JP4985626B2 - 正弦波発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、PWM信号に従ってD級増幅をすることにより正弦波信号を出力する出力手段を備える、正弦波発生装置に関する。
従来技術として、バッテリの電圧又は整流器の直流側電圧を検出する電圧検出手段で検出された電圧と設定された発電目標電圧との電圧偏差に基づいて、電圧偏差に対応する制御デューティを格納したマップから、界磁スイッチング素子のON/OFF比率を算出する制御デューティ算出手段を備える、車両用発電機の発電制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、その他の従来技術として、正弦波発生装置から出力される正弦波信号に基づいて、モータの角度センサ(例えば、レゾルバ)の励磁を行うことが知られている。図6は、従来の正弦波発生装置のブロック図である。基準正弦波を三角波と比較することによりPWM信号が生成される。そして、そのPWM信号に基づいてD級増幅を行うことによって、励磁信号として正弦波出力が得られる。
特開2007−209115号公報
しかしながら、正弦波の発生装置を全てアナログ回路で構成すると、その回路規模が大きくなり、高コストになりやすい。また、デジタル回路で構成する場合、PWM信号を基準正弦波と三角波(キャリア)との比較により生成すると、基準正弦波と三角波の時間分解能がPWM信号の時間分解能に直結してしまう。そのため、基準正弦波と三角波を常時比較しなければならず、アナログ回路と同様に、回路規模が大きくなってしまう。
そこで、本発明は、正弦波信号を出力するための構成を簡易化した、正弦波発生装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る正弦波発生装置は、
PWM信号に従ってD級増幅をすることにより正弦波信号を出力する出力手段を備える、正弦波発生装置であって、
前記正弦波信号の振幅を検出する振幅検出手段と、
前記正弦波信号の振幅の目標値と前記振幅検出手段によって検出された前記正弦波信号の振幅の検出値との誤差に応じた係数を算出する係数算出手段と、
正弦波の振幅値にキャリア周期毎に対応して設定されたデューティ比を表すマップ値を記憶する記憶手段と、
各キャリア周期に対応する前記マップ値を前記係数に乗算することにより、前記PWM信号のキャリア周期毎の制御デューティ比を算出する制御デューティ比算出手段とを備えることを特徴としている。
本発明によれば、正弦波信号を出力するための構成を簡易化することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。図1は、本発明の実施形態である正弦波発生装置100のブロック図である。正弦波発生装置100は、PWM信号に従ってD級増幅をすることにより正弦波信号を出力する出力手段であるD級増幅部10と、D級増幅部10から出力された正弦波信号の振幅を検出する振幅検出手段である振幅検出部20と、D級増幅部10から出力された正弦波信号の振幅の目標値である目標振幅と振幅検出部20によって検出された正弦波信号の振幅の検出値との誤差に応じた係数を算出する係数算出手段である増幅器30と、正弦波の振幅値にキャリア周期毎に対応して設定されたデューティ比を表すマップ値を正弦波の1周期分記憶する記憶手段である記憶部40と、各キャリア周期に対応する記憶部40に記憶されたマップ値と増幅器30によって算出された係数との乗算結果を用いて、D級増幅部10に入力されるPWM信号のキャリア周期毎の制御デューティ比を算出する制御デューティ比算出手段である制御デューティ比算出部50とを備えている。正弦波発生装置100の一部又は全部は、マイクロコンピュータやFPGAなどの演算装置によって構成される。
D級増幅部10は、インダクタ等の誘導素子に電気的に(直流的に又は交流的に)接続されるスイッチング素子をPWM信号に従ってオンオフするD級増幅をすることによって生成された正弦波信号を出力する。
振幅検出部20は、正弦波信号の振幅電圧を所定の演算周期で検出する。外部から入力された正弦波信号の目標振幅電圧から振幅検出部20によって検出された振幅電圧を引いた差分が増幅器30に入力される。増幅器30は、詳細は後述するが、当該差分に応じて変化する係数Kをn回目の演算周期において算出して、その算出値を制御デューティ比算出部50に出力する。
記憶部40(例えば、フラッシュメモリやROM等の記憶装置)には、正弦波の振幅値にキャリア周期毎に対応して設定されたデューティ比を表すマップ値を格納する基準デューティ比マップ(基準マップ)が記憶されている。すなわち、正弦波のキャリア周期毎の各振幅値にマップ値がそれぞれ予め対応付けされている。周波数fの正弦波をキャリア周波数fで出力する場合には、m(=f/f)個のマップ値が記憶されている。例えば、10kHの正弦波を500kHzのキャリア周波数で出力する場合、50個のマップ値(D10,・・・,Dm0,・・・,D500)とする。mは自然数である。
制御デューティ比算出部50は、これらの複数のマップ値Dm0を基準に、増幅器30から出力された係数Kに従って、D級増幅部50の増幅入力であるPWM信号のキャリア周期毎の制御デューティ比を算出する。例えば、各キャリア周期に対応するマップ値Dm0を係数Kに各キャリア周期の経過毎に乗算することにより、PWM信号のキャリア周期毎の制御デューティ比を算出する。具体的には、m回目のキャリア周期におけるn回目の演算結果である制御デューティ比をDmnとすると、制御デューティ比算出部50は、
mn=(Dm0−D)×K+Doff ・・・(1)
に従って、制御デューティ比Dmnを演算する。ここで、Dは、正弦波の振幅中心値に対応して設定されたデューティ比(通常は、0.5(=50%))を示す。Doffは、正弦波信号のオフセット量を表す項である。DoffとDを等しくすることによって、D級増幅部10の正側の電源電圧と負側の電源電圧との中心値を振幅の中心とする正弦波信号が生成される。
係数Kは、振幅の比を表す項である。増幅器30は、振幅検出部20で得られた出力振幅と目標振幅との差を増幅することにより算出されたKを出力する。増幅方法は、I制御、P−I制御、P−I−D制御などを用いればよく、特に方法は問わない。例えば、係数Kは、I制御を採用することにより、
=1, K=Kn−1+(A−An−1)A ・・・(2)
に基づき算出されるとよい。ただし、Aはn回目の演算を終えた後の正弦波信号の振幅値、Aは目標振幅とする。
つまり、式(1)によれば、Kが1であれば、マップ値Dm0に一致する制御デューティ比でD級増幅部10のスイッチング素子が駆動されることにより生成された正弦波信号が出力されることになる。そして、式(1),(2)によれば、正弦波信号の振幅の検出値をフィードバックすることにより係数Kの値が調整されるため、正弦波信号の実振幅が目標振幅に一致するように精度良く正弦波信号を出力することができる。
このように、キャリア周期毎のマップ値Dm0と式(2)で算出されたKを式(1)にキャリア周期毎に代入することにより、キャリア周期毎の制御デューティ比Dmnを算出することができるため、三角波と基準正弦波を常時比較することなく、演算規模を大幅に削減することができる。
図2は、正弦波発生装置100の詳細な回路例である。図2において、D級増幅部10は、ハイサイドのスイッチング素子11とローサードのスイッチング素子12とが直列接続されたハーフブリッジ回路をPWM信号に従って駆動するプリドライバ17と、ハーフブリッジ回路の出力信号V(a)をACカップリングするコンデンサ13と、抵抗素子14と誘導素子15とコンデンサ16とをそなえるLCR回路とを備える。図2の回路では、電源(VB)とグランド(GND)との間にハーフブリッジ回路が形成されて、D級増幅が行われている。また、プリドライバ17がPWM信号に従って駆動するスイッチング素子の出力段には、誘導素子15やモータのコイル(不図示)等の誘導性負荷が接続されている。なお、PWM信号に従って駆動するスイッチング素子は、ハーフブリッジ回路に限らず、フルブリッジ回路、流し出し回路、吸い込み回路などを構成する素子であってもよい。
図3は、図2のハーフブリッジ回路の出力信号V(a)とLCR回路から出力される正弦波信号V(out)の波形である。図2のハーフブリッジ回路を電源電圧30Vとグランドとの間に形成した場合、図2の正弦波発生装置によれば、図3に示されるように、0Vを中心に20V振幅の正弦波信号を出力することができる。ちなみに、25μs付近で、PWM信号の制御デューティ比が最大値で算出されており、スイッチング素子11のオン時間が最大でスイッチング素子12のオン時間が最小となっている。一方、75μs付近で、PWM信号の制御デューティ比が最小値で算出されており、スイッチング素子11のオン時間が最小でスイッチング素子12のオン時間が最大となっている。なお、カップリングコンデンサ13が無い場合には、15Vの振幅中心で正弦波信号は出力される。オフセットDoffを変更することによって、その振幅中心が調整できる。
ところで、算出された制御デューティ比から実際のPWM信号を作成する際に、オン時間を時間軸の中心に持っていこうとすると、立ち上がりや立ち下がりでビット誤差が出てしまうため、時間分解能が低下してしまう(図7(a)参照)。例えば、pを0以上の整数、qを自然数とすると、(2p+1)/qの制御デューティ比が算出された場合、その制御デューティ比をキャリア周期の1周期区間qの中心qに対して前半区間と後半区間に対称に分配して、PWM信号のオン時間を生成しようとしても、割り切れないビットが切り捨てられると、それが誤差となってしまう。その誤差を防ぐため、例えば、図7(b)に示されるように、立ち上がりを固定にし、立ち上がり時点から制御デューティ比で決まるオン時間(2p+1)の経過時に立ち下げを行うことによって、PWM信号を作成することもできる。
しかしながら、立ち上がりを固定すると、キャリア周期の1周期区間におけるPWM波形の対称性が無いため、Kの値が1から離れるにつれて、正弦波信号の歪の3次高調波成分が増大してしまう。
そこで、本発明では、制御デューティ比算出部50によって算出された制御デューティ比が、第1の分割分と第2の分割分に等しく2分割可能な場合には、キャリア周期の1周期区間の中心に対して対称になるように第1の分割分と第2の分割分とがPMM信号のオン時間として配置されることにより、D級増幅を行うためのPWM信号を生成する。一方、制御デューティ比算出部50によって算出された制御デューティ比が等しく2分割できずに、互いに等しい第1の分割分及び第2の分割分、並びに制御デューティ比から第1及び第2の分割分を引いて余った余剰分に分割される場合には、キャリア周期の1周期区間の中心に対して対称になるように配置された第1の分割分と第2の分割分のいずれかにその余剰分が加えられることにより、D級増幅を行うためのPWM信号を生成する。
これにより、余剰LSB(Least Significant Bit)等の余剰分を切り捨てないことにより時間分解能を落とさず、且つ、キャリア周期の1周期区間における中心に対してほぼ対称な波形のPWM信号を生成できるので、高調波歪が低減された正弦波信号を出力することができる。
図4は、PWM信号のオン時間とオフ時間の配置を示した図である。pは0以上の整数。qは自然数である。図4(a)では、余剰LSBを後半の分割分に加えた場合を示す。図4(b)は、余剰LSBを前半の分割分に加えた場合を示す。図4(c)は、オフ時間を中間に配置し余剰LSBを後半の分割分に加えた場合を示す。図4(d)は、オフ時間を中間に配置し余剰LSBを前半の分割分に加えた場合を示す。
図5は、D級増幅部10から出力された正弦波信号をフーリエ変換した図である。図5(a)は、PWM波形を対称にして余剰LSBを切り捨てた場合(図7(a)の場合)を示す。図5(b)は、PWM波形の立ち上がりを固定した場合(図7(b)の場合)を示す。図5(c)は、PWM波形を対称にして余剰LSBを加算した場合(図4の場合)を示す。図5(c)の場合は、余剰LSBを切り捨てずにオン時間をキャリア周期の1周期区間の中心に対してほぼ対称に配置しているので、余剰LSBを切り捨てる図5(a)やオン時間が非対称の図5(b)に比べて、2次高調波歪や3次高調波歪を低減することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、正弦波信号のオフセットが不要であれば、m回目のキャリア周期におけるn回目の演算結果である制御デューティ比をDmnとすると、制御デューティ比算出部50は、
mn=Dm0×K ・・・(3)
に従って、制御デューティ比Dmnを演算してもよい。
本発明の実施形態である正弦波発生装置100のブロック図である。 正弦波発生装置100の詳細な回路例である。 ハーフブリッジ回路の出力信号V(a)とLCR回路から出力される出力信号V(out)の波形である。 PWM信号のオン時間とオフ時間の配分を示した図である。 D級増幅部10から出力された正弦波信号をフーリエ変換した図である。 従来の正弦波発生装置のブロック図である。 PWM信号のオン時間とオフ時間の配分を示した図である。
符号の説明
10 D級増幅部
20 振幅検出部
30 増幅器
40 記憶部
50 制御デューティ比算出部

Claims (4)

  1. PWM信号に従ってD級増幅をすることにより正弦波信号を出力する出力手段を備える、正弦波発生装置であって、
    前記正弦波信号の振幅を検出する振幅検出手段と、
    前記正弦波信号の振幅の目標値と前記振幅検出手段によって検出された前記正弦波信号の振幅の検出値との誤差に応じた係数を算出する係数算出手段と、
    正弦波の振幅値にキャリア周期毎に対応して設定されたデューティ比を表すマップ値を記憶する記憶手段と、
    各キャリア周期に対応する前記マップ値を前記係数に乗算することにより、前記PWM信号のキャリア周期毎の制御デューティ比を算出する制御デューティ比算出手段とを備える、正弦波発生装置。
  2. 前記制御デューティ比算出手段は、各キャリア周期に対応する前記マップ値と正弦波の振幅中心値に対応して設定されたデューティ比を表す基準値との差分を前記係数に乗算して所定のオフセットを加算する演算をすることにより、前記PWM信号のキャリア周期毎の制御デューティ比を算出する、請求項1に記載の正弦波発生装置。
  3. 前記PWM信号は、
    前記制御デューティ比算出手段によって算出された制御デューティ比が、第1の分割分と第2の分割分に等しく分割される場合、キャリア周期の1周期区間の中心に対して第1の分割分と第2の分割分とが対称に配置されることにより生成される、請求項1又は2に記載の正弦波発生装置。
  4. 前記PWM信号は、
    前記制御デューティ比算出手段によって算出された制御デューティ比が、互いに等しい第1の分割分及び第2の分割分、並びに余剰分に分割される場合、キャリア周期の1周期区間の中心に対して対称に配置された第1の分割分と第2の分割分のいずれかに前記余剰分が加えられることにより生成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の正弦波発生装置。
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