JP4977579B2 - ポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィンを製造する際の運転方法に関する。さらに詳しくは、定常運転している製造装置における高分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒から、低分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒への触媒切り替え方法に関する。
ポリオレフィンを製造する触媒は、従来は、チーグラー・ナッタ系の遷移金属系触媒が用いられる。また、近年になって、シクロペンタジエニル系化合物を配位子としジルコニウム等を中心原子とする、いわゆるメタロセン系化合物を含む触媒が提案されている。
このように種々の遷移金属系重合触媒が提案されているが、当然これらの触媒の中には、異なる系統はもちろん、同じ系統の触媒であっても、その重合挙動、特に同一のMFRを与えるための重合条件が相違することが多い。例えば、通常、同一重合条件下では、チタン等を含むチーグラー・ナッタ系の遷移金属系触媒は、前記いわゆるメタロセン系化合物を含む触媒よりも、高分子量のポリオレフィンを与え易い。
従来、工業的生産において、生産する製品の切り替え等のための、チーグラー・ナッタ触媒の切り替えでは、触媒の抜出し後、触媒タンク内を飽和炭化水素溶媒で洗浄し、新たな触媒を充填して、生産を継続することが多い。
しかしながら、高分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒から低分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒に切り替える際には、切り替え後、切り替え前の残留触媒が、製品性能に悪影響を与えるという問題がある。例えば、切り替え後にフィルムグレードを生産するような場合には、高分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒が残留していると、フィッシュアイ発生の原因となり易い。
したがって、従来の触媒切り替え方法では、十分に対応できず、不十分である。
そこで、触媒切り替え時に予め触媒を失活させ、その後触媒を切り替える方法が考えられる。チーグラー系触媒等の高分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒の重合を失活する方法は、二酸化炭素などの停止剤を系内に供給する方法や系を開放して系内に大気を導入する方法などである。すなわち、例えば、チーグラー系触媒は、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、空気、といった含酸素化合物などの停止剤を用いて重合を停止する。気相重合設備によるポリエチレン製造では、チーグラー・ナッタ触媒のパウダーを失活させ、メタロセン触媒へと切り替える方法がある(例えば、特許文献1等参照)。
しかしながら、この方法では、触媒タンクからのチーグラー・ナッタ触媒の混入を完全に防げない。また、スラリー、バルク重合設備に関しては、同手法を用いることができなので、触媒タンクからの処置が必要となる。
特表平11−504972
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、高分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒から、低分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属触媒への触媒切り替えに際し、速やかにフィッシュアイ発生等の残留触媒の影響を消去することができる触媒切り替え方法、及びそれを用いたポリオレフィンの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、ポリオレフィン製造設備の新たな触媒切り替え方法の検討を鋭意行ったところ、触媒タンクを洗浄後、チーグラー・ナッタ触媒を完全に失活させておく必要性を確認し、更に、そのための最適な触媒切り替え方法を見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、次の(1)〜(7)の工程を順次実施することを特徴とするポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法が提供される。
(1)ポリオレフィン生成能を有する少なくともチタンおよびマグネシウムを含有する固体触媒成分からなる遷移金属系触媒[I]を排出する工程
(2)飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(3)電子供与性化合物としてアルコール類を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(4)電子供与性化合物の失活能を失わせる電子受容性化合物を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(5)再度、飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(6)不活性気体により乾燥する工程
(7)ポリオレフィン生成能を有するジルコニウムおよび/またハフニウムを中心金属とするメタロセン化合物を含む遷移金属系触媒[II]を充填する工程
さらに、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、前記工程(4)で用いられる電子供与性化合物の失活能を失わせる電子受容性化合物は、有機アルミニウム化合物であることを特徴とするポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記触媒[II]は、ジルコウムおよび/またハフニウムならびに層状ケイ酸塩を含む固体触媒成分からなることを特徴とするポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、少なくともオレフィン重合反応器及び該反応器に触媒を供給する触媒タンクを備えたオレフィン重合装置により、ポリオレフィンを製造する方法であって、第1〜のいずれかの発明に係るポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法を用い、更に、次の(8)及び(9)の工程を順次実施することを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。
(8)触媒タンクからオレフィン重合反応器に遷移金属系触媒[II]を供給する工程
(9)オレフィン重合反応器にて、遷移金属系触媒[II]を用いてポリオレフィンを製造する工程
本発明の触媒切り替え方法を採用することにより、円滑な触媒切り替えが可能であり、触媒切り替え後のフィッシュアイによるポリオレフィンのオフグレード品の発生を防ぐことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法は、少なくとも以下の(1)〜(7)の工程を順次実施する。また、所望により、いくつかの工程を、例えば、工程(3)〜(5)を、繰り返し実施してもよい。
(1)高分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒[I]を排出する工程
(2)飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(3)電子供与性化合物を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(4)電子供与性化合物と反応し得る化合物を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(5)再度、飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
(6)不活性気体により乾燥する工程
(7)低分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒[II]を充填する工程
I.工程(1)
上記工程(1)は、高分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒[I]を使用してオレフィン重合反応を行った後、反応器に触媒を供給するための触媒タンクから、遷移金属系触媒[I]を排出する工程である。通常、遷移金属系触媒[I]を排出する工程(1)に先立って、重合反応器においては、遷移金属系触媒[I]によってポリオレフィンの製造が行われる(工程(0))。
次に、遷移金属系触媒[I]とは別の低分子量ポリオレフィン生成能を有する遷移金属系触媒[II]を用いて、同じオレフィン重合反応装置で、ポリオレフィンの製造を行おうとする場合、引き続き製造するポリオレフィンの物性によっては、遷移金属系触媒[II]を触媒タンクに充填する前に、遷移金属系触媒[I]を完全に失活させておく必要が生じる。
ここで、遷移金属系触媒[I]としては、チーグラー・ナッタ触媒でもメタロセン系触媒でもかまわない。また、遷移金属系触媒[II]も、チーグラー・ナッタ触媒でもメタロセン系触媒でも、いずれも用いることができる。しかしながら、先に使用する触媒(即ち、遷移金属系触媒[I])を完全に失活させることに意義が大きいのは、遷移金属系触媒[I]がチーグラー・ナッタ触媒であり、遷移金属系触媒[II]がメタロセン系触媒である組み合わせにおいてである。
II.工程(2)
工程(2)は、触媒タンクを飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程である。
遷移金属系触媒[I]を完全に失活させるためには、失活剤と接触させる必要があるが、この工程(2)を行うことにより、次工程の工程(3)で用いる失活剤の使用量を低減することができる。
工程(2)で用いられる飽和炭化水素としては、常温常圧で、液体であるものが好ましく、なかでもペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタンがより好ましく、ヘキサン、ヘプタンが最も好ましい。
III.工程(3)
工程(3)は、電子供与性化合物を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程である。前記工程(2)において、触媒タンクを飽和炭化水素溶媒で洗浄を行うものの、タンクの攪拌翼や壁に付着残留している触媒を取り除くことは、非常に困難である。そこで、電子供与性化合物を添加することにより、この触媒タンクに残留している触媒を失活させ、次の重合反応において触媒としての性質を失わせ、フィッシュアイの発生を防ぐ。
本発明では、触媒の失活剤として、電子供与性化合物を用いる。電子供与性化合物としては、非共有電子対により電子受容能のある化合物(電子受容体)に配位することができれば、特に制限はないが、取り扱いやすさの点から、酸素原子を含む化合物又は窒素原子を含む化合物が好ましい。また、飽和炭化水素と併用することから、飽和炭化水素に溶解する化合物が好ましい。
また、分子状酸素も、失活剤としての機能を有するが、気体を用いる場合は、飽和炭化水素の気化を促進するので取り扱いが困難となり、また、触媒タンク内で層状に付着している触媒に対しては、気体では十分な失活作用を発現することが困難である。
電子供与性化合物のなかでも、(i)メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1〜18のアルコール類、(ii)メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−t−ブチル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−t−ブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジエトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジエトキシプロパンなどの炭素数2〜20等のエーテル類、(iii)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなどの炭素数1〜21のアミン類が好ましく、(i)アルコール類が更に好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが特に好ましく、エタノールが最も好ましい。
IV.工程(4)
工程(4)は、電子供与性化合物と反応し得る化合物を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程である。
前記工程(3)では、電子供与性化合物を用いて触媒を失活させるが、これが次の重合反応に残留していると、次に用いる触媒(遷移金属系触媒[II])が失活してしまう可能性がある。従って、この工程(4)では、失活剤の失活能を失わせるための化合物を導入する。
このような化合物としては、通常、電子受容性化合物が用いられる。電子受容性化合物とは、電子供与性化合物が有している非共有電子対を受容する能力のある化合物であり、具体的には、13族元素を含む化合物である。これらのうち、ホウ素化合物、アルミニウム化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物が更に好ましい。
従来、上記有機アルミニウム化合物は、チーグラー・ナッタ触媒においては、オレフィン重合能を発生させるための助触媒として、必須の成分であり、また、この有機アルミニウム化合物は、通常、重合系内に清浄剤(スカベンジャー)としても、添加されている。この有機アルミニウム化合物は、電子受容性化合物であるので、電子供与性化合物(触媒失活剤)とも、反応する。
本発明者らは、メタロセンを用いる触媒系では、有機アルミニウム化合物は、オレフィン重合能を発生させるための必須成分ではなく、従って、メタロセン触媒系に、通常、添加されている有機アルミニウム化合物は、主に重合系内の不純物を補足する清浄剤(スカベンジャー)としての役割であると、考察している。
したがって、前記工程(3)で用いた電子供与性化合物により、メタロセン触媒が失活しないようにするために、工程(4)では、有機アルミニウム化合物等の電子受容性化合物を導入して、電子供与性化合物の触媒失活能を消失させる。
有機アルミニウム化合物としては、少なくとも1つの炭化水素基を有する化合物が好ましく、例えば、(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、(ロ)ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうち、(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムが更に好ましい。
V.工程(5)
例えば、工程(3)において、失活剤としてエタノールを用いた場合、エタノールと反応した有機アルミニウム化合物は、水酸化アルミニウム等の物質に変換される。一方、エタノールは、エタン等に変換されて、酸素上の非共有電子対の配位能力が低下し、失活剤としての能力を失う。
ここで生じた水酸化アルミニウム等の固体成分は、洗浄を行わないと、触媒タンク内に蓄積する。
従って、本発明においては、工程(5)として、再度、飽和炭化水素溶媒によって、触媒タンクの洗浄を行っている。工程(5)で用いられる飽和炭化水素溶媒としては、前記した工程(2)で用いられる飽和炭化水素と同様な化合物を用いることができる。
VI.工程(6)
次に、工程(6)において、不活性気体によって触媒タンクの乾燥を行う。これは、触媒投入時に、触媒タンク内が濡れていることによって、触媒のタンク付着を防ぐためである。触媒の付着等が生じると、触媒濃度の適切な管理を行えず、生産管理に影響を与える。
上記不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の希ガスを用いることができる。中でも、経済的な観点から、窒素またはアルゴンが好ましく、特に窒素が好ましい。
VII.工程(7)
工程(7)は、遷移金属系触媒[II]を充填する工程である。特に、遷移金属系触媒[II]を用いて得られるポリオレフィンのMFR(230℃、2.16kg荷重)が15〜50g/10minである場合に、本発明の効果が顕著となる。
こうして、触媒タンクに充填された遷移金属系触媒[II]は、次の重合反応のためにオレフィン重合反応器に供給され(工程(8))、次に、該反応器において、ポリオレフィンの製造が行われる(工程(9))。
IX.遷移金属触媒[I]
前記工程(0)に用いられる遷移金属触媒[I]としては、通常、チーグラーナッタ系触媒が用いられ、その成分としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび電子供与性化合物を必須成分として含有してなるα―オレフィン立体規則性重合用固体触媒成分である。ここで「必須成分として含有し」ということは、挙示の四成分以外に、合目的的な他元素を含んでいてもよいこと、これらの元素は、それぞれが合目目的な任意の化合物として存在してもよいこと、ならびにこれら元素は、相互に結合したものとして存在してもよいことを示すことである。
チタン、マグネシウムおよびハロゲンを含む固体成分そのものは、公知のものである。
本発明において使用されるマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、金属マグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。これらの中でもマグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム等の一般式:Mg(OR2−m(ここで、Rは、炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xは、ハロゲンを示し、mは、0≦m≦2である。)で表されるマグネシウム化合物が好ましい。
また、チタン源となるチタン化合物としては、一般式:Ti(OR4−n(ここで、Rは、炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xは、ハロゲンを示し、nは、0≦n≦4である。)で表される化合物が挙げられる。
ハロゲンは、上述のマグネシウムおよび(または)チタンのハロゲン化合物から添加されるのが普通であるが、他のハロゲン源、例えば、AlCl、AlBr、AlI等のアルミニウムのハロゲン化物、BCl、BBr、BI等のホウ素のハロゲン化物、SiCl等のケイ素のハロゲン化物、PCl、PCl等のリンのハロゲン化物、WCl等のタングステンのハロゲン化物、MoCl等のモリブデンのハロゲン化物といった公知のハロゲン化剤から添加することもできる。
触媒成分中に含まれるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物であってもよく、特に塩素が好ましい。
また、触媒成分として用いられる電子供与性化合物としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸類のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類のような含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネートのような含窒素電子供与体、スルホン酸エステルのような含硫黄電子供与体などを例示することができる。
これらの電子供与性化合物は、二種類以上用いることができる。これらの中で好ましいのは有機酸エステル化合物、酸ハライド化合物、有機ケイ素化合物およびエーテル化合物であり、特に好ましいのはフタル酸ジエステル化合物、酢酸セロソルブエステル化合物、フタル酸ジハライド化合物およびジエーテル化合物である。また、遷移金属触媒[I]は、必要に応じて、重合に供する前に予め予備重合を施してもよい。
X.遷移金属触媒[II]
遷移金属触媒[II]としては、通常、メタロセン触媒が用いられ、その種類は、本発明に係る低分子量ポリオレフィン(例えば、プロピレン系ランダム共重合体)を生成できる限りは、特に限定されるものではないが、本発明の要件を満たすために、例えば、下記に示すような成分(A)、(B)、及び必要に応じて使用する成分(C)からなるメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
成分(A):下記の一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
成分(B):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
(1)成分(A):
成分(A)としては、下記の一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C4−a)(C4−b)MeXY ・・・(1)
ここで、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、XおよびYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示し、XおよびYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていてもよい。R、Rは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基を示す。a及びbは、置換基の数である。
詳しくは、Qは、2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基あるいはオリゴシリレン基、又は炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが例示される。この中でも好ましいものは、2価の炭化水素基と炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
XおよびYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていても良い。
とRは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、またはリン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として、例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。ところで、隣接したRとRは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
以上において記載した成分(A)の中で、本発明に係るプロピレン系共重合体の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基あるいはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、あるいはゲルミレン基で架橋された2,4−位置換インデニル基、2,4−位置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
非限定的な具体例としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−イソプロピル−4−(3,5−ジイソプロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロビフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も、好適な化合物として例示される。なお、触媒成分は、本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは、自明のことである。
(2)成分(B):
成分(B)としては、上述した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は、公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808号公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状単体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機単体を挙げることができる。
また、成分(B)の非限定的な具体例としては、成分(b−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウムなどを、成分(b−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
上記成分(B)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましいものは、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
(3)成分(C):
必要に応じて成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、一般式:AlR3−a(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Xは、水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
(4)触媒の形成:
成分(A)、成分(B)および必要に応じて成分(C)を接触させて触媒とする。その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
1)成分(A)と成分(B)を接触させる。
2)成分(A)と成分(B)を接触させた後に成分(C)を添加する。
3)成分(A)と成分(C)を接触させた後に成分(B)を添加する。
4)成分(B)と成分(C)を接触させた後に成分(A)を添加する。
その他、三成分を同時に接触させてもよい。
本発明で使用する成分(A)、(B)及び(C)の使用量は、任意である。例えば、成分(B)に対する成分(A)の使用量は、成分(B)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。成分(B)に対する成分(C)の使用量は、成分(C)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100μmol、特に好ましくは0.005〜50μmolの範囲である。したがって、成分(A)に対する成分(C)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは10−5〜50、特に好ましくは10−4〜5の範囲内である。
本発明に係る触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(B)に対し、重量比で、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行うことも可能である。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
本発明では、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合プロセスに用いることができ、特に限定しない。
本発明を、実施例および比較例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)チーグラー・ナッタ触媒(Z1)の製造
加熱・冷却用のジャケット、撹拌装置、バッフルを備えた100L−オートクレーブに、Mg(OEt):20molを仕込み、ついでTi(OBu)を、仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)/Mg=0.45(モル比)になるように仕込み、155rpmで撹拌しながら昇温した。
135℃で2.0時間反応させた後、125℃に降温して、MeSi(OPh)のトルエン溶液を、仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、MeSi(OPh)/Mg=0.67(モル比)になるように添加した。添加終了後、同温度で4時間反応させた。反応終了後、25℃に降温して、Ti(OBu)とSi(OEt)を、仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)/Mg=0.15(モル比)、Si(OEt)/Mg=0.05(モル比)になるように添加して、接触生成物(a)のスラリ−を得た。
次に、接触生成物(a)のスラリ−を、[Mg]=0.54mol/L・トルエンになるように、トルエンで希釈した後、165rpmで撹拌しながら、−10℃に冷却し、フタル酸ジエチルを、仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、フタル酸ジエチル/Mg=0.10(モル比)になるように添加した。引き続き、TiClを、仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、TiCl/Mg=4.0(モル比)になるように、6.0時間かけて滴下し、均一溶液を得た。
得られた均一溶液を20℃/Hrで15℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。ついで、再び20℃/Hrで50℃まで昇温し、50℃で1時間保持した。さらに、120℃/Hrで117℃まで昇温し、同温度で1時間処理を行った。処理終了後、加熱・撹拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/55となるように洗浄して固体スラリ−を得た。
次に、得られた固体スラリーのトルエン量を、TiCl濃度=1.5mol/L・トルエンとなるように調整し、25℃でTiClを、はじめに仕込んだMg(OEt)中のマグネシウムに対して、TiCl/Mg=5.0(モル比)となるように添加した。このスラリーを、165rpmで撹拌しながら昇温し、117℃で、1時間反応を行った。
反応終了後、加熱・撹拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/150となるように洗浄して、固体触媒(A)のトルエン・スラリ−を得た。
ここで得られた固体スラリーの一部を、内径660mm、直胴部770mmの三方後退翼を有する反応槽に移送し、n−ヘキサンで希釈して、固体触媒(A)の濃度として3g/Lとなるようにした。このスラリーを300rpmで撹拌しながら、25℃で、トリエチルアルミニウムを、トリエチルアルミニウム/(A)=3.44mmol/gとなるように添加し、さらに、t−ブチルエチルジメトキシシランを、t−ブチルエチルジメトキシシラン/(A)=1.44mmol/gとなるように添加した。添加終了後、引き続き撹拌しながら、25℃で30分間保持した。
次いで、プロピレンガスを液相に、72分かけて定速フィードした。プロピレンガスのフィードを停止した後、沈降洗浄法にて、n−ヘキサンで洗浄を行い、残液率=1/12として予備重合された固体触媒(Z1)のスラリーを得た。得られた触媒(Z1)は、(A)成分1gあたり、3.1gのプロピレン重合体を含有していた。
(2)工程(0):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−エチレンランダム重合
気相重合様式であるポリオレフィン製造設備で、上記のチーグラー・ナッタ触媒(Z1)を用いて、重合温度62℃、重合圧力2.1MPa、水素濃度5mol%、エチレン1.5mol%で重合を行ったところ、触媒活性が45000g/g−Cat.、MFRが30g/10min、エチレン含量が2.7wt%のプロピレン−エチレンランダムポリマーが得られた。
(3)メタロセン触媒(M1)の合成:
[イオン交換性層状珪酸塩の化学処理]
10Lのセパラブルフラスコ中で蒸留水4.5kgに96%硫酸(3.0kg)を加え、その後、イオン交換性層状珪酸塩(モンモリロナイト)である水沢化学社製ベンクレイSL(平均粒径25μm、1.2kg)を90℃で加え、温度を維持したまま5時間反応させた。反応終了後、冷却し、純水でpH3まで洗浄した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後70μm以上の粗大粒子を除去した。さらに200℃の窒素気流下で乾燥することにより、化学処理スメクタイト0.80kgを得た。
[触媒/予備重合触媒の調製]
[触媒の調製]
内容積13リットルの攪拌機のついた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgと3%トルエンを含むヘプタン(以下、混合ヘプタン)0.74Lの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.40M)1.26Lを加え、内温を25℃に維持した。1時間の反応後、混合ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0Lに調製した。
並行して、(r)−ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム2.17g(3.00mmol)に混合ヘプタンを0.80L加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を21.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5.0Lに調製した。
続いて、内温を40℃まで昇温し安定したところで、プロピレンを67g/時間の速度で供給し、温度を維持した。6時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに1時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒を混合ヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液0.17L添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。その結果、触媒1g当たりポリプロピレン2.12gを含む予備重合された触媒(M1)が得られた。このメタロセン触媒(M1)は、下記の工程(7)に用いた。
(4)フィッシュアイ測定法
製造されたパウダーを採取し、混練および押出しを行って造粒する。造粒したペレットをTダイにより厚さ25μmに製膜する。このようにして製膜したフィルムのフィッシュアイを250cmあたりのフィルムの外観を目視によって以下の基準で評価した。
○・・・フィルムには、フィッシュアイが認められず、外観は良好である。
×・・・フィルムには、フィッシュアイが認められる。
(5)触媒タンクの洗浄と触媒の切り替え
(I)工程(1):
まず、触媒タンク(0.02m)より前グレード製造に用いられていたチーグラー・ナッタ触媒を、抜き出しライン1より抜出した。
(II)工程(2):
続いて、触媒タンクにヘキサン供給ライン2より、触媒タンクの壁面に対して90%レベルまでヘキサンで満たし、1時間攪拌後、ヘキサンを、抜き出しライン1より抜き捨てた。再度、同様の方法で洗浄を行った。
(III)工程(3):
次に、触媒タンクへエタノール供給ライン3よりエタノールを7.0g張り込み、その後ヘキサン供給ライン2からヘキサンを投入していき、エタノール濃度を700wtppmとした。このときも、触媒タンク壁面に対して90%レベルまで満たした。このあと、1時間攪拌を行って、触媒を失活させた後、エタノール混合ヘキサンを抜き出しライン1から抜き捨てた。
再び、触媒タンク壁面に対して90%レベルまでヘキサンを投入し、1時間攪拌を行った後、ヘキサンを抜き捨てた。
(IV)工程(4):
次に、トリイソブチルアルミニウムを供給ライン4から投入し、続いてライン2からヘキサンを触媒タンク壁面に対して90%レベルになるまで投入し、トリイソブチルアルミニウム濃度を200ppmとした。その後、1時間攪拌後トリイソブチルアルミニウム混合ヘキサンをライン1から抜き捨てた。
(V)工程(5):
ここで再び、ライン2から触媒タンク壁面に対して90%レベルまでヘキサンを投入し、1時間攪拌を行った後、ヘキサンを抜き捨てた。
上記工程(3)〜工程(5)を、更に3回繰り返した。
(VI)工程(6):
続いて、触媒タンクにライン5から窒素ガスを供給し、十分乾燥した。
(VII)工程(7):
そして、触媒シリンダー11よりメタロセン触媒(M1)を、また、ライン2よりヘキサンを投入しスラリー状態にした。
(6)メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム重合
(I)工程(8):
触媒タンクからメタロセン触媒(M1)のスラリーを、ライン7を通して重合器(バルク重合器)へ供給した。
(II)工程(9):
重合様式がバルク重合であるポリオレフィン製造設備で、メタロセン触媒(M1)を用いて、重合温度70℃、水素濃度400molppm、エチレン3.5mol%の重合した結果、触媒活性が14800g/g−Cat.、MFRが30g/10min、エチレン含量が2.8wt%のプロピレン−エチレンランダムポリマーが得られた。この時の、フィッシュアイ分析の結果は、良好であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
工程(0)〜工程(7)は、上記実施例1と同様に実施した。
次いで、工程(8)として、触媒タンクからメタロセン触媒(M1)のスラリーを、ライン7を通して重合器(気相重合器)へ供給した。
工程(9)として、気相重合様式であるポリオレフィン製造設備で、メタロセン触媒(M1)を用いて、重合温度65℃、重合圧力2.2MPa、水素濃度750molppm、エチレン5.5mol%で重合を行ったところ、触媒活性が25000g/g−Cat.、MFRが15g/10min、エチレン含量が1.7wt%のプロピレン−エチレンランダムポリマーが得られた。この時のフィッシュアイ分析の結果も、良好であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
工程(0)〜工程(2)は、上記実施例1と同様に実施した。しかし、エタノールによるチーグラー・ナッタ触媒の失活は、行わなかった。即ち工程(3)〜工程(5)を省略した。また、工程(6)〜工程(9)は、上記実施例1と同様に行った。
その結果、触媒活性が14800g/g−Cat.、MFRが30g/10min、エチレン含量が2.8wt%のプロピレン−エチレンランダムポリマーが得られた。
また、フィッシュアイ分析の結果では、残留した微量のチーグラー・ナッタ触媒によって生成されたと考えられるフィッシュアイが多く観察された。結果を表1に示す。
Figure 0004977579
表1から明らかなように、本発明の触媒タンクにおける触媒切り替え方法を用いた実施例1、2では、フィルムのフィッシュアイ評価が良好であるのに対し、本発明の触媒切り替え方法を用いない比較例1では、フィルムにフィッシュアイが認められ、悪い結果となっている。
本発明の触媒タンクにおける触媒切り替え方法を用いれば、円滑な触媒切り替えが可能であり、触媒切り替え後のフィッシュアイによるポリオレフィンのオフグレード品の発生を防ぐことができ、プロピレン系共重合体ばかりでなく、メタロセン系触媒を用いる全てのポリオレフィンの製造方法に利用され、産業上の利用可能性が高い。
本発明に用いられる触媒タンク及び周辺機器を示す概念図である。
符号の説明
1 抜き出しライン
2 ヘキサン供給ライン
3 エタノール供給ライン
4 トリイソブチルアルミニウム(TiBA)供給ライン
5 窒素ガス供給ライン
6 触媒シリンダーから触媒タンクへの配管
7 触媒タンクから重合器への配管
11 触媒シリンダー
12 触媒タンク
13 重合器

Claims (4)

  1. 次の(1)〜(7)の工程を順次実施することを特徴とするポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法。
    (1)ポリオレフィン生成能を有する少なくともチタンおよびマグネシウムを含有する固体触媒成分からなる遷移金属系触媒[I]を排出する工程
    (2)飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
    (3)電子供与性化合物としてアルコール類を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
    (4)電子供与性化合物の失活能を失わせる電子受容性化合物を含む飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
    (5)再度、飽和炭化水素溶媒で洗浄する工程
    (6)不活性気体により乾燥する工程
    (7)ポリオレフィン生成能を有するジルコニウムおよび/またハフニウムを中心金属とするメタロセン化合物を含む遷移金属系触媒[II]を充填する工程
  2. 前記工程(4)で用いられる電子受容性化合物は、有機アルミニウム化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法。
  3. 前記触媒[II]は、ジルコウムおよび/またハフニウムならびに層状ケイ酸塩を含む固体触媒成分からなることを特徴とする請求項に記載のポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法。
  4. 少なくともオレフィン重合反応器及び該反応器に触媒を供給する触媒タンクを備えたオレフィン重合装置により、ポリオレフィンを製造する方法であって、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン製造設備の触媒タンクにおける触媒切り替え方法を用い、更に、次の(8)及び(9)の工程を順次実施することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
    (8)触媒タンクからオレフィン重合反応器に遷移金属系触媒[II]を供給する工程
    (9)オレフィン重合反応器にて、遷移金属系触媒[II]を用いてポリオレフィンを製造する工程
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