JP4986895B2 - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

エンジンの燃料噴射制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4986895B2
JP4986895B2 JP2008059731A JP2008059731A JP4986895B2 JP 4986895 B2 JP4986895 B2 JP 4986895B2 JP 2008059731 A JP2008059731 A JP 2008059731A JP 2008059731 A JP2008059731 A JP 2008059731A JP 4986895 B2 JP4986895 B2 JP 4986895B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
amount
fuel injection
cylinder
port
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008059731A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009215943A (ja
Inventor
慎吾 木村
守 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Systems Ltd filed Critical Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority to JP2008059731A priority Critical patent/JP4986895B2/ja
Publication of JP2009215943A publication Critical patent/JP2009215943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4986895B2 publication Critical patent/JP4986895B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

本発明は、エンジンの燃料噴射制御装置に係り、例えば、吸気ポートに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁が配設されたエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
従来から、吸気ポート壁面に付着した燃料、いわゆる燃料液膜の補償方法は数多く提案されており、その代表的な例として以下のものがあげられる。
例えば、下記特許文献1には、エンジン運転状態パラメータの関数として現在の平衡吸気面燃料を計算する手段と、エンジン作動パラメータの関数として現在の吸気装置時定数を計算する手段と、1回前の実吸気面燃料及び前の吸気面燃料の移動割合の1次微分関数として現在の実吸気面燃料を計算する手段と、現在の平衡吸気面燃料との関数として現在の吸気面燃料の移動割合を繰り返し計算し所望燃料流量に結合して燃料要求を決定することが記載されている。そしてこの特許文献1の詳細な説明には、「突然の加速は吸気通路壁面に堆積する燃料の割合を増し、減速は燃料の堆積の割合を少なくする。この理由は変化する蒸気圧に関係する。蒸気圧が高ければ高いほど、燃料は吸気通路壁面に余計に溜ろうとする。蒸気圧は分圧であり、従って吸気通路内の圧力の主として影響するのは空気である。」と記載されている。従って、この従来の技術では吸入空気量が多ければ多いほど、吸気ポートの液膜量は増えると記載されている。また、別の説明では、平衡吸気面燃料は、横軸にエンジン負荷に密接に関連する吸気マニホルド絶対圧をとり、縦軸に平衡吸気面燃料を取ると、エンジン回転数により、曲線群が表れると記載されている。実施例として、現在の平衡吸気面燃料計算、現在の吸気装置時定数のパラメータに、吸気マニホルド絶対圧力、エンジン回転速度が入力されている。
他の従来の技術として、下記特許文献2に所載のものがある。これに所載の技術は、前記特許文献1と発端を同じくしている。すなわち、少なくとも吸気管圧力を含むエンジン運転状態パラメータに基づいて壁面燃料付着率と壁面燃料持ち去り率とを求め、これらの率に基づいて、所定周期で壁面燃料増加分、壁面燃料減少分を求めて積算し、これによって壁面燃料を修正し、最終的に基本燃料噴射量を補正するようになっている。そしてこの特許文献2の詳細な説明では、壁面燃料付着率と、壁面燃料持ち去り率は、吸気管圧力、エンジン冷却水温、エンジン回転数、吸気流速の関数となっており、壁面燃料付着率は、吸気管圧力に対して、圧力が高ければ高いほど大きくなるとしている。すなわち、空気流量が増えれば増えるほど大きくなると記載されている。
特公昭62−48053号公報 特公平3−59255号公報
前記従来技術の課題を図28(A)、(B)、(C)のタイムチャートを参照しながら説明する。図28(A)はスロットル開度、(B)は燃料噴射補正量、(C)は各種温度(シリンダヘッド温度、吸気ポート温度、エンジン冷却水温)の挙動を示している。図28(A)に示される如くに、スロットル全開の加速、スロットル全閉の減速を同一の運転条件で繰り返した場合、従来技術では、エンジンの冷却水温が同一のまま変化しない状況下では、(B)に示される如くに、1回目の加速時と2回目の加速時の燃料噴射補正量は変わらない。また、1回目の減速時と2回目の減速時の燃料噴射補正量も変わらない。実際には、(C)に示される如くに、全開加速を繰り返すことによって、シリンダヘッド温度やポート温度(破線)は上昇するため、壁面に付着した燃料が蒸発することによって減少する。このため、2回目の加速時は燃料噴射補正量が多くなり、空燃比がリッチとなる。また、2回目の減速時は燃料噴射補正量が少なくなり、空燃比がリッチとなる。このように、従来技術は、エンジン水温が変化しない状況下で、加減速を繰り返した場合、毎回同じ補正量となる。その結果、加減速繰り返し時に空燃比変動による、無用なトルク変動、排気エミッション特性の悪化等を生じる場合がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、エンジンの冷却水温が略一定の状態で加減速を繰り返した場合等においても、適切に燃料噴射量の補正を行うことができ、もって、不所望な空燃比変動を可及的に抑えて、無用なトルク変動や排気エミッション特性の悪化等を招くことがないようにされたエンジンの燃料噴射制御装置を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る燃料噴射制御装置は、吸気ポートに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁が配設されたエンジンに備えられるもので、前記エンジンの運転状態に基づいて目標燃料噴射量を算出する目標燃料噴射量算出手段と、シリンダヘッドの温度を推定するヘッド温度推定手段と、前記吸気ポートの温度を推定するポート温度推定手段と、吸気行程終了時に前記シリンダヘッド温度及び吸気ポート温度に基づいてシリンダ内部及び吸気ポートに付着残留している燃料のうちの次回の吸気行程から始まる燃焼サイクルにおいて燃焼に寄与する燃料量を推定する次回燃焼寄与燃料量推定手段と、前記目標燃料噴射量及び次回燃焼寄与燃料量に基づいて前記燃料噴射弁から噴射すべき燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段とを備えていることを特徴としている。
前記ヘッド温度推定手段は、好ましくは、エンジンの運転状態に基づいて平均有効ガス温度を推定し、この推定された平均有効ガス温度に基づいてシリンダヘッド温度を推定するようにされる。
前記ポート温度推定手段は、好ましくは、前記推定されたシリンダヘッド温度に基づいて前記吸気ポート温度を推定するようにされる。
他の好ましい態様では、前記次回燃焼寄与燃料量推定手段は、次回の燃焼サイクルにおいて燃焼に寄与するポート部蒸発量を推定する手段と、次回の燃焼サイクルにおいて燃焼に寄与するシリンダ内部蒸発量を推定する手段とを備え、前記次回燃焼寄与ポート部蒸発量及び次回燃焼寄与シリンダ内部蒸発量に基づいて次回燃焼寄与燃料量を推定するようにされる。
前記次回燃焼寄与ポート部蒸発量推定手段は、好ましくは、同期噴射実行時の燃料噴射量及びポート部に付着した燃料からの燃料蒸発量に基づいて前記次回燃焼寄与ポート部蒸発量を推定するようにされる。
前記次回燃焼寄与シリンダ内部蒸発量推定手段は、好ましくは、吸気ポート部に付着した燃料からシリンダ内へ流入する燃料量及び該シリンダ内流入燃料から蒸発する燃料量に基づいて、シリンダ内部蒸発量を推定するようにされる。
他の好ましい態様では、エンジンの冷却水温が略一定の状態で加減速を繰り返した際、時間経過につれて燃料噴射補正量が減少するように構成される。
本発明に係る燃料噴射制御装置では、燃料噴射量の補正に、エンジン冷却水温だけでなく、シリンダヘッド温度及び吸気ポート温度を推定して用い、吸気行程終了時に前記シリンダヘッド温度及び吸気ポート温度に基づいてシリンダ内部及び吸気ポートに付着残留している燃料のうちの次回の吸気行程から始まる燃焼サイクル(吸気、圧縮、爆発膨張、排気の各行程からなるサイクル)において燃焼に寄与する燃料量を推定し、この次回燃焼寄与燃料量と目標燃料噴射量とに基づいて燃料噴射弁から噴射すべき燃料噴射量を算出するようにされるので、エンジンの冷却水温が略一定の状態で加減速を繰り返した場合等、始動時や加減速過渡時を含む全運転領域において、適切に燃料噴射量の補正を行うことができ、そのため、不所望な空燃比変動を効果的に抑えることができて、無用なトルク変動や排気エミッション特性の悪化等を招くことがないようにできる。
以下、本発明のエンジンの燃料噴射制御装置の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るエンジンの燃料噴射制御装置の一実施形態(第1実施例)を、それが適用された車載用エンジンの一例と共に示す概略構成図である。
図1において、本実施形態の燃料噴射制御装置1が適用されたエンジン10は、例えば4つの気筒#1、#2、#3、#4(図には#1を代表して示す)を有する火花点火式の多気筒ガソリンエンジンであって、シリンダヘッド12A及びシリンダブロック12Bからなるシリンダ12と、このシリンダ12の各気筒#1、#2、#3、#4内に摺動自在に嵌挿されたピストン15と、を有し、ピストン15はコンロッド14を介してクランクシャフト13に連結されている。ピストン15上方には、所定形状の燃焼室(天井ないしルーフ部)を持つ燃焼作動室17(この部分をシリンダ内と称する)が画成され、各気筒#1、#2、#3、#4の燃焼作動室17には、点火コイル34等からなる点火ユニットに接続された点火プラグ35が臨設されている。
燃料の燃焼に供せられる空気は、エアークリーナ51から、ホットワイヤ式等のエアフローセンサ53や電制スロットル弁25が配在された管状通路部分、コレクタ27、吸気マニホールド(多岐管)28、吸気ポート29等からなる吸気通路20を通り、その下流端(吸気ポート29端部)に配在された吸気弁21を介して各気筒#1、#2、#3、#4の燃焼作動室17に吸入される。そして、吸気通路20の下流部分(吸気マニホールド28)には、各気筒(#1、#2、#3、#4)毎に、吸気ポート29に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁30が臨設され、また、吸気通路20のコレクタ27には吸気管圧力(吸気通路20におけるスロットル弁25より下流側の内圧)を検出するための吸気圧センサ52が配在されている。
燃焼作動室17に吸入された空気と燃料噴射弁30から噴射された燃料との混合気は、点火プラグ35による火花点火により燃焼せしめられ、その燃焼廃ガス(排ガス)は、燃焼作動室17から排気弁41を介して排気ポート、排気マニホールド、排気浄化用触媒(例えば三元触媒)が設けられた排気管等からなる排気通路40を通って外部(大気中)に排出される。排気通路40における触媒より上流側には酸素濃度センサ(空燃比センサ)57が配在されている。なお、酸素濃度センサ57として、ここでは酸素濃度に対して出力がリニアに変化するものが用いられているが、それに代えて、理論空燃比よりリッチかリーンかでHighレベルーLowレベルの信号を出力するものを用いてもよい。
また、各気筒(#1、#2、#3、#4)毎に配備された燃料噴射弁30には、燃料タンク内の燃料(ガソリン等)が燃料ポンプや燃圧レギュレータ等を備えた燃料供給機構により所定燃圧に調圧されて供給され、燃料噴射弁30は、後述するエンジンコントロールユニット(ECU)100から供給される、そのときの運転状態に応じたパルス幅(開弁時間に相当する)を持つ開弁パルス信号により開弁駆動され、その開弁時間に応じた量の燃料を吸気ポート29に向けて噴射するようになっている。
なお、吸気通路20には、アイドル回転数制御を行うべく、スロットル弁25を迂回するバイパス通路61が設けられるとともに、該通路61にISCバルブ62が介装され、また、排気通路40と吸気通路20とを結ぶようにEGR通路63が設けられるとともに、該通路63にEGRバルブ64が介装されている。
一方、前記エンジン10の種々の制御、つまり、前記燃料噴射弁30における燃料噴射制御、前記点火プラグ35における点火時期制御等を行うべく、マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)100が備えられている。
コントロールユニット100は、基本的には、図2に示される如くに、それ自体はよく知られているもので、CPU90、ROM91、RAM92、入出力ポート(I.O)95、入力回路96、ドライバ(駆動回路)97等で構成される。コントロールユニット100においては、前記センサ類からの信号は入力回路96にてノイズ除去等の処理後、入出力ポート95に送られる。入力ポート95の値はRAM92に保管され、CPU90内で演算処理される。演算処理の内容を記述した制御プログラムはROM91に予め書き込まれている。制御プログラムに従って演算された各アクチュエータ操作量を表す値はRAM92に保管された後、出力ポート95に送られる。
コントロールユニット100には、入力信号として、エアフローセンサ53により検出される吸入空気量に応じた信号、スロットル開度センサ58により検出されるスロットル弁25の開度に応じた信号、クランクシャフト13に添設されたクランク角センサ(回転数センサ)55から得られるクランクシャフト13の回転(エンジン回転数)・位相(クランク角)をあらわす信号(クランク角センサ55からは、例えば、回転角1度毎にパルス信号が出力される)、吸気カムシャフト23に添設されたカム角センサ56から得られるカムシャフト23の回転・位相をあらわす信号(このカム角センサ56からの信号と前記クランク角センサ55からの信号とに基づいて気筒判定が行われる)、排気通路40における三元触媒より上流側に配在された酸素濃度センサ57からの酸素濃度(空燃比)に応じた信号、シリンダ12に配設された水温センサ54により検出されるエンジン冷却水温に応じた信号、エンジン10の運転、停止のメインスイッチであるイグニッションキースイッチ59からの信号、吸気通路20のコレクタ27部分に設けられた吸気圧センサ52及び吸気温センサ(両センサは一体化されている)により検出される吸気管圧力及び吸気温に応じた信号等が供給される。
コントロールユニット100は、前記各種の入力信号に基づいてエンジンの運転状態を認識し、この運転状態に基づいて、燃料噴射量及び点火時期等のエンジンの主要な操作量を演算する。
より詳細には、コントロールユニット100においては、エンジンの運転状態に基づいて、各気筒#1、#2、#3、#4毎に噴射すべき燃料噴射量が演算され、この演算された燃料噴射量に相当するパルス幅を持つ開弁パルス信号が生成され、この開弁パルス信号がドライバ97で燃料噴射弁30を開弁するのに十分なエネルギーに増幅されて、燃料噴射弁駆動信号として各気筒#1、#2、#3、#4毎に所定のタイミングで燃料噴射弁30に供給される。また、コントロールユニット100で演算された点火時期で点火されるようにドライバ97から駆動信号が各気筒#1、#2、#3、#4の点火コイル34に送られる。
次に、コントロールユニット100が実行する燃料噴射制御の実施例について具体的に説明する。本実施例では、基本的には、一燃焼サイクル(吸気、圧縮、爆発膨張、排気の各行程からなるサイクル)に1回だけ、各気筒#1、#2、#3、#4毎に、所定クランク角位置(吸気行程)で燃料噴射(同期噴射)を行うようにされ、この同期噴射では燃料(ガソリン)供給が間に合わない急加速時等においては、クランク角とは無関係に臨時的に燃料噴射(非同期噴射)を行うようになっている。すなわち、同期噴射しても目標燃料噴射量分の燃料を賄いきれない場合は、非同期噴射を実行する。ただし、圧縮行程での非同期噴射は行わない。
コントロールユニット100は、図3に機能ブロック図で示されているように、エンジン回転数算出手段101、目標燃料噴射量算出手段102、シリンダヘッド温度・ポート温度推定手段103、次回燃焼寄与燃料量・燃料噴射量算出手段104、基本点火時期設定手段105、加減速判定手段106、点火時期補正手段107、目標空燃比設定手段108、空燃比帰還制御係数算出手段109、を備える。
エンジン回転数算出手段101は、クランク角センサ55からのパルス信号の単位時間当たりの変化(例えばパルスの立ち上がりもしくは立ち下がり)の回数(到来数)をカウントして所定の演算処理を行うことにより単位時間あたりのエンジン回転数を算出する。
目標燃料噴射量算出手段102は、エンジン回転数算出手段101で演算されたエンジンの回転数、吸入空気量(シリンダ流入空気量)、及び当量比からエンジンの要求する目標燃料噴射量を計算する。
ヘッド・ポート温度推定手段103は、前述のエンジン回転数算出手段101で算出されたエンジン回転数、エンジン負荷、シリンダ流入空気量、エンジン水温、後述する点火時期から、次回の吸気行程で始まる燃焼サイクルでの燃焼寄与燃料量を予測するためのシリンダヘッド温度、吸気ポート温度を推定する。前記エンジン負荷は、ここでは吸気圧センサ52の出力を所定の処理で吸気管圧力に変換したもの、もしくは、エアフローセンサ53で計測された吸入空気量で代表させる。
次回燃焼寄与燃料量・燃料噴射量算出手段104は、前述のエンジンの回転数、エンジン負荷、シリンダ流入空気量、シリンダヘッド温度、ポート温度及び吸気弁21の進角値から、次回の燃焼サイクルでの燃焼寄与燃料量を計算(予測)し、前述の目標燃料噴射量と燃焼寄与燃料量との差分に補正を加え、燃料噴射量を算出する。
基本点火時期設定手段105は、前述のエンジン回転数及びエンジン負荷に基づいてエンジンの各領域における最適な基本点火時期をマップ検索で設定する。
加減速判定手段106は、スロットル開度センサ58により検出されるスロットル弁25の開度に基づき、運転者の意図要求するエンジンの状態を判定する。判定する状態は主にアイドル状態か否か、加減速状態か否かである。
点火時期補正手段107は、前述の基本点火時期設定手段105で設定された最適な基本点火時期を、前述の加減速判定手段106で判定されたエンジンの状態に応じて補正を行う。
目標空燃比設定手段108は、前述のエンジン回転数、及び前述のエンジン負荷によりエンジンの各領域における最適な目標空燃比をマップ検索等で設定する。
空燃比帰還制御係数算出手段109は、前述の点火時期補正手段107で決定された目標空燃比となるように、酸素濃度センサ57の出力により燃料のフィードバック制御を行い、空燃比フィードバック係数を算出するとともに、理論空燃比と実空燃比との除算により、目標燃料噴射量の計算等で必要となる当量比を計算する。
図4は、本実施例の燃料噴射制御の概要を示す機能ブロック図であり、ここでは、目標燃料噴射量を算出し、燃料補正量を算出してシリンダ内で次回の燃焼に寄与できる燃料重量(燃料蒸発量)を予測し、目標燃料噴射量との差分に補正を加え、燃料噴射量を算出する構成となっている。詳細には、エンジン回転数、当量比、シリンダ流入空気量に基づいて目標燃料噴射量を算出する目標燃料噴射量算出モデル201と、エンジン回転数、当量比、シリンダ流入空気量、吸気管圧力(エンジン負荷)に基づいてポート温度、シリンダヘッド温度を推定するポート温度、シリンダヘッド温度推定モデル202と、目標燃料噴射量算出モデル201からの目標燃料噴射量、ポート温度、シリンダヘッド温度(いずれも推定値)、吸気管圧力(エンジン負荷)、吸気弁進角量から次回燃焼寄与燃料量を推定する次回燃焼寄与燃料量推定モデル203とを備えている。
図5は、図4に示される目標燃料噴射量算出モデル201の処理内容を示すフローチャートである。ここでは、ステップ501で、各種変数の初期化を行い、空気量関連の変数は、初期値を0とし、圧力関係の変数は初期値を大気圧とする。また、温度関係の変数は、初期値を所定の値に設定する。ステップ502において、クランク角センサ55からエンジン回転数HNDATAを取り込む。ステップ503において、エアフローセンサ53で計測したスロットルを通過する空気量と吸気管圧力から計算されたシリンダ流入空気量QAR〔g/min〕を取り込む。ステップ504において、シリンダ内流入新鮮空気量CYLAIR〔mg/cyl〕を以下の式(1)で算出する。
CYLAIR = QAR×2000/CYLINFO#/HNDATA (1)
ここで、QAR:シリンダ流入空気量〔g/min〕
CYLINFO#:エンジンの気筒数〔−〕
HNDATA:エンジン回転数〔r/min〕
なお、英字による名称の後に“#”を付けたものはROM定数としてあらかじめCPUに値を記憶させておくものとする。
ステップ505では、当量比EQVRTIOを取り込み、ステップ506において、目標燃料噴射量RQCYLFUEL〔mg/cyl〕を以下の式(2)で算出する。
RQCYLFUEL = CYLAIR/STOICH#×EQVRTIO (2)
ここで、CYLAIR:シリンダ内流入新鮮空気量〔mg/cyl〕
STOICH#:理論空燃比〔−〕
EQVRTIO:当量比〔−〕
図6は、図4に示されるポート温度、シリンダヘッド温度推定モデル202の処理内容を示すブロック図であり、吸気管圧力、エンジン回転数、点火時期、当量比から平均有効ガス温度を推定し(平均有効ガス温度推定モデル601)、前記平均有効ガス温度推定値と、シリンダ流入空気量、エンジン水温からシリンダヘッド温度を推定し(シリンダヘッド温度推定モデル602)、前記シリンダヘッド温度とエンジン水温からポート温度を推定する(ポート温度推定モデル603)構成となっている。
次に、図6のブロック図で示される処理内容を、図7〜図9のフローチャートを用いてより具体的に説明する。
図7は、図6における、平均有効ガス温度推定モデル601の処理内容を示すフローチャートである。ここでは、ステップ701で、エンジン回転数HNDATAを取り込み、ステップ702で前回計算したポート温度PRTEMP[Z]を取り込み、ステップ703で点火時期ADVSを取り込み、ステップ704で当量比EQVRTIOを取り込み、ステップ705で図示平均有効圧算出に必要な基本情報である吸気管圧力LDATAD〔kPa〕を取り込む。ここで、吸気管圧力は、吸気圧センサ52の出力値を使用しているが、エンジンの吸入空気量に基づいて算出しても良い。
ステップ706において、図示平均有効圧PME〔bar〕を以下の式(3)で算出する。
PME = LDATAD×KPME+PMEOFS (3)
ここで、LDATAD:吸気管圧力〔kPa〕
KPME:図示平均有効圧算出係数〔bar/kPa〕
PMEOFS:図示平均有効圧オフセット〔bar〕
ステップ707において、平均有効ガス温度GASTEMP〔℃〕を以下の式(4)で算出する。
GASTEMP = CGASTEMP+PME×KGASTEMP×kgasne/
EQVRTIO+prtempcf+advtmpcf (4)
ここで、CGASTEMP:平均ガス温度算出係数〔℃〕
PME:図示平均有効圧〔bar〕
KGASTEMP:平均ガス温度オフセット値〔℃/bar〕
EQVRTIO:当量比〔−〕
kgasne:燃焼温度回転数補正〔−〕
prtempcf:ポート壁温度からの伝熱〔−〕
advtmpcf:燃焼温度点火補正〔−〕
なお、kgasneは、エンジン回転数HNDATAを軸としたテーブル参照値とし、advtmpcfは、点火時期ADVSを軸としたテーブル参照値とする。
また、ポート壁温度からの伝熱prtempcfは以下の式(5)で求める。
prtempcf = 0.3×(PRTEMP[Z]−27) (5)ここで、PRTEMP[Z]:ポート温度の前回計算値
このように、平均有効ガス温度は、図示平均有効圧、エンジン回転数、当量比、点火時期、ポート壁温度からの伝熱の要因で決まる。
図8は、前述の図6における、シリンダヘッド温度推定モデル602の処理内容を示すフローチャートである。ここでは、ステップ801において、水温センサからエンジン水温TWNを取り込み、ステップ802でエンジン水温TWNを軸とし、サーモスタットの特性データをセッティングしたテーブルから冷却水量WATFLOW〔Kg/min〕を算出する。ステップ803で冷却水への放熱量HEATRNSを以下の式(6)で算出する。
HEATRNS = QAR×heatrnsb (6)
ここで、QAR:シリンダ流入空気量〔g/min〕
heatrnsb:冷却水への伝熱〔−〕
なお、heatrnsbは冷却水量WATFLOWを軸としたテーブル参照値とする。
このように、冷却水への放熱量HEATRNSは、サーモスタット水量(エンジン水温)とシリンダ流入空気量との要因で決まる。
次に、ステップ804で、前述のシリンダ流入空気量QARを取り込み、ステップ805で、前述の平均有効ガス温度GASTEMPを取り込み、ステップ806で、目標シリンダヘッド温度TGHDTEMPを以下の式(7)で算出する。
TGHDTEMP =(TWN+GASTEMP×HEATRNS)/(1+
HEATRNS) (7)
ここで、TWN:エンジン水温〔℃〕
GASTEMP:平均有効ガス温度〔℃〕
HEATRNS:冷却水への放熱量〔−〕
このように、目標シリンダヘッド温度は、平均有効ガス温度と冷却水への放熱で決まる。
ステップ807でシリンダヘッド温度HDTEMP〔℃〕を算出するが、シリンダヘッド温度HDTEMPは、目標シリンダヘッド温度TGHDTEMPの1次遅れとして以下の式(8)で算出する。
HDTEMP = TGHDTEMP×KHDTEMP+(1−KHDTEMP)×
HDTEMP[Z] (8)
ここで、TGHDTEMP:目標シリンダヘッド温度〔℃〕
KHDTEMP:シリンダヘッド温度加重平均フィルタ値〔−〕
HDTEMP[Z]:シリンダヘッド温度の前回計算値〔℃〕
(シリンダヘッド温度の初期値はエンジン水温TWNとする)
図9は、前述の図6における、ポート温度推定モデル603の処理内容を示すフローチャートである。ここでは、ステップ901でエンジン水温TWNを取り込み、ステップ902で前述のシリンダヘッド温度HDTEMPを取り込み、ステップ903で目標ポート温度TGPRTMP〔℃〕を以下の式(9)で算出する。
TGPRTMP = DLTMPPRT1×(HDTEMP−TWN)
+TWN (9)
ここで、DLTMPPRT1:ポート温度勾配補正値〔−〕
HDTEMP:シリンダヘッド温度〔℃〕
このように、目標ポート温度は、シリンダヘッド温度と冷却水への放熱で決まる。
ステップ904でポート温度PRTEMP〔℃〕を算出するが、ポート温度PRTEMPは目標ポート温度TGPRTMPの1次遅れとして以下の式(10)で算出する。
PRTEMP = TGPRTMP×KPRTTEMP+(1−KPRTTMP)
×PRTEMP[Z] (10)
ここで、TGPRTMP:目標ポート温度〔℃〕
KPRTTEMP:ポート温度加重平均フィルタ〔−〕
PRTEMP[Z]:ポート温度の前回計算値〔℃〕
(ポート温度の初期値はエンジン水温TWNとする)
図10は、前述の図4における、次回燃焼寄与燃料量推定モデル203の処理概要を示すブロック図である。このブロック図による制御フローの処理内容を更に詳細なブロック図やフローチャートを交えて以下に説明する。
ブロック1001(同期噴射実行時の燃料噴射量算出手段)では、同期噴射実行時の燃料噴射量を算出するが、詳細は後述する。
ブロック1002(同期噴射時ポート部燃料付着量算出手段)では、同期噴射時ポート部燃料付着量を算出する。これを以下に説明する。
図11は、図10における、同期噴射時ポート部燃料付着量算手段1002の詳細構成例を示すブロック図である。ブロック1101では、前述したポート温度PRTEMPを取り込み、吸気ポート付着率TTWPRTINをテーブル検索する。ブロック1102では前述した吸気管圧力LDATADを取り込み、吸気ポート付着率圧力補正TPMPRTINをテーブル検索する。ブロック1103では、シリンダ流入空気量QARを取り込み、吸気ポート付着率空気量補正TQAPRTINを検索する。乗算器1104では、ブロック1101〜1103におけるテーブル検索値を各々乗算して同期噴射時のポート部燃料付着率KFPORTINを以下の式(11)で算出する。
KFPOTIN = TTWPRTIN×TPMPRTIN×
TQAPRTIN (11)
ここで、TTWPRTIN:吸気ポート付着率〔−〕
(ポート温度PRTEMPを軸としたテーブルの検索値)
TPMPRTIN:吸気ポート付着率圧力補正〔−〕
(吸気管圧力LDATADを軸としたテーブルの検索値)
TQAPRTIN:吸気ポート付着率空気量補正〔−〕
(シリンダ流入空気量QARを軸としたテーブルの検索値)
乗算器1105では、同期噴射実行時の燃料噴射量INJFUEL1Sを取り込み、前述のKFPORTINと乗算してポート部燃料付着量PORTINWLを以下の式(12)で算出する。
PORTINWL1 = INJFUEL1S×KFPORTIN (12)
ここで、INJFUEL1S:同期噴射実行時の燃料噴射量〔mg/cyl〕
KFPORTIN:同時噴射時のポート部燃料付着率〔−〕
以上説明したように、同期噴射時のポート部燃料付着量は、ポート温度、吸気管圧力、および空気量の要因で決まる。
ブロック1003では、非同期燃料噴射量の前回計算を取り込む。
ブロック1004では、非同期噴射時ポート部燃料付着量を算出する。これを以下に説明する。
図12は、図10における、非同期噴射時ポート部燃料付着量算出手段1004の詳細構成例を示すブロック図である。ブロック1201では、前述したポート温度PRTEMPを取り込み、吸気ポート付着率TTWCYLINをテーブル検索する。ブロック1202では、シリンダ流入空気量QARを取り込み、吸気ポート付着率空気量補正TQACYLINを検索する。乗算器1203では、ブロック1201、1202におけるテーブル検索値を各々乗算して非同期噴射時のポート部燃料付着率KFCYLTINを以下の式(13)で算出する。
KFCYLIN = TTWCYLIN×TQACYLIN (13)
ここで、TTWCYLIN:非同期噴射吸気ポート付着率水温補正〔−〕
(ポート温度PRTEMPを軸としたテーブルの参照値)
TQACYLIN:非同期噴射吸気ポート付着率〔−〕
(シリンダ流入空気量QARを軸としたテーブルの参照値)
乗算器1204では、非同期燃料噴射量の前回計算値IRQFUEL1[Z]を取り込み、前述のKFCYLINと乗算して非同期噴射時のポート部燃料付着量PORTINWL1〔mg/cyl〕を以下の式(14)で算出する。
PORTINWLQ1 = IRQFUEL1[Z]×KFCYLIN (14)ここで、IRQFUEL1[Z]:インジェクタ噴射量(非同期噴射)の前回計算 値〔mg/cyl〕
KFCYLIN:(非同時噴射時)ポート部燃料付着率〔−〕
以上説明したように、非同期噴射時のポート部燃料付着量はポート温度および、空気量の要因で決まる。
ブロック1005では、ポート部燃料液膜量PORTFWL1を算出する。これを図13のフローチャートを用いて以下に説明する。
図13は、図10における、ポート部燃料液膜量算出手段1005の詳細構成例を示すフローチャートである。ステップ1301では、同期噴射を実行するかどうかを判断し、同期噴射を実行する場合は、ステップ1302へ進み、同期噴射燃料の一部がポート部に付着するため、ポート部燃料液膜量PORTFWL1〔mg/cyl〕を以下の式(15)で算出する。
PORTFWL1 = PORTFWL1[Z]+PORTINWL1 (15)
ここで、PORTFWL1[Z]:ポート部燃料液膜量の前回計算値〔mg/cyl〕
PORTINWL1:通常噴射ポート部燃料付着量〔mg/cyl〕
一方、同期噴射を実行しない場合は、ステップ1303で非同期噴射を実行するかどうかを判断し、非同期噴射を実行する場合は、ステップ1304へ進み、非同期噴射燃料の一部がポート部に付着するため、ポート部燃料液膜量PORTFWL1〔mg/cyl〕を下式(16)で求める。
PORTFWL1 = PORTFWL1[Z]+PORTINWLQ1 (16)
ここで、PORTFWL1[Z]:ポート部燃料液膜量の前回計算値〔mg/cyl〕
PORTINWLQ1:非同期噴射ポート部燃料付着量〔mg/cyl〕
非同期噴射を実行しない場合は、ステップ1305で吸気行程終了したかどうかを判断し、吸気行程終了しておれば、ステップ1306へ進み、吸気行程でポート部液膜量がシリンダ内へ持ち去られる分と、蒸発した分の液膜量の減少を考慮し、ポート部燃料液膜量PORTFWL1〔mg/cyl〕を以下の式(17)で算出する。
PORTFWL1 = PORTFWL1[Z]−CYLINPFWL1 −DPORTVPR1 (17)
ここで、PORTFWL1[Z]:ポート部燃料液膜量の前回計算値〔mg/cyl〕
CYLINPFWL1:シリンダへの流入燃料〔mg/cyl〕
DPORTVPR1:ポート部推定燃料蒸発量〔mg/cyl〕
吸気行程終了していなければ、ステップ1307へ進み、ポート部燃料液膜量PORTFWL1〔mg/cyl〕の値を以下の式(18)で保持する。
PORTFWL1 = PORTFWL1[Z] (18)
ここで、PORTFWL1[Z]:ポート部燃料液膜量の前回計算値〔mg/cyl〕
ブロック1006では、ポート部燃料蒸発量を算出する。これを、図14のブロック図を用いて以下に説明する。
図14は、図10における、ポート部燃料蒸発量算出手段1006の詳細構成例を示すブロック図である。ブロック1401では、前述したポート温度PRTEMPを取り込み、ポート部燃料蒸発率TTWPORTをテーブル検索する。ブロック1402では、吸気管圧力LDATADを取り込み、燃料蒸発率圧力補正TKPMPORTをテーブル検索する。ブロック1403では、吸気弁進角値IN_RLVVTを取り込み、燃料蒸発率吸気VTC補正TTAPORTを検索する。乗算器1404では、ブロック1401〜1403におけるテーブル検索値を各々と、蒸発時間VPRTIMとを乗算してシリンダ部燃料蒸発率KPORTVPRを以下の式(19)で算出する。
KPORTVPR = VPRTIM×TTWPORT×TKPMPORT
×TTAPORT (19)
ここで、VPRTIM:蒸発時間〔−〕
TTWPORT:ポート部燃料蒸発率〔−〕
(ポート温度PRTEMPを軸としたテーブルの検索値)
TKPMPORT:燃料蒸発率圧力補正〔−〕
(吸気管圧力LDATADを軸としたテーブルの検索値)
TTAPORT:燃料蒸発率吸気VTC補正〔−〕
(吸気弁進角値IN_RLVVTを軸としたテーブルの検索値)
なお、VPRTIMは、吸気圧縮行程中の空気温度で、燃料が蒸発していく時間をあらかじめデータセッティングしておく。
乗算器1405では、前述のポート部燃料液膜量PORTFWL1を取り込み、前述のKPORTVPRと乗算してポート部燃料蒸発量DPORTVPR1〔mg/cyl〕を以下の式(20)で算出する。
DPORTVPR = PORTFWL1×KPORTVPR (20)
ここで、PORTFWL1:ポート部燃料液膜量〔mg/cyl〕
KPORTVPR:シリンダ部燃料蒸発率〔−〕
ただし、スイッチ1406により、吸気行程終了時は前述の計算値を出力するが、吸気行程終了時でないときは、ポート部燃料蒸発量DPORTVPR1は、1/Zブロック1407を介して前回値を出力する(値を保持する)。
DPORTVPR = DPORTVPR[Z] (21)
ここで、DPORTVPR[Z]:ポート部燃料蒸発量の前回計算値〔mg/cyl〕
以上説明したように、ポート部燃料蒸発量は、蒸発時間、ポート温度、吸気管圧力、および吸気弁進角値の要因で決まる。
ブロック1007では、次回燃焼寄与ポート部蒸発量を算出する。これを、図15のフローチャートを用いて以下に説明する。
図15は、図10における、ポート部燃料液膜量算出手段1007の詳細構成例を示すフローチャートである。ステップ1501では、同期噴射を実行するかどうかを判断し、同期噴射を実行する場合は、ステップ1502へ進み、次回燃焼寄与ポート部蒸発量PORTVPR1〔mg/cyl〕を以下の式(22)で算出する。
PORTVPR1 = INJFUEL1S−PORTINWL1
+DPORTVPR1 (22)
ここで、INJFUEL1S:同期噴射実行時の燃料噴射量〔mg/cyl〕
PORTINWL1:同期噴射時ポート部燃料付着量〔mg/cyl〕
DPORTVPR1:ポート部燃料蒸発量〔mg/cyl〕
同期噴射を実行しない場合は、ステップ1503へ進み、次回燃焼寄与ポート部蒸発量PORTVPR1〔mg/cyl〕の値を保持する。
PORTVPR1 = PORTVPR1[Z] (23)
ここで、PORTVPR1[Z]:次回燃焼寄与ポート部蒸発量の前回算出値
ブロック1008では、シリンダへの流入燃料を算出するが、図16のブロック図を用いて以下に説明する。
図16は、図10における、シリンダへの流入燃料算出手段1008の詳細構成例を示すブロック図である。ブロック1601では、前述したポート温度PRTEMPを取り込み、ポート部燃料持ち去り率TTWPRTOUTをテーブル検索する。ブロック1602では、吸気管圧力LDATADを取り込み、ポート部燃料持ち去り率圧力補正TPMPRTOUTをテーブル検索する。ブロック1603では、シリンダ流入空気量QARを取り込み、ポート部燃料持ち去り率空気量補正TQAPRTOUTをテーブル検索する。乗算器1604では、ブロック1601〜1603におけるテーブル検索値を各々乗算してシリンダ流入率KFPORTOUTを以下の式(24)で算出する。
KFPORTOUT = TTWPRTOUT×TPMPRTOUT
×TQAPRTOUT (24)
ここで、TTWPRTOUT:ポート部燃料持ち去り率〔−〕
(ポート温度PRTEMPを軸としたテーブルの検索値)
TPMPRTOUT:ポート部燃料持ち去り率圧力補正〔−〕
(吸気管圧力LDATADを軸としたテーブルの検索値)
TQAPRTOUT:ポート部燃料持ち去り率空気量補正〔−〕
(シリンダ流入空気量QARを軸としたテーブルの検索値)
乗算器1605では、前述のポート部燃料液膜量PORTFWL1を取り込み、前述のKFPORTOUTと乗算してシリンダへの流入燃料CYLINPFWL1〔mg/cyl〕を次式(25)で算出する。
CYLINPFWL1 = PORTFWL1×KFPORTOUT (25)
ここで、PORTFWL1:ポート部燃料液膜量〔mg/cyl〕
KFPORTOUT:シリンダ流入率〔−〕
以上説明したように、シリンダへの流入燃料は、ポート温度、吸気管圧力、および空気量の要因で決まる。
ブロック1009では、非同期噴射燃料のシリンダ内流入分を算出する。これを、図17のフローチャートを用いて以下に説明する。
図17は、図10における、非同期噴射燃料のシリンダ内流入分算出手段1009の詳細構成例を示すフローチャートである。ステップ1701では、非同期噴射を実行するかどうかを判断し、非同期噴射を実行する場合は、ステップ1702へ進み、非同期噴射燃料のシリンダ内流入分CYLINFL1〔mg/cyl〕を以下の式(26)で算出する。
CYLINFL1 =(IRQFUEL1−PORTINWLQ1
+CYLINFL1[Z])×KIRQFCIN# (26)
ここで、IRQFUEL1:インジェクタ噴射量(非同期噴射)〔mg/cyl〕
PORTINWLQ1:非同期噴射ポート部燃料付着量〔mg/cyl〕
CYLINFL1[Z]:非同期噴射燃料のシリンダ内流入分の前回計算 値〔mg/cyl〕
KIRQFCIN#:シリンダ内流入分算出係数
非同期噴射を実行しない場合は、ステップ1703で、前回噴射実行したかどうかを判断し、前回噴射実行していれば、ステップ1704へ進み、非同期噴射燃料のシリンダ内流入分CYLINFL1〔mg/cyl〕をCYLINFL1=0とする。
前回噴射実行していなければ、非同期噴射燃料のシリンダ内流入分CYLINFL1〔mg/cyl〕の値を保持する。
CYLINFL1 = CYLINFL1[Z] (27)
ここで、CYLINFL1[Z]:非同期噴射燃料のシリンダ内流入分の前回計算 値〔mg/cyl〕
ブロック1010では、シリンダ流入液膜燃料を算出する。これを図18のフローチャートを用いて以下に説明する。
図18は、図10における、シリンダ流入液膜燃料算出手段1010の詳細構成例を示すフローチャートである。ステップ1801では、吸気行程終了かどうかを判断し、吸気行程終了であれば、ステップ1802へ進み、ポート部液膜燃料の持ち去り分と非同期噴射の一部が、液状でシリンダに流入するため、シリンダ流入液膜燃料CYLFUEL1〔mg/cyl〕を以下の式(28)で算出する。
CYLFUEL1 = CYLINPFWL1+CYLINFL1 (28)
ここで、CYLINPFWL1:シリンダへの流入燃料〔mg/cyl〕
CYLINFL1:非同期噴射燃料のシリンダ内流入分〔mg/cyl〕
吸気行程終了でなければ、ステップ1803へ進み、シリンダ流入液膜燃料CYLFUEL1〔mg/cyl〕の値を保持する。
CYLFUEL1 = CYLFUEL1[Z] (29)
ここで、CYLFUEL1[Z]:シリンダ流入液膜燃料の前回計算値〔mg/cyl〕
ブロック1011では、シリンダ流入液膜燃料付着量を算出する。これを、図19のブロック図を用いて以下に説明する。
図19は、図10における、シリンダ流入液膜燃料付着量算出手段1011の詳細構成例を示すブロック図。ブロック1901では、前述したシリンダヘッド温度HDTEMPを取り込み、シリンダ流入燃料ヘッド部付着率TTWTURBをテーブル検索する。ブロック1902では、吸気管圧力LDATADを取り込み、シリンダ流入燃料ヘッド部付着率圧力補正TTPMTURBをテーブル検索する。ブロック1903では、シリンダ流入空気量QARを取り込み、シリンダ流入燃料ヘッド部付着率空気量補正TQATURBをテーブル検索する。ブロック1904では、吸気弁進角値IN_RLVVTを取り込み、シリンダ流入燃料ヘッド部付着率VTC補正TVTCTURBをテーブル検索する。乗算器1905では、ブロック1901〜1905におけるテーブル検索値を各々乗算してシリンダ部燃料付着率KCYLTURBを以下の式(30)で算出する。
KCYLTURB = TTWTURB×TTPMTURB×TQATURB×TV TCTURB (30)
ここで、TTWTURB:シリンダ流入燃料ヘッド部付着率〔−〕
(シリンダヘッド温度HDTEMPを軸としたテーブルの検索値)
TTPMTURB:シリンダ流入燃料ヘッド部付着率圧力補正〔−〕
(吸気管圧力LDATADを軸としたテーブルの検索値)
TQATURB:シリンダ流入燃料ヘッド部付着率空気量補正〔−〕
(シリンダ流入空気量QARを軸としたテーブルの検索値)
TVTCTURB:シリンダ流入燃料ヘッド部付着率VTC補正〔−〕
(吸気弁進角値IN_RLVVTを軸としたテーブルの検索値)
乗算器1906では、前述のシリンダ流入液膜燃料CYLFUEL1を取り込み、前述のKCYLTURBと乗算してシリンダ流入液膜燃料付着量CYLINWL1〔mg/cyl〕を以下の式(31)で算出する。
CYLINWL1 = CYLFUEL1×KCYLTURB (31)
ここで、CYLFUEL1:シリンダ流入液膜燃料〔mg/cyl〕
KCYLTURB:シリンダ部燃料付着率〔−〕
以上説明したように、シリンダ流入液膜燃料付着量は、シリンダヘッド温度、吸気管圧力、空気量および吸気弁進角量の要因で決まる。
ブロック1012では、シリンダ壁面付着量を算出する。これを、図20のブロック図を用いて以下に説明する。
図20は、図10における、シリンダ壁面付着量算出手段1012の詳細構成例を示すブロック図である。ブロック2001では、前述したシリンダヘッド温度HDTEMPを取り込み、シリンダ排出率ヘッド温度補正TKPMEXTFWをテーブル検索する。ブロック2002では、吸気管圧力LDATADを取り込み、シリンダ排出率圧力補正TKTWEXTFWをテーブル検索する。乗算器2003では、ブロック2001、2002におけるテーブル検索値を各々乗算してシリンダ部流入燃料浮遊率KFCYLOUTを以下の式(32)で算出する。
KFCYLOUT = TKPMEXTFW×TKTWEXTFW (32)
ここで、TKPMEXTFW:シリンダ排出率ヘッド温度補正〔−〕
(シリンダヘッド温度HDTEMPを軸としたテーブルの検索値)
TKTWEXTFW:シリンダ排出率圧力補正〔−〕
(吸気管圧力LDATADを軸としたテーブルの検索値)
加算器2004では、前述のシリンダ流入液膜燃料付着量CYLINWL1と、前述のシリンダ部燃料蒸発量DCYLVPR1と、乗算器2005で前述のKFCYLOUTと、ブロック2006を介したシリンダ内壁面付着量の前回値とを乗算した結果と、シリンダ内壁面付着量の前回値を取り込み、シリンダ壁面付着量CYLFWL1〔mg/cyl〕を以下の式(33)で算出する。
CYLFWL1 = CYLINWL1−DCYLVPR1−KFCYLOUT
×CYLFWL1[Z]+CYLFWL1[Z] (33)
ここで、CYLINWL1:シリンダ流入液膜燃料付着量〔mg/cyl〕
DCYLVPR1:シリンダ部燃料蒸発量〔mg/cyl〕
KFCYLOUT:シリンダ部流入燃料浮遊率〔−〕
CYLFWL1[Z]:シリンダ壁面付着量の前回計算値〔mg/cyl〕
ただし、スイッチ2007により、吸気行程終了時は前述の計算値を出力するが、吸気行程終了時でないときは、シリンダ内壁面付着量CYLFWL1は、1/Zブロック2006を介して前回値を出力する(値を保持する)。
CYLFWL1 = CYLFWL1[Z] (34)
ここで、CYLFWL1[Z]:シリンダ内壁面付着量の前回計算値〔mg/cyl〕
以上説明したように、シリンダ内壁面付着量は、シリンダヘッド温度、および吸気管圧力の要因で決まる。
ブロック1013では、シリンダ部燃料蒸発量を算出する。これを、図21のブロック図を用いて以下に説明する。
図21は、図10における、シリンダ部燃料蒸発量算出手段1013の詳細構成例を示すブロック図である。ブロック2101では、前述したシリンダヘッド温度HDTEMPを取り込み、シリンダ液膜燃料蒸発率TTWCYLをテーブル検索する。ブロック2102では、吸気管圧力LDATADを取り込み、シリンダ液膜燃料蒸発率圧力補正TTPMCYLをテーブル検索する。乗算器2103では、ブロック2101、2102におけるテーブル検索値と、前述の蒸発時間VPRTIMとを各々乗算してシリンダ部燃料蒸発率KCYLVPRを以下の式(35)で算出する。
KCYLVPR = VPRTIM×TTWCYL X TTPMCYL (35)
ここで、VPRTIM:蒸発時間〔−〕
TTWCYL:シリンダ液膜燃料蒸発率〔−〕
(シリンダヘッド温度HDTEMPを軸としたテーブルの検索値)
TTPMCYL:シリンダ液膜燃料蒸発率圧力補正〔−〕
(吸気管圧力LDATADを軸としたテーブルの検索値)
乗算器2104では、前述したシリンダ壁面付着量CYLFWL1を取り込み、前述のKCYLVPRと乗算してシリンダ部燃料蒸発量DCYLVPR1〔mg/cyl〕を以下の式836)で算出する。
DCYLVPR1 = CYLFWL1×KCYLVPR (36)
ここで、CYLFWL1:シリンダ壁面付着量〔mg/cyl〕
KCYLVPR:シリンダ部燃料蒸発率〔−〕
ただし、スイッチ2105により、吸気行程終了時は前述の計算値を出力するが、吸気行程終了時でないときは、シリンダ部燃料蒸発量DCYLVPR1は、1/Zブロック2106を介して前回値を出力する(値を保持する)。
DCYLVPR1 = DCYLVPR1[Z] (37)
ここで、DCYLVPR1[Z]:シリンダ部燃料蒸発量の前回計算値〔mg/cyl〕
以上説明したように、シリンダ部燃料蒸発量は、シリンダヘッド温度、および吸気管圧力の要因で決まる。
ブロック1014では、次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量を算出する。これを、図22のブロック図を用いて以下に説明する。
図22は、図10における、次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量算出手段1014の詳細構成例を示すブロック図である。加算器2201では、前述したシリンダ流入液膜燃料CYLFUEL1と、シリンダ流入液膜燃料付着量CYLINWL1と、シリンダ部燃料蒸発量DCYLVPR1を取り込み、次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量CYLVPR1を以下の式(38)で算出する。
CYLVPR1 = CYLFUEL1−CYLINWL1
+DCYLVPR1 (38)
ここで、CYLFUEL1:シリンダ流入液膜燃料〔mg/cyl〕
CYLINWL1:シリンダ流入液膜燃料付着量〔mg/cyl〕
DCYLVPR1:シリンダ部燃料蒸発量〔mg/cyl〕
ただし、スイッチ2202により、吸気行程終了時は前述の計算値を出力するが、吸気行程終了時でないときは、次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量CYLVPR1は、1/Zブロック2203を介して前回値を出力する(値を保持する)。
CYLVPR1 = CYLVPR1[Z] (39)
ここで、CYLVPR1[Z]:次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量の前回計算値〔mg/
cyl〕
ブロック1015では、次回燃焼寄与燃料量を算出する。これを、図23のブロック図を用いて以下に説明する。
図23は、図10における、次回燃焼寄与燃料量算出手段1015の詳細構成例を示すブロック図である。
加算器2301では、前述の次回燃焼寄与ポート部蒸発量PORTVPR1と、次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量CYLVPR1とを加算して次回燃焼寄与燃料量CMBFUEL1を以下の式(40)で算出する。
CMBFUEL1 = PORTVPR1+CYLVPR1 (40)
ここで、PORTVPR1:次回燃焼寄与ポート部蒸発量〔mg/cyl〕
CYLVPR1:次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量〔mg/cyl〕
ブロック1016では、前述の目標燃料噴射量RQCYLFUELを取り込む。
ブロック1017では、同期燃料噴射量を算出する。これを、図24のフローチャートを用いて以下に説明する。
図24は、図10における、同期燃料噴射量算出手段1017の詳細構成例を示すフローチャートである。ステップ2401では、行程情報STROKE1を取り込む。ここで、行程情報STROKE1は吸気・圧縮・膨張・排気行程の各々の開始で値を更新し、クランク角センサから算出するものである。ステップ2402では、行程情報が変化したかどうかを判断し、行程情報が変化していない場合は、ステップ2403へ進み、同期燃料噴射量INJFUEL1〔mg/cyl〕の値を保持する。
INJFUEL1 = INJFUEL1[Z] (41)
ここで、INJFUEL1[Z]:同期燃料噴射量の前回計算値〔mg/cyl〕
行程情報が変化した場合は、ステップ2404へ進み、燃料カット要求があるかどうかを判断し、燃料カット要求がある場合は、ステップ2405へ進み、同期燃料噴射量INJFUEL1〔mg/cyl〕の値を0とする。
ここで、燃料カット要求は、エンジンの高回転時や、車両の高車速時などに、燃料カットが必要となる所定のエンジン状態となった場合に成立するフラグとする。
燃料カット要求がない場合は、ステップ2406へ進み、同期燃料噴射量INJFUEL1〔mg/cyl〕を以下の式(42)で計算する。
INJFUEL1 = (RQCYLFUEL−CMBFUEL1)/(1− KFPORTIN)+INJFUEL1[Z] (42)
ここで、RQCYLFUEL:目標燃料噴射量〔mg/cyl〕
CMBFUEL1:次回燃焼寄与燃料量〔mg/cyl〕
KFPORTIN:同期噴射時のポート部燃料付着率〔−〕
INJFUEL1[Z]:同期燃料噴射量の前回計算値〔mg/cyl〕
以上説明したように、同期燃料噴射量は、目標燃料噴射量と、次回燃焼寄与燃料量との差分に、ポート付着分の増量補正を実施して求める。
図25は、図10における、同期噴射実行時の燃料噴射量算出手段1001の詳細構成例を示すフローチャートである。ステップ2501では、前述の同期燃料噴射量INJFUEL1を取り込み、ステップ2502では、同期噴射実行するかどうかを判断し、同期噴射実行する場合は、ステップ2503へ進み、同期噴射実行時の燃料噴射量INJFUEL1S〔mg/cyl〕を以下の式(43)で算出する。
INJFUEL1S = INJFUEL1 (43)
ここで、INJFUEL1:同期燃料噴射量〔mg/cyl〕
同期噴射実行しない場合は、ステップ2504へ進み、同期噴射実行時の燃料噴射量INJFUEL1S〔mg/cyl〕の値を保持する。
INJFUEL1S = INJFUEL1S[Z] (44) ここで、INJFUEL1S[Z]:同期噴射実行時の燃料噴射量の前回計算値〔mg/ cyl〕
ブロック1018では、非同期燃料噴射量を算出する。これを、図26のフローチャートを用いて以下に説明する。
図26は、図10における、非同期燃料噴射量算出手段1018の詳細構成例を示すフローチャートである。ステップ2601では、前述の行程情報STROKE1を取り込む。ステップ2602では、同期噴射実行、非同期噴射実行、圧縮行程の何れかが成立したかどうかを判断し、成立した場合は、ステップ2603へ進み、中間変数rqcylfuelsを以下の式(45)で算出する。
rqcylfuels = RQCYLFUEL (45)
ここで、RQCYLFUEL:目標燃料噴射量〔mg/cyl〕
前記ステップ2602の条件が不成立の場合は、ステップ2604へ進み、中間変数rqcylfuelsの値を保持する。
rqcylfuels = rqcylfuels[Z] (46)
ステップ2605では、非同期燃料噴射量を以下の式(47)で算出する。
irqfuel1b = (RQCYLFUEL−rqcylfuels)
/(1−KFCYLIN) (47)ここで、RQCYLFUEL:目標燃料噴射量〔mg/cyl〕
KFCYLIN:(非同時噴射時)ポート部燃料付着率〔−〕
ステップ2606で前述の中間変数irqfuel1bとしきい値IRQFUELGO#とを比較し、非同期噴射実行するかどうかを判断する。ステップ2606の条件が成立した場合は、ステップ2607へ進み、前述した中間変数irqfuel1bを非同期燃料噴射量IRQFUEL1〔mg/cyl〕とする。
IRQFUEL1 = irqfuel1b (48)
ステップ2606の条件が不成立の場合は、ステップ2608へ進み、非同期燃料噴射量IRQFUEL1〔mg/cyl〕をIRQFUEL1=0とする。
以上説明したように、非同期燃料噴射量は、目標燃料噴射量と、所定条件成立時の目標燃料噴射量との差分に、ポート付着分の増量補正を実施して求める。
図27は、図1に示されるエンジン10の吸気ポート29及びシリンダヘッド12A付近の概略拡大図であり、これまでに説明したポート温度、シリンダヘッド温度、ポート部付着燃料、シリンダ内壁面付着燃料を概略的に示している。本実施例では、ポート温度及びシリンダヘッド温度を推定し、ポート部付着燃料や、シリンダ内壁付着燃料からの蒸発分を考慮し、次回の燃焼に寄与する燃料噴射量を予測し、燃料噴射量を補正・算出するものである。図示している部分にセンサを取り付け、測温するように構成しても良い。
図29は、本実施例の次回燃焼寄与燃料量算出手段を備えた燃料噴射制御装置1が、エンジンを制御している際の各変数の挙動を表したタイムチャートの一例を示す。エンジン回転数は2000r/minからの加減速、エンジン水温は−20℃一定を想定している。(A)は燃料噴射量、(B)は要求燃料量、(C)は燃料液膜量、(D)は燃料蒸発量、(E)は噴射パルス幅の挙動を表している。(A)は、実線の目標燃料噴射量(RQCYLFUEL)に対する、同期燃料噴射量(INJFUEL1)の挙動を点線で表している。(B)は、実線の目標燃料噴射量(RQCYLFUEL)に対する、次回燃焼寄与燃料量(CMBFUEL1)の挙動を点線で表している。(C)は、ポート部液膜燃料量(PORTFWL1)の挙動を実線で表し、シリンダ壁面付着量(CYLFWL1)の挙動を点線で表している。(D)は、次回燃焼寄与ポート部蒸発量(PORTVPR1)の挙動を実線で表し、次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量(CYLVPR1)の挙動を点線で表している。
本実施例では、ポート温度、シリンダヘッド温度を推定し、図10に示される機能ブロックを経てポート部液膜燃料量(PORTFWL1)、シリンダ内壁面付着量(CYLFWL1)を算出し、次回の燃焼に寄与するポート部とシリンダ部の蒸発量(PORTVPR1、CYLVPR1)をそれぞれ算出し、次回燃焼寄与燃料量(CMBFUEL1)を算出し、次回燃焼寄与燃料量(CMBFUEL1)と、目標燃料噴射量(RQCYLFUEL)との差分に補正を加え、同期燃料噴射量(INJFUEL1)を算出する。前述の同期燃料噴射量(INJFUEL1)を噴射パルス幅に換算すると、(E)の点線で示すようになる。加速時などに目標燃料噴射量(RQCYLFUEL)が増加したときには、実線の従来技術の噴射パルス幅に対し、本実施例では噴射パルス幅が短くなる。また、減速時などに目標燃料噴射量(RQCYLFUEL)が減少したときには、実線の従来技術の噴射パルス幅に対し、本実施例では噴射パルス幅が短くなる。
以上説明したように、本実施例では、エンジン水温が略同じ状態で加減速を繰り返し際、時間経過につれて燃料噴射補正量が減少するようになっている。
図30は、本実施例での燃料噴射補正量の挙動を示すタイムチャートである。図から分かるように、シリンダヘッド温度、ポート温度に応じて補正量が変化するため、エンジン水温が略同じ状態での加減速繰り返し時に、燃料噴射量補正が変化しないことによる空燃比変動を抑えることが可能となる。この結果、無用なトルク変動や排気エミッション特性の悪化等を招くことがないようにできる。
以上、本発明の一実施形態について、詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。また、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
本発明に係る燃料噴射制御装置の一実施例を、それが適用された車載用エンジンの一例と共に示す概略構成図。 図1に示されるコントロールユニットの内部構成を示す概略図。 コントロールユニットが実行する燃料噴射制御概要等を示す機能ブロック図。 実施例の燃料噴射制御の概要を示す機能ブロック図。 図4に示される目標燃料噴射量算出モデル201の処理内容を示すフローチャート 図4に示されるポート温度、シリンダヘッド温度推定モデル202の処理内容を示すブロック図。 図6における、平均有効ガス温度推定モデル601の処理内容を示すフローチャート。 図6における、シリンダヘッド温度推定モデル602の処理内容を示すフローチャート。 図6における、ポート温度推定モデル603の処理内容を示すフローチャート。 図4における、次回燃焼寄与燃料量推定モデル203の処理概要を示すブロック図。 図10における、同期噴射時ポート部燃料付着量算手段1002の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、非同期噴射時ポート部燃料付着量算出手段1004の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、ポート部燃料液膜量算出手段1005の詳細構成例を示すフローチャート。 図10における、ポート部燃料蒸発量算出手段1006の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、次行程ポート部燃料液膜量算出手段1007の詳細構成例を示すフローチャート。 図10における、シリンダへの流入燃料算出手段1008の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、非同期噴射燃料のシリンダ内流入分算出手段1009の詳細構成例を示すフローチャート。 図10における、シリンダ流入液膜燃料算出手段1010の詳細構成例を示すフローチャート。 図10における、シリンダ流入液膜燃料付着量算出手段1011の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、シリンダ壁面付着量算出手段1012の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、シリンダ部燃料蒸発量算出手段1013の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、次回燃焼寄与シリンダ部蒸発量算出手段1014の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、次回燃焼寄与燃料量算出手段1015の詳細構成例を示すブロック図。 図10における、同期燃料噴射量算出手段1017の詳細構成例を示すフローチャート。 図10における、同期噴射実行時の燃料噴射量算出手段1001の詳細構成例を示すフローチャート。 図10における、非同期燃料噴射量算出手段1018の詳細構成例を示すフローチャート。 図1に示されるエンジン10の吸気ポート29及びシリンダヘッド12A付近の概略拡大図。 本発明が解決しようとする課題の説明に供されるタイムチャート。 実施例の次回燃焼寄与燃料量算出手段を備えた燃料噴射制御装置がエンジンを制御している際の各変数の挙動の一例を示すタイムチャート。 実施例での燃料噴射補正量の挙動を示すタイムチャート。
符号の説明
1 ・・・燃料噴射制御装置
10 ・・・エンジン
12 ・・・シリンダ
12A・・・シリンダヘッド
12B・・・シリンダブロック
17 ・・・燃焼作動室
20 ・・・吸気通路
29 ・・・吸気ポート
30 ・・・燃料噴射弁
35 ・・・点火プラグ
52 ・・・吸気圧センサ
57 ・・・酸素濃度センサ
55 ・・・クランク角センサ
58 ・・・スロットル開度センサ
100・・・エンジンコントロールユニット(ECU)
102・・・目標燃料噴射量計算手段
103・・・シリンダヘッド温度・ポート温度推定手段
104・・・次回燃焼寄与燃料量・燃料噴射量計算手段
201・・・目標燃料噴射量算出モデル
202・・・ポート温度、シリンダヘッド温度推定モデル
203・・・次回燃焼寄与燃料量推定モデル

Claims (6)

  1. 吸気ポートに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁が配設されたエンジンの燃料噴射制御装置であって、
    前記エンジンの運転状態に基づいて目標燃料噴射量を算出する目標燃料噴射量算出手段と、シリンダヘッドの温度を推定するヘッド温度推定手段と、前記吸気ポートの温度を推定するポート温度推定手段と、吸気行程終了時に前記シリンダヘッド温度及び吸気ポート温度に基づいてシリンダ内部及び吸気ポートに付着残留している燃料のうちの次回の吸気行程から始まる燃焼サイクルにおいて燃焼に寄与する燃料量を推定する次回燃焼寄与燃料量推定手段と、前記目標燃料噴射量及び次回燃焼寄与燃料量に基づいて前記燃料噴射弁から噴射すべき燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、を備え、
    前記燃料噴射量算出手段は、エンジンの冷却水温が一定の状態で加減速を繰り返した際、時間経過につれて前記加速時および減速時における燃料噴射量の補正量が、前回の前記加速時および減速時における燃料噴射量の補正量よりも減少するように構成されていることを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 前記ヘッド温度推定手段は、エンジンの運転状態に基づいて、シリンダヘッド温度を推定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  3. 前記ポート温度推定手段は、前記推定されたシリンダヘッド温度に基づいて前記吸気ポート温度を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  4. 前記次回燃焼寄与燃料量推定手段は、次回の燃焼サイクルにおいて燃焼に寄与するポート部蒸発量を推定する手段と、次回の燃焼サイクルにおいて燃焼に寄与するシリンダ内部蒸発量を推定する手段とを備え、前記次回燃焼寄与ポート部蒸発量及び次回燃焼寄与シリンダ内部蒸発量に基づいて次回燃焼寄与燃料量を推定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  5. 前記次回燃焼寄与ポート部蒸発量推定手段は、同期噴射実行時の燃料噴射量及びポート部に付着した燃料からの燃料蒸発量に基づいて前記次回燃焼寄与ポート部蒸発量を推定することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  6. 前記次回燃焼寄与シリンダ内部蒸発量推定手段は、吸気ポート部に付着した燃料からシリンダ内へ流入する燃料量及び該シリンダ内流入燃料から蒸発する燃料量に基づいて、シリンダ内部蒸発量を推定することを特徴とする請求項4又は5に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
JP2008059731A 2008-03-10 2008-03-10 エンジンの燃料噴射制御装置 Expired - Fee Related JP4986895B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008059731A JP4986895B2 (ja) 2008-03-10 2008-03-10 エンジンの燃料噴射制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008059731A JP4986895B2 (ja) 2008-03-10 2008-03-10 エンジンの燃料噴射制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009215943A JP2009215943A (ja) 2009-09-24
JP4986895B2 true JP4986895B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=41188054

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008059731A Expired - Fee Related JP4986895B2 (ja) 2008-03-10 2008-03-10 エンジンの燃料噴射制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4986895B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6187538B2 (ja) * 2015-05-15 2017-08-30 トヨタ自動車株式会社 シリンダヘッド
JP2017032492A (ja) 2015-08-05 2017-02-09 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03189342A (ja) * 1989-12-18 1991-08-19 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JPH11218043A (ja) * 1998-02-03 1999-08-10 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP4103726B2 (ja) * 2003-08-22 2008-06-18 日産自動車株式会社 エンジンの燃料噴射量制御装置
JP2007231834A (ja) * 2006-03-01 2007-09-13 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置
JP2008128018A (ja) * 2006-11-16 2008-06-05 Yanmar Co Ltd 内燃機関の制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009215943A (ja) 2009-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5761379B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP4583313B2 (ja) 車両用制御装置
JP4446084B2 (ja) エンジンの制御装置
US8326516B2 (en) Engine control device
JP6489085B2 (ja) エンジン制御装置
EP1900929B1 (en) Engine control system
US8000881B2 (en) Internal combustion engine control device
JP3467455B2 (ja) 内燃機関の気筒別空燃比推定装置
JP2009062862A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP4534914B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
US7809494B2 (en) Engine control apparatus
JP4986895B2 (ja) エンジンの燃料噴射制御装置
JP4871307B2 (ja) エンジンの燃料制御装置
JP5310102B2 (ja) 内燃機関の制御装置
US20010047795A1 (en) Fuel injection control system for internal combustion engine
JP5303349B2 (ja) 内燃機関のegr制御装置
JP3231947B2 (ja) 内燃機関の燃焼異常検出方法
JP3945298B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP5043797B2 (ja) エンジンの制御装置
JP3627658B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP4956473B2 (ja) 燃料噴射制御装置
JP5472270B2 (ja) 車両の制御装置
JP2005069045A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JPH10266886A (ja) 内燃機関の燃料カット制御装置
JP4133288B2 (ja) 内燃機関の可変バルブタイミング制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20100115

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111011

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120327

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120424

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4986895

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees