JP4985139B2 - 光コネクタ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1(図13)には、光コネクタの光ファイバ端面が気密封止されたレーザモジュールが開示されている。具体的には、半導体レーザ素子(LD)201を封止する第1の枠体であるCANパッケージ202と、CANパッケージ202から出射されたレーザビーム203を平行化するコリメータレンズ204と、平行化された光を光ファイバ端面に集光する集光レンズ205と、光ファイバ210の端面(光コネクタの端面)を封止する第2の枠体206と、を有している。
光コネクタは、フェルール207に形成された貫通孔に光ファイバ208が挿入されている。フェルール207と光ファイバ210とは、接着部材211により固着されている。第2の枠体206は、フェルール207を保持する保持部材206aと、保持部材206aに設けられたガラス板206bと、で構成されている。ガラス板206bは、集光レンズ205により集光された光を透過する。フェルール207と保持部材206aとは、光ファイバ端面が気密封止されるように、溶接または溶着されて固定されている。これにより、従来の光コネクタは、レーザ光に照射された空気中の不純物が光ファイバ端面に付着することを防止することができる。さらに、従来の光コネクタは、溶接または溶着により強固に固定されているため、固定された光コネクタが位置ずれすることを防止することができる。
なお、光コネクタの固定には、接合強度、耐熱性、作業性の問題により、YAGレーザ等のレーザ溶接機による溶接や、ロウ材を用いた半田付け等による溶着を用いるのが一般的に知られている。
本発明の光コネクタは、光ファイバと、前記光ファイバを挿入する貫通孔が形成され、かつ、前記貫通孔の周囲に溝部が形成されたフェルールと、前記貫通孔に挿入された前記光ファイバと前記フェルールとを固着する接着部材と、を有する光コネクタであって、前記貫通孔は、前記フェルールの端面に貫通して形成された第1の貫通孔と、該第1の貫通孔から連続して形成された第2の貫通孔と、を有し、前記第1の貫通孔の径は、前記第2の貫通孔の径よりも小さく、前記溝部の深さは、前記第1の貫通孔よりも深く形成されていることを特徴とする。
また、前記フェルールの端面は、前記溝部よりも内側にある第1の端面と、前記溝部よりも外側にある第2の端面と、を有し、前記第1の端面には、前記第2の端面よりも突出した突出部が設けられていることが好ましい。
また、前記第2のフェルールは、前記第1のフェルールと部分的に接していることが好ましい。これにより、第2のフェルールから第1のフェルールへ熱が伝わるのを抑制することができる
また、前記第1のフェルールの外側面または前記第2のフェルールの内側面に、凸部を設けることができる。これにより、第1のフェルールと第2のフェルールとが接触する面積を小さくすることができる。
また、前記凸部は、前記第2のフェルール側よりも前記第1のフェルール側の面積が小さいテーパ形状であることが好ましい。これにより、第1のフェルールと第2のフェルールとが接触する面積をさらに小さくすることができるため、第2のフェルールから第1のフェルールへ熱が伝わるのをさらに抑制することができる。
図1は、本発明に係る第一の実施形態の光コネクタを模式的に示す概略図である。
第2の貫通孔70bには、光ファイバ10が被覆部材60に被覆されたものが挿入されている。さらに、第2の貫通孔内70bにおいて、第1の貫通孔70a付近には被覆部材60から露出した光ファイバ10を有しているのが好ましい。これにより、光ファイバ10に集中する応力を緩和することができる。被覆部材60から露出した光ファイバ10は、第2の貫通孔70bから連続して第1の貫通孔70aに挿入されている。
また、接着部材40は、光ファイバ10と同様に、被覆部材60の側面を貫通孔70の側面(フェルール20の内側面)に固着している。さらに、接着部材41が、第2の貫通孔70bの開口部周辺と、第2の貫通孔70bから突出された光ファイバ10と、を被覆するように設けられているのが好ましい。これにより、接着部材40の強度を補うことができる。さらに、自在に湾曲可能な光ファイバ10がフェルール20と接触することにより、損傷または断線してしまうことを防止することができる。
ただし、本発明における「溝部30が貫通孔70の周囲を囲う」とは、必ずしも接着部材がある部分全体を囲う必要はなく、本発明の効果が得られる程度に囲んでいれば良い。
本実施形態においては、溝部30が、第2の貫通孔70bの一部および第1の貫通孔70aを囲うように形成されている。このとき、フェルール20の側壁の厚みは、溝部30の側面および第2の貫通孔70bの側面間よりも、フェルール20の外側面および第2の貫通孔70bの側面間が厚い方が好ましい。これにより、フェルール20における熱抵抗は、溝部30の底面付近から光ファイバ10の端面側への熱経路よりも、その逆側への熱経路の方が低くなる。このため、溝部30よりも外側にあるフェルール20の側壁から伝わってきた熱は、光ファイバ10の端面とは逆方向に伝わりやすくなる傾向にある。よって、外部からの熱が光ファイバ10の端面に伝わることを抑制することができる。
図2は、本発明に係る第二の実施形態の光コネクタを模式的に示す概略図である。
本実施形態では、凸部50が、第2の貫通孔70bの周囲を囲うように配置されている。言いかえると、フェルール20の端面方向において、溝部30の深さが第1の貫通孔70aよりも深くなるように凸部50が配置されている。これにより、溝部30よりも外側(第2のフェルール20bの外側面)から光ファイバ10の端面までの熱経路を十分に確保することができる。
また、凸部50の形状は、凸部50が形成されている側(第1のフェルール20a側、または、第2のフェルール20b側)よりも、第1のフェルール20aと第2のフェルール20bとが接している側の面積の方が小さいことが好ましい。本実施形態においては、凸部50の形状は、凸部50が形成されている第2のフェルール20b側よりも、第1のフェルール20a側(凸部50の先端側)の方が面積の小さいテーパ形状を有している。これにより、凸部50における熱抵抗は、第2のフェルール20b側よりも第1のフェルール20a側が高くなる傾向にある。このため、第2のフェルール20bから第1のフェルール20aへ熱が伝わることを抑制することができる。
また、凸部50は、複数設けることもできる。各凸部の配置は、光コネクタとして様々な用途に適した溝を形成するために適宜変更することができる。本実施形態では、凸部50は、溝部30を構成するための第1の凸部50aと、第1の凸部から離間して設けられる第2の凸部50bと、を有している。これにより、第2のフェルール20bから第1のフェルール20aへの熱経路を分散することができる。さらに、第2の凸部50bは、第1の凸部50aと並行して設けられている。これにより、第1のフェルール20aに第2のフェルール20bを安定して固定することができる。
また、第1の凸部50aと第2の凸部50aとの間には、空気層100が形成されている。これにより、空気が断熱材として働くため、第2のフェルール20bから第1のフェルール20aへ熱が伝わるのを抑制することができる。
また、第二の実施形態に係る光コネクタは、複数のフェルール20a、20bにより溝部30が構成されている。このため、光コネクタの用途(光コネクタを接続する際の構造)に応じて容易に光コネクタの形状を変更することができる。
光ファイバは、石英ガラスやプラスチックで形成される細い繊維状の物質で、中心部のコアと、その周囲を覆うクラッドの二層構造である。コアは、クラッドと比較して屈折率が高く、光を全反射という現象によりコア内に閉じこめた状態で伝搬させる。
本発明において、光ファイバを構成する各面のうち、光源からの光が入射および射出される面を光ファイバの端面とし、光ファイバの端面と隣接する面を光ファイバの側面とする。
このような、光ファイバとしては、材料が特に限定されるものではなく、例えば、石英ガラス、プラスチック等が挙げられる。
また、光ファイバの周囲は、光ファイバを保護するために、難燃性ポリエステルエラストマー樹脂(商品名ハイトレル等)、フッ素樹脂、ナイロン、紫外線硬化型樹脂等の被覆部材60により被覆することができる。
フェルールは、光コネクタの土台であって、光ファイバの保持および他の部材を接続するための部材をいう。フェルールには、光ファイバが挿入される貫通孔が形成され、かつ、貫通孔の周囲に溝部が形成されている。フェルールの形状は、光コネクタの用途に合わせて適宜変更できるため特に限定されないが、略円柱状であることが好ましい。
本発明において、フェルールを構成する各面のうち、貫通孔に挿入された光ファイバの端面が露出される側の面をフェルールの端面とし、フェルールの端面の外周と接する面をフェルールの外側面とし、形成された貫通孔の側面(内壁)をフェルールの内側面とする。
特に、第二の実施形態においては、第1のフェルールを構成する各面のうち、光ファイバが挿入される貫通孔の内壁を第1のフェルールの内側面とし、第1のフェルール端面の外周と接する面を第1のフェルールの外側面とする。さらに、第1のフェルールの外側面を囲っている第2のフェルールの面を第2のフェルールの内側面とし、第2のフェルール端面の外周と接する面を第2のフェルールの外側面とする。
また、本発明において、「貫通孔」とは、特定的な記載がない限り、光ファイバが挿入される部分をいう。
溝部の形状は、熱源からの高温な熱が光ファイバの端面にまで直接伝わらないように、熱経路を確保できる形状であれば良い。例えば、貫通孔を囲む環状であることが好ましい。さらに、溝部は、1つのフェルールから構成されていても、2つ以上のフェルールから構成されていても良い。また、溝部の深さは、熱源からの熱量によって適宜変更することができる。具体的には、溝部の深さは、好ましくは1〜10mmであり、より好ましくは2〜3mmである。これにより、溝部よりも外側にある熱源から光ファイバの端面までの熱経路を十分に確保することができる。
このような、フェルールの材料としては、放熱性、耐光性、溶接性、加工性、研磨性等に優れるものが好ましい。例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ジルコニア(ZrO2)、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミ(AlN)、硫酸バリウム(BaSO4)、カーボン、ステンレス鋼、ホウケイ酸ガラス等で構成することが挙げられる。
接着部材は、光ファイバをフェルールに固着するための部材である。接着部材は、光ファイバがフェルールから抜けない程度に固定できれば良く、耐光性、耐熱性に優れるものが好ましい。
このような、接着部材としては、有機接着剤や無機接着剤などを用いることができる。
例えば、有機接着剤としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シアノアクリレート樹脂およびそれらの共重合樹脂を主成分としたものを用いることができる。ただし、一般的に、有機接着剤は、レーザ光(特に、光エネルギーの高い500nm以下の光)の照射や熱などにより、分解されて不純物やアウトガスが発生することが知られている。さらに、発生した不純物やアウトガスは、光密度の高い部分(例えば、光ファイバの端面)に付着することが知られている。このため、有機接着剤としては、分解されにくい材質のものを用いることが好ましい。例えば、脂環系エポキシ接着剤、芳香系エポキシ接着剤、脂環系または芳香系エポキシ接着剤に銀(Ag)等の金属または無機材料の粉末を添加した接着剤が好ましい。
また、無機接着剤としては、アルミナ、シリカ、マイカ、等を主成分とした接着剤や、フラックスフリー半田等を用いることができる。無機接着剤は、硬化後に無機物となるため、分解されて不純物が発生することがほとんど無く好ましい。ただし、接着部材として半田(フラックスフリー)を用いた場合、光コネクタを他の部材へ溶接または融着する際に発生する熱により、硬化後の半田が再び光ファイバの端面に溶け出すことがある。このため、本発明の効果が特に有効に作用する。
さらに、接着部材として半田(フラックスフリー)を用いた場合、光ファイバが挿入される貫通孔の側面には、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)等の金属膜を被覆することが好ましい。これにより、光ファイバのみを通すだけの比較的開口径の小さい貫通孔にも半田が入り易くなる。
図3は、本発明に係る第一の実施形態の光コネクタについての第一変形例を模式的に示す概略図である。図4は、本発明に係る第二の実施形態の光コネクタについての第一変形例を模式的に示す概略図である。
第一変形例に係る光コネクタは、フェルールの端面に突出部を有している点において、第一の実施形態および第二の実施形態と相違する。
フェルール20は、略円柱形状を有し、内部に光ファイバ10が挿入される貫通孔70が形成されている。貫通孔70は、フェルール20の端面を貫通して形成されている。フェルール20の端面には、貫通孔70の周囲を囲うように溝部30が形成されている。
フェルール20の端面は、溝部30よりも内側にある第1の端面21aと、溝部30よりも外側にある第2の端面21bと、を有して構成される。第1の端面21aには、第2の端面21bよりも突出した突出部80が設けられている。貫通孔70に挿入された光ファイバ10の端面は、フェルール20の端面(第1の端面21a)の一部である突出部80の端面と略同一平面上に露出するように配置されている。これにより、溝部30よりも外側にあるフェルール20(第2の端面21b付近)から、光ファイバ10の端面までの熱経路を十分に確保することができる。
また、本変形例では、突出部80がフェルール20から1つの部材により連続して形成されている。突出部80が突出される長さは、好ましくは0.5〜10mmであり、より好ましくは、0.5〜5mmである。突出部80に形成された貫通孔70の開口径は、好ましくは100〜200μmであり、より好ましくは100〜150μmである。
図5は、本発明に係る第一の実施形態の光コネクタについての第二変形例を模式的に示す概略図である。図6は、本発明に係る第二の実施形態の光コネクタについての第二変形例を模式的に示す概略図である。
第二変形例に係る光コネクタは、突出部80がフェルール20とは異なる部材からなる点において、第一変形例と相違する。
突出部80には、内部に光ファイバ10が挿入される貫通孔71aが形成されている。フェルール20には、突出部80が圧入される貫通孔71bが形成されている。さらに、フェルール20には、フェルール20に形成された貫通孔71(71a、71b)の周囲を囲うように、溝部30が形成されている。なお、溝部30は、図6に示すように、突出部80が圧入される貫通孔71bが形成された第1のフェルール20aと、第1のフェルール20aの周囲を保持する第2のフェルール20bと、で構成することもできる。
突出部80は、第2のフェルール20bの端面よりも突出するように第1のフェルール20aの貫通孔70aに圧入されている。突出部80および第1のフェルール20aに形成された貫通孔71は、連続しており、光ファイバ10が挿入されている。
挿入された光ファイバ10は、接着部材40により突出部80および第1のフェルール20aと固着されている。このとき、光ファイバ10の端面は、突出部80の端面と略同一平面上に配置される。
さらに、突出部80は、フェルール20と異なる材質を選択することもできる。例えば、突出部80の熱伝導率を、フェルール20の熱伝導率よりも低くすることが好ましい。これにより、本変形例の光コネクタを他の部材と接続する際に発生する熱が、光ファイバ10の端面付近にまで伝わることを抑制することができる。
図7は、本発明に係る第二の実施形態の光コネクタについての第三変形例を模式的に示す概略図である。
第三変形例に係る光コネクタは、凸部50を有する部材が異なる点において、図6に示す第二変形例と相違する。
フェルール20は、突出部80が圧入される第1のフェルール20aと、第1のフェルール20aの周囲を保持する第2のフェルール20bと、を有する。突出部80および第1のフェルール20aには、光ファイバ10が挿入される貫通孔71(71a、71b)が内部に形成されている。貫通孔71の周囲には、フェルール20(20a、20b)の端面側に開口する溝部30が形成されている。貫通孔71には、光ファイバ10が挿入されている。貫通孔71に挿入された光ファイバ10の側面は、接着部材40により貫通孔71の側面と固着されている。
凸部50は、フェルール20の端面とは逆側に位置する第2のフェルール20bの内側面と接するように設けられている。これにより、さらに深い溝を形成することができる。よって、溝部30よりも外側にある第2のフェルール20bから、光ファイバ10の端面(第1のフェルール20aの端面)までの熱経路を十分に確保することができる。
凸部の形状は、凸部が形成されている第1のフェルール側よりも、第2のフェルール側(凸部の先端側)の方が面積の小さいテーパ形状を有している。これにより、第2のフェルールから第1のフェルールへ熱が伝わることを抑制することができる。
図8は、本発明に係る第二の実施形態の光コネクタについての第四変形例を模式的に示す概略図である。
第四変形例に係る光コネクタは、凸部50の形状が異なる点において、第三変形例と相違する。
第2の凸部50bは、第1の凸部50aと並行して設けられている。これにより、第1のフェルール20aに第2のフェルール20bを安定して固定することができる。さらに、第2のフェルール20bから第1のフェルール20aへの熱経路を分散することができる。ただし、第1の凸部50aと第2の凸部50bとの配置および形状は、光コネクタとして様々な用途に適した溝を形成するために適宜変更することができる。
また、第1の凸部50aと第2の凸部50bとの間には、空気層100が形成されている。これにより、空気が断熱材として働くため、第2のフェルール20bから第1のフェルール20aへ熱が伝わるのを抑制することができる。
実施例1として、図6に示す光コネクタを用いて説明する。
なお、フェルール20としてステンレス鋼(SUS)、接着部材40として銀(Ag)および錫(Sn)を主成分とする半田(フラックスフリー)、突出部80としてニッケル(Ni)、金属膜として金(Au)を用いる。
本実施例において、突出部80には、内部に光ファイバ10(外径0.125mm)が挿入される貫通孔71aが形成されている。突出部80の表面(貫通孔71aの側面を含む)は、金属膜で被覆されている。
フェルール20(外径3.5mm)は、突出部80が圧入される貫通孔71bが形成された第1のフェルール20aと、第1のフェルール20aの周囲を保持する第2のフェルール20bと、を有する。さらに、フェルール20には、突出部80および第1のフェルール20aに形成された貫通孔71の周囲を囲うように、第1のフェルール20aと第2のフェルール20bとの間に溝部30(幅0.25mm、深さ3mm)が形成されている。
突出部80は、第2のフェルール20bの端面よりも10mmほど突出して第1のフェルール20aの貫通孔71bに圧入されている。突出部80および第1のフェルール20aに形成された貫通孔71は、連続しており、光ファイバ10が挿入されている。
挿入された光ファイバ10は、接着部材40により、突出部80およびフェルール20と固着されている。このとき、光ファイバ10の端面は、突出部80の端面と略同一平面上に配置されている。
また、フェルール20は、第1のフェルール20aの外側面に凸部50(高さ0.25mm)が2列に平行して形成されている。凸部50の先端は、第2のフェルール20bの内側面と接している。
光ファイバ10を挿入するための貫通孔71aが形成された突出部80を、電鋳法によって形成する。電鋳法とは、貫通孔と同径の芯線に電気分解の電着による金属成長後、芯線を除去し円筒構造を形成する方法であり、開口径の小さくかつ深い貫通孔を形成するときに用いるのが好ましい。さらに、貫通孔71aが形成された突出部80の表面(貫通孔71bの内側面を含む)には、金属膜を被覆する。
また、突出部80を圧入するための貫通孔71bが形成された第1のフェルール20aと、内側面に凸部50を有する貫通孔71cが形成された第2のフェルール20bと、をそれぞれ金型によって形成する。本実施例では、凸部50を2列に平行して形成しており、溝部30の幅および深さを考慮して位置関係を決定する。
(2)
第2のフェルール20bの貫通孔71cに、第1のフェルール20aを圧入する(図12a参照)。このとき、第2のフェルール20bに設けられた凸部50(貫通孔の内側面の一部)が、第1のフェルール20aの外側面と接する。これにより、第1のフェルール20aと第2のフェルール20bとの間に、フェルール20a、20bの端面側に開口した溝部30を構成することができる。
さらに、突出部80を、第2のフェルール20bよりも突出するように、第1のフェルール20aの貫通孔71bに圧入する(図12b参照)。
(3)
予め溶かしておいた接着部材40(半田)を、第1のフェルール20aの貫通孔71bに注入する。被覆部材60を剥いた光ファイバ10の先端部を、第1のフェルール20aおよび突出部80の貫通孔71a、71bに挿入する(図12c参照)。このとき、光ファイバ10の先端部は、突出部80から突き出るように挿入される(図12d参照)。
(4)
フェルール20a、20bの端部の周囲にコイル101を配置する(図11e参照)。さらに、コイル101に電流を流すことによって高周波の電磁波を接着部材40に照射する。電磁波が照射された接着部材40(半田)は、溶かされながら電磁誘導により吸い上げられる。これにより、第1のフェルール20aおよび突出部80の貫通孔71a、71b内に隙間無く配置される。
次に、第1のフェルール20aに形成された貫通孔71bの開口部を、熱硬化性の接着部材41にて被覆し固定する(図12f参照)。
(5)
最後に、光ファイバ10が突き出た突出部80の端面を研磨シート102等で研磨する(図12g参照)。研磨面は、平面、球面、など適宜変更することができる。
以上、工程(1)乃至(4)により、実施例1に係る光コネクタを得ることができる(図12h参照)。
図9は、本発明に係る光コネクタを用いたレーザモジュールを模式的に示す概略図である。
実施例2に係るレーザモジュールは、半導体レーザ素子(LD)201を封止する第1の枠体であるCANパッケージ202と、CANパッケージ202から出射されたレーザビーム203を平行化するコリメータレンズ204と、平行化された光を光ファイバ端面に集光する集光レンズ205と、光コネクタの端面(光ファイバの端面)を封止する第2の枠体206と、を有している。
第2の枠体206は、光コネクタを保持する保持部材206aと、保持部材206aに設けられたガラス板206bと、で構成されている。ガラス板206bは、集光レンズ205により集光された光を透過する。保持部材206aには、光ファイバ10の端面が封止されるように、第2のフェルール20bの外側面を融着させて光コネクタが保持されている。なお、融着部は第2のフェルール20bの端面に近いほど良く、熱源から光ファイバ10の端面までの熱経路を十分に確保することができる。
さらに、光ファイバ10の端面を不純物の付着から保護することができる(第2の枠体206内の気密性を維持することができる)。
また、光コネクタには溝部30が形成されているため、保持部材206aと光コネクタとの位置決めが容易になる。これにより、集光レンズ205により集光された光と光コネクタとの結合効率が向上する。
図10は、本発明に係る光コネクタを用いたレーザモジュールを模式的に示す概略図である。図11は、本発明に係る封止部材を有する光コネクタ(図10)を拡大した概略図である。
フェルール20は、貫通孔71bが形成された第1のフェルール20aと、第1のフェルール20aの周囲に設けられた第2のフェルール20bと、を有する。フェルール20は、第1のフェルール20aと第2のフェルール20bとにより、フェルール20の端面側に開口した溝部30が構成されている。第1のフェルール20aの貫通孔71bには、貫通孔71aが形成された突出部80が圧入されている。
光ファイバ10は、突出部80および第1のフェルール20aに形成された貫通孔71(71a、71b)に挿入され、接着部材40により固着されている。
第2のフェルール20bの端面には、光ファイバ10の端面と第1のフェルール20aの端面とを封止する封止部材207を有している。封止部材207と第2のフェルール20bの端面とは、抵抗溶接等で溶接して固定されている。封止部材209にはガラス板208を有する。ガラス板208は、封止部材209の外部から入射される(または、光ファイバ10から出射される)レーザ光が透過するように配置されている。
封止には、炭化水素化合物などの有機物を含有しないガスを封入することが好ましく、例えば、N2などを封入することができる。また、不活性ガスに1ppm以上の濃度の酸素、ハロゲン族ガス、及び/又はハロゲン化合物ガスが混入されているものを封入することもできる。これらにより、有機物の発生を抑制できる。
また、ガラス板208には反射防止用のAR(Anti Reflection)コートを有することもできる。これにより、レーザ光がガラス板208で反射されることを防ぐことができる。
さらに、光ファイバ10の端面を不純物の付着から保護することができる(封止部材内の気密性を維持することができる)。
また、光コネクタには溝部30が形成されているため、光コネクタに対する封止部材209の位置決めが容易になる。また、溝部30により外部応力を緩和する傾向にある。
Claims (3)
- 光ファイバと、
前記光ファイバを挿入する貫通孔が形成された第1のフェルールと、
前記第1のフェルールの周囲を保持するように形成された第2のフェルールと、
前記第1のフェルールの外側面と前記第2のフェルールの内側面とにより構成された溝部と、
前記貫通孔に挿入された前記光ファイバと前記第1のフェルールとを固着する接着部材と、を有する光コネクタであって、
前記第1のフェルールの外側面または前記第2のフェルールの内側面に、凸部を有し、
前記凸部は、前記第2のフェルール側よりも前記第1のフェルール側の面積が小さいテーパ状であることを特徴とする光コネクタ。 - 前記第1のフェルールの端面には、前記第2のフェルール端面よりも突出した突出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
- 前記凸部は、複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタ。
Priority Applications (1)
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