JP2005322895A - 有機電子デバイスの製造方法及び有機電子デバイス - Google Patents

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Shinji Aramaki
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Abstract

【課題】 本発明は、ポルフィリン骨格を有する有機半導体を用いた有機電子デバイスにおいて、用いられる支持基板の耐熱温度が低い場合においても、有機半導体の前駆体を有機半導体へ変換し、良好な特性の有機電子デバイスを提供すること、及びその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、ポリマーを含有する支持基板上に有機半導体の前駆体からなる薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜を加熱する加熱工程とを含む有機電子デバイスの製造方法であって、上記有機半導体の前駆体としてビシクロポルフィリン類を用い、上記加熱工程における前駆体薄膜の加熱を所定の条件下で行うことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法を提供することにより上記目的を達成するものである。
【選択図】 無し

Description

本発明は、有機半導体を用いた電子デバイスの製造方法、及びそれにより製造された有機電子デバイスに関する。
有機半導体材料を用いた有機電子デバイスは、低温プロセスで製造できるため、プラスチック基板やフィルムを用いることができ、軽量で壊れにくい素子を作製することができる。また、溶液の塗布や印刷法を用いた素子作製が可能なものもあり、大面積の素子を低コストで製造することが可能である。
低溶解性の有機半導体膜を塗布で作製する方法の一つに、絶縁膜付支持基板上に可溶性の前駆体の膜を塗布で作製した後に最終的な半導体に変換する方法が知られており、特定のポルフィリン骨格を有する化合物の例(特許文献1)が報告されている。しかしながら、前駆体の塗布膜を半導体に変換するためには、200℃程度の加熱が必要であるため、この加熱温度に耐える絶縁膜や樹脂基板材料はポリイミド等の特殊なものに限られてしまう。
一方、従来の無機半導体であるシリコンに、耐熱性の低いPET基板を組み合わせて素子に用いる例が非特許文献1に報告されている。支持基板の収縮率、線膨張係数が一定値以下でなければならないこと、及び、支持基板をあらかじめ加熱処理することにより、収縮率を下げることができることが報告されている。
特開2004−6750号公報 Nigel D. Young, et al., Mat. Res. Soc. Symp. Proc., Vol.769,pp.17-28 (2003)
本発明は、ポルフィリン骨格を有する有機半導体を用いた有機電子デバイスにおいて、用いられる支持基板の耐熱温度が低い場合においても、有機半導体の前駆体を有機半導体へ変換し、良好な特性の有機電子デバイスを提供すること、及びその製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、有機半導体の前駆体からなる薄膜を形成した後、加熱によりポリマー絶縁膜や支持基板等の周辺部へのダメージを伴うことなく良好な有機半導体膜を形成できることを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明においては、ポリマーを含有する支持基板上に有機半導体の前駆体からなる薄膜を形成する薄膜形成工程と、上記薄膜を加熱する加熱工程とを含む有機電子デバイスの製造方法であって、
上記有機半導体の前駆体が、下記一般式:
Figure 2005322895
(式中、R〜R、Q〜Qは、それぞれ独立して1価の有機基を示し、(Q,Q)、(Q,Q)、(Q,Q)、及び(Q,Q)のうちの少なくとも1つの組が一体となって下記一般式:
Figure 2005322895
で表される基を形成し、Mは、2個の水素原子、又は金属原子を示し、上記金属原子は、他の原子若しくは原子団が結合していても良い。)で表されるポルフィリン骨格を有する化合物であり、
上記加熱工程における上記薄膜の加熱を、下記式(1)及び(2)に示す条件下で行うことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法を提供する。
Figure 2005322895
本発明は、支持基板上に有機半導体の前駆体からなる薄膜を形成した後、この薄膜を加熱する工程を含むものであり、この加熱工程を上記式(1)及び(2)を満たす条件下で行うことにより、支持基板の耐熱性が低い場合においても、前駆体から半導体への変換を可能とし、同時に、良好な特性の有機電子デバイスを得ることができるという利点を有するものである。
上記式(1)は、支持基板の加熱による寸法変化がある程度以下でなければならないことを示している。フィルム上に有機トランジスタを形成する場合、例えば数十cmの寸法でパターニングする際に、数十μm以内での位置あわせが必要で、加熱処理による支持基板の寸法変化は200ppm以内、より好ましくは100ppm以内であることが要求される。一方、上記式(2)は、加熱時間が、加熱温度によって定まるある時間以上でなければならないことを示している。
本発明においては、これらの加熱条件を満たすことが必要である。なお、本発明に用いられる有機半導体の前駆体は、上記式(2)を満たす加熱時間及び加熱温度で半導体に変換可能であることが確認されている。
また、本発明は、上記製造方法により製造された有機電子デバイスを提供する。本発明の有機電子デバイスは、有機半導体材料で作製されるため、軽量で柔軟性に富んでおり、壊れにくいといった性質を有する。
本発明によれば、有機電子デバイスに有機半導体材料を用いるため、比較的低温のプロセスで製造できるので支持基板にプラスチックフィルムが使用でき、軽量で柔軟性に優れた壊れにくいデバイスを作製できる利点がある。したがって、薄くて可撓性のある電界効果トランジスタが製造できるので、これを各セルのスイッチング素子に利用することで、可撓性のあるアクティブマトリクス液晶ディスプレーが作製できるなど、広く応用できる。
また、本発明に係るポルフィリン骨格を有する化合物を用いた有機電子デバイスは、高いキャリア移動度と安定性とを有しており、容易な作製プロセスで製造することができる。また、本発明に係る電界効果トランジスタは、漏れ電流(リーク電流)が小さくオンオフ比が大きく、膜及び特性の安定性が高く寿命が長いという利点がある。更には、使用可能温度幅が広く、成膜性が良く、大面積適用性があり、低コストで製造できる利点もある。
以下、本発明の実施の形態を代表例を示して詳細に説明する。本発明には、有機電子デバイスの製造方法、及びそれにより製造される有機電子デバイスが含まれる。以下、それぞれについて説明する。
A.有機電子デバイスの製造方法
本発明の有機電子デバイスの製造方法は、ポリマーを含有する支持基板上に有機半導体の前駆体からなる薄膜(以下、「前駆体薄膜」と称する場合がある。)を形成する薄膜形成工程と、上記薄膜を加熱する加熱工程とを含む有機電子デバイスの製造方法であって、
上記有機半導体の前駆体が、下記一般式:
Figure 2005322895
(式中、R〜R、Q〜Qは、それぞれ独立して1価の有機基を示し、(Q,Q)、(Q,Q)、(Q,Q)、及び(Q,Q)のうちの少なくとも1つの組が一体となって下記一般式:
Figure 2005322895
で表される基を形成し、Mは、2個の水素原子、又は金属原子を示し、上記金属原子は、他の原子若しくは原子団が結合していても良い。)で表されるポルフィリン骨格を有する化合物であり、
上記加熱工程における上記前駆体薄膜の加熱を、下記式(1)及び(2)に示す条件下で行うことを特徴とする。
Figure 2005322895
本発明においては、上記式(1)及び(2)に示す条件を満たす温度及び時間で前駆体薄膜を加熱することにより、有機半導体薄膜を形成するものであり、塗布による前駆体薄膜の形成が可能となり、低コスト、かつ簡便な方法により有機半導体薄膜を含む有機電子デバイスを製造することができる。
以下、本発明の有機電子デバイスの製造方法について説明する。本発明の製造方法には、薄膜形成工程と加熱工程とが含まれる。以下、各工程について説明する。
1.薄膜形成工程
薄膜形成工程においては、ポリマーを含有する支持基板上に有機半導体の前駆体薄膜が形成される。本工程に用いられる薄膜形成方法は、前駆体薄膜を容易に剥離することなく支持基板上に形成することができるものであれば特に限定されるものではない。しかしながら、有機物のメリットを利用し、大容量の積層体を製造する場合にも低コスト、かつ簡便な方法により前駆体薄膜を形成できることから、有機半導体の前駆体を溶媒に溶解する等して液状とし、これを塗布して固化させる塗布プロセスを用いることが好ましい。
本発明においては、後述する加熱工程において、加熱時間、加熱温度を最適化することにより、支持基板に対して過剰な熱を加えることなく、前駆体薄膜を有機半導体膜に変換するものであることから、薄膜形成工程においても、支持基板に過剰な熱を加えることなく成膜できる成膜方法を用いることにより、耐熱性の比較的低い基板であっても各種電子デバイスの支持基板として用いることが可能となる点で好ましい。
このような塗布プロセスにおいて用いられる塗工液としては、特に限定されるものではないが、通常は有機半導体の前駆体を溶媒に溶解した溶液を用いる。また、塗布方法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、更にはこれらの手法を複数組み合わせた方法を用いることができる。
また、塗布プロセスに類似の方法として、水面上に形成した単分子膜を支持基板に移し積層するラングミュアブロジェット法、液晶や融液状態の有機半導体の前駆体を、2枚の支持基板で挟んだ狭い間隙に毛管現象で導入する方法等も挙げることができる。
上述したように、本工程においては、この有機半導体の前駆体を溶媒に溶解し、塗布し固化することにより前駆体薄膜を形成する塗布プロセスによる方法が好ましいのであるが、この際用いられる溶媒としては、有機半導体の前駆体を溶解もしくは分散し得るものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、低級エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ピリジン、キノリン等の含窒素芳香族、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等を用いることができる。
形成される前駆体薄膜の厚みは、用途により大幅に異なるものではあるが、下限が通常5nm以上、好ましくは10nm以上、上限が通常10μm以下、好ましくは1μm以下とされる。
(有機半導体)
本工程に用いられる有機半導体の前駆体は、下記一般式:
Figure 2005322895
(式中、R〜R、Q〜Qは、それぞれ独立して1価の有機基を示し、(Q,Q)、(Q,Q)、(Q,Q)、及び(Q,Q)のうちの少なくとも1つの組が一体となって下記一般式:
Figure 2005322895
で表される基を形成し、Mは、2個の水素原子、又は金属原子を示し、上記金属原子は、他の原子若しくは原子団が結合していても良い。)で表されるポルフィリン骨格を有する化合物である。
上記Q〜Qの1価の有機基としては、特に限定されないが、具体的には、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアナト基;イソシアナト基;チオシアナト基;イソチオシアナト基;メルカプト基;ヒドロキシ基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;置換されていても良いアルキル基;置換されていても良いシクロアルキル基;置換されていても良いアルケニル基;置換されていても良いシクロアルケニル基;置換されていても良いアリール基;置換されていても良い複素環基;置換されていても良いアルコキシ基;置換されていても良いアルケニルオキシ基;置換されていても良いアリールオキシ基;置換されていても良いアルキルチオ基;−COQで表されるアシル基;−OCOQで表されるアシルオキシ基;−NQ1011で表されるアミノ基;−COOQで表されるカルボン酸エステル基;−CONQ1213で表されるカルバモイル基;−SOQで表されるスルフィニル基;−SOで表されるスルホニル基;−SOで表されるスルホン酸エステル基;−SONQ1213で表されるスルファモイル基が挙げられる。このうち、置換されていても良いアルキル基;置換されていても良いシクロアルキル基;置換されていても良いアルケニル基;置換されていても良いシクロアルケニル基;置換されていても良いアリール基;置換されていても良い複素環基;置換されていても良いアルコキシ基;置換されていても良いアルケニルオキシ基;置換されていても良いアリールオキシ基;置換されていても良いアルキルチオ基;−COQで表されるアシル基;−OCOQで表されるアシルオキシ基;−NQ1011で表されるアミノ基;−COOQで表されるカルボン酸エステル基;−CONQ1213で表されるカルバモイル基;−SOQで表されるスルフィニル基;−SOで表されるスルホニル基;−SOスルホン酸エステル基;−SONQ1213で表されるスルファモイル基としては、炭素数18以下、好ましくは12以下ものが挙げられる。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−へプチル基等の直鎖、又は分岐のアルキル基が挙げられる。
上記シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の環状アルキル基が挙げられる。
上記アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐のアルケニル基が挙げられる。
上記シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基が挙げられる。
上記アリール基としては、フェニル基又はナフチル基が挙げられる。
上記複素環基としては、2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等の異項原子を1〜3個有する複素環基が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の直鎖または分岐のアルコキシ基が挙げられる。
上記アルケニルオキシ基としてはプロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等の直鎖または分岐のアルケニルオキシ基が挙げられる。
上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基又はナフチルオキシ基が挙げられる。
上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の直鎖または分岐のアルキルチオ基が挙げられる。
上記アシル基、アシルオキシ基、カルボン酸エステル基、スルフィニル基、スルホニル基及びスルホン酸エステル基におけるQとしては、置換されていても良い炭化水素基又は置換されていても良い複素環基が挙げられる。
上記アミノ基におけるQ10及びQ11としては、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、炭化水素基、複素環基、−COQで表されるアシル基、−COOQで表されるカルボン酸エステル基又は−SOで表されるスルホニル基が挙げられる。
上記カルバモイル基又はスルファモイル基における、Q12及びQ13としては、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基又は複素環基が挙げられる。
上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基及び炭化水素基は、酸化反応において悪影響を与えない範囲で任意に置換されていても良く、その具体例としては、上述したQ〜Qの具体例として記述したような基が挙げられる。
また、(Q,Q)、(Q,Q)、(Q,Q)、及び(Q,Q)は、それぞれが互いに一体となって、プロピレン基、ブチレン基等となり、それぞれがピロール環と縮合環を形成する脂肪族炭化水素基となっていても良く、又は形成された縮合環がベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭素環となっていても良く、更にヘテロ原子により置換されてピロール環、ピリジン環等の複素環基を形成していても良い。これらのうちでも、脂肪族炭素環であることが好ましい。
ただし、上記(Q,Q)、(Q,Q)、(Q,Q)、及び(Q,Q)のうちの少なくとも1つの組は一体となって下記一般式:
Figure 2005322895
で表される基を形成していることを要し、2つ以上の組が上記一般式(II)で表される基を形成していることが好ましく、4つの組すべてが上記一般式(II)で表される基を形成していることがより好ましい。上記式(II)で表される基を有していることにより、上記有機半導体の前駆体が平面構造とならず、溶媒への溶解性が高く、また結晶化もしにくいため、溶液から塗布することによりアモルファスまたはアモルファスに近い良好な前駆体薄膜を与えることができるからである。このようにして形成された前駆体薄膜は、後述する加熱工程において、脱エチレン反応をすることにより、容易に平面性の高いベンゾポルフィリン類からなる有機半導体膜に変換することができる。
また、R〜Rとしては上記Q〜Qの1価の有機基が挙げられるが、それらが環を形成することは無い。R〜Rとしては、水素原子、ハロゲン原子が好ましい。
上記Mは、2個の水素原子、又は金属原子を示すものであるが、上記金属原子Mとしては、ポルフィリン系化合物と結合できるものであれば特に限定されるものではない。このうち好ましくは2価又は3価の価数をもつ金属である。2価の金属としては、例えば、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の周期律表(IUPAC無機化学命名法1990年規則)の8族、9族、10族、11族又は12族より選ばれる金属が挙げられる。また、上記金属原子が3価以上の場合には、ハロゲン原子、酸素原子等の他の原子、又はアルキル基、アルコキシ基等の原子団が結合していても良く、例えば、Fe−X、Al−X、Ti=O、Si−X(ここで、X、X、及びXは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等の1価の基を示す。)等が挙げられる。
(支持基板)
次に、本工程に用いられる支持基板について説明する。
本工程に用いられる支持基板はポリマーを含有することを特徴としており、上記ポリマーの含有量は、支持基板中、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上である。
上記支持基板の材料としては、ポリマーを含み、該支持基板上に形成される前駆体薄膜が剥離することなく保持できるものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、樹脂からなる板やフィルム、樹脂と無機材料など各種組合せからなる複合材等が挙げられる。これらの中でも、樹脂材料を用いると、素子に可撓性を持たせることができ、得られる積層体が軽量で柔軟なものとなることから特に好ましい材料であるといえる。
樹脂材料は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、樹脂材料のほか、SiOやCaCOの微粒子等の充填剤を含有させることもできる。充填剤の配合量は、支持基板中に3重量%以上が好ましく、より好ましく5%以上である。一方、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
本工程においては、支持基板の耐熱性の指標としてガラス転移温度Tgを用いることができる。後述する加熱工程において、所定の加熱温度、時間の加熱処理を行うことにより、前駆体を有機半導体にするものである。したがって、通常は耐熱性の高い、即ちTgの高い材料で形成された支持基板とすることが好ましいのであるが、後述する式(1)及び(2)の条件を満たすものであれば、Tgが高くない材料を用いることができ、コストや他の特性とのバランスを取ることができる。
Tgは70℃以上の支持基板が好ましく用いることができる。前記非特許文献1には、ポリエチレンテレフタレート(Tg=78℃)、ポリエチレンナフタレート(Tg=120℃)は150℃で10ppm/時が達成できることが示されており、200ppm以下の寸法変化には20時間の処理が可能であるので、当発明のポリマー支持基板として用いることができる。Tgがこの程度の樹脂は価格が低いので好ましい。Tgは、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。Tgが高い樹脂はコストが高いが、耐熱性が高いので、加熱処理温度を高くすることができ、加熱処理時間を短くすることができるので、生産性向上のためには好ましい。
Tgが140℃以上の樹脂としては、ポリカーボネート(Tg=150℃)、ポリスルホン(Tg=190℃)等が、Tgが200℃以上の樹脂としては、ポリエーテルスルホン(Tg=225℃)、ポリイミド(Tg=303℃)、ポリノルボルネン(Tg不明)、ポリアリレート(Tg=325℃)等が挙げられる。
また、本工程においては、後述する式(1)及び(2)の条件を満たすことにより、Tgが比較的低く、耐熱性の高くない、ナイロン(Tg=50℃)、ポリスチレン(Tg=100℃)、ポリ塩化ビニル(Tg=80℃)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂を用いることもできる。
支持基板の厚みは、用途に応じて適宜決定されるものであり、下限が通常5μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、上限が通常1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは150μm以下である。支持基板の厚みが5μm以下であると、プロセス上のハンドリングが困難になる場合がある。また、1mm以上では、製品化したときの厚み、重量共に大きくなるので好ましくない。
支持基板は、加熱による前処理を行ったものが好ましい。加熱による前処理で、後述する加熱工程における支持基板の寸法変化率の低減が可能となるからである。この前処理としては、デバイス作製時の加熱処理温度、又はそれより高い温度で寸法変化率が十分に小さくなるまで加熱することが望ましい。加熱による前処理は、支持基板をオーブンに入れたり、インラインで行うことが可能である。
さらに、加熱後の上記支持基板の表面粗さRaは、0.1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以下、さらに好ましくは0.01μm以下である。電気伝導を担うキャリア(ホール、電子)は半導体と絶縁体の界面に近い所を移動するので、界面に凹凸があると、移動度を下げる要因となり好ましくないからである。
一方、表面粗さRaは、好ましくは0.0005μm以上、より好ましくは0.001μm以上、さらに好ましくは0.003μm以上である。ロール等で搬送する場合には、密着しないように多少表面を粗くする必要があるからである。ただし、顕著なカールやしわ等により機械的強度が低下しないものであることが好ましい。
また、上記支持基板の線膨張係数は、200ppm/K以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm/K以下、さらに好ましくは50ppm/K以下である。線膨張係数は、一般的には小さければ小さいほど好ましいものであるが、他の材料とのバランスが必要であり、他の材料と同程度であることが最も好ましい。前記非特許文献1には、アクティブマトリクス層が2ppm/Kとあることから、支持基板の線膨張係数もこれに近い値であることが好ましい。
2.加熱工程
加熱工程においては、上記薄膜形成工程において形成された前駆体薄膜を加熱する。本発明においては、この加熱工程における前駆体薄膜の加熱を、下記式(1)及び(2)に示す条件下で行うことを特徴とする。
Figure 2005322895
上記式(1)において、温度Tにおける寸法変化率xは次のように定義される。まず、23℃での前駆体薄膜の寸法を測定しておき、温度Tにおいて時間tだけ保持した後、再び23℃で寸法を測定する。この際の寸法変化の1分あたりの割合が、上記寸法変化率xである。
上記寸法変化率xは、好ましくは200ppm/分以下、より好ましくは100ppm/分以下、さらに好ましくは50ppm/分以下である。200ppm/分より大きいと、パターニング時の位置あわせが困難である。
また、Tでの加熱時間tの総和Σtは、通常1440分以下であり、好ましくは800分以下、さらに好ましくは600分以下、より好ましくは5分以下である。この時間が長すぎると実用上問題がある。
また、加熱温度Tは、通常873K以下、より好ましくは573K以下、さらに好ましくは423K以下である。この温度が高すぎると、加熱する際に有機半導体の昇華が起こるため好ましくない。また、加熱温度Tiは373K以上が好ましい。この温度が低すぎると、前駆体の安定性に問題がある。
上記寸法変化率xは、材料の構造の他、フィルム製造プロセス(延伸、アニーリング)にも依存する。寸法変化率xを小さくするには、処理温度またはそれよりも高い温度で加熱処理をして十分に寸法変化させることで達成することができる。
また、本発明の加熱工程においては、上記式(2)で示す条件を満たすことが必要である。
加熱温度Tにおいて上記式(2)で与えられる時間t加熱した場合に、上記式(2)で得られる係数αの和が1を超えることができれば、十分に有機半導体の前駆体から半導体への反応が進行する。
この反応は、上記前駆体に存在する上記式(II)で表される基からエチレン又はエチレン誘導体が脱離するものであり、上記式(II)で表される基を有するものであれば、若干の差はあるにしても同様の条件を当てはめることができると推定される。
本工程において形成される有機半導体薄膜の厚みは、用途により大幅に異なるものではあるが、通常下限が5nm以上、好ましくは10nm以上、上限が通常10μm以下、好ましくは1μm以下とされる。
3.その他
本発明の有機電子デバイスの製造方法は、有機半導体薄膜を形成する際に上述した薄膜形成工程と加熱工程とを行うものであれば、特に限定されるものではなく、その他、必要に応じて他の工程を行ってもよい。
B.有機電子デバイス
次に、本発明の有機電子デバイスについて説明する。
本発明の有機電子デバイスは、上記有機半導体薄膜を上記「A.有機電子デバイスの製造方法」に記載した方法により製造されたことを特徴とする。ここでいう有機電子デバイスとは、有機半導体薄膜を用いて作製できるデバイスであり、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を電気、磁気、光、又は化学物質等により制御するデバイスである。例えば、電圧や電流の印加により電流や電圧を制御する素子、磁場の印加による電圧や電流を制御する素子、化学物質を作用させて電圧や電流を制御する素子が挙げられる。この制御としては、整流、スイッチング、増幅、発振、光導電性、光起電力等が挙げられる。
現在シリコン等で実現されている対応するデバイスとしては、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、化学センサー、フォトダイオード、フォトトランジスター、太陽電池等、又はこれらの素子の組み合わせや集積化したデバイスが挙げられる。電子デバイスのより具体的な例は、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition (Wiley−Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
本発明の有機電子デバイスは、有機物を利用したものであるので、軽量で壊れにくく、また、材料のバリエーションが豊富であるので、異なる機能の組み合わせを可能にすることができるという利点を有する。
以下、本発明の有機電子デバイスについて、電界効果トランジスタの例を挙げて説明する。電界効果トランジスタは、2つの電極(ソース、ドレイン)間の電気伝導度をゲート電極に印加する電圧で制御するものである。
図1は、電界効果トランジスタ(FET)の構造例を示したものである。図1A〜Dに各種示すように、電界効果トランジスタは、有機半導体薄膜1にソース電極3とドレイン電極4を設け、絶縁体層2を介してゲート電極5を設けた構造を有する。これらの積層体は支持基板6上に形成される。なお、この例はボトムゲート型の素子であるが、他のタイプも同様に作製することができる。
以下、電界効果トランジスタの各構成材料について説明する。なお、有機半導体薄膜については、上記「A.有機電子デバイスの製造方法」において説明したとおりであるので、ここでの記載は省略する。
(電極)
電界効果トランジスタは、ゲート、ソース、ドレインの三つの電極を有し、有機半導体薄膜上にソース電極及びゲート電極が設けられ、絶縁体層を介して、ゲート電極が設けられている。このゲート電極に信号を加えると、ソース電極とドレイン電極間の電流の通路(チャネル)の幅が変わり、それによりドレイン電極への出力電流が変調されるという仕組みを有する。
本発明において、ソース電極及びドレイン電極の間隔は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。一方、500μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。また、ゲート電極は、素子間の接続のためにパターニングされている。
これらの電極を形成するための電極材料としては、白金、金、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属の他、酸化インジウムや酸化錫、又はその合金(ITO)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子およびそれに塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF、AsF、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムカリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの、金属粒子やカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブを分散した導電性の複合材料等の、導電性を有する材料が用いられる。また、半導体として用いられる自身の膜にドーピングして導電性を高めたものも用いることができる。
(絶縁体層)
本発明に用いられる絶縁体層の厚みは、下限が10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。一方、上限が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
絶縁体層に用いられる材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリベンゾキサゾール、シルセスキオキサン、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂及びこれらを組み合わせた共重合体、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、窒化珪素等の窒化膜、SrTiO、BaTiO等の強誘電性酸化物膜、又は上記酸化物や窒化物、強誘電性酸化物等の粒子を分散させた樹脂膜等が挙げられる。一般に絶縁体層の静電容量が大きくなるほどゲート電圧を低電圧で駆動できることになるので、有利になる。これには、誘電率の大きな絶縁材料を用いるか、絶縁体層の厚さを薄くすることにより対応する。絶縁体層は、塗布(スピンコーティングやブレードコーティング)、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷やインクジェット等の印刷法、アルミニウム上のアルマイトの様に金属上に酸化膜を形成する方法等、材料特性に合わせた方法で作製することができる。
(保護膜)
本発明の有機電子デバイスは、外気の影響を最小限にするために、保護膜を形成することができる。これには、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール等の樹脂膜、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化膜や窒化膜等が挙げられる。樹脂膜は、溶液を塗布乾燥する方法、モノマーを塗布あるいは蒸着して重合する方法が挙げられ、更に架橋処理や多層膜を形成することも可能である。無機物の膜の形成には、スパッタ法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法に代表される溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
(その他)
本発明の有機電子デバイスは、上記支持基板又は絶縁体層の表面処理により特性を向上させることができる。これは支持基板の親水性/疎水性を調整して、製膜の際に得られる膜質を向上させること、特に支持基板又は絶縁体層と有機半導体膜の界面部分の特性を改良することがその原因と推定される。このような表面処理としては、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等の疎水化処理、塩酸や硫酸、酢酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ処理、オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴン等のプラズマ処理、ラングミュアブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理が挙げられる。
(有機電子デバイス)
このような本発明の有機電子デバイスは、ディスプレーのアクティブマトリクスのスイッチング素子として利用することができる。これは、ゲートに印加される電圧でソースとドレイン間の電流をスイッチングできることを利用して、ある表示素子に電圧を印加又は電流を供給する時のみスイッチを入れ、その他の時間は回路を切断することにより、高速、高コントラストな表示を行うものである。
適用される表示素子としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
特に、本発明の有機電子デバイスは、低温プロセスでの素子作製が可能であり、プラスチック基板、プラスチックフィルム等の、高温処理に耐えない支持基板を用いることができる。また、塗布あるいは印刷プロセスでの素子作製が可能であることから、大面積のディスプレーへの応用に適している。また、従来のアクティブマトリクスの代替としても、省エネルギープロセス、低コストプロセスの可能な素子として有利である。
また、トランジスタを集積することにより、デジタル素子やアナログ素子が実現できる。これらの例としては、AND、OR、NAND、NOT等の論理回路、メモリー素子、発振素子、増幅素子等が挙げられる。更にこれらを組み合わせることにより、ICカードやICタグを作製することができる。
有機半導体は、ガスや化学物質、温度等の外部の刺激により特性が大きく変化するので、それらのセンサーへの応用も考えられる。例えば、本発明の有機電子デバイスの特性が、気体や液体との接触により変化する量を測定することにより、定性的あるいは定量的にそれに含まれている化学物質を検出することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(PET支持基板の熱処理)
2.5×2.5cmのPETフィルムを100℃、5分間ヒートプレスした支持基板を作成した。
(ゲート電極の作製)
支持基板上を幅1.2mmのシャドーマスクで覆い、ウルバック社製真空蒸着機EX−400(真空度:10−6Torr)を用いて、アルミニウムを1000Åの厚さで蒸着を行い、ゲート電極を作製した。
(絶縁膜の作製)
上記でゲート電極を作製したPET支持基板上にポリビニルフェノール(PVP)を用いて、スピンコート法により薄膜を作製し、絶縁層とした。その成膜条件は以下の通りである。
ポリビニルフェノール(PVP)と架橋剤としてポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)メタクリレート(Aldrich社製、混合比4:1)を5wt%濃度でテトロヒドロフラン(THF)に溶解させ、0.45μmのフィルターでろ過を行った。このPVP溶液を10×10cmのPETフィルム上に5mL展開し、3000ppm、120secの間スピンコートを行った。その後、120℃にて熱処理を3分間行い、PVP熱架橋膜を作製した。膜厚計(Alpha−Step500:Tencor社製)でPVP層の膜厚を測定した結果、3000Åであることが判明した。
(トランジスタ素子作製)
下記化学式に示す0.7wt%濃度のビシクロポルフィリンクロロホルム溶液を調整し、PVPを絶縁層として使用したPET基板に対してスピンコート(1000rpm、60sec)を行い、膜厚1000Åのビシクロポルフィリンフィルムを作成した。このビシクロポルフィリンフィルムを160℃で2時間保温し(式(2)を満たす)、ベンゾポルフィリン半導体層を作成した。PETの熱寸法変化率は150℃で10ppm/時間であることが非特許文献1に示されており、160℃、2時間の加熱条件でも式(1)を満たすと推定される。この半導体層上にチャネル(L:1000μm、W:50μm)のシャドーマスクを用いて金を1000Åの厚さで蒸着してソース・ドレイン電極を作成し、有機トランジスタとした。
Figure 2005322895
(Agilent4155によるトランジスタ特性評価)
上記において作製されたトランジスタ素子をAgilent社製の半導体パラメーターアナライザー4155で測定し、電圧−電流曲線を求めて、そのトランジスタ特性を評価した。
トランジスタ特性の評価の結果、トランジスタとしての機能を有していることが確認された。その時の移動度は1.1×10−2cm/Vsであった。
[実施例2]
実施例1で用いたビシクロ化合物の0.7wt%クロロホルム溶液をPET基板上(線膨張係数40ppm/K、非特許文献1より)にスピンコートで塗布し、良好な100nmの厚さの膜を得た。これを150℃(423K)、550分加熱(式(2)を満たす)したところ、膜の色が緑色に変化し、その吸収スペクトルから、上記前駆体から有機半導体への変換が起こっていることがわかった。加熱後のPETの表面粗さRaは0.1μm以下であり、顕著なカール、しわ、機械強度の劣化もなく、また、有機半導体膜に顕著なクラックもなかった。また、PETの熱寸法変化率は150℃で10ppm/時間であることが、非特許文献1に示されていることから、この加熱条件は式(1)も満たす。
また、前加熱により収縮率を低減したPET基板上にゲート電極、絶縁膜を、有機半導体の前駆体膜を設け、上記条件で加熱後、ソース、ドレイン電極を形成すれば、電界効果トランジスタとして作動することが予想される。
[実施例3]
実施例1で用いた0.7wt%濃度のビシクロポルフィリンクロロホルム溶液を、絶縁層としてPVPを使用したPET基板のPVP絶縁膜上にスピンコート(1000rpm、60sec)を行い、膜厚1000Åのビシクロポルフィリンフィルムを作成した。このビシクロポルフィリンフィルムを150℃で4時間40分保温し(式(2)を満たす)、ベンゾポルフィリン半導体層を作成した。PETの熱寸法変化率は150℃で10ppm/時間であることが非特許文献1に示されており、4時間40分の加熱条件でも式(1)を完全に満たす。この半導体層上にチャネル(L:1000μm、W:50μm)のシャドーマスクを用いて金を1000Åの厚さで蒸着してソース・ドレイン電極を作成し、有機トランジスタとした。
このトランジスタ素子をAgilent社製の半導体パラメーターアナライザー4155で測定し、電圧−電流曲線を求めて、そのトランジスタ特性を評価した。
トランジスタ特性の評価の結果、トランジスタとしての機能を有していることが確認された。その時の移動度は1.6×10−2cm/Vsであった。
(参考例)
基板にシリコン基板を使用し、式(2)の有効性を検討する為に、加熱条件を変化させFET特性を調べた。
300nmの酸化膜を形成したN型のシリコン基板、フォトリソグラフィーで長さ(L)10μm、幅(W)500μmのギャップを有する金電極(ソース、ドレイン電極)を形成した。また、この電極と異なる位置の酸化膜をフッ酸/フッ化アンムニウム液でエッチングし、むき出しになったSi部分に金を蒸着し、これをシリコン基板(ゲート電極)に電圧を印加するための電極とした。この基板上に、実施例1で用いたビシクロ化合物の0.7wt%クロロホルムに溶液をスピンコートすることにより良好な100nmの厚さの膜を得た。この膜を下記条件にて加熱し、実施例1と同様にFET特性を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2005322895
ここで、表中FET特性が○とは、トランジスタとして機能することを示し、×とは、トランジスタとして機能しないことを示すものである。
上記表1から分かるように、式(2)を満たすものは、FET特性が良好であり、トランジスタとしての機能を有するものである。
本発明に係る電界効果トランジスタ(FET)の構造例の模式図である。
符号の説明
1 … 有機半導体薄膜
2 … 絶縁体層
3 … ソース電極
4 … ドレイン電極
5 … ゲート電極
6 … 支持基板

Claims (2)

  1. ポリマーを含有する支持基板上に有機半導体の前駆体からなる薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜を加熱する加熱工程とを含む有機電子デバイスの製造方法であって、
    前記有機半導体の前駆体が、下記一般式:
    Figure 2005322895
    (式中、R〜R、Q〜Qは、それぞれ独立して1価の有機基を示し、(Q,Q)、(Q,Q)、(Q,Q)、及び(Q,Q)のうちの少なくとも1つの組が一体となって下記一般式:
    Figure 2005322895
    で表される基を形成し、Mは、2個の水素原子、又は金属原子を示し、前記金属原子は、他の原子若しくは原子団が結合していても良い。)で表されるポルフィリン骨格を有する化合物であり、
    前記加熱工程における前記薄膜の加熱を下記式(1)及び(2)に示す条件下で行うことを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
    Figure 2005322895
  2. 請求項1に記載の製造方法により製造された有機電子デバイス。
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