを添加している非晶質合金を磁化自由層に用いることにより、磁気抵抗変化率が向上し、磁化反転の安定化によりMRAMにおける読み出し特性も向上する。
しかし、このような非晶質合金を、その結晶化温度以上に加熱すると、磁気抵抗変化率等、MRAM用のTMR素子に求められる磁気特性が劣化する。
しかし、このような非晶質合金を、その結晶化温度以上に加熱すると、磁気抵抗変化率等、MRAM用のTMR素子に求められる磁気特性が劣化する。
上述したように、優れた読み出し特性及び半導体回路作製プロセスとの高い親和性を両立するMRAMを実現するためには、比較的高い温度履歴を経た後でもTMR素子の磁気特性(高い磁気抵抗変化率等)が保証される必要があり、TMR素子の耐熱性の向上が求められている。
上述した問題の解決のために、本発明においては、熱処理による磁気抵抗変化率の劣化を抑制することにより、良好な磁気特性を有する磁気抵抗効果素子、及びこの磁気抵抗効果素子を備えて優れた書き込み特性を有する磁気メモリ装置を提供するものである。
本発明の磁気抵抗効果素子は、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子であって、磁化固定層と、この磁化固定層上に形成されたトンネルバリア層と、このトンネルバリア層上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層とを有するものである。
本発明の磁気メモリ装置は、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子と、この磁気抵抗効果素子を厚み方向に挟むワード線及びビット線とを備え、磁気抵抗効果素子は、磁化固定層と、この磁化固定層上に形成されたトンネルバリア層と、このトンネルバリア層上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層とを有するものである。
上述の本発明の磁気抵抗効果素子の構成によれば、磁化固定層上のトンネルバリア層上に形成された磁化自由層が、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含むことにより、耐熱温度の改善を図り、耐熱性を向上することができる。
上述の本発明の磁気メモリ装置の構成によれば、磁気抵抗効果素子と、磁気抵抗効果素子を厚み方向に挟むワード線及びビット線とを備え、磁気抵抗効果素子が上記の本発明の磁気抵抗効果素子の構成であることにより、耐熱性が向上されるため、熱処理による磁気抵抗変化率の低下を抑制して、優れた読み出し特性を実現することが可能になる。
上述の本発明の磁気抵抗効果素子によれば、磁化固定層上のトンネルバリア層上に形成された磁化自由層に結晶化温度が623K以上の非晶質強磁性材料を用いることにより、非晶質化により磁気抵抗変化率を向上することができると共に、耐熱性に優れた磁気抵抗効果素子を得ることができる。
これにより、磁気抵抗効果素子と半導体回路作製プロセスとの親和性を向上させることができ、磁気抵抗効果素子を磁気メモリ装置に適用した場合に、読み出しエラーを低減することができ、優れた読み出し特性が得られる。
これにより、磁気抵抗効果素子と半導体回路作製プロセスとの親和性を向上させることができ、磁気抵抗効果素子を磁気メモリ装置に適用した場合に、読み出しエラーを低減することができ、優れた読み出し特性が得られる。
また、本発明の磁気メモリ装置によれば、耐熱性の問題を改善し、出力信号が大きく優れた読み出し特性を有する磁気メモリ装置を実現することができる。
本発明は、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子であって、磁化固定層と、この磁化固定層上に形成されたトンネルバリア層と、このトンネルバリア層上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層とを有する磁気抵抗効果素子である。
本発明は、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子と、この磁気抵抗効果素子を厚み方向に挟むワード線及びビット線とを備え、磁気抵抗効果素子は、磁化固定層と、この磁化固定層上に形成されたトンネルバリア層と、このトンネルバリア層上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層とを有する磁気メモリ装置である。
まず、本発明の磁気抵抗効果素子の一実施の形態の概略構成図を図1に示す。この図1に示す実施の形態は、本発明をトンネル磁気抵抗効果素子(以下、TMR素子と称する。)に適用した場合を示している。
このTMR素子1は、シリコン等からなる基板2上に、下地層3と、反強磁性層4と、強磁性層である磁化固定層5と、トンネルバリア層6と、強磁性層である磁化自由層7と、トップコート層8とがこの順に積層されて構成されている。
即ち、強磁性層の一方が磁化固定層5とされ、他方が磁化自由層7とされた、いわゆるスピンバルブ型のTMR素子を構成しており、対の強磁性層である磁化固定層5と磁化自由層7とでトンネルバリア層6を挟み込むことにより、強磁性トンネル接合9を形成している。
そして、磁気メモリ装置等にこのTMR素子1を適用した場合には、磁化自由層7が情報記録層となり、そこに情報が記録される。
即ち、強磁性層の一方が磁化固定層5とされ、他方が磁化自由層7とされた、いわゆるスピンバルブ型のTMR素子を構成しており、対の強磁性層である磁化固定層5と磁化自由層7とでトンネルバリア層6を挟み込むことにより、強磁性トンネル接合9を形成している。
そして、磁気メモリ装置等にこのTMR素子1を適用した場合には、磁化自由層7が情報記録層となり、そこに情報が記録される。
反強磁性層4は、強磁性層の一方である磁化固定層5と反強磁性的に結合することにより、書き込みのための電流磁界によっても磁化固定層5の磁化を反転させず、磁化固定層5の磁化の向きを常に一定とするための層である。即ち、図1に示すTMR素子1においては、他方の強磁性層である磁化自由層7だけを外部磁場等によって磁化反転させる。磁化自由層7は、TMR素子1を例えば磁気メモリ装置等に適用した場合に情報が記録される層となるため、情報記録層とも称される。
反強磁性層4を構成する材料としては、Fe、Ni、Pt、Ir、Rh等を含むMn合金、Co酸化物、Ni酸化物等を使用することができる。
反強磁性層4を構成する材料としては、Fe、Ni、Pt、Ir、Rh等を含むMn合金、Co酸化物、Ni酸化物等を使用することができる。
図1に示すスピンバルブ型のTMR素子1においては、磁化固定層5は、反強磁性層4と反強磁性的に結合することによって磁化の向きを一定とされる。このため、書き込みの際の電流磁界によっても磁化固定層5の磁化は反転しない。
トンネルバリア層6は、磁化固定層5と磁化自由層7とを磁気的に分離するとともに、トンネル電流を流すための層である。
トンネルバリア層6を構成する材料としては、例えばAl、Mg、Si、Li、Ca等の酸化物、窒化物、ハロゲン化物等の絶縁材料を使用することができる。
トンネルバリア層6を構成する材料としては、例えばAl、Mg、Si、Li、Ca等の酸化物、窒化物、ハロゲン化物等の絶縁材料を使用することができる。
このようなトンネルバリア層6は、スパッタリング法や蒸着法等によって成膜された金属膜を、酸化又は窒化することにより得ることができる。
また、有機金属と、酸素、オゾン、窒素、ハロゲン、ハロゲン化ガス等とを用いるCVD法によっても得ることができる。
また、有機金属と、酸素、オゾン、窒素、ハロゲン、ハロゲン化ガス等とを用いるCVD法によっても得ることができる。
本実施の形態においては、特に強磁性トンネル結合9を構成する対の強磁性層である磁化固定層5及び磁化自由層7のうち少なくとも一方が、結晶化温度が623K以上の非晶質強磁性材料を含む構成とする。
強磁性遷移金属元素のみで強磁性層(この場合の強磁性層は結晶質である)を構成した従来のTMR素子や、結晶化温度が623Kよりも低い非晶質強磁性材料を強磁性層に用いたTMR素子では、半導体回路作製プロセス等における熱処理によって、TMR比が劣化したりR−Hループ(抵抗−磁場曲線)の角形性が損なわれてしまったりする等の不具合がある。
これに対して、結晶化温度が623K以上の非晶質強磁性材料を含む構成の強磁性層とすることにより上述の不具合が改善される。
強磁性遷移金属元素のみで強磁性層(この場合の強磁性層は結晶質である)を構成した従来のTMR素子や、結晶化温度が623Kよりも低い非晶質強磁性材料を強磁性層に用いたTMR素子では、半導体回路作製プロセス等における熱処理によって、TMR比が劣化したりR−Hループ(抵抗−磁場曲線)の角形性が損なわれてしまったりする等の不具合がある。
これに対して、結晶化温度が623K以上の非晶質強磁性材料を含む構成の強磁性層とすることにより上述の不具合が改善される。
このような効果が現れる原因は明確ではないが、結晶質強磁性層と非晶質強磁性層とを比較すると、おそらく非晶質化のために添加されている例えばBやSi等のメタロイド元素が、主成分であるCo、Fe、Ni等のFe族強磁性元素と微視的には共有結合的な結合をし、短周期範囲の構造はCo3 B、Co2 B、Co2 Si等の金属間化合物に近い性質を持つために、結合エネルギーが高く強磁性金属元素とメタロイド元素との結合が比較的強いために、トンネルバリア層へのこれらの臨まない元素の拡散が抑制されるためであると考えられる。
また、623K以上の高い結晶化温度を持つ非晶質磁性材料においては、より高い温度でも非晶質構造が安定であり、長周期範囲では非晶質構造特有の無秩序構造が高い温度でも維持され、なおかつ短周期範囲においては共有結合的要素をもつ結合を有するので、さらに高い温度でも、トンネルバリア層6への拡散が抑制されると考えられる。
また、結晶質強磁性材料を磁化自由層に用いた場合に比較して、非晶質強磁性材料を磁化自由層に用いた場合には、磁化反転時の挙動が安定して優れた磁気特性を示す。これにより、TMR素子をMRAM等の磁気メモリ装置に用いた場合に優れたスイッチング特性を示す。
しかし、磁化自由層に用いた非晶質強磁性材料が、その結晶化温度よりも高い温度まで加熱されると、磁気特性が劣化してしまい、優れた磁気特性が得られなくなる。半導体回路プロセスでは、350℃以上の熱処理が必要な工程が存在する。
しかし、磁化自由層に用いた非晶質強磁性材料が、その結晶化温度よりも高い温度まで加熱されると、磁気特性が劣化してしまい、優れた磁気特性が得られなくなる。半導体回路プロセスでは、350℃以上の熱処理が必要な工程が存在する。
そこで、少なくとも623K(350℃)以上の結晶化温度を有する非晶質強磁性材料を磁化自由層に用いることにより、半導体回路プロセスの熱による磁化自由層の磁気特性へのダメージが減少する。これにより、TMR素子の半導体回路プロセスとの親和性が大きく向上する。
このように、623K以上の結晶化温度を有する非晶質強磁性材料としては、単体で強磁性を示すFe、Ni、Coに対して、B,Si,C,P,Al,Ge,Ti,Nb,Ta,Zr,Moのいずれか1種もしくは2種以上を含んでいる合金系が挙げられる。これら任意の組み合わせや、さらには他の元素、例えば希土類元素、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu等、また、単体で高融点金属であるV,Nb,Ta,Cr,Mo,W等が含まれている非晶質合金は、一般的に結晶化温度が上昇すると考えられるので、非晶質形成能を阻害しない範囲で添加するのに好適である。
ところで、非晶質強磁性材料として、例えばCo,Fe,Si,Bからなる材料系を選択した場合には、非晶質強磁性材料の結晶化温度とその組成比(Fe族元素と添加物元素の比)との間に依存性があり、例えばFe−Co合金に対してB、Siを添加した場合、B単独の添加の場合には、B添加量が10〜30原子%の範囲で非晶質構造が添加される。
ただし、結晶化温度はBの濃度の大きい方が高温になり、例えばCoに対してBを添加した場合においては、15原子%添加したときの結晶化温度が約650K、20原子%添加したときの結晶化温度が約660K、27原子%添加したときの結晶化温度が約700Kとなる。
また、B及びSiを共に添加した場合には、結晶化温度がさらに上昇し、例えばB20%とSi10%を添加したときには、結晶化温度が800K程度まで上昇する。
ただし、結晶化温度はBの濃度の大きい方が高温になり、例えばCoに対してBを添加した場合においては、15原子%添加したときの結晶化温度が約650K、20原子%添加したときの結晶化温度が約660K、27原子%添加したときの結晶化温度が約700Kとなる。
また、B及びSiを共に添加した場合には、結晶化温度がさらに上昇し、例えばB20%とSi10%を添加したときには、結晶化温度が800K程度まで上昇する。
このようなことから、Co,Fe,Si,Bの合金組成には最適範囲が存在し、磁性層のうち少なくとも一方が含有する非晶質強磁性材料は、不可避な不純物元素を除いて、組成式FewCoxSiyBz(式中、w、x、y及びzは原子%を表し、w+x+y+z=100である)から構成され、5≦w≦45、35≦x≦85、0≦y≦20、10≦z≦30であることが好ましいといえる。
この最適範囲について、以下に詳しく説明する。
この最適範囲について、以下に詳しく説明する。
このCo,Fe,Si,Bから成る材料系において、好ましいSiの添加量とBの添加量は、次のようになる。
Bの添加量が10原子%未満である場合には、非晶質の形成が困難であり、結晶化温度も600K程度となるため、非晶質相の熱的安定性が低い。また、磁気特性に関してもベースとなるFe−Co合金の磁気特性が大きく反映され、緩やかな改善効果が認められるのみである。
従って、10原子%以上のBを含有することが必要である。特にBのみを添加することにより623K以上の結晶化温度を得るためには、Bの添加量を20原子%以上にする必要がある。
一方、Bの添加量は30原子%以下であることが好ましい。Bの添加量が30原子%を超えると、結晶化温度が低下していくと共に、非晶質相が形成されにくくなる。即ちBの添加量−結晶化温度の関係において、結晶化温度の極大が存在する。
これに対して、Bと共にSiを添加する場合には、これらの添加量の合計が30原子%でも高い結晶化温度が得られる。例えばBの添加量が15原子%で、Siの添加量が15原子%であるとき、約800Kと高い結晶化温度となる。このようにSiを添加したことによる効果も得られるため、その分Bの添加量を少なくしても同様の添加効果を得ることができる。ただし、Siの添加量−結晶化温度の関係においても結晶化温度の極大が存在し、例えばBの添加量が10〜30原子%の場合に、Siの添加量が10〜15原子%の範囲に結晶化温度の極大を有し、15原子%を超えると添加量の増大に従って結晶化温度が低下し始める。例えばSiの添加量が20原子%の場合には、添加量が15原子%の場合よりも結晶化温度が少し低くなって750〜800Kの結晶化温度となり、しかも非晶質構造になりにくくなる。従って、Siの添加量は20原子%以下であることが望ましい。
Bの添加量が10原子%未満である場合には、非晶質の形成が困難であり、結晶化温度も600K程度となるため、非晶質相の熱的安定性が低い。また、磁気特性に関してもベースとなるFe−Co合金の磁気特性が大きく反映され、緩やかな改善効果が認められるのみである。
従って、10原子%以上のBを含有することが必要である。特にBのみを添加することにより623K以上の結晶化温度を得るためには、Bの添加量を20原子%以上にする必要がある。
一方、Bの添加量は30原子%以下であることが好ましい。Bの添加量が30原子%を超えると、結晶化温度が低下していくと共に、非晶質相が形成されにくくなる。即ちBの添加量−結晶化温度の関係において、結晶化温度の極大が存在する。
これに対して、Bと共にSiを添加する場合には、これらの添加量の合計が30原子%でも高い結晶化温度が得られる。例えばBの添加量が15原子%で、Siの添加量が15原子%であるとき、約800Kと高い結晶化温度となる。このようにSiを添加したことによる効果も得られるため、その分Bの添加量を少なくしても同様の添加効果を得ることができる。ただし、Siの添加量−結晶化温度の関係においても結晶化温度の極大が存在し、例えばBの添加量が10〜30原子%の場合に、Siの添加量が10〜15原子%の範囲に結晶化温度の極大を有し、15原子%を超えると添加量の増大に従って結晶化温度が低下し始める。例えばSiの添加量が20原子%の場合には、添加量が15原子%の場合よりも結晶化温度が少し低くなって750〜800Kの結晶化温度となり、しかも非晶質構造になりにくくなる。従って、Siの添加量は20原子%以下であることが望ましい。
上述したように、Bの添加量は10〜30原子%、Siの添加量は0〜20原子%であることが好ましい。さらに好ましくは、Bの添加量を10〜20原子%、Siの添加量を5〜15原子%とする。このような範囲の添加量とすることにより、750K〜830K程度の高い結晶化温度を有する非晶質強磁性材料が得られ、TMR素子の磁化自由層として必要な軟磁気特性も良好になる。
また、ベースとなる合金のうち、CoFe合金において、好ましいCoとFeの組成比は、次のようになる。
高いTMR比を実現するためには、Co−Feの割合はCoが主体即ちCoが50原子%以上含まれているのが好ましい。Feが主体即ちFeが50原子%以上であると保磁力が大きくなって、磁化が反転しにくくなることからサブミクロンサイズの微小なTMR素子の磁化自由層に用いるには不適当となる。
しかしながら、Feの量が少なすぎると、スピン分極率が小さくなり、充分な磁気抵抗変化率が得られなくなるため、TMR素子からの信号出力が不足する。
そして、充分な磁気抵抗変化率を得るためには、少なくともFeの含有量を5原子%以上にする必要がある。
以上のことから、CoFe合金におけるFeの含有量は、5原子%以上50原子%未満とすることが好ましい。
高いTMR比を実現するためには、Co−Feの割合はCoが主体即ちCoが50原子%以上含まれているのが好ましい。Feが主体即ちFeが50原子%以上であると保磁力が大きくなって、磁化が反転しにくくなることからサブミクロンサイズの微小なTMR素子の磁化自由層に用いるには不適当となる。
しかしながら、Feの量が少なすぎると、スピン分極率が小さくなり、充分な磁気抵抗変化率が得られなくなるため、TMR素子からの信号出力が不足する。
そして、充分な磁気抵抗変化率を得るためには、少なくともFeの含有量を5原子%以上にする必要がある。
以上のことから、CoFe合金におけるFeの含有量は、5原子%以上50原子%未満とすることが好ましい。
また、非晶質強磁性材料のベースとなる合金は、Co,Feの他にNiを含有していてもかまわない。
Niを含有する場合でも、保磁力の増大を抑えつつ良好なTMR比を維持し、R−H曲線の角形性を改善する効果が得られる。
そして、Niの含有量にも最適範囲が存在し、Niの含有量を0原子%以上35原子%以下とすることが好ましい。Niの含有量が35原子%を超えると、保磁力が小さくなりすぎてTMR素子の動作の制御が困難となるおそれがあるためである。
Niを含有する場合でも、保磁力の増大を抑えつつ良好なTMR比を維持し、R−H曲線の角形性を改善する効果が得られる。
そして、Niの含有量にも最適範囲が存在し、Niの含有量を0原子%以上35原子%以下とすることが好ましい。Niの含有量が35原子%を超えると、保磁力が小さくなりすぎてTMR素子の動作の制御が困難となるおそれがあるためである。
以上のことから、強磁性層5,7のうち少なくとも一方を構成する強磁性材料は、不可避な不純物元素を除いて、組成式FeaCobNicBdSie(式中、a、b、c、d及びeは原子%を表し、a+b+c+d+e=100)から構成され、5≦a≦45、35≦b≦85、0≦c≦35、10≦d≦30、0≦e≦20であることが好ましい。
そして、この組成範囲のうち、結晶化温度が623K以上となる組成の非晶質強磁性材料を用いればよい。
そして、この組成範囲のうち、結晶化温度が623K以上となる組成の非晶質強磁性材料を用いればよい。
上述した結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料は、磁化自由層7及び磁化固定層5の一方もしくは両方に適用すれば前述した効果が得られるが、特に磁化自由層7に適用することによって、より顕著に効果が得られるものである。
もちろん、623K以上の結晶化温度を有する非晶質強磁性材料を含む強磁性層以外の強磁性層には、この種の磁気抵抗効果素子に通常用いられる材料をいずれも使用可能である。
もちろん、623K以上の結晶化温度を有する非晶質強磁性材料を含む強磁性層以外の強磁性層には、この種の磁気抵抗効果素子に通常用いられる材料をいずれも使用可能である。
上述の本実施の形態によれば、強磁性トンネル結合9を構成する対の強磁性層である磁化固定層5及び磁化自由層7のうち少なくとも一方が、結晶化温度が623K以上の非晶質強磁性材料を含む構成とされていることにより、非晶質強磁性材料により例えばTMR比(磁気抵抗変化率)等の磁気特性が優れた構成となっており、かつ非晶質強磁性材料の耐熱性が向上されているため、製造工程中において半導体回路プロセスの623K(300℃)程度の熱処理を経ていても、TMR比等の磁気特性が劣化しないようにすることができる。
尚、本発明においては、図1に示すような磁化固定層5及び磁化自由層7のそれぞれが単層から構成されたTMR素子1に限定されない。
例えば図2に示すように、磁化固定層5が、第1の磁化固定層5aと第2の磁化固定層5bとで非磁性導電体層5cを挟み込んでなる積層フェリ構造とされる場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
例えば図2に示すように、磁化固定層5が、第1の磁化固定層5aと第2の磁化固定層5bとで非磁性導電体層5cを挟み込んでなる積層フェリ構造とされる場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
図2に示すTMR素子10では、第1の磁化固定層5aが反強磁性層4と接しており、これらの層間に働く交換相互作用によって、第1の磁化固定層5aは強い一方向の磁気異方性を持つ。また、第2の磁化固定層5bは、トンネルバリア層6を介して磁化自由層7と対向し、スピンの向きが磁化自由層7と比較され直接MR比に関わる強磁性層となるため、参照層とも称される。
積層フェリ構造の非磁性導電体層5cに用いられる材料としては、例えばRu、Rh、Ir、Cu、Cr、Au、Ag等が挙げられる。図2のTMR素子10において、その他の層は図1に示したTMR素子1とほぼ同様の構成であるため、図1と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この積層フェリ構造を有するTMR素子10においても、磁化固定層5及び磁化自由層7のうち少なくとも一方を、結晶化温度が623K以上の非晶質強磁性材料を含む構成とすることにより、図1に示したTMR素子1と同様に、耐熱性を向上し、半導体プロセス等の350℃程度の熱処理を経た後でも高いTMR比を維持することができる。
尚、上述の実施の形態では、磁気抵抗効果素子としてTMR素子(トンネル磁気抵抗効果素子)1,10を用いたが、本発明は、対の強磁性層が中間層を介して対向され、膜面に対して垂直に電流を流して磁気抵抗変化を得る構成を有するその他の磁気抵抗効果素子にも適用することができる。
例えば中間層としてCu等の非磁性導電層を用いた巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)で、膜面に対して垂直に電流を流して磁気抵抗効果を得る構成、即ちいわゆるCPP型のGMR素子にも本発明を適用することができる。
例えば中間層としてCu等の非磁性導電層を用いた巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)で、膜面に対して垂直に電流を流して磁気抵抗効果を得る構成、即ちいわゆるCPP型のGMR素子にも本発明を適用することができる。
さらに、本発明のTMR素子において、磁化固定層や反強磁性体の材料、反強磁性体層の有無、磁化固定層側における積層フェリ構造の有無等は、本発明の本質を損なわない限り種々の変形が可能である。
上述のようなTMR素子1,10等の磁気抵抗効果素子は、例えばMRAM等の磁気メモリ装置に用いられて好適である。以下、本発明のTMR素子を用いたMRAMについて、図を参照しながら説明する。
本発明のTMR素子を有するクロスポイント型のMRAMアレイを、図3に示す。このMRAMアレイは、複数のワード線WLと、これらワード線WLと直交する複数のビット線BLとを有し、ワード線WLとビット線BLとの交点に本発明のTMR素子が配置されて成るメモリセル11とを有する。即ち、このMRAMアレイでは、3×3のメモリセル11がマトリクス状に配置される。
尚、MRAMアレイに用いられるTMR素子としては、図1に示したTMR素子1に限定されず、積層フェリ構造を有する図2に示すTMR素子10等、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子において、強磁性層の1層以上が623K以上の結晶化温度を有する非晶質強磁性材料を含む構成であればいかなる構成であっても構わない。
また、メモリ素子に多数あるメモリセルから1つのメモリセルを取り出して、断面構造を図4に示す。
各メモリセル11は、図4に示すように、例えばシリコン基板12上に、ゲート電極13、ソース領域14及びドレイン領域15からなるトランジスタ16を有する。ゲート電極13は、読み出し用のワード線WL1を構成している。ゲート電極13上には、絶縁層を介して書き込み用のワード線(前述したワード書き込み線に相当する)WL2が形成されている。トランジスタ16のドレイン領域15にはコンタクトメタル17が接続され、さらにコンタクトメタル17には下地層18が接続されている。この下地層18上の書き込み用のワード線WL2の上方に対応する位置に、本発明のTMR素子1が形成されている。このTMR素子1上に、ワード線WL1及びWL2と直交するビット線(前述したビット書き込み線に相当する)BLが形成されている。尚、下地膜18は、平面位置の異なるTMR素子1とドレイン領域15との電気的接続をする役割から、バイパスとも称される。
また、各ワード線WL1,WL2とTMR素子1とを絶縁するための層間絶縁膜19及び絶縁膜20と、全体を保護するパッシベーション膜(図示せず)等を有して成る。
各メモリセル11は、図4に示すように、例えばシリコン基板12上に、ゲート電極13、ソース領域14及びドレイン領域15からなるトランジスタ16を有する。ゲート電極13は、読み出し用のワード線WL1を構成している。ゲート電極13上には、絶縁層を介して書き込み用のワード線(前述したワード書き込み線に相当する)WL2が形成されている。トランジスタ16のドレイン領域15にはコンタクトメタル17が接続され、さらにコンタクトメタル17には下地層18が接続されている。この下地層18上の書き込み用のワード線WL2の上方に対応する位置に、本発明のTMR素子1が形成されている。このTMR素子1上に、ワード線WL1及びWL2と直交するビット線(前述したビット書き込み線に相当する)BLが形成されている。尚、下地膜18は、平面位置の異なるTMR素子1とドレイン領域15との電気的接続をする役割から、バイパスとも称される。
また、各ワード線WL1,WL2とTMR素子1とを絶縁するための層間絶縁膜19及び絶縁膜20と、全体を保護するパッシベーション膜(図示せず)等を有して成る。
このMRAMは、磁化固定層5と磁化自由層7のうち少なくとも一方の強磁性層が、結晶化温度が623K以上の非晶質強磁性材料を含む構成とされたTMR素子1を用いているので、TMR素子1の強磁性層の耐熱性が向上されていて、TMR素子1のTMR比の熱処理による劣化が抑制され、高いTMR比を有することから、TMR素子1からの出力が優れており、読み出し時に低抵抗状態と高抵抗状態との判別が容易となり、エラーレートが低減される。これにより、良好な読み出し特性を有し、メモリ動作の安定性が飛躍的に向上する。
(実施例)
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
尚、図4に示したように、MRAMにはTMR素子1以外にスイッチング用のトランジスタ16が存在するが、本実施例ではTMR特性を調べるために、図5及び図6に示すような強磁性トンネル接合のみを形成したウェハにより特性の測定・評価を行った。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
尚、図4に示したように、MRAMにはTMR素子1以外にスイッチング用のトランジスタ16が存在するが、本実施例ではTMR特性を調べるために、図5及び図6に示すような強磁性トンネル接合のみを形成したウェハにより特性の測定・評価を行った。
(実験1)
まず、強磁性トンネル接合を構成する強磁性層、即ち磁化固定層と磁化自由層に、それぞれ結晶質強磁性材料或いは非晶質強磁性材料を用いた場合の磁気特性について調べた。
<サンプル1>
図5及び図6に示すように、特性評価用素子TEG(Test Element Group)として、基板21上にワード線WLとビット線BLとが直交して配置され、これらワード線WLとビット線BLとの交差する部分にTMR素子22が形成された構造を作製した。このTEGは、TMR素子22が短軸0.5μm×長軸1.0μmの楕円形状であり、ワード線WL及びビット線BLの両端にそれぞれ端子パッド23,24が形成され、ワード線WLとビット線BLとをAl2O3から成る絶縁膜25,26によって互いに電気的に絶縁した構成となっている。
まず、強磁性トンネル接合を構成する強磁性層、即ち磁化固定層と磁化自由層に、それぞれ結晶質強磁性材料或いは非晶質強磁性材料を用いた場合の磁気特性について調べた。
<サンプル1>
図5及び図6に示すように、特性評価用素子TEG(Test Element Group)として、基板21上にワード線WLとビット線BLとが直交して配置され、これらワード線WLとビット線BLとの交差する部分にTMR素子22が形成された構造を作製した。このTEGは、TMR素子22が短軸0.5μm×長軸1.0μmの楕円形状であり、ワード線WL及びビット線BLの両端にそれぞれ端子パッド23,24が形成され、ワード線WLとビット線BLとをAl2O3から成る絶縁膜25,26によって互いに電気的に絶縁した構成となっている。
具体的には、次のようにして図5及び図6に示すTEGを作製した。
まず、表面に熱酸化膜(厚さ2μm)が形成された厚さ0.6mmのシリコンから成る基板21を用意した。
次に、この基板21上にワード線の材料を成膜し、フォトリソグラフィによってマスクした後にワード線以外の部分をArプラズマにより選択的にエッチングし、ワード線WLを形成した。このとき、ワード線WL以外の領域は、基板21の深さ5nmまでエッチングした。
その後、ワード線WLを覆って絶縁膜26を形成し、表面を平坦化した。
まず、表面に熱酸化膜(厚さ2μm)が形成された厚さ0.6mmのシリコンから成る基板21を用意した。
次に、この基板21上にワード線の材料を成膜し、フォトリソグラフィによってマスクした後にワード線以外の部分をArプラズマにより選択的にエッチングし、ワード線WLを形成した。このとき、ワード線WL以外の領域は、基板21の深さ5nmまでエッチングした。
その後、ワード線WLを覆って絶縁膜26を形成し、表面を平坦化した。
続いて、下記の層構成からなるTMR素子22を、公知のリソグラフィ法及びエッチングにより作製した。この層構成は、/の左側が基板側となっており、()内は膜厚を示す。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/Co75Fe25(3.0nm)/Al(1nm)−Ox/Co75Fe25(2.5nm)/Ta(5nm)
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/Co75Fe25(3.0nm)/Al(1nm)−Ox/Co75Fe25(2.5nm)/Ta(5nm)
トンネルバリア層6のAl−Ox膜は、まず金属Al膜をDCスパッタ法により1nm堆積させ、その後酸素/アルゴンの流量比を1:1とし、チャンバーガス圧を0.1mTorrとし、ICP(誘導結合プラズマ)からのプラズマにより金属Al膜をプラズマ酸化させることにより形成した。酸化時間はICPプラズマ出力に依存するが、本実施例では30秒とした。
また、トンネルバリア層6のAl−Ox膜以外の膜は、DCマグネトロンスパッタ法で成膜した。
次に、磁場中熱処理炉にて、10kOeの磁界中、270℃で、4時間の熱処理を行い、反強磁性層であるPtMn層の規則化熱処理を行い、強磁性トンネル接合9を形成した。
続いて、TMR素子22及びその下の絶縁膜26をパターニングして、図5に示す平面パターンを有するTMR素子22を形成した。
さらに、Al2O3をスパッタすることにより、厚さ100nm程度の絶縁層25を成膜し、さらにフォトリソグラフィによりビット線BL及び端子パッド24を形成し、図5及び図6に示したTEGを得た。
続いて、TMR素子22及びその下の絶縁膜26をパターニングして、図5に示す平面パターンを有するTMR素子22を形成した。
さらに、Al2O3をスパッタすることにより、厚さ100nm程度の絶縁層25を成膜し、さらにフォトリソグラフィによりビット線BL及び端子パッド24を形成し、図5及び図6に示したTEGを得た。
<サンプル2>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/Co75Fe25(3.0nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ta(5nm)
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/Co75Fe25(3.0nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ta(5nm)
<サンプル3>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ta(5nm)
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ta(5nm)
<サンプル4>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ru(1.0nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ta(5nm)
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ru(1.0nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ta(5nm)
<サンプル5>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(3nm)/Al(1nm)−Ox/Co75Fe25(3nm)/Ta(5nm)
サンプル1〜サンプル4は磁化固定層が積層フェリ構造を有する層構成であったが、このサンプル5の層構成は積層フェリ構造を有していない。
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(3nm)/Al(1nm)−Ox/Co75Fe25(3nm)/Ta(5nm)
サンプル1〜サンプル4は磁化固定層が積層フェリ構造を有する層構成であったが、このサンプル5の層構成は積層フェリ構造を有していない。
<サンプル6>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(3nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Ta(5nm)
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(3nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Ta(5nm)
<サンプル7>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Ta(5nm)
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4.5nm)/Ta(5nm)
<サンプル8>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Al(1nm)−Ox/Co75Fe25(3nm)/Ru(1.0nm)/Co75Fe25(3nm)/PtMn(20nm)/Ta(5nm)
即ちこのサンプル8は、磁化自由層が基板側に形成され、磁化固定層側が積層フェリ構造を有する構成となっている。
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Al(1nm)−Ox/Co75Fe25(3nm)/Ru(1.0nm)/Co75Fe25(3nm)/PtMn(20nm)/Ta(5nm)
即ちこのサンプル8は、磁化自由層が基板側に形成され、磁化固定層側が積層フェリ構造を有する構成となっている。
<サンプル9>
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ru(1.0nm)/Co75Fe25(3.0nm)/PtMn(20nm)/Ta(5nm)
TMR素子22の層構成を、下記の通りとした以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
Ta(20nm)/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)70Si10B20(4nm)/Ru(1.0nm)/Co75Fe25(3.0nm)/PtMn(20nm)/Ta(5nm)
(実験2)
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層をCoFeにSi又はBを添加した組成の強磁性層として、Bの添加量及びSiの添加量の最適範囲を調べた。
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層をCoFeにSi又はBを添加した組成の強磁性層として、Bの添加量及びSiの添加量の最適範囲を調べた。
<サンプル10>
TMR素子22の層構成を、下記の層構成(1)とした。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/Co75Fe25(3.0nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)100−y−zSiyBz(4nm)/Ta(5nm)−(1)
上記の層構成(1)のうち、磁化自由層を構成する(Co90Fe10)100−x−ySiyBzのy及びzは原子%の組成比を示すものであり、括弧内の(Co90Fe10)は、CoとFeが90:10の組成比であることを示している。例えばy=10原子%、z=10原子%である場合、(Co90Fe10)80Si10B10である。これはCo:Fe=90原子%:10原子%の組成比のCo−Fe合金が80原子%であり、Siが10原子%、Bが10原子%である組成比を有することを示している。従って、元素ごとの組成比の表記ではCo72Fe8Si10B10になる。
そして、このサンプル10では、上記層構成(1)においてy=0、z=10原子%、即ち(Co90Fe10)90B10の組成とした。それ以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
TMR素子22の層構成を、下記の層構成(1)とした。
Ta(3nm)/PtMn(20nm)/Co75Fe25(2.5nm)/Ru(0.8nm)/Co75Fe25(3.0nm)/Al(1nm)−Ox/(Co90Fe10)100−y−zSiyBz(4nm)/Ta(5nm)−(1)
上記の層構成(1)のうち、磁化自由層を構成する(Co90Fe10)100−x−ySiyBzのy及びzは原子%の組成比を示すものであり、括弧内の(Co90Fe10)は、CoとFeが90:10の組成比であることを示している。例えばy=10原子%、z=10原子%である場合、(Co90Fe10)80Si10B10である。これはCo:Fe=90原子%:10原子%の組成比のCo−Fe合金が80原子%であり、Siが10原子%、Bが10原子%である組成比を有することを示している。従って、元素ごとの組成比の表記ではCo72Fe8Si10B10になる。
そして、このサンプル10では、上記層構成(1)においてy=0、z=10原子%、即ち(Co90Fe10)90B10の組成とした。それ以外はサンプル1と同様にしてTEGを得た。
<サンプル11>
磁化自由層を、y=0、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)85B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=0、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)85B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル12>
磁化自由層を、y=0、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)80B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=0、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)80B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル13>
磁化自由層を、y=0、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)75B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=0、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)75B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル14>
磁化自由層を、y=0、z=30原子%、すなわち(Co90Fe10)70B30の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=0、z=30原子%、すなわち(Co90Fe10)70B30の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル15>
磁化自由層を、y=0、z=35原子%、すなわち(Co90Fe10)65B35の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=0、z=35原子%、すなわち(Co90Fe10)65B35の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル16>
磁化自由層を、y=2.5原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)82.5Si2.5B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=2.5原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)82.5Si2.5B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル17>
磁化自由層を、y=2.5原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)77.5Si2.5B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=2.5原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)77.5Si2.5B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル18>
磁化自由層を、y=5原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)85Si5B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=5原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)85Si5B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル19>
磁化自由層を、y=5原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)80Si5B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=5原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)80Si5B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル20>
磁化自由層を、y=5原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si5B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=5原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si5B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル21>
磁化自由層を、y=5原子%、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si5B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=5原子%、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si5B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル22>
磁化自由層を、y=10原子%、z=0、すなわち(Co90Fe10)90Si10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=10原子%、z=0、すなわち(Co90Fe10)90Si10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル23>
磁化自由層を、y=10原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)85Si10B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=10原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)85Si10B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル24>
磁化自由層を、y=10原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)80Si10B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=10原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)80Si10B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル25>
磁化自由層を、y=10原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si10B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=10原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si10B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル26>
磁化自由層を、y=10原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=10原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル27>
磁化自由層を、y=10原子%、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si10B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=10原子%、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si10B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル28>
磁化自由層を、y=10原子%、z=30原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si10B30の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=10原子%、z=30原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si10B30の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル29>
磁化自由層を、y=15原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)85Si15B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=15原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)85Si15B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル30>
磁化自由層を、y=15原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si15B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=15原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si15B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル31>
磁化自由層を、y=15原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si15B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=15原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si15B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル32>
磁化自由層を、y=15原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si15B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=15原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si15B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル33>
磁化自由層を、y=15原子%、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si15B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=15原子%、z=25原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si15B25の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル34>
磁化自由層を、y=20原子%、z=0、すなわち(Co90Fe10)80Si20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=20原子%、z=0、すなわち(Co90Fe10)80Si20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル35>
磁化自由層を、y=20原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si20B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=20原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)75Si20B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル36>
磁化自由層を、y=20原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si20B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=20原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si20B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル37>
磁化自由層を、y=20原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si20B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=20原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si20B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル38>
磁化自由層を、y=20原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si20B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=20原子%、z=20原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si20B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル39>
磁化自由層を、y=25原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si25B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=25原子%、z=5原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si25B5の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル40>
磁化自由層を、y=25原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si25B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=25原子%、z=10原子%、すなわち(Co90Fe10)65Si25B10の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル41>
磁化自由層を、y=25原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si25B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、y=25原子%、z=15原子%、すなわち(Co90Fe10)60Si25B15の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
(実験3)
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層を(Co,Fe)にSi及びBを添加した組成の強磁性層として、Feの含有量の最適範囲を調べた。
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層を(Co,Fe)にSi及びBを添加した組成の強磁性層として、Feの含有量の最適範囲を調べた。
<サンプル42>
層構成(1)において、磁化自由層を、(Co100−xFex)70Si10B20とし、さらにx=0、すなわちCo70Si10B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
層構成(1)において、磁化自由層を、(Co100−xFex)70Si10B20とし、さらにx=0、すなわちCo70Si10B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル43>
磁化自由層を、x=5原子%、すなわち(Co95Fe5)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=5原子%、すなわち(Co95Fe5)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
<サンプル44>
磁化自由層を、x=10原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=10原子%、すなわち(Co90Fe10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
<サンプル45>
磁化自由層を、x=25原子%、すなわち(Co75Fe25)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=25原子%、すなわち(Co75Fe25)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
<サンプル46>
磁化自由層を、x=40原子%、すなわち(Co60Fe40)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=40原子%、すなわち(Co60Fe40)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
<サンプル47>
磁化自由層を、x=50原子%、すなわち(Co50Fe50)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=50原子%、すなわち(Co50Fe50)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
<サンプル48>
磁化自由層を、x=70原子%、すなわち(Co30Fe70)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=70原子%、すなわち(Co30Fe70)70Si10B20の組成とした以外はサンプル42と同様にしてTEGを得た。
(実験4)
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層を(Co,Fe,Ni)にSi及びBを添加した組成の強磁性層として、Feの含有量及びNiの含有量の最適範囲を調べた。
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層を(Co,Fe,Ni)にSi及びBを添加した組成の強磁性層として、Feの含有量及びNiの含有量の最適範囲を調べた。
<サンプル49>
層構成(1)において、磁化自由層を、(Co100−x−wFexNiw)70Si10B20とし、さらにx=6原子%、w=40原子%、すなわち(Co54Fe6Ni40)70Si10B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
層構成(1)において、磁化自由層を、(Co100−x−wFexNiw)70Si10B20とし、さらにx=6原子%、w=40原子%、すなわち(Co54Fe6Ni40)70Si10B20の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル50>
磁化自由層を、x=15原子%、w=40原子%、すなわち(Co45Fe15Ni40)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=15原子%、w=40原子%、すなわち(Co45Fe15Ni40)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル51>
磁化自由層を、x=6.5原子%、w=35原子%、すなわち(Co58.5Fe6.5Ni35)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=6.5原子%、w=35原子%、すなわち(Co58.5Fe6.5Ni35)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル52>
磁化自由層を、x=16.25原子%、w=35原子%、すなわち(Co48.75Fe16.25Ni35)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=16.25原子%、w=35原子%、すなわち(Co48.75Fe16.25Ni35)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル53>
磁化自由層を、x=7原子%、w=30原子%、すなわち(Co63Fe7Ni30)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=7原子%、w=30原子%、すなわち(Co63Fe7Ni30)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル54>
磁化自由層を、x=17.5原子%、w=30原子%、すなわち(Co52.5Fe17.5Ni30)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=17.5原子%、w=30原子%、すなわち(Co52.5Fe17.5Ni30)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル55>
磁化自由層を、x=8原子%、w=20原子%、すなわち(Co72Fe8Ni20)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=8原子%、w=20原子%、すなわち(Co72Fe8Ni20)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル56>
磁化自由層を、x=20原子%、w=20原子%、すなわち(Co60Fe20Ni20)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=20原子%、w=20原子%、すなわち(Co60Fe20Ni20)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル57>
磁化自由層を、x=9原子%、w=10原子%、すなわち(Co81Fe9Ni10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=9原子%、w=10原子%、すなわち(Co81Fe9Ni10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル58>
磁化自由層を、x=22.5原子%、w=10原子%、すなわち(Co67.5Fe22.5Ni10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=22.5原子%、w=10原子%、すなわち(Co67.5Fe22.5Ni10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル59>
磁化自由層を、x=10原子%、w=0、すなわち(Co90Fe10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=10原子%、w=0、すなわち(Co90Fe10)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
<サンプル60>
磁化自由層を、x=25原子%、w=0、すなわち(Co75Fe25)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、x=25原子%、w=0、すなわち(Co75Fe25)70Si10B20の組成とした以外はサンプル49と同様にしてTEGを得た。
(実験5)
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層を(Co,Fe)に様々な元素を添加して特性を調べた。
磁化固定層を2層のCoFeとRuから成る積層フェリ構造とし、磁化自由層を(Co,Fe)に様々な元素を添加して特性を調べた。
<サンプル61>
磁化自由層を、Co70.3Fe4.7P13C7(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、Co70.3Fe4.7P13C7(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル62>
磁化自由層を、Co72Fe3P16B6Al13(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、Co72Fe3P16B6Al13(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル63>
磁化自由層を、Co69.6Fe4.6Mo1.8Si8B16(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、Co69.6Fe4.6Mo1.8Si8B16(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル64>
磁化自由層を、Co74.3Fe2.6Mn3.1Si4B16(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、Co74.3Fe2.6Mn3.1Si4B16(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル65>
磁化自由層を、Co70Mn6B24(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、Co70Mn6B24(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
<サンプル66>
磁化自由層を、Co81.5Mo9.5Zr9(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
磁化自由層を、Co81.5Mo9.5Zr9(原子%)の組成とした以外はサンプル10と同様にしてTEGを得た。
そして、得られた各サンプル1〜サンプル66のTEGに対して、下記のようにしてTMR比を求め、さらに非晶質相の同定と結晶化温度の測定を行った。
(TMR比)
通常のMRAM等の磁気メモリ装置では、電流磁界によって磁気抵抗効果素子を磁化反転させて情報を書き込むが、本実施例では、外部磁界によって磁気抵抗効果素子を磁化させることにより、抵抗値の測定を行った。即ち、まずTMR素子22の磁化自由層を磁化反転させるための外部磁界を磁化自由層の磁化容易軸に対して平行となるように印加した。測定のための外部磁界の大きさは、500Oeとした。
通常のMRAM等の磁気メモリ装置では、電流磁界によって磁気抵抗効果素子を磁化反転させて情報を書き込むが、本実施例では、外部磁界によって磁気抵抗効果素子を磁化させることにより、抵抗値の測定を行った。即ち、まずTMR素子22の磁化自由層を磁化反転させるための外部磁界を磁化自由層の磁化容易軸に対して平行となるように印加した。測定のための外部磁界の大きさは、500Oeとした。
次に、磁化自由層の磁化容易軸の一方側から見て−500Oeから+500Oeまで掃引すると同時に、ワード線WLの端子パッド23とビット線BLの端子パッド24とにかかるバイアス電圧が100mVとなるように調節して、強磁性トンネル接合にトンネル電流を流した。このときの各外部磁界に対する抵抗値を測定した。そして、磁化固定層と磁化自由層の磁化が反平行であって抵抗が高い状態の抵抗値と、磁化固定層と磁化自由層の磁化が平行であって抵抗が低い状態の抵抗値とを求め、これらの抵抗値からTMR比(磁気抵抗変化率)を算出した。
(非晶質相の同定)
実施例の強磁性材料の微細構造の観察を、透過型電子顕微鏡(TEM)及びX線回折により行った。
尚、上述した強磁性トンネル接合を構成するような5nm程度もしくはそれよりも少ない膜厚領域ではX線が透過してしまい、回折図形を得るには不十分であるため、X線回折により非晶質相を同定するための試料として、新たに各サンプルの磁化自由層の組成と同じ膜厚500nmの強磁性材料単層膜を作製して測定を行った。X線回折図形において、低角度側にブロードピークのみが見られ結晶層の回折ピークが見られず、TEM観察においては電子線回折像でハローリングが得られるものを非晶質構造と同定した。
実施例の強磁性材料の微細構造の観察を、透過型電子顕微鏡(TEM)及びX線回折により行った。
尚、上述した強磁性トンネル接合を構成するような5nm程度もしくはそれよりも少ない膜厚領域ではX線が透過してしまい、回折図形を得るには不十分であるため、X線回折により非晶質相を同定するための試料として、新たに各サンプルの磁化自由層の組成と同じ膜厚500nmの強磁性材料単層膜を作製して測定を行った。X線回折図形において、低角度側にブロードピークのみが見られ結晶層の回折ピークが見られず、TEM観察においては電子線回折像でハローリングが得られるものを非晶質構造と同定した。
(結晶化温度の測定)
結晶化温度は、真空熱処理炉中で4端子法抵抗測定を行うことにより測定した。結晶化前後で抵抗値が大きく変化するが、この抵抗変化が明確に見られた温度を「結晶化温度」と規定した。実際のTMR素子の層構成では、X線回折と同様に強磁性材料の結晶化温度を測定することは困難なので、結晶化温度測定用として、新たにTMR層構成を成膜する際と同じ条件にて膜厚100nmの測定試料を作製した。
結晶化温度は、真空熱処理炉中で4端子法抵抗測定を行うことにより測定した。結晶化前後で抵抗値が大きく変化するが、この抵抗変化が明確に見られた温度を「結晶化温度」と規定した。実際のTMR素子の層構成では、X線回折と同様に強磁性材料の結晶化温度を測定することは困難なので、結晶化温度測定用として、新たにTMR層構成を成膜する際と同じ条件にて膜厚100nmの測定試料を作製した。
(TMR層構成と耐熱性の関係)
まず、623K以上の結晶化温度を有する非晶質強磁性材料として、(Co90Fe10)70Si10B20を用いた場合の、最適な層構成と耐熱性の関係を、<サンプル1〜サンプル9>の評価結果を基に説明する。
この(Co90Fe10)70Si10B20は、X線回折とTEMにより、非晶質構造を有していると同定され、結晶化温度は800Kである。即ち本発明の要件を満たし、本発明の範囲内である。
まず、623K以上の結晶化温度を有する非晶質強磁性材料として、(Co90Fe10)70Si10B20を用いた場合の、最適な層構成と耐熱性の関係を、<サンプル1〜サンプル9>の評価結果を基に説明する。
この(Co90Fe10)70Si10B20は、X線回折とTEMにより、非晶質構造を有していると同定され、結晶化温度は800Kである。即ち本発明の要件を満たし、本発明の範囲内である。
<サンプル1>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造とを有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層、第1の磁化固定層(ピンド層)、第2の磁化固定層(参照層)に結晶質強磁性材料Co75Fe25を配している。
<サンプル2>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造とを有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル3>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造とを有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と、積層フェリ構造の第2の磁化固定層(参照層)に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル4>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造とを有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と、積層フェリ構造の第1の磁化固定層(ピンド層)、第2の磁化固定層(参照層)に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル5>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と磁化固定層に結晶質強磁性材料Co75Fe25を配している。
<サンプル6>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル7>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と磁化固定層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル8>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層の上側に積層フェリ構造の磁化固定層を配していて、Al−Oxトンネル絶縁層下の磁化自由層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル9>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層の上側に積層フェリ構造の磁化固定層を配していて、Al−Oxトンネル絶縁層下の磁化自由層と、積層フェリ構造の磁化固定層のうち下側の磁化固定層(この場合は参照層になる)とに(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル2>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造とを有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル3>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造とを有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と、積層フェリ構造の第2の磁化固定層(参照層)に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル4>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造とを有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と、積層フェリ構造の第1の磁化固定層(ピンド層)、第2の磁化固定層(参照層)に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル5>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と磁化固定層に結晶質強磁性材料Co75Fe25を配している。
<サンプル6>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル7>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層上の磁化自由層と磁化固定層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル8>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層の上側に積層フェリ構造の磁化固定層を配していて、Al−Oxトンネル絶縁層下の磁化自由層に(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
<サンプル9>は、PtMn反強磁性層による磁化固定層と積層フェリ構造を有しており、Al−Oxトンネル絶縁層の上側に積層フェリ構造の磁化固定層を配していて、Al−Oxトンネル絶縁層下の磁化自由層と、積層フェリ構造の磁化固定層のうち下側の磁化固定層(この場合は参照層になる)とに(Co90Fe10)70Si10B20を配している。
サンプル1〜サンプル9について、作製したTEG(270℃・4時間の熱処理済み)のTMR比を測定し、また作製したTEGに対して、さらに350℃・10時間の熱処理を行った後にTMR比を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
これらの測定結果を表1に示す。
表1に示すように、サンプル1とサンプル2〜サンプル4の比較から、本発明の範囲である結晶化温度623K以上の非晶質強磁性材料(Co90Fe10)70Si10B20をTMR素子の強磁性層のいずれか1層もしくは2層以上に用いると、350℃の熱処理によるTMR比の低下が小さく、耐熱性能が向上することがわかる。
また、サンプル2〜サンプル4を比較すると、より高いTMR比を得るためには、サンプル2のように本発明の非晶質強磁性材料を磁化自由層のみに用いるのが好ましく、350℃の比較的高温での熱処理条件においても高いTMR比を得ることができる。
また、サンプル2〜サンプル4を比較すると、より高いTMR比を得るためには、サンプル2のように本発明の非晶質強磁性材料を磁化自由層のみに用いるのが好ましく、350℃の比較的高温での熱処理条件においても高いTMR比を得ることができる。
さらに、サンプル5〜サンプル7の結果から、積層フェリ構造の有無に係わらず、本発明の非晶質強磁性材料を強磁性層に用いることにより耐熱性の向上が図られることがわかる。
同様に、サンプル8及びサンプル9の結果から、トンネル絶縁層の上側に磁化固定層を配置した構成(いわゆるトップスピン型)であっても、本発明の非晶質強磁性材料を強磁性層に用いることにより耐熱性の向上が図られることがわかる。
同様に、サンプル8及びサンプル9の結果から、トンネル絶縁層の上側に磁化固定層を配置した構成(いわゆるトップスピン型)であっても、本発明の非晶質強磁性材料を強磁性層に用いることにより耐熱性の向上が図られることがわかる。
即ち、結晶化温度623K以上の非晶質強磁性材料を強磁性層のいずれか1層もしくは2層以上に用いることにより、いわゆるボトムスピン型であっても、トップスピン型であっても、いずれも耐熱性向上の効果が得られ、また積層フェリ構造の有無に係わらず耐熱性向上の効果が得られる。
従って、本発明の効果は、特にTMR素子の層構成によらず、結晶化温度623K以上の非晶質強磁性材料を強磁性層の1層もしくは2層以上に用いればよい。
従って、本発明の効果は、特にTMR素子の層構成によらず、結晶化温度623K以上の非晶質強磁性材料を強磁性層の1層もしくは2層以上に用いればよい。
尚、最も高いTMR比を得るという点では、サンプル2〜サンプル4の比較から、ボトムスピン型では本発明の非晶質強磁性材料を磁化自由層のみに用いるのが好ましく、またサンプル2とサンプル6の比較から、積層フェリ構造を有することが好ましく、さらにサンプル2とサンプル8の比較から、ボトムスピン型であることが好ましい。従って、これらの結果からボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみに結晶化温度623K以上の非晶質強磁性材料を用いることが好適である。
(CoFe−Si−B非晶質強磁性材料を用いたTMR素子のSi及びB組成依存性)
実験2の各サンプル(サンプル10〜サンプル41)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみにCo,Fe,Si及びBを含む強磁性材料を用いた構成である。
各サンプルの結晶化温度を測定し、その結果を表2に示す。また、Siの含有量y(原子%)、Bの含有量z(原子%)と結晶化温度(K)の関係を図7に示す。
尚、表2において結晶化温度の測定値を※印で示しているサンプルは、結晶化温度の測定において、明確な抵抗変化が見られなかったことを示している。X線回折やTEM観察の結果から、おそらく結晶質と非晶質の混合相もしくは結晶質相が得られていると考えられる。これらのサンプルは図7では●印で示している。
実験2の各サンプル(サンプル10〜サンプル41)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみにCo,Fe,Si及びBを含む強磁性材料を用いた構成である。
各サンプルの結晶化温度を測定し、その結果を表2に示す。また、Siの含有量y(原子%)、Bの含有量z(原子%)と結晶化温度(K)の関係を図7に示す。
尚、表2において結晶化温度の測定値を※印で示しているサンプルは、結晶化温度の測定において、明確な抵抗変化が見られなかったことを示している。X線回折やTEM観察の結果から、おそらく結晶質と非晶質の混合相もしくは結晶質相が得られていると考えられる。これらのサンプルは図7では●印で示している。
図7から、Si及びBの含有量によって結晶化温度が変化し、Si及びBの含有量には最適範囲があることがわかる。そして、これらの添加元素は、TMR比を向上させる効果を有するため、MRAM用のTMR素子として好適なものである。
次に、サンプル10〜サンプル41について、作製したTEG(270℃・4時間の熱処理済み)のTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、また作製したTEGに対して、さらに350℃・10時間の熱処理を行った後にTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、TMR比の劣化率(350℃の熱処理後のTMR比の減少率)も計算により求めた。
これらの測定結果を表3に示す。また、Siの含有量y(原子%)、Bの含有量z(原子%)とTMR比の関係を図8及び図9に示す。図8は、作製したTEG即ち270℃・4時間の熱処理済みのTMR比を示し、図9は作製したTEGに対して350℃・10時間の熱処理を行った後のTMR比を示す。尚、図8及び図9において、○印及び●印は図7と同じである。
これらの測定結果を表3に示す。また、Siの含有量y(原子%)、Bの含有量z(原子%)とTMR比の関係を図8及び図9に示す。図8は、作製したTEG即ち270℃・4時間の熱処理済みのTMR比を示し、図9は作製したTEGに対して350℃・10時間の熱処理を行った後のTMR比を示す。尚、図8及び図9において、○印及び●印は図7と同じである。
表3及び図8の結果から、Co−Fe合金にSi及びBを添加することによりTMR比が上昇することがわかる。また、非晶質構造を有する強磁性材料を用いた場合(○印)に、TMR比の上昇効果が大きい。
一方、非晶質構造を得にくい構成(サンプルNo.が15,22,28,33,38,39,40,41の各サンプル;●印)は、いずれも充分なTMR比が得られていないので、TMR素子の構成として好適ではないことがわかる。
一方、非晶質構造を得にくい構成(サンプルNo.が15,22,28,33,38,39,40,41の各サンプル;●印)は、いずれも充分なTMR比が得られていないので、TMR素子の構成として好適ではないことがわかる。
さらに、表3及び図9の結果から、非晶質構造を得にくい構成(サンプルNo.が15,22,28,33,38,39,40,41の各サンプル)は、そのTMR比が、350℃・10時間の熱処理後に大きく低下していることがわかる。
また、結晶化温度が350℃即ち623Kより低い構成(サンプル10及びサンプル23)も、そのTMR比が、350℃・10時間の熱処理後に大きく低下していることがわかる。
また、結晶化温度が350℃即ち623Kより低い構成(サンプル10及びサンプル23)も、そのTMR比が、350℃・10時間の熱処理後に大きく低下していることがわかる。
図10に結晶化温度と350℃の熱処理によるTMR比の劣化率との関係を示す。
この図10より、TMR比の劣化率は結晶化温度が高いほど小さくなる。そして、図10の一部の拡大図を図11に示すように、結晶化温度が623K(350℃)以上である場合に、TMR比の劣化率が60%以下となりその効果が顕著となる。
従って、結晶化温度が350℃即ち623Kより高い構成(サンプル11〜14、16〜21、23〜27、29〜32、35〜37)の材料組成が含まれる組成範囲が好適である。この組成範囲を、Siの含有量y(原子%)及びBの含有量z(原子%)の範囲として、図12に太線で囲んだ領域として示す。図12の○印及び●印は図7と同じであり、これらの印に付した数字はサンプル番号を示す。
この図10より、TMR比の劣化率は結晶化温度が高いほど小さくなる。そして、図10の一部の拡大図を図11に示すように、結晶化温度が623K(350℃)以上である場合に、TMR比の劣化率が60%以下となりその効果が顕著となる。
従って、結晶化温度が350℃即ち623Kより高い構成(サンプル11〜14、16〜21、23〜27、29〜32、35〜37)の材料組成が含まれる組成範囲が好適である。この組成範囲を、Siの含有量y(原子%)及びBの含有量z(原子%)の範囲として、図12に太線で囲んだ領域として示す。図12の○印及び●印は図7と同じであり、これらの印に付した数字はサンプル番号を示す。
(CoFe−Si−B非晶質強磁性材料を用いたTMR素子のCo及びFe組成依存性)
実験3の各サンプル(サンプル42〜サンプル48)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみに非晶質強磁性材料を用いた構成である。そして、Siの含有量を10原子%、Bの含有量を20原子%に固定して、Co及びFeの組成比を変化させたものである。
これら各サンプルの結晶化温度を測定し、各サンプルのCoFe中のCoの組成比及びFeの組成比、並びに結晶化温度の測定結果を表4に示す。
実験3の各サンプル(サンプル42〜サンプル48)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみに非晶質強磁性材料を用いた構成である。そして、Siの含有量を10原子%、Bの含有量を20原子%に固定して、Co及びFeの組成比を変化させたものである。
これら各サンプルの結晶化温度を測定し、各サンプルのCoFe中のCoの組成比及びFeの組成比、並びに結晶化温度の測定結果を表4に示す。
表4より、CoとFeの組成比を変えても結晶化温度はほとんど変化していない。
次に、これらサンプル42〜サンプル48について、作製したTEG(270℃・4時間の熱処理済み)のTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、また作製したTEGに対して、さらに350℃・10時間の熱処理を行った後にTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、TMR比の劣化率も計算により求めた。
これらの結果を表5に示す。
これらの結果を表5に示す。
表5より、これらサンプル42〜サンプル48は、結晶化温度が800K以上と高く、また350℃・10時間の熱処理を行った後のTMR比の低下が少なく、先に示したサンプル10等の結晶化温度が623Kよりも低い場合よりもTMR比の低下が少なくなる。
しかしながら、サンプル42及びサンプル48は、270℃・4時間の熱処理だけの段階で、TMR比が45%を下回っている。即ちMRAM等の磁気メモリ装置に用いるにはTMR比が小さい。
従って、Co,Fe,Si,Bから成る強磁性材料において、より好ましいCo及びFeの存在比率は、Co+Feの総含有量に対して、50≦Co/(Co+Fe)≦95、5≦Fe/(Co+Fe)≦50であることがわかる。
しかしながら、サンプル42及びサンプル48は、270℃・4時間の熱処理だけの段階で、TMR比が45%を下回っている。即ちMRAM等の磁気メモリ装置に用いるにはTMR比が小さい。
従って、Co,Fe,Si,Bから成る強磁性材料において、より好ましいCo及びFeの存在比率は、Co+Feの総含有量に対して、50≦Co/(Co+Fe)≦95、5≦Fe/(Co+Fe)≦50であることがわかる。
(CoFeNi−Si−B非晶質強磁性材料を用いたTMR素子のCo、Fe並びにNi組成依存性)
実験4の各サンプル(サンプル49〜サンプル60)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみに非晶質強磁性材料を用いた構成である。そして、Siの含有量を10原子%、Bの含有量を20原子%に固定して、Feの組成比とNiの組成比を変化させたときの特性の変化を調べるものである。
実験4の各サンプル(サンプル49〜サンプル60)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみに非晶質強磁性材料を用いた構成である。そして、Siの含有量を10原子%、Bの含有量を20原子%に固定して、Feの組成比とNiの組成比を変化させたときの特性の変化を調べるものである。
各サンプルの結晶化温度を測定し、各サンプルの(Co,Fe,Ni)中のCo量、Fe量、Ni量、並びに結晶化温度の測定結果を表6に示す。
表6より、これらサンプル49〜サンプル60は、Niの組成比にはあまり依存せず、いずれも800K以上の高い結晶化温度となっている。
次に、サンプル49〜サンプル60について、作製したTEG(270℃・4時間の熱処理済み)のTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、また作製したTEGに対して、さらに350℃・10時間の熱処理を行った後にTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、またTMR比の劣化率も計算により求めた。
これらの結果を表7に示す。
これらの結果を表7に示す。
表7より、これらサンプル49〜サンプル60は、結晶化温度が800K以上と高く、また350℃・10時間の熱処理を行った後のTMR比の低下が少なく、先に示したサンプル10等の結晶化温度が623Kよりも低い場合よりもTMR比の低下が少なくなる。
しかしながら、サンプル49及びサンプル50は、270℃・4時間の熱処理だけの段階で、TMR比が45%を下回っている。即ちMRAM等の磁気メモリ装置に用いるにはTMR比が小さい。
従って、Co,Fe,Ni,Si,Bから成る強磁性材料において、より好ましいNiの存在比率は、Co+Fe+Niの総含有量に対して、0≦Ni/(Co+Fe+Ni)≦35であることがわかる。
しかしながら、サンプル49及びサンプル50は、270℃・4時間の熱処理だけの段階で、TMR比が45%を下回っている。即ちMRAM等の磁気メモリ装置に用いるにはTMR比が小さい。
従って、Co,Fe,Ni,Si,Bから成る強磁性材料において、より好ましいNiの存在比率は、Co+Fe+Niの総含有量に対して、0≦Ni/(Co+Fe+Ni)≦35であることがわかる。
(ベース合金に対して、Si及びB、並びにその他の元素を添加した場合の添加元素依存性)
実験5の各サンプル(サンプル61〜サンプル66)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみに非晶質強磁性材料を用いた構成である。そして、磁化自由層の構成するCoFeを基本とする強磁性合金に対して、Si,B,P,C,Al,Mo,Mn,Zrから選ばれる元素を添加したときの特性を調べるものである。
実験5の各サンプル(サンプル61〜サンプル66)は、いずれもボトムスピン型で積層フェリ構造を有し、磁化自由層のみに非晶質強磁性材料を用いた構成である。そして、磁化自由層の構成するCoFeを基本とする強磁性合金に対して、Si,B,P,C,Al,Mo,Mn,Zrから選ばれる元素を添加したときの特性を調べるものである。
各サンプルの結晶化温度を測定し、各サンプルの組成及び結晶化温度の測定結果を表8に示す。
表8より、サンプル64は結晶化温度が低く623Kを下回っているが、その他のサンプルは高い結晶化温度を示している。
次に、サンプル61〜サンプル66について、作製したTEG(270℃・4時間の熱処理済み)のTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、また作製したTEGに対して、さらに350℃・10時間の熱処理を行った後にTMR比(磁気抵抗変化率)を測定し、またTMR比の劣化率も計算により求めた。
これらの結果を表9に示す。
これらの結果を表9に示す。
表9より、サンプル61〜サンプル63、サンプル65、サンプル66は、400℃・0.5時間の熱処理を行った後のTMR比の低下が少ない。一方、サンプル64は、先に示したサンプル10等と同様に結晶化温度が623Kよりも低いため、350℃の熱処理によるTMR比の低下が大きい。
このように、SiやB以外にも、非晶質化を促進して結晶化温度を上昇させる添加物であるC,P,Al,Mo,Zrを添加しても同等の効果が得られることがわかる。
このように、SiやB以外にも、非晶質化を促進して結晶化温度を上昇させる添加物であるC,P,Al,Mo,Zrを添加しても同等の効果が得られることがわかる。
また、サンプル65が示すように、これら以外にもMnのようなその他の元素を添加しても結晶化温度が623K以上であれば、本発明に含まれる。
言うまでもなく、Si,Bや実施例に挙げたこれらC,P,Al,Mo,Zr並びにMnのみならず、メタロイド元素として知られているような半金属元素、例えばGe,Ti,Nb,Ta等を添加しても同様の効果が得られ、しかもこれらのうち1種もしくは2種以上を(Co,Fe,Ni)強磁性合金に対する添加物の主成分としている限りにおいて、結晶化温度が623K以上であり、良好なTMR比が得られるのであれば、本発明の範囲に含まれる。そして、耐熱性が良好で、MRAM用途として最適なTMR素子を構成することができる。
言うまでもなく、Si,Bや実施例に挙げたこれらC,P,Al,Mo,Zr並びにMnのみならず、メタロイド元素として知られているような半金属元素、例えばGe,Ti,Nb,Ta等を添加しても同様の効果が得られ、しかもこれらのうち1種もしくは2種以上を(Co,Fe,Ni)強磁性合金に対する添加物の主成分としている限りにおいて、結晶化温度が623K以上であり、良好なTMR比が得られるのであれば、本発明の範囲に含まれる。そして、耐熱性が良好で、MRAM用途として最適なTMR素子を構成することができる。
尚、本発明の磁気抵抗効果素子(TMR素子等)は、前述した磁気メモリ装置のみならず、磁気ヘッド及びこの磁気ヘッドを搭載したハードディスクドライブや磁気センサ、集積回路チップ、さらにはパソコン、携帯端末、携帯電話を始めとする各種電子機器、電子機器等に適用することができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
1,10,22 トンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)、2,21 基板、3 下地層、4 反強磁性層、5 磁化固定層、5a 第1の磁化固定層、5b第2の磁化固定層(参照層)、5c 非磁性導電体層、6 トンネルバリア層、7 磁化自由層、9 強磁性トンネル接合、11 メモリセル、23,24 パッド、WL,WL1,WL2 ワード線、BL ビット線
Claims (6)
- 膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子であって、
磁化固定層と、
前記磁化固定層上に形成されたトンネルバリア層と、
前記トンネルバリア層上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層とを有する
磁気抵抗効果素子。 - 前記磁化固定層が積層フェリ構造を有する請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記非晶質強磁性材料が、Fe,Co,Niのいずれか1種もしくは2種以上を主成分とする強磁性材料であり、非晶質化のための添加元素として、B,Si,C,P,Al,Ge,Ti,Nb,Ta,Zr,Moのいずれか1種以上を含む請求項1又は請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
- 膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子と、
前記磁気抵抗効果素子を厚み方向に挟むワード線及びビット線とを備え、
前記磁気抵抗効果素子は、磁化固定層と、前記磁化固定層上に形成されたトンネルバリア層と、前記トンネルバリア層上に形成され、結晶化温度が623K以上である非晶質強磁性材料を含む、磁化自由層とを有する
磁気メモリ装置。 - 前記磁気抵抗効果素子の前記磁化固定層が積層フェリ構造を有する請求項4に記載の磁気メモリ装置。
- 前記非晶質強磁性材料が、Fe,Co,Niのいずれか1種もしくは2種以上を主成分とする強磁性材料であり、非晶質化のための添加元素として、B,Si,C,P,Al,Ge,Ti,Nb,Ta,Zr,Moのいずれか1種以上を含む請求項4又は請求項5に記載の磁気メモリ装置。
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