JP4980634B2 - 肌荒れの予防、改善に好適な皮膚外用剤 - Google Patents

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本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、肌荒れの予防や改善に好適な皮膚外用剤に関する。
ウルソール酸などのトリテルペン酸は抗酸化作用、抗炎症作用、メラニン産生抑制作用などの多種の生理的効果が知られ、化粧料等の皮膚外用剤に含有せしめる技術が既に知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照)これらの内、ウルソール酸においては、経皮投与でも、経口投与でも、ストレスの過負荷に伴う皮膚微小循環の不全によって引き起こされる肌荒れを改善する特異的な作用が存する(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8を参照)。しかしながら、これらの成分については、油性成分に対する溶解性も水性成分に対する溶解性も悪いため、長期の保存条件では、製剤中で析出するなどの問題が存し、溶解性の改善が求められていた。又、かかるトリテルペン酸に於いては、これらの物質群が有する優れた生理活性作用が、溶解性の悪さ故に、生物利用活性度が減じ、充分に発揮されていない懸念も存する。この様な状況より、当業者に於いてはトリテルペン酸の溶解性の改善を目指す動きが存した。溶解性の改善の検討としては例えばエステルなどの誘導体化がなされ、油性成分に対する溶解性が改善されてきたが、それでも析出などの現象を完全に解決するには至らなかった(例えば特許文献9を参照)。すなわち、多種の生理活性が知られているウルソール酸などのトリテルペン酸において、生理活性を損なうことなく、溶解性を改善する手段が求められていた。
一方、水酸基を有する化合物の該水酸基をリン酸化してリン酸エステルへ誘導する技術は既に知られており、化粧料の分野ではアスコルビン酸などの糖乃至は糖類縁体を安定化する目的でリン酸エステル誘導体への化学修飾が行われている(例えば、特許文献7、特許文献10を参照)が、溶解性の改善を目的にリン酸化を行っている例は存しないし、トリテルペン酸のリン酸化物は文献未記載の新規化合物である。従って、このものを有効成分として、肌荒れの改善又は予防用の化粧料に含有させることも全く知られていない。
特開平08−165231号公報 特開平08−208424号公報 再表01/072265号公報 特開平11−012122号公報 特開2000−302659号公報 特開2004−67676号公報 特開2003−321369号公報 特開2003−160429号公報 特開2004−331593号公報 特開2001−354513号公報
本発明は、この様な状況下為されたものであり、肌荒れに優れた効果を有することが知られているウルソール酸において、生理活性を損なうことなく、溶解性を改善する技術を提供し、これにより、肌荒れの改善、予防に有用な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、肌荒れに優れた効果を有することが知られているウルソール酸において、生理活性を損なうことなく、溶解性を改善する技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、ウルソール酸の水酸基をリン酸化してなる、リン酸化ウルソール酸(ウルソール酸リン酸エステル)が、その様な特性を備えていることを見出し、これを皮膚外用剤に含有させることにより、肌荒れの予防・改善に著効を示すことを確認し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)下記に構造を示すウルソ−ル酸リン酸エステル及び/又はその塩と、2)皮膚外用剤全量に対し総量で15〜30質量%の多価アルコ−ルを含有し、前記多価アルコ−ルが、グリセリン並びに、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ペンタンジオ−ル、1,2−ヘキサンジオ−ル、1,2−オクタンジオ−ル及びイソプレングリコ−ルから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤であって、前記肌荒れが、通常の経皮的水分散逸量(TEWL)値に対し15%以上亢進した肌荒れ状態を対象とすることを特徴とする、皮膚外用剤。
Figure 0004980634
ウルソール酸リン酸エステル
(2)前記ウルソール酸リン酸エステル及びその塩の含有量が、皮膚外用剤全量に対し、0.05〜5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
(3)前記グリセリンの含有量が、皮膚外用剤全量に対し、1〜5質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
(4)ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びイソプレングリコールから選択される1種乃至は2種以上を、皮膚外用剤全量に対し10〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
(5)パラベンを含有しないことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
本発明によれば、肌荒れに優れた効果を有することが知られているウルソール酸において、生理活性を損なうことなく、溶解性を改善する技術を提供し、これにより、肌荒れの改善、予防に有用な皮膚外用剤を提供することができる。
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるウルソール酸リン酸エステル
本発明の皮膚外用剤は、専ら肌荒れの改善乃至は予防のために用いられるものであって、必須成分としてウルソール酸リン酸エステル及び/又はその生理的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする。ここで、「有効成分として」とは、肌荒れの改善乃至は予防が薬事法に於いて、医薬部外品が持つ効果、効能として認められていることから、該薬事法に則った、「医薬部外品」における「肌荒れの改善、予防」のための有効成分としての使用を示すことが好ましい。これはこの様な使用形態で使用されることにより、通常の化粧料などとは異なって、使用態様や、使用上の注意などを遵守して、前記有効成分の効果を損なうことなく生じせしめることができるためである。
又、肌荒れとは、本発明に於いては、皮膚バリア機能の低下によって生じる、経皮的水分散逸量(TEWL)の亢進がまねく、肌表面形態の異常の総称であり、痂皮形成、落屑などを伴う場合が存する。この原因としては、皮膚微小循環の不全等により、皮膚表面形態維持が困難になり生じると言われている。この様な皮膚組織の脱落に伴い、インターロイキン類等の炎症因子が放出されて、二次的に炎症を生じる場合も存するが、かかる炎症は、その原因となっている肌表面形態の異常が改善されない限りに於いては、治癒しにくいと言われており、これの改善は肌荒れに伴って時として現れる炎症を治癒させる意味に於いても、肌荒れ自体の改善は重要であると言われている。この様な肌荒れの概況に於いて、本発明の皮膚外用剤の必須成分であるウルソール酸リン酸エステル及び/又はその塩は、前記のTEWLの亢進を抑制し、肌表面形態の異常の発生を防ぐ作用を有する。即ち、言い換えれば、本発明に於いては、肌荒れとは、TEWLの亢進として定義づけることができ、通常のTEWLの値に対して、15%以上、より厳密には25%以上の亢進を以て、本発明では肌荒れ状態にあると定義する。
この様に本発明の皮膚外用剤に必須成分として含有される、ウルソール酸リン酸エステルは、以下のような方法で製造することができる。即ち、ウルソール酸をリン酸エステルへ誘導する方法であるが、これは通常知られているリン酸化の方法に準じて行えば良く、例えば、ウルソール酸を1〜3倍当量のジエチル−N,N−ジエチルホスホロアミデートで、テトラゾールの存在下処理し、t−ブチルハイドロパーオキサイドを反応させ、ウルソール酸のメチルホスフェート体となし、更に、ブロモトリメチルシランを作用させることにより製造することが出来る。この様にウルソール酸を処理して得られたウルソール酸リン酸エステルは、前記に示した構造を有する。斯くして得られたリン酸化ウルソール酸(ウルソール酸リン酸エステル)は、通常医薬、化粧料で用いられているアルカリと反応させて塩と為すことも出来る。この様な塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。これらの中ではカリウム塩として用いることが取り扱いのしやすさから特に好ましい。斯くして得られたウルソール酸リン酸エステル乃至はその塩は、水性担体に対して、著しい溶解性を示すようになり、その薬物活用性が、元のウルソール酸に比較して著しく向上する。本発明のウルソール酸リン酸エステル及び/又はその塩を肌荒れの改善乃至は予防のための皮膚外用剤などに含有させる場合、その含有量は、ウルソール酸リン酸エステルに換算して、当該皮膚外用剤全量に対して、0.05〜5質量%が適当であり、0.1〜1質量%が特に好ましい。これは、少なすぎると肌荒れの改善乃至は予防活性を発現しない場合が存し、多すぎると、肌荒れの改善乃至は予防活性が頭打ちになる場合が存するからである。以下に、ウルソール酸リン酸エステルの製造例を示す。
(製造例)
ウルソール酸(48.1g、0.105mol)、ジメチル−N,N−ジエチルホスホロアミデート(Dimethyl N,N−diethylphosphoramidate;34.82g、0.211mol)、乾燥テトラヒドロフラン(1250ml)の混合物を35℃に加温して澄明溶液としたのち、内温27℃で1−H テトラゾール(44.25g、0.632mol)を一度に加え、室温(22℃)で1時間かき混ぜた。ジメチルホスファイトの生成をTLCで確認後、反応液をアセトン・ドライアイスで冷却、−20℃で70% t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液(84mL、0.607mol)を滴下した。冷浴を除き徐々に室温に戻し、TLCでジメチルホスファイトの消失とジメチルホスフェートの生成を確認したのち、0℃で10% 亜硫酸水素ナトリウム水
溶液(300ml)で反応を停止した。反応液に酢酸エチル(1250mL)を加え有機層を分離した。有機層を10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(100ml×3)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml×3)、飽和食塩水で順次洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層にシリカゲル(400mL)を加え、減圧下に濃縮乾固した。シリカゲル(400mL)をヘキサンで充填し、前記の吸着シリカゲルをヘキサンでチャージ後、ヘキサン/酢酸エチル(2:1)で展開した。単一組成の画分を濃縮して標記化合物の35gをゲル状粉末として得た。このものは、NMRで酢酸エチルと洗いこみに用いたジクロロメタンの吸収が認められた。またわずかに不純物を含む画分として6gを得た。この様に合成した、ウルソール酸−3−メチルホスフェート(Ursolic
acid 3−methylphospate;35g 62mmol)を乾燥ジクロロメタン(350ml)に溶解し、アルゴン気流下、ブロモトリメチルシラン(25mL、186mmol)を加え、室温で1時間反応させた。TLC確認後減圧下に濃縮し、残留部を再度乾燥したトルエンに溶解濃縮(200ml×2)して、過剰のブロモトリメチルシランを完全に除去した。濃縮物95%メタノール(300mL)を加えて溶解し、室温で1時間かき混ぜると結晶が析出した。そのまま減圧下に濃縮した後、一夜減圧乾燥に付し、ウルソール酸リン酸エステルの23.5gを得た。
1H−NMR(ppm):5.23(m、1H)、3.87(m、1H)、2.20(d、1H)、2.05〜1.25(m、25H)、1.12(s、3H)、1.02(s、3H)、0.99(s、3H)、0.97(d、3H)、0.87(d、3H)、0.85(s、3H)
Mass:535(M+
IR(cm-1):2948、1694、1456、1378、1028、661、566
(2)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を有効成分として含有し、肌荒れの改善又は予防のためのものであることを特徴とする。本発明の皮膚外用剤においては、肌荒れ改善乃至は予防に専らに使用されるために、肌荒れに対して好ましい作用を有する成分を含有することがより好ましい。この様な成分的な構成としては、多価アルコールを総量で10〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%含有することが例示できる。かかる多価アルコールにはグリセリンを含有することが好ましく、該グルセリンの好ましい含有量としては、1〜5質量%が好ましく例示できる。グリセリン以外には、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びイソプレングリコールから選択される1種乃至は2種以上を10〜20質量%含有することが好ましく、かかる成分を含有することにより、防腐力を確保し、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類を含有しないことが好ましい。これは、肌荒れのような皮膚バリア機能が低下した皮膚状態に於いては、一過性の刺激感(スティギング)を起こす場合のあるパラベン類を投与することは、該一過性の刺激感の誘発可能性を高めることになり、肌荒れの改善効果を損なう場合があるからである。前記のジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びイソプレングリコールから選択される1種乃至は2種以上の多価アルコール類は、防腐力を補完して、パラベンを含有させないことによる防腐力の低下を防ぐことができる。
本発明の皮膚外用剤に於いては、前記の成分以外に、医薬品、化粧品などに一般に用いられる各種成分、即ち水性成分、油性成分、粉末成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、色剤、香料、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、あるいは紫外線防御剤、抗炎症剤、創傷治癒剤、新陳代謝促進剤、美白剤等の薬剤1種又は2種以上を配合することができる。
水性成分としては、例えば水、低級アルコール(エタノール、プロパノール、イソプロパノール)等が挙げられる。
油性成分としては、例えば高級脂肪酸類(ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、およびそれらのエステル等)、高級アルコール類(セタノール、ラノリンアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)及びワックス類(固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、蜜ロウ、木ロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等)、天然又は合成油状物質(スクワラン、流動パラフィン、ラノリン又はその誘導体、オリーブ油、椿油、綿実油、オレイルアルコール、ひまし油、ワセリン、アジピン酸ジエトキシエチルエステル、シリコンオイル、フッ化炭化水素等)が挙げられる。
粉体成分としては、例えば酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄色酸化鉄、群青、紺青、アクリル樹脂粉体、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、チタンマイカ等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類等が挙げられる。
保湿剤としては、例えばジグリセリン、トリグリセリン、ソルビット又はその誘導体、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フルクトース、スレイトール、エリスリトール、ソルビット、澱粉分解糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、カルボキシメチルキチン、カゼインソーダ、ムチン、スフィンゴ糖脂質等が挙げられ、全体に対して0.1〜30重量%の範囲で配合される。
増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、CPゼリー、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト、ビーガム、合成ヘクトライト等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えばジブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロ−ルピロ亜硫酸ナトリウム、ソジウムビサルフェート、酢酸トコフェロール等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えばクエン酸、乳酸、酒石酸、燐酸等が挙げられる。
キレート剤としては、例えばEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばp−オキシ安息香酸のメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル、フェノキシエタノール、o−フェニルフェノール、デヒドロ酢酸又はその塩、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クロル−m−キシレノール等が挙げられる。
紫外線防御剤としては、例えばウロカニン酸又はその誘導体、イソフェルラ酸又はその塩、オキシベンゾン又はその誘導体、p−アミノ安息香酸又はその誘導体、ジベンゾイルメタン又はその誘導体、p−メトキシ桂皮酸又はその誘導体等が挙げられ、全体に対して0.01〜30重量%の範囲で配合される。
抗炎症剤としては、例えばグリチルレチン酸又はグリチルレチン酸ステアリルなどのグリチルレチン酸誘導体、グリチルリチン酸又はその塩、マロニエ抽出物、アロエ抽出物等が挙げられ、全体に対して0.01〜5重量%の範囲で配合される。
創傷治癒剤としては、ローヤルゼリー抽出物、当帰エキス、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸等が挙げられ、全体に対して0.01〜5重量%の範囲で配合される。
新陳代謝促進剤としては、胎盤抽出物、γ−オリザノール、アミノ酸又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体等が挙げられ、全体に対して0.01〜5重量%の範囲で配合される。
美白剤としては、パンテテイン−S−スルフォン酸、アスコルビン酸又はその燐酸マグネシウム塩、アルブチン、コウジ酸、リノール酸、トラネキサム酸、エスクリン等が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分と任意の成分とを常法に従って処理することにより、製造することが出来る。斯くして得られた本発明の皮膚外用剤は、TEWLの亢進を
抑制し、以て、優れた肌荒れの改善効果、及び肌荒れ予防効果を有し、前記肌荒れ予防効果としては、肌荒れが更に悪化することを予防する効果、及び、まだ肌荒れしていない皮膚が肌荒れをすることを予防する効果が挙げられる。この為、本発明の皮膚外用剤は、肌荒れの存する箇所乃至は肌荒れの生じる可能性の存する箇所に投与されることが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で投与されるものであれば、特段の限定はなく、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが具体的に例示できるが、前記の効果を最大限に生かすためには、肌荒れ用の化粧料に適用することが好ましく、特に、「医薬部外品」における「肌荒れの改善、予防」のための有効成分として、本発明の皮膚外用剤の必須成分であるウルソール酸リン酸エステル及び/又はその塩の使用を示す、医薬部外品に適用することが好ましい。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤であるローション化粧料を製造した。即ち、処方成分を80℃で攪拌、可溶化し、しかる後に、攪拌下冷却して、ローション化粧料1を得た。又、同様の操作をして、ウルソール酸リン酸エステルカリウム塩を水に置換した比較例1も作成した。
Figure 0004980634
<肌荒れ改善試験>
男子従業員(年齢25〜50歳)21名を用いて、5質量%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液で誘発させた肌荒れモデルを用いて、ローション化粧料1及び比較例1をサンプルとして、この肌荒れに対する改善効果を試験した。即ち、前腕内側部に1.5cmφの部位を2つ設け、インテグラル社製の「テヴァメータ」で経皮的散逸水分量(TEWL)を測定した後、5質量%SDS水溶液を1日目、2日目、3日目及び4日目に投与した。(4回投与)サンプルは1日目から4日目の5質量%SDS水溶液の投与後30分、5日目、6日目及び7日目にSDS水溶液と同じ部位に投与した。(7回投与)4日目のSDS投与前と、5日目のサンプル投与前にTEWLを測定した。4日目、5日目のTEWL値から試験開始日のTEWL値を差し引いた値をそれぞれ「ΔTEWL」とし、この値を評価対象とした。この値をWilcoxonの順位和検定にて解析を行った。この作業手順を表2にしめす。又、結果は表3に示す。この結果より、本発明の皮膚外用剤は肌荒れ改善効果に優れることがわかる。
Figure 0004980634
Figure 0004980634
本発明は、肌荒れの改善或いは予防のための医薬部外品など、皮膚外用剤に応用できる。

Claims (5)

  1. 1)下記に構造を示すウルソ−ル酸リン酸エステル及び/又はその塩と、2)皮膚外用剤全量に対し総量で15〜30質量%の多価アルコ−ルを含有し、前記多価アルコ−ルが、グリセリン並びに、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ペンタンジオ−ル、1,2−ヘキサンジオ−ル、1,2−オクタンジオ−ル及びイソプレングリコ−ルから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤であって、前記肌荒れが、通常の経皮的水分散逸量(TEWL)値に対し15%以上亢進した肌荒れ状態を対象とすることを特徴とする、皮膚外用剤。
    Figure 0004980634
  2. 前記ウルソール酸リン酸エステル及びその塩の含有量が、皮膚外用剤全量に対し、0.05〜5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
  3. 前記グリセリンの含有量が、皮膚外用剤全量に対し、1〜5質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
  4. ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びイソプレングリコールから選択される1種乃至は2種以上を、皮膚外用剤全量に対し10〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
  5. パラベンを含有しないことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の肌荒れ予防又は改善用の皮膚外用剤。
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