JP2004039757A - 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対の強磁性層5,7が中間層6を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成であり、一方の強磁性層が磁化固定層5であり、他方の強磁性層が磁化自由層7であり、磁化自由層7は磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成る磁気抵抗効果素子1を構成する。また、この構成の磁気抵抗効果素子1と、ワード線及びビット線とを備えた磁気メモリ装置を構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗効果素子を備えて成る磁気メモリ装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
情報通信機器、特に携帯端末等の個人用小型機器の飛躍的な普及に伴い、これを構成するメモリやロジック等の素子には、高集積化、高速化、低電力化等、一層の高性能化が要請されている。特に不揮発性メモリの高密度・大容量化は、可動部分の存在により本質的に小型化が不可能なハードディスクや光ディスクを置き換える技術として、ますます重要になってきている。
【0003】
不揮発性メモリとしては、半導体を用いたフラッシュメモリや、強誘電体を用いたFRAM(Ferro electric Random Access Memory ;強誘電体メモリ)等が挙げられる。
しかしながら、フラッシュメモリは、書き込み速度がμ秒のオーダーと遅いという欠点がある。一方、FRAMにおいては、書き換え可能回数が少ないという問題が指摘されている。
【0004】
これらの欠点がない不揮発性メモリとして注目されているのが、例えば「Wanget al.,IEEE Trans. Magn. 33(1997),4498 」に記載されているような、MRAM(Magnetic Random Access Memory )と呼ばれる磁気メモリである。
【0005】
このMRAMに用いられる磁気抵抗効果素子、特にトンネル磁気抵抗効果(Tunnel Magnetoresistance:TMR)素子は、基本的に強磁性層/トンネルバリア層/強磁性層の積層構造で構成される。この素子では、強磁性層間に一定の電流を流した状態で強磁性層間に外部磁場を印加した場合、両磁性層の磁化の相対角度に応じて磁気抵抗効果が現れる。双方の強磁性層の磁化の向きが反平行の場合は抵抗値が最大となり、平行の場合は抵抗値が最小となる。メモリ素子としての機能は外部磁場により反平行と平行の状態を作り出すことによってもたらされる。
【0006】
特にスピンバルブ型のTMR素子においては、一方の強磁性層が隣接する反強磁性層と反強磁性的に結合することによって磁化の向きを常に一定とされ、磁化固定層とされる。他方の強磁性層は、外部磁場等によって容易に磁化反転する磁化自由層とされる。そして、この磁化自由層が磁気メモリにおける情報記録層となる。
【0007】
スピンバルブ型のTMR素子において、その抵抗値の変化率は、それぞれの強磁性層のスピン分極率をP1,P2とすると、下記の式(1)で表される。
2P1P2/(1−P1P2) (1)
このように、それぞれのスピン分極率が大きい程、抵抗変化率が大きくなる。
【0008】
ところで、MRAMの基本的な構成は、例えば特開平10−116490号公報に開示されているように、複数のビット書き込み線(いわゆるビット線)と、これら複数のビット書き込み線に直交する複数のワード書き込み線(いわゆるワード線)とを設け、これらビット書き込み線とワード書き込み線との交点に磁気メモリ素子としてTMR素子が配されて成る。そして、このようなMRAMで記録を行う際には、アステロイド特性を利用してTMR素子に対して選択書き込みを行う。
【0009】
ここで、TMR素子を用いたMRAMの動作原理を簡単に説明する。
MRAMは、磁性体からなる微小な記憶担体(磁性記憶担体)を規則的に配置し、その各々にアクセスできるような配線を施した構造を有する。TMR素子を用いる場合には、TMR素子の磁化自由層が磁性記憶担体となり、TMR素子によりメモリセルが構成される。
【0010】
情報の書き込みは、上述のワード書き込み線とビット読み出し線の両方に電流を流すことにより発生する合成電流磁界を用いて、各メモリセルを構成するTMR素子の磁化自由層の磁化を制御することにより行う。
【0011】
一般的には、磁化の向きに応じて“0”情報と“1”情報とを記憶させる。
具体的には、例えば磁化自由層の磁化の向きと磁化固定層の磁化の向きが反平行であり抵抗値が高い場合を例えば“1”、その逆に各々の磁化の向きが平行である場合を“0”とする。また、逆に反平行である場合を“0”とすることも可能である。
【0012】
情報の読み出しは、トランジスタ等の素子を用いて、メモリセルの選択を行い、磁気抵抗効果により磁化の向きを電圧信号として取り出す。
【0013】
メモリセルを構成するTMR素子は、強磁性体/絶縁体/強磁性体の3層の積層構造即ち強磁性トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction;MTJ)を含む構造であり、一方の強磁性体層が磁化固定層、他方の強磁性体層が磁化自由層となる。そして、磁化固定層を固定参照層(ピンド/リファレンス層)として用い、磁化自由層(フリー層)を情報記録層として用いることにより、トンネル磁気抵抗効果によって、磁化自由層(情報記録層)の磁化の向きと電圧信号とを対応させる。
【0014】
次に、書き込み時のセル選択方法について説明する。
一般に、強磁性体の磁化容易軸方向に、磁化と反対の向きに磁界を印加すると、ある磁界値±Hc即ち反転磁界において、磁化が磁界の方向に反転する。この反転磁界の値は、理論的にはエネルギ最小の条件から求めることができる。
さらに、磁化容易軸方向だけでなく磁化困難軸方向にも磁界を印加した場合には、この反転磁界Hcの絶対値が減少することが知られている。これもやはりエネルギ最小条件から求めることができ、磁化困難軸方向に印加した磁界をHxとすると、このときの反転磁界Hyとの間には、
の関係がある。この曲線は、Hx−Hy平面上でアステロイドを形成するため、アステロイド曲線と呼ばれる。
書き込み時のセル選択方法は、このアステロイド曲線を用いて説明することができる。
【0015】
ワード書き込み線から発生する磁界が磁化容易軸方向とほぼ一致している構成のMRAMにおいては、ワード書き込み線から発生する磁界により、磁化自由層(情報記録層)の磁化を反転させて記録を行う。
しかしながら、ワード書き込み線から等距離に位置するメモリセルが複数個存在するため、ワード書き込み線に反転磁界以上の磁界を発生する量の電流を流してしまうと、これら等価な複数のメモリセルに同時に記録を行ってしまうことになる。
そこで、選択したいメモリセルに懸かるビット書き込み線に電流を流して磁化困難軸方向の磁界を発生させる。これにより、選択セルの反転磁界を小さくすることができる。このときの反転磁界をHc(h)、ビット書き込み線による磁界が0の場合の反転磁界をHc(0)とすると、ワード書き込み線による磁界HをHc(h)<H<Hc(0)となるように設定することにより、選択的にメモリセルに記録することができる。
このようにして、記録時にセルを選択することができる。
【0016】
このMRAMは、構造が単純であるため高集積化が容易であり、かつ磁気モーメントの回転により記録を行うために書き換え可能回数が大である。
また、アクセス時間についても、非常に高速であることが予想され、既にナノ秒台で動作可能であることが確認されている。
【0017】
従って、MRAMは特にランダムアクセス、書き換え可能回数大、高速動作の3点においてフラッシュメモリよりも優れ、またプロセス整合性の点でFeRAMより優れている。さらに、DRAM並みの高集積度とSRAM並みの高速性を両立できると期待されるため、システムLSI用混載メモリをすべて置き換える可能性も有している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、MRAMは、DRAMで用いられているようなMOSスイッチ等による選択記録ではなく、直交磁場による選択記録という特徴的な書き込み方法を採用していることにより、固有の課題を有している。
【0019】
特に、メモリセルを構成するTMR素子の磁気特性が素子毎にばらつくことや、同一素子を繰り返し使用した場合のばらつきが存在すると、アステロイド特性を使用した選択書き込みが困難になるという問題点がある。
従って、TMR素子には、理想的なアステロイド曲線を描かせるための磁気特性も求められる。
【0020】
ここで、TMR素子を備えたMRAMにおける、理想的なアステロイド曲線を、図10Aに示す。曲線に歪やばらつきがなく、きれいな曲線となっている。
【0021】
これに対して、現実の磁気メモリ装置を測定して得られるアステロイド曲線は、図10Bのようになる。
この図10Bより、反転磁界にばらつきが存在していることがわかる。これは、メモリ装置を構成する多数のトンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)において、各素子の反転磁界にばらつきがあるために、アステロイド曲線がばらついているからである。
【0022】
図10Bのようなアステロイド曲線を有する磁気メモリ装置において、選択記録可能な領域は同図に示した通りである。W0は、“0”を選択記録することが可能な領域を示し、W1は“1”を選択記録することが可能な領域を示している。
アステロイド曲線にばらつきがあるため、W1の領域に比較してW0の領域が狭くなっていることがわかる。
実際にMRAMとして動作させるためには、“0”と“1”を共に選択記録できるようにする必要がある。
従って、選択記録のマージンを充分確保できるように、W0の領域とW1の領域とが、いずれも充分広い範囲を有することが求められる。
【0023】
そして、図10Bより明らかなように、選択記録のマージンを広く確保するためには、アステロイド曲線のばらつき、即ち各メモリセルを構成するTMR素子の反転磁界のばらつきを抑制することが重要である。
【0024】
上述した問題の解決のために、本発明においては、磁化自由層の反転磁界のばらつきを抑制することにより、磁気抵抗効果素子、並びにこの磁気抵抗効果素子を備えて選択記録のマージンを広く確保することができる磁気メモリ装置を提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気抵抗効果素子は、一対の強磁性層が中間層を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成であって、強磁性層のうち一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であり、磁化自由層は磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成るものである。
【0026】
本発明の磁気メモリ装置は、一対の強磁性層が中間層を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子と、この磁気抵抗効果素子を厚み方向に挟むワード線及びビット線とを備え、強磁性層のうち一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であり、この磁化自由層は、磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成るものである。
【0027】
上述の本発明の磁気抵抗効果素子の構成によれば、磁化自由層は磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成る構成としていることにより、磁化自由層において、不均一な歪の影響を抑制して、反転磁界のばらつきを低減することが可能になる。
【0028】
上述の本発明の磁気メモリ装置の構成によれば、上述した本発明の磁気抵抗効果素子を備えていることにより、磁化自由層の反転磁界のばらつきが低減されているため、選択記録を行うことを可能にする磁界の範囲(磁化容易軸方向の磁界及び磁化困難軸方向の磁界)を広くすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明は、一対の強磁性層が中間層を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子であって、強磁性層のうち一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であり、磁化自由層は磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成る磁気抵抗効果素子である。
【0030】
また本発明は、上記磁気抵抗効果素子において、中間層として絶縁体もしくは半導体から成るトンネルバリア層を用いたトンネル磁気抵抗効果素子である構成とする。
【0031】
また本発明は、上記磁気抵抗効果素子において、中間層として導電層を用いた巨大磁気抵抗効果素子である構成とする。
【0032】
また本発明は、上記磁気抵抗効果素子において、積層フェリ構造を有する構成とする。
【0033】
本発明は、一対の強磁性層が中間層を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子と、この磁気抵抗効果素子を厚み方向に挟むワード線及びビット線とを備え、強磁性層のうち一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であり、この磁化自由層は、磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成る磁気メモリ装置である。
【0034】
また本発明は、上記磁気メモリ装置において、磁気抵抗効果素子が中間層として絶縁体もしくは半導体から成るトンネルバリア層を用いたトンネル磁気抵抗効果素子である構成とする。
【0035】
また本発明は、上記磁気メモリ装置において、磁気抵抗効果素子が中間層として導電層を用いた巨大磁気抵抗効果素子である構成とする。
【0036】
また本発明は、上記磁気メモリ装置において、磁気抵抗効果素子が積層フェリ構造を有する構成とする。
【0037】
まず、本発明の磁気抵抗効果素子の一実施の形態の概略構成図を図1に示す。この図1に示す実施の形態は、本発明をトンネル磁気抵抗効果素子(以下、TMR素子と称する。)に適用した場合を示している。
【0038】
このTMR素子1は、シリコン等からなる基板2上に、下地層3と、反強磁性層4と、強磁性層である磁化固定層5と、トンネルバリア層6と、強磁性層である磁化自由層7と、トップコート層8とがこの順に積層されて構成されている。
即ち、強磁性層の一方が磁化固定層5とされ、他方が磁化自由層7とされた、いわゆるスピンバルブ型のTMR素子を構成しており、一対の強磁性層である磁化固定層5と磁化自由層7とでトンネルバリア層6を挟み込むことにより、強磁性トンネル接合を形成している。
そして、磁気メモリ装置等にこのTMR素子1を適用した場合には、磁化自由層7が情報記録層となり、そこに情報が記録される。
【0039】
反強磁性層4は、強磁性層の一方である磁化固定層5と反強磁性的に結合することにより、書き込みのための電流磁界によっても磁化固定層5の磁化を反転させず、磁化固定層5の磁化の向きを常に一定とするための層である。即ち、図1に示すTMR素子1においては、他方の強磁性層である磁化自由層7だけを外部磁場等によって磁化反転させる。磁化自由層7は、TMR素子1を例えば磁気メモリ装置等に適用した場合に情報が記録される層となるため、情報記録層とも称される。
反強磁性層4を構成する材料としては、Fe、Ni、Pt、Ir、Rh等を含むMn合金、Co酸化物、Ni酸化物等を使用することができる。
【0040】
図1に示すスピンバルブ型のTMR素子1においては、磁化固定層5は、反強磁性層4と反強磁性的に結合することによって磁化の向きを一定とされる。このため、書き込みの際の電流磁界によっても磁化固定層5の磁化は反転しない。
【0041】
トンネルバリア層6は、磁化固定層5と磁化自由層7とを磁気的に分離するとともに、トンネル電流を流すための層である。
トンネルバリア層6を構成する材料としては、例えばAl、Mg、Si、Li、Ca等の酸化物、窒化物、ハロゲン化物等の絶縁材料を使用することができる。
【0042】
このようなトンネルバリア層6は、スパッタリング法や蒸着法等によって成膜された金属膜を、酸化又は窒化することにより得ることができる。
また、有機金属と、酸素、オゾン、窒素、ハロゲン、ハロゲン化ガス等とを用いるCVD法によっても得ることができる。
【0043】
本実施の形態においては、特に、磁化自由層7に、磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下の強磁性材料を用いる。
【0044】
このように磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料としては、例えばCoFeBを挙げることができる。
このCoFeBは、組成によって他の特性を大きく損なうことなく磁歪定数を制御できるという観点で、好ましい材料である。
【0045】
磁化自由層7にCoFeBを用いた場合には、上述する範囲の組成とすることにより、磁歪定数の絶対値を1.5ppm以下にすることができる。
【0046】
また、その他の材料系でも、磁歪定数の絶対値を1.5ppm以下とすることができる強磁性材料であれば、磁化自由層7に使用することが可能である。
この場合も、組成によって磁歪定数の調整が容易な材料を使用することが望ましい。このような材料としては、例えばCoFe合金、CoFe合金に種々の添加物(C,Si,P,Ga,Ge,Zr,Hf,Y,Ti,Nb,Mn,Cr,Ni,V,希土類)を添加した材料、NiFe合金やCoNi合金、NiFe合金やCoNi合金に上記添加物(B・Ni以外)を添加した材料が挙げられる。
【0047】
上述の実施の形態のTMR素子1によれば、磁化自由層7に磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料を用いることにより、不均一な歪による反転磁界(磁化自由層7の磁化が反転する磁界)への影響を抑制して、反転磁界のばらつきを低減することが可能となる。
【0048】
これにより、例えば多数のTMR素子を有して成る磁気メモリ装置にTMR素子1を適用した場合に、多数のTMR素子1の反転磁界のばらつきを抑制して、選択記録のマージンを広くすることができる。
また、TMR素子を有して成る磁気ヘッドや磁気センサに適用した場合には、反転磁界の設計値からのずれを抑制して、製造歩留まりを向上することや動作不良を防止することが可能になる。
【0049】
尚、本発明においては、図1に示すような磁化固定層5及び磁化自由層7のそれぞれが単層から構成されたTMR素子1に限定されない。
例えば図2に示すように、磁化固定層5が、第1の磁化固定層5aと第2の磁化固定層5bとで非磁性導電体層5cを挟み込んでなる積層フェリ構造とされる場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0050】
図2に示すTMR素子10では、第1の磁化固定層5aが反強磁性層4と接しており、これらの層間に働く交換相互作用によって、第1の磁化固定層5aは強い一方向の磁気異方性を持つ。また、第2の磁化固定層5bは、トンネルバリア層6を介して磁化自由層7と対向し、スピンの向きが磁化自由層7と比較され直接MR比に関わる強磁性層となるため、参照層とも称される。
【0051】
積層フェリ構造の非磁性導電体層5cに用いられる材料としては、例えばRu、Cu、Cr、Au、Ag等が挙げられる。図2のTMR素子10において、その他の層は図1に示したTMR素子1とほぼ同様の構成であるため、図1と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
この積層フェリ構造を有するTMR素子10においても、磁化自由層7に磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料を用いることにより、図1に示したTMR素子1と同様に、不均一な歪による反転磁界(磁化自由層7の磁化が反転する磁界)への影響を抑制して、反転磁界のばらつきを低減することが可能となる。
【0053】
尚、上述の実施の形態では、磁気抵抗効果素子としてTMR素子(トンネル磁気抵抗効果素子)1,10を用いたが、本発明は、一対の強磁性層が中間層を介して対向され、膜面に対して垂直に電流を流して磁気抵抗変化を得る構成を有するその他の磁気抵抗効果素子にも適用することができる。
例えば中間層としてCu等の非磁性導電層を用いた巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)で、膜面に対して垂直に電流を流して磁気抵抗効果を得る構成、即ちいわゆるCPP型のGMR素子にも本発明を適用することができる。
【0054】
さらに、磁化固定層や反強磁性体の材料、磁化固定層側における積層フェリ構造の有無等は、本発明の本質を損なわない限り種々の変形が可能である。
【0055】
上述のようなTMR素子1,10等の磁気抵抗効果素子は、例えばMRAM等の磁気メモリ装置に用いられて好適である。以下、本発明のTMR素子を用いたMRAMについて、図を参照しながら説明する。
【0056】
本発明のTMR素子を有するクロスポイント型のMRAMアレイを、図3に示す。このMRAMアレイは、複数のワード線WLと、これらワード線WLと直交する複数のビット線BLとを有し、ワード線WLとビット線BLとの交点に本発明のTMR素子が配置されて成るメモリセル11とを有する。即ち、このMRAMアレイでは、3×3のメモリセル11がマトリクス状に配置される。
【0057】
尚、MRAMアレイに用いられるTMR素子としては、図1に示したTMR素子1に限定されず、積層フェリ構造を有する図2に示すTMR素子10等、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子において強磁性層のうち磁化自由層の磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下であればいかなる構成であっても構わない。
【0058】
また、メモリ素子に多数あるメモリセルから1つのメモリセルを取り出して、断面構造を図4に示す。
各メモリセル11は、図4に示すように、例えばシリコン基板12上に、ゲート電極13、ソース領域14及びドレイン領域15からなるトランジスタ16を有する。ゲート電極13は、読み出し用のワード線WL1を構成している。ゲート電極13上には、絶縁層を介して書き込み用のワード線(前述したワード書き込み線に相当する)WL2が形成されている。トランジスタ16のドレイン領域15にはコンタクトメタル17が接続され、さらにコンタクトメタル17には下地層18が接続されている。この下地層18上の書き込み用のワード線WL2の上方に対応する位置に、本発明のTMR素子1が形成されている。このTMR素子1上に、ワード線WL1及びWL2と直交するビット線(前述したビット書き込み線に相当する)BLが形成されている。
また、各ワード線WL1,WL2とTMR素子1とを絶縁するための層間絶縁膜19及び絶縁膜20と、全体を保護するパッシベーション膜(図示せず)等を有して成る。
【0059】
このMRAMは、磁化自由層7に磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料が用いられたTMR素子1を用いているので、磁化自由層7の磁化の反転磁界に対する不均一な歪の影響を抑制することができることから、各メモリセル11毎の反転磁界のばらつきを低減することができる。
これにより、選択記録を行うための反転磁界のマージンを充分に確保することができる。
【0060】
(実施例)
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
図2に示した、磁化固定層5に積層フェリ構造5a,5b,5cを有するTMR素子10について、磁歪定数を変化させるために磁化自由層7を種々の組成に変更したサンプルを作製した。具体的には、磁化自由層7の組成を(FexCo1−x)1−yByとして、x及びyの値(原子%)を表1に示すように変化させた。また、各サンプルのTMR素子10を有する図3及び図4に示した構成の磁気メモリ装置を作製した。
【0061】
<サンプル1>
まず、内部が超高真空領域まで排気されたマグネトロンスパッタ装置内で、基板上に、Ta膜を膜厚3nm、PtMn膜(反強磁性層4)を膜厚30nm、CoFe膜(第1の磁化固定層5a)を膜厚1.5nm、Ru膜(非磁性導電体層5c)を膜厚0.8nm、CoFe膜(第2の磁化固定層5b)を膜厚2nm、Al膜を例えば膜厚1nm、というように順次成膜した。
尚、第1の磁化固定層5a及び第2の磁化固定層(参照層)5bのCoFe膜は、ターゲット組成をCo75Fe25(原子%)として成膜した。
【0062】
次に、Al膜を純酸素中でプラズマ酸化させて、均一なAl酸化膜を得て、TMR素子のトンネルバリア層6を形成した。
続いて、マグネトロンスパッタ装置内で、磁化自由層7を膜厚3nm、Ta膜を膜厚5nm、それぞれ成膜した。
尚、磁化自由層7の組成は、x=0,y=5即ちCo95B5(原子%)とした。
【0063】
次に、反強磁性層4のPtMn膜を規則合金化するため、磁場中熱処理を行った。この磁場中熱処理の条件は、10kOeの磁界中、280℃で1時間とした。
さらに、フォトリソグラフィとイオンミリングの組み合わせにより微細加工し、0.4μm×0.8μmの楕円形のTMR素子10を得た。
【0064】
<サンプル2>
磁化自由層7の組成を、x=10,y=5即ち(Fe10Co90)95B5(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0065】
<サンプル3>
磁化自由層7の組成を、x=25,y=5即ち(Fe25Co75)95B5(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0066】
<サンプル4>
磁化自由層7の組成を、x=50,y=5即ち(Fe50Co50)95B5(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0067】
<サンプル5>
磁化自由層7の組成を、x=0,y=10即ちCo90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0068】
<サンプル6>
磁化自由層7の組成を、x=5,y=10即ち(Fe5Co95)90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0069】
<サンプル7>
磁化自由層7の組成を、x=10,y=10即ち(Fe10Co90)90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0070】
<サンプル8>
磁化自由層7の組成を、x=25,y=10即ち(Fe25Co75)90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0071】
<サンプル9>
磁化自由層7の組成を、x=30,y=10即ち(Fe30Co70)90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0072】
<サンプル10>
磁化自由層7の組成を、x=35,y=10即ち(Fe35Co65)90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0073】
<サンプル11>
磁化自由層7の組成を、x=45,y=10即ち(Fe45Co55)90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0074】
<サンプル12>
磁化自由層7の組成を、x=50,y=10即ち(Fe50Co50)90B10(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0075】
<サンプル13>
磁化自由層7の組成を、x=0,y=20即ちCo80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0076】
<サンプル14>
磁化自由層7の組成を、x=5,y=20即ち(Fe5Co95)80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0077】
<サンプル15>
磁化自由層7の組成を、x=10,y=20即ち(Fe10Co90)80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0078】
<サンプル16>
磁化自由層7の組成を、x=25,y=20即ち(Fe25Co75)80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0079】
<サンプル17>
磁化自由層7の組成を、x=30,y=20即ち(Fe30Co70)80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0080】
<サンプル18>
磁化自由層7の組成を、x=35,y=20即ち(Fe35Co65)80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0081】
<サンプル19>
磁化自由層7の組成を、x=45,y=20即ち(Fe45Co55)80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0082】
<サンプル20>
磁化自由層7の組成を、x=50,y=20即ち(Fe50Co50)80B20(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0083】
<サンプル21>
磁化自由層7の組成を、x=0,y=30即ちCo70B30(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0084】
<サンプル22>
磁化自由層7の組成を、x=5,y=30即ち(Fe5Co95)70B30(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0085】
<サンプル23>
磁化自由層7の組成を、x=10,y=30即ち(Fe10Co90)70B30(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0086】
<サンプル24>
磁化自由層7の組成を、x=25,y=30即ち(Fe25Co75)70B30(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0087】
<サンプル25>
磁化自由層7の組成を、x=30,y=30即ち(Fe30Co70)70B30(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0088】
<サンプル26>
磁化自由層7の組成を、x=35,y=30即ち(Fe35Co65)70B30(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0089】
<サンプル27>
磁化自由層7の組成を、x=40,y=30即ち(Fe40Co60)70B30(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0090】
<サンプル28>
磁化自由層7の組成を、x=0,y=40即ちCo60B40(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0091】
<サンプル29>
磁化自由層7の組成を、x=5,y=40即ち(Fe5Co95)60B40(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0092】
<サンプル30>
磁化自由層7の組成を、x=10,y=40即ち(Fe10Co90)60B40(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0093】
<サンプル31>
磁化自由層7の組成を、x=25,y=40即ち(Fe25Co75)60B40(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0094】
<サンプル32>
磁化自由層7の組成を、x=30,y=40即ち(Fe30Co70)60B40(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0095】
<サンプル33>
磁化自由層7の組成を、x=35,y=40即ち(Fe35Co65)60B40(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0096】
<サンプル34>
磁化自由層7の組成を、x=0,y=45即ちCo55B45(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0097】
<サンプル35>
磁化自由層7の組成を、x=5,y=45即ち(Fe5Co95)55B45(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0098】
<サンプル36>
磁化自由層7の組成を、x=10,y=45即ち(Fe10Co90)55B45(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0099】
<サンプル37>
磁化自由層7の組成を、x=25,y=45即ち(Fe25Co75)55B45(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0100】
<サンプル38>
磁化自由層7の組成を、x=0,y=50即ちCo50B50(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0101】
<サンプル39>
磁化自由層7の組成を、x=10,y=50即ち(Fe10Co90)50B50(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0102】
<サンプル40>
磁化自由層7の組成を、x=25,y=50即ち(Fe25Co75)50B50(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0103】
<サンプル41>
磁化自由層7の組成を、x=50,y=50即ち(Fe50Co50)50B50(原子%)とした以外はサンプル1と同様にしてTMR素子10を得た。
【0104】
そして、得られた各サンプル1〜サンプル41のTMR素子10に対して、磁化自由層7の磁歪定数λsを測定した。磁歪定数λsの測定結果を表1に示す。
【0105】
また、各サンプル1〜サンプル41のTMR素子10から、それぞれTMR素子10を1kbit(キロビット)有する、図3及び図4に示した構成のMRAM(磁気メモリ装置)を作製した。
そして、各TMR素子10の反転磁界を測定し、1kbit分のTMR素子10の反転磁界のばらつきを調べるために、反転磁界の標準偏差σと平均値(avg.)を計算した。そして、SFD=標準偏差/平均値(σ/avg.)を計算で求めた。このSFDの計算結果も表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
表1の結果から、上述した反転磁界のばらつきと、磁化自由層7の材料の磁歪定数λsの絶対値の大きさとがよく対応していることがわかる。
即ち磁化自由層7の磁歪定数λsの絶対値が大きいサンプルは、SFD即ち反転磁界のばらつきも大きくなっている。反対に磁化自由層7の磁歪定数λsの絶対値が小さいサンプルは、SFD即ち反転磁界のばらつきも小さくなっている。
【0108】
また、表1に示したSFD(反転磁界のばらつき)と磁歪定数λsとの関係を、プロットして図5に示す。
【0109】
一般に、MRAMにおいては、ビット線やワード線から発生する磁界のばらつきまでも考慮に入れると、反転磁界のばらつきはSFD=標準偏差/平均値で5%以下に抑える必要がある。
表1及び図5より、反転磁界のばらつきSFDを5%以下にするためには、磁歪定数λsの絶対値は1.5ppm以下でなくてはならないことがわかる。
【0110】
ここで、表1のサンプルのうち、一部のサンプルについて、MRAMを構成する1kbit分のTMR素子のアステロイド曲線を重ね合わせた図を、図6に示す。
【0111】
図6Aは磁化自由層として(Fe10Co90)80B20の組成を用いたサンプル15の場合、図6Bは磁化自由層として(Fe50Co50)80B20の組成を用いたサンプル20の場合をそれぞれ示している。図6Aと比較して図6Bはばらつきが大きく、動作マージンが狭くなっている。
このため、図6Bに示すサンプル20の組成は、記録電流値や電流−磁界変換効率のばらつきまで考慮すると、磁気メモリ素子としての使用は困難である。
一方、図6Aに示すサンプル15の組成は磁気メモリ素子に充分適用可能である。
【0112】
続いて、表1のデータを基に、磁歪定数λsの絶対値を1.5ppm以下とすることができるCoFeBの組成を調べた。
まず、CoFeBの組成として、Feの含有量x(原子%)を横軸にとり、磁歪定数λsを縦軸にとって、Bの含有量y(原子%)のそれぞれの値(5〜50%)毎に線で結んでプロットした図を図7に示す。
また、CoFeBの組成として、Feの含有量x(原子%)を横軸にとり、反転磁界のばらつきSFDを縦軸にとって、Bの含有量y(原子%)のそれぞれの値(5〜50%)毎に線で結んでプロットした図を図8に示す。
【0113】
図7より磁歪定数λsの絶対値が1.5ppm以下となる組成、図8より反転磁界のばらつきSFDが5%以下となる組成範囲がわかる。
この組成範囲を、図9に示した状態図中において、斜線を付した領域で示す。
この斜線を付した領域内の組成であれば、磁歪定数の絶対値を1.5ppm以下として、反転磁界のばらつきを5%以下とすることができる。
【0114】
尚、本発明の磁気抵抗効果素子(TMR素子等)は、前述した磁気メモリ装置のみならず、磁気ヘッド及びこの磁気ヘッドを搭載したハードディスクドライブや磁気センサ、集積回路チップ、さらにはパソコン、携帯端末、携帯電話を始めとする各種電子機器、電子機器等に適用することができる。
【0115】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0116】
【発明の効果】
上述の本発明の磁気抵抗効果素子によれば、磁化自由層に磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料を用いていることにより、不均一な歪による反転磁界への影響を抑制して、反転磁界のばらつきを低減することが可能となる。
【0117】
これにより、例えば磁気抵抗効果素子を有して成る磁気ヘッドや磁気センサに適用した場合において、反転磁界の設計値からのずれを抑制して、製造歩留まりを向上することや動作不良を防止することが可能になる。
【0118】
また、本発明の磁気メモリ装置によれば、本発明の磁気抵抗効果素子を備えて構成されていることにより、磁気抵抗効果素子の反転磁界のばらつきが抑制されているため、メモリセルの選択記録のマージンを充分広く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のTMR素子の概略構成図である。
【図2】積層フェリ構造を有するTMR素子の概略構成図である。
【図3】本発明のTMR素子をメモリセルとして有する、クロスポイント型MRAMアレイの要部を示す概略構成図である。
【図4】図3に示すメモリセルの拡大断面図である。
【図5】磁化自由層の磁歪定数と反転磁界のばらつきとの関係を示す図である。
【図6】A、B MRAMを構成するTMR素子のアステロイド曲線を重ねて示した図である。
【図7】磁化自由層の組成と磁歪定数との関係を示す図である。
【図8】磁化自由層の組成と反転磁界のばらつきとの関係を示す図である。
【図9】CoFeB系における好ましい組成範囲を示す図である。
【図10】A 単一TMR素子の理想的なアステロイド曲線を示した図である。
B 多数のTMR素子のアステロイド曲線を重ねて示した図である。
【符号の説明】
1,10 トンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)、2 基板、3 下地層、4 反強磁性層、5 磁化固定層、5a 第1の磁化固定層、5b 第2の磁化固定層(参照層)、5c 非磁性導電体層、6 トンネルバリア層、7 磁化自由層、11 メモリセル、WL,WL1,WL2 ワード線、BL ビット線
Claims (8)
- 一対の強磁性層が中間層を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子であって、
上記強磁性層のうち一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であり、
上記磁化自由層は、磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成る
ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 上記中間層として絶縁体もしくは半導体から成るトンネルバリア層を用いたトンネル磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 上記中間層として導電層を用いた巨大磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 積層フェリ構造を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 一対の強磁性層が中間層を介して対向されてなり、膜面に対して垂直に電流を流すことによって磁気抵抗変化を得る構成の磁気抵抗効果素子と、
上記磁気抵抗効果素子を厚み方向に挟むワード線及びビット線とを備え、
上記強磁性層のうち一方が磁化固定層であり、他方が磁化自由層であり、
上記磁化自由層は、磁歪定数の絶対値が1.5ppm以下である強磁性材料から成る
ことを特徴とする磁気メモリ装置。 - 上記磁気抵抗効果素子は、上記中間層として絶縁体もしくは半導体から成るトンネルバリア層を用いたトンネル磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項5に記載の磁気メモリ装置。
- 上記磁気抵抗効果素子は、上記中間層として導電層を用いた巨大磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項5に記載の磁気メモリ装置。
- 上記磁気抵抗効果素子が積層フェリ構造を有することを特徴とする請求項5に記載の磁気メモリ装置。
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