JP4977968B2 - 電子素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電界効果トランジスタ等に利用できる電子素子の製造方法、およびその製造方法により製造された電子素子に関する。
電界効果トランジスタ等の電子素子は、通常、基板上に絶縁体層、電極、半導体層等を形成することにより製造される。
中でも上記半導体層に有機化合物を応用した電子素子(以後、有機電子素子と呼ぶことがある)は、塗布印刷プロセスで作製が可能である等、シリコンに代表される無機半導体に無い特徴を有している。中でも有機電子素子を電界効果トランジスタに応用したものは、ディスプレーやICタグ等の高機能なデバイスを容易なプロセスで実現できるものとして期待されている。
電界効果トランジスタの製造で最も重要なものは、ソース及びドレイン電極の形成である。この2つの電極間距離(L)と巾(W)は流すことのできる電流にW/Lの因子で関係しており、Lを小さくするほど高い性能を発揮するようになる。この電極間距離は数μm〜数十μmである事が多いが、これを高い精度で容易に作製することが重要である。
特許文献1には、フォトリソグラフィーの手法を用いて、有機半導体層の局所にドーピングを行い、ドーピング剤と有機半導体材料との錯体を形成させ、その部分を電極下に設けることによって、トランジスタ特性を改良することが記載されている。これはフォトリソグラフィーの手法を用いているので、フォトレジストの処理が必要で工程が複雑である。従って、フォトリソグラフィーに代わる低コストの製造プロセスが有機電子素子の特徴を生かすプロセスとして望まれていた。
電極は半導体層に電流を注入する重要な部分であり、デバイスの電気特性を決めるものである。電極は必要な導電性を有している他、半導体層に電流を注入する為に半導体層との間の障壁が小さいこと、その為に半導体層との接触(あるいは接合)が良好な事、パターニングプロセスにあった特性を有している事などが必要である。
パターニングプロセス可能な方法として、ビシクロ化合物を熱変換して半導体層にする方法が特許文献2、特許文献3に記載されている。これは、溶解度の低い有機半導体化合物を塗布によって製膜する優れた製膜方法であるが、これらの公知文献においては、有機半導体層に対して金電極が用いられており、電極として有機導電体または有機半導体を用いた例は開示されていない。金電極を用いた場合、正孔を注入するのに金電極が高い仕事関数を有しており有利であるが、有機半導体層と金の接触が良くないという問題がある。
有機半導体層との相性の良い電極を作製するために電極を有機化合物により形成することが好ましく、有機導電材料及び/または有機半導体材料で電極を形成するための優れたパターニングプロセスが望まれている。
特開2002−204012号公報 特開2003−304014号公報 特開2004−6750号公報
本発明は、有機半導体層との相性のよい有機化合物により電極を成した電子素子の製造方法、及びその製造方法により製造された電子素子を提供することを目的とする。
上記課題に対し従来のフォトリソグラフィー法を用いることなく、有機半導体または有機導電体の前駆体を加熱して有機半導体または有機導電体とすることにより電極を作製するプロセスを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、基板上にポルフィリン化合物の前駆体の層を形成し該層をパターン状に部分加熱して、該前駆体の該加熱部分を有機半導体または有機導電体とした後、非加熱部分を除去することにより、パターニングされた電極を形成し、該パターニングされた電極と接触するようにポルフィリン化合物を含む有機半導体層を形成することを特徴とする電子素子の製造方法を要旨とする。
これにより、電極と有機半導体層の接合の良好な、すなわち、良好な電気特性を示す有機電子デバイスの作製が可能になった。
(電極)
まず本発明の電極を作製するプロセスを説明する。
本発明においては、加熱により、溶解度が変化し、かつ半導体特性あるいは導電性を発現する材料(以後、前駆体と呼ぶことがある)の層を基板上に形成し、直接パターン状に部分加熱した後、非加熱部分を除去し、加熱して半導体特性あるいは導電性を発現するようになった部分を残して電極部分を形成する。この際、加熱された部分と非加熱の部分の導電性の差が大きく、非加熱の部分の導電性が十分小さい場合は、非加熱部分を除去する工程は必要ではない場合がある。
あるいは2枚の基板を用い、一方の基板上に前駆体層を形成しておき、該前駆体層を加熱により半導体または導電体に変換すると同時に該半導体あるいは導電体を他方の基板上に熱転写をすることにより、基板上に電極を形成してもよい。
加熱パターニングだけで導電性が十分高ければそのパターンをそのまま電極に用いることができるが、もし不充分であれば、ドーピング操作等も併用して十分な導電性を発現させることができる。
本発明の電極の電気伝導度としては、通常10-6S/cm以上で、10-4S/cm以上が好ましく、より好ましくは10-2S/cm以上、最も好ましくは1S/cm以上である。電極として導電性が高いことによる問題はないが、有機物で安定性を損なわずに高い導電性を得ることは難しく、103S/cm以下が現実的に得られる導電性の上限である。
加熱条件は、前駆体が十分に半導体あるいは導電体に変換される温度と時間で加熱することが必要である。加熱している部分としていない部分のコントラストを十分に取るためには、100℃以上、より好ましくは150℃以上に加熱するのが望ましい。加熱温度が高すぎると、基板や絶縁膜等他の材料に損傷を引き起こしたり、変換前後の材料の分解を引き起こす可能性がある為、それらの条件で温度及び加熱時間の上限が決められる。短時間の加熱であれば損傷無しに加熱することもできる。一般に加熱温度の上限は500℃以下とするのが好ましく、より好ましくは400℃以下である。
加熱方法としては、パターニングには感熱プリンターに用いられる熱ヘッドのような、あるパターンで接触して加熱する方法を用いることができる。また、光を照射して光を熱に変換して加熱することも可能である。局所的に大きな温度勾配を設けてパターニングの精度を高くするためには、光、特にレーザーによるパターニングが好ましい。
レーザーは、前駆体層あるいはその近傍の材料で吸収されるものが好ましい。また、有効に光エネルギーを熱エネルギーに変換する波長のレーザーを選択することが好ましい。
用いるレーザーは、系の吸収する波長に合わせて十分なエネルギーを照射でき、必要により十分に集光できるものであれば、いずれも用いることができる。好適に用いることのできるレーザーとしては、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー、Nd:YAGレーザー、Arイオンレーザー、Krイオンレーザー、窒素レーザー、Tiサファイアレーザー、色素レーザー、及びこれらのレーザー光の波長を第二高調波発生、パラメトリック効果、非線型光学効果で変換して得られる光等を挙げる事ができる。とくに電極用の材料として後述するポルフィリン化合物を用いる場合には、Soret帯と呼ばれる強い吸収帯を利用することができ、400nm前後の波長で発振する半導体レーザーを好適に用いることができる。
レーザー以外の光源としては、キセノンフラッシュランプ等の短時間に高いエネルギーの光を発光するものが使える。白色光を発光するので、好ましい波長をフィルターによって選択することができる。
パターニングの為には局所的に高いエネルギーの光を短時間照射することが好ましい。パターン状に照射する方法は、1.絞った光を走査しながらレーザー光パワーを変調してパターンを形成する方法、2.マスクを通してレーザー光を照射する方法、の2種類が考えられる。レーザーの発振方法には、連続発振とパルス発振レーザーがあるが、上記2の方法にはパルス発振光を組み合わせるのが良い。長時間同じ場所を照射していると、熱の拡散により解像度が落ちることがあるからである。また、上記1の方法にはパルス発振光、連続発振光のどちらも用いることができるが、連続発振光の方が通常、より好ましい場合が多い。
上記1の方法でレーザ照射を行う場合、レーザーのスポット系をソースとドレイン電極の間隔(チャネル長)よりも小さくなるように集光する。この集光した光を前駆体膜上に照射しながらスポットを走査する。このとき、基板をX、Y方向に平行移動する方法と、レーザー自体をミラーでX、Y方向に振らせる方法と、レーザーをポリゴンミラー等でX方向に振らせながら基板をY方向に移動させる方法が考えられ、どれも用いることができる。
電極部分のみレーザーを照射し、それ以外ではレーザー光が当たらないように変調することにより、レーザー光の照射によるパターニングが可能である。前駆体から変換した半導体あるいは導電体は前駆体と溶解性が異なっており、一般に溶解性が低下する。この溶解性の変化を利用して溶媒で処理することにより、照射パターンに従って電極パターンを残すことができる。これとは逆にレーザー光を照射した部分の溶解性が向上することも考えられる。その場合には除去したい部分を照射する操作をすればよく、上記とは白黒反転させたパターンで照射することになる。
電極形成のために用いられる前駆体としては、前述した加熱条件によって、有機半導体又は有機導電体となるものであれば特に限定されるものではないが、特に光を照射されて発生する熱により一部または全部が完全に有機半導体又は有機導電体に変換される前駆体が好ましいものであり、中でも塗布による薄膜形成を可能とし、低コストかつ簡便な方法で有機半導体膜又は有機導電体膜を形成できることから、前駆体としては、有機溶媒に対する溶解性の高いものが好ましい。
有機半導体の前駆体としては、下記の構造式で示した化合物等を好ましく挙げることができる。これらの前駆体は前述した照射光により発生する熱により有機半導体へ変換される化合物の一例である。
Figure 0004977968
特に上記(式2)の構造を有するポルフィリン化合物は好ましい。この前駆体から誘導されるテトラベンゾポルフィリン化合物は、良好な半導体特性を示す事が、特開2004−6750号公報に記載されている。この材料は本発明の目的に好適に利用できる。特にポルフィリンの中心に金属を有する金属錯体で、変換後にキャリア密度が高くなるものが好ましい。
例えば、下記に示す文献では、テトラベンゾポルフィリンあるいは類似化合物であるフタロシアニンの特定の金属塩、とくに金属原子が軸方向にCNやSCN配位子を介して連結したものが高い導電性を示す事が報告されている。
Molecular Crystals and Liquid Crystals 118巻 361項(1985)
Molecular Crystals and Liquid Crystals 105巻 133項(1984)
J.Am.Chem.Soc. 104巻 83項(1982)
従って、有機導電体の前駆体としては、これらの化合物を誘導できる次のような化合物を挙げることができる。
Figure 0004977968
本発明の有機半導体及び/又は有機導電体の前駆体の層はドーピングされた層であることが好ましい。
前駆体の加熱で生成する有機半導体/有機導電体材料に高濃度にキャリアが存在すれば電極として使用するに十分な導電性が得られるが、キャリアが存在しない場合には、キャリア密度を増加させる操作が必要になる。これは一般にドーピング処理によって達成される。
本発明に用いることのできるドーパントは、酸化型又は還元型のいずれか一方の導電性付与剤であってもよく、その両方であってもよい。両方を用いる場合には、ソース電極とドレイン電極は同じタイプの導電性付与剤により形成されていることが好ましい。
ここで、酸化型の導電性付与剤とは、有機半導体の層に作用させることにより有機半導体の層を酸化させて電気伝導度を向上させる効果を有するものであり、p型の導電性付与剤ということもある。一方、還元型の導電性付与剤とは、有機半導体の層を還元させて電気伝導度を向上させるものであり、n型の導電性付与剤ということもある。
本発明に用いられる酸化型の導電性付与剤としては、酸素、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、BF4、PF6、AsF5、FeCl3、SbF5、NOBF4、NOPF6等のルイス
酸、ヨウ素、塩素、臭素、ICl、ICl3、IBr、IF3等のハロゲンなどが挙げられる。
一方、還元型の導電性付与剤としては、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属原子、バリウム、カルシウム、マグネシウム、銀、ユーロピウム、ベリリウム等の金属原子、及びこれらの金属原子を含む原子団などが挙げられる。
また、金属粒子やカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブを分散した導電性の複合材料等を前駆体に分散することは、加工プロセス面において非常に好ましいといえる。
ドーピングの方法としては、上述のドーパントを有機半導体の層の表面に付着又は化学結合させることのできるものであれば特に限定されるものではない。ドーピングの方法は、ドーパントの種類により適宜選択することができる。例えば、ヨウ素や臭素等のハロゲンや酸素、塩酸等の蒸気圧の高いものはその蒸気に接触させることによりドーピングすることができる。具体的には、有機半導体の層に、密閉した容器中でヨウ素と共存させることにより、ドーパントが有機半導体の層にドーピングされる。蒸気圧やドーピング速度を制御するために、ドーパントや有機半導体層の温度を制御することもできる。
また、ドーパントの溶液に接触させることもできる。例えば、酸やアルカリ、酸化剤や還元剤の溶液に有機半導体の層を浸漬させる方法が挙げられる。
さらに、ドーパントを含む膜を、マスクを有する有機半導体の層に接触させて塗布することによってもドーピング処理が可能である。例えば、ドーパントとPMMAやポリスチレン等のポリマーを溶媒に溶解しておき、これを塗布することによって、ドーピングすることが可能である。また、スルホン化ポリスチレンのような高分子ドーパントを塗布することも可能である。ドーピングを促進するための加熱処理あるいは光照射を行ってもよい。
真空を用いたイオンインプランテーション法も用いることができる。これは、ドーピングしたい原子あるいは原子団のイオンビームを加速して有機半導体層に照射するものである。イオンビームを収束させて描画することが可能なので、マスクを用いずに、直接ドーパントを電極パターンにドーピングすることも可能である。高いパターニングの精度やドーパント以外の物質の汚染を低くできることに特徴がある。
前駆体自体にドーパントとなるようなものを混合する場合は、たとえば、高い耐熱性を有する電子受容性の材料を半導体前駆体と混合しておき、半導体材料への変換と同時に電子受容性材料がドーパントとして働き、導電性を発現することができる。このようなドーパントとして働く材料としては、通常のドーパント材料を用いることができるが、C60やC72に代表されるフラーレン材料、スルホン酸等の有機酸、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、トリニトロフルオレノン(TNF)、クロラニル等の有機アクセプタ分子等の構造を分子内に有する材料を用いることができる。
これらの構造を半導体前駆体に結合したものも望ましい。例えば、下記の式で表される化合物を混合することは好適に用いることができる。
Figure 0004977968
ここで、Aはドーパントとして作用する原子団を表す。上記の式で表される2種類の化合物を混合しておき、脱エチレンによりテトラベンゾポルフィリンに変換すると、ドーパントを含有した膜が形成され、テトラベンゾポルフィリン自体は10-2cm2/Vsを超
える移動度を示すものであるので、高い導電性を示すことになる。このAの結合した化合物は、A−CHOのようなアルデヒド体あるいはA−CH2OHのようなアルコール体を
、このポルフィリンを合成する途中のポルフィリノーゲン形成時に添加することにより、メソ位にAの置換基を有するものを合成できる。もちろんこの化合物の周辺、例えば中心に銅や亜鉛の配位した金属錯体や、Aが2個以上メソ位に置換されたもの、周囲のビシクロ構造部分にアルキル基やハロゲン原子、水酸基等の1価の有機基で置換されたものも同様に用いることができる。
このAの具体的なものとしては、アルキル基の一部がアクセプタ分子に置換されたものが挙げられる。例えば、下記の式で表される基である。
Figure 0004977968
ドーパントの混合量は、有機半導体前駆体分子に対して0.1モル%以上、さらに好ましくは1モル%以上であり、上限は150モル%以下、さらに好ましくは100モル%以下である。
有機半導体及び/または有機導電体の前駆体層の形成には、以下に述べる塗布方法を使用することができるが、塗布の方法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を用いることができる。
塗布後は、溶媒を除くために加熱あるいは真空で処理することが好ましい。
レーザー照射後に、半導体または導電体のパターンを残す為に、前駆体のみ溶解する溶媒で洗浄処理をする。この溶媒は、半導体又は導電体を溶解せず前駆体を溶解するものであればなんでも良いが、通常半導体又は導電体の一般の有機溶媒に対する溶解度は非常に小さくなるので、前駆体を溶解する溶媒が広く使える。ただし余りに沸点の高い溶媒を用いるとその溶媒の除去が難しいことから、沸点が180℃以下、好ましくは150℃以下の溶媒を用いることが望ましい
加熱によるパターニングにおいては、同一基板(基板A)上で、前駆体の膜を熱変換でそのまま半導体あるいは導電体に変化させる事で所望の電極を同一基板(基板A)上に形成することができるが、他の方法として、2枚の基板を用いて、ある一つの基板(基板B)上に前駆体膜を形成しておき、それを他方の基板(基板A)に接触させたまま、前駆体膜を加熱し、変換すると同時に基板A上に半導体あるいは導電体の膜を転写して、電極を形成する方法も利用できる。この際、基板B上に変換した材料が残らず転写されるように、基板と前駆体膜の間に基板表面処理を施すことも可能である。
作製された電極層及び/又は半導体層は、後処理により特性を改良することが可能である。例えば、加熱処理により、層形成時に生じた層中の歪みを緩和することができ、特性の向上や安定化を図ることができる。さらに、酸素や水素等の酸化性あるいは還元性の気体や液体にさらすことにより、酸化あるいは還元による特性変化を誘起することもできる。この後処理は、例えば層中のキャリア密度の増加あるいは減少の目的で利用することができる。
(半導体層)
本発明の電子素子においては、電極を形成した上に半導体層を形成することができる。半導体層の材料としては、低分子、高分子さまざまなものが報告されているが、そのうちいずれも用いることができる。例えば、α−セキシチオフェン、ジアルキルセキシチオフェンに代表される、チオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類、あるいは、チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環を合計4個以上連結したもの、ナフタレン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、フラーレン等の縮合芳香族炭化水素、アントラジチオフェン、ジベンゾチエノビスチオフェン、α、α´−ビス(ジチエノ[3,2-b´:2´,3´-d]チオフェン)等の縮合チオフェンおよびその誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の、芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物、銅フタロシアニン、パーフルオロ銅フタロシアニン、テトラベンゾポルフィリン及びその金属塩等の大環状化合物、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の共役高分子およびそれらの共重合体等が挙げられ、その中でも特に、レジオレギュラーポリチオフェンのような自己組織化を示すものや、ポリフルオレンやその共重合体に代表される液晶性を示す共役高分子等が好ましく挙げられる。半導体材料はドーピングにより導電性材料になるので電極に用いる材料と半導体材料が同一であることも考えられるのではあるが、高い特性を示す電極用の材料が必ずしも高い半導体特性を示すとは限らないので、この電極上に形成する半導体層の材料としては、電極に用いる材料とは異なる化合物を用いた方が、材料選択の範囲が拡がり好ましい。又、半導体層と電極の密着性を向上させたり、接触抵抗を低くする点からは、半導体材料は電極用材料と同一のものを含む方が好ましい。
半導体層は、有機半導体化合物を、溶媒に溶解して塗布することによって形成することが出来る。この際用いられる溶媒としては、上述した有機半導体を溶解もしくは分散し得るものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、低級エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ピリジン、キノリン等の含窒素芳香族、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等を用いることができる。
この際、塗布後に溶媒除去の目的で基板を加熱するが、その時液晶性を示す化合物の場合は、ネマティック相以上の温度に加熱し、その後冷却することにより塗布後に比べ結晶性の高い膜を作成できる。
塗布の方法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を用いることができる。さらに、水面上に形成した単分子膜を基板に移し積層するラングミュア・ブロジェット法、液晶や融液状態を2枚の基板で挟んだり毛管現象で基板間に導入する方法等も挙げられる。
半導体層は、真空プロセスを応用して作製することも出来る。この場合には、半導体層を構成する有機半導体化合物をルツボや金属のボートに入れて真空中で加熱し、基板に付着させる真空蒸着法を用いることが出来る。この際、真空度としては、1×10-3Torr以下、好ましくは1×10-5Torr以下が望ましい。また、基板温度でデバイスの特性が変化するので、最適な基板温度を選択する必要があるが、0℃から200℃の範囲が好ましい。また、蒸着速度は0.01Å/秒以上100Å/秒以下、好ましくは0.1Å/秒以上10Å/秒以下が用いられる。半導体層を構成する材料を蒸発させる方法としては、加熱の他、加速したアルゴン等のイオンを衝突させるスパッタ法も用いることが出来る。
半導体層の膜厚は、電界効果トランジスタの場合、素子の特性は必要な膜厚以上であれば所望の特性が得られる場合が多いが、膜厚が厚くなると漏れ電流が増加してくることが多い。従って好ましい膜厚は、1nmから10μmの範囲であり、より好ましくは10nmから500nmが望ましい。
(絶縁体層)
本発明の電子素子の一つである電界効果トランジスタにはゲート電極と半導体層の間に絶縁体層が設けられる。絶縁体層に用いられる材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリシロキサン等のポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、窒化珪素等の窒化膜、SrTiO3、BaTiO3等の強誘電性酸化物膜、あるいは、上記酸化物や窒化物、強誘電性酸化物等の粒子を分散させたポリマー膜等が挙げられる。一般に絶縁膜の静電容量が大きくなるほどゲート電圧を低電圧で駆動できることになるので、有利になる。絶縁体層の静電容量を大きくするためには、誘電率の大きな絶縁材料を用いるか、絶縁体層の厚さを薄くする事で対応することができる。絶縁体層は、塗布(スピンコーティングやブレードコーティング)、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷やインクジェット等の印刷法、アルミ上のアルマイトの様に金属上に酸化膜を形成する方法等、材料特性に合わせた方法で作製することが出来る。
(基板)
本発明の電子素子の基板としては、ポリマーの板、フィルム、ガラス、あるいは金属に、コーティングにより絶縁膜を形成したものや、ポリマ−と無機材料の複合材等を用いることができる。上記ポリマー材料の例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
本発明の電子素子は、基板上に作製するが、その基板処理により特性を向上させることができる。これは基板の親水性/疎水性を調整して、電極層及び/または半導体層形成の際に得られる層の特性を向上させること、特に基板と半導体層の界面部分の特性を改良することがその原因と推定される。このような基板処理としては、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等の疎水化処理、塩酸や硫酸、酢酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ処理、オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴン等のプラズマ処理、ラングミュアブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理が挙げられる。
(他の電極)
本発明の電子素子を電子回路中に組み込んだ電子デバイス(以後、単に、電子デバイスと呼ぶことがある。)を作製することができるが、該電子デバイス作製の為の電極や配線には、金、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、等の導電性高分子及びそのドーピングされた材料、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、等の半導体及びそのドーピングされた材料、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、を用いることができる。これらを形成する方法も、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等を用いることができる。また、そのパターニング方法も、フォトレジストのパターニングとエッチング液や反応性のプラズマでのエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法及びこれらの手法の複数の組み合わせた手法を利用することができる。また、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して材料を除去したり材料の導電性を変化させる事により、直接パターンを作製することも利用できる。
(保護膜)
本発明の電子素子は、外気の影響を最小限にするために、保護膜を形成することができる。これには、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン等のポリマー膜、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜等が挙げられる。ポリマー膜は、溶液を塗布乾燥する方法、モノマーを塗布あるいは蒸着して重合する方法等が挙げられ、さらに架橋処理や多層膜を形成することも可能である。無機物の膜の形成には、スパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
(電子素子)
本発明が適用できる電子素子としては、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を例えば電気、磁気、光又は化学物質等により制御するものを挙げることができる。例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、光の照射による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子が挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振が挙げられる。上記の機能を持つ電子素子の具体的なものとしては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー等、あるいはこれらの素子の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。電子素子のより具体的な例は、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition (Wiley−Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
主要な電子素子の構成要素は、半導体層、電極、絶縁体層、該電子素子を電子回路中に組み込むための配線(以後、単に、配線と呼ぶことがある)であり、この電極部分あるいは配線部分に本発明が利用できる。
本発明の電子素子の例としては、電界効果トランジスタが挙げられる。電界効果トランジスタの断面の構造例を図1にA〜Dとして示す。ここで、図1中において、1は半導体層、2は絶縁体層、3と4はソース及びドレイン電極、5はゲート電極、6は基板である。
そのほか、本発明が適用できる電子素子の例として、ダイオード素子を挙げることができる。これは、非対称な構造をした図2にE〜Fとして示される構造例の2端子素子である。
その一つの例Eとしては、仕事関数の異なる2つの電極(3及び4)で半導体層(1)を挟んだ構造のものである。
また、他の例Fとして、半導体層としてフェルミ準位の大きく異なる2種類の半導体材料(1)および(7)を接触させることにより、ダイオード素子を作製することも可能である。2種類の半導体材料を組み合わせて半導体層を形成する場合、これらの組み合わせる材料としては、例えば、ペリレン顔料やフタロシアニン材料、フラーレン、共役高分子等が挙げられる。
このようなダイオード素子は、整流素子の他、光や化学物質の吸着等、外部の刺激で二端子間の電流電圧特性が変化することを利用して、太陽電池、光検出器、化学センサー等への応用が挙げられる。
(製造法)
以下、電界効果トランジスタの例を用いて、好ましいプロセスの例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図3に、図1Aに示した構造の電界効果トランジスタの製造工程の一例を示す。
まず、基板(6)上にゲート電極(5)を形成する。これ以前に、回路を形成する為の配線を作製しておく場合もあるが、ここでは、ゲート電極(5)以前の工程については説明を省略する。このゲート電極は、印刷方法、フォトリソグラフィー法等の種々の手法を用いてパターニングすることができるし、本発明の電極パターニングの方法ももちろん用いることができる。
その上に、絶縁体層(2)を形成する。
この絶縁体層(2)上に本発明の方法を用いてソース及びドレイン電極(3、4)を形成する。まず、前駆体となる材料の層(8)を塗布方法により全面に形成する。
次に、前駆体層(8)にレーザー照射(9)を行い、電極をパターニングする。
本発明では、高精度での電極のパターニングが可能であり、数μm以下の高精度パターニングが必要なソースドレイン電極間に有効に適用することができる。
レーザー照射後に、半導体または導電体のパターンを残す為に、前駆体のみ溶解する溶媒で洗浄処理をする。
次に、パターニングされたソース及びドレイン電極(3、4)の上に半導体層(1)を形成する。
その後、配線(10)を形成する。
本発明では電界効果トランジスタのソースドレイン電極間のギャップ(チャネル)を上記レーザー照射による高精度パターニングを行い、半導体層を作製して個別のトランジスタを形成した後で、配線をより簡便な方法で行うことができる。該配線の作製には、通常の印刷方法やシャドウマスクを用いての金属の蒸着法等が利用できる。印刷方法では導電性のインクを用いて、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を用いることができる。
その後、外気の影響を少なくするために、保護層(11)を形成する。
また、本発明の電子素子は、ディスプレーのアクティブマトリクスのスイッチング素子として利用することが出来る。これは、ゲートに印加される電圧でソースとドレイン間の電流をスイッチング出来ることを利用して、ある表示素子に電圧を印加あるいは電流を供給する時のみスイッチを入れ、その他の時間は回路を切断する事により、高速、高コントラストな表示を行うものである。
適用される表示素子としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
特に、本発明の電子素子は、低温プロセスでの作製が可能であり、プラスチック基板、プラスチックフィルムや紙等の、高温処理に耐えない基板を用いることができる。また、塗布あるいは印刷プロセスでの素子作製が可能であることから、大面積のディスプレーへの応用に適している。また、従来のアクティブマトリクスの代替としても、省エネルギープロセス、低コストプロセスの可能な素子として有利である。
また、本発明の電子素子を集積することにより、集積回路(IC)が実現できる。これらの例としては、AND、OR、NAND、NOT等の論理回路、メモリー素子、発振素子、増幅素子、等が挙げられる。さらにこれらを組み合わせることにより、ICカードやICタグを作製することが出来る
さらに、本発明の電子素子に使用される有機半導体は、ガスや化学物質、温度等の外部の刺激により、特性が大きく変化するので、それらのセンサーへの応用も考えられる。例えば本発明の電子素子の特性が、気体や液体との接触により変化する量を測定することにより、定性的あるいは定量的にそれに含まれている化学物質を検出することが可能である。
実施例1
ガラス基板上にゲート電極−絶縁膜を積層し、下記化合物(式10)をスピンコート法により塗布し、有機導電体の前駆体層を形成する。
その後、405nmのレーザーを上記前駆体層に集光して、走査し、50μm×50μmのパターンを10μmの間隔を空けて並べて露光し、有機導電体の前駆体化合物を加熱してテトラベンゾポルフィリン化合物に変換する。
その後、クロロホルムに浸漬して未露光部分を洗い流して、ソース及びドレイン電極のパターンを形成する。
その上にさらに有機半導体化合物の層を蒸着法あるいは印刷法で形成する。
ゲート電極に電圧を印加すると、ソース、ドレイン電極間の電流電圧特性を制御できる電界効果トランジスタを作製できる。
Figure 0004977968
参考例1
下記構造化合物(式11)の1wt%濃度クロロホルム溶液を調整した。この溶液をガラス基板上に金で作製した4端子電極上にスピンコートして膜厚200nmのフィルムを作製した。
Figure 0004977968
4端子電極間をHORIUCHI INTELLIGENCE TECHNOLOGY社製、CO2 LASER MARKER、LSS−S050VAH(強度:3.3W/c
2,速度:3mm/s)を用いてレーザー加熱を行い、上記の前駆体化合物(式11)
が脱エチレン反応を伴い下記構造化合物となった(式12)。
Figure 0004977968
レーザー加熱変換したフィルムの電気伝導度をアジレントテクノロジー社製半導体パラメータアナライザー4155Cで測定した結果、10-6S/cmとなり、この値から電極として充分の性能を有していることが確認できた。
実施例3
(式11)で表される化合物1wt%濃度クロロホルム溶液30mLとアルバック社製の銀(Ag)微粒子(商品名:AG1T)の30wt%濃度トルエン溶液1mLとを、混ぜ合わせた混合液を調整した。
この混合液を300nmの酸化膜を形成したN型のシリコン基板(Sbドープ、抵抗率0.02Ωcm以下、住友金属工業社製)上にスピンコートし、膜厚200nmのフィルムを作製した。
このフィルムに対し、HORIUCHI INTELLIGENCE TECHNOLOGY社製、CO2 LASER MARKER、LSS−S050VAH(強度:3.
3W/cm2,速度:3mm/s)を用いて、線幅100μm、長さ500μmの直線を
50μm間隔で2本できるようにレーザー加熱パターニングを行った。このとき、レーザー加熱によって上記の前駆体化合物が脱エチレン反応を伴い上記構造化合物となった。
その後、クロロホルムに浸漬してレーザー未露光部分を洗い流すと、上記で作製した2本のレーザーパターンがソース及びドレイン電極となった。このソース及びドレイン電極の電気伝導度は、4端子電極を作製したガラス基板上に同様のプロセスでフイルム作製とレーザーパターニングしたものの電気伝導度測定の結果、10-2S/cmとなり、この値から電極として充分の性能を有していることが確認できた。
このレーザーでソース・ドレイン電極を作製したシリコン基板上にさらに有機半導体化合物である(式11)で表される化合物の0.7wt%濃度クロロホルム溶液をスピンコートして、膜厚100nmの半導体層を形成、さらにホットプレート上で210℃で5分間加熱して上記の熱変換を行って電界効果トランジスタを作製した。
こうして得られた電界効果トランジスタの特性を、アジレントテクノロジー社製半導体パラメータアナライザー4155Cを用いて測定した。ソースとドレイン間に印加された電圧Vdに対して流れる電流をId、ソースとゲートに印加される電圧をVg、閾値電圧を
t、絶縁膜の単位面積当たりの静電容量をCi、ソース電極とドレイン電極の間隔をL
、幅をW、半導体層の移動度をμとすると、その動作は、次のように表すことができる。
Figure 0004977968
μは素子の電流電圧特性から求めることができる。μを求めるには式(1)或いは(2)を用いるが、(2)式の飽和電流部分のId 1/2−Vgの傾きから求める方法を採用した
。このプロットのId=0との切片からスレシホールド電圧Vt、Vd=−30V印加時の
g=30Vと−50VのIdの比をオンオフ比とした。
このようにして得られた移動度は、0.05cm2/Vs、Vtは−5V、オンオフ比は1.9×105であった。
参考例2
実施例3において有機半導体化合物にポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル),Regioregular : Aldrich社製、Mw=87000(GPC法)を用いた以外は、実施例3と同様にして電界効果トランジスタを作製した。半導体層の作製条件はポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)を0.5wt%濃度クロロホルム溶液を調整して、ソース・ドレイン電極間にキャストコーティングして膜厚500nmであった。
こうして得られた電界効果トランジスタの特性を、アジレントテクノロジー社製半導体パラメータアナライザー4155Cを用いて測定した。移動度は、0.01cm2/Vs
、Vtは17V、オンオフ比は3.9×103であった。
電界効果トランジスタの断面構造例を示す模式図である。 ダイオード素子の断面構造例を示す模式図である。 電界効果トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 実施例3で得られた半導体特性を示す図である。 参考例2で得られた半導体特性を示す図である。
符号の説明
1 半導体層
2 絶縁体層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
6 基板
7 他の種類の半導体層
8 前駆体層
9 レーザー
10 配線
11 保護層

Claims (5)

  1. 基板上にポルフィリン化合物の前駆体の層を形成し、該層をパターン状に部分加熱して、該前駆体の該加熱部分を有機半導体または有機導電体とした後、非加熱部分を除去することにより、パターニングされた電極を形成し、該パターニングされた電極と接触するようにポルフィリン化合物を含む有機半導体層を形成することを特徴とする電子素子の製造方法。
  2. 前記有機半導体層が前記パターニングされた電極に用いる材料と同一の材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子素子の製造方法。
  3. 前記加熱がレーザーによるものである請求項1又は2に記載の電子素子の製造方法。
  4. 前記ポルフィリン化合物の前駆体の層がドーピングされた層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子素子の製造方法。
  5. 前記電子素子が電界効果トランジスタの素子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子素子の製造方法。
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