JP4983517B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷ヘッドから被印刷物に対してインク滴を吐出して印刷を行う印刷装置に関する。
従来の印刷装置として、インク滴を吐出する印刷ヘッド(インクジェットヘッド)を、用紙等の被印刷物に対して相対的に移動させることにより、被印刷物上に印刷処理を行うインクジェットプリンタが知られている。
このようなインクジェットプリンタにおいて印刷を行う場合、用紙に吐出されたインク滴によって用紙が膨潤して波打つ、所謂、コックリングという現象が発生することがある。そして、このコックリングが生じると、用紙が印刷ヘッドに接触して用紙が汚れたりジャム障害が生じたりするおそれがある。
このため、複数の吸引口を形成した真空ベルト内を吸引し、この真空ベルトに用紙を吸着して搬送することにより、用紙をプラテン側に吸引する搬送機構を備えた印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、短冊状の無端ベルトを複数本並べ、無端ベルト間に設けた空気吸引口から空気を吸引することにより、用紙を無端ベルトに押し付けて搬送する印刷装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3195792号公報 特許第2902150号公報
ところで、真空ベルトを備えた印刷装置では、用紙に生じたコックリングにより、真空ベルトの吸引口以外の箇所で用紙の浮き上がりが発生してしまう。この場合、吸引口の数を増やしたり配置を工夫したりすることが考えられるが、用紙のコックリングを抑えるには、非常に大きな吸引力が必要となる。吸引力を増大させると、真空ベルトとベルトの受け部分との間の摩擦力が増大して送り負荷が大きくなり、円滑かつ高精度な用紙の搬送が困難となるばかりか、大掛かりで高価な吸引装置が必要となり、コストアップを招いてしまう。また、用紙が薄い場合、吸引力を高めることによりしわが生じ、印刷品質が低下してしまう。
また、複数本の短冊状の無端ベルト間のプラテンに空気吸引口を設けた印刷装置の場合も、コックリングを生じた用紙が空気吸引口で吸着されて摩擦が生じ、円滑かつ高精度な用紙搬送が困難となる。この場合、用紙のコックリングを考慮してベルトの表面に対して吸引口を用紙から大きく遠ざければ良いが、この場合、空気吸引口での吸引力が用紙に作用しづらくなり、用紙を十分に引き寄せることができなくなるため、印刷ヘッドへの用紙の接触やジャム障害を十分に防止することができない。
そこで、本発明の目的は、被印刷物の印刷ヘッドへの接触やジャム障害の発生を防止しつつ円滑かつ高精度に被印刷物を搬送し、良好に印刷を行うことが可能な印刷装置を提供することにある。
上記課題を解決することのできる本発明に係る印刷装置は、シート状の被印刷物を一枚ずつ搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される被印刷物に対してインクを吐出する印刷ヘッドとを備えた印刷装置であって、
前記搬送機構は、前記被印刷物の搬送方向に沿って配列され、前記被印刷物を搬送するための複数の搬送ベルトと、
それぞれの前記搬送ベルトの幅方向両側部に設けられ、前記搬送ベルトによる前記被印刷物の搬送面よりも前記印刷ヘッドから離れた位置で前記被印刷物を吸引する吸引口と、
それぞれの前記搬送ベルトの間で前記幅方向に隣り合う前記吸引口の間に形成され、前記吸引口よりも前記印刷ヘッドから離れた位置に底面を有する逃げ凹部と、を備えている。
この構成の印刷装置によれば、搬送ベルトの幅方向両側部に設けられた吸引口によって被印刷物が吸引されるため、インク滴の吐出によって被印刷物にコックリングの弛みが生じたとしても、被印刷物は、搬送ベルトの幅方向両側で吸引口によって印刷ヘッドから離れる方向(すなわちプラテン側)へ引き寄せられて湾曲する。したがって、被印刷物は搬送ベルトに向けて押さえつけられるように吸引されつつ、被印刷物を印刷ヘッドに接触させることなく搬送することができる。
また、吸引口が搬送ベルトの搬送面よりも印刷ヘッドから離れた位置であるため吸引口によって引き寄せられた被印刷物が吸引口に接触しない。さらに、搬送ベルトの間における隣接した吸引口の間では吸引による湾曲が大きくなり易いが、その位置では逃げ凹部の底面が吸引口よりも印刷ヘッドから離れた位置であるため、被印刷物が逃げ凹部の底面に接触することも防がれる。したがって、吸引口によって引き寄せられた被印刷物が吸引口及び逃げ凹部の底面に接触して搬送抵抗が増大するような不具合もなくすことができる。しかも、吸引口を被印刷物の良好な吸引に影響ない程度に搬送面に近接した位置とすることにより、コックリングを生じた被印刷物を確実に吸引して印刷ヘッドから離れる方向へ湾曲させることができる。
これにより、被印刷物の印刷ヘッドへの接触やジャム障害の発生を防止しつつ円滑かつ高精度に被印刷物を搬送し、良好に印刷を行うことができる。
また、前記搬送ベルトは前記幅方向に沿う複数の歯を有するタイミングベルトであることが好ましく、更には、前記吸引口は、前記搬送ベルトの前記幅方向両側部で前記歯の隙間と連通して開口し、前記歯の隙間を介して前記搬送ベルトの内周面側に向けて吸引する構成であることが好ましい。
この構成によれば、搬送ベルトの内面の歯の隙間を吸引口と連通させているため、搬送ベルトの両側部に別個の吸引口を設ける必要をなくすことができ、構造の簡略化によるコスト低減を図ることができる。また、搬送ベルトとしてタイミングベルトを用いるので、搬送ベルトの厚さに影響を受けず、被印刷物の搬送精度を高めて高精度に印刷を行うことができる。
また、前記搬送機構には、前記被印刷物の搬送方向の下流側における前記搬送ベルトの間に、前記被印刷物を押圧する押圧ローラが設けられていることが好ましい。
この構成によれば、被印刷物の搬送方向の下流側における搬送ベルト同士の間で押圧ローラが被印刷物を押圧するので、搬送ベルトの間で被印刷物を印刷ヘッドから離れる方向へ押さえてさらに確実に被印刷物の浮き上がりを防ぐことができる。
以下、本発明に係る印刷装置の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態では、印刷装置としてインクジェットプリンタを例示して説明する。
図1は本実施形態のプリンタの外観斜視図、図2は図1に示したプリンタの内部構成を示す概略側断面図、図3は図1に示したプリンタの内部構成を示す概略平断面図、図4はメインカセットからの給紙可能な状態を示すプリンタの概略側断面図、図5はメインカセットからの給紙可能な状態を示すプリンタの概略平断面図、図6は印刷処理部の斜視図、図7は印刷処理部の幅方向の断面図、図8は印刷処理部での吸引口部分における用紙の搬送方向の断面図、図9は印刷処理部での搬送ベルト部分における用紙の搬送方向の断面図、図10は搬送ベルト部分の拡大側面図である。
本実施形態のプリンタ1は、一例としてフロント給紙・リア排紙タイプのインクジェットプリンタであり、図1に示すように、装置ケース4の前面(図1において左側端面)の中央には、サブカセット装填口5が形成されている。図2に示すように、このサブカセット装填口5には、シート状の大判の被印刷物である用紙Pを収容空間S内に収容したサブカセット6が着脱自在に装填されている。このサブカセット6は、後半部分が装置ケース4の内部に装填され、前半部分が装置ケース4から突出している。
また、図1に示すように、装置ケース4の側面(図1において手前側面)には、外方側へ開閉可能な開閉扉7を有する窓部8が設けられており、開閉扉7を開いた状態で、メインカセット42の出し入れが可能とされている。図2に示すように、このメインカセット42には、小判の被印刷物である用紙Pが積層状態で収容されている。また、装置ケース4の後面(図1において右側端面)には、印刷が終了した用紙Pを受ける排紙トレイ9が設けられている。
図2及び図3に示すように、装置ケース4内には、前部にカセット設置部40が設けられ、カセット設置部40の下流側(すなわち、後方)には給紙部10が設けられている。給紙部10の下流側には印刷処理部20が設けられ、さらに排紙部50が設けられている。
カセット設置部40では、サブカセット装填口5に内方へ回動可能な開閉カバー5aが設けられており、この開閉カバー5aは、サブカセット装填口5へサブカセット6を差し込むことにより、サブカセット6に当接して内方へ回動してサブカセット装填口5を開き、サブカセット装填口5からサブカセット6を引き抜くことにより、サブカセット装填口5側へ回動してサブカセット装填口5を閉じる。
また、サブカセット装填口5には、開閉カバー5aの開閉によってON・OFFする開閉カバー検出センサ5bが設けられている。
また、サブカセット6を装填したプリンタ1内の装填方向前方側の位置には、サブカセット6のプリンタ1に対する着脱によってON・OFFするサブカセット検出センサ5cが設けられている。
また、装置ケース4内には、メインカセット設置部41が設けられており、このメインカセット設置部41には、メインカセット42が着脱可能に収容される。
このメインカセット42は、その内部に、小判の用紙Pを積層して収容する収容空間Sを有しており、この収容空間S内には、用紙昇降機構43が設けられており、この用紙昇降機構43によって収容空間S内に積層状態で収容した小判の用紙Pの最上部が所定の高さ位置とされる。
メインカセット設置部41は、メインカセット42が載置される昇降板44を備えており、この昇降板44は、昇降機構44aによって昇降されるようになっている。
また、この昇降板44には、メインカセット設置部41に対するメインカセット42の着脱により出没するピン45によってON・OFFするメインカセット検出センサ46が設けられている。
そして、このメインカセット設置部41では、サブカセット6が取り外された状態で、昇降機構44aによって上昇されることにより、図4及び図5に示すように、昇降板44上のメインカセット42が給紙ポジションに配置され、この状態で、ピックアップローラ13による用紙Pの繰り出しが可能とされる。
また、これとは逆に昇降機構44aによって昇降板44が下降されると、メインカセット42は、給紙ポジションから外れた待機ポジションに配置され、この状態で、装置ケース4の窓部8からのメインカセット42の取り出しが可能とされる。また、サブカセット6は、メインカセット42が待機ポジションに配置された状態で、サブカセット装填口5からの装填が可能とされる。
そして、メインカセット設置部41には、メインカセット42が給紙ポジションに配置されたことを検出する給紙ポジション検出センサ47及びメインカセット42が待機ポジションに配置されたことを検出する待機ポジション検出センサ48が設けられている。
給紙部10では、装置ケース4内で揺動可能に支持されたフレーム12の先端に支持されたピックアップローラ13が設けられ、このピックアップローラ13は、下方に配置された用紙Pに当接することにより、用紙Pの最上のものを1枚ずつ後方(図2及び図3において右方)へ繰り出し、後方側の印刷処理部20へ送り込む。
印刷処理部20は、供給された用紙Pに対して用紙Pの幅方向に相対的に移動しながらインクの液滴(インク滴)を吐出して所望の画像を印刷するインクジェットヘッド(印刷ヘッド)22が、給紙方向に直交して設けられているガイド軸21,21に沿って移動可能に設けられている。
図6に示すように、このインクジェットヘッド22は、駆動モータ61によって回転される駆動プーリ62と従動プーリ63とに掛け回された駆動ベルト64の一部に固着されており、駆動プーリ62が駆動モータ65によって回転され、駆動ベルト64が走行されることにより、ガイド軸21,22に沿って移動する。なお、本実施形態のインクジェットヘッド22は、そのインクノズルが形成された領域の用紙搬送方向長さが2インチであり、インクジェットプリンタとしては比較的大型のものである。
また、インクジェットヘッド22の下方には、被印刷物である用紙Pを下方から支持しながら搬送する搬送機構70が設けられている。
図6から図9に示すように、搬送機構70は、上面が印刷基準面としてのプラテン71であってインクジェットヘッド22に対向した吸引ブロック72を有している。この吸引ブロック72は、内部に空間部S1が形成された箱状のもので、下部には、空間部S1内の空気を吸い出す吸引ブロア74が設けられている。
搬送機構70を構成する吸引ブロック72の上流側の端部には、複数のテンションプーリ75及びガイドプーリ73(図10参照)が間隔をあけて支持されている。また、吸引ブロック72の下流側近傍には、上方に開口する溝部76が幅方向にわたって形成されており、この溝部76には、回転シャフト78が配設されている。この回転シャフト78には、テンションプーリ75と同数の駆動プーリ79が、テンションプーリ75と対向する位置に設けられている。そして、これらの駆動プーリ79とテンションプーリ75及びガイドプーリ73とに、それぞれ搬送ベルト80が掛け回され、搬送ベルト80が間隔をあけて並列に配置されている。なお、駆動プーリ79とガイドプーリ73はそれぞれ外周面に歯を備えているが、テンションプーリ75には歯が設けられていない。
図10に示すように、搬送ベルト80は、その内周面側に複数の歯80aを有するタイミングベルトであって、この搬送ベルト80の歯80aが、ガイドプーリ73及び駆動プーリ79の歯73a,79aに噛み合わされている。なお、テンションプーリ75は、駆動プーリ79から離れる方向(図8〜図10における右方)へ弾性付勢されており、これにより、搬送ベルト80には、所定のテンションが付与されている。
搬送ベルト80の上流側における上部には、ガイドプーリ73と対向する押さえローラ81が設けられている。押さえローラ81は、フレーム82に回転可能に支持され、ガイドプーリ73側へ付勢されている。
また、搬送ベルト80の下流側における上部には、搬送ベルト80の対向位置で搬送ベルト80に沿って間隔をあけて配置された複数対の送りローラ83,84及び各搬送ベルト80の間に設けられた押圧ローラ85が設けられている。送りローラ83,84及び押圧ローラ85は、ブラケット86に回転可能に支持されている。送りローラ83は、駆動プーリ79の直上に配置されており、搬送ベルト80を介して駆動プーリ79との間で用紙Pを挟持する。送りローラ84は、送りローラ83より上流側に配置され、搬送ベルト80の上で送りローラ83に到達する前の用紙Pの浮き上がりを防止する。また、押圧ローラ85は駆動プーリ79より上流側であって搬送ベルト80同士の間で用紙Pの浮き上がりを防止する。
駆動プーリ79が設けられた回転シャフト78の一端部には、伝達プーリ91が設けられており、この伝達プーリ91には、搬送モータ92の回転プーリ93に掛けられた伝達ベルト94が掛けられている。なお、回転シャフト78には、伝達プーリ91とともに、円板状のエンコード板95が設けられており、このエンコード板95の外周近傍で周方向に沿って形成された複数のスリット(図示省略)が検出器96によって検出されることにより、回転シャフト78の回転位置が検出可能である。
図7に示すように、吸引ブロック72の上面には、搬送ベルト80の幅方向両側部近傍に、搬送ベルト80の上面高さ位置である用紙Pの搬送面80bよりも僅かに低くなるように、搬送面80bよりもインクジェットヘッド22から離れた吸引面101が搬送ベルト80に沿って形成されており、この吸引面101には、空間部S1と連通する吸引口102が搬送方向にわたって複数形成されている。また、搬送ベルト80の幅方向に隣り合う吸引口102の間には、逃げ凹部103が形成されており、この逃げ凹部103は、その底面103aが、吸引面101よりもさらにインクジェットヘッド22から離れた低い位置に配置されている。
本実施形態では、上記のようにインクジェットヘッド22が比較的大型であることから、用紙Pをインクジェットヘッド22の上流側と下流側で挟持する間隔(すなわちガイドプーリ73から駆動プーリ79までの距離)が長く、用紙Pを下方へ吸引しなければ用紙Pの浮き上がりが起こり易い構造となっている。
そして、上記搬送機構70では、搬送モータ92を駆動すると、回転プーリ93の回転力が伝達ベルト94によって伝達プーリ91に伝達され、回転シャフト78が回転する。これにより、駆動プーリ79とテンションプーリ75及びガイドプーリ73とに掛け回された複数の搬送ベルト80がそれぞれ走行する。
すると、搬送ベルト80と押さえローラ81との間へ送り込まれた用紙Pが、搬送ベルト80及び押さえローラ81に挟持されて後方へ送り出され、さらに、搬送ベルト80によって下流側へ搬送され、その間に、インクジェットヘッド22によって印刷処理が行われる。
このとき、用紙Pは、インクジェットヘッド22から吐出されたインク滴によって膨潤して波打つコックリングが生じることがある。本実施形態の搬送機構70では、吸引ブロア74によって空間部S1内の空気が吸引されると、用紙Pは、搬送ベルト80の幅方向両側部に設けられた吸引口102で下方へ吸引されることにより、用紙Pにコックリングによる弛みが生じたとしても、用紙Pは、搬送ベルト80の幅方向両側で下方へ引き寄せられて湾曲する。そのため、用紙Pは、搬送ベルト80の幅方向両側から搬送ベルト80に向けて押さえつけられるようにして搬送ベルト80の走行に伴って搬送されながら、搬送ベルト80同士の間で浮き上がりが抑えられ、インクジェットヘッド22に接触するような不具合が防止される。
また、吸引面101は、搬送面80bに対して僅かに低くされた位置であるため、用紙Pとの接触を防ぎつつ用紙Pと吸引口102の距離を小さくしており、吸引ブロア74の吸引力を大幅に増大させることなく用紙Pに対する吸引力を効果的に発揮させることができる。そして、用紙Pは、搬送ベルト80の両側端を基点としてその両側近傍の吸引口102に向かって傾斜して湾曲されることから、搬送ベルト80同士の間における幅方向中央部では、用紙Pが谷状に大きく湾曲されやすいが、搬送ベルト80同士の中間の逃げ凹部103の底面103aが吸引面101よりもさらに一段低い位置に配置されているため、用紙Pの接触が確実に防がれる。したがって、下方へ引き寄せられた用紙Pが吸引口102及び逃げ凹部103の底面103aに接触して搬送抵抗が増大するようなこともない。
その後、用紙Pは、搬送ベルト80及び送りローラ83,84によって挟持されて排紙トレイ9へ排出される。
また、このとき、搬送ベルト80の中間に配置された押圧ローラ85によって、搬送ベルト80間で用紙Pが下方へ押圧される。これにより、コックリングが生じた用紙Pは、搬送ベルト80間でさらに確実に下方へ湾曲される。
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1によれば、搬送ベルト80の幅方向両側部の搬送面80bより僅かに低い位置に設けられた吸引口102によって用紙Pが吸引されるため、用紙Pを比較的弱い吸引力でも効果的に吸引し、インクジェットヘッド22が大型であるにもかかわらず搬送ベルト80による搬送領域全体にわたって用紙Pの浮き上がりを防ぎ、用紙Pのインクジェットヘッド22への接触を防いでジャム障害の発生を防止することができる。そして、搬送ベルト80間に位置する逃げ凹部103の底面103aが吸引口102よりさらに低い位置であるため、吸引により湾曲した用紙Pがプラテン側に接触することもなく、搬送抵抗を増加させずに用紙Pを精度良く搬送することができる。したがって、高精度な印刷が可能である。
また、搬送機構70では、搬送方向の下流側における用紙Pを挟持する位置より上流側で、逃げ凹部103と対向する位置で押圧ローラ85が用紙Pを押圧するため、搬送ベルト80の間で用紙Pの浮き上がりをさらに確実に防ぐことができる。
また、搬送ベルト80としてタイミングベルトを用いることにより、搬送ベルト80の厚さによらず搬送を高精度に制御することが可能であり、搬送ベルト80の空回りもなく、用紙Pの搬送精度を高めて高精度に印刷を行うことができる。
図11に、上記プリンタ1に好適な搬送機構の他の例を示す。
図11に示すように、この搬送機構120では、搬送ベルト80の幅方向中央部の下方位置に、空間部S1と連通する複数の連通孔121が形成されている。そして、この連通孔121は、搬送ベルト80の歯80aの隙間を介して搬送ベルト80の両側部で外部に連通している。この外部に連通した開口が、搬送面80bより僅かに低い位置の吸引口102aとなっている。
この搬送機構120では、吸引ブロア74によって空間部S1内の空気が吸引されると、連通孔121及び搬送ベルト80の歯80aの隙間を介して搬送ベルト80の両側部の吸引口102aから空気が吸引される。
つまり、この搬送機構120では、搬送ベルト80の搬送方向に連続した吸引口102aが形成されており、搬送方向にわたってより均一な吸引効果を得やすくなっている。
このように、上記の搬送機構120を備えた印刷装置によれば、搬送ベルト80の内面の歯80aの隙間を吸引口102aと連通させているため、搬送ベルト80の両側部に別個の吸引口を設ける必要がなく、構造の簡略化によるコスト低減を図ることができる。
本発明に係る印刷装置の実施形態の例であるプリンタの外観斜視図である。 図1に示したプリンタの内部構成を示す概略側断面図である。 図1に示したプリンタの内部構成を示す概略平断面図である。 メインカセットからの給紙可能な状態を示すプリンタの概略側断面図である。 メインカセットからの給紙可能な状態を示すプリンタの概略平断面図である。 印刷処理部の斜視図である。 印刷処理部の幅方向の断面図である。 印刷処理部での吸引口部分における用紙の搬送方向の断面図である。 印刷処理部での搬送ベルト部分における用紙の搬送方向の断面図である。 搬送ベルト部分の拡大側面図である。 搬送機構の変形例を示す印刷処理部の幅方向の断面図である。
符号の説明
1…インクジェットプリンタ(印刷装置)、22…インクジェットヘッド(印刷ヘッド)、70,120…搬送機構、80…搬送ベルト、80a…歯、85…押圧ローラ、102,102a…吸引口、103…逃げ凹部、103a…底面、P…用紙(被印刷物)。

Claims (4)

  1. シート状の被印刷物を一枚ずつ搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される被印刷物に対してインクを吐出する印刷ヘッドとを備えた印刷装置であって、
    前記搬送機構は、前記被印刷物の搬送方向に沿って配列され、前記被印刷物を搬送するための複数の搬送ベルトと、
    それぞれの前記搬送ベルトの幅方向両側部に設けられ、前記搬送ベルトによる前記被印刷物の搬送面よりも低い位置に設けられた吸引面と、
    前記吸引面に前記被印刷物を吸引するように設けられた吸引口と、
    それぞれの前記搬送ベルトの間で前記幅方向に隣り合う前記吸引の間に形成され、前記吸引よりも低い位置に底面を有する逃げ凹部と、を備えている印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置において、
    前記搬送ベルトは前記幅方向に沿う複数の歯を有するタイミングベルトである印刷装置。
  3. 請求項2に記載の印刷装置において、
    前記吸引口は、前記搬送ベルトの前記幅方向両側部で前記歯の隙間と連通して開口し、前記歯の隙間を介して前記搬送ベルトの内周面側に向けて吸引する構成である印刷装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の印刷装置において、
    前記搬送機構には、前記被印刷物の搬送方向の下流側における前記搬送ベルトの間に、前記被印刷物を押圧する押圧ローラが設けられている印刷装置。
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