JP4987199B2 - 光伝送装置、レーザ光発生・伝送装置及びレーザ加工装置 - Google Patents

光伝送装置、レーザ光発生・伝送装置及びレーザ加工装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収束性の良好なレーザ光を伝送するための光伝送装置、この光伝送装置を備えたレーザ光発生・伝送装置、およびこのレーザ光発生・伝送装置を備えたレーザ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ加工装置では、図6に示すように、レーザ装置70から出射したレーザ光を、出射光学系(光伝送装置)71を形成する集光レンズ72と光ファイバ73により被加工物の近傍まで導き、光ファイバ73の出射端75に取り付けた加工ヘッド76を通して被加工物77に照射し、被加工物に加工を施すタイプの形式がよく用いられている。この場合、レーザ装置70からのレーザ光を光ファイバ73へ出射する光学系としては、1枚もしくは複数枚のレンズを組合せた一群の集光レンズによる方式が一般的である。それらは例えば、特開平8−l67754号公報および特開平7−3075l3号公報に開示されている。この方法は、固体レーザ装置から出射されたレーザ光を、1枚もしくは1郡の集光レンズで集光し、光ファイバに導く方法である。
【0003】
また、特開2001−94l77号公報には、図7に模式図を示すように、l枚もしくは一群の集光レンズの代わりに、固体レーザ装置70の出射位置から第1レンズ81までの距離がf、第lレンズ81から第2レンズ82までの距離がf+f、第2レンズ82から光ファイバ入射端83までの距離がfとなるような光ファイバへの入射光学系を設け、レーザ光のビームウェイスト径を光ファイバ端面上にf/f(D/D)倍に縮小結像して入射するようにした技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開平8−l67754や特開平7−3075l3号に開示された方法では、レーザ光のビーム広がり角が変化した場合、最小スポットとなる位置がずれてしまう。そのために、光ファイバのコア径はずれ分を見込んで余裕を持って大きめに形成しなければならない。そのため、レーザ光のビーム品質を最大限に活用することが出来ない。
【0005】
また、特開200l−94l77号公報に開示されたテレセントリック光学系では、レーザ光のビーム品質が保存され、レーザ光のビーム品質を最大限に活用することが出来る。しかし、レーザ光のビーム品質を最大限に活用し、細径の光ファイバに導入するためには、光ファイバに許容される開口数に近い値で、光ファイバに入射する必要がある。しかしながら、一般にレーザ光はガウシアンビームであるため、空間的に裾野を引くようなビーム形状を形成している。光ファイバにダメージを与えずに光ファイバ伝送するためには、光ファイバのコア径に対して余裕を持って小さなビームで光ファイバに入射する必要が生じ、ビーム品質を最大限に活用しているとは言えない。
【0006】
また、一般的にロッド型の固体レーザ装置の出射ビーム径は、レーザ出力が増加するに従って、小さくなり、反対に出射ビーム広がり角は大きくなる傾向にある。このことは、特開200l−94l77号公報に開示された方法によって入射光字系を設計した場合、レーザ出力が低い領域で、安全に光ファイバに入射できるようにするため、出射ビーム径が小さくなる高出力領域では、光ファイバのコア径よりも小さな集光径となり、レーザ光のビーム品質を十分に活用することが出来ない。
【0007】
また、固体レーザ装置70の出射位置から第1レンズ81までの距離をf、第2レンズ82から光ファイバの入射端83までの距離をfと規定するため、集光光学系が長くなり、設計の自由度が制約を受ける等の欠点がある。
【0008】
本発明はこれらの事情に基づいてなされたもので、レーザ光のビーム品質を最大限に保存したままでの光ファイバによる伝送が可能な、光伝送装置と、それを用いたレーザ光発生・伝送装置及びレーザ加工装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による手段によれば、光伝送装置の一部を構成する光ファイバの入射端に、レーザ装置から出力されたレーザ光を入射するに際して、
前記光伝送装置は、前記レーザ光を入射する順に、焦点距離fの第1レンズ、焦点距離fの第2レンズ及び光ファィバで構成し、
前記レーザ光のビームウェイストから前記第1レンズまでの距離をa、前記第1レンズから前記第2レンズまでの距離をf+f、前記第2レンズから前記光ファイバ入射端面までの距離をbとするとともに、
bは
【数2】
Figure 0004987199
であり、かつ、f≠f、a≠f、b≠f、(a+b)<(f+f)の条件を溝たすように構成され、
前記レーザ装置から出力されたレーザ光のビームウェイスト位置に配置される部分反射ミラー上または前記部分反射ミラーの内側もしくは外側にレーザ光のビームサイズを制限するためのアパーチャを配置するとともに、前記第2レンズの直前に光ファイバへの入射開口数を制限するためのアパーチャを配置することを特徴とする光伝送装置である。
【0012】
また請求項の発明による手段によれば、前記レーザ装置から出力されたレーザ光が前記光ファイバの入射端に入射するまでの光学系中にl枚もしくは複数枚の折り返しミラーを配置し、かつ、前記折り返しミラーの外側には前記光ファイバ端面を観察するためのカメラ用レンズとカメラモニタを設けたことを特徴とする光伝送装置である。
【0013】
また請求項の発明による手段によれば、固体レーザ発振器とこの固体レーザ発振器の出力側に光伝送装置が配置されたレーザ光発生・伝送装置において、
前記光伝送装置には上記の光伝送装置を用いていることを特徴とするレーザ光発生・伝送装置である。
【0014】
また請求項の発明による手段によれば、固定レーザ発振器に接続された光伝送装置により構成されたレーザ光発生・伝送装置を介してレーザ光を加工ヘッドへ伝送して被加工体を加工するレーザ加工装置において、
前記レーザ光発生・伝送装置として上記のレーザ光発生・伝送装置を用いていることを特徴とするレーザ加工装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、固体レーザ装置に接続した本発明の光伝送装置とそれを組み込んだレーザ光発生・伝送装置、および、このレーザ光発生・伝送装置を用いたレーザ加工装置の模式図である。
【0017】
固体レーザ装置10は、直列に配置された2本のレーザロッドl1、11を挟んで光軸上に光共振器を形成して対向している全反射ミラーl3と部分反射ミラーl2、部分反射ミラー12とレーザロッド11、11の間に設けられたアパーチャl4によって構成されている。
【0018】
図2は、この固体レーザ装置10をさらに詳細に示した構成とそのビームモードを示した説明図である。
【0019】
固体レーザ装置10のレーザ共振器の内部でのビームモード15は、光軸を中心とした軸対象の曲線として形成されている。レーザロッド11、11の内部でレーザロッド11、11の径近傍まで広がり、それ以外の領域では広がりが押えられて光軸側に湾曲している。また、部分反射ミラーl2が平面ミラーの場合は、部分反射ミラー12上にビームモード15の径が最小となるビームウェイストl6が形成される。部分反射ミラーl2が平面ミラーでない場合は、ビームウェイストl6は、部分反射ミラーl2の内側もしくは外側に形成される。アパーチャl4は、概ねビームウェイスト16の位置に所定の孔径を有して設置されている。
【0020】
なお、固体レーザ装置10には上述の構成のほかに、図3に構成図を示したように、レーザ発振器21からの出力を折り返しミラー22、23で折り返して増幅器24へ入射する構成にした固体レーザ装置10aを用いることもできる。なお、この場合は、アパーチャ14は増幅器24の出力側に配置する。
【0021】
また、図1に示すように、光伝送装置30は、固体レーザ装置10の部分反射ミラーl2の光軸上の前方に配置され、順次、光の進行方向に、焦点距離fの第1レンズ31、アパーチャ32、焦点距離fの第2レンズ33および光ファイバ34を配置している。なお、アパーチャ32は、固体レーザ装置10のアパーチャ14と共にレーザ光の径を制御して、レーザ光が光ファイバ34の入射端35で、コア部以外に入射するレーザ光を制御して、光ファイバ34の入射端35の破壊を防止している。
【0022】
図4(a)は、光伝送装置の配置図で、それに対応した光学的補助線とそれに対応した符号を記入した光学的説明図を図4(b)に示している。図4(a)の光伝送装置の配置図では、アパーチャ14の位置にビームウェイスト径Xが形成され、この位置から光軸上でレーザ光の進行のaの位置に焦点距離fの第1レンズ31が配置され、この第1レンズ31の前方(レーザ光の進行方向)f+fの距離には、焦点距離fの第2レンズ33が配置されている。また、第2レンズ33の光軸上の前方bの距離には光ファイバ34の入射端35が配置されている。
【0023】
また、図4(b)に示した光学的な説明図によれば、
X´=(a´−f−f)tanθ=(a´−f)tanψ
tanθ=X/a ,tanψ=X/fであるから
a´=(f +f−af)/(f−a)となる。
【0024】
また、1/a´+1/b=1/f であるから
aとbの関係は、
【数3】
Figure 0004987199
としている。
【0025】
この関係により、固体レーザ装置10のアパーチャ14の位置でのレーザ光のビームウェイスト16の径を光ファイバ34の入射端35にf/f倍に縮小結像して入射することができる。
【0026】
なお、従来の技術の項で説明した、特開200l−94l77号公報に開示されている技術は、上記の式でa=f(また、b=f)となる特殊なケースの場合である。通常、光ファイバ34のコア径は、固体レーザ装置10のビームウェイスト16の径に比較して、1/l0〜l/20倍程度の小さい断面積であるため、光ファイバ34の入射端35への結像倍率もその程度としなければならない。そのため第1レンズ31の焦点距離は比較的大きな長さとなる。もし、a=fとした場合は、固体レーザ装置10から光ファイバ34の入射端35までの距離が長くなり、装置が大型化するという欠点がある。
【0027】
これに対して、上述の実施の形態によれば、光伝送装置30をレーザ光の進行方向にしたがって、焦点距離fの第1レンズ31、焦点距離fの第2レンズ33および光ファイバ34により構成し、固体レーザ装置10から出力したレーザ光のビームウェイスト16から第1レンズ31までの距離をa、第lレンズから第2レンズ33までの距離をf+f、第2レンズ33から光ファイバ34の入射端35までの距離をbとなるようなレーザ光発生・伝送装置で、aとbの関係を、
【数4】
Figure 0004987199
ただし、f≠f、a≠f、b≠f、(a+b)<(f+f
として、a、b、f、fの値を任意に設定することにより、
レーザ光のビームウェイスト16の径を光ファイバ34の入射端35上にf/f倍に縮小結像して入射することが可能となる。
【0028】
なお、bの値については、上記の式の右辺に0.9〜1.1の値を乗じた範囲内でも同様な作用が得られることを実験的に確認している。したがって、bの値は、
【数5】
Figure 0004987199
でも可能である。
【0029】
また、図1に示したように、光ファイバ34の出射端36の光軸上の前方には加工ヘッドを構成する加工レンズ37が配置されており、光ファイバ34で伝送されてきたレーザ光を被加工体38の表面に集光して照射し、被加工体38に対して所定の処理を施す。したがって、固体レーザ装置10から出射したレーザ光のビーム品質を最大限に生かすことが可能となり、従来の方式に比べてより精密な加工、例えば、溶接、マーキング、切断およびスクライビング等を行うことが可能となる。
【0030】
次に、図5を参照して光伝送装置30の変形例について説明する。この場合は、固体レーザ装置10の光軸上の前方に設けられた第1レンズ31の前方に2枚の折り返しミラー41、42を配置して反射光を第2レンズ33に入射させ、集光した光を光ファイバ34の入射端35に入射している。また、折り返しミラー42はハーフミラーを用いて、光ファイバ34の入射端35から直線位置に光ファイバ端面モニタ43とモニタ用レンズ44を配置し、モニタ用レンズ44と第2レンズ33で光ファイバ34の入射端35の端面観察用の結像光学系を形成している。したがって、例えば、光ファイバ端面モニタ43としてCCDカメラを用いることにより、光ファイバ34の入射端35での端面の状況をモニタすることができる。
【0031】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、ビームウェイストと第1レンズとの距離を任意に設定できるので、装置の光学設計上の自由度を大幅に向上させることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、レーザ光のビーム品質を最大限に保存したまま光ファイバによる伝送が可能となり、それにより分解能の高い精密加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ加工装置の模式図。
【図2】固体レーザ装置の構成図。
【図3】固体レーザ装置の変形例の構成図。
【図4】(a)は、光伝送装置の配置図、(b)は、それの光学的説明図。
【図5】光伝送装置の変形例の構成図。
【図6】従来のレーザ加工装置の構成図。
【図7】従来の光ファイバへの入射光学系の模式図。
【符号の説明】
10、10a…固体レーザ装置、14…アパーチャ、15…ビームモード、16…ビームウエィスト、30…光伝送装置、31…第1レンズ、32…アパーチャ、33…第2レンズ、34…光ファイバ、35…入射端、37…加工ヘッド、38…被加工体

Claims (4)

  1. 光伝送装置の一部を構成する光ファイバの入射端に、レーザ装置から出力されたレーザ光を入射するに際して、
    前記光伝送装置は、前記レーザ光を入射する順に、焦点距離fの第1レンズ、焦点距離fの第2レンズ及び光ファィバで構成し、
    前記レーザ光のビームウェイストから前記第1レンズまでの距離をa、前記第1レンズから前記第2レンズまでの距離をf+f、前記第2レンズから前記光ファイバ入射端面までの距離をbとするとともに、
    bは
    Figure 0004987199
    であり、かつ、f≠f、a≠f、b≠f、(a+b)<(f+f)の条件を溝たすように構成され、
    前記レーザ装置から出力されたレーザ光のビームウェイスト位置に配置される部分反射ミラー上または前記部分反射ミラーの内側もしくは外側にレーザ光のビームサイズを制限するためのアパーチャを配置するとともに、前記第2レンズの直前に光ファイバへの入射開口数を制限するためのアパーチャを配置することを特徴とする光伝送装置。
  2. 前記レーザ装置から出力されたレーザ光が前記光ファイバの入射端に入射するまでの光学系中にl枚もしくは複数枚の折り返しミラーを配置し、かつ、前記折り返しミラーの外側には前記光ファイバ端面を観察するためのカメラ用レンズとカメラモニタを設けたことを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
  3. 固体レーザ発振器とこの固体レーザ発振器の出力側に光伝送装置が配置されたレーザ光発生・伝送装置において、
    前記光伝送装置には請求項1又は請求項2に記載の光伝送装置を用いていることを特徴とするレーザ光発生・伝送装置。
  4. 固定レーザ発振器に接続された光伝送装置により構成されたレーザ光発生・伝送装置を介してレーザ光を加工ヘッドへ伝送して被加工体を加工するレーザ加工装置において、
    前記レーザ光発生・伝送装置として請求項に記載したレーザ光発生・伝送装置を用いていることを特徴とするレーザ加工装置。
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