JP4986317B2 - イオン注入装置およびイオン注入方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン注入装置およびイオン注入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン注入装置は長年にわたって半導体ウェーハ処理に使用されてきた。一般に所要種のイオンビームが生成され、ウェーハその他の半導体基板に送出されて、イオンはウェーハの表面下に注入されることになる。通常注入技術を用いてウェーハ中に所要ドーパントのイオンを注入することによって、導電状態の変化した半導体ウェーハ内領域が生成される。このために用いられる代表的なイオン種はホウ素、燐、ヒ素、アンチモンである。しかし例えば酸素等他のイオン種も他の目的で用いられる。
【0003】
注入イオンがウェーハ表面に浸透する深さはイオンビーム中のイオンのエネルギーに大きく左右される。半導体産業は例えば部品サイズの小さい微細構造には極めて浅い注入を求める一方、例えば埋設層には比較的深い注入を求めている。また半導体処理産業の全般的要請として、処理時間の可能な限りの短縮があるが、これは半導体ウェーハに単位面積、単位時間毎に注入するイオン量の可能な限りの増大を意味する。これが意味するのは、イオン注入が、単位時間毎にウェーハ表面に到達するビーム中の所要イオン数の基準である、高ビーム電流で実施されることである。
【0004】
(一重荷電イオンの場合)約200keVまでのビームエネルギーは静電加速装置を用いて極めて容易に得ることができるが、該装置においてイオン源は注入されるウェーハに対して一定電圧に保たれ、該一定電圧は注入時ビーム中のイオンのエネルギーを規定する。
【0005】
すでに周知のように高周波線形加速器は高ビームエネルギーの達成に有用である。
【0006】
線形加速器構造は所定注入エネルギーで加速器に注入される所定質量/電荷比の荷電粒子を加速する。高周波線形加速器の固有の特質は、加速器を通過する粒子あるいは粒子束が必ず連続加速間隙に印加される電圧の正弦波形の正確な領域で該間隙に到達するということである。基本的に各粒子(あるいは粒子束)は加速空洞を横断するので、所定時間に間隙の電界によって決まる所定エネルギー量(速度増)を受取る。加速器が特定の質量/電荷比および注入エネルギーの粒子にセットアップされている場合、第1間隙によって加速された粒子は次の加速間隙に、まさに該間隙の電界が更なる加速を行うのに最適であるように到達する。エネルギーは同一だが第1間隙を横断する質量対電荷比が高い粒子は低速で第1間隙から移動し、従って次の間隙に印加される高周波波形で晩期に該間隙に到達する傾向がある。同様に、第1間隙を横断する軽量粒子は第2間隙に早期に到達する。この過剰な加速間隙の累積効果によって、加速器がセットアップされている質量対電荷比と異なる質量対電荷比の粒子は、以後の加速間隙に粒子が適切に加速されない時間に到達する。
【0007】
線形加速器技術において周知のように、イオン種の異なる高エネルギービームを発生させるため、加速器のセットアップは選択イオンの質量対電荷比を整合させる変更を必要とする。注入に有用なイオンの中で一重荷電ホウ素(B+)は約11の質量/電荷比を有し、一重荷電燐(P+)は約31の質量/電荷比を有する。一重荷電ヒ素は約75の質量対電荷比を、一重荷電アンチモンは約122の質量対電荷比を有する。
【0008】
イオン注入における高周波線形加速器の使用は少なくとも1976年以来提案されており、「単一ステージ加速器のアップグレード」(ベッジ他、461〜468ページ)、小型加速器の科学的工業的応用に関する第4回会議議事録(1979年10月27〜29日、ノーステキサス州立大学)、および「ハイデルベルクMPタンデム加速器における重量イオンの加速後」(1976年5月ハイデルベルク、マックス・プランク研究所核物理学J.P.ヴュルム編集)がある。米国特許第4667111号は2meV以上の極限ビームエネルギーを供給する高周波線形加速器を組み込んだイオン注入装置を開示している。高周波線形加速器は一連のいわゆる二間隙加速空洞から形成される。加速器をセットアップするには、加速器の連続空洞内に高周波電界の周波数を同一に保った状態で、ある二間隙空洞の波形の位相を先の二間隙空洞に対し調節し、その波形の正確な点を到来する選択種イオンに与えるようにする。結果としての二間隙手段は達成性能に対し極めて長大となる傾向がある。上記公報は連続した10以上の二間隙空洞の使用を意図しているとともに比較的低いビーム電流に制限される。低ビーム電流は高エネルギーでは申し分ないが、装置を比較的低いエネルギーで作動する時は処理速度向上のため高ビーム電流が望ましい。
【0009】
特開平9−237700は1つ以上の三間隙高周波加速器空洞を形成した高周波加速器を用いるイオン注入装置を開示している。 これに関連して線形加速器技術では、例えば上記米国特許で用いられている二間隙加速器空洞は一定の、通常接地電位の入口、出口電極と、高周波が印加される単一中間電極とを有し、これによって高周波電極の対向する側に一対の加速間隙を形成する。周知のように三間隙空洞は一定の、通常接地電位の入口、出口電極と、3つの間隙を画成する一対の中間電極とを有する。中間電極は逆極性の高周波によって励起される。従って励起高周波電圧の振幅がVである場合、空洞の最初と最後の間隙の最大加速電位はVであり、2つの中間電極間の最大加速電位は2Vである。
【0010】
上記特開平9−237700によれば、三間隙高周波加速器空洞への注入エネルギーは比較的高いと思われる。上記公報は通常の分析マグネットの下流ではなく三間隙空洞の上流に何らかの形のビーム加速器を意図しており、該加速器はイオン源から放出されたイオンから注入に必要な特定種のイオンを分離する。米国特許第5801488号は上記特開平9−237700と同一譲受人に譲渡されているが、三間隙線形加速器ステージの上流に具備された高周波磁気的4重極加速器を開示している。
【0011】
同一装置の特徴を開示する特開平7−57897、特開平7−57898や論文「高エネルギーイオン注入装置用高周波・三間隙高周波加速器を用いるビーム線の開発」(藤沢他、1998年6月24日京都IITにて発表)もあげることができる。
【0012】
全般的に上記日本国引例の開示する注入手段は極めて大型で製造コストが高いと思われる。さらに、比較的低いエネルギーで作動する時、ビーム電流は極めて小さい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高エネルギービームを発生するとともに低エネルギーで良好なビーム電流で作動し得る少なくとも1つの高周波加速器ステージを用いるイオン注入装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
従って一態様によれば、本発明はイオン注入装置において、第1エネルギーにある注入イオンのビームを発生するイオンビーム発生器と、励起時に前記ビームのイオンを第2エネルギーに加速するよう設けられた高周波線形加速器アセンブリと、を備え、前記アセンブリは前記ビームのイオンのエネルギーを変化させる一連の間隙を画成する複数の電極を備え、前記電極はイオンが通過する複数のアパーチャを有し、加速器アセンブリの間隙を画成する電極のアパーチャはそれぞれビーム方向と交差する第1直交方向の第1寸法とビーム方向と交差する第2直交方向の第2寸法とを有し、第1間隙を画成する少なくとも第1電極のアパーチャの第1寸法は前記第1電極アパーチャの第2寸法より小さい、イオン注入装置を提供する。この第1電極のアパーチャはスリット状であってよい。このような電極アパーチャ形状では、小さい第1寸法はアパーチャへの電界浸透を制限するのに効果的である。これは電極アパーチャの電位を確保するのに重要であり、ビームの中心軸位置においても電極の電位とほとんど同一である。さもないと過剰な電界浸透によって、低い高周波電圧を必要とする電極をビーム方向に長くしなければならなくなる場合がある。また、電界浸透の減少は加速器の間隙のいわゆる「走行時間係数」を大きくすることによって効率を向上し得る。一方大きい第2寸法は、第2寸法よりはるかに小さい前記第2直交方向幅を有するビーム中の電極アパーチャを通過するイオンに関し、前記第2直交方向の電界の合焦作用を低減し得る。
【0015】
ビーム方向でアセンブリの第1電極から離隔した第2電極も、第1寸法が第2寸法より小さいアパーチャを有してよい。アセンブリの少なくとも第1空洞の全電極がこのように形成されるのが好ましい。
【0016】
この構成は特にビーム合焦用の磁気的4重極と組み合わせると、加速ビームイオンを励起する時ばかりでなくドリフトモードで作動する時も、加速器アセンブリを貫通すビーム電流を高めることができる。こうした状況において「ドリフトモード」は、高周波電圧が高周波加速器アセンブリの電極のいずれにも印加されない状態でイオン注入装置を作動することを示し、イオンは「第1エネルギー」あるいは注入エネルギーで、あるいは減速装置が具備されている場合それより低いエネルギーでも高周波加速器に注入される。
【0017】
線形加速器アセンブリの全長を最小限とするために、該アセンブリは少なくとも1つの三間隙線形加速器ステージから形成されるのが好ましい。3つの間隙空洞から形成される線形加速器は、2つの間隙空洞から形成される同等加速器によって得られると同じエネルギー増分を行うため全体的に短縮可能である。
【0018】
また本発明は、イオン注入装置において、所定の質量/電荷比を有すると共に注入エネルギーEである注入イオンビームを発生するイオンビーム発生器と、前記イオンビームが前記注入エネルギーで送出される対象とされ、励起時に前記ビームのイオンを第2エネルギーに加速するよう設けられ、一定電位に保持された入口電極と一定電位に保持された出口電極とを備える三間隙線形加速器ステージと、前記入口、出口電極電極間に直列配置された第1、第2高周波電極と、逆極性で所定周波数fの高周波電圧を前記第1、第2電極にそれぞれ印加する高周波発生器とを備え、前記入口電極および第1高周波電極は第1加速間隙を画成し、前記第1、第2高周波電極は第1間隙の中心点から第1の所定間隔dの中心点を有する第2加速間隙を画成し、前記第2高周波電極および出口電極は第2間隙の中心点から第2の所定間隔dの中心点を有する第3加速間隙を画成するとともに、前記間隙のいずれかで絶縁破壊が生ずる高周波エネルギーの最大振幅以下の振幅において、前記ビームの注入イオンが第1間隙の高周波電界が最大減速電界から最大加速電界に上昇する時第1間隙を横断し、次いで第2間隙の電界が最大加速電界時に第2間隙を横断し、第3間隙の電界が最大加速電界から最大減速電界に下降する時第3間隙を横断するよう注入エネルギーEと周波数fと間隙間隔d、dとが選択されるよう構成されたイオン注入装置を提供する。
【0019】
線形加速器作動の標準的な方法によれば、加速器の長手方向に通過するイオン束が、最大加速を発生する各加速間隙の高周波電界のピーク時あるいは直前に該間隙に到達するよう、加速器を駆動・構成する必要がある。ピーク直前に到達させることによって、時間的に相違して到達する束中のイオンによってなされる電界強度の変化は束中の晩期に到達するイオンの加速を大きくし、束中の早期に到達するイオンの加速を小さくする傾向がある。従ってイオンが加速器を通過する時、束になる傾向が維持される。
【0020】
しかしすでに周知のように、三間隙加速器ステージの作動には際立った利点があり、第1間隙の最大加速電界点以前の第1間隙に到達するイオンは最大加速電界で第2間隙に到達し、最大加速電界点以後の第3間隙を横断することになる。このように加速器ステージをセットアップすることで加速器に注入されるビームからのイオンの受入れが最大となる。第1間隙を横断するイオンに生じたエネルギー拡散は、イオンが第3間隙を横断する時再びなくなる傾向がある。この結果、加速器ステージは、該加速ステージを離れるイオンのエネルギーの所望パーセンテージ拡散を得るために、大きな高周波位相角拡散にわたって第1間隙を横断するイオンを受入れることができる。第1間隙で生じるエネルギー拡散が第3間隙に到達する時間によってイオンの位相拡散を低減させるのに効果的である場合、第3間隙はエネルギー拡散をそれほど効果的になくさなくともよい。しかしこのようなイオンはまた第2間隙を横断する時位相拡散が小さいので、第2間隙で生ずるエネルギー拡散は低減される。全体的な効果は加速器ステージを離れるイオンの全体的パーセンテージエネルギー拡散の低減とほぼ同等である。
【0021】
また重要なのは、このような装置は加速ステージを様々な高周波電圧振幅で使用可能とすることである。高周波振幅を最大値から減少させることは、加速ステージを通過するビームイオンに付与されるエネルギー増分を減少させる効果がある。重要なのは、加速器ステージを上記のように作動するよう構成することによって、加速器ステージを通過し目標エネルギーに加速される注入イオンの比率が、広範囲の印加高周波電圧にわたって維持されることである。これは加速器ステージを、注入イオンビームにエネルギー増分範囲を与える一方、加速されたビーム中のビーム電流を良好に維持するよう作動可能とする。
【0022】
これはイオン注入にとって特に重要であって、ここではイオンを適切に規定されたエネルギーでターゲット基板に送出するのが極めて重要なのである。高周波線形加速器ステージによって加速されたイオンの過度のエネルギー拡散は、所要目標エネルギーを有するビーム中のイオンが少なくなる結果となり、これによってターゲット基板での所要エネルギーの有効ビーム電流が減少する。
【0023】
また本発明は、ターゲット基板へのイオン注入方法において、第1エネルギーのイオンのビームを発生するステップと、ビーム方向に沿ってタンデムの少なくとも第1、第2のブースタステージを有する高周波加速器アセンブリを用いてビーム中のイオンのエネルギーを第2エネルギーに変化させるステップとを備え、各ブースタステージは入口、出口電極と、一連の間隙を画成し前記ビームのイオンのエネルギーを変化させる少なくとも1つの中間高周波電極とを備え、第1ブースタステージの出口電極および第2ブースタステージの入口電極は両者間に、ビームイオンが高周波電界を受けないブースタステージ間のドリフト距離を画成し、前記ドリフト距離での第1ブースタステージから第2ブースタステージまでのイオン束の速度、従って飛行時間が調節される一方、各ステージの電界位相を一定値にそれぞれ固定するよう構成されたターゲット基板へのイオン注入方法を提供する。これは線形加速器の第2ステージでイオン束の到着時間を制御する極めて簡単かつ便利な方法を提供する。このため高周波加速を用いて、質量対電荷比の範囲以上のイオン種を高エネルギーイオン注入に有用なエネルギーまで加速するが、両ブースタステージの位相を別々に変化させるという複雑化には拠っていない。
【0024】
これを達成する一方法は、第1ブースタステージの高周波電界の振幅を調節することであり、これによって第1ブースタを出る束のエネルギー、すなわち速度を調節する。
【0025】
特に線形加速器のセットアップはドリフト距離でのイオン速度を変化させることによって第1質量/電荷比のイオンビームの加速から第2質量/電荷比のイオンビームの加速へ変化させる一方、第1、第2ブースタステージの高周波電界の位相をそれぞれ一定値に固定状態としてよい。このように、加速器のセットアップは容易に変更して質量電荷比の異なるイオンを加速することができる。
【0026】
ドリフト距離は入口、出口電極間の第1ブースタステージの長さ以上であるのが好ましい。その場合第1ブースタステージを出たイオン束の比較的少ない速度(エネルギー)変化は、第2ブースタステージでのイオン束の到着時間に実質的な効果を与え得る。
【0027】
別の態様によれば、本発明はイオン注入装置であって、第1エネルギーにある注入イオンのビームを発生するイオンビーム発生器と、励起時に前記ビームのイオンを第2エネルギーに加速するよう設けられた高周波線形加速器アセンブリであって、前記アセンブリは、ビーム方向に沿ってタンデムの少なくとも第1、第2の共振空洞を有し、前記空洞は入口、出口電極と、一連の間隙を画成し前記ビームのイオンのエネルギーを変化させる複数の電極と、第1周波数の高周波エネルギーの第1電源を前記第1空洞に供給する高周波電源とを備え、前記第1空洞は第1周波数で共振しこれにより第1空洞内の電極間隙間に対応第1高周波加速電界を生成し、前記第1電界は位相および振幅を有し、前記高周波電源は前記第1周波数と同一あるいはその高調波である第2周波数の高周波エネルギーの第2電源を前記第2空洞に供給し、前記第2空洞は第2周波数で共振しこれにより第2空洞内の電極間隙間に対応第2高周波加速電界を生成し、前記第2電界は位相および振幅を有する、励起時に前記ビームのイオンを第2エネルギーに加速するよう設けられた高周波線形加速器アセンブリと、第1空洞内の第1電界の振幅を調節することによって、第1空洞から第2空洞までのイオン束の飛行時間を調節する一方、前記第1、第2電界の位相を一定値に固定状態とするコントローラとを備える、イオン注入装置を提供する。
【0028】
次に本発明の好ましい実施例を説明する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の各態様は、バッチウェーハを同時処理する注入装置と単一ウェーハを一つずつ処理する単一ウェーハ注入装置の両方を含む、異なる多くの種類のイオン注入装置において使用可能である。図1は高周波線形加速器アセンブリ10を組み込んだ単一ウェーハ注入装置を示している。図1の簡略化した装置において、注入装置は所定エネルギーEのイオンビームを分析マグネット12に送出するイオン源11を備える。所要速度×質量/電荷(m/e)比のイオンのみが分析マグネット12の出口の質量選択スリット13を通過し、なおエネルギーEのビーム14として高周波加速器アセンブリ10に入る。高周波加速器アセンブリ10を出たビームは次にビームスキャン装置15に入るが、該装置はイオンビームをビーム方向と交差する方向16に往復スキャンするよう設けられている。スキャン装置15は静電的なものでも電磁的なものでもよい。電磁スキャン装置は特に高速流ビームの応用において好ましい。好適な電磁スキャン装置は米国特許第5393984号に開示されている。スキャンされたビームは次にプロセスチャンバ17に入るが、該チャンバ内には半導体基板18がホルダ19に保持されている。ホルダ19は全体として20で示される機械的スキャン機構に装着されるが、該機構は、図1において紙面に垂直な方向とスキャンビーム面の幅方向にウェーハを往復運動させるよう作動可能である。ビームスキャンとウェーハホルダ19の機械的スキャンの組合せによって、ビームは注入処理中にウェーハのあらゆる部分をスキャンし得る。処理済みウェーハはホルダ19から取り外されてプロセスチャンバ17から移動され、処理用の新しいウェーハがプロセスチャンバ17に導入され、ロードロック21を介し且つ簡略化のため本図に図示しないロボット操作機構を用いて1回に1つずつホルダ19に装着される。
【0030】
単一ウェーハ注入装置の詳細は米国特許第5003183号および同第5229615号から、また国際特許出願第WO99/13488号からのプロセスチャンバの好ましい形態から決定し得る。注入装置のイオン源、質量選択マグネット、スキャン・処理機構の具体的詳細は本発明の態様にさほど重要ではなく、本発明の態様は、もっぱら上記従来例で開示されたような注入装置でイオンエネルギーを増大するのに使用可能な高周波加速器アセンブリの装置に関係する。
【0031】
本発明はバッチ注入装置にも適用可能であるが、該注入装置は通常もっぱら機械的スキャンに拠ってバッチ半導体ウェーハを同時処理する。ウェーハは通常回転ホイールの周辺部の周りに装着され、該ホイールは回転してイオンビーム線を横切ってウェーハを1つずつ移動する。その間ホイールの回転軸は左右に往復運動して直交方向のスキャンを完了する。
【0032】
初めに参照した米国特許第4667111号はこのようなバッチ型注入装置について記載している。また標準的なバッチ型注入装置の詳細については米国特許第5389793号を参照するとよい。
【0033】
もう一度図1を参照すると、高周波加速器アセンブリ10は三間隙加速器ステージとして示されており、逆極性の高周波電圧が電源22から2つの中心電極にそれぞれ印加される。加速器アセンブリの構造・構成の詳細は以下の説明から明らかになる。
【0034】
またバンチャー23は、通常、加速器アセンブリ10の前方に組み込まれ、注入エネルギーのイオン束を加速器に向けて形成・送出して、加速器アセンブリによって加速可能な束になっていないビームからのイオンの比率を増大させる。このようなバンチャーは公知であり、ビームイオン中に制御されたエネルギー拡散を生じ、イオンは加速器アセンブリに入ると物理的に束ねられることになる。公知のバンチャーは、束ねられたイオンの平均エネルギーの全体的増加を招くことなく、束になっていないビームイオンの最大比率を束にするために捕捉するよう構成されている。図1においてバンチャー23は高周波電源24から通電される中心電極を有する二間隙装置として示されている。バンチャーの目的および作用は「線形加速器の理論」(A.D.ヴラゾフ著、第2.5章、1968年イングリッシュトランスレーション刊)に記載されている。
【0035】
また高周波加速器アセンブリ10に続いて、通常ビーム方向に沿って、全体として図1において25で示されるエネルギーフィルタが設けられる。イオン注入装置において高周波加速器の次にエネルギーフィルタを用いることは周知である。例えば「高周波加速を用いた高エネルギーイオン注入装置の製作」(グラヴィシュ他著、物理学研究における核計測と方法、B21(1987年)264−269)参照。エネルギーフィルタは半導体基板に注入される、加速器からのイオンのエネルギー範囲を制限するのに用いられる。
【0036】
エネルギーフィルタは静電屈折器あるいは分析マグネット等の公知の形態をとってもよい。
【0037】
図2は、図1のイオン注入装置に高周波加速器アセンブリ10として組み込み可能な高周波加速器アセンブリの好ましい実施例を示す。図2において、分析マグネットからのイオンビームは矢印30の方向の左側から入り、略軸31の線に沿って加速器を通過する。
【0038】
加速器はタンデムの2つの三間隙高周波ブースタ空洞から形成され、全体として32、33で示してある。図2は全体として加速器アセンブリの正面図であるが、アセンブリの真空チャンバの外壁の一部は破断されていて、空洞32、33によって示される両加速ステージの電極の位置が分かる。
【0039】
従って、空洞(あるいはステージ)32は入口電極35と出口電極36とを有する。入口、出口電極35、36は各々アセンブリの真空チャンバの壁部に取付けられ、従って同一の一定電位、通常は接地電位に保たれる。電極35、36間には第1、第2高周波電極37、38がある。電極37、38は真空チャンバの壁部から電気的に絶縁されて取付けられ、両者間の4つの電極35〜38がビーム方向30に沿って3つの連続間隙を画成するのが見られる。以下で明らかになるように電極35〜38は各々軸31上にビームが通過し得るアパーチャを画成する。後述するようにビームは電極間の間隙を移動するので、ビーム中のイオンは電極37、38に印加される高周波電圧によって発生される間隙中の高周波電界によって加速される。
【0040】
第2加速器ステージ33は入口、出口電極40、41と中間高周波電極42、43とを有する類似構成を有し、両者間にビーム方向30に沿って3つの加速間隙を画成する。加速器ステージ32の電極37、38は各々導体45、46に接続され、該導体はそれぞれイオンビームを取り囲むチャンバから共振タンクチャンバ47に至る。タンクチャンバ47の内部では導体45、46がコイルとして形成され接地される。電極37、38と、タンクチャンバ47の各コイルと、電極37、38を取り囲む真空チャンバの接地金属部品と、同じく接地されるタンクチャンバ47自体との結合物は共振タンク回路を形成し、加速器の所望作動周波数、一般的には10〜50MHzの範囲で共振するよう構成されている。本実施例において作動周波数は約20MHzである。
【0041】
本実施例においては、共振タンクチャンバ47の内部は電極37、38を収容する真空チャンバの内部に開口しているので、タンクチャンバ47の内部も真空である。
【0042】
第2加速器ステージ33の電極42、43も同じく導体によって同様の共振タンクチャンバ48内のコイルに接続される。 タンクチャンバ48、電極42、43によって形成されたタンク回路も同じく第1共振空洞32と同様の共振周波数を有して設けられる。
【0043】
運転中、高周波電源が関連タンクチャンバ47、48を有する空洞32、33によって形成される共振回路に供給されるので、高周波電極37、38、42、43は逆極性、共振周波数で通電される。以下で詳述するように、軸31に沿ったイオンビームからのイオン束は両共振空洞内の電極間の空隙を移動する際加速され、エネルギーを増加して加速器アセンブリから出てくる。
【0044】
図2も、50、51、52、53でビーム軸31に沿った磁気的4重極の位置を示す。磁気的4重極は公知のようにイオンビームの膨張を制御し、ビームを所要焦点あるいはウェストに戻すのに用いられる。磁気的4重極51〜53はビームが高周波加速器を通過する時ビームの膨張を制御するのに用いられる。
【0045】
図2の高周波加速器アセンブリは、図3A、3Bの60で示された一体金属ブロックを用いて構成される。図3Aは図2の上部に対応する上から見た一体ブロック60を示し、図3Bは図2の正面図に対応する側面からの対応図である。ブロック60は基本的に軸31に対応する長手方向に沿って5つの区間61、62、63、64、65に分割される。区間62、64は基本的に、図3BのC−C線およびF−F線に沿った断面図である図3E、3Fに示すように、正方形の横断面を有する。それぞれの場合、区間62、64の前面66、67は組立てられた構造において開口し、これらの面は図2において68、69で部分的に見られる検査ハッチによって閉止される。区間62の下部面はアセンブリの関連共振タンクチャンバ47から区間62の内部に伸長する導体45、46を収容する開口部70を有する。区間62の上面は区間62に組立てられる高周波電極の絶縁取付構造を収容する小開口部71を有する。区間62の背面はアセンブリ内部を排気する吸出ポートに接続可能な別の開口部72を有する。
【0046】
区間64は、上面が関連タンクチャンバ48に連通する開口部73を有するとともに、電極絶縁体が下面のアパーチャ74内に取付けられる以外、基本的に同一構成である。
【0047】
ブロック60の区間61、63、65は、図3BのD−D線に沿った断面である図3Gに示すような横断面形を有する。該形状は、図3Gの矢印Eの方向から見たブロック60の区間65の図である図3Hにも示してある。
【0048】
図3Gにおいて、表面80は区間65に近接する正方形断面区間64の端壁を備える。従って、区間62、64は各々軸31に垂直な面で閉止され、区間62、64と隣接区間61、63、65間の中央円形アパーチャのみを残すことになる。これらの円形アパーチャは図3E、3Fでは81、図3Gでは82で示してある。
【0049】
各区間61、63、65において、ブロック60は隣接する正方形断面区間62、64の角部の中間の軸31に平行な径方向面に伸長するウェブ83、84、85、86を有する。ウェブ83、84、85、86の内側縁端部は、各対の隣接ウェブが各対の隣接ウェブ間でアパーチャ88を囲繞する封止面87を形成するよう形作られる。これらのアパーチャ88はブロック60に装着された磁気的4重極50、51、52、53の磁極を収納するのに用いられる。ブロック60に対するこれら磁気的4重極の構成は以下で詳述する。
【0050】
区間61は区間65と略同一であり、ブロック周りの4箇所にアパーチャ80に対応する単一アパーチャを具備する。しかし区間63は基本的に区間61、65の長さの2倍であり、隣接ウェブ間のブロック周りの4箇所にそれぞれ、軸31に沿って離隔したアパーチャ88に対応する一対のアパーチャを具備する。
【0051】
図4A〜4Dは第1高周波加速器空洞32の高周波電極37、38の構成を示す。電極37、38は各々取付ブロック92から伸長する絶縁柱90、91にそれぞれ装着される。図4AのA−A線に沿った横断面図である図4Bから分かるように、絶縁柱91は止めねじ93によって取付ブロック92に整列・固定されるが、該止めねじは精密ボールをボールと同一直径の円筒状孔部内を摺動させ、絶縁柱91の小円錐形凹部に押圧する。電極38は同様の止めねじ94および関連精密ボールによって絶縁柱91の他端部に整列・固定される。絶縁柱91は通常アルミナから作られる。絶縁柱91の外側端部95は小鐘状ハウジング96内で封止され、絶縁柱の端部95と鐘状ハウジング96の内部間に空洞97を残す。冷却流体を接合部98,99を介して空洞97に送出可能である。これは絶縁柱91の内側端部95にヒートシンクを具備し、電極38を十分冷却するようになっている。
【0052】
電極自体は取付柱91の端部を収容するヨーク100を備える。アパーチャ101はヨーク100を貫通して形成される。図4C、4Dに示すアパーチャ・プレート102が把持板103によって固定されヨーク100の各面を覆っている。アパーチャ・プレート102はアパーチャ・オープニング104を有し、該アパーチャ・オープニングはアパーチャ・プレートが電極38の対向する面の所定位置にある時電極のヨーク100のアパーチャ101と整列し、電極のアパーチャ・オープニングを画成するのに有効である。把持板103は固定ねじ105によってヨーク100に固定される。
【0053】
アパーチャ・プレート102はグラファイトあるいはアルミから形成されてよく、電極のアパーチャを通過するイオンビームによって過度の侵食あるいは腐食が生じた際、交換可能であるよう構成されている。
【0054】
ヨーク100は絶縁柱91を収容するヨークの端部に対向する端部内に形成された短孔部106を含む。この孔部はタンクチャンバ47に伸長して電極38に通電する導体46(図2)を収容するために具備される。孔部106の内部は圧縮可能な円筒状要素を収容する形状をなし、これによって孔部106収容時、電極のヨーク100と導体46間で所要高周波での良好なオーム接触が可能となる。
【0055】
図4Aから分かるように、電極37は上記電極38と同一の基本構成を有する。しかし電極37の長さはビーム方向で電極38より短い。周知のように、電極の長さは粒子速度が増加するにつれて線形加速器に沿って増加し、経路長を増大して粒子速度増加に適応する傾向がある。
【0056】
図4の各電極はブロック60のアパーチャ71(図3F)を貫通して取付けられ、関連タンクチャンバ47からの導体45,46を電極の孔部106に収容した状態で図2に示した位置を占める。
【0057】
タンクチャンバ47内のコイルの形状および取付に係る以下の説明から明らかになるように、導体45、46はそれ自体、図2中110で示したタンクチャンバ47の底端部の個所からのみ取付けられる。導体45、46は電極37、38の孔部106に摺動嵌合するよう設けられ、導体45、46の熱膨張が孔部106の摺動接続で適応可能であって、もっぱら加速器アセンブリのブロック60に固定された取付ブロック92からの絶縁柱90,91によって所定位置に保持されている電極37,38の位置に応力を加えたり、いずれにせよ変更したりしないようになっている。
【0058】
オーム高周波接触を良好にするために孔部106に装着された導電スリーブは圧縮可能なルーバ円筒形条片であり、「マルチラム(Multi-Lam)」という商品名で知られている。
【0059】
図5A、5Bは第2共振空洞33の電極アセンブリを示す。該アセンブリは図4A、4Bと比較すると反対側から図示してあるので、ビームは電極42、43を図5A中右から左に通過するよう示されている。また図5Aの電極アセンブリも図2の装置に対して逆に(上下反対に)示してある。
【0060】
その他の点では、図5A、5Bの電極アセンブリは、図4A、4B、4C、4Dに示した電極37、38と略同一構成である。電極42、43の支持柱111と112間の間隔は電極、特に下流の高周波電極43の付加的な長さに対応するため若干大きくなっている。
【0061】
図5Aの電極アセンブリは、図3Eのアパーチャ74を介してブロック60内に取付けられ、関連タンクチャンバ48のコイルからの導体は図4A、4Bの電極アセンブリと同様に電極42、43の孔部113に収容される。
【0062】
第1加速器ステージ32の入口電極35は図6A、6B、6Cに示してある。
電極はねじ116によって固定された取付フランジ115によってブロック60を径方向に伸長するブロックの壁部に取付けられる。電極35のアパーチャはライナ117によって画成されるが、該ライナはねじ119によってフランジに固定される把持板118を取外すことによって交換可能である。ライナ117はグラファイトあるいはアルミから作られてもよく、電極を貫通するアパーチャ120を画成する。
【0063】
第1ステージ32の出口アパーチャ36および第2ステージ33の入口、出口アパーチャ40、41は同様に構成される。
【0064】
図4、5、6にそれぞれ明示するように、加速器アセンブリの2つのステージ32,33に用いられる電極のアパーチャは円形ではない。特に第1ステージ32の入口電極のアパーチャの大寸法(major dimension)は、電極を通るビーム経路と交差する小寸法(minor dimension)の4倍以上である。高周波電極のアパーチャの大寸法はアパーチャの小寸法の約3倍である。
【0065】
いずれの場合も、全電極のアパーチャの大寸法は図2の図面において紙面に垂直に整列される。このように電極は以下でさらに述べるように、分析マグネット12からの所要質量のイオンビームに最適に対応可能である。一方、アパーチャの小寸法を抑えてできる限り小さくすることによって、それぞれの電極によって取り囲まれる領域への電界浸透が低減される。この結果、加速器アセンブリの全長が最小限に保たれ、加速器の走行時間係数を最大とすることができる。さらに、高周波加速器の運転中も、高周波加速器の非励起時での注入装置の低エネルギー・ドリフトモード運転中も、電極のアパーチャの全開口面積は比較的大きく維持され、実質的ビーム電流に適応する。
【0066】
図7Aはタンクチャンバ47の横断面図であり、図7Bは一方側からの図7Aのタンクチャンバの対応横断面図である。
【0067】
タンクチャンバ47は中央円筒状部130と対向する2つの半球状閉止部131、132とを備える。半球状閉止部131、132は真空シール133、134によって円筒状部130の両端部に封止される。これらの真空シールは円筒状部130の両端部の周方向に伸長し、半球状閉止部131、132がタンク47の内部の検査・点検に際し取外し可能となっている。
【0068】
タンク47の内部では導体45、46がそれぞれコイル135、136を形成し、該コイルは基本的にタンクチャンバ47の円筒状部130の軸と一致する軸137と同軸となるよう整列される。コイル135、136の対向する端部は、138、139でそれぞれの取付点140、141まで下方に伸長する。
【0069】
導体45、46およびコイル135、136は中空銅パイプから形成される。コイル135、136の重量は基本的に接続点140、141からの長さ138、139によって支持される。導体45、46の上端部はタンクチャンバ47の円筒状部130のアパーチャに、また加速器アセンブリのブロック60の対応アパーチャ70に伸長する。前述のように、導体45、46の端部は電極37、38の孔部106に収容され、これらの電極と摺動嵌合を形成する。従ってコイル135、136の製造許容誤差の変動は、これらの電極の取付台に応力を加えたり電極の位置的精度に影響したりすることなく、関連電極37、38との接続部において吸収可能である。さらに、135、136の熱膨張は、コイルを変形させることなく電極との摺動接続部において吸収可能である。
【0070】
第2加速器ステージ33のタンクチャンバ48は、図7A、7Bに示したタンクチャンバ47と略同様に構成される。
【0071】
前述のように、タンクチャンバのコイル135、136は各々取付点140で接地され、他端部がそれぞれの電極37、38に接続される。電極、コイルと、真空チャンバ及びタンクチャンバの関連導電面間のキャパシタンスと、コイルのインダクタンスとの組合せが、共振タンク回路を提供する。共振タンク回路は加速器アセンブリの所要高周波の共振周波数を有するとともに、高振幅高周波電圧が最小のオーム電力損失で電極37、38に発生可能であるような極めて高い品質因子を有するよう構成される。コイル135、136は同一方向に巻回されるとともに誘導結合されているので、両電極37、38の高周波電圧は逆極性でタンク回路の最低共振周波数である。
【0072】
高周波エネルギーは結合ループ150(図7B)によってタンク回路に結合される。この結合ループは図8A、8Bに詳細に示してある。該結合ループは一端が152で接地され、他端が真空フィードスルー153に接続された単一ループの導体151を備える。真空フィードスルー153によって、真空チャンバの外部からループ150の端部までの電気的接続が可能となる。
【0073】
ループは全体としてディスク154に取付けられ、一方該ディスクは取付板155内に回動するよう取付けられる(図8B参照)。角度範囲にわたってディスク154の回転位置を調節することによって、タンクチャンバ47およびコイル135、136に対するループ151の角位置の調節を行うことができる。ループ151の角位置を調節して、タンク回路の高周波エネルギーの結合およびインピーダンス整合を十分なものとしてもよい。
【0074】
角度表示装置136が取付板155の外面に具備されるので、ループ151の角位置を今後の参考として記録可能である。
【0075】
一般に電極37、38に所要高周波電位を供給するためコイル135、136に生成される高周波電流のレベルは、コイル135、136および導体45,46の残部の実質的加熱を十分引き起こし得る。従って導体は水冷される。
【0076】
図9は、コイル136の固定端139を装着して示した支持点140の一部を示す。導体46は前述のように中空銅パイプから作られる。噴射管160は、導体46を支持点140から導体46の閉止端161の間近まで伸長させる。噴射管160は、外側パイプ163内に内側パイプ162を有する二重壁管から形成される。内側、外側パイプ162、163間の空間は両端で封止され、その後コネクタ164に接続された真空源によって排気される。
【0077】
コネクタ165で内管162に導入された冷却水は、噴射管163を通って、導体の閉止端161に近接した内管162の末端部166から導体46の内部に流入する。次に冷却水は噴射管の外部の導体に沿って流下し、コネクタ167を経て導体から排出される。
【0078】
噴射管160を二重壁管として形成し、噴射管の外部163を排気することによって、内部供給管162は、導体46に流下する戻りの熱吸収した水から実質的に熱絶縁される。この結果、導体46の遠端の供給管の末端部166に達する冷却水は戻り水によって実質的に加熱されない。
【0079】
この構成は導体46をその全長にわたって、特に導体46に接続された電極に隣接する末端部で、良好な冷却を保証するものである。電極自体は比較的高温になる場合があるので、導体46用冷却装置は、電極に接続された導体の端部が過大温度に加熱されないよう確保する。
【0080】
同様の噴射管装置がコイル135に具備される。
【0081】
もう一度図7Bを参照すると、ピックアップループ170がタンク チャンバ47の壁部に装着・具備され、タンクチャンバ47の電界がモニタされ(後述の)高周波駆動回路のフィードバック制御に使用できるようになっている 。このピックアップコイルは図10A、10Bの詳細に示してある。該コイルは取付板172上の単一ループの導体171を備える。取付板はタンクチャンバ47の壁部のアパーチャ内に封止され、ループ導体171がタンクチャンバに伸長するようになっている。
【0082】
ループ171の一端は抵抗173を介してチャンバ壁に接続され、他端は高周波フィードスルー174に接続されて、ループは高周波ケーブルに接続してフィードバック信号を後述の制御装置に供給可能となっている。
【0083】
もう一度図7Bを参照すると、同調コンデンサ180もタンクチャンバ47の壁部に取付けられる。図11A、11Bは詳細にこの同調コンデンサを示す。コンデンサは、回転軸182の端部に横に装着されたキャパシタンス板181を備える。回転軸182は取付フランジ183に回動するよう取付けられ、これによってコンデンサはタンクチャンバ47の壁部のアパーチャに伸長して取付け可能である。ステッパモータ184は取付フランジ183の外部に取付けられ、歯車装置186、187を介して回転軸182の外端部185を駆動するよう結合される。軸182は回転真空シールを貫通し、タンクチャンバ47への大気侵入なしにステッパモータ184によって回転可能である。
【0084】
ステッパモータ184による軸182の回転はコンデンサ板181の近傍をタンクチャンバ47内のコイル135、136に合わせ、これによって共振タンク回路の共振周波数を調節する。実際には、同調コンデンサ180は後述の制御装置によってサーボ制御され、タンク回路の共振周波数を結合ループ150を介してタンク回路を励起する高周波信号の周波数に維持する。タンク回路の共振周波数を正確に所要周波数に保持して効率を最大にすることが重要である。
【0085】
図2の磁気的4重極50、51、52、53の一つを、ビーム軸に沿った4重極の断面図である図12に詳細に示してある。図12を一体取付ブロック60の一部の図3Gに示した断面図と比較すると、取付ブロックのウェブ83、84、85、86は図12に明示されている。磁気的4重極は4つの磁極190、191、192、193から形成されるが、これらの磁極はアパーチャ82によって画成された一体ブロック60の開口領域に貫通して設けられる(図3E、3F)。 各磁極190〜192は、一体ブロック60のウェブ83〜86間の取付面87によって画成されたアパーチャ88の一つにそれぞれ取付けられる。
【0086】
図12に明示したように、各磁極はそれぞれの支持面87に封止されるとともにボルト195によって所定位置に固定されたフランジ194を有する。従って、磁極190〜193はフランジ194と封止面87間に真空シールを形成するアパーチャ188を効果的に閉止する。この結果、磁極190〜193は加速器アセンブリの真空チャンバ内に効果的に配置され、極面はビーム軸に必要なだけ近接配置されて磁界強度を最大とするとともに漂遊磁界を最小とすることができる。
【0087】
磁気コア196は各磁極190〜193の外面に固定され、各コア196はそれぞれの巻線197によって巻回される。これらの巻線は水冷管状導電要素である場合がある。
【0088】
次に各対の磁極は分流ヨーク198、199によって互いに接続される。この実施例においては、一方の分流ヨーク198が磁極190、193のコア196を接続し、他方の分流ヨーク199が磁極191、192のコアを接続する。図12に示すように加速器アセンブリを形成する一体ブロックの対向する側面にのみ分流ヨーク198、199を具備することによって、分流ヨークは200で輪郭を示した隣接加速空洞のタンクチャンバに干渉することがない。これによってよりコンパクトな構成が可能となる。
【0089】
重要な点は、上記磁気的4重極構造によって磁極自体を加速器アセンブリの真空チャンバ内に効果的に配置することができる一方、各磁極の磁界巻線は引き続き大気中の真空チャンバの外側にあることである。これは発生磁界の効率を最大化し、巻線冷却を容易にするとともに保守時の接近し易さを向上するのに極めて望ましい。極片自体は一体ブロック60によって形成された真空チャンバのアパーチャの閉止材として有効に用いられる。
【0090】
ここで図13を参照すると、これは高周波加速器アセンブリの概略図である。
図示したアセンブリはそれぞれタンデムに設けられ、注入イオンのビーム252のエネルギーを変化させる第1、第2高周波加速器空洞あるいはステージ250、251を備える。ビーム252はエネルギーE(keV)で第1高周波加速器空洞250に注入される。
【0091】
各空洞250、251は、接地された入口、出口電極253、254および255、256と一対の中間高周波電極257、258および259、260とをそれぞれ有する三間隙空洞である。第1空洞 250の電極は入口電極253と第1高周波電極257間に第1間隙261を、2つの高周波電極257、258間に第2間隙262を、第2高周波電極258と出口電極254間に第3間隙263を画成する。空洞251は同様の間隙264、265、266を有する。
【0092】
第1空洞250の高周波電極257、258は、コイル268、269に接続され、第2空洞251の高周波電極259、260は、コイル270、271に接続される。電極およびコイルを組み込んだ各空洞250、251は、高周波加速器の所望作動周波数である所定値fあるいはその前後の共振周波数を有するよう構成された共振タンクを具備する。空洞250、251の共振は調節可能同調コンデンサ272、273によって所望作動周波数fに整合するよう微整調可能である。高周波エネルギーは結合ループ274、275を介してそれぞれの空洞250、251に結合される。それぞれの空洞内のピックアップループ276、277は回線278、279に出力して、空洞の高周波電圧の振幅および位相を表すフィードバック信号を供給する。
【0093】
一対の磁気的4重極レンズ280、281は、空洞250、251間に順に配置される。
【0094】
高周波増幅器282は、高周波発生器284からの回線283の高周波駆動信号を増幅し、増幅された高周波信号を供給して第1高周波空洞250内の結合ループ274を励起する。同様に、第2高周波増幅器285は、第2高周波発生器287からの回線286の高周波駆動信号を増幅し、増幅された高周波信号を第2高周波空洞251の結合ループ275に供給する。
【0095】
高周波発生器284、287は各々フィードバック制御装置を含む。フィードバック制御装置は、回線278あるいは279のフィードバック信号を振幅要求信号および位相が固定される一定基準位相値と比較するのに有効である。高周波発生器・フィードバック制御装置284の振幅要求値・一定位相値信号は、回線291、293にそれぞれ供給され、高周波発生器・フィードバック制御287の振幅要求・一定位相値信号は、回線292、294にそれぞれ供給される。
【0096】
各空洞の高周波電界の位相がドリフトしないことは、全高周波線形加速器の重要な特徴である。位相ドリフトは、規定・プリセットされた加速を受けていない加速器を通過する荷電粒子の束をもたらす場合がある。
【0097】
本発明の実施例の一特徴は、高周波発生器284、287におけるフィードバック制御によって空洞内で実測された高周波電界の位相が、一定基準位相値に近く維持されることである。
【0098】
このため、回線293、294の一定位相値信号は一定位相プリセットユニット295から出力されるが、該ユニットは自動的あるいはオペレータの介入によっては調節不可能な一定信号を発生する。好ましい実施例においては、それぞれのステージの一定位相値信号間の相違は0あるいは180°である。
【0099】
高周波発生器284、287は各々通常周波数合成装置であり、発生器284、287および一定位相プリセットユニット295は、マスタクロック296からのクロックパルスによってすべて同期される。
【0100】
共振タンク回路250、251が具備され、所要高周波電位が空洞内の高周波電極に最小のオーム損失で印加されるようになっている。従って、タンク回路の共振が正確に高周波駆動の一定周波数であることが極めて重要である。タンク回路共振が駆動周波数fから偏移すると、高周波駆動の振幅を空洞の電極に印加される高周波電圧と同じだけ増加しなければならない。またフィードバック制御がない状態で空洞共振が周波数fからドリフトすると、電極の高周波電圧の位相が変化する。小さい空洞共振の偏移の場合、それぞれの高周波発生器のフィードバック制御によって回線283の高周波駆動の振幅および位相を変化させて補償を行い、回線291の要求値で回線278のフィードバック信号によって表された振幅、および回線293の一定値信号によって要求されたフィードバック信号定数の位相を維持することができる。同様に高周波発生器・フィードバック制御装置287は空洞251の正確な振幅および一定位相を維持するよう作動する。
【0101】
しかし、やはり空洞共振を駆動周波数fにとどめるようにするのが望ましい。このため、発生器284、287のフィードバック制御も制御信号を回線297、298にそれぞれ与えることによって空洞の可変キャパシタンス272、273を調節する。実際には、発生器284のフィードバック制御は空洞250の可変コンデンサ272を調節して、回線278のフィードバック位相と回線293の一定位相信号間の増幅エラー信号をできる限り小さくできる。
【0102】
上で述べるとともに図11A、11Bに示したように、可変コンデンサ272は機械的装置であるので、可変コンデンサ272の応答時間は比較的遅い。従って高周波駆動信号の電子的フィードバック制御が必要とされ、空洞の機械的振動によって起こる場合のあるフィードバック信号の急速な変化に対応して、空洞内の正確な振幅および一定位相を維持する。一方キャパシタンス272は調節されて、例えば熱膨張による遅い空洞共振の変化を補償する。
【0103】
注入処理は全体としてマイクロプロセッサを用いた注入コントローラ290によって制御される。注入コントローラは注入装置の多くの作動パラメータを制御可能であるが、本発明を例示するため、コントローラ290は、高周波発生器・フィードバック制御ユニット284、287の回線291、291の振幅要求信号のみを発生するよう示してある。注入コントローラ290は、特に質量/電荷比 (m/e)の異なるイオンを注入する注入装置をセットアップするオペレータ要件を含む、様々なオペレータ入力制御に応じて、要求振幅値を変化させることができる。この制御は図13に入力回線299によって示してある。
【0104】
図13において、第1空洞250の出口電極254と第2空洞251の入口電極255間には矢印300で示した飛行経路距離がある。前述のように複合空洞線形加速器の構成において公知の要件によれば、第1空洞によって加速されるイオン束は第2空洞の第1間隙に到達するが、その時第1間隙の高周波電圧が適切な値にあってイオン束に所要加速を与えるようにしている。また上述のように、別様の線形加速器のセットアップが質量対電荷比の異なるイオン使用時には必要であるが、同一エネルギーであれ第1空洞から放出されるイオンの速度は質量対電荷比によって別様に決定されるからである。この結果、距離300に沿った飛行時間はイオンの質量対電荷比によって決定される。
【0105】
本発明の一実施例においては、異なるイオンの質量対電荷比の相違によるこの飛行時間変動は、両空洞250、251間の距離および両空洞250、251の高周波電圧の位相を両方とも一定に保つとともに、第1空洞から第2空洞へのイオンの速度を変化させることにより、所望イオンの質量対電荷比用の加速器をセットアップすることによって補償される。図示した例では、回線291の振幅要求信号を変化させることによって達成され、従って第1空洞250内の高周波電界振幅が調節されることになる。例えば質量対電荷比の低いイオンでは、空洞250内の高周波電界振幅の若干の減少は空洞を離れるイオン束の速度を若干減少させる場合があり、これによって距離300の飛行時間を増加し、その結果これらのイオン束が空洞251の間隙の高周波電圧波形の適正領域に到達することになる。距離300の実質的長さのため、第1空洞からのイオンの速度(あるいはエネルギー)の小変動のみでこれらのイオンの第2空洞までの適正飛行時間を十分保証し得るものである。
【0106】
実際、距離300は、第1空洞250の入口、出口電極間の全長以上とするのが望ましいことが分かっている。好ましい実施例においては、長さ300は第1空洞の長さの約3倍である。このような装置によれば、良好な飛行時間の調節範囲は第1ブースタの高周波電圧の振幅を最大印加電圧のせいぜい約15%までに調節することによって、一重、二重荷電ホウ素および一重、二重、三重荷電の燐を含むイオン種に好適に与えられることが分かった。これが意味するように、質量/電荷比の異なるイオン用の2つの空洞をセットアップするプロセスは、第1空洞によって付与されるエネルギー増分の約15%までの犠牲を伴うにすぎない。
【0107】
重要なのは、例示した加速器装置の2つのブースタ空洞に供給される高周波は2つの制御入力のみを用いて十分制御され、2つの空洞の所要高周波振幅をセットアップして質量/電荷比の異なるイオン用加速器アセンブリを調整するとともに所望の最終イオンエネルギーを供給することができることである。これはブースタのセットアップを著しく単純化し、m/e値の異なるイオンを所要出力エネルギーで送出可能である。
【0108】
もう一度図13を参照すると、第1空洞の入口電極から第2空洞の出口電極までの高周波加速器アセンブリの全長はLである。加速器アセンブリを貫通するイオンビームの軸を含む少なくとも1つの平面に、アセンブリの空洞を形成する電極は、距離D以上の最大横方向寸法を有するアパーチャを有する。この最大横方向寸法は、図4、5、6に関連して上で述べたように、スリット状電極アパーチャの主要寸法である。
【0109】
L/Dを約25未満にすることによって、良好な組合せの性能パラメータが得られる。 上述のように両加速器空洞間の実質的ドリフト距離300を維持する必要があるにもかかわらず、加速器の全長Lはそれでもなおかなり短く、構造内に設置する際の加速手段の設置面積を減少させる。一方、加速器を貫通するアパーチャの横方向寸法Dは少なくとも一軸平面においては比較的大きく、加速器の受容性を向上させてエネルギーFかそれ以下での注入時に、特に加速器アセンブリ非作動のドリフトモード中、大きいビーム電流が可能となる。好ましい構成は約18のL/D値を有する。
【0110】
要するに、注入装置は、第1エネルギーにある注入イオンのビームを発生するイオンビーム発生器と、励起時に、前記ビームのイオンを第2エネルギーに加速するよう設けられた高周波線形加速器アセンブリとを備えることが可能であり、前記アセンブリは、前記ビームのイオンのエネルギーを変化させる一連の間隙を画成する複数の電極を備え、前記電極はイオンが通過するアパーチャを有し、前記アセンブリの全電極は長さL内に収容され、電極のアパーチャはビームに交差するD以上の最大寸法をそれぞれ有し、L/Dは25未満であるよう構成される。これが特に有効であるのは、加速器アセンブリがビーム方向に沿ってタンデムの第1、第2高周波ブースタステージを備える時であるが、前記ブースタステージは各々入口、出口電極と、前記ビームのイオンエネルギーを変化させる一連の間隙を画成する少なくとも1つの中間高周波電極と、前記第1、第2ブースタステージ間に配置された隣接する一対の磁気的4重極とを備える。
【0111】
加速器アセンブリにおいて用いられるスリット状電極は図14、15から想像可能であるが、これらの図は加速器の各要素を通過するイオンビームの輪郭を示している。図14、15の上部はビーム軸と交差するX方向のビーム輪郭を示し、図の下部はビーム軸と交差する直交Y方向のビーム輪郭を示す。Y方向は電極のスリットアパーチャの長手寸法の方向である。従って、図14、15において、第1加速器空洞の電極310および第2加速器空洞の電極311は、X方向のビームの軸312に比較的近接して(図面の上部)、Y方向の軸から比較的離隔して(図面の底部)示してある。各図において、ビーム方向は左から右である。
【0112】
図14、15作成に用いられたシミュレーションにおいて、加速器に注入されるビームはX、Y両方向に同一寸法である。第1磁気的4重極はビームをX方向に合焦させ、ビームをY方向に脱焦させる傾向がある。 その後、ビームはX方向にはビーム軸から略6mmに制限される一方、Y方向には軸312から15mm以上伸長する。
【0113】
加速器の両空洞間の2つの磁気的4重極314、315の作用を説明する。第1磁気的4重極314はビームをX方向の焦点に戻し、 第2磁気的4重極315はビームをY方向に再合焦させる。
【0114】
図14に示したシミュレーションは、200keVの二重荷電燐の注入ビーム、約850keVの加速後の最終ビームエネルギーを想定している。加速器アセンブリによって放出されたビームは、第1空洞に印加される高周波励起電圧の位相の±50°以上で第1加速空洞に到達するイオンを有すると想定される。注入位相の異なるイオンに対する加速器アセンブリの作用は、図面中で別の輪郭線によって示してある。
【0115】
図15は、ドリフトモード、すなわち加速器アセンブリの電極に非通電時に加速器アセンブリを通過するビームの輪郭を示しており、ビームの加速は生じない。この注入ビームは再びP++で200keVである。ビーム輪郭がX方向よりもX方向にさらに伸長しているのが再確認できる。 スリット状電極を具備することによって、加速モード時に電極空洞に電界が過度に浸透せずに加速、ドリフトの両モードにおいて高比率のビームを加速器アセンブリに貫通収容することができる。
【0116】
重要なのは、図14、15におけるX方向、すなわち電極のスリットアパーチャの狭寸法部は、図1に示したように、高周波加速器アセンブリの上流にある分析マグネット12の分散面と整列していなければならないということである。マグネット12は所望m/eのイオンをX方向の略焦点に導くよう機能する。通常質量選択スリットはこの焦点に位置し、所要イオンのみが注入用のビーム中に存続可能となる。本例においては、質量分析マグネットの焦点は高周波加速器の第1三間隙ブースタステージ内にある。
【0117】
またマグネット12は、ビームを第1ブースタステージの入口電極の前方の第1磁気的4重極313(図14、15)の近傍のY方向のウェストに導くのに有効である。次にこの磁気的4重極313は励起され、Y方向のビーム中の有効ウェストを第1ブースタステージの直後の第2磁気的4重極314のビームに沿った位置に移動する。この作用を生ずるよう第1磁気的4重極313が励磁され、X方向に合焦、Y方向に脱焦を行う。イオン源11から分析マグネット12に入るイオンビームは、通常マグネットの分散面に狭い横方向寸法を有するリボン状である。従って、マグネット12を離れる所要m/eのイオンビームは、イオン種およびイオン源のセットアップあるいは「調整」によって決定される寸法に係るX方向では比較的ぴったり合った焦点に導かれるが、Y方向では広いウェストに導かれる。
【0118】
もう一度図14を参照すると、第1磁気的4重極313のY脱焦、X合焦作用は、第1ブースタステージの第1、第2電極に近接したビームのX焦点位置に比較的小さい移動(図14において左方)を生ずる。このように、ビームはX方向に圧縮されて電極のスリットアパーチャの狭寸法部を通過する。ビームイオンが第1ブースタステージを通過する時、X方向のビーム縁端に近いイオンは電極の開孔縁端部に近い電界の曲率によって合焦作用を受ける。高周波電界の位相に対して時間的に相違してブースタを通過するイオンは量の相違によって合焦/脱焦されるが、これは図14においてX方向のビーム輪郭を数本の線に分離することで示してある。この第1ブースタステージの穏当な作用は第2ブースタステージにおいては強烈となり、以後加速器を貫通するビームを制御する難度が増す。
【0119】
一方Y方向においては、ビームはY方向の電界が比較的平面的である電極アパーチャの縁端部から十分離隔した第1ブースタステージを通過するので、電界合焦は最小限である。結果としてY方向のビーム制御の向上が見られる。
【0120】
上述のように、第1磁気的4重極はビーム中のYウェストを第2磁気的4重極314の位置に移動する。この第2磁気的4重極はビームを次の第3磁気的4重極315でX方向の焦点に戻すのに必要である。ビームは第2磁気的4重極314にYウェストを有するのでY脱焦作用が減少し、従ってビームは過度のX脱焦なしに第3磁気的4重極315によってYウェストに戻される。従って、第4磁気的4重極は第2ブースタステージの出口電極の後に具備され多少のX再合焦を行うことが可能であるが、一般にエネルギーフィルタ25のイオン光学特性と整合することが必要である。
【0121】
上記から分かるように、第1ブースタステージの電極のアパーチャは(分析マグネットを通過するイオンの速度変化がないと仮定した場合)注入装置の質量選択スリットとして機能する。ビーム中のm/eの異なるイオンは電極に衝突することなくブースタに侵入・通過することがないからである。バッフル板を第1ブースタステージの入口電極のすぐ前方に配置し、ビームからの非選択イオンの大部分を吸収して入口電極の損傷あるいは過熱を防止するようにしてよい。
【0122】
また、加速器電極はY方向寸法が比較的大きいので、磁気的4重極は1つだけ加速器の第1ブースタステージの上流に必要である。
【0123】
好ましい実施例においては、図2〜12に示した高周波加速器アセンブリは以下の寸法を有する。
第1空洞の入口電極から第2空洞の出口電極
までの加速器アセンブリの全長(L): 587mm
第1空洞の入口電極のアパーチャ横方向寸法: 46×10mm
第1空洞の第1高周波電極のアパーチャ横方向寸法: 34×10mm
第1空洞の第2高周波電極のアパーチャ横方向寸法: 34×12mm
第1空洞の出口電極と第2空洞の入口、
出口両電極のアパーチャ横方向寸法: 46×12mm
第2空洞の第1、第2高周波電極のアパーチャ横方向寸法: 34×12mm
アセンブリの全電極アパーチャの最小スリット長(D): 34mm
第1空洞の入口電極と第1高周波電極間の間隙: 14mm
第1空洞の第1高周波電極のビーム軸に沿った長さ: 16mm
第1空洞の第1、第2電極間の間隙: 32mm
第1空洞の第2高周波電極のビーム軸に沿った長さ: 26mm
第1空洞の第2高周波電極と出口電極間の間隙: 16mm
第1空洞の出口電極と第2空洞の入口電極間のドリフト距離: 349mm
第2空洞の入口電極と第1高周波電極間の間隙: 16mm
第2空洞の第1高周波電極のビーム軸に沿った長さ: 30mm
第2空洞の第1、第2高周波電極間の間隙: 32mm
第2空洞の第2高周波電極のビーム軸に沿った長さ: 40mm
第2空洞の第2高周波電極と出口電極間の間隙: 16mm
【0124】
加速空洞の高周波励起電圧の所定周波数は20MHzに近い数値に設定される。アセンブリの各高周波電極に印加される場合のある高周波電圧の最大振幅は約75kVである。最大注入エネルギーEは注入イオンの荷電状態毎に約100kVである。
【0125】
加速器アセンブリは、主としてB++(m/e=5.5)、 B+(m/e=11)、P++(m/e=15.5)、P+++(m/e=10.3)イオンの処理・加速用である。加速器アセンブリの構造パラメータはイオンの場合ほぼ最適であるようになっている。しかし高周波イオン注入の応用例では、少なくとも第1ブースタステージからの有効エネルギーゲインが約40までのm/e範囲のイオンについて得ることができる。
【0126】
イオン注入装置で利用可能な最大静電予備加速電圧、すなわち高周波加速器アセンブリの第1空洞のイオン源と入口電極間の電圧が約100kVである場合、P++イオンの最大注入エネルギーは200keVである。しかし最適性能を得るには、少なくとも高周波加速器の第1空洞あるいはステージから、質量/電荷比の異なるイオンをアセンブリに約同一速度で注入することが重要である。同一速度では粒子のエネルギーはその質量に比例するので、これが意味するように、B+の注入エネルギーはP++の注入エネルギーの半分の約11/15.5であるはずである。P++の最大注入エネルギーは最大利用可能静電予備加速電圧によって設定されるので、これが意味するように、予備加速電圧はP++走行に比較してB+走行時約11/15.5だけ低減されるはずである。
【0127】
図16A、16Bは、印加高周波電圧のエネルギーおよび位相が第1加速器ステージを通過するB+粒子に対して変化する仕方を示すグラフである。図16A、16Bにおいて、X軸は第1加速器ステージの電極を貫通してB+イオンがZ方向、すなわちビーム方向に沿って移動する距離を示す。電極の位置は図面中点線で略示してある。
【0128】
図16AのY軸は加速器を通過する時のイオンエネルギーを示す。図16BのY軸はイオンがZ方向に移動する時イオンが受ける高周波電圧の位相を示す。図16A、16B中の何本かの線は、高周波信号印加中、時間的に相違して加速器ステージの第1間隙に入るイオンのエネルギー変化を示す。
【0129】
全体として図面に用いられているきまりによれば、180°位相は入口電極と第1高周波電極間の第1間隙の前方加速高周波電圧のピーク時間を示す。従って、2つの高周波電極間の第2間隙での最大加速は360/0°位相で生じ、第3間隙での最大加速は180°位相でもう一度生ずる。図16A、16B中イオンは左から右に移動している。
【0130】
まず図16Bを検討すると、これは位相角が約90°から約150°までの高周波波形の各点で加速器ステージの第1間隙に入るイオンを示す。位相角90°で間隙に入る図16Bに示した第1イオンは位相角約135°で、図16B中最も下の線で示した間隙の中心を横断する。位相角約160°で間隙に入る最遅発のイオンはちょうど180°の位相角で間隙の中心を横断する。前述のように、加速器ステージの第1間隙における最大加速は180°の位相角で生ずる。従って、位相角180°前後で間隙の中心を横断するイオンは間隙横断時に最大のエネルギー増加を受けるはずである。小位相角で間隙の中心を横断するイオンはエネルギー増加が少ないはずである。このエネルギー増加の変化は図16Aに見ることができる。第1間隙に入り180°前後の位相で間隙の中心を横断する最遅発のイオンは、図16A中上方の線で示した最大のエネルギー増分を受ける。位相的に早期に間隙に到達するイオンは、図16Aの下方の線で示したように受けるエネルギーが少ない。第1間隙のエネルギー増分は図16A中400で示してある。
【0131】
図面に示した第1間隙を移動したイオンは次に位相角345°〜約30°で第2間隙の中心点を横断する。360/0°は中心間隙を横断するイオンに最大加速を付与する。中心間隙を横断するイオンのエネルギー増分は図16Aに401で示してある。
【0132】
その後イオンは第3間隙を移動し位相角約170°〜200°で第3間隙の中心を横断する。第3間隙での最大加速位相は180°である。第3間隙によって与えられるエネルギー増分は図16Aに402で示してある。
【0133】
図16Bに示したイオンは、大部分180°以下の位相角範囲で第1間隙の中心線を横断する。これは電界が間隙で最大減速から最大加速に上昇した時の間隙横断に相当する。この結果、低位相角で間隙に入る早発イオンは、高位相角で到達する遅発イオンより間隙での加速が小さくなる。これは図16Aに見られように、幾分とも第1間隙から発したイオンのエネルギー分散を引き起こす。イオンは360/0°の両側にどちらかと言えば均一に分布した位相で中心間隙を横断する。これは小さい付加的エネルギー分散を引き起こすにすぎない。 その後イオンは大部分180°より幾分大きい位相で、すなわち電界が最大加速から最大減速に降下した時、第3間隙の中心線を横断する。第1中間間隙で生じたエネルギー分散は図16B中互いに接近してゆく複数線で示したイオンの位相拡散を若干低減したとは言えるものの、(最低位相角で)最初に第1間隙イオンに入るイオンは第3間隙を横断する時もなお最初である。この結果、第1間隙でエネルギー増分が最小である早発イオンは第3間隙でエネルギー増分が最大となり、第1間隙でエネルギー増分が最大である遅発イオンは第3間隙でエネルギー増分が最小となる。従って、このように加速器アセンブリを構成・セットアップすることによって、第3間隙は第1間隙で生じたエネルギー分散を少なくとも部分的に相殺することになる。位相拡散の減少がない場合、第1、第3間隙のエネルギー分散作用は互いに大きく相殺され、全体的なエネルギー分散は中心間隙によって引き起されることになる。
【0134】
イオン注入装置においては最終ビームのパーセンテージエネルギー分散は重要である。従って、最終的に注入されるイオンは一定パーセンテージの目標エネルギー、例えば±5%以内にあるエネルギーを有するべきである。図16A、16Bの例においては加速器ステージを離れたイオンの最終エネルギーは約300keV±15keVである。これは約60°の位相範囲を有する加速器ステージに注入されるイオンから達成される。従って、適正なエネルギー分散性能が、未束注入ビーム中のイオンのほぼ17%を捕捉する入力位相範囲にわたって得られることが分かる。この性能レベルは 、イオンが電界の(上記のような)上昇時に第1間隙を横断するとともに電界降下時に第3間隙を横断するよう構成された三間隙高周波空洞によって得ることができる。
【0135】
イオンが単一間隙(最大加速角の−30°から+30°までの位相角で間隙の中心を横断している)によって生ずるエネルギー分散は理論的には±6.7%である。従って16A、16Bに示した加速器ステージのセットアップの性能は、広い位相角にわたって入力されたイオンのエネルギー分散を制限する点から見て実質的に優れている。また重要なのは、加速器ステージのセットアップによって、最小のエネルギー拡散で加速ステージを離れたイオン束がばらばらになることなく次の加速ステージに送出され、さらなる加速が可能であることである。この優位性は従来のバンチャーを加速器の前に置いて用いても維持され、入力位相範囲により多くのビームイオンを含むようになる。
【0136】
図16A、16Bの例においては、加速器は70kVの最大に近い印加高周波電圧、B+イオンの場合64keVの注入エネルギー、上述したような第1空洞の加速器ステージの寸法で作動される。印加高周波電圧の周波数は約20MHzである。注入エネルギーを増大させることによって高周波電圧の周波数を高くする一方、上記のように加速器ステージの間隙を横断するイオンの位相を引き続き維持することができる。同様に加速器ステージの間隙間の距離を増大させることは、同一周波数の高周波電圧の注入エネルギーの増大を要することになる。
【0137】
図17A、17Bは、高周波電圧がかなり低い値、25kVに設定されている時、第1加速ステージを貫通するイオンのエネルギー増分と位相を示す。B+イオンの注入エネルギーはそれでもなお64kVである。60°の位相拡散を有するイオンは加速器ステージの第1間隙に入り、180°以下の位相角で第1間隙の中心を横断する。イオンは360/0°前後の位相角で中心間隙を横断し、180°以上の位相角で第3間隙を横断する。この結果第1間隙で生ずるエネルギー拡散は第2間隙によって低減される。しかし高周波電圧低下のため、イオンの位相拡散は加速器ステージを通過する際低減される。それでもイオンは、第1間隙で生ずるエネルギー分散と逆方向に最大エネルギー分散を付与する270°前後の位相で第3間隙の中心を横断する。また、イオンは最大加速位相360/0°より若干前の中心間隙を横断するが、これも第1間隙のエネルギー分散を相殺する傾向がある。その結果加速器ステージからのビームのエネルギー分散は図17Aに示すように、100keV以上の出力エネルギーで約±5keVであって、なお±5%未満である。
【0138】
図18A、18B、19A、19B、20A、20Bはそれぞれ180keV(90keV静電加速電圧)の注入エネルギー、70kV、45kV、20kVの高周波電圧を有するP++イオン加速に係る類似のエネルギー増分・位相図を示す。B+の場合より若干高い静電予備加速電圧(90keV)が用いられ、P++イオンの注入速度は64keVのB+の場合と同等である。P++イオン、70kVの高周波電圧用の加速器ステージの性能は図16A、16Bに示したB+イオンの場合と同様である。P++イオン、45kVの高周波電圧の場合、イオンは270°より若干小さい位相で第3間隙の中心点を横断するので、第3間隙は図19Aに示したようにさらに少量のエネルギー増分を行うことになる。 P++イオン、20kVの高周波電圧の場合、イオンは270°以上の位相で第3間隙を横断するので、第3間隙は図20Aに示したように減速を生ずる。図18、19、20において、加速ステージを離れたイオンのエネルギー拡散は受入れイオンが60°の位相範囲であっても±5%未満であることが分かる。
【0139】
図21A、21Bに戻ると、これらの図は同一寸法を有する加速器ステージを貫通するB++イオンのエネルギー増分・位相を示す。この場合、 B++イオンの注入エネルギーは64keV(32kVの静電予備加速電圧)であり、 高周波電圧は70kVに設定される。図面は、第1間隙に入り180°以下の位相角で第1間隙の中心を横断するイオンを示し、遅発イオンは早発イオンより加速されている。つまり、早発イオンは90°より若干小さい位相角で間隙の中心点を横断し、図21Aのエネルギー増分線図中に下部の線で示したように間隙での減速を意味する。
【0140】
ホウ素イオンは二重荷電のため、高周波電圧によって生ずる加速は一重荷電ホウ素イオンの2倍であり、第1間隙によって引起されるエネルギー分散は図21Aにも見られるように実質的に大きい。イオンの注入エネルギーが低いとすれば、このエネルギー分散による位相拡散はかなり大きく、実際、位相拡散は反転し、早期に第1間隙を横断するイオンは、比較的晩期に第2間隙の中心を横断することになる。それでもイオンは360/0°前後で中間間隙の中心を横断し、この間隙から最大のエネルギーブーストを受け、その後大部分は180°以下の位相角で第3間隙の中心線を横断する。従って、イオンは電界が最大減速から最大加速に上昇する時第3間隙を横断する。しかし第1間隙で生ずる位相拡散の反転のため、早期に第1間隙を横断したイオンは比較的晩期に第3間隙を横断し、付加的なエネルギーを受取る。従ってB++イオンの場合、180°以前に第3間隙を横断することは、第1間隙で生ずるエネルギー分散をなくすのに有効である。
【0141】
図21Aから分かるように、加速器ステージからのイオンのエネルギー分散は再び約±5%となる。加速器ステージに注入されるイオンの位相拡散は110°以上である。これはB++イオンの未束注入ビーム量の点から見て際立った効率であるが、これらのイオンはアセンブリによってわずか±5%のエネルギー分散で目標エネルギーに加速可能なのである。本発明においてこれが達成されるのは、最大高周波電圧振幅Vに比較して注入エネルギーEが比較的低いからである。実際、重要要因は注入イオンの荷電状態毎の注入エネルギー(E/e)である。このような比較的低い注入エネルギーでは、印加高周波電圧はイオンの位相拡散を反転させるのに有効であって、第1間隙の遅発イオンは第3間隙では早発イオンになる。従って、第3間隙の高周波電圧が最大加速に上昇した時イオンが第3間隙を横断するようにすることによって、第1間隙のエネルギー分散をほとんど完全になくすことができる。
【0142】
より一般的にはEが2V.e以下の場合改善がなされる。従って、イオンが中心間隙を横断する際、イオン位相拡散の幾分かの低減が生じ、中心間隙で生ずるエネルギー分散量が減少する。 要するに、イオン注入装置は、注入エネルギーEである注入イオンビームを発生するイオンビーム発生器と、前記イオンビームが前記注入エネルギーで送出される対象とされ、励起時前記ビームのイオンを第2エネルギーに加速するよう設けられ、一定電位に保持された入口電極と一定電位に保持された出口電極とを備える三間隙線形加速器ステージと、前記入口、出口電極間に直列配置された第1、第2高周波電極と、逆極性で接地に対し最大振幅Vの高周波電圧を前記第1、第2電極にそれぞれ印加する高周波発生器と、を備え、前記イオンビーム発生器は、E<2V.e(eは前記イオンの荷電状態である)となるように、前記注入エネルギーEを制御するよう設けられる。EはV.e未満、さらには1/2V.e未満であってもよい。
【0143】
上記の高周波加速器ステージの構成は、イオンに幾分かの加速を与えるためにも使用可能である。加速器ステージを通過するイオンのエネルギー増分と位相は図22A、22Bに示してある。イオンは最大可能エネルギー、ここでは90keVで加速器に注入される必要がある。それでも、イオンの質量/電荷比が高いので(m/e=31)、加速器に入るイオンの速度は同一静電予備加速電圧からのの半分である。この結果、イオンは約90°の位相で第2間隙の中心を横断し、イオンは中心間隙から最小の総加速だが第1間隙で生ずるエネルギー分散を打ち消す最大量のエネルギー分散を受ける。結果としてのエネルギー分散によって、第1間隙で早発、遅発であったイオンは比較的低エネルギーで第2間隙を離れ、範囲の中間で第1間隙に入るイオンは高エネルギーで第2間隙を離れるようになる。従って第3間隙は、第3間隙に晩期に到達するイオンに対して早発イオンのエネルギーを低減させるのに有効であり、第3間隙を離れるイオンのエネルギー拡散をさらに低減するという総合的効果がある。図22Aから分かるように、結果としてのエネルギー拡散は、再び、約110°の注入イオンの位相拡散から約±5%である。イオンの場合、加速器で得られるエネルギー増分は約60keVである。
【0144】
従って、付与されるエネルギー増分が理論的最大値(4V.e)よりはるかに小さいという点では、高周波加速器ステージが比較的非効率的に作動しているとは言えるが、三間隙加速器ステージが決してイオンに対し最適化されていないにもかかわらず、有効なエネルギー増分が得られることが分かる。
【0145】
要約すると、イオンに対し最適化され(かつイオンに対しほぼ最適化される)よう、三間隙加速器ステージを周到に構成することによって、比較的高比率の注入イオンが小パ−センテ−ジの目標エネルギー内で加速可能である装置が提供される。また重要なのは、加速器ステージの出力エネルギーは、印加高周波振幅を調節することで容易に変えられる一方、所望出力エネルギーかそれに近い注入イオンの送出比率の点から見た効率を維持し得ることである。この柔軟度のレベルはイオン注入装置において極めて望ましく、上で詳述した個々の特徴から生ずるものである。
【0146】
装置の柔軟度は図23に示してある。これは、上記2つの三間隙加速空洞を有する高周波加速器アセンブリによって送出されるビームイオンに係る、X軸方向のエネルギー対Y軸方向のビーム電流の任意単位のグラフである。グラフgはドリフトモードの高周波加速器による70keVの注入エネルギーの送出ビームを示す。グラフa〜eは第2ブースタステージが非作動で、第1ブースタステージに印加される高周波電圧振幅の増分設定が5つある送出ビームを示す。ビーム電流およびビームのエネルギー拡散は共に出力エネルギー増大に対して著しく一定である。これらは極めて望ましい特徴であり、第1ブースタステージは、良好なビーム電流で十分制御されたイオン束を中間エネルギーの範囲で第2ブースタステージに送出可能となる。グラフfはそれぞれ高周波振幅で励起された第1、第2ブースタステージによる高エネルギーの送出ビームを示す。
【0147】
図13に関連して上で述べたように、2つの三間隙加速器ステージを備える加速器アセンブリは、両加速器ステージ間の一定ドリフト長を用いることによって、また第1加速器ステージに印加される高周波電圧の振幅を調節することによって、質量/電荷比の異なるイオンを使った運転をセットアップ可能である一方、両加速器ステージの位相はそれぞれ一定値に固定される。300keVのエネルギーで両加速器ステージ間のドリフト距離300(図13)に沿って移動するイオンの場合、第1ステージの出口電極から第2ステージの入口電極までの飛行時間は約212ナノ秒である。一方、印加高周波電圧(略20MHz)の周期は約50ナノ秒である。これが示すのは、第2加速器空洞の第1間隙に到達するイオンは、正確な到着時間から決して25ナノ秒を越えることがないということである。これが意味するように、最終的構成によっては、イオンの場合、ドリフト長300のイオンの飛行時間を最大25ナノ秒まで増大しなければならない場合があり、これは478mmのドリフト長の場合、300keVから約241keVへの第1加速器ステージからの出力エネルギー減(30%)を意味する。
【0148】
より重要であるが、第2加速器空洞の高周波電圧の位相が第1空洞の電圧とまったく同一の一定位相値に固定された状態では、イオンの飛行時間は12ナノ秒だけ低減され第2空洞には正確に到達するはずであり、第1加速器ステージを離れるイオンの約12%のエネルギー増分を意味する。400keVのイオンの場合、ドリフト長300に沿った飛行時間は184ナノ秒であり、正確に到達するために約16%のイオンのエネルギー低減が必要であることを意味する。600keVの第1加速器ステージを離れるの飛行時間は252ナノ秒であり、これらのイオンが(、については高周波電圧4サイクルではなく5サイクル後に)正確に到達するためのエネルギー増大はちょうど2%であることをを意味する。200keVで第1加速器ステージを離れるの場合、ドリフト長300の飛行時間は436ナノ秒であり、(高周波電圧9サイクル後に)正確に到達するためにちょうど14%のエネルギー低減が必要であることを意味する。
【0149】
実際には、イオン注入装置の構成上、ドリフト長300、高周波電圧の周波数f等の様々な加速器アセンブリのパラメータを選択し、選択イオン種に最適性能を準備するとともに、異なるイオン種を処理するのに必要な速度調節をできる限り少なくするようにしてもよい。
【0150】
前述のように、上記高周波加速器アセンブリは、通常第1三間隙加速ステージあるいは空洞の上流に位置するバンチャー構造を内蔵している。バンチャーは束になっていないビームイオンの30%まで (あるいはそれ以上)を捕捉し、捕捉イオン中に制御されたエネルギー拡散を生じさせ、該捕捉イオンが第1加速ステージ侵入時に物理的に束になるよう構成される。捕捉ビームイオンの比率をできる限り大きくするため、バンチャーは束イオンに対し全体的なエネルギー増分を行わない。好適なバンチャーは位相が一定基準位相に固定されている二間隙構造である。第1加速器ステージにm/e の異なる束を正確に到達させるのは、質量選択マグネットからのビームイオンの注入エネルギーの微調節によって行われ、これによってバンチャーから第1加速ステージに束状で到達するイオンの速度および飛行時間が制御される。高周波振幅は所要エネルギー拡散を与えるよう設定され、イオンは制御された注入エネルギーで第1加速器ステージ到着時に束にされることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具現可能なイオン注入装置の概略平面図である。
【図2】図1のイオン注入装置において使用可能な高周波線形加速器アセンブリの正面図である。
【図3】Aは、図2の加速器アセンブリの中心部を形成する一体ブロックの平面図である。
Bは、図2の加速器アセンブリの中心部を形成する一体ブロックの側面図である。
Cは、図3Aのブロックの端面図である。
Dは、図3Bのブロックの端面図である。
Eは、図3A及び3BのブロックのC−C線に沿った横断面図である。
Fは、図3A及び3BのブロックのF−F線に沿った横断面図である。
Gは、図3A及び3BのブロックのD−D線に沿った横断面図である。
Hは、図3Gに示した矢印Eの方向からの図3A及び3Bのブロックの端部の図である。
【図4】Aは、図2の高周波加速器アセンブリの第1ステージの高周波電極の一側面からの図である。
Bは、一電極の図4AのA−A線に沿った横断面図である。
Cは、図4Aの電極の内の1つのアパーチャを形成するアパーチャ・プレートの内の1つを示す。
Dは、図4Cのアパーチャ・プレートのB−B線に沿った横断面図である。
【図5】Aは、図2の高周波加速器アセンブリの第2ステージの高周波電極の側面図である。
Bは、図5AのG−G線に沿った電極の内の一電極の横断面図である。
【図6】Aは、図2の加速器アセンブリの第1ステージの入口電極の正面図である。
Bは、図2の加速器アセンブリの第1ステージの入口電極の側面図である。
Cは、図6Aの入口電極のH−H線に沿った横断面図である。
【図7】Aは、図2の加速器アセンブリの一つのステージに対する二つのコイルアセンブリ・共振チャンバの側面図である。
Bは、図2の加速器アセンブリの一つのステージに対する二つのコイルアセンブリ・共振チャンバの端面図である。
【図8】Aは、高周波エネルギーを図7の共振チャンバに結合するカップラアセンブリの外観図である。
Bは、高周波エネルギーを図7の共振チャンバに結合するカップラアセンブリの断面図である。
【図9】図7の二つのコイルアセンブリの水冷に用いられる噴射管アセンブリの概略図である。
【図10】Aは、図7の共振チャンバにおいて用いられるピックアップループアセンブリの内部図である。
Bは、図7の共振チャンバにおいて用いられるピックアップループアセンブリの横断面図である。
【図11】Aは、図7の共振チャンバの共振周波数の調整に用いられる調節可能調整コンデンサの側面図である。
Bは、図7の共振チャンバの共振周波数の調整に用いられる調節可能調整コンデンサの横断面図である。
【図12】図2の加速器アセンブリにおいてイオンビームの合焦に用いられる磁気的4重極のビーム方向に沿った横断面図である。
【図13】本発明の様々な特徴を具現・例示する高周波加速器アセンブリの概略図である。
【図14】加速器の励起時、図2に示した高周波加速器アセンブリを通過するイオンビームの異なる時間での輪郭のグラフである。
【図15】図14と同様であるが、ドリフトモードの加速器によるイオンビーム輪郭のグラフである。
【図16】Aは、印加高周波電界が最大振幅である時、印加電界波形の時間的に相違する範囲にわたって三間隙高周波加速器ステージの第1間隙に入るB+イオンに関する、加速ステージの長手方向の位置に対するイオンのエネルギーのグラフである。
Bは、高周波電界波形位相対印加高周波電界が最大振幅である時、三間隙高周波加速器ステージによって加速されるB+イオンの加速ステージの長手方向位置のグラフである。
【図17】Aは、図16Aに対応するが、印加高周波電圧の振幅が低い値であり、イオンに付与するエネルギーブーストが小さい時のグラフである。
Bは、図16Bに対応するが、印加高周波電圧の振幅が低い値であり、イオンに付与するエネルギーブーストが小さい時のグラフである。
【図18】Aは、図15Aに対応するが、一印加高周波電圧振幅のP++イオンに関するグラフである。
Bは、図15Bに対応するが、一印加高周波電圧振幅のP++イオンに関するグラフである。
【図19】Aも、図15Aに対応するが、別の印加高周波電圧振幅のP++イオンに関するグラフである。
Bも、図15Bに対応するが、別の印加高周波電圧振幅のP++イオンに関するグラフである。
【図20】Aも、図15Aに対応するが、他の印加高周波電圧振幅のP++イオンに関するグラフである。
Bも、図15Bに対応するが、他の印加高周波電圧振幅のP++イオンに関するグラフである。
【図21】Aも、図15Aに対応するが、B++イオンに関するグラフである。
Bも、図15Bに対応するが、B++イオンに関するグラフである。
【図22】Aも、図15Aに対応するが、P+イオンに関するグラフである。
Bも、図15Bに対応するが、P+イオンに関するグラフである。
【図23】異なる高周波振幅での図13に示した二つのステージ三間隙ブースタに関する出力エネルギーに対するビーム電流のグラフである。
【符号の説明】
10・・・高周波線形加速器アセンブリ
11・・・イオン源
12・・・分析マグネット
13・・・質量選択スリット
14・・・ビーム
15・・・ビームスキャン装置
17・・・プロセスチャンバ
18・・・半導体基板
19・・・ウェーハホルダ
20・・・機械的スキャン機構
21・・・ロードロック
22、24・・・高周波電源
23・・・バンチャー
25・・・エネルギーフィルタ
32、33・・・第1、第2加速器ステージ(三間隙高周波ブースタ空洞)
35、36・・・入口、出口電極
37、38・・・第1、第2高周波電極
47、48・・・共振タンクチャンバ
50、51、52、53・・・磁気的4重極

Claims (6)

  1. イオン注入装置であって、
    第1エネルギーにある注入イオンのビームを発生するイオンビーム発生器と、
    励起時に前記ビームのイオンを第2エネルギーに加速するよう設けられた高周波線形加速器アセンブリと、を備え、
    前記アセンブリは前記ビームのイオンエネルギーを変化させる一連の間隙を画成する複数の電極を備え、前記複数の電極はイオンが通過する複数のアパーチャを有し、加速器アセンブリの間隙を画成する電極のアパーチャは、それぞれビーム方向と交差する第1直交方向の第1寸法とビーム方向と交差する第2直交方向の第2寸法とを有し、第1間隙を画成する少なくとも第1電極のアパーチャの第1寸法は、前記第1電極アパーチャの第2寸法より小さく、
    前記イオンビーム発生器は、前記第1直交方向に整列された分散面を有する質量分析マグネットを含み、
    該質量分析マグネットは、前記ビーム内の注入すべき所望イオンを、前記第1直交方向の、第1電極の位置、あるいは該第1電極に対してイオン源から離れた下流のビーム沿いの位置の略焦点に導くよう設けられた、イオン注入装置。
  2. 加速器アセンブリの第1間隙を画成する第2電極のアパーチャの第1寸法は、前記第2電極アパーチャの第2寸法より小さい、請求項1記載のイオン注入装置。
  3. 加速器アセンブリの少なくとも第1、第2の間隙を画成する各電極のアパーチャの第1寸法は、各電極のアパーチャの第2寸法より小さい、請求項1記載のイオン注入装置。
  4. 少なくとも連続した一組のビーム方向上流及び下流側の前記電極は、各々前記下流側の電極の第2アパーチャの寸法未満の前記上流側の電極の第1アパーチャの寸法を有し、
    ビーム方向に前記連続した一組の電極に沿って第1寸法が少なくとも増大する、請求項1記載のイオン注入装置。
  5. 前記加速器アセンブリは、ビーム方向に沿ってタンデムの少なくとも第1、第2の高周波ブースタステージを備え、各ブースタステージは、入口、出口電極と前記間隙を画成する電極を共に構成する少なくとも1つの中間周波数電極とを備え、第1ブースタステージの入口電極は前記第1電極であり、イオン注入装置は、 前記第1ブースタステージの上流の第1磁気的4重極と、第1磁気的4重極を励磁してビームイオンを前記第1直交方向に合焦させかつ前記イオンを前記第2直交方向に脱焦させるよう接続された第1電源と、前記第1ブースタステージの下流の第2磁気的4重極と、第2磁気的4重極を励磁してビームイオンを前記第1直交方向に合焦させ、前記イオンを前記第2直交方向に脱焦させるよう接続された第2電源と、をさらに含む、請求項1記載のイオン注入装置。
  6. 前記第2磁気的4重極と第2ブースタステージ間の第3磁気的4重極と、第3磁気的4重極を励磁してビームイオンを前記第2直交方向に合焦させ且つ前記イオンを前記第1直交方向に脱焦させるよう接続された第3電源とを含む、請求項5記載のイオン注入装置。
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