JP4986990B2 - ヒンジ装置及び携帯機器 - Google Patents

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Description

本発明は、筒体に収容される軸体が筒体に対して相対的に回転できるヒンジ装置に関し、特に筒体に対する軸体の相対的な回転角度が所定角度以上になったとき、又は所定角度以下になったとき、軸体の回転を制動させるダンパ機能が付加されたヒンジ装置に関する。
携帯電話機、携帯ゲーム機などの携帯機器においては、キーボタンが配列される操作側筐体と、液晶表示装置等の表示装置が配置されるディスプレイ側筐体とが、ヒンジ装置を介して開閉できるように連結される。
携帯機器の開閉を容易にするために、携帯機器を閉じた状態から僅かに開くとコイルスプリングのばね力によって自動的に一気に全開するヒンジ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。図32に示されるように、固定筒131内には、可動カム132のカム部132aと回転軸133の当接部133aが対面して配置される。可動カム132は固定筒131に対して軸線方向にスライドできる。回転軸133は固定筒131に対して回転できる。コイルスプリング134は可動カム132を回転軸133の当接部133aに付勢する。可動カム132の付勢力はカム部132a及び当接部133aによって、回転軸133を回転させる回転力に変換される。
操作側筐体又はディスプレイ側筐体のいずれか一方に、固定筒131が固定される。操作側筐体又はディスプレイ側筐体の残りの一方に、回転軸133が固定される。ディスプレイ側筐体を操作側筐体に対して閉じた状態から手動で僅かに開くと、回転軸133と可動カム132とのロックが解除され、ディスプレイ側筐体が自動的に全開まで一気に開く。
ディスプレイ側筐体が操作側筐体に対して勢いよく開くと、ディスプレイ側筐体が全開したときに衝撃が生ずる。この衝撃を緩和するために、ヒンジ装置にはダンパとして機能する作動体135が設けられる。作動体135は、回転軸133が固定筒131に対して所定角度回転したときに回転軸133と共に回転し、固定筒131に対してすべり運動する。このとき作動体135と固定筒131との間に、摩擦力が発生する。この摩擦力が回転軸133の回転に抵抗する。
しかし、摩擦力を利用したのでは、安定した大きな制動力が得られない。特許文献2には、ダンパの他の例として、図33に示されるように、粘性流体をダンパとして機能させるヒンジ装置が開示されている。このヒンジ装置は、便座を便器に回転可能に連結するのに用いられる。開いた状態の便座を閉じようとすると、便座が自重によって回転する。便座が所定角度以上回転し、便器に近づいたとき、便座の回転に制動力が付与される。
固定筒141内には可動カム142が軸線方向にスライド可能に設けられる。可動カム142の周囲にはOリング143が設けられ、可動カム142は固定筒141内をピストンのように動く。可動カム142によって仕切られる固定筒141内の第一及び第二室S1,S2には、粘性流体が充満される。固定筒141の内周面には、軸線方向に伸びるバイパス溝141aが形成される。回転軸144の回転角度が所定角度未満のときは、すなわち、可動カム142の右から左への移動量が少ないときは、可動カム142のOリング143がバイパス溝上に位置するので、粘性流体はバイパス溝141aを経由して第一室S1から第二室S2に流れ込む。このとき、粘性流体は可動カム142の軸線方向への移動にあまり抵抗できない。一方、回転軸144の回転角度が所定角度以上のときは、すなわち可動カム142のOリング143が左から右へバイパス溝141aから外れた位置まで移動するときは、粘性流体はバイパス溝141aを経由することはできず、オリフィス145を経由して第一室S1から第二室S2に流入する。よって、粘性流体が可動カム142の軸線方向への移動に抵抗する。
特開2004−340209号公報(請求項1、図1) 特開平10−331895号公報(請求項1、図6)
従来のヒンジ装置にあっては、粘性流体を第一室S1から第二室S2へバイパスさせるバイパス溝141aが固定筒141の内周面に設けられる。そして、可動カム142がスライドするときのOリング143の位置によってダンパを効かせたり、効かせなかったりしている。
しかし、可動カム142のストロークはもともと小さい。特に携帯機器に組み込まれるヒンジ装置は小型であるので、可動カムのストロークもより一層小さくなる。可動カムの小さいストロークの中で、ダンパを効かせたり、効かせなかったりするのは困難が伴う。また、特許文献2に記載のように、固定筒141にバイパス溝141aを設けるのは加工がしにくくなるだけでなく、固定筒141を筐体に組み込んだときに、固定筒141が変形してバイパス溝141aが潰れるおそれもある。
そこで本発明は、ダンパを効かせたり、効かせなかったりすることが容易なヒンジ装置及びヒンジ装置を組み込んだ携帯機器を提供することを目的とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、内部に空洞を有する筒体(6,51)と、前記筒体(6,51)内に前記筒体の軸線方向にスライド可能にかつ回転できないように収容され、前記軸線方向に伸びる貫通孔(9b,54e)を有する可動カム(9,24,54)と、前記筒体(6,51)内に前記筒体(6,51)の軸線の回りを回転可能にかつ前記軸線方向にスライドできないように収容される軸体(7,23,52)と、前記軸体(7,23,52)の前記軸線の回りの回転と、前記可動カム(9,24,54)の前記軸線方向へのスライドとを連動させることができるように、前記可動カム(9,24,54)に設けられるカム部(9c,54c)、前記軸体(7,23,52)に設けられ、前記カム部(9c,54c)に当接する当接部(11,68)と、前記可動カム(9,24,54)によって仕切られた前記筒体(6,51)内の第一及び第二室(S1,S2)に充填される流体(20)と、前記可動カム(9,24,54)の前記貫通孔(9b,54e)を貫通する軸部(7b,53)と、前記軸部(7b,53)と前記可動カム(9,24,54)との間に設けられ、前記第一室(S1)又は前記第二室(S2)の一方に充填される前記流体(20)を他方に導くと共に、前記軸部(7b,53)に対して前記可動カム(9,24,54)が相対的にスライドし、及び/又は相対的に回転することによって、前記流体(20)の抵抗が変化する流体通路(P)と、を備え、前記軸体(7,23,52)と前記軸部(7b,53)とが、一体であり、前記軸体(7,23,52)の前記軸部(7b,53)には、軸線方向に伸び、前記流体通路を構成する流体通路溝(7b1,53b)が形成され、前記当接部(11,68)に当接する前記カム部(9c,54c)の傾斜面によって、前記カム部(9c,54c)には周方向に位置をずらして凹部(29a,65)と凸部(29b,66)が形成され、前記軸部(7b,53)に対して前記可動カム(9,24,54)が相対的に回転して、前記可動カム(9,24,54)の前記凹部(29a,65)が前記流体通路溝(7b1,53b)の位置にきたとき、前記流体通路溝(7b1,53b)の前記軸線方向の端部(21)が露出し、前記軸部(7b,53)に対して前記可動カム(9,24,54)が相対的に回転して、前記可動カム(9,24,54)の前記凸部(29b,66)が前記流体通路溝(7b1,53b)の位置にきたとき、前記流体通路溝(7b1,53b)の前記軸線方向の端部(21)が、前記可動カム(9,24,54)の前記凸部(29b,66)によって覆われることを特徴とするヒンジ装置である。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のヒンジ装置において、前記ヒンジ装置はさらに、前記筒体(6,51)内に収容され、前記可動カム(9,24,54)を前記軸体(7,23,52)に付勢する付勢手段(8,25,56)を備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載のヒンジ装置において、前記軸部(7b,53)の一方の端部が、有底円筒状の前記筒体(6,51)の底面に回転可能に支持されると共に、前記軸体(7,23,52)が前記筒体(6,51)の開放端部に回転可能に支持されることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載のヒンジ装置において、前記軸体(7)には、前記当接部として、前記軸線に直交する方向に突出するピン(11)が設けられることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のヒンジ装置において、前記カム部(54c)の展開図の形状が、頂部(61)並びに頂部(61)の両側に第一及び第二の傾斜面(63,64)を有する山形状に形成され、前記当接部(68)が前記頂部(61)に当接するときの前記流体通路(P)の前記流体の抵抗は、前記当接部(68)が前記頂部(61)から離間した所定位置から前記第一の傾斜面(63)の底部にあるときの前記流体通路(P)の流体抵抗よりも小さいか、又は、前記当接部(68)が前記頂部(61)から離間した所定位置から前記第二の傾斜面(64)の底部にあるときの前記流体通路(P)の流体抵抗よりも小さいことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のヒンジ装置において、前記カム部(54c)の展開図の形状が、頂部(61)並びに頂部(61)の両側に第一及び第二の傾斜面(63,64)を有する山形状に形成され、前記当接部(68)が前記頂部(61)に当接するときの前記流体通路(P)の前記流体の抵抗は、前記当接部(68)が前記頂部(61)から離間した所定位置から前記第一の傾斜面(63)の底部にあるときの前記流体通路(P)の流体抵抗よりも小さく、かつ、前記当接部(68)が前記頂部(61)から離間した所定位置から前記第二の傾斜面(64)の底部にあるときの前記流体通路(P)の流体抵抗よりも小さいことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれかに記載のヒンジ装置が、第一の筐体(1)と第二の筐体(2)の連結部分に組み込まれてなる携帯機器である。
請求項1に記載の発明によれば、第一室又は第二室の一方から他方へ流体を導く流体通路が、軸部と可動カムとの間に設けられる。軸部に対する可動カムの相対的な回転運動及び/又はスライド運動、並びに起伏に富んだカム形状が形成される可動カムを利用して、流体通路の流体の抵抗を変化させので、ダンパを効かせたり、効かせなかったりするのが容易になる。また、軸部と可動カムとの間に流体通路を形成することで、ヒンジ装置を筐体に取り付けるときに筒体が変形したとしても、流体通路が潰れることがない。さらに、起伏に富んだカム部の形状を利用して、可動カムが軸部の流体通路溝の端部を覆う面積を変化させることができる。
請求項に記載の発明によれば、可動カムのカム部を軸体の当接部に付勢することができる。
請求項に記載の発明によれば、軸体を安定して回転させることができる。
請求項に記載の発明によれば、可動カムを貫通する軸体の軸部に当接部を設けることができる。
請求項に記載の発明によれば、付勢手段の付勢力によって、当接部がカム部の頂部を通過したときに、流体通路の流路が狭まって大きなダンパ力を発生させることができる。
請求項に記載の発明によれば、当接部が頂部から第一の傾斜面側に移動するときにも、第二の傾斜面側に移動するときにも、ダンパ力を発生させることができる。
請求項に記載の発明によれば、携帯機器が開閉するとき、ダンパを効かせたり、効かせなかったりすることができる。
本発明の第一の実施形態のヒンジ装置が組み込まれる携帯電話機を示す斜視図 上記携帯電話機の分解斜視図 本発明の第一の実施形態のヒンジ装置の斜視図 ヒンジ装置の外観図(図中(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は側面図をそれぞれ示す) ヒンジ装置の断面図 ヒンジ装置の分解斜視図 携帯電話機の開き角度と、キャッチの軸線方向の位置、軸体の回転角度との関係を示す図 携帯電話機の開き角度と、第一及び第二室の体積との関係を示す断面図 本発明の第二の実施形態のヒンジ装置の断面図 上記ヒンジ装置の分解斜視図 本発明の第三の実施形態のヒンジ装置の斜視図 ヒンジ装置の断面図 ヒンジ装置の分解斜視図 携帯電話機の開き角度と、キャッチの軸線方向の位置、軸体の回転角度との関係を示す図 携帯電話機の開き角度と、第一及び第二室の体積との関係を示す断面図 本発明の第四の実施形態のヒンジ装置の外観図(図中(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図をそれぞれ示す) ヒンジ装置の断面図 ヒンジ装置の分解斜視図 キャッチのカム線図 携帯電話機の開き角度と、キャッチの軸線方向の位置、軸体の回転角度との関係を示す図 携帯電話機の開き角度と、第一及び第二室の体積との関係を示す断面図 本発明の第五の実施形態のヒンジ装置の外観図 ヒンジ装置の分解斜視図 ヒンジ装置の断面図(図中(a)はキャッチが上昇する状態を示し、(b)はキャッチが下降する状態を示す) 軸体の詳細図(図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は(b)のA−A線断面図を示し、(d)は底面図を示す) 軸部の詳細図(図中(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示し、(c)は正面図を示し、(d)は底面図を示す) 軸体に軸部を嵌めた状態を示す図(図中(a)は側面図を示し、(b)は(a)のB―B線断面図を示し、(c)は分解斜視図を示す) 携帯電話機の開き角度と、キャッチ、軸体及び軸部の動きとの関係を示す図 携帯電話機を開くときと閉じるときとでダンパが作動するタイミングが異なることを示す図 本発明の第六の実施形態のヒンジ装置を示す分解斜視図 ヒンジ装置の断面図 従来のヒンジ装置の断面図 従来のヒンジ装置の断面図
符号の説明
1…操作側筐体(第一の筐体)
2…ディスプレイ側筐体(第二の筐体)
4…ヒンジ装置
6,31,51,76…筒体
7,23,33,52,77…軸体
7b,35,53,82,91…軸部
7b1,53b,82b…流体通路溝
7e…ピン貫通孔
8,32,56,79,80…コイルスプリング(付勢手段)
9,24,34,54,78…キャッチ(可動カム)
35a,91a…小径部
9b,34b,54e,78b…貫通孔
9c,34d,54c,78c…カム部
11…ピン(当接部)
20…粘性流体(流体)
21,82b1…流体通路溝の下端部(流体通路溝の軸線方向の端部)
29a,38,65…凹部
29b,37,66…凸部
33b…カム部(当接部)
49…小径部の下端部
61…頂部
63…第一の傾斜面
64…第二の傾斜面
68,88…当接部
P…流体通路
S1…第一室
S2…第二室
以下添付図面に基づいて、本発明の第一の実施形態におけるヒンジ装置を説明する。図1はヒンジ装置が組み込まれる携帯電話機を示す。携帯電話機は、キーボタンが配列される操作側筐体1と、液晶表示装置等の表示装置3が配置されるディスプレイ側筐体2と、を備える。操作側筐体1には、小型のマイクロフォン及び各種キーボタンが設けられる。ディスプレイ側筐体2には、小型のスピーカ及び液晶表示装置3が設けられる。
操作側筐体1の端部には、二つの連結筒部1aが設けられる。この二つの連結筒部1aは、操作側筐体1の左右方向の両端部に配置される。操作側筐体1は、キーボタンが配列される表面側の分割筐体1bと、裏面側の分割筐体1cとに二分割される。ディスプレイ側筐体2の端部には、操作側筐体1の二つの連結筒部1a間に挟まれる一つの連結筒部2aが設けられる。操作側筐体1の連結筒部1aの中心線とディスプレイ側筐体2の連結筒部2aの中心線とは、互いに一致する。
図2は携帯電話機の分解斜視図を示す。ディスプレイ側筐体2及び操作側筐体1は、ヒンジ装置4を介して、中心線Lの周りを回転できるように連結される。ディスプレイ側筐体2の連結筒部2aには、軸線方向の両端部からヒンジ装置4及びダミーヒンジ5が挿入される。ヒンジ装置4の筒体6の外面には、平坦面6aが設けられる。連結筒部2aにも、筒体6の平坦面6aに対応する平坦面が設けられる。ヒンジ装置4を連結筒部2aに挿入したとき、筒体6が連結筒部2aに対して回転できないように、筒体6の平坦面6aと連結筒部2aの平坦面が接触する。ダミーヒンジ5は筒形状である。
連結筒部2aから突出したヒンジ装置4の一部とダミーヒンジ5の一部は、表側の分割筐体1bと裏側の分割筐体1cとの間に挟まれる。ヒンジ装置4の軸体7には、平坦面7aが設けられる。表側の分割筐体1bには、軸体7の平坦面7aに対応させた平坦面が設けられる。ヒンジ装置4の軸体7を表側の分割筐体1bと裏側の分割筐体1cとで挟んだとき、軸体7の平坦面7aに表側の分割筐体1bの平坦面が接触する。このため、操作側筐体は軸体7に対して回転できなくなる。ヒンジ装置4の軸体7が筒体6に対して相対的に回転するから、結局ディスプレイ側筐体2が操作側筐体1に対して相対的に回転する。
図3はヒンジ装置4の斜視図を示し、図4は異なる四つの方向からみたヒンジ装置4を示す。いずれの図においても、筒状のヒンジ装置4の軸線を鉛直方向に向けている。ヒンジ装置4は、有底円筒形状の筒体6と、筒体6の内部に収容される軸体7と、を備える。筒体6の側面には、互いに平行な一対の平坦面6aが設けられる。この平坦面6aは、筒体6の上端から下端に向かって途中まで伸びる。筒体6の底部6b(図3では上部)には、直径を狭めた頭部6cが設けられる。筒体6は薄板状の金属をプレス加工することで製造される。
軸体7の下端部は、筒体6の下端から突出する。軸体7の、筒体6の下端から突出する部分には、互いに平行な一対の平坦面7aが設けられる。
図5はヒンジ装置4の断面図を示し、図6は分解斜視図を示す。筒体6には、付勢手段であるコイルスプリング8、可動カムであるキャッチ9、軸体7が順次収容される。
コイルスプリング8は、筒体6の底部6bとキャッチ9との間に介在され、キャッチ9を軸体7に付勢する。
図6に示されるように、キャッチ9の側面には、筒体6の平坦面に対応させた平行な一対の平坦面9aが設けられる。キャッチ9の平坦面9aと筒体6の内面とは平面接触する。このため、キャッチ9は筒体6に対して筒体6の軸線方向にスライドでき、かつ筒体6の軸線の回りを回転できない。キャッチ9には軸線方向に伸びる貫通孔9bが開けられる。この貫通孔9bを軸体7の軸部7bが貫通する。キャッチ9の下端には、えぐれた傾斜面9dを有するカム部9cが設けられる。カム部には、傾斜面9dによって周方向に位置をずらして凹部29aと凸部29bが形成される。カム部9cは軸線を中心にした点対称に形成される。
軸体7は、筒体6の軸線方向に伸びる軸部7bと、キャッチ9のカム部9cに対向するカム部7cと、カム部7cから下方に伸びる連結軸部7dと、から構成される。軸部7bは、キャッチ9の貫通孔9bを貫通する。軸部7bには、その上端から下方に向かって軸部7bの途中まで伸びる流体通路溝7b1が加工される。カム部7cはキャッチ9のカム部9cに対応させている。このカム部7cも軸線を中心にした点対象に形成される。軸部7bの根元には、軸線と直交する方向に伸びるピン貫通孔7eが開けられる。この貫通孔7eに当接部であるピン11が挿入される。ピン11はキャッチ9のカム部9cに当接する。キャッチ9のカム部9cと軸体7のピン11とが、軸体7の回転運動とキャッチ9のスライド運動を連動させる。連結軸部7dには、上述の平坦面7aが加工される。
なお、カム部7cを軸部7b及び連結軸部7dから分離してもよい。この場合、一体に形成された軸部7b及び連結軸部7dが、貫通孔が形成されたカム部7cに挿入される。カム部7c及び連結軸部7dの部分が軸体7に相当し、カム部7cよりも筒体6の底部6bに向かって突出している部分が軸部7bに相当する。
軸体7を筒体6内に挿入する際、軸体7の軸部7bをキャッチ9の貫通孔9bに通し、軸部7bをコイルスプリング8の内側に通す。そして、軸部7bの先端を筒体6の頭部6cに嵌める。軸体7を筒体6に挿入した後、軸体7の外周にOリング12、軸受13、ワッシャ14を順次嵌める。図5に示されるように、Oリング12は軸体7のカム部7cよりも下方の段差を付けた部分の外周に嵌められ、筒体6内に充填される粘性流体20が漏れるのを防止する。軸受13には、連結軸部7dの断面形状に合わせた開口が開けられる。軸受13及びワッシャ14は、連結軸部7dの外周に嵌められる。ワッシャ14を軸体7に嵌めた後、筒体6の開放端部がワッシャ14を押さえるように内側に折り曲げられる。
軸体7は、筒体6の軸線の回りを回転でき、かつ軸線方向にスライドできない。軸体7の軸部7bの先端部は、筒体6の頭部6cに回転可能に支持される。軸体7の下部は軸体7と一体に回転する軸受13と共に、筒体6の開放端部に設けたワッシャ14に回転可能に支持される。軸体7の回転は筒体6の上下の二箇所で支持されるので、軸体7にラジアル方向の荷重がかかったときも軸体7が安定して回転する。軸受13は、軸体7が上下に振れるのを防止する。
キャッチ9によって、筒体6の内部空間は軸線方向に第一室S1と第二室S2とに区画される(図7及び図8参照)。第一室S1及び第二室S2それぞれには、粘性流体20が充填される。
図7は、携帯電話機の開き角度と、キャッチ9の軸線方向の位置、軸体7の回転角度との関係を示す図である。図中上段が携帯電話機の開き角度を示し、中段がキャッチ9と軸体7の位置関係を示し、下段が流体通路溝7b1の詳細図を示す。
図中(a)に示されるように、携帯電話機を閉じた状態では、軸体7のピン11は、キャッチ9の昇り傾斜面16に当接したままロックされる。この状態から、手動によってディスプレイ側筐体2をわずかに(例えば20度)回転させると、軸体7のピン11は、キャッチ9の昇り傾斜面16の最上部17に乗り上げる。このとき、キャッチ9は、コイルスプリング8のばね力に抗して図中上方向にわずかに移動している(図中(b))。軸体7のピン11が傾斜面の最上部17を通りすぎると、ロックが解除されてピン11は下り傾斜面18に移動する。こうなると、コイルスプリング8が、ばね力によってキャッチ9を図中下方へスライドさせる。キャッチ9の下方向へのスライドによって、ピン11が下り傾斜面18を転がり、軸体7が自動的に回転する。すなわち、図中(b)に示される変換点をすぎると、図中(c)〜(e)に示されるように、携帯電話機は自動的に全開まで開く。携帯電話機が全開まで開いたとき、キャッチ9は最も下方に移動し、ピン11は下り傾斜面18の最もえぐれた底部19へ移動する。
軸部7bの流体通路溝7b1とキャッチ9の内周面との間には、第一室S1又は第二室S2の一方から他方へ粘性流体を導く流体通路Pが設けられる(図8参照)。キャッチ9の下方向へのスライド運動と軸体7の回転運動によって、流体通路Pは、粘性流体を導くときの流体の抵抗を変化させる。すなわち、流体通路Pを構成する流体通路溝7b1は、開き角度が0度〜90度の間、第一室S1にも第二室S2にも露出する。そして、流体通路Pは、第一室S1と第二室S2とを繋ぐ。その一方、開き角度が90度を超えると、流体通路溝7b1の軸線方向の下端部21がキャッチ9の傾斜面18の最もえぐれた底部19を通過して、キャッチ9に覆われ始める。流体通路溝7b1の下端部21がキャッチ9で覆われる面積は、徐々に大きくなるように変化していき、開き角度が120度のときに流体通路溝7b1の下端部21の全体がキャッチ9で塞がれる。言い換えれば、流体通路溝7b1の下端部21が第二室S2内で露出する面積は、徐々に小さくなるように変化していき、開き角度が120度のときに流体通路溝7b1の下端部21が第二室S2内で露出しなくなる。こうなると、流体通路Pは第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができなくなる。
上述したように、流体通路Pは、開き角度が0度〜90度の間、第一室S1と第二室S2とを繋ぐ。流体通路Pが第一室S1と第二室S2を繋げている間は、キャッチ9が上方向又は下方向にスライドし、第一室S1と第二室S2の体積が変化したとしても、粘性流体20は流体通路Pを経由して、第一室S1から第二室S2へ又は第二室S2から第一室S1へとスムーズに移動する。よって、開き角度が0度〜90度の間、ダンパはあまり効いていない。キャッチ9は下方向へ素早くスライドし、軸体7は素早く回転する。
開き角度が90度を超えると、流体通路溝7b1の下端部21が第二室S2内で露出する面積が徐々に小さくなる。このため、流体通路Pの流体の抵抗も徐々に大きくなる。こうなると、キャッチ9が下方向へスライドしたとき、ダンパが作用して、粘性流体20が第二室S2から第一室S1へと移動し難くなる。ダンパ力は開き角度が120度になるまで徐々に大きくなる。開き角度が90度〜120度の間、ダンパが徐々に作用するので、キャッチ9の下方向へのスライドは徐々に減速し、軸体7の回転も徐々に減速する。
開き角度が120度を超えると、流体通路Pが第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができなくなる。このため、キャッチ9が下方向へスライドしたとき、最も大きなダンパ力が発生する。ダンパは開き角度が全開の170度になるまで作用する。このとき、粘性流体20は、軸体7とキャッチ9との間の僅かなすきまや、キャッチ9と筒体6との間の僅かなすきまを経由して第二室S2から第一室S1へ移動する。開き角度が120度〜170度の間、最も大きなダンパ力が作用しているので、キャッチ9は下方向へゆっくりとスライドし、軸体7もゆっくり回転する。
開いた状態の携帯電話機を閉じるときは、上述の動作と逆の動作になる。すなわち、まず、手動でコイルスプリング8のばね力に抗して170度から20度まで閉じる。20度以下にすると、昇り傾斜面16及びコイルスプリング8のばね力によって、携帯電話機が自動的に閉じる。ダンパは170度から120度の間効いていて、120度未満のときは効いていない。全開の170度のときにもダンパが効いているので、全開の状態を保ち易い。
図8は、携帯電話機の開き角度によって、第一及び第二室S1,S2の体積がどのように変化するかを示す。(a)〜(e)の全ての図において、軸体7を流体通路溝7b1のあるところで断面にしている。開き角度が0度〜20度になるのに伴って、第一室S1の体積が減り、第二室S2の体積が増える。そして、開き角度が20度〜90度に大きくなるのに伴って、第二室S2の体積が減り、第一室S1の体積が増える。流体通路Pは、開き角度が0度〜90度の間は第一室S1と第二室S2を繋いでいる。開き角度が90度〜120度になると、流体通路溝7b1の下端部21がキャッチ9によって徐々に覆われ、流体通路Pの流体の抵抗も徐々に大きくなる。開き角度が120度〜170度になると、流体通路溝7b1の下端部21がキャッチ9によって完全に覆われ、流体通路Pが第一室S1と第二室S2とを繋げられなくなる。
本実施形態によれば、第一室S1又は第二室S2の一方から他方へ流体を導く流体通路Pがキャッチ9と軸部7bの流体通路溝7b1との間に設けられる。軸部7bの回転運動とキャッチ9のスライド運動を併用し、また起伏に富んだキャッチのカム形状を利用して、流体通路の流体の抵抗を変化させることができるので、ダンパを効かせたり、効かせなかったりするのが容易になる。
なお、特許文献2に記載のように、筒体にバイパス溝を設けると、筒体に外力が作用して変形した場合、バイパス溝もふさがってその機能を果たさなくなるおそれがある。本実施形態によれば、軸体7に流体通路溝7b1を設けているので、筒体6が変形しても、流体通路Pが機能を果たさなくなる危険性が低い。また、特許文献2に記載のように、筒体の内周面にバイパス溝を形成すると、筒体の加工がし難くなる。本実施形態では、図7に示されるようにキャッチ9が下方向へ移動する途中でダンパを作用させているので、仮に筒体6にバイパス溝を形成しようとすると、バイパス溝を筒体6の奥側に設けなければならず、よりバイパス溝の加工が困難になる。本実施形態によれば、軸体7の外周面に流体通路溝7b1を形成するので、加工がし易くなる。
図9及び図10は、本発明の第二の実施形態のヒンジ装置を示す。この実施形態では、キャッチ24を軸体23に付勢するコイルスプリング8が設けられていない点が第一の実施形態のヒンジ装置と相違する。コイルスプリング8の替わりに軸体にもう一本のピン25が設けられる。キャッチ24の上面及び下面には、第一カム部24a及び第二カム部24bが設けられる。第一カム部24aの傾斜面は第二カム部24bの傾斜面と同じ形状であり、これらの傾斜面間の距離は一定である。軸体23には、上下に一対の貫通孔23a,23bが開けられ、一対の貫通孔23a,23bそれぞれに第一及び第二のピン26,25が挿入される。第一及び第二のピン26,25は、キャッチ24を上下方向に挟む。筒体6に対して軸体23を回転させると、キャッチ24が上下方向にスライドする。キャッチ24の上下方向へのスライドが第一及び第二のピン26,25によって規制されているので、コイルスプリング8がキャッチを軸体に付勢しているときと同様にキャッチ24が動く。Oリング12、軸受13、ワッシャ14の構成は第一の実施形態のヒンジ装置と同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
このようにコイルスプリング8の替わりに、第一及び第二のピン26,25でキャッチ24を挟んでもよい。ただし、コイルスプリング8がないと、自動的に開くことができなくなる。よって、この実施形態のヒンジ装置は携帯機器というよりもむしろ、便座の自重によって回転する力が作用する便座と便蓋の連結部分に用いられる。
図11は、本発明の第三の実施形態のヒンジ装置の斜視図を示す。この実施形態のヒンジ装置は、第一の実施形態のヒンジ装置と同様に、携帯電話機の操作側筐体1の連結筒部1aとディスプレイ側筐体2の連結筒部2aとの間に組み込まれる。ヒンジ装置の筒体31の外面には、ディスプレイ側筐体2の連結筒部2aに対して、筒体31が中心線の回りを回転しないように平坦面31aが設けられる。
図12は、ヒンジ装置の断面図を示し、図13は、ヒンジ装置の分解斜視図を示す。有底円筒状の筒体31内には、付勢手段であるコイルスプリング32、可動カムであるキャッチ34が収容される。コイルスプリング32は、筒体31の底部31bとキャッチ34との間に介在され、キャッチ34を軸体33に付勢する。この実施形態の軸体33は軸部35から分離している。
図13は、ヒンジ装置の分解斜視図を示す。キャッチ34の側面には、筒体31の平坦面に対応させた平行な一対の平坦面34aが設けられる。キャッチ34の平坦面34aと筒体31の内面とは平面接触するので、キャッチ34は筒体31に対して筒体31の軸線方向にスライドでき、かつ筒体31の軸線の回りを回転できない。キャッチ34は、筒体31内の空間を第一室S1と第二室S2とに仕切る。キャッチ34には軸線方向に伸びる貫通孔34bが開けられる。キャッチ34の下端には、カム部34dである一対の傾斜面が形成される。このカム部34dはキャッチ34の軸線を中心にした点対象に形成される。カム部34dには、周方向に凹部38と凸部37とが交互に二個ずつ形成される。
軸部35は、キャッチ34の貫通孔34bを貫通する。軸部35は、その長さ方向の途中に全周が切り欠かれる小径部35aを有する。すなわち、軸部35は、両端の大径部35bと、大径部35bの間に設けられる小径部35aと、から構成される。この小径部35aの外周とキャッチ34の内周との間に、第一室S1と第二室S2を繋げる流体通路P(図12参照)が構成される。携帯電話機用のヒンジ装置はもともと小さいものである。軸部35に沿って溝を加工するのは困難な場合もある。このため、この実施形態のヒンジ装置においては、加工を容易にするために軸部35の全周に小径部35aを加工する。図12に示されるように、軸部35の大径部35bは筒体31の頭部31cに嵌められ、軸部35の下端部は軸体33の挿入穴33a内に嵌められる。
軸体33は、キャッチ34のカム部34dに対向するカム部33bと、カム部33bから下方に伸びる連結軸部33cと、から構成される。この実施形態の軸体33は、軸部35から分離している。軸体33には、軸部35が挿入される挿入穴33aが開けられる。挿入穴33aには底があり、この底に軸部35の軸線方向の端面が接触する。軸体33は、筒体31内に回転でき、かつスライドできないように収容される。軸体33のカム部33bは、キャッチ34のカム部34dに対応した形状をしていて、軸体33の軸線を中心にした点対称に形成される。当接部である軸体33のカム部33bが、キャッチ34のカム部34dに当接する。キャッチ34のカム部34dと軸体33のカム部33bとが、キャッチ34のスライド運動と軸体33の回転運動を連動させる。軸体33の連結軸部33cには、軸体33の回転を操作側筐体1に伝動するための平坦面33dが形成される。
図13に示されるように、軸体33の外周には、Oリング40が嵌められる。Oリング40は、筒体31内に充填される粘性流体が外部に漏れるのを防止する。軸体33には、軸体33と一緒に回転する軸受41及びワッシャ42が嵌められる。筒体31の開放端部を内側に折り曲げることで、ワッシャ42が筒体31に固定される(図12参照)。軸体33及び軸受41は、ワッシャ42にすべりながら回転する。
図14は、携帯電話機の開き角度と、キャッチ34のスライド運動及び軸体33の回転運動との関係を示す。図中の上段が携帯電話機の開き角度を示し、中段がキャッチ34と軸体33の位置関係を示し、下段が軸部35の小径部35aの詳細図を示す。
図中(a)に示されるように、携帯電話機を閉じた状態では、当接部である軸体33のカム部33bがキャッチ34の昇り傾斜面43に当接したままロックされる。この状態から手動によってディスプレイ側筐体2をわずかに(例えば20度)回転させると、軸体33のカム部33bがキャッチ34の昇り傾斜面43の最上部44に乗り上げる。このとき、キャッチ34はコイルスプリング32のばね力に抗して図中上方向にわずかに上昇する(図中(b))。軸体33のカム部33bが傾斜面43の最上部44を通りすぎると、ロックが解除されてカム部33bは下り傾斜面45に移動する。こうなると、コイルスプリング32のばね力によってキャッチ34が図中下方へスライドする。キャッチ34の下方向へのスライドによって、カム部33bが下り傾斜面45をスライドし、軸体33が自動的に回転する。すなわち、図中(b)に示される変換点をすぎると、図中(c)〜(e)に示されるように、携帯電話機は自動的に全開まで開く。携帯電話機が全開まで開いたとき、キャッチ34は最も下方にスライドし、カム部33bは下り傾斜面45の底部45aへ移動する。
軸部35の小径部35aの外周面とキャッチ34の貫通孔34bの内周面との間に、第一室S1から第二室S2へ、又は第二室S2から第一室S1へ粘性流体を導く流体通路Pが形成される。流体通路Pは、軸部35に対するキャッチ34のスライド運動によって、流体の抵抗を変化させる。キャッチ34が軸部35に対して上下動している間、軸部35の小径部35aの上端部46は常に露出していて、キャッチ34によって覆われることはない。一方、軸部35の小径部35aの下端部49は、キャッチ34によって覆われたり、覆われなかったりする。
具体的には、開き角度が0度〜90度未満のとき、小径部35aの下端部49がキャッチ34によって覆われなくなる。キャッチ34のカム部34dに凹部38が形成されているからである。このとき、流体通路Pは第一室S1と第二室S2とを繋いでいる。開き角度が90度を超えると、キャッチ34が下方向にスライドするので、キャッチ34が軸部35の小径部35aの下端部49を覆い始める。開き角度が120度を超えるとき、キャッチ34が小径部35aの下端部49を完全に覆う。小径部45aの下端部49がキャッチ34によって覆われると、流体通路Pが第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができなくなる。
開き角度が0度〜90度の間、流体通路Pは、第一室S1と第二室S2とを繋ぐ。流体通路Pが第一室S1と第二室S2を繋げている間は、キャッチ34が上方向又は下方向にスライドし、第一室S1と第二室S2の体積が変化したとしても、粘性流体20は流体通路Pを経由して、第一室S1から第二室S2へ又は第二室S2から第一室S1へとスムーズに移動する。このため、開き角度が0度〜90度の間、ダンパはあまり効いていない。このため、キャッチ34は下方向へ素早くスライドし、軸体33は素早く回転する。
開き角度が90度を超えると、小径部35aが第二室S2内で露出する面積が徐々に小さくなる。このため、流体通路Pの流体の抵抗も徐々に大きくなる。こうなると、キャッチ34が下方向へスライドしたとき、ダンパ力が発生して、粘性流体20が第二室S2から第一室S1へと移動し難くなる。ダンパ力は開き角度が120度になるまで徐々に大きくなる。開き角度が90度〜120度の間、ダンパ力が徐々に大きくなるので、キャッチ34の下方向へのスライドは徐々に減速し、軸体33の回転も徐々に減速する。
開き角度が120度を超えると、流体通路Pは第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができなくなる。このため、キャッチ34が下方向へスライドしたとき、最も大きなダンパ力が発生する。ダンパは開き角度が全開の170度になるまで作用する。このとき、粘性流体20は軸体33とキャッチ34との間の僅かなすきまや、キャッチ34と筒体31との間の僅かなすきまを経由して第二室S2から第一室S1へ移動する。開き角度が120度〜170度の間、最も大きなダンパ力が作用しているので、キャッチ34は下方向へゆっくりとスライドし、軸体33もゆっくり回転する。
図15は、携帯電話機の開き角度によって、第一及び第二室S1,S2の体積がどのように変化するかを示す。開き角度が0度〜20度になるのに伴って、第一室S1の体積が減り、第二室S2の体積が増える。そして、開き角度が20度〜90度に大きくなるのに伴って、第一室S1の体積が増え、第二室S2の体積が減る。流体通路Pは、開き角度が0度〜90度の間は、第一室S1と第二室S2を繋いでいる。開き角度が90度〜120度になると、小径部35aの下端部49がキャッチ34によって徐々に覆われ、流体通路Pの流体の抵抗も徐々に大きくなる。開き角度が120度〜170度になると、小径部35aの下端部49がキャッチ34によって完全に覆われ、流体通路Pが第一室S1と第二室S2とを繋げられなくなる。
本実施形態によれば、第一室S1又は第二室S2の一方から他方へ流体を導く流体通路Pがキャッチ34と軸部35の小径部35aとの間に設けられる。キャッチ34のスライド運動並びにキャッチ34の起伏に富んだカム形状を利用して、流体通路Pの流体の抵抗を変化させることができるので、ダンパを効かせたり、効かせなかったりするのが容易になる。
図16及び図17は、本発明の第四の実施形態のヒンジ装置を示す。図16はヒンジ装置の外観図を示し、図17はヒンジ装置の断面図を示す。この実施形態のヒンジ装置は、第一の実施形態のヒンジ装置と同様に、内部に空洞を有する筒体51と、筒体51内に回転のみできるように収容される軸体52と、筒体51の空洞内に収容され、軸体52の軸部53が貫通する貫通孔54eを有する可動カムであるキャッチ54と、キャッチ54を軸体52のカム部52bに付勢する付勢手段であるコイルスプリング56と、を備える。この実施形態のヒンジ装置は、携帯電話機のディスプレイ側筐体2を操作側筐体1に対して開くときだけでなく、ディスプレイ側筐体2と操作側筐体1とを閉じるときにもダンパ力を発生させる。
図16に示されるように、筒体51には、携帯電話機の連結筒部の形状に合せて周方向に複数の平坦面51a,51bが形成される。軸体52の連結軸部52aにも、携帯電話機の連結筒部の形状に合せた平坦面が形成される。
図18はヒンジ装置の分解斜視図を示す。キャッチ54の側面には、筒体51の平坦面51a,51bに対応させた複数の平坦面54a,54bが形成される。キャッチ54の下端には、カム部54cが設けられる。カム部54cの展開図は、図19に示されるように、0度〜180度の区間において、頂部61並びに頂部61の両側の第一及び第二の傾斜面63,64を有する山形状に形成される。180度〜360度の区間においても同様に、頂部61並びに頂部61の両側の第一及び第二の傾斜面63,64を有する山形状に形成される。このため、図18に示されるように、カム部54cには、凹部65と凸部66が交互に周方向に約90度の間隔を開けて形成される。キャッチ54には軸線方向に伸びる貫通孔54eが開けられる。この貫通孔54eを軸体52の軸部53が貫通する。
軸体52は、筒体51の軸線方向に伸びる軸部53と、キャッチ54のカム部54cに対向するカム部52bと、カム部52bから下方に伸びる連結軸部52aと、から構成される。軸部53は、キャッチ54の貫通孔54eを貫通する。軸部53には、その上端から下方に向かって軸部53の途中まで伸びる一対の流体通路溝53bが加工される。カム部52bの展開図の形状は、キャッチ54のカム部54cの展開図の形状に略等しい。カム部52bの凸部が、キャッチ54のカム部54cに当接する当接部68になる。
軸体52の外周には、Oリング71が嵌められる。軸体52の連結軸部52aには、軸受72が嵌められる。軸受72は軸体52と一体に回転する。軸受72の下には、筒体51の開放端部に固定されるワッシャ73が設けられる。軸受72は、ワッシャ73に対してすべりながら回転する。
図17に示されるように、キャッチ54によって、筒体51の内部空間は軸線方向に第一室S1と第二室S2とに区画される。第一室S1及び第二室S2それぞれには、粘性流体が充填される。
図20は、携帯電話機の開き角度と、キャッチ54の軸線方向の位置、軸体52の回転角度との関係を示す図である。図中の上段が携帯電話機の開き角度を示し、中段がキャッチ54と軸体52の位置関係を示し、下段が流体通路溝53bの詳細図を示す。この実施形態の携帯電話機においては、変換点が75度のところにあり、閉じた状態の携帯電話機を開くとき、手動で75度まで開くと、自動的に165度まで全開になる。一方、開いた状態の携帯電話機を閉じるとき、手動で75度まで閉じると、自動的に0度まで閉じる。
図中(a)に示されるように、携帯電話機を閉じた状態では、軸体52のカム部の当接部68は、キャッチ54の第一の傾斜面63の底部に当接したままロックされる。この状態から、手動によってディスプレイ側筐体2を回転させると、軸体52の当接部68は、キャッチ54の第一の傾斜面63に沿ってスライドする。そして、ディスプレイ側筐体2を75度回転させたとき、軸体52の当接部68はキャッチ54のカム部54cの頂部61に乗り上げる。このとき、キャッチ54はコイルスプリング56のばね力に抗して図中上方向にスライドしている(図中(c))。
軸体52の当接部68がキャッチ54の頂部61を通りすぎると、軸体52の当接部68はキャッチ54のカム部54cの第二の傾斜面64に移動する。こうなると、コイルスプリング56のばね力によってキャッチ54が図中下方へスライドし、軸体52はその当接部68が第二の傾斜面64に沿ってすべりながら回転する。すなわち、図中(c)に示される変換点をすぎると、図中(d)〜(e)に示されるように、携帯電話機は自動的に全開まで開く。
携帯電話機を閉じるときは、上述の動作と逆の動作が行われる。165度全開した状態の携帯電話機を閉じるとき、図中(c)に示される変換点である75度まで手動で閉じると、コイルスプリング56のばね力によって自動的に0度まで閉じる。
軸部53の流体通路溝53bとキャッチ54の内周面との間には、第一室S1又は第二室S2の一方から他方へ粘性流体を導く流体通路Pが設けられる。キャッチ54の下方向へのスライド運動と、軸体52の回転運動によって、流体通路Pは、流体の抵抗を変化させる。
具体的には、開き角度が75度のとき(すなわち、軸体52の当接部68がキャッチ54の頂部61に当接するとき)、流体通路Pを構成する流体通路溝53bは、第一室S1にも第二室S2にも露出し、第一室S1と第二室S2とを繋ぐ。このため、流体通路Pの流体の抵抗は小さい。
その一方、開き角度が75度から35度へと小さくなるにつれて、流体通路溝53bの軸線方向の下端部がキャッチ54に除々に覆われ始める。そして、開き角度が35度〜0度のとき(すなわち、軸体52の当接部68が頂部61から離間した所定位置〜第一の傾斜面63の底部にあるとき)、流体通路溝53bの下端部がキャッチ54で完全に覆われる。こうなると、流体通路Pは第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができなくなり、流体通路Pの流体の抵抗は大きくなる。
開き角度が75度から135度と除々に大きくなる場合も同じように、流体通路溝53bの軸線方向の下端部がキャッチ54に除々に覆われ始める。そして、開き角度が135度〜165度のとき(すなわち、軸体52当接部68が頂部61から離間した所定位置から第二の傾斜面64の底部にあるとき)、流体通路溝53bの下端部がキャッチ54で完全に塞がれる。こうなると、流体通路Pは第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができなくなり、流体通路Pの流体の抵抗は大きくなる。
図21は、携帯電話機の開き角度によって、第一及び第二室S2の体積がどのように変化するかを示す。(a)〜(e)の全ての図において、軸体52を流体通路溝53bのあるところで断面にしている。開き角度が0度→75度になるのに伴って、第一室S1の体積が減り、第二室S2の体積が増える。一方、開き角度が75度→165度になるのに伴って、第一室S1の体積が増え、第二室S2の体積が減る。開き角度が35度〜75度の間、流体通路Pは、第一室S1と第二室S2を繋いでいる。しかし、開き角度が0度〜35度の間、及び開き角度が135度〜165度の間、流体通路Pは、第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができない。
以上により、開き角度が0度〜35度、135度〜165度の間でダンパを効かせることが可能になる。携帯電話機を開くとき、開き角度が135度を超えると、ダンパが作動するので、ディスプレイ側筐体2が全開で急停止し、反動によって手から携帯電話機が抜け落ちるのを防止できる。また、携帯電話機を閉じるときにも、ディスプレイ側筐体2が勢いよく閉じることがないので、閉じたときの音が静かになるし、ディスプレイ側筐体2と操作側筐体1との間で指が挟まれたとしても、指が痛くなることはない。
図22ないし図24は、本発明の第五の実施形態のヒンジ装置を示す。図22はヒンジ装置の外観図を示し、図23は分解斜視図を示し、図24は断面図を示す。図23に示されるように、この実施形態のヒンジ装置は、第一の実施形態のヒンジ装置と同様に、内部に空洞を有する筒体76と、筒体76内に回転のみできるように収容される軸体77と、軸体77とは別体の軸部82と、筒体76の空洞内に収容されると共に軸部82が貫通する貫通孔78bを有する可動カムであるキャッチ78と、キャッチ78を軸体77のカム部77bに付勢する付勢手段であるコイルスプリング79,80と、を備える。
この実施形態のヒンジ装置も、携帯電話機のディスプレイ側筐体2を操作側筐体1に対して開くときだけでなく、ディスプレイ側筐体2と操作側筐体1とを閉じるときにもダンパ力を発生させる。そして、携帯電話機を開くときと閉じるときでダンパを作動させるタイミングを異ならせている。手動で携帯電話機を開いたり、閉じたりするときにダンパを効かせないためである。
図22に示されるように、筒体76には、携帯電話機の連結筒部の形状に合せて周方向に複数の平坦面76aが形成される。軸体77の連結軸部77aにも、携帯電話機の連結筒部の形状に合せた平坦面が形成される。
図23に示されるように、キャッチ78の側面には、筒体76の平坦面76aに対応させた複数の平坦面78aが形成される。キャッチ78の下端には、カム部78cが設けられる。カム部78cの展開図は、第四の実施形態の携帯電話機のキャッチ78と同様に形成される。カム部78cには、周方向に凹部83と凸部84が交互に二か所ずつ形成される。キャッチ78には、軸線方向に伸びる貫通孔78bが開けられる。この貫通孔78bを軸部82が貫通する。
図25は、軸体77の詳細図を示す。軸体77は、キャッチ78のカム部78cに対向するカム部77bと、カム部77bから下方に伸びる連結軸部77aと、から構成される。カム部77bの展開図の形状は、キャッチ78のカム部78cの展開図の形状に略等しい。カム部77bの凸部が、キャッチ78のカム部78cに当接する当接部88になる。
軸体77には、軸部82の下端部が嵌められる穴77cが開けられる。穴77cの内周には、平行な一対の対向面77dが形成される。一対の対向面77d間の距離L1は、軸部82の外周の一対の平坦面82a間の距離L2(図26(d)参照)に等しい。軸部82を軸体77の穴77cに嵌めたとき、軸部82は軸体77に対してスライドのみ許容され、回転はできない。穴77cの底面には、突起77eが形成される。穴77cの底面と軸部82との間にも粘性流体を行き渡らせるようにするためである。
図26は、軸部82の詳細図を示す。軸部82には、その上端から下方に向かって軸部82の途中まで伸びる一対の流体通路溝82bが加工される。軸部82の軸線方向の端部82d(下端部)には、平行な一対の平坦面82aが形成される。この軸部82の端部82dが軸体77の穴77cに嵌められる。また、軸部82の端部82dには、アーチ形状の切欠き82cが形成される。切欠き82cは、軸部82の端部82dを軸体77の穴77cに嵌めた状態で、粘性流体が穴77c内に流入できるようにする。こうすることで、軸部82が軸体77に対して離間するとき、真空状態が発生して離間しにくくなるのを防止することができる。また、軸部82の上端部には、径を狭めた突起82eが形成される。突起82eの回りには、液体の圧力がかかる肩部82fが形成される。肩部82fに液体の圧力がかかるようにすることで、軸部82が移動し易くなる。
図27は、軸体77に軸部82を嵌めた状態を示す。軸部82の平坦面82aの位置と軸体77の穴77cの対向面77dとの位置とを合わせ、軸部82を軸体77の穴77cに嵌めることができる。軸部82を軸体77の穴77cに嵌めたとき、軸部82の切欠き82cは、軸体77のカム部77bの凹部77fの位置にくる。そして、軸部82の切欠き82cの上部は軸体77から露出する。このため、切欠き82cを通って粘性流体が軸体77の穴77c内に流れ込む。
図23に示されるように、軸体77の外周には、Oリング85が嵌められる。軸体77の連結軸部77aには、軸受86が嵌められる。軸受86は軸体77と共に回転する。軸受86の下には、筒体76の開放端部に固定されるワッシャ87が設けられる。軸受86は、ワッシャ87に対してすべりながら回転する。
図24の断面図に示されるように、キャッチ78によって、筒体76の内部空間は軸線方向に第一室S1と第二室S2とに区画される。第一室S1及び第二室S2それぞれには、粘性流体が充填される。図中(a)に示されるように、コイルスプリング79,80のばね力に抗してキャッチ78が図中(1)方向に上昇するとき、第一室S1の圧力が第二室S2の圧力よりも高くなる。このため、軸部82は軸体77の穴77c内に押し付けられる。一方、図中(b)に示されるように、コイルスプリング79,80のばね力によってキャッチ78が図中(2)方向に下降するとき、第二室S2の圧力が第一室S1の圧力よりも高くなる。このため、軸部82は上方向にスライドし、突起82eが筒体76に接触する。
図28は、携帯電話機の開き角度と、キャッチ78、軸体77及び軸部82の動きとの関係を示す図である。図中の上段が携帯電話機の開き角度を示し、中段がキャッチ78、軸体77及び軸部82の動きを示し、下段が軸部82の流体通路溝82bの詳細図を示す。この実施形態の携帯電話機においては、変換点が80度のところにあり、閉じた状態の携帯電話機を開く際、手動で80度まで開けば、自動的に165度まで全開になる。一方、開いた状態の携帯電話機を閉じる際、手動で80度まで閉じれば、自動的に0度まで閉じる。
図中(a)に示されるように、携帯電話機を閉じた状態では、軸体77の当接部88がキャッチ78の凹部83に当接する。この状態から、手動によってディスプレイ側筐体2を回転させると、軸体77の回転によってキャッチ78が上昇する。キャッチ78の上昇動作によって、第一室S1が高圧に、第二室S2が低圧になる。第一室S1と第二室S2との圧力差によって、軸部82が下方にスライドする。図中(b)に示されるように、軸部82の下方へのスライドに伴い、比較的小さい回転角度(13°)のうちに流体通路溝82bの端部82b1がキャッチ78から露出する。すなわち、開き角度が13°のとき、流体通路Pを構成する流体通路溝82bは、第一室S1にも第二室S2にも露出し、第一室S1と第二室S2とを繋ぐ。このため、流体通路Pの流体の抵抗は小さくなり、ダンパが効かない状態になる。このため、図中(c)に示される80°まで手動でディスプレイ側筐体を開くのが容易になる。
開き角度が80°を超えたとき、コイルスプリング79,80のばね力によって、キャッチ78が自動的に下降する。図中(d)に示されるように、キャッチ78の下降動作によって、第一室S1が低圧に、第二室S2が高圧になる。こうなると、軸部82が第一室S1と第二室S2との圧力差によって上昇する。軸部82が上昇すると、それほど大きくない回転角度(153°)のうちから、流体通路溝82bの端部82b1がキャッチ78で完全に塞がれる。流体通路Pは第一室S1と第二室S2とを繋ぐことができなくなるので、流体通路Pの流体の抵抗が大きくなり、ダンパが作動する。図中(e)に示されるように、ダンパが作動したまま携帯電話機はゆっくりと全開になる。
図29は、携帯電話機を開くときと閉じるときとでダンパが作動するタイミングが異なることを示す図である。図中上段が携帯電話機を開くときのヒンジ装置の断面図を示し、図中下段が携帯電話機を閉じるときのヒンジ装置の断面図を示す。上述したように、閉じた状態の携帯電話機を開くときには、軸部82が下降しているので、ディスプレイ側筐体2の回転角度が比較的小さい角度(13°)のうちにダンパがOFFになる。このため、変換点の80°まで携帯電話機を手動で開くのが容易になる。変換点(80°)を過ぎた後は、軸部82が上昇しているので、それほど大きくない回転角度(153°)のうちからダンパがONになる。回転角度が153°→165°のときは、ダンパは作動し続ける。このため、携帯電話機が自動で全開になるときの衝撃を緩和することができる。
図中下段に示されるように、全開の携帯電話機を手動で閉じるとき、第一室S1が高圧に、第二室S2が低圧になるので、軸部82は下降した位置にある。このとき、軸部82の流体通路溝82bは第一室S1と第二室S2とを繋げるので、ダンパがOFFの状態になる。このため、変換点(80°)まで携帯電話機を手動で閉じるのが容易になる。変換点(80°)を過ぎた後は、携帯電話機はコイルスプリング79,80のばね力によって自動的に閉じようとする。キャッチ78の下降により、第一室S1が低圧に、第二室S2が高圧になる。軸部82が第一室S1と第二室S2との圧力差によって上昇するので、比較的大きめの回転角度(38°)のうちからダンパがON状態になる。以降、開き角度が38°→0°になるまでダンパがON状態を保つので、携帯電話機が自動で全閉になるときの衝撃力を緩和することができる。
図30及び図31は、本発明の第六の実施形態のヒンジ装置を示す。この実施形態のヒンジ装置は、第五の実施形態のヒンジ装置と同様に、携帯電話機を開くときと閉じるときとで、ダンパを作動させるときのタイミングを異ならせている。軸部91の構造のみが第五の実施形態のヒンジ装置とは異なる。その他の筒体76、コイルスプリング79,80、キャッチ78、軸体77、Oリング85、軸受86、ワッシャ87は、第五の実施形態のヒンジ装置と同一なので、同一の符合を附してその説明を省略する。
この実施形態のヒンジ装置の軸部91は、その長さ方向の途中に全周が切り欠かれる小径部91aを有する。すなわち、軸部91は、軸線方向の両端の大径部91bと、大径部91bの間に設けられる小径部91aと、から構成される。この小径部91aの外周とキャッチ78の内周との間に、第一室S1と第二室S2を繋げる流体通路Pが形成される(図31参照)。携帯電話機用のヒンジ装置はもともと小さいものであり、軸部91に溝を加工するのは困難な場合もある。このため、この実施形態のヒンジ装置においては、加工を容易にするために軸部91の全周に小径部91aを加工している。このように、軸部91に軸線方向に伸びる流体通路溝を形成する替わりに小径部91aを形成してもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に具現化できる。例えば、流体通路が第一室と第二室を繋がなくなったとき、流体通路よりも小さい断面積のオリフィスが第一室と第二室を繋ぐようにしてもよい。また、ダンパを効かせるとき、第一室と第二室を繋ぐ流体通路の流体の抵抗が大きくなればよく、流体通路を完全に閉じなくてもよい。
さらに、本発明のヒンジ装置は携帯電話機のみならず、ラップトップ、ハンドヘルド、PDA,PocketPC,Palm等の携帯して使用が可能なポータブルコンピュータや、携帯ゲーム機、化粧用コンパクトなどの携帯機器に適用することができる。また、便座と便蓋の連結部分にも適用することもできる。
本明細書は、2006年12月28日出願の特願2006−356362及び2007年6月8日出願の特願2007−153363に基づく。この内容はすべてここに含めておく。


Claims (7)

  1. 内部に空洞を有する筒体と、
    前記筒体内に前記筒体の軸線方向にスライド可能にかつ回転できないように収容され、前記軸線方向に伸びる貫通孔を有する可動カムと、
    前記筒体内に前記筒体の軸線の回りを回転可能にかつ前記軸線方向にスライドできないように収容される軸体と、
    前記軸体の前記軸線の回りの回転と、前記可動カムの前記軸線方向へのスライドとを連動させることができるように、前記可動カムに設けられるカム部と、
    前記軸体に設けられ、前記カム部に当接する当接部と、
    前記可動カムによって仕切られた前記筒体内の第一及び第二室に充填される流体と、
    前記可動カムの前記貫通孔を貫通する軸部と、
    前記軸部と前記可動カムとの間に設けられ、前記第一室又は前記第二室の一方に充填される前記流体を他方に導くと共に、前記軸部に対して前記可動カムが相対的にスライドし、及び/又は相対的に回転することによって、前記流体の抵抗が変化する流体通路と、を備え、
    前記軸体と前記軸部とが、一体であり、
    前記軸体の前記軸部には、軸線方向に伸び、前記流体通路を構成する流体通路溝が形成され、
    前記当接部に当接する前記カム部の傾斜面によって、前記カム部には周方向に位置をずらして凹部と凸部が形成され、
    前記軸部に対して前記可動カムが相対的に回転して、前記可動カムの前記凹部が前記流体通路溝の位置にきたとき、前記流体通路溝の前記軸線方向の端部が露出し、
    前記軸部に対して前記可動カムが相対的に回転して、前記可動カムの前記凸部が前記流体通路溝の位置にきたとき、前記流体通路溝の前記軸線方向の端部が、前記可動カムの前記凸部によって覆われることを特徴とするヒンジ装置。
  2. 前記ヒンジ装置はさらに、
    前記筒体内に収容され、前記可動カムを前記軸体に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
  3. 前記軸部の一方の端部が、有底円筒状の前記筒体の底面に回転可能に支持されると共に、
    前記軸体が前記筒体の開放端部に回転可能に支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒンジ装置。
  4. 前記軸体には、前記当接部として、前記軸線に直交する方向に突出するピンが設けられることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のヒンジ装置。
  5. 前記カム部の展開図の形状が、頂部並びに頂部の両側に第一及び第二の傾斜面を有する山形状に形成され、
    前記当接部が前記頂部に当接するときの前記流体通路の前記流体の抵抗は、前記当接部が前記頂部から離間した所定位置から前記第一の傾斜面の底部にあるときの前記流体通路の流体抵抗よりも小さいか、又は、前記当接部が前記頂部から離間した所定位置から前記第二の傾斜面の底部にあるときの前記流体通路の流体抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
  6. 前記カム部の展開図の形状が、頂部並びに頂部の両側に第一及び第二の傾斜面を有する山形状に形成され、
    前記当接部が前記頂部に当接するときの前記流体通路の前記流体の抵抗は、前記当接部が前記頂部から離間した所定位置から前記第一の傾斜面の底部にあるときの前記流体通路の流体抵抗よりも小さく、かつ、前記当接部が前記頂部から離間した所定位置から前記第二の傾斜面の底部にあるときの前記流体通路の流体抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
  7. 請求項1ないしのいずれかに記載のヒンジ装置が、第一の筐体と第二の筐体の連結部分に組み込まれてなる携帯機器。
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