JP4978209B2 - フリーズドライ味噌の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フリーズドライ味噌の製造方法に関するものである
[第1の背景]
大豆加工食品である味噌の製造現場では、大豆を煮熟する工程で多量の煮汁が発生する。このような多量の有機物を含む大豆煮汁は工場排水として扱われ、従来は河川等に放流することによって処理されてきた。ところが現在では、海・河川・池の水質汚濁を防止する観点から大豆煮汁の河川等への放流は厳しく規制されており、大豆煮汁を活性汚泥法等によって処理した上で廃棄する必要が生じている。
しかしながら、味噌の製造業者にとって、排水処理すべき大豆煮汁の量は極めて膨大であり、そのために大豆煮汁を処理するための設備投資に過大な経済的負担を強いられている。しかも、大豆煮汁のCOD値は30000ppmを超えるため、排水処理施設への負荷率は極めて高い(負荷率約70%)。よって、極めて高負荷運転となる大豆煮汁処理の管理には、過大な労力が必要とされる。
さらに、近年の厳しい環境基準の導入に伴い、年々増加する排水処理コストにより中小零細企業が多数を占める大豆を原料とする食品製造企業においては、経済的負担の増加を強いられることになる。
[第2の背景]
近年における疫学調査等の結果から、大豆に大量に含まれているイソフラボンやサポニン等の高機能成分(有用成分)が注目され始めている。このような高機能成分は、人体に有益に作用する成分として一般的に知られている。
たとえば、イソフラボンについては、乳ガンや前立腺ガン等の各種のガンに対して、予防効果があることが明らかになっている。また、このイソフラボンについては、更年期障害の軽減効果があることも明らかになっている。
またサポニンについては、過酸化脂質生成の防止、肥満、高血圧の予防効果等が確認され始めている。また、このサポニンは溶血活性を有しないことから、サポニンを(たとえば酸化防止剤や界面活性剤等として)食品へ応用することも検討され始めている。
このように、大豆にはサポニンやイソフラボンをはじめとする高機能成分が豊富に含まれていることから、かかる大豆由来の高機能成分が移行した味噌は、優れた健康食品といえる。
しかしながら、味噌の製造過程では、大豆の煮熟工程においてサポニン等の高機能成分が、煮汁中に大量に溶出することが確認されている。たとえば原料大豆に含まれるサポニンは、煮熟工程においてその2割程度が煮汁中に溶出するといわれている。すなわち、原料大豆に含まれる高機能成分は製品味噌に100%移行するのではなく、その多くは大豆煮汁中に流出して、有効活用されることなく排水処理されている。
したがって、従来の製法では、原料大豆が備える高機能成分を100%活用できていないため、大豆の有効活用という意味では依然として改善の余地が残されていた。
なお、特許文献1には、原料大豆の高機能成分が溶出した煮汁を濃縮または粉末化して、味噌の仕込み工程で仕込み側に還元する方法が開示されている。かかる方法によれば、煮汁中に溶出した高機能成分はほぼ100%仕込み側に移行することになるが、還元されたサポニン等の高機能成分は、後の発酵,熟成の過程で分解されてしまい、製品味噌の段階では残存量が減少する傾向があるといった問題があった。
また、サポニン等の大豆由来成分は機能性は優れているものの苦味が強いため、特許文献1に開示の如くそのまま仕込み側に還元すれば製品味噌の呈味性を損ねるといった問題があった。
特開2005−65633号公報
そこで、上述した大豆煮汁の廃水処理に係る問題点と、大豆煮汁中に移行する有用成分に注目し、本発明の目的は、現在廃棄されている大豆煮汁を食品原料等として有効活用することで、食品リサイクルの実現と同時に環境負荷の軽減を達成するとともに、大豆煮汁中に溶出した高機能成分を有効活用することでより機能性に優れたフリーズドライ味噌の製造方法を提供することにある。
上記目的は、サポニン、イソフラボン、大豆たんぱく質の少なくとも1種からなる大豆由来成分をα−サイクロデキストリンに包摂させたものを製品味噌に添加する工程と、前記添加工程を経た味噌に対し加水処理を施したものを凍結乾燥する工程と、を含むフリーズドライ味噌の製造方法によって達成される。
また、製品味噌に対し加水処理を施したものに対し、サポニン、イソフラボン、大豆たんぱく質の少なくとも1種からなる大豆由来成分をα−サイクロデキストリンに包摂させたものを添加する工程と、前記添加工程を経た味噌を凍結乾燥する工程と、を含むフリーズドライ味噌の製造方法によって達成される。
大豆煮汁に溶出した高機能成分を回収して製品味噌に還元することにより、従来品に比して機能性が向上し、味噌の付加価値を高めることができる。また、味噌製造過程での仕込み段階で還元するのではなく、発酵,熟成の最終段階で還元することにより、還元された成分の分解(発酵過程等での成分分解)を回避し長期にわたって機能性を維持させることができる。
また、高機能成分が添加された製品味噌を凍結乾燥させることにより、当該高機能性成分の分解・変質が生じ難くなる。したがって、凍結乾燥処理を施すことによって、生の製品味噌に比してより機能性および機能持続性に富んだフリーズドライ味噌を提供することが可能になる。
また、大豆煮汁への溶出量に相当する分量だけ、高機能成分を製品味噌に還元することにより、原料大豆が本来有する有用成分がほぼ100%(つまり過不足なく)そのまま移行した味噌を製造することができる。その結果、成分過多にならず原料大豆の成分割合に近い自然な味噌を提供することが可能になる。
また、高機能成分の添加にあたって、当該成分を直接製品味噌に添加するのではなく、α−サイクロデキストリンに成分を包摂させた状態で添加することにより、製品味噌の呈味性の悪化を回避することができる。
なお、サポニンをはじめとする大豆由来成分は、その機能性は優れてはいるものの苦味成分等の呈味性阻害因子が極めて強く、そのまま還元すれば製品味噌の味を著しく損ねることになる。そこで、α−サイクロデキストリンが持つ包摂性(各種の分子を空洞内に包み込む性質)を利用して、これに高機能成分を包摂させたものを製品味噌に添加する。その結果、味噌を食すときには、α−サイクロデキストリンによる包摂作用によって高機能成分の苦味等は包み隠されて、当該成分自体の苦味等を感じることはないので、味噌本来のうま味が阻害されることはない。そして摂取後においては、乖離・吸着による腸管からの吸収が行われることとなる。
[製品味噌の製造工程]
はじめに、図1に基づいて製品味噌の製造工程を概略的に説明する。
味噌を製造する際には、まず、選別や洗浄等の所定の前処理が施された大豆を準備する(S1)。次に、準備された大豆を水中に所定時間浸漬した後(S3)、大豆の煮熟を開始する(S5)。煮熟された大豆は、温度が高いため、煮熟工程後にそのまま放置すれば着色が進んでしまう。そのため、煮熟工程の終了後は、所定温度まで大豆を冷却するための処理が行われる(S7)。
次に、冷却された大豆を、すり潰したり、くだいたり、押しつぶしたりするとともに、麹、食塩、種水、発酵菌(酵母)等を、冷却された大豆に対して混合する。次に、この混合物を桶等の発酵容器に詰めて、仕込みが行われる(S9)。そして、仕込んだ混合物を、所定期間の間、発酵室内で発酵,熟成させて(S11)、最終的に製品味噌が完成する(S13)。「製品味噌」とは、発酵・熟成工程を経て得られた半練り状の生の味噌をいう。
[大豆由来成分の抽出・還元工程]
上述した煮熟工程(S5)では、煮熟する大豆の量に応じた煮汁が大量発生する。この煮汁中に溶出したサポニン等の大豆由来成分(大豆由来の高機能成分)に着目し、これらの成分の何れか又は全てを抽出して有効活用する。大豆由来成分を抽出するにあたっては、大豆煮汁の原液、或いはその濃縮液又は乾燥物を用いる。かかる濃縮液又は乾燥物を得るための蒸発装置(攪拌型薄膜蒸発装置)については後述する。
例えば大豆煮汁を濃縮(S33)して得た濃縮液から大豆由来成分を分離精製するにあたっては、必要に応じて濃縮液を希釈して適当濃度に調整し、吸着樹脂(合成吸着剤)を用いて大豆由来成分を抽出する(S35)。必要であれば、さらに抽出操作を行って、特定の大豆由来成分(例えばサポニン)を抽出してもよい。ただし抽出する大豆由来成分は特に限定されず、サポニン、イソフラボン、大豆たんぱく質等のいずれか1種でもよく、或いはこれらの2種以上の組み合わせでもよい。
なお、大豆由来成分の分離精製に際し、大豆煮汁の原液を用いる場合には、上記と同様に必要に応じて希釈して濃度調整する。また、大豆煮汁の乾燥物を用いる場合には、水で溶解させて所定濃度の水溶液に調整する。
次に、分離精製操作を経て濃縮液から得られた大豆由来成分を、α−サイクロデキストリンで包摂(CD包摂)させる。なお、周知のとおりα−サイクロデキストリンは空洞を有しているので、CD包摂によって、大豆由来成分を空洞内部に取込んだα−サイクロデキストリン包摂物が形成される(S37)。このようにして得られたCD包摂物を、上記工程で得られた製品味噌(S13)に還元する。
包摂すべき大豆由来成分に対するα−サイクロデキストリンの配合量は特に限定されないが、等量〜20倍量程度が好ましく、製造コストと呈味性改善効果のバランスを考慮すると10倍量程度がより好ましい。
[大豆由来成分の還元量]
製品味噌への大豆由来成分の還元量は特に限定されないが、煮熟工程で煮汁に溶出した分だけを還元することが好ましい。具体的には、製品味噌の製造に用いる原料大豆量を算出し、当該原料大豆量から溶出した分量の大豆由来成分を、過不足なく製品味噌に還元するようにする。そのためには、単位当たりの原料大豆からの大豆由来成分の溶出割合を予め求めておくことが好ましい。
たとえば大豆由来成分の1種であるサポニンの場合、原料大豆の含有量の2割程度が煮熟工程で煮汁中に溶出するといわれている。そこで、サポニンについては溶出した2割分を回収して製品味噌に補填する。これにより、理論上は、サポニン成分がほぼ100%そのまま移行した味噌を提供することができる。
[蒸発装置の構成]
次に、大豆煮汁の濃縮または乾燥固化に利用する蒸発装置について説明する。
本発明で利用可能な蒸発装置は特に限定されず、種々の蒸発装置を用いることが可能である。ただし、利用可能な好ましい蒸発装置の一例としては、特開平4−4001号公報に開示された攪拌型薄膜蒸発装置(商品名「ハイエバオレータ」/商標登録第3068162号)が挙げられる。
以下、図3乃至図5に基づいて、攪拌型薄膜蒸発装置の構成について詳細に説明する。 図3は、本発明で用いる攪拌型薄膜蒸発装置を示す側面図であり、一部を断面で示している。
図4は、図3に示す攪拌型薄膜蒸発装置の横断面図である。
図5は、図3に示す攪拌型薄膜蒸発装置の一部を拡大して示す側面図である。
図3〜図5において、符号1は縦型タイプの攪拌型薄膜蒸発装置を示している。この攪拌型薄膜蒸発装置1において、円筒状のシリンダ(加熱管)3は外側に上下2段のジャケット2,2を有しており、該シリンダ3の上下は、軸受5,メカニカルシール6によって軸支されている。稼動させる際には、シリンダ3内は真空引きされて所定の真空度に設定されるようになっている。
モータ7は所定のベルトプーリ機構を介して回転軸8を回転させるようになっており、該回転軸8には、シリンダ3に同軸的な駆動シャフト9が一体的に設けられている。この駆動シャフト9には、長手方向所定ピッチで、複数のブラケット10,10…が固設されており、該ブラケット10,10…は、周方向に90゜間隔で配置されている(図4参照)。ブラケット10,10のそれぞれには、ピン31により周方向にスイング自在に軸支されたベース32が取り付けられており、該ベース32によってブレード11が把持されている(図4,5参照)。
シリンダ3の上部には供給口12が設けられており、該供給口12を介して上述した大豆煮汁13が供給されるようになっている。また、ジャケット2,2のそれぞれの上部には、供給口14が設けられており、該供給口14を介して所定温度のスチーム(蒸気)15が供給されるようになっている。また、ジャケット2,2のそれぞれの下部には、排出口16が設けられており、該排出口16を介してスチーム15が排出されるようになっている。さらに、シリンダ3の下部には排出口17が設けられており、該排出口17から固化物(大豆煮汁がシリンダ3の内壁を伝って落下する過程で乾燥固化した固化物)が排出されるようになっている。
なお、駆動シャフト9の供給口12に対向する部分には、ディスク状の分散板20が一体的に設けられている。また、その上部の回転軸8には、フィン21,21…が放射状に所定数設けられて排出口22に臨まされている。
上述した構成を有する攪拌型薄膜蒸発装置1において、モータ7を回転させると、回転軸8が軸受5、メカニカルシール6に軸支された状態で、所定速度で回転し始める。そして、回転軸8の回転に伴って、駆動シャフト9も一体的に回転する。この時、駆動シャフト9に設けられた各ブレード11は、駆動シャフト9の回転に伴って生じる遠心力によって、ブラケット10のピン31に枢支された状態でシリンダ3の内面に対し所定間隙を介して旋回する。
そして、予めデキストリンを添加しておいた大豆煮汁13を供給口12に供給すると、該煮汁13はリング状の分散板20の遠心力により、シリンダ3の内壁面上で薄膜状に均一分散するとともに、自重によってシリンダ3の内壁面を伝って流過していく。さらに、複数のブレード11のそれぞれの旋回作用によって混合攪拌されて、シリンダ3の内面に薄膜状に展延され、さらに、ジャケット2内を流過する所定温度のスチーム15によって熱交換されて加熱される。
真空引きされたシリンダ3内における混合攪拌と加熱作用により、大豆煮汁の揮発性成分(水分)は蒸発し、排出口22から排出蒸気として排出逸散し、又は、真空装置で吸出される。その結果、シリンダ3の内面を流過する大豆煮汁は、その過程で蒸発作用・混合攪拌作用を受けて濃縮されるとともに、デキストリンの固化作用によって最終的に固化する。生成された大豆煮汁由来の固化物は、排出口17から排出される。
上述した実施形態では、デキストリンを用いて大豆煮汁を完全に乾燥固化させる場合について説明したが、大豆煮汁を完全に固化させずに濃縮液を生成することも勿論可能である。この場合には、必ずしもデキストリンを添加する必要はなく、大豆煮汁を原液のまま蒸発装置に投入すれば足りる。
本発明の実施形態
次に、図2に基づいて、本発明に係るフリーズドライ味噌の製造方法について説明する。なお、図2に示すフローチャートにおいて、工程S1〜S13,工程S33〜S37は、前記実施形態と同様であるのでこれらの詳細な説明を省略する。
半練り状の生の製品味噌を製造する工程までは(S1〜S13)、前記実施形態と同様である。製品味噌が完成したら、工程S33〜S37を経て得られたCD包摂物を、当該製品味噌に添加し混ぜ込む(S20)。続いて、CD包摂物が添加された製品味噌に対し加水処理を施す(S21)。この加水処理によって味噌の含水率が上がり流動性が確保されるので、後に成型容器に充填したときに(S23)味噌を所定形状に成型し易くなる。
加水処理(S21)においては、併せてデキストリンを添加することが好ましい。デキストリンを添加することによって、後に凍結乾燥したときに多孔質状の塊が形成される。このように凍結乾燥物を多孔質状に形成することにより、お湯を注いだときに毛細管現象が作用し、凍結乾燥物の全体にお湯が瞬時に浸透する。その結果、味噌の乾燥部分の全体が速やかに溶解するとともに、凝集していた具材が素早くバラけるので、煩雑な過度の攪拌作業を必要とせず速やかに食すことができる。
加水処理が完了したら次に、所定の成型容器(プラスチックトレー)を用意し、その中に必要に応じて豆腐や野菜類等の具材を投入し、続いてCD包摂物が添加された味噌を1食分相当量だけ充填する(S23)。充填された味噌は加水処理されているので、具材を包含した状態で成型容器の隅々に均等に行き渡り、成型容器の内側空間と同じ形状の塊に成型される。
なお、具材の投入と味噌の充填の順序は特に限定されないが、具材と味噌を一体成型する観点からは味噌の充填に先立って具材を投入しておくことが好ましい。このような順序であれば具材と味噌が別体になり難いので、飲食の時に漏れなく簡単に器に移し替えることができる。
次に、充填された味噌を成型容器ごと凍結乾燥(S25)することによって、ブロック状の具材付きフリーズドライ味噌(味噌風乾燥調味料)が製造される。
このように、高機能成分が添加された製品味噌を凍結乾燥させることにより、当該高機能性成分の分解・変質が生じ難くなる。したがって、凍結乾燥処理を施すことによって、生の製品味噌に比してより機能性および機能持続性に富んだフリーズドライ味噌を提供することが可能になる。
なお、本実施形態では加水処理(S21)に先立ってCD包摂物を添加しているが、当該CD包摂物の添加タイミングはこれに限定されず、加水処理後に添加するようにしてもよい。
実施例として、大豆由来成分(大豆由来の高機能成分)の1種であるサポニンを大豆煮汁から分離,回収して製品味噌に還元し、当該味噌の呈味性への影響を評価する実験を行った。
[白味噌の製造]
原料大豆を480kg用意し、一般的な製法に従って白味噌を製造した。
原料大豆480kg中のサポニン量は1536gであった。
煮熟工程では、水3tを用いて原料大豆480kgを煮熟した。
煮熟工程で産出された大豆煮汁中のサポニン溶出量を分析したところ、煮汁総量3tへのサポニン溶出量(真性サポニンの溶出量)は269gであった。その結果、このときの原料大豆から煮汁へのサポニン溶出割合が17.5%であることが分かった。
[プラント設備を用いた大豆由来成分の分離精製]
上記「白味噌の製造」過程で産出された大豆煮汁の一部を、図3に示す攪拌型薄膜蒸発装置(株式会社櫻製作所製)に投入し、当該大豆煮汁の濃縮液(19kg×9缶)を得た。続いて、数日保管しておいた濃縮液に対して、プラント設備を用いて以下のフローに示すとおりの分離精製操作を行った。その結果、粗サポニン20%を含有する凍結乾燥物(サポニン製剤)が得られた。
大豆煮汁濃縮液 15kg×9缶

水を加え2倍希釈液 調整

珪藻土ボディフード遠心分離ろ過 珪藻土5kg使用

樹脂原液 255.5kg使用
↓ ← 加水 750L
HP20 175L(水充填)
↓ ← 水洗浄 1000L SV=2
↓ ← 80%エタノール脱着 875L SV=2
80%エタノール脱着液

減圧濃縮・凍結乾燥

サポニン製剤(粗サポニン20%含有の凍結乾燥物)
プラント設備を用いて上記工程で大豆煮汁を精製した結果は、下記表1に示すとおりであった。なお、上記工程で用いられた大豆煮汁原液、樹脂原液、未吸着・水洗液、及び80%EtOH脱着液における液量・固形量の関係は下記表2に示すとおりであった。
Figure 0004978209
Figure 0004978209
[サポニン製剤のCD包摂]
80%EtOH脱着液(大豆由来成分)725Lを減圧濃縮し濃縮液10kgを得た。α−サイクロデキストリン(バイオケム社製)20kgを60℃に加温したイオン交換水150kgに攪拌溶解し、攪拌しながら濃縮液10kgを加え容器洗浄液と合わせて5時間攪拌を行い、サイクロデキストリン包摂溶液165kgを調製した。サイクロデキストリン溶解液を噴霧乾燥し乾燥物(CD包摂物)として20.6kgが得られた。
[α−サイクロデキストリン包摂試験・官能試験]
80%EtOH脱着液(大豆由来成分)を減圧濃縮し凍結乾燥を行い乾燥物を得た。乾燥物に対してα−サイクロデキストリン(シクロケム製)を等量、5倍量、10倍量、20倍量を加え、イオン交換水を少量加えて練り込み包摂を行った。包摂物を凍結乾燥後に呈味を、大豆由来成分凍結乾燥品をデキストリンにてそれぞれ倍散したサンプルを対象として官能試験にて評価した。
官能試験の評価結果を下記表3に示す。
Figure 0004978209
[製品味噌へのCD包摂物の添加]
製品味噌として上記「白味噌の製造」で得られた白味噌を40g用意し、これに対し上記「サポニン製剤のCD包摂」で得られたCD包摂物を添加し十分に混ぜ込んだ。
添加すべきCD包摂物としては、製造コストと呈味性改善効果のバランスを考慮して、α−サイクロデキストリン(シクロケム製)を10倍量加えたものを用いた。
CD包摂物の添加量は、先の煮熟工程で溶出したサポニン量を含有する分量とした。すなわち、白味噌40gに相当するサポニン溶出量を含有するCD包摂物を、当該白味噌に還元した。
[CD包摂物を添加した製品味噌の評価]
上記「製品味噌へのCD包摂物の添加」を経て用意された白味噌について、呈味性改善効果の評価を行った。比較対象として、CD包摂物を添加していない白味噌を用いた。
その結果、CD包摂物を添加しても味噌の呈味性の低下は認められず、従来の味噌の風味を害するものでないことが確認された。
味噌の製造方法を示すフローチャートである。 本発明のフリーズドライ味噌の製造方法を示すフローチャートである。 攪拌型薄膜蒸発装置を示す側面図であり、一部を断面で示している。 図3に示す攪拌型薄膜蒸発装置の横断面図である。 図3に示す攪拌型薄膜蒸発装置の一部を拡大して示す側面図である。
1 攪拌型薄膜蒸発装置
2 ジャケット
3 シリンダ(加熱管)
5 軸受
6 メカニカルシール
7 モータ
8 回転軸
9 駆動シャフト
10 ブラケット
11 ブレード
12 供給口
13 大豆煮汁
14 供給口
15 スチーム
16 排出口
17 排出口
20 分散板
21 フィン
22 排出口
31 ピン
32 ベース

Claims (2)

  1. サポニン、イソフラボン、大豆たんぱく質の少なくとも1種からなる大豆由来成分をα−サイクロデキストリンに包摂させたものを製品味噌に添加する工程と、前記添加工程を経た味噌に対し加水処理を施したものを凍結乾燥する工程と、を含むフリーズドライ味噌の製造方法。
  2. 製品味噌に対し加水処理を施したものに対し、サポニン、イソフラボン、大豆たんぱく質の少なくとも1種からなる大豆由来成分をα−サイクロデキストリンに包摂させたものを添加する工程と、前記添加工程を経た味噌を凍結乾燥する工程と、を含むフリーズドライ味噌の製造方法。
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