JP4981330B2 - 像振れ補正装置、撮像装置及び光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、手振れ等の振れによる像振れを補正する像振れ補正装置、像振れ補正装置を具備する撮像装置及び光学機器に関するものである。
手持ち撮影時等において生じ易い手振れ等の振れによる像振れを補正するため、カメラや双眼鏡の振れ状況を検出する振れ検出手段が用いられる。そして、その検出結果に応じて光学的にその振れをキャンセルして、振れ補正を実現する装置が、従来から種々提案されている。
撮影時のカメラの手振れは、周波数として通常1Hzから10Hzの振れ(振動)である。シャッタのレリーズ時点においてこのような手振れ等の振れを起こしていても像振れの無い写真を撮影可能とすることが望まれる。そのための基本的な考え方として、手振れ等によるカメラの振れを検出し、その検出値に応じて補正光学系を変位させる必要がある。これを実現するためには、第1に、カメラの振れを正確に検出し、第2に、振れによる光軸変化を補正することが必要となる。
上記振れ(カメラ振れ)の検出は、原理的にいえば、加速度、角加速度、角速度、角変位等を検出する。そして、カメラ振れによる像振れ補正の為にその出力を適宜演算処理する振れ検出手段をカメラに搭載することによって行うことができる。そして、この検出情報に基づいて撮影光軸と直交する平面内で補正光学系を駆動させて像振れを抑制することが行われる。
ここで、振れによる撮影光軸のずれを補正するためのアクティブタイプの振れ補正技術は以下のものがある。その一つは、撮像素子を光軸と直交する平面内で移動させるタイプであり、他の一つは、光学系の一部(補正光学系)または光学系全体を光軸と直交する平面内で移動させるタイプが代表的である。その中で、補正光学系(以下、補正レンズ)を移動させるタイプのものは光学設計の自由度に制限があるが、その重量は軽いので、駆動機構を小さくできる利点がある。したがって、このタイプは多くのレンズ交換式カメラやデジタルカメラ,ビデオカメラ等に採用されている。
上記のようなタイプの像振れ補正装置を備えたカメラでは、補正レンズを撮影光軸と直交する平面内で移動可能に支持する保持部材を有している。そして、この保持部材を介して補正レンズを撮影光軸に対して直交する平面内において振れを抑制する方向に移動させることにより、振れによる像振れを補正(抑制)するようにしている。
また、像振れ補正装置として、コイルと永久磁石(マグネット)により電磁アクチュエータを構成し、いずれか一方を固定部材に、他方を補正レンズを保持する保持部材に取り付けて、直接保持部材を移動させる構成になっているものがある。
なお、像振れ補正装置の小型化、省電力化を考慮すると、重量の重い永久磁石を固定部材に取り付け、重量の軽いコイルを保持部材に取り付けた方が有利である。このため、固定部材からフレキシブルプリント基板を介して保持部材に取り付けられたコイルに配線するように構成されているものが多い。
ここで、補正レンズを光軸と直交する平面内で移動(以下、シフト)させるシフト機構について述べる。カメラ振れを、カメラを横(長手)方向(以下、ヨー方向)と縦方向(以下、ピッチ方向)の振れに分解する。そして、補正レンズをヨー方向とピッチ方向それぞれ独立に、しかも光軸方向の移動を生じずにシフトできるように構成されている。例えば、ヨー方向とピッチ方向の両方にガイドバーと軸受けにより摺動するように、或いは、滑り板等の面同士が摺動するように構成されている(特許文献1)。
また、補正レンズの撮影光軸周りの回転を規制する部材に加えて、少なくとも3つのボール(球状部材)等の支持点を固定部材と補正レンズの保持部材との間に設ける。そして、与圧手段により固定部材と保持部材を押し付け、補正レンズをシフトさせても確実に撮影光軸に対して垂直を保つよう構成されている(特許文献2)。
また、固定部材に設けられた回路基板と保持部材に設けられたコイルとをフレキシブルプリント基板によりつないでいる。そして、このフレキシブルプリント基板の伸張部の形状及び配置の工夫により、撮影光軸方向およびシフト2方向への負荷を低減して、保持部材の駆動に及ぼす悪影響を防止している(特許文献3)。
特開平3−188430号公報 特開平5−297443号公報 特開平6−289465号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、摩擦による摺動抵抗が大きく、電磁力により補正レンズを駆動するのに必要なエネルギーが大きくなってしまうという不都合がある。さらに、ガイドバーと軸受間の嵌合による微小なガタにより厳密には光軸方向の移動を生じてしまうという不都合がある。
また、特許文献2の技術では、補正レンズの撮影光軸周りの回転を規制する手段がガイドバーと軸受間の嵌合による摺動や長孔とピン等による摺動であり、まだ十分に摩擦による摺動抵抗が小さいとは言えない。さらに、補正レンズの撮影光軸周りの回転を規制する手段に加えて、少なくとも3つのボールと与圧手段をも有する。そのため、機構が複雑になり、部品点数が多く、コストアップとなるという不都合がある。
近年、レンズ鏡筒が搭載される撮影機器では、携帯性や収納性を向上させる為に更なる小型化や出っ張りの少ないデザインが求められており、当然、レンズ鏡筒もより小型のものが必要とされている。しかし、レンズ鏡筒を小型化していくと、像振れ補正装置の本体ないし固定部材と保持部材とをつなぐフレキシブルプリント基板を引き回すスペースが著しく制限される。この結果、フレキシブルプリント基板の剛性を十分に低くすることが難しくなってくる。したがって、特許文献3に示すような、フレキシブルプリント基板の形状や配置の工夫だけではこのフレキシブルプリント基板に生ずる撮影光軸方向への弾性力を問題のないレベルまで低減することが困難になる。
一方、撮影光学系によりピント面上に結像された被写体像を電気信号に変換するCCD等の撮像素子は、半導体の微細加工技術の進歩により、より小さな画素ピッチの素子が製作可能になってきている。これにより、従来並みの画素数をより小さな面積内に形成することによる光学系の更なる小型化や、同一面積もしくは面積拡大による多画素化に伴う光学系の更なる高解像度化の2つの流れが生じている。
前者(特許文献3)においては、同一量の振れを補正するための補正レンズのシフト量が撮像面積に略比例するために、より微小な動きが要求される。さらには、フレキシブルプリント基板の引き回しスペースもより少なくなる。後者(撮像素子を有するもの)においては、より小さな振れも補正可能としないと解像度の劣化を起こすので、上記案内部で生じる摩擦力を低減して、保持部材をより微小に駆動できるようにする必要がある。
また、いずれの場合も、補正レンズの倒れに対する要求精度もより高くなってしまう。
そこで、転動ボール支持で、しかもフレキシブルプリント基板の引き回しによる影響を排除するために、所謂ムービングマグネット方式(シフトされる側に永久磁石を配置する方式)を用いることが考えられる。しかしながら、この方式では以下の問題点が存在する。それは、従来は駆動方式として、所謂ムービングコイル方式を用いていたので、撮影光軸方向の受け部材は磁性体のボールで問題は無かった。これに対し、所謂ムービングマグネット方式を採用した場合、シフトされる保持部材に永久磁石が取り付けられている。そのため、磁性体のボールを受け部材として用いると、固定部材へ保持部材を組み込むときに、磁性ボールが永久磁石に引き寄せられ、組みづらくなる問題がある。
因みに、磁性体というのは磁場の中に置くと磁化される物質のことである。また、一般的には透磁率3未満の物質を非磁性体と呼んでいる。透磁率とは、磁界の強さHと磁束密度Bとの間の関係をB=μHで表した時の比例定数μのことである。ベアリングに良く用いられる鋼球のうち、SUJ−2,SUS440Cは磁性体であり、オーステナイト系のSUS304は素材の状態では非磁性であるが、冷間加工することで磁性を帯びてしまいうので弱磁性体と呼ばれている。また、SUS316は冷間加工した後でも透磁率μは2程度であるので非磁性体である。
また、所謂ムービングマグネット方式では、固定部材に保持部材を組めたとしても、磁性体のボールの場合、ムービングマグネットの移動方向に該ボールが引っ張られる。そのため、磁性体のボールが置かれている溝内で片寄せされてうまく転がらない問題がある。さらに、磁性体のボールにより可動式である永久磁石の磁束が乱れて駆動力が安定しない可能性がある。これは、可動式の永久磁石の場合、永久磁石とボールの相対位置が変わり、位置による推力変動が起きるからである。
また、駆動熱により金属ボールは膨張して、撮影光軸方向の位置が変化して、光学性能を落とす可能性もある。
(発明の目的)
本発明の目的は、高精度の駆動を行うことができると共に、組み立て性の良好な像振れ補正装置、撮像装置及び光学機器を提供できるものである。
本発明の他の目的は、簡単な構成で極力駆動抵抗を少なくすると共に、ガタなく確実に撮影光軸に直交する平面内において補正手段をシフトさせることのできる像振れ補正装置、撮像装置及び光学機器を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明に係る像振れ補正装置は、補正手段を保持する保持部材と、前記保持部材に設けられる永久磁石と、前記保持部材に対向する固定部材に配置されるコイルと、前記固定部材と前記保持部材の間に転動可能に挟持され非磁性体の球状部材と、前記保持部材の前記固定部材に対する撮影光軸周りの回転を規制するとともに、前記保持部材を前記固定部材の方向に付勢する弾性部材と、を有し、前記球状部材は3つ以上あって、前記保持部材を介して前記補正手段を撮影光軸と直交する方向に前記固定部材に対して移動可能に案内するものであり、前記弾性部材は複数あって、少なくとも1つが前記球状部材と前記補正手段の中心とを通る撮影光軸に平行な平面上に配置され、少なくとも1つが複数の前記球状部材を頂点とした多角形の中心付近に配置されていて、外部から加わる振れによる像振れを補正するための信号が前記コイルに印加されると、該コイルと前記永久磁石との間に発生する電磁作用により前記補正手段を撮影光軸と直交する平面内で移動させ、前記像振れを補正することを特徴とする。
本発明によれば、高精度の駆動を行うことができると共に、組み立て性の良好な像振れ補正装置、撮像装置または光学機器を提供できるものである。
また、本発明によれば、簡単な構成で極力駆動抵抗を少なくすると共に、ガタなく確実に撮影光軸に直交する平面内において補正手段をシフトさせることができる像振れ補正装置、撮像装置または光学機器を提供できるものである。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1ないし実施例3に示す通りである。
図1ないし図8は本発明の実施例1に係わる像振れ補正装置及び該像振れ補正装置を具備する撮像装置を示す図である。
図1は像振れ補正装置を具備する撮像装置(デジタルコンパクトカメラ)の外観図である。この撮像装置は、撮影光軸11に対して矢印12p,12yで示すカメラ縦振れ及び横振れに対し振れ補正を行う機能を有する。13はカメラ本体であり、撮影レンズを有するレンズ鏡筒13a、シャッタレリーズボタン13b、照明装置13cを具備している。
図1ではカメラ本体13の背面に配置されて見えないが、背面には液晶モニターが設けられており、後述する撮像素子21で撮像される画像を確認できるようになっている。撮影者は不図示の液晶モニターで画像の構図を確認して、その後撮影を行うことになる。
図2は、図1の撮像装置の振れ補正に係わる部分の内部斜視図である。21は撮像素子である。22は補正レンズ23を撮影光軸11(図1参照)と直交する平面内において矢印24p,24y方向に自在に駆動する像振れ補正ユニットである。このように補正レンズ23を矢印24p,24y方向に自在に駆動することにより、図1の矢印12p,12y方向の振れ補正を行うことができる。25p,25yは矢印26p,26y周りの振れを検出する角速度計や角加速度計等の振れ検出器である。振れ検出器25p,25yの出力は後述する演算回路27p,27yを介して補正レンズ23の駆動目標値に変換され、像振れ補正ユニット22の後述するコイルに入力されて振れ補正に供される。
図3は本発明の実施例1に係わる像振れ補正ユニット22の正面図である。図4は図3の像振れ補正ユニットにおけるA−A断面図であり、圧縮コイルばね、調整ネジ、ボール及びヨーク、永久磁石、コイル、ヨークの配置を図示している。図5は実施例1に係わる像振れ補正ユニット22の主要部品の構成を前方から見た斜視図である。また、図6は実施例1に係わる像振れ補正ユニット22の主要部品の構成を前方から見た分解斜視図である。なお、図2〜図6では、像振れ補正ユニット22の主要部分だけを示し、リード線等は示していない。
図2〜図6において、23a,23b,23c,23dは補正レンズ23を構成するレンズである。31は補正レンズ23を保持する保持部材であるところの保持枠、32は像振れ補正ユニット22の固定部材であるところの地板、33は保持枠31の撮影光軸方向の押さえ板である。また、34(34a,34b,34c,34d)は圧縮コイルばね、35(35a,35b,35c,35d)は調整ネジ、36は転動ボール、37は圧縮コイルばねである。
保持枠31には、90度放射方向に突起部31a,31b,31c,31d(図4では31aの形状のみ見えているが、4箇所とも同一形状)が設けられている。この突起部31a,31b,31c,31dにはそれぞれ圧縮コイルばね34a,34b,34c,34d(4つとも同一形状)の一端が嵌合している。
地板32には、保持枠31の突起部31a,31b,31c,31dに対向する位置に4点の側壁32a,32b,32c,32d(32a,32b,32cはほぼ同一形状)が設けられている。側壁32a,32b,32cには、それぞれ調整ネジ35a,35b,35c(3つとも同一形状)用のネジ穴部が設けられている。調整ネジ35a,35b,35cの先端には、圧縮コイルばね34a,34b,34cが嵌合する突起部35d,35e,35f(図4には35dのみ見えるが、3つとも同一形状)が設けられている。突起部35d,35e,35fは、それぞれ圧縮コイルばね34a,34b,34cの別の一端と嵌合している。また、側壁32dには圧縮コイルばね34dが嵌合する不図示の突起部(突起部31a等と同一形状)が設けられている。この突起部は圧縮コイルばね34dの別の一端と嵌合している。
したがって、保持枠31は圧縮コイルばね34a〜34dによって撮影光軸周りの回転規制を受けるとともに、撮影光軸中心付近に保持される。
ここで、調整ネジ35a,35b,35cは回転されることによって径方向に進退する。よって、嵌合している圧縮コイルばね34a,34b,34cの圧縮長さを変化させることでこの圧縮コイルばね34a,34b,34cのチャージ力が変化し、保持枠31に保持されている補正レンズ23の光軸調整を行えるようになっている。したがって、保持枠31が保持している補正レンズ23を確実に光軸中心に保持できる。このことより、補正レンズ23の位置を検出する手段無しのオープン駆動(圧縮コイルばね34a,34b,34cのばね力につり合う推力で保持枠31を駆動(後述))も可能となる。
地板32には、ボール(転動ボール)36a,36b,36c(3つとも同一形状)の受け部32e,32f,32g(3箇所とも同一形状)が90度放射方向に設けられている。そして、受け部32e,32f,32gにはそれぞれボール36a,36b,36cが配置されている。また、受け部32e,32f,32gにはそれぞれボール36a,36b,36cの半径よりも深い溝部が形成されている。
ここで、上記受け部32e,32f,32gに形成される移動制限用の溝部は、各一対の制限端間の間隔を以下のように設定される。つまり、ボール36a,36b,36cの直径と、保持枠31のピッチ方向又はヨー方向へのシフト(移動)によるボールの最大移動量と、所定の余裕量とを加えた長さに設定すると良い。なお、上記ボールの最大移動量とは、例えば、保持枠31を機械的可動端の間でシフトさせたときのボール移動量や、振れ補正駆動時における実際の可動端の間でシフトさせたときのボール移動量である。また、所定の余裕量とは、例えば、機械的な誤差を見込んだ余裕量である。これにより、保持枠31および地板32におけるボール36a,36b,36cが当接する範囲の面積を必要最小限の大きさにすることが可能である。よって、スペース効率の向上を図ったり、当接範囲の面精度を確保する上で有利にしたりすることが可能である。
上記実施例1では、地板32の、保持枠31のシフトに伴うボール36a,36b,36cの撮影光軸と直交する方向への移動範囲を制限する溝部は、円形である。しかし、この移動制限部である溝部を、ピッチ方向に延びる一対の制限端とヨー方向に延びる一対の制限端とからなる矩形枠状に形成してもよい。
保持枠31には、ボール36a,36b,36cを挟んで地板32の受け部32e,32f,32gに対向した位置に、腕部31e,31f,31g(3箇所とも同一形状)が設けられている。そして、それぞれボール36a,36b,36cに当接するようになっている。したがって、保持枠31は地板32に対して、ボール36a,36b,36cを介して3点受けされる構成になっている。よって、撮影光軸方向に対してガタ付が無く、精度良い位置に保持される。
ここで、保持枠31にボール36a,36b,36cの受け部を設け、地板32にボール36a,36b,36cを当接させても構わない。また、保持枠31、地板32の両方にボールの受け部を設けても構わないが、受け部のどちらか一方の深さをボール36a,36b,36cの半径より深くし、かつ、受け部同士が接触しないようにしなければならない。
また、ボール36a,36b,36cを磁気的作用が生じにくい材質(例えば、アルミナ等のセラミックや真鍮等の銅合金、またはポリカーボネート等の樹脂)により形成する。そして、駆動用永久磁石によってボール36a,36b,36cが吸引されないようにすることにより、吸引力によるボールの位置ずれを防止したり、装置の組み立て性が悪くなるのを防止したりすることが可能となる。
また、保持枠31には、保持枠31をボール36a,36b,36cを介して地板32との撮影光軸方向の位置関係が変化しないように、撮影光軸方向の地板32側に押し付ける方向に力を加えるための圧縮コイルばね37が嵌合する嵌合部31hが設けられている。嵌合部31hには圧縮コイルばね37の一端が嵌合している。また、押さえ板33には、嵌合部31hに対向する位置に圧縮コイルばね37の受け部33aが設けられており、受け部33aに圧縮コイルばね37が当接している。
ここで、地板32には、側壁32bと32dに押さえ板33に設けられた丸穴とU字の切り欠きを嵌合し、押さえ板33を位置決めするための突起が設けられている。そして、押さえ板33は地板32に位置決めされている。地板32には押さえ板33の引っかけ部33b,33c(図3参照)に引っかかる爪部32h,32i(図3参照)が設けられており、押さえ板33は地板32に取り付けられている。したがって、保持枠31はボール36a,36b,36cを介して地板32に確実に押し付けられている。
また、保持枠31および地板32とボール36a,36b,36cとの当接面に、圧縮コイルばね37による付勢力によらずに該ボールを保持可能な粘度を有する油脂を塗布するようにするとよい。これにより、ボール36a,36b,36cと保持枠31及び地板32との間の摩擦をより軽減することが可能である。さらに、例えば保持枠31に撮影光軸方向への大きな慣性力等が作用して該保持枠31が圧縮コイルばね37に抗してボール36a,36b,36cから浮いたとする。この場合でも、油脂の粘性及びその液架橋力によってボール36a,36b,36cが保持され、容易に位置ずれしないようにすることができる。また、地板32に保持枠31のシフトに伴うボール36a,36b,36cの撮影光軸と直交する方向への移動範囲を制限する端面(制限端)が設けられているとする。この場合において、ボール36a,36b,36cが制限端に当接したときでも、そのボールの装置本体に対する撮影光軸と直交する方向への位置ずれを抑えることが可能である。そして、その後の保持枠31の位置制御に対するボール36a,36b,36cの位置ずれによる影響を最小限に留めることが可能である。
このようにして、保持枠31は地板32に対して撮影光軸方向には移動規制されるが、撮影光軸と直交する平面内には自由に移動できるようになっている。但し、保持枠31の突起部31a,31b,31c,31dは圧縮コイルばね34a,34b,34c,34dの一端と嵌合している。また、圧縮コイルばね34a,34b,34c,34dの別の一端も調整ネジ35a,35b,35cの突起部35d,35e,35fおよび地板32の側壁32dに設けられた突起部と嵌合している。そのため、各々の方向(ピッチ方向24p、ヨー方向24y、ロール方向24r)に弾性的に規制されている。つまり、この圧縮コイルばね34の保持力によって、保持枠31を駆動する際に撮影光軸周りの回転が抑制される。
次に、磁気駆動機構について説明する。39(39a,39b)はヨーク、40(40a,40b)は永久磁石である。また、41(41a,41b)はコイル、42(42a,42b)はヨーク、43(43a,43b)はコイル取付板である。
保持枠31の耳部31i,31jには強磁性材料のヨーク39a,39bが取り付けられ、ヨーク39a,39bにはネオジウム等の永久磁石40a,40bが吸着固定されている。ヨーク39aの両端折り曲げ部中央には切り欠き39a1,39a2が設けられており、保持枠31の耳部31iの係止部31i1,31i2に嵌め込まれている。ここで、ヨーク39bも同様に、保持枠31の耳部31jに嵌め込まれている。
地板32には永久磁石40a,40bに対向する位置に、コイル41a,41bとヨーク42a,42bが配置されるように、穴部が設けられている。コイル41a,41bはそれぞれコイル取付板43a,43bに接着されており、コイル取付板43a,43bは地板32に取り付けられている。ここで、これら永久磁石40やコイル41は90度をなして配置されている。また、後述するように、永久磁石40の磁束がコイル41に向かっているため、コイル41aに電流を流すと保持枠31は矢印38aまたは38c方向(図3参照)に駆動される。同様に、コイル41bに電流を流すと保持枠31は矢印38bまたは38d方向(図3参照)に駆動される。したがって、ピッチ方向24p及びヨー方向24yの手振れによる像振れを補正可能となる。
ここで、実施例1の像振れ補正装置はオープン制御可能な構成であるが、保持枠31の移動量を位置検出器により検出してフィードバック制御しても構わない。その際の駆動量は、各々の方向における圧縮コイルばね34a,34b,34c,34dのばね定数とコイル41a,41bと永久磁石40a,40bの関連で生ずる推力との釣り合いで求まる。
上記のように、所謂ムービングマグネット方式を用いることで、保持枠31と地板32とをつなぐフレキシブルプリント基板を廃止できる。よって、フレキシブルプリント基板からの撮影光軸方向の弾性力の影響を受けないようにすることが可能である。また、ボール方式を用いることで、保持枠31と地板32間での確実なガタ取りを行うことができる。さらに、摩擦を少なくすることできるので、保持枠31を高精度にシフト駆動することが可能となる。
従来の鉄系のボールを用いていた場合には、
1)組立時にボールが永久磁石に吸着されて組みにくい。特にカメラの小型化に伴い像振れ補正装置が小さくなってくると、この問題は深刻である。
2)組まれたボールは所定位置に配置されず(永久磁石の吸引力が原因)に転がらず、滑らかな駆動ができない。
3)ボールの磁性により永久磁石の磁束が変動し、安定な駆動が出来ない。
等の問題が生じていた。
上記2),3)の問題などは実際には目に見えないので容易に気づかない現象である。しかし、上記ボール36a,36b,36cを非磁性のボールとすることで、これらは解決でき、小型高精度の像振れ補正装置を実現できる。
なお、一般によく使われている非磁性と思われがちなSUS304のボールも実際には弱磁性であり、上述した問題は残っており、SUS材を用いる場合でもSUS316のように非磁性の転動ボールを用いることが望ましい。特に、ボールとしてセラミック材を用いた場合には転動熱膨張が極めて少ない。よって、光学的な誤差(ボールの膨張で補正レンズが他の撮影レンズに対して撮影光軸方向に変位すること)も無くすこともでき、光学上も安定になる。
次に、図2に示した演算回路27p,27yの詳細について、図7を用いて説明する。演算回路27p,27yは共に同様な構成であるため、図7では演算回路27pのみを用いて説明する。
演算回路27pは、図7において、外側の一点鎖線にて囲まれる、以下の構成要素を具備する。つまり、DCカットフィルタ兼増幅部51p、ローパスフィルタ兼増幅部52p、A/D変換部53p、カメラマイコン55p、駆動部54pを具備する。カメラマイコン55p内には、記憶部56p、差動部57p、DCカットフィルタ58p、積分器59p、敏感度調整部60p、記憶部61p、差動部62p、PWMデューティ変更部63pが具備される。
この実施例1では、振れ検出器25pとして、カメラの振れ角速度を検出する振動ジャイロを想定している。この振れ検出器25pは、カメラのメインスイッチのオンと同期して駆動され、カメラに加わる振れ角速度の検出を開始する。この振れ検出器25pの出力はアナログ回路で構成されるDCカットフィルタ兼増幅部51pにより信号に重畳しているDCバイアス成分がカットされ、かつ適宜信号増幅される。DCカットフィルタ兼増幅部51pは0.1Hz以下の周波数の信号はカットする周波数特性を有しており、カメラに加わる1〜10Hzの手振れ周波数帯域には影響が及ばないようになっている。
しかしながら、0.1Hz以下をカットする特性にすると振れ検出器25pから振れ信号が入力されてから完全にDC成分(DCバイアス成分)がカットされるまでには10秒近くかかってしまう問題がある。そこで、カメラのメインスイッチがオンされてから例えば0.1秒まではDCカットフィルタ兼増幅部51pの時定数を小さく(例えば10Hz以下の周波数の信号をカットする特性にする)しておく。この事で、0.1秒位の短い時間でDC成分をカットし、その後に時定数を大きくして(0.1Hz以下の周波数のみカットする特性にして)DCカットフィルタ兼増幅部51pにより振れ角速度信号が劣化しないようにしている。
DCカットフィルタ兼増幅部51pの出力は、アナログ回路で構成されるローパスフィルタ兼増幅部52pにより後段のA/D変換部53pの分解能に合わせて適宜増幅される。さらには、振れ角速度信号に重畳する高周波のノイズがカットされる。これは振れ角速度信号をカメラマイコン55pに入力する時のA/D変換部53pのサンプリングが振れ角速度信号のノイズにより読み誤りが起きるのを避ける為である。
ローパスフィルタ兼増幅部52pの信号は、A/D変換部53pによりサンプリングされてカメラマイコン55pに取り込まれる。
DCカットフィルタ兼増幅部51pによりDC成分はカットされている訳であるが、その後のローパスフィルタ兼増幅部52pの増幅により再びDC成分が振れ角速度信号に重畳している。その為にカメラマイコン55p内において再度DC成分をカットする必要がある。
そこで、例えばカメラのメインスイッチオンから0.2秒後にサンプリングされた振れ角速度信号を記憶部56pで記憶する。そして、差動部57pにより記憶値と振れ角速度信号の差を求めることでDCカットを行う。なお、この動作では大雑把なDCカットしか出来ない。その為に(メインスイッチオンから0.2秒後に記憶された振れ角速度信号の中にはDC成分ばかりでなく、実際の手振れも含まれている為)後段にてデジタルフィルタで構成されたDCカットフィルタ58pにより十分なDCカットを行っている。このDCカットフィルタ58pの時定数も、アナログのDCカットフィルタ兼増幅器51pと同様に変更可能になっており、カメラのメインスイッチオンから0.2秒後から更に0.2秒費やしてその時定数を徐々に大きくしている。具体的には,このDCカットフィルタ58pはメインスイッチオンから0.2秒経過した時には10Hz以下の周波数をカットするフィルタ特性である。そして、その後50msec毎にフィルタでカットする周波数を5Hz,1Hz,0.5Hz,0.2Hzと下げていく。
但し、上記動作の間に撮影者がシャッタレリーズボタンを半押し(スイッチsw1がオン)して測光・測距を行った時は直ちに撮影を行う可能性があり、時間を費やして時定数変更を行う事が好ましくない場合もある。そこで、その様な時には撮影条件に応じて時定数変更を途中で中止する。例えば、測光結果により撮影シャッタスピードが1/60となる事が判明し、撮影焦点距離が150mmとする。この場合には防振の精度はさほど要求されない為にDCカットフィルタ58pは0.5Hz以下の周波数をカットする特性まで時定数変更した時点で完了とする。つまり、シャッタスピードと撮影焦点距離の積により時定数変更量を制御する。これにより、時定数変更の時間を短縮でき、シャッタチャンスを優先する事が出来る。勿論より速いシャッタスピード、或いは、より短い焦点距離の時には、DCカットフィルタ58pの特性は1Hz以下の周波数をカットする特性まで時定数変更した時点で完了とする。そして、より遅いシャッタスピード、長い焦点距離の時には時定数が最後まで変更完了するまで撮影を禁止する。
積分器59pは、DCカットフィルタ58pの出力信号の積分を始め、角速度信号を角度信号に変換するものである。
次段の敏感度調整部60pは、積分器59pで積分された角度信号をその時のカメラの焦点距離(ズーム)、被写体距離(フォーカス)情報により適宜増幅して、振れ角度に応じて適切な量像振れ補正ユニット22が動作するように変換するものである。ズーム、フォーカス情報により撮影光学系が変化し、補正レンズ23の駆動量に対して撮影光軸の偏心量が変わる為、この補正を行う必要がある。
シャッタレリーズボタンの半押しにより像振れ補正ユニット22が動作し始める。なお、この時点で像振れ補正ユニット22の振れ補正動作が急激に始まらないように注意する必要がある。記憶部61p及び差動部62pはこの対策の為に設けられている。記憶部61pは上記スイッチsw1のオン時点で積分器59pの振れ角度信号を記憶する。
差動部62pは積分器59pの信号と記憶部61pの信号の差を求める。その為、スイッチsw1のオン時点における差動部62pの2つの信号入力は等しく、差動部62pの像振れ補正ユニット22の駆動目標値信号はゼロである。しかし、その後ゼロより連続的に出力が行われる(記憶部61pはスイッチsw1のオン時点の積分信号を原点にする役割となる)。これにより、像振れ補正ユニット22は急激に動作する事が無くなる。
差動部62pからの目標値信号はPWMデューティ変更部63pに入力される。コイル41には振れ角度に対応した電圧或いは電流を印加すれば補正レンズ23はその振れ角度に対応して駆動される訳である。しかし、像振れ補正ユニット22の駆動消費電力及びコイル41の駆動トランジスタの省電力化の為にはPWM駆動が望ましい。そこで、PWMデューティ変更部63pは目標値に応じてコイル駆動デューティを変更している。例えば周波数が20KHzのPWMにおいて差動部62pの目標値が「2048」の時はデューティゼロ、「4096」の時にはデューティ100とする。そして、その間を等分にしてデューティを目標値に応じて決定していく。尚、デューティの決定は目標値ばかりではなく、その時のカメラの撮影条件(温度やカメラの姿勢、バッテリーの状態)によって細かく制御して精度良い振れ補正が行われるようにする。
PWMデューティ変更部63pの出力はPWMドライバ等の公知の駆動部54pに入力され、駆動部54pの出力が像振れ補正ユニット22のコイル41に印加されて振れ補正が行われる。駆動部54pはスイッチsw1のオンから0.2秒経過した時点に同期してオンする。
図7のブロック図には示していないが、撮影者がカメラのシャッタレリーズボタンの押し切り(スイッチsw2のオン)を行い、露光を開始したときも、このまま振れ補正は継続されているので、撮影像の振れによる画質劣化を防ぐことが出来る。
また、像振れ補正ユニット22による振れ補正動作はスイッチsw1のオンが継続される限り継続され、スイッチsw1のオンが解除されると、記憶部61pが敏感度調整部60pの信号の記憶を止める(サンプリング状態になる)。これにより、差動部62pに入力される敏感度調整部60p及び記憶部61pの信号は等しくなり、差動部62pの出力がゼロになる。そのために像振れ補正ユニット22にはゼロの駆動目標値が入力されることになり、振れ補正が行われなくなる。
カメラのメインスイッチをオフにしない限り、積分器59pは積分を継続しており、次のスイッチsw1で再び記憶部61pが新たな積分出力を記憶(信号ホールド)する。
メインスイッチのオフで振れ検出器25pがオフされ、防振シーケンスが終了する。
なお、積分器59pの信号が所定値より大きくなった時にはカメラのパンニングが行われたと判定して、DCカットフィルタ58pの時定数を変更する。例えば0.2Hz以下の周波数をカットする特性であったものを1Hz以下をカットする特性に変更し、再び所定時間で時定数をもとに戻していく。この時定数変更量も積分器59pの出力の大きさにより制御される。即ち、積分器59pの出力が第1の閾値を超えた時にはDCカットフィルタ58pの特性を0.5Hz以下をカットする特性にする。また、第2の閾値を超えた時は1Hz以下をカットする特性にし、第3の閾値を超えた時には5Hz以下をカットする特性にする。
また、積分器59pの出力が非常に大きくなった時(例えばカメラのパンニングなどの極めて大きな角速度が生じた場合)には、積分器59pを一旦リセットして演算上の飽和(オーバーフロー)を防止している。
ここで、図7では演算回路27p内にDCカットフィルタ兼増幅部51p及びローパスフィルタ兼増幅部52pが設けられているが、これらは振れ検出器25p内に設けられても良いのは言うまでもない。
図8は駆動部54pの回路構成を示すブロック図である。ピッチ目標値71p及びヨー目標値71yは各々ピッチ方向24p、ヨー方向24y方向に補正レンズ23を駆動する駆動目標値であり、図7における差動部62pの出力に相当する。
図8を用いて、図6に示した対のコイル41a,41bに電流を印加して保持枠31をピッチ方向24p及びヨー方向24y方向に駆動する場合について説明する。各々の目標値は、各駆動方向の像振れ補正ユニット22の駆動力に応じてピッチ駆動力調整部72p、ヨー駆動力調整部72yにてゲイン調整される。ピッチ駆動力調整部72pの出力は減算器73aによりヨー駆動力調整部72yの出力との差がとられ、コイル駆動部74a(図7におけるPWMデューティ変換部63p,駆動部54pに相当する回路部分)に入力される。そして。コイル41aに電流を印加する出力となる。また、ヨー駆動力調整部72yの出力は加算回路73bによりピッチ駆動力調整部72pの出力と加算されてコイル駆動部74b(図7におけるPWMデューティ変換部63p、駆動装置54pに相当する回路部分)に入力される。そして、コイル41bに電流を印加する出力となる。
すなわち、ピッチ駆動目標値71pの信号によりコイル41a,41bに同相で同じ量の電流が印加される。また、ヨー駆動目標値71yの信号によりコイル41a,41bに互いに逆相で同じ量の電流が印加される。
上記コイル41a,41bに同相で同じ量の電流が印加された場合には、コイル41aは図3の矢印38a方向に、コイル41bは図3の矢印38b方向に、それぞれ駆動力を発生する。または、コイル41aは矢印38c方向に、コイル41bは矢印38d方向に、それぞれ駆動力を発生する。よって、その合力はピッチ方向24pに沿った駆動力を発生する。
コイル41a,41bに逆位相で同じ量の電流が印加された場合には、図3で示すように、コイル41aは図3の矢印38a方向に、コイル41bは図3の矢印38d方向に、それぞれ駆動力を発生する。または、コイル41aは矢印38c方向に、コイル41bは矢印38b方向に、それぞれ駆動力を発生する。よって、その合力はヨー方向24yに沿った駆動力を発生する。
ここで、例えば2つの永久磁石コイル40a,40bとコイル41a,41bが120度配置になっているものとする。この際は、ピッチ方向の駆動力は、互いのコイル41a,41bの駆動力の半分同士を合成してコイル41a或いはコイル41bの何れかのコイル一つ分と同じ駆動力を発生する。また、ヨー方向の駆動力は、互いのコイル41a,41bの駆動力の√(3/2)同士を合成してコイル41a或いはコイル41bの何れかのコイルの√(3)倍の駆動力を発生する。このように、駆動方向(24pと24y)で駆動力が異なる場合には、それらを揃えるために前述したピッチ駆動力調整部72p、ヨー駆動力調整部72yを利用するようにしている。なお、これら駆動力調整部72p,72yは図8の様に各目標値71p,71yの後段に設けるのではなく、図7で示した敏感度調整部60p(ヨー方向では不図示の敏感度調整部60y)で調整を行っても良い。
上記のような構成にすると、ヨー方向24yへの駆動の場合にはコイル41a,41bの√(3)倍の駆動力が発生し、この方向の駆動力が少なくて済む代わりにピッチ方向24pへの駆動の場合には駆動力の増加が無い。
このように、永久磁石40aの磁束がコイル41aに向かっている為にコイル41aに電流を流すと、保持枠31は矢印38aまたは38c方向に駆動される。同様に、コイル41bに電流を流すと、保持枠31は矢印38bまたは38d方向に駆動される。したがって、ピッチ方向24pおよびヨー方向24yの振れによる像振れを補正可能となる。
また、その駆動量は各々の方向における圧縮コイルばね34a,34b,34c,34dのばね定数とコイル41a,41bと永久磁石40a,40bの関連で生ずる推力との釣り合いで求まる。すなわち、コイル41a,41bに流す電流量に基づいて補正レンズ23の偏心量を制御できる。
上記実施例1においては、所謂ムービングマグネット方式を採用し、保持枠31と地板32とをつなぐ電気的に接続するためのフレキシブルプリント基板を用いない構成にしている。よって、フレキシブルプリント基板からの撮影光軸方向への弾性力の影響を受けないようにすることができる。また、ボール方式を採用することで、保持枠31と地板32間での確実なガタ取りを行うことができる。しかも、振れ補正時の駆動摩擦力をボールの転がり案内によって極めて小さく、つまり摩擦を少なくでき、保持枠31に作用させる付勢力を大きくした状態でも撮影光軸と直交する平面内でスムーズにシフトさせることできる。よって、保持枠31を高精度にシフト駆動することができる。さらに、ボール方式を採用することで、受け部(溝部)での当たり音等の騒音が発生せず、しかも補正レンズ23の倒れが極めて小さく優れた光学性能を発揮させることができる。更に、圧縮コイルばね34を具備して保持枠31の撮影光軸周りの回転を弾性規制し、圧縮コイルばね37により保持枠31を地板32に弾性付勢しているので、この面でも補正レンズ23の倒れやローリングを防ぐことができ、高精度の像振れ補正が可能となる。
以上のように実施例1によれば、簡単な構成で駆動抵抗が少なく、かつガタなく確実に撮影光軸に直交する平面において補正レンズ23(保持枠31)を、高精度にシフトさせることができる。
また、保持枠31と地板32の間に挟持されるボール36a,36b,36cを非磁性ボールにしている。そして、この非磁性ボールの配置を定める受け部32e,32f,32gの溝部に油脂を塗布している。よって、組み立てが容易な像振れ補正装置を実現可能となる。さらに、油脂の粘性及びその液架橋力によってボール36a,36b,36cが確実に保持されるので、容易に位置ずれしないようにでき、より組み立て性の良いものとなる。
図9ないし図12は、本発明の実施例2に係わる像振れ補正ユニットを示している。上記実施例1との違いは、圧縮コイルばねに代わりに、引張コイルばねを用いたところである。
図9は本発明の実施例2に係わる像振れ補正ユニットの正面図である。図10は図9の像振れ補正ユニットのA−A断面図であり、引張コイルばね、ボール、及びヨーク、永久磁石、コイル、ヨークの配置を図示している。図11は実施例2に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た斜視図である。また、図12は実施例2に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た分解斜視図である。なお、図9〜図12では像振れ補正ユニットの主要部分だけを示し、リード線等は示していない。
図9〜図12において、23a,23b,23c,23dは補正レンズを構成するレンズ、81は補正レンズ23を保持する保持枠、82は像振れ補正ユニットの地板である。また、83は引張コイルばね、84は引張コイルばね、85はボールである。
保持枠81には後述する腕部に180度配置の突起部81a,81b(図10に81aの形状のみ見えているが、2つとも同一形状)が設けられている。突起部81a,81bにはそれぞれ引張コイルばね83a,83b(図10には83aの形状のみ見えているが、2つとも同一形状)のフックが掛かっている。
地板82には保持枠81の突起部81a,81bに対向する位置に2点の突起部82a,82b(82a,82bはほぼ同一形状)が設けられている。突起部82a,82bにはそれぞれ引張コイルばね83a,83bの別のフックが掛かっている。したがって、保持枠81は引張コイルばね83a,83bによって回転規制を受けるとともに、撮影光軸中心付近に保持される。また、保持枠81と地板82に設けられている突起部(引張コイルばね83のフック取付部)が段差をもって設けられている。そして、保持枠81を後述するボールを介して地板82との光軸方向の位置関係が変化しないように、保持枠81を撮影光軸方向の地板82側に引っ張る方向に力を加えている引張コイルばね84の補助をしている。
地板82にはボール85a,85b,85c(3つとも同一形状)の受け部82c,82d,82e(3箇所とも同一形状)が90度放射方向に設けられている。そして、受け部82c,82d,82eにそれぞれボール85a,85b,85cが配置されている。また、受け部82c,82d,82eにはそれぞれボール85a,85b,85cの半径よりも深い溝部が形成されている。
ここで、上記受け部82c,82d,82eに形成される移動制限用の溝部は、各一対の制限端間の間隔を以下のように設定される。つまり、ボール85a,85b,85cの直径と、保持枠81のピッチ方向又はヨー方向へのシフトによるボールの最大移動量と、所定の余裕量とを加えた長さに設定すると良い。なお、上記ボールの最大移動量とは、例えば、保持枠81を機械的可動端の間でシフトさせたときのボール移動量や、振れ補正駆動時における実際の可動端の間でシフトさせたときのボール移動量である。また、所定の余裕量とは、例えば、機械的な誤差を見込んだ余裕量である。これにより、保持枠81および地板82におけるボール85a,85b,85cが当接する範囲の面積を必要最小限の大きさにすることが可能である。よって、スペース効率の向上を図ったり、当接範囲の面精度を確保する上で有利にしたりすることが可能である。
上記実施例2では、地板82の、保持枠81のシフトに伴うボール85a,85b,85cの撮影光軸と直交する方向への移動範囲を制限する溝部は、円形である。しかし、この移動制限部である溝部を、ピッチ方向に延びる一対の制限端とヨー方向に延びる一対の制限端とからなる矩形枠状に形成してもよい。
保持枠81には、ボール85a,85b,85cを挟んで地板82の受け部82c,82d,82eに対向した位置に、腕部81c,81d,81e(3箇所とも同一形状)が設けられている。そして、それぞれボール85a,85b,85cに当接するようになっている。したがって、保持枠81は地板82に対して、ボール85a,85b,85cを介して3点受けされる構成になっている。よって、撮影光軸方向に対してガタ付が無く、精度良い位置に保持される。
ここで、保持枠81にボール85a,85b,85cの受け部を設け、地板82にボール85a,85b,85cを当接させても構わない。また、保持枠81、地板82の両方にボールの受け部を設けても構わないが、受け部のどちらか一方の深さをボール85a,85b,85cの半径より深くし、かつ、受け部同士が接触しないようにしなければならない。また、ボール85a,85b,85cを磁気的作用が生じにくい材質(例えば、アルミナ等のセラミックや真鍮等の銅合金、またはポリカーボネート等の樹脂)により形成する。そして、駆動用永久磁石によってボール85a,85b,85cが吸引されないようにすることにより、吸引力によるボールの位置ずれを防止したり、装置の組み立て性が悪くなるのを防止したりすることが可能となる。
保持枠81には、腕部81c,81d,81eのボール当接面の中心を結んだ三角形の中心付近に、引張コイル84のフックが掛かる突起部81f(図9参照)が設けられている。地板82には、突起部(引張コイルばね84のフック取付部、不図示)が突起部81fに光軸方向に対向する位置に設けられている。そして、保持枠81をボール85a,85b,85cを介して地板82との撮影光軸方向の位置関係が変化しないように、保持枠81を光軸方向の地板82側に引っ張る方向に力を加えている。したがって、保持枠81はボール85a,85b,85cを介して地板82に確実に押し付けられている。
また、保持枠81及び地板82とボール85a,85b,85cとの当接面に、引張コイルばね84による付勢力によらずに該ボールを保持可能な粘度を有する油脂を塗布するようにするとよい。これにより、ボール85a,85b,85cと保持枠81及び地板82との間の摩擦をより軽減することが可能である。ここで、例えば保持枠81に撮影光軸方向への大きな慣性力等が作用して保持枠81が圧縮コイルばね84に抗してボール85a,85b,85cから浮いたとする。しかし、上記油脂の粘性によってボール85a,85b,85cが保持され、容易に位置ずれしないようにすることが可能である。また、地板82に保持枠81のシフトに伴うボール85a,85b,85cの撮影光軸直交方向への移動範囲を制限する端面(制限端)が設けられているとする。この場合において、ボール85a,85b,85cが制限端に当接したときでも、そのボールの装置本体に対する光軸直交方向への位置ずれを抑えることが可能である。また、その後の保持枠81の位置制御に対するボール85a,85b,85cの位置ずれによる影響を最小限に留めることも可能である。
上記のようにして、保持枠81は地板82に対して撮影光軸方向には移動規制されるが、撮影光軸と直交する平面内には自由に移動できるようになっている。但し、保持枠81の突起部81a,81bには引張コイルばね83a,83bのフックが掛かっている。また、地板82の突起部82a,82bに段差を持って掛かっている。また、引張コイルばね84のフックも保持枠81の突起部81fと地板82の突起部(不図示)に掛かっている。そのために、各々の方向(ピッチ方向24p、ヨー方向24y、ロール方向24r)に弾性的に規制されている。つまり、この引張コイルばね83,84の保持力によって、保持枠81を駆動する際に撮影光軸周りの回転が抑制される。
次に、磁気駆動機構について説明する。88はヨーク、89はマグネット吸着板、90(90a,90b)は永久磁石、91(91a,91b)はコイル、92(92a,92b)はヨーク、93(93a,93b)はコイルボビンである。
保持枠81には強磁性材料のマグネット吸着板89が取り付けられ、マグネット吸着板89にはネオジウム等の永久磁石90a,90bが吸着固定されている。マグネット吸着板89は保持枠81に接着されている。地板82には永久磁石90a,90bに対向する位置に、コイル91a,91bとヨーク92a,92bが配置されるように穴部が設けられている。コイル91a,91bはそれぞれコイルボビン92a,92bに圧入、または接着されており、コイルボビン92a,92bは地板82に接着されている。
ここで、保持枠81と一体的に移動する永久磁石90a,90bの磁束の変化を検出するホール素子94a,94bが、永久磁石90a,90bに対向するコイル91a,91b側とは反対側に配置されている。また、マグネット吸着板89には穴部が設けており、そこから漏れた磁束をホール素子94a,94bが検出している。ホール素子94a,94bはフレキシブルプリント基板87に半田付けされており、センサホルダ95によって位置決めされている。
センサホルダ95は地板82に位置決めされており、センサホルダ95とフレキシブルプリント基板87を地板82に押し付けるように一体的なヨーク88が地板82に取り付けられている。また、センサホルダ95はポリカーボネート等の樹脂材料や非磁性材料が用いられている。永久磁石90と一体化している保持枠81が外的要因(例えば落下)で引張コイルばね84a,84b,34cに抗してヨーク88側に移動したとする。この際に、永久磁石90とヨーク88の吸着力が引張コイルばね84a,84b,34cの引張力よりも小さくなるような位置関係に位置している。
ここで、永久磁石90やコイル91は90度をなして配置されている。また、永久磁石90の磁束がコイル91に向かっているため、コイル91aに電流を流すと保持枠81は図9の矢印86a方向または矢印86c方向に駆動される。同様に、コイル91bに電流を流すと保持枠81は図9の矢印86b方向または矢印86d方向に駆動される。したがって、ピッチ方向24p及びヨー方向24yの振れによる像振れを補正可能となる。その際の駆動量は各々の方向における引張コイルばね84a,84b,34cのばね定数とコイル91a,91bと永久磁石90a,90bの関連で生ずる推力との釣り合いで求まる。
上記実施例2においても、上記実施例1と同様、所謂ムービングマグネット方式を採用している。このため、保持枠81と地板82とをつなぐフレキシブルプリント基板を用いない。よって、フレキシブルプリント基板からの撮影光軸方向への弾性力の影響を受けないようにすることができる。また、ボール方式を採用することで、保持枠81と地板82間での確実なガタ取りを行うことができる。しかも、振れ補正時の駆動摩擦力をボールの転がり案内によって極めて小さく、つまり摩擦を少なくでき、保持枠81に作用させる付勢力を大きくした状態でも撮影光軸と直交する平面内でスムーズにシフトさせることできる。よって、像振れ補正ユニットを高精度にシフト駆動することができる。さらに、ボール方式を採用することで、受け部(溝部)での当たり音等の騒音が発生せず、しかも補正レンズ23の倒れが極めて小さく優れた光学性能を発揮させることができる。更に、圧縮コイルばね83を具備して保持枠81の撮影光軸周りの回転を弾性規制し、圧縮コイルばね84により保持枠81を地板82に弾性付勢しているので、この面でも補正レンズ23の倒れやローリングを防ぐことができ、高精度の像振れ補正が可能となる。
以上のように実施例2によれば、簡単な構成で駆動抵抗が少なく、かつガタなく確実に撮影光軸に直交する平面において補正レンズ23(保持枠81)をシフトさせることができる。
また、保持枠81と地板82の間に挟持されるボール85a,85b,85cを非磁性ボールにしている。そして、この非磁性ボールの配置を定める受け部82c,82d,82eの溝部に油脂を塗布している。よって、組み立てが容易な像振れ補正ユニットを実現可能となる。さらに、油脂の粘性及びその液架橋力によってボール85a,85b,85cが確実に保持され、容易に位置ずれしないようにすることもできる。
図13ないし図18は本発明の実施例3に係わる像振れ補正ユニットを示す図である。上記実施例1及び実施例2との違いは、補正レンズに代わりに、撮像素子をシフトさせるところである。
図13は本発明の実施例3に係わる像振れ補正ユニットの背面図である。図14は図13の像振れ補正ユニットにおけるA−A断面図であり、圧縮コイルばね、調整ネジ、ボール及びヨーク、永久磁石、コイル、ヨークの配置を図示している。図15は実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を後方から見た斜視図である。図16は実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を後方から見た分解斜視図である。図17は実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た斜視図である。また、図18は実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た分解斜視図である。なお、図13〜図18では像振れ補正ユニットの主要部分だけを示し、リード線等は示していない。
ここで、図13〜図18において、100は撮像素子、101は撮像素子100を保持する保持枠、102は像振れ補正ユニットの地板である。また、103(103a,103b,103c)は引張コイルばね、104(104a,104b,104c)はボールである。
保持枠101には後述する腕部に120度配置の突起部101a,101b,101c(図14には101bの形状のみ見えているが、3つとも同一形状)が設けられている。突起部101a,101b,101cにはそれぞれ引張コイルばね103a,103b,103c(図14には103bの形状のみ見えているが、3つとも同一形状)のフックが掛かっている。
地板102には保持枠101の突起部101a,101b,101cに対向する位置に3点の突起部102a,102b,102c(102a,102b,102cはほぼ同一形状)が設けられている。突起部102a,102b,102cにはそれぞれ引張コイルばね103a,103b,103cの別のフックが掛かっている。したがって、保持枠101は引張コイルばねによって,回転規制を受けるとともに、光軸中心付近に保持される。
地板102にはボール104a,104b,104c(3つとも同一形状)の受け部102d,102e,102fが120度放射方向に設けられている。受け部102d,102e,102fにはそれぞれボール104a,104b,104cが配置されている。受け部102d,102e,102fにはそれぞれボール104a,104b,104cの半径よりも深い溝部が形成されている。
ここで、上記受け部102d,102e,102fに形成される移動制限用の溝部は、各一対の制限端間の間隔を以下のように設定される。つまり、ボール104a,104b,104cの直径と、保持枠101のピッチ方向又はヨー方向へのシフトによるボールの最大移動量と、所定の余裕量とを加えた長さに設定すると良い。なお、上記ボールの最大移動量とは、例えば、保持枠101を機械的可動端の間でシフトさせたときのボール移動量や、振れ補正駆動時における実際の可動端の間でシフトさせたときのボール移動量である。また、所定の余裕量とは、例えば、機械的な誤差を見込んだ余裕量である。これにより、保持枠101および地板102におけるボール104a,104b,104cが当接する範囲の面積を必要最小限の大きさにすることが可能である。よって、スペース効率の向上を図ったり、当接範囲の面精度を確保する上で有利にしたりすることが可能である。
上記実施例3では、地板102の、保持枠101のシフトに伴うボール104a,10b,10cの撮影光軸と直交する方向への移動範囲を制限する溝部は、円形である。しかし、この移動制限部である溝部を、ピッチ方向に延びる一対の制限端とヨー方向に延びる一対の制限端とからなる矩形枠状に形成してもよい。
保持枠101には、ボール104a,104b,104cを挟んで地板102の受け部102d,102e,102fに対向した位置に、図18に示されるように腕部101d,101e,101f(3箇所とも同一形状)が設けられている。そして、それぞれボール104a,104b,104cに当接するようになっている。したがって、保持枠101は地板102に対して、ボール104a,104b,104cを介して3点受けされる構成になっている。よって、撮影光軸方向に対してガタ付が無く、精度良い位置に保持される。
ここで、保持枠101にボール104a,104b,104cの受け部を設け、地板102にボール104a,104b,104cを当接させても構わない。また、保持枠101、地板102の両方にボールの受け部を設けても構わないが、受け部のどちらか一方の深さをボール104a,104b,104cの半径より深くし、かつ、受け部同士が接触しないようにしなければならない。また、ボール104a,104b,104cを磁気的作用が生じにくい材質(例えば、アルミナ等のセラミックや真等の銅合金、またはポリカーボネート等の樹脂)により形成する。そして、駆動用永久磁石によってボール104a,104b,104cが吸引されないようにすることにより、吸引力によるボールの位置ずれを防止したり、装置の組み立て性が悪くなるのを防止したりすることが可能となる。
また、保持枠101と地板102に設けられている突起部(引張コイルばね103のフック取付部)が段差をもって設けられている。保持枠101をボール104を介して地板102との光軸方向の位置関係が変化しないように、引張コイルばね103は保持枠101を光軸方向の地板102側に引っ張る方向に力を加えている。したがって、保持枠101はボール104a,104b,104cを介して地板102に確実に押し付けられている。
また、保持枠101および地板102とボール104との当接面に、引張コイルばね103による付勢力によらずにボール104を保持可能な粘度を有する油脂を塗布するようにするとよい。これにより、ボール104と保持枠101および地板102との間の摩擦をより軽減することが可能である。さらに、例えば保持枠101に光軸方向への大きな慣性力等が作用して保持枠101が圧縮コイルばね103に抗してボール104から浮いたとしても、上記油脂の粘性によってボール104が保持され,容易に位置ずれしないようにすることが可能である。また、地板102に保持枠101のシフト移動に伴うボール104の光軸直交方向への移動範囲を制限する端面(制限端)が設けられているとする。この場合において、ボール104が制限端に当接したときでも、そのボール104の装置本体に対する光軸直交方向への位置ずれを抑えることが可能である。その後の保持枠の位置制御に対するボール104の位置ずれによる影響を最小限に留めることが可能である。
上記のようにして、保持枠101は地板102に対して撮影光軸方向には移動規制されるが、撮影光軸と直交する平面内には自由に移動できるようになっている。但し、保持枠101の突起部101a,101b,101cには引張コイルばね103a,103b,103cのフックが掛かっている。また、地板102の突起部102a,102b,102cに段差を持って掛かっているために各々の方向(ピッチ方向24p,ヨー方向24y,ロール方向24r)に弾性的に規制されている。つまり、この引張コイルばね103の保持力によって保持枠101を駆動する際に光軸周りの回転が抑制される。
ここで、撮像素子100は撮影光軸周りのわずかな回転でも画質の低下に繋がるので、回り止め部材(可動部材)105を用いてある。図14に示すように、回り止め部材105は保持枠101と地板102の間に配置された薄板であり、実際には厚さ0.1mm程度の樹脂シート、あるいはそれに金属メッキを施したシートで作成されている。
回り止め部材105には、矢印24p方向に延びる一対の長穴部105aと、矢印24y方向に延びる一対の長穴部105b(図13では見えない)とが形成されている。長穴部105aには、地板102から光軸方向に延びる一対のピン102gが係合している。このため、回り止め部材105は地板102に対して矢印24p方向にのみ移動可能になっている。また、長穴部105bには、保持枠101から光軸方向に延びる一対のピン101g(図18)が係合している。このため、保持枠101は回り止め部材105に対して矢印24y方向にのみ移動可能になっている。
次に、磁気駆動機構について説明する。108(108a,108b)はヨーク、109(109a,109b)は永久磁石、110(110a,110b)はコイル、111(111a,111b)はヨーク、112(112a,112b)はコイルボビンである。
保持枠101には強磁性材料のヨーク108a,108bが取り付けられ、ヨーク108a,108bにはネオジウム等の永久磁石109a,109bが吸着固定されている。ヨーク108aは保持枠101に嵌め込まれ、接着されている。ヨーク108bも同様に、保持枠101に嵌め込まれ、接着されている。
地板102には、永久磁石109a,109bに対向する位置に、コイル110a,110bとヨーク111a,111bが配置されるように、穴部が設けられている。コイル110a,110bはそれぞれコイルボビン112a,112bに圧入、または接着されており、コイルボビン112a,112bは地板102に接着されている。
また、永久磁石109の磁束がコイル110に向かっているため、コイル110aに電流を流すと保持枠101は図13の矢印106a方向または矢印106c方向に駆動される。同様に、コイル110bに電流を流すと保持枠101は図13の矢印106b方向または矢印106d方向に駆動される。したがって、ピッチ方向24pおよびヨー方向24yの像振れを補正可能となる。その際の駆動量は各々の方向における引張コイルばね103a,103b,103cのばね定数とコイル110a,110bと永久磁石109a,109bの関連で生ずる推力との釣り合いで求まる。保持枠101の移動量は不図示の位置検出手段により検出される。
次に、撮像素子100周りの構成について説明する。107は撮像素子用フレキシブルプリント基板、113は撮像素子取付板、114は撮像素子傾き調整ばね、115は撮像素子固定ネジ、116は視野マスク、117は光学フィルタ、118は撮像素子ゴムである。
撮像素子用フレキシブルプリント基板107は撮像素子100に半田付けされており、撮像素子100で光電変換された電気信号をメイン基板に送るためのものある。長さは省略してある。撮像素子取付板113は撮像素子用フレキシブルプリント基板107を挟んで撮像素子100に接着されている。撮像素子取付板113は間に撮像素子傾き調整ばね114を挟んで3本の撮像素子固定ネジ115で保持枠101に固定されている。撮像素子固定ネジ115をそれぞれ回すことで、撮像素子傾きを調整することができる。
視野マスク116は撮影レンズを通った光の中で不要な光をカットするものである。また、光学フィルタ117は3枚の光学ローパスフィルタと赤外線カットガラスよりなっており、撮影画像の偽色防止や不必要な赤外線成分をカットするものである。また、撮像素子ゴム118は撮像素子100のカバーガラス周りを覆うことでゴミ等が付着するのを防ぐものである。さらに、視野マスク116、光学フィルタ117を保持枠101との間に挟みこむことで撮影光軸方向に固定するものである。
なお、上記撮像素子100周りの構成は一例に過ぎず、この構成に限定されるのものではない。
上記実施例3においても、上記実施例1及び実施例2と同様、所謂ムービングマグネット方式を採用している。このため、保持枠101と地板102とをつなぐフレキシブルプリント基板を用いない。よって、フレキシブルプリント基板からの撮影光軸方向への弾性力の影響を受けないようにすることができる。また、ボール方式を採用することで、保持枠101と地板102間での確実なガタ取りを行うことができる。しかも、振れ補正時の駆動摩擦力をボール104の転がり案内によって極めて小さく、つまり摩擦を少なくでき、保持枠101に作用させる付勢力を大きくした状態でも撮影光軸と直交する平面内でスムーズにシフトさせることできる。よって、保持枠101を高精度にシフト駆動することができる。さらに、ボール方式を採用することで、受け部(溝部)での当たり音等の騒音が発生せず、しかも撮像素子100の倒れが極めて小さく優れた撮像性能を発揮させることができる。更に、圧縮コイルばね103を具備しているので、撮像素子100の倒れやローリングを防ぐことができ、高精度の象触れ補正が可能となる。
以上のように実施例3によれば、簡単な構成で駆動抵抗が少なく、かつガタなく確実に撮影光軸に直交する平面において撮像素子100(保持枠101)をシフトさせることができる。
また、保持枠101と地板102の間に挟持されるボール104a,104b,104cを非磁性ボールにしている。そして、この非磁性ボールの配置を定める受け部102d,102e,102fの溝部に油脂を塗布している。よって、組み立てが容易な像振れ補正装置を実現可能となる。さらに、油脂の粘性及びその液架橋力によってボール104a,104b,104cが確実に保持され、容易に位置ずれしないようにすることもできる。
なお、上記の各実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
以上の各実施例では、デジタルカメラの防振システムを例にして説明を続けてきた。しかし、本発明の装置は小型で高安定な機構にまとめることが出来る。よって、デジタルカメラに限らず、デジタルビデオカメラや監視カメラ、Webカメラ、携帯電話などにも展開できる。また、デジタル一眼レフカメラに装着可能なレンズや双眼鏡などの光学機器にも展開できる。
本発明の実施例1に係わる像振れ補正装置を具備した撮像装置の外観図である。 図1の撮像装置に具備される像振れ補正装置の内部斜視図である。 本発明の実施例1に係わる像振れ補正ユニットの正面図である。 図3のA−A断面図である。 本発明の実施例1に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た斜視図である。 本発明の実施例1に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た分解斜視図である。 本発明の実施例1に係わる像振れ補正装置に具備される演算回路の構成を示すブロック図である。 図7の駆動部の詳細な回路構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係わる像振れ補正ユニットの正面図である。 図9のA−A断面図である。 本発明の実施例2に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た斜視図である。 本発明の実施例2に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た分解斜視図である。 本発明の実施例3に係わる像振れ補正ユニットの背面図である。 図13のA−A断面図である。 本発明の実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を後方から見た斜視図である。 本発明の実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を後方から見た分解斜視図である。 本発明の実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た斜視図である。 本発明の実施例3に係わる像振れ補正ユニットの主要部品の構成を前方から見た分解斜視図である。
符号の説明
13 カメラ本体
21 撮像素子
22 像振れ補正ユニット
23 補正レンズ
31 保持枠
32 地板
34 圧縮コイルばね
36 ボール
37 圧縮コイルばね
39 ヨーク
40 永久磁石
41 コイル
42 ヨーク
81 保持枠
82 地板
83 引張コイルばね
85 ボール
88 ヨーク
90 永久磁石
91 コイル
92 ヨーク
100 撮像素子
101 保持枠
102 地板
103 引張コイルばね
104 ボール
108 ヨーク
109 永久磁石
110 コイル
111 ヨーク

Claims (5)

  1. 補正手段を保持する保持部材と、
    前記保持部材に設けられる永久磁石と、
    前記保持部材に対向する固定部材に配置されるコイルと、
    前記固定部材と前記保持部材の間に転動可能に挟持され非磁性体の球状部材と、
    前記保持部材の前記固定部材に対する撮影光軸周りの回転を規制するとともに、前記保持部材を前記固定部材の方向に付勢する弾性部材と、を有し、
    前記球状部材は3つ以上あって、前記保持部材を介して前記補正手段を撮影光軸と直交する方向に前記固定部材に対して移動可能に案内するものであり、
    前記弾性部材は複数あって、少なくとも1つが前記球状部材と前記補正手段の中心とを通る撮影光軸に平行な平面上に配置され、少なくとも1つが複数の前記球状部材を頂点とした多角形の中心付近に配置されていて、
    外部から加わる振れによる像振れを補正するための信号が前記コイルに印加されると、該コイルと前記永久磁石との間に発生する電磁作用により前記補正手段を撮影光軸と直交する平面内で移動させ、前記像振れを補正することを特徴とする像振れ補正装置。
    補正装置。
  2. 前記球状部材は、粘性材により、前記固定部材と前記保持部材の間に仮固定されることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正装置。
  3. 前記補正手段は、撮影光学系の一部あるいは全てのレンズもしくは撮像素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の像振れ補正装置。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の像振れ補正装置を具備することを特徴とする撮像装置。
  5. 補正手段がレンズである請求項1または2に記載の像振れ補正装置を具備することを特徴とする光学機器。
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