JP4980521B2 - コンバイン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は穀稈を連続的に刈取って脱穀するコンバインに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、刈取部の前側に複数の引起ケースを立設させ、各引起ケース上部のゲート背面側に引起し用駆動ケースを設け、引起タインを装設させる前記の各引起ケースに前記駆動ケースから動力を伝え、圃場の未刈り穀稈を前記引起タインによって引起して刈取る技術がある。しかし乍ら、収穫作業を行う場所または穀稈の品種などにより、刈取る穀稈の長さが著しく異なるから、長い穀稈は穂先が引起し用駆動ケースに接触し、稈折れまたは脱粒などの不具合が生じ易いと共に、長い穀稈に対応させて駆動ケースを高所に設ける場合、引起ケースと駆動ケースを連結する伝動部が必要になるが、前記伝動部のケースが穀稈搬送通路側に突出し、前記ケースに穀稈が当接して搬送姿勢が乱れたりケースが摩耗する等の不具合がある。また、上部が後傾している引起ケースの高位置に設ける駆動ケースに、上側を前傾させる引起し用入力軸を連結させることにより、引起ケースと前記入力軸の前後方向の設置幅が大きくなる不具合があると共に、前記入力軸の前傾角度を小さくして入力軸を垂直方向に起立させることにより、前後設置幅を縮少できるが、引起ケースを支える力が低減する不具合がある。上記のように、短い穀稈の引起し構造と、長い穀稈の引起し構造を各別に製造する必要があり、引起し構造の製造コストの低減、または軽量化、または穀稈の適正な搬送、またはコンパクト化などを容易に図り得ない等の問題がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、刈取部の前側に複数の引起ケースを立設させ、各引起ケース上部のゲート背面側に引起し用駆動ケースを設け、引起タインを装設させる前記の各引起ケースに前記駆動ケースから動力を伝えるコンバインにおいて、前記刈取部を昇降支持する刈取フレームの前部には3軸フレームを連結させ、3軸フレームには刈取前フレームを連結させ、前記駆動ケースから縦軸を下方に延設させ、縦軸下側に引起タインの駆動スプロケットを配設させると共に、引起し用駆動ケースに引起し用変速ケースを介して引起し用入力軸を連結させ、縦軸に対して前記入力軸を側面視で斜交させたコンバインであって、前記刈取部を構成する穀稈用引起し構造は、前記刈取前フレームに設けた支柱に下端部背面を連結させた前記引起ケースと、前記刈取フレーム前部に連結した前記3軸フレームに下端部を連設した引起し用入力ケースと、同引起し用入力ケースの上端側に連結した前記駆動ケースとを備え、同駆動ケースは、引起ケースに対して上方斜後方に離して設けて、前記引起し用変速ケースに連動連結した引起し用駆動軸を内挿させた左・右ケース及び、前記引起ケースと平行に延設させた複数の縦軸ケースと、同縦軸ケースの下端に前記駆動スプロケットを駆動するタイン軸を備えた下部ケース及び分岐ケースとを備え、刈取る穀稈の長さによって、縦軸の長さを変更したり縦軸を脱着させることにより、駆動ケースの取付け高さを変更させて、前記穀稈用引起し構造を長い穀稈用引起し構造または、短い穀稈用引起し構造にし、同長い穀稈用引起し構造または、短い穀稈用引起し構造は、引起ケースまたは、駆動ケースを共用にさせて、引起ケース下側と引起し用入力ケース下側との間隔と、引起ケースの後傾角度と、引起し用入力ケースの前傾角度とは同一に形成したことを特徴とするコンバインを提供せんとするものである。
【0004】
また、隣接する2条分の引起ケース後側で、2条分の駆動スプロケットに縦軸下側から動力を振分ける分岐ケースを設け、刈取部に設ける左右の穀稈搬送通路に対して沿うように、分岐ケースの左右外側形状を左右の穀稈搬送通路に略平行に形成することとした。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の左側面図、図2は同平面図であり、図中1は左右一対の走行クローラ2・2を装設するトラックフレーム、3は前記トラックフレーム1上側に架設する機台、4はフィードチェン5を左側に張架しかつ扱胴6及び処理胴7を内蔵している脱穀部、8は刈刃9及び穀稈搬送機構10などを備える4条刈り用刈取部、11は刈取フレーム12を介して刈取部8を昇降させる油圧昇降シリンダ、13は排藁チェン14終端を臨ませる排藁カッタ、15は脱穀部4からの穀粒を揚穀筒16を介して搬入する穀物タンク、17は前記タンク15の穀粒を機外に搬出する籾受台、18は運転操作部19及び運転席20を備える運転台、21は運転席20下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0006】
さらに、図3及び図4に示す如く、大小5枚4条分の分草板22間の未刈り穀稈を起立させる引起タイン23を有する4条分の引起ケース24と、引起された穀稈の株元側を掻込む4条分のスターホイル25及び掻込ベルト26と、掻込んだ穀稈株元を切断する刈刃9と、右側2条分の刈取穀稈を左斜め後方に搬送する右下部搬送チェン27及び右上部搬送タイン28と、左側2条分の刈取穀稈を後方の右下部搬送チェン27及び右上部搬送タイン28の送り終端位置近傍に合流させる左下部搬送チェン29及び左上部搬送タイン30と、前記右下部搬送チェン27の送り終端に合流する4条分の刈取穀稈の株元側を受継ぎ搬送する縦搬送チェン31と、前記縦搬送チェン31の送り終端部に設けてフィードチェン5に適正姿勢で刈取穀稈を受継ぎ搬送する補助搬送チェン32を、4条刈り用の前記刈取部8に備え、4条分の刈取穀稈を縦搬送チェン31に受継ぎ合流させた後、フィードチェン5に供給して脱穀処理するように構成している。
【0007】
また、扱深調節支点軸33を有する搬送入力ケース34を介して前記縦搬送チェン31の送り始端部を刈取フレーム12に取付けると共に、搬送入力ケース34の支点軸33を中心に縦搬送チェン31の送り終端部を深扱乃至浅扱位置に揺動させ、補助搬送チェン32の送り始端部に対し、縦搬送チェン31の送り終端部を接離させ、扱胴6による穀稈扱深さを変更させるように構成している。
【0008】
さらに、図5乃至図12に示す如く、前記刈取フレーム12基部を刈取支点軸35に連結させ、刈取フレーム12前部に3軸フレーム36を連結させ、3軸フレーム36に刈取前フレーム37を連結させ、刈刃9及び分草板22などを刈取前フレーム37に設ける一方、刈取前フレーム37に立設させる支柱38に引起ケース24下端部背面を連結させると共に、前記引起し用入力軸39を内挿させる引起し用入力ケース40と、前記引起し用駆動軸41を内挿させる引起し用駆動ケース42を設け、前記入力ケース40下端を3軸フレーム36に連結させ、立設させる前記入力ケース40上端側に前記駆動ケース42を配設させ、左右方向に略水平に延設させる前記駆動ケース42に4条分の引起ケース24上端部背面を固定させ、斜後方に傾倒する姿勢で引起ケース24を立設させるもので、前記駆動ケース42の駆動軸41の動力を伝える駆動スプロケット44と、多数の引起タイン23を有するチェン45を引起ケース24に内設させる。
【0009】
また、図6、図13に示す如く、変速ケース46と左右ケース47・48を駆動軸41上に1列に連結させて前記駆動ケース42を構成し、最左側の変速ケース46に引起し用変速ギヤ49を内設させ、入力軸39と駆動軸41を変速ギヤ49によって連結させ、駆動ケース42背面で運転席20前方まで延設させる変速レバー50によって変速ギヤ49を切換えると共に、変速ケース46と右ケース48に縦軸ケース51を介して下部ケース52を夫々固定させ、左ケース47に縦軸ケース51を介して分岐ケース53を固定させる。
【0010】
また、前記の縦軸ケース51内部の縦軸54上端側を駆動軸41にベベルギヤ55連結させ、引起ケース24背面に固定させる下部ケース52及び分岐ケース53のタイン軸56に縦軸54から動力を伝え、前記タイン軸56上の各駆動スプロケット44を介して4条分の各引起タイン23のチェン45を駆動するもので、図10のように、縦軸54の軸芯L1とタイン軸56の軸芯L2を、側面視で略直交させ、各軸54・56を略90度(直角)に配置させ、引起ケース24と略平行に縦軸ケース51を上方に延設させて引起ケース24に対して駆動ケース42を上方斜後方に離し、長い穀稈の通過を容易にしている。さらに、中央2条の引起ケース24に固定させる分岐ケース53に分岐軸57を内設させ、縦軸54に分岐軸57をベベルギヤ58連結させ、分岐軸57両端に中央2条分のタイン軸56をベベルギヤ59連結させ、中央2条分の引起タイン23を1本の縦軸54によって駆動させ、中央2条分の引起ケース24上部を1本の縦軸ケース51に支持させ、駆動軸41の動力を3本の縦軸54に伝えて4条分の引起タイン23を駆動させ、縦軸54を4本設ける構造に比べて軽量化及び簡略化している。
【0011】
上記から明らかなように、刈取部8の前側に複数の引起ケース24を立設させ、各引起ケース24上部のゲート60背面側に引起し用駆動ケース42を設け、引起タイン23を装設させる前記の各引起ケース24に前記駆動ケース42から動力を伝えるコンバインにおいて、前記駆動ケース42から縦軸54を下方に延設させ、縦軸54下側に引起タイン23の駆動スプロケット44を配設させると共に、引起し用駆動ケース42に引起し用変速ケース46を介して引起し用入力軸39を連結させ、縦軸54に対して前記入力軸39を側面視で斜交させる。そして、例えば縦軸54の長さを変更したり縦軸54を脱着させることにより、刈取る穀稈の長さによって駆動ケース42の取付け高さを変更させ、引起ケース24または駆動ケース42などを共用して長い穀稈用または短い穀稈用の引起し構造を構成させ、引起し構造の製造コストの低減並びに長い穀稈及び短い穀稈の適正な搬送などを図ると共に、前方の引起ケース24下側と後方の入力軸39下側の間隔を拡大させることなく、引起ケース24の後傾角度並びに入力ケース40及び入力軸39の前傾角度を確保させ、長い穀稈用引起し構造のコンパクト化並びに前記入力軸39及び入力ケース40による引起ケース24上側の支持力の確保などを図ると共に、ゲート60の前後幅を大きくすることなく、ゲート60によって変速ケース46の前面及び上面側を覆い、引起ケース24上部構造の前後幅をコンパクトに構成している。
【0012】
また、隣接する2条分の引起ケース24後側で、2条分の駆動スプロケット44に縦軸54下側から動力を振分ける分岐ケース53を設け、2条分の引起ケース24の引起タイン23の駆動に1本の縦軸54を共用させ、長い穀稈用の引起し構造の製造コストの低減並びに軽量化などを容易に図ると共に、図12及び図14に示すように、刈取部8に設ける左右の穀稈搬送通路61・62に対して沿うように、分岐ケース53の左右外側形状面63・64を左右の穀稈搬送通路61・62に略平行に形成し、引起ケース24後方に搬送される穀稈が分岐ケース53に当接する不具合をなくし、長い穀稈の搬送乱れまたは分岐ケース53の摩耗などを低減させ、長い穀稈の適正な搬送などを図る。
【0013】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、刈取部の前側に複数の引起ケースを立設させ、各引起ケース上部のゲート背面側に引起し用駆動ケースを設け、引起タインを装設させる前記の各引起ケースに前記駆動ケースから動力を伝えるコンバインにおいて、前記刈取部を昇降支持する刈取フレームの前部には3軸フレームを連結させ、3軸フレームには刈取前フレームを連結させ、前記駆動ケースから縦軸を下方に延設させ、縦軸下側に引起タインの駆動スプロケットを配設させると共に、引起し用駆動ケースに引起し用変速ケースを介して引起し用入力軸を連結させ、縦軸に対して前記入力軸を側面視で斜交させたコンバインであって、前記刈取部を構成する穀稈用引起し構造は、前記刈取前フレームに設けた支柱に下端部背面を連結させた前記引起ケースと、前記刈取フレーム前部に連結した前記3軸フレームに下端部を連設した引起し用入力ケースと、同引起し用入力ケースの上端側に連結した前記駆動ケースとを備え、同駆動ケースは、引起ケースに対して上方斜後方に離して設けて、前記引起し用変速ケースに連動連結した引起し用駆動軸を内挿させた左・右ケース及び、前記引起ケースと平行に延設させた複数の縦軸ケースと、同縦軸ケースの下端に前記駆動スプロケットを駆動するタイン軸を備えた下部ケース及び分岐ケースとを備え、刈取る穀稈の長さによって、縦軸の長さを変更したり縦軸を脱着させることにより、駆動ケースの取付け高さを変更させて、前記穀稈用引起し構造を長い穀稈用引起し構造または、短い穀稈用引起し構造にし、同長い穀稈用引起し構造または、短い穀稈用引起し構造は、引起ケースまたは、駆動ケースを共用にさせて、引起ケース下側と引起し用入力ケース下側との間隔と、引起ケースの後傾角度と、引起し用入力ケースの前傾角度とは同一に形成したことにより、刈取る穀稈の長さによって駆動ケースの取付け高さを変更でき、引起ケースまたは駆動ケースなどを共用して長い穀稈用または短い穀稈用の引起し構造を構成でき、引起し構造の製造コストの低減並びに長い穀稈及び、短い穀稈に適した搬送構造を容易に図ることができる。
また、長い穀稈用引起し構造をコンパクト化並びに、前記入力軸による引起し支持力の確保などを容易に図ることができる。
【0014】
また、隣接する2条分の引起ケース24後側で、2条分の駆動スプロケット44に縦軸54下側から動力を振分ける分岐ケース53を設け、刈取部8に設ける左右の穀稈搬送通路61・62に対して沿うように、分岐ケース53の左右外側形状63・64を左右の穀稈搬送通路61・62に略平行に形成するもので、2条分の引起ケース24の引起タイン23の駆動に1本の縦軸54を共用でき、長い穀稈用の引起し構造の製造コストの低減並びに軽量化などを容易に図ることができると共に、引起ケース24後方に搬送される穀稈が分岐ケース53に当接する不具合を容易になくすことができ、長い穀稈の搬送乱れまたは分岐ケース53の摩耗などを容易に低減でき、長い穀稈の適正な搬送などを容易に図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の左側面図。
【図2】同平面図。
【図3】刈取部の側面説明図。
【図4】同平面説明図。
【図5】引起ケース部の側面説明図。
【図6】引起し用駆動ケース部の正面図。
【図7】同平面図。
【図8】下部ケースと分岐ケース部の平面図。
【図9】引起し駆動説明図。
【図10】変速ケース部の断面側面図。
【図11】分岐ケース部の断面側面図。
【図12】分岐ケース部の断面平面図。
【図13】変速ケース部の断面説明図。
【図14】分岐ケース部の背面斜視図。
【符号の説明】
8 刈取部
23 引起タイン
24 引起ケース
39 引起し用入力軸
42 引起し用駆動ケース
44 駆動スプロケット
46 引起し用変速ケース
53 分岐ケース
54 縦軸
60 ゲート
61・62 穀稈搬送通路
Claims (2)
- 刈取部の前側に複数の引起ケースを立設させ、各引起ケース上部のゲート背面側に引起し用駆動ケースを設け、引起タインを装設させる前記の各引起ケースに前記駆動ケースから動力を伝えるコンバインにおいて、
前記刈取部を昇降支持する刈取フレームの前部には3軸フレームを連結させ、3軸フレームには刈取前フレームを連結させ、
前記駆動ケースから縦軸を下方に延設させ、縦軸下側に引起タインの駆動スプロケットを配設させると共に、引起し用駆動ケースに引起し用変速ケースを介して引起し用入力軸を連結させ、縦軸に対して前記入力軸を側面視で斜交させたコンバインであって、
前記刈取部を構成する穀稈用引起し構造は、前記刈取前フレームに設けた支柱に下端部背面を連結させた前記引起ケースと、前記刈取フレーム前部に連結した前記3軸フレームに下端部を連設した引起し用入力ケースと、同引起し用入力ケースの上端側に連結した前記駆動ケースとを備え、
同駆動ケースは、引起ケースに対して上方斜後方に離して設けて、前記引起し用変速ケースに連動連結した引起し用駆動軸を内挿させた左・右ケース及び、前記引起ケースと平行に延設させた複数の縦軸ケースと、同縦軸ケースの下端に前記駆動スプロケットを駆動するタイン軸を備えた下部ケース及び分岐ケースとを備え、
刈取る穀稈の長さによって、縦軸の長さを変更したり縦軸を脱着させることにより、駆動ケースの取付け高さを変更させて、前記穀稈用引起し構造を長い穀稈用引起し構造または、短い穀稈用引起し構造にし、
同長い穀稈用引起し構造または、短い穀稈用引起し構造は、引起ケースまたは、駆動ケースを共用にさせて、引起ケース下側と引起し用入力ケース下側との間隔と、引起ケースの後傾角度と、引起し用入力ケースの前傾角度とは同一に形成したことを特徴とするコンバイン。 - 隣接する2条分の引起ケース後側で、2条分の駆動スプロケットに縦軸下側から動力を振分ける分岐ケースを設け、刈取部に設ける左右の穀稈搬送通路に対して沿うように、分岐ケースの左右外側形状を左右の穀稈搬送通路に略平行に形成することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
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