JP4977267B1 - 装身具用取付構造、及び、これを備えた装身具 - Google Patents

装身具用取付構造、及び、これを備えた装身具 Download PDF

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Abstract

【課題】構造を破壊しないと嵌合状態が解けない装身具用取付構造を提供する。
【解決手段】嵌合部と第2嵌合部21との嵌め合わせを通じて装身具本体を装身具本体被取付体へ取り付ける装身具用取付構造に関し、第2嵌合部21を、円形底面211と、この円形底面211の周縁の円周壁面212と、円形底面211の中心部から突出し、円周壁面212よりも背の高い突出体213とからなる雄型構造として円柱体を削ることで形成し、突出体213を、円形底面211と平行な下面2131bを有し、この下面2131bと先端面2131aとで形成される頭部2131、円形底面211と平行な上面2133aを有し、円形底面211と接して形成される土台部2133、この土台部2133の上面2133aの中心部から頭部2131の下面2131bの中心部へ向けてテーパ状に拡開して連結する軸部2132からなるものとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、徽章や、ペンダント、指輪に嵌められる宝飾品等の装身具本体と、この装身具本体を衣服の襟部、胸部、袖部や帽子、ネクタイ、指等に付するために用いる装身具本体被取付体との間で形成される装身具用取付構造、及び、これを備えた装身具に関する。
装身具のうち例えば、徽章は一般に、フラワーホールと呼ばれる左襟又は両襟に設けられた穴に、徽章本体に備えられたピンを貫通させて用いられる。一方、最近では夏季の間、背広の着用を原則不要にして業務を行い、省エネ、職場環境の改善等を図ろうとする所謂クールビスが奨励されるに至っている。しかし、背広を着用しなければ、徽章を付する箇所が見あたらなくなる。仮に、ワイシャツ、カッターシャツ等に徽章本体のピンを貫通させると、これらの衣服に穴が開くという不都合が生じる。
本願出願人は、クールビスを励行し、背広を着用しないような軽装により業務を行う場合であっても、徽章を簡便に衣服等に付する手段として、ワイシャツ、カッターシャツ等に傷つけることなく付することのできる徽章に係る考案を下記特許文献1において提案している。
上記考案は、徽章本体に設けた嵌合部とホルダに設けた第2嵌合部を嵌合させたとき、徽章本体又はホルダを回転可能する構成を備えている。これにより、嵌合状態でホルダをワイシャツ、カッターシャツの襟等に付したとき、徽章本体に表されている図案の向きを簡単に調整することができる。しかも、ピンを不要とした構成であるので、衣服を傷つけずに徽章を付することができる。
登録実用新案第3170349号公報
本願出願人は、上記考案の活用を進めていくうち、徽章本体の回転により図案の向きを調整して徽章を衣服に付し、業務を行っていると、何らかの応力が衣服に加わったときに徽章本体が不意に回転し、図案の向きがずれてしまう場合があることが分かった。また、何らかの応力が衣服に加わったときに徽章本体がホルダから不意に外れてしまう場合があることも分かった。
したがって、徽章本体の回転を原則的に可能とするが、例外的に意図しない回転だけを不可能とする機構を創作することが必要になった。さらに、一度嵌合すれば、二度と徽章本体がホルダから外れないようにする構成を創作することも必要になった。
このほか、上記考案では、徽章本体とホルダとで別体により構成すれば、徽章本体が小さいサイズであるので、乳児、幼児等が飲み込むような事故を防ぐといった対策を講じることが好ましい。嵌合部と第2嵌合部を嵌合させたときの嵌合構造を側面視で審美にすること、付する際に嵌合構造が衣服に引っ掛からないようにすること等の要請もある。さらに、上述した機構や構成は、ピンを衣服に貫通させて身につけるペンダント、宝飾品等を本体としてリングに嵌め合わせる指輪等、様々な装身具本体と、この装身具本体を装身具本体被取付体へ嵌め合わせる機構や構成に応用できることも分かってきた。
本発明は、上記実情に基づいて提案され、ピンを不要として衣服を傷つけず、かつ、装身具本体の回転を原則可能とし、意図しない回転だけを不可能とし、装身具本体がホルダから外れないように一体化し、この一体化により乳幼児の飲み込み事故を防止するほか、嵌合構造の審美化、付する際に嵌合構造が衣服に引っ掛からない等の効果を得ることもできる装身具用取付構造と、これを備えた装身具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、中心部が凹み、この凹んで形成された開口に突起を有する雌型構造の嵌合部と、この嵌合部に嵌り合う雄型構造の第2嵌合部とから構成され、この第2嵌合部と前記嵌合部との嵌め合わせを通じて装身具本体を、装身具本体被取付体へ回転可能に取り付ける装身具用取付構造であって、前記第2嵌合部の雄型構造は、円形底面と、この円形底面の周縁から突出する円周壁面と、前記円形底面の中心部から突出し、前記円周壁面よりも背の高い先端を有する突出体とで形成され、前記突出体は、前記円形底面と平行な下面及び前記円周壁面と平行な側面を有し、この側面と前記下面と前記先端とで形成される頭部と、前記円形底面と平行な上面及び前記円周壁面と平行な側面を有し、前記円形底面と接して形成される土台部と、この土台部と前記頭部を連結する軸部とからなり、前記軸部が、前記土台部の上面の中心部から前記頭部の下面の中心部へ向けてテーパ状に拡開して連結され、軸中心から前記頭部の側面までの径と、前記軸中心から前記土台部の側面までの径とが同一であり、前記雌型構造の嵌合部の開口は、前記突出体の前記頭部の側面及び前記土台部の側面が圧接される径を有していて、前記突出体の前記頭部の側面及び前記土台部の側面が前記嵌合部の開口へ圧接されるとともに、前記軸部が前記嵌合部の突起に挟持され、かつ、前記頭部の下面とテーパ状の前記軸部によって形成される形状に前記突起が引っ掛かって、前記装身具本体の回転に伴って前記突起に生じる嵌め合わせが外れる向きの応力が押さえ込まれることで、前記嵌合部と前記第2嵌合部との嵌め合わせが、前記雄型構造が破壊されない限り維持されてなることを特徴とする。
さらに、本発明は、上記装身具用取付構造を備えて構成される装身具であって、前記装身具本体被取付体は、一枚の略矩形状板が折り曲げられて形成され、上面部と、下面部と、この下面部及び前記上面部を連結する連結部とから弾性を有する側面視略コの字形状になり、この側面視略コの字形状の開放側から被装身体へ取り付けることで、嵌め合わされた前記装身具本体を装身可能にするホルダであり、前記上面部に前記嵌合部又は前記第2嵌合部が、前記下面部にその一部を前記上面部側へ向けて略への字に屈曲させて形成した留部が、それぞれ設けられていることを特徴とする。また、この装身具本体被取付体であるホルダは、前記上面部に、前記嵌合部又は前記第2嵌合部が設けられ、前記下面部に、前記被装身体を受け入れ可能な前記コの字形状の開放側の幅を調整する調整部材が備えられていてもよい。
本発明は、中心部が凹み、この凹んで形成された開口に突起を有する雌型構造の嵌合部と、この嵌合部に嵌り合う雄型構造の第2嵌合部とから構成され、この第2嵌合部と嵌合部との嵌め合わせを通じて装身具本体を、装身具本体被取付体へ回転可能に取り付ける装身具用取付構造である。したがって、嵌合部と第2嵌合部との嵌め合わせを通じて装身具本体を、装身具本体被取付体へ回転可能に取り付けることができる。
特に、第2嵌合部の雄型構造は、円形底面と、この円形底面の周縁から突出する円周壁面と、円形底面の中心部から突出し、円周壁面よりも背の高い先端を有する突出体とで形成されて構成されている。突出体は、円形底面と平行な下面及び円周壁面と平行な側面を有し、この側面と下面と先端とで形成される頭部と、円形底面と平行な上面及び円周壁面と平行な側面を有し、円形底面と接して形成される土台部と、この土台部と頭部を連結する軸部とからなり、軸部が、土台部の上面の中心部から頭部の下面の中心部へ向けてテーパ状に拡開して連結され、軸中心から頭部の側面までの径と、軸中心から土台部の側面までの径とが同一である構造である。また、雌型構造の嵌合部の開口は、突出体の頭部の側面及び土台部の側面が圧接される径を有している。この構成及び構造により、突出体の頭部の側面及び土台部の側面が嵌合部の開口へ圧接されるとともに、突出体の軸部が嵌合部の突起に挟持され、かつ、頭部の下面とテーパ状の軸部によって形成される形状に突起が引っ掛かって、装身具本体の回転に伴って突起に生じる嵌め合わせが外れる向きの応力が押さえ込まれることで嵌合部と第2嵌合部との嵌め合わせが維持される構成となる。したがって、装身具本体を装身具本体被取付体に回転可能に嵌め合わせて取り付けたとき、装身具本体の回転に伴って嵌合部の突起に生じる嵌め合わせが外れる向きの応力は、頭部の下面とテーパ状の軸部によって形成される形状に突起が引っ掛かって押さえ込まれるので、装身具本体を装身具本体被取付体から外れないようにすることができる。装身具本体を装身具本体被取付体から外すには、第2嵌合部の雄型構造を破壊する必要がある。
さらに、突出体の頭部の側面のほかに、土台部の側面までもが嵌合部の開口へ圧接され、かつ、突出体の軸部が嵌合部の突起に挟持されるため、装身具本体を回転するために相当程度の力を要するものとなり、装身具本体の回転を原則的に可能とするが、例外的に意図しない回転だけを不可能とすることができる。また、嵌合部と第2嵌合部との嵌め合わせの構成及び構造は、第2嵌合部の円周壁面によって外観に現れることがなく、側面視を含めて全体を審美にすることができる。嵌合部と第2嵌合部との嵌め合わせの構成及び構造が外観に現れることがないから、嵌合構造に起因して衣服に付する際に引っ掛かるというような事象を防ぐこともできる。このほか、本発明に係る装身具用取付構造は、このような構成及び構造であるので、様々な装身具本体と装身具本体被取付体との嵌め合わせ構造に適用可能となる。
また、本発明は、上記装身具用取付構造を備えて構成される装身具であるから、装身具本体を装身具本体被取付体に回転可能に嵌め合わせて取り付けたとき、雄型構造が破壊されない限り、装身具本体が装身具本体被取付体から外れないようにすることができ、意図しない回転が生じることもなくなる。装身具本体は装身具本体被取付体から外れないから、ある程度の大きさとなって乳児、幼児等が飲み込むような事故を防ぐこともできる。
このほか、装身具本体被取付体が、一枚の略矩形状板が折り曲げられて形成され、上面部と、下面部と、この下面部及び上面部を連結する連結部とから弾性を有する側面視略コの字形状になり、この側面視略コの字形状の開放側から被装身体へ取り付けることで、嵌め合わされた装身具本体を装身可能にするホルダであって、上面部に嵌合部又は第2嵌合部が、下面部にその一部を上面部側へ向けて略への字に屈曲させて形成した留部が、それぞれ設けられているので、装身具の衣服等への取り付けが容易になるものである。また、下面部の略への字に屈曲させて形成した留部の代わりに、被装身体を受け入れ可能なコの字形状の開放側の幅(厚み)を調整する調整部材が備えられれば、被装身体を受け入れ可能な幅(厚み)を調整することができるので、様々な厚みを有する被装身具体に対応することができ便宜である。
本発明に係る装身具としての徽章の概略全体斜視図である。 本発明に係る装身具としての徽章を、徽章本体とホルダとに分離して表した分解図である。 本発明に係る装身具用取付構造に関し、第2嵌合部の雄型構造を説明する正面図と縦断面図である。 本発明に係る装身具用取付構造に関し、嵌合部と第2嵌合部とを嵌め合わせた状態を説明する縦断面図である。 本発明に係る装身具としての徽章に関し、衣服に付する手順を説明する説明図であって、(A)は、装身具(徽章)を被付着部位に付した場面を説明する説明図、(B)は、装身具本体(徽章本体)を回転させて、その図案の向きを調整している場面を説明する説明図、(C)は、衣服に付された装身具(徽章)の図案が適切な向きに位置決めされた場面を説明する説明図である。 本発明に係る装身具に関し、ホルダの別の構成例を説明する斜視図である。 本発明に係る装身具に関し、別の例であるペンダントについて説明する説明図である。
以下、本発明に係る装身具用取付構造と、これを備えた装身具として、徽章本体とホルダ(装身具本体被取付体)とを嵌め合わせてなる徽章についての一実施形態を例示して取り上げ、図面に基づいて詳述する。なお、この一実施形態は、本発明の構成を具現化した例示に過ぎない。本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を逸脱することがなければ種々の設計変更を行うことができる。例えば、ペンダント本体とホルダとを嵌め合わせたペンダントの形態、宝飾品本体とリングとを嵌め合わせた指輪の形態を始め、様々な装身具用取付構造と、これを備えた装身具に適用することができる。また、本発明に係る装身具は、衣服の胸部、襟部、袖部や、帽子、ネクタイ等をはじめ様々な被付着部位に付することができるものである。
本発明に係る装身具として例示する徽章Xは、図1に示すように裏面に嵌合部11が設けられた徽章本体1を、上面部に第2嵌合部21が設けられた側面視略コの字形状のホルダ2へ、嵌合部11と第2嵌合部21との嵌め合わせを通じて回転可能に取り付けて構成されている。この徽章Xには、嵌合部11と第2嵌合部21とを嵌め合わせる構造として、本発明に係る装身具用取付構造が備えられている。
徽章本体1は、図2に示すように、裏面に嵌合部11が設けられている。嵌合部11は、例えば、金属材又は合成樹脂材で形成され、中心部が円柱状に凹んで形成された開口を有する雌型構造体と、波状に折り曲げられてバネ性が備えられた線材111とからなる。線材111は、その波状の一端片が雌型構造体内で中心部へ向くように配置され、開口から突出している。嵌合部11を正面視すれば、中心部の開口に線材111の一端片が2本平行に貫通し、この貫通した線材111の一端片により突起部11aが形成された態様が現れる。すなわち、線材111は一対として、雌型構造体内の両サイドから中心部の開口へ向けてそれぞれ配置されている。
なお、突起部11aは、開口を平行に2度貫通させるように波状に折り曲げて配置することにより、一本の線材により形成することもできる。また、徽章本体1の表面には、例えば、デザインされて作製された徽章そのものの図案等が表される。本実施形態において徽章本体1は真鍮製である。また例えば、徽章本体1は、金、銀、銅、錫、亜鉛、ステンレスや、これらを一部として含む合金等で作製することができる。嵌合部11は、金、銀、銅、錫や、これらを一部として含む合金等で作製することができる。
ホルダ2は、図2に示すように、一枚の略矩形状板が折り曲げられることで形成され、上面部2Aと、下面部2Bと、この下面部2Bと上面部2Aとを連結する連結部2Cとから側面視略コの字形状に、弾性を有して構成されている。ホルダ2の上面部2Aには、徽章本体1の嵌合部11と嵌合する第2嵌合部21が設けられている。ホルダ2の下面部2Bには、その一部を上面部2A側へ向けて略への字に屈曲させて形成した留部22が設けられている。この略への字の留部22は、衣服の胸部、襟部、袖部や、帽子、ネクタイ等をはじめとする様々な被付着部位に容易に、ホルダ2を介して徽章本体1を付することを目的として形成されるから、適度なバネ性を有することが好ましい。また、ホルダ2の上面部2Aに設けられた第2嵌合部21は、例えば、金属材又は合成樹脂材で形成される。本実施形態においてホルダ2は、りん青銅製である。また、ホルダ2は、バネ性のある金属(例えば、りん青銅、ステンレス等)で作製する限り、適宜の材質を採用することができる。
第2嵌合部21は、図2や図3に示すように、雄型構造を有する。具体的には、図3に示すように、円形底面211と、この円形底面211の周縁から突出する円周壁面212と、円形底面211の中心部から突出し、円周壁面212よりも背の高い先端である先端面2131aを有する突出体213とが、円柱体を削ることで形成されて構成される。具体的には、卓上旋盤を使って真鍮の円柱体を削り、円形底面211と、円周壁面212と、突出体213とを形成し、雄型構造を作り出している。卓上旋盤を使って雄型構造を削り出す際には、突出体213に後述するような頭部2131、軸部2132及び土台部2133の形状がそれぞれ削り出されるように留意すべきである。
突出体213は、頭部2131と、土台部2133と、この土台部2133及び頭部2131を連結する軸部2132とからなる。頭部2131は、円形底面211と平行な下面2131b及び円周壁面212と平行な側面2131cを有し、この下面2131bと側面2131cと先端面2131aとで形成されている。土台部2133は、円形底面211と平行な上面2133a及び円周壁面212と平行な側面2133bを有し、円形底面211と接して形成されている。また、軸部2132は、土台部2133の上面2133aの中心部から頭部2131の下面2131bの中心部へ向けてテーパ状に拡開されて連結されている。なお、突出体213は、軸中心から頭部2131の側面2131cまでの径と、軸中心から土台部2133の側面2133bまでの径とが同一になるように削り出される。
徽章Xは、上述のように構成された嵌合部11と第2嵌合部21とが嵌め合わされて構成される本発明に係る装身具用取付構造を備える。具体的には、ホルダ2に設けられた第2嵌合部21の突出体213を、徽章本体1に設けられた嵌合部11の開口へ向けて嵌め合わせたとき、図4に示すように、突出体213の頭部2131の側面2131cとともに、土台部2133の側面2133bまでもが嵌合部11の開口へ圧接され、かつ突出体213の軸部2132が嵌合部11の突起部11aに挟持される構造である。
また、頭部2131の下面2131bとテーパ状の軸部2132によって形成される形状に突起部11aが引っ掛かることで、徽章本体1が回転するのに伴って嵌合部11の突起部11aに生じる嵌め合わせが外れる向きの応力が押さえ込まれる構造である。そうすると、徽章Xの徽章本体1の嵌合部11とホルダ2の第2嵌合部21との嵌め合わせ状態は、後述するように第2嵌合部21の雄型構造が破壊されない限り維持されるようになる。
ここで、上述した徽章Xを製造するための製造工程を簡単に説明する。
まず、フライス盤を使って真鍮材を所望の長さに切断し、円柱体を得る。続いて、卓上旋盤を使って円柱体を削り、頭部2131、軸部2132及び土台部2133の形状がそれぞれ削り出されるように留意して突出体213を、円形底面211及び円周壁面212とともに形成し、雄型構造を備えた第2嵌合部21を作り出す。その際、突出体213が意図したとおりに作り出されているかどうか確認することが好ましい。また、円周壁面212の高さを、嵌合部11及び第2嵌合部21の嵌め合わせの際に徽章本体1の裏面と接する高さとすることで、突出体213と嵌合部11の開口との嵌め合わせ状態が外観に現れることがなくなって、徽章Xの側面視を審美とすることができる。
次に、雄型構造を備えた第2嵌合部21をホルダ2に接合する。その後、ホルダ2の表面仕上げを行って全体をメッキする。
一方、徽章本体1は、上述したホルダ2の製造工程と並行して製造する。中心部が凹んで形成された開口を有する雌型構造体と、波状に折り曲げてバネ性を備えされた線材111とから、開口に線材111の一端片が2本平行に貫通されることで突起部11aが形成された平面視の嵌合部11を作製する。続いて、卓上旋盤を使って、徽章本体1の裏面に、嵌合部11の大きさに対応させた孔を深さ約1mm程度であける。この孔に嵌合部11を、接着又は嵌め合わせ等により結合する。最後に、徽章本体1の嵌合部11とホルダ2の第2嵌合部21とを嵌め合わせて徽章Xを製造する。
製造された徽章Xは、図4に示すように、本発明に係る装身具用取付構造を備え、突出体213の頭部2131の側面2131c及び土台部2133の側面2133bが嵌合部11の開口へ圧接されるとともに、突出体213の軸部2132が嵌合部11の突起部11aに挟持されて構成されるようになる。また、徽章本体1が回転するのに伴って、嵌合部11の突起部11aに生じる嵌め合わせが外れる向きの応力は、頭部2131の下面2131bとテーパ状の軸部2132によって形成される形状に突起部11aが引っ掛かるようになり、押さえ込まれるようになる。
したがって、徽章Xの徽章本体1の嵌合部11とホルダ2の第2嵌合部21との嵌め合わせた状態は、頭部2131の下面2131bとテーパ状の軸部2132によって形成される形状に突起部11aが引っ掛かって、徽章本体1が回転するのに伴って、嵌合部11の突起部11aに生じる嵌め合わせが外れる向きの応力が押さえ込まれることにより、第2嵌合部21の雄型構造が破壊されない限り維持され、徽章本体1がホルダ2から外れることがない。さらに、突出体213の頭部2131の側面2131cだけでなく、土台部2133の側面2133bまでもが嵌合部11の開口へ圧接され、かつ、突出体213の軸部2132が嵌合部11の突起部11aに挟持されているので、徽章本体1を回転するのにある程度の力を要し、襟に手を触れる、襟が物体に触れるといった場合を含めて意図しない徽章本体1の回転を防ぐことができる。
なお、本発明に係る装身具用取付構造における第2嵌合部21の代表的な寸法は、円形底面211の外径が7.4mm、この円形底面211の周縁から突出する円周壁面212の高さが1.5mm、円形底面211の中心部から突出する突出体213の先端面2131aまでの高さが2.5mm、突出体213の土台部2133の高さが0.3mm、土台部2133の側面2133b及び頭部2131の側面2131cの外径が2.2mm、土台部2133の上面2133aから頭部2131の下面2131bまで(軸部2132)の長さが、0.8mmである。また、頭部2131の下面2131bと接する位置における軸部2132の拡開側外径が1.6mmである。
以下、徽章X(愛称:「スライドインバッジ」)に関し、ワイシャツやカッターシャツの襟に付する手順を、図5を参照しつつ説明する。
まず、図5(A)に示すように、徽章Xをワイシャツやカッターシャツの襟に取付ける。具体的には、ホルダ2を指先で摘む等して、側面視略コの字形状の開放側をワイシャツ、カッターシャツの襟へ向けて取り付ける。襟には、スライドさせながら取り付けることができるので便宜である。ワイシャツやカッターシャツの襟に一旦取付けたホルダ2は、強引に引っ張るといった強力な力を加えない限り、ホルダ2の下面部2Bの略への字に形成された留部22のバネ性によって外れることがない。
次に、図5(B)に示すように、徽章本体1を指先で摘みながらホルダ2の第2嵌合部21を支点に回転させて調整し、徽章本体1の表面に表された図案を適切に位置決めする。これにより、図5(C)に示すように、簡便にワイシャツやカッターシャツの襟に徽章Xを付することができる。ピンにより貫通させてワイシャツやカッターシャツの襟に付していないので、これらの衣服を一切傷つけることがない。
そして、衣服に付された徽章Xは、本発明に係る装身具用取付構造を備えるために、第2嵌合部21の雄型構造が破壊されない限り、徽章本体1がホルダ2から外れることがない。徽章本体1を回転するのにある程度の力を要するものとなるので、襟に手を触れる、襟が物体に触れるといった場合等、業務を行いながらの意図しない徽章本体1の回転を防ぐことができる。また、嵌合部11及び第2嵌合部21を嵌め合わせる際に徽章本体1の裏面と接する高さとした円周壁面212により、突出体213と嵌合部11の開口との嵌め合わせ状態が外観に現れることがなく、側面視を含めて全体が審美である。嵌め合わせ状態が外観に現れることがないから、付する際に嵌合構造に衣服が引っ掛かるというような事象を防ぐこともできる。このほか、徽章本体1がホルダ2から外れることがない、すなわち一体化しているので、徽章本体1単体に比べ、そのサイズが大きくなるから、乳児、幼児等が飲み込むような事故を防ぐこともできる。
ここで、装身具本体被取付体としてのホルダ2は、図6に示すように、下面部2Bに、ワイシャツやカッターシャツの襟等の被装身体を受け入れるコの字形状の開放側の幅(厚み)を調整する調整ネジ23を備えて構成してもよい。この調整ネジ23の先端には、被装身体を傷つけないようにするため、扁平な保護部23aを設けることが望ましい。調整ネジ23を左右に回すことにより、コの字形状の開放側の幅(厚み)、すなわち調整ネジ23の先端の保護部23aと上面部2Aとの間の幅(厚み)を調整するのである。また、ホルダ2の構成として、調整ネジ23によって下面部2Bが押圧される仕組みを採用した場合、押圧された下面部2Bと上面部2Aとの間の幅(厚み)が、被装身体を受け入れ可能な幅(厚み)として調整されるようになる。このように構成されたホルダにより装身具を構成すれば、様々な厚みを有する被装身体に対応することができて、非常に便宜である。被装身体に一旦取付けたホルダ2は、強引に引っ張るといった強力な力を加えない限り、外れることがない。また、金属疲労や可塑性によってバネ性が失われることもなく、長寿命を達成することができる。
また、本発明に係る装身具用取付構造と、これを備えた装身具の例は、徽章に適用されることに限らない。例えば、図7に示すように、ペンダントYの例を挙げることができる。この例では、中心部が凹み、この凹んで形成された開口に突起部を有する雌型構造の嵌合部をペンダント本体に備えさせ、突出体を有する雄型構造の第2嵌合部をホルダに備えさせ、ペンダント本体を、ホルダへ回転可能に嵌め合わせて取り付けたペンダントYを、例えば、衣服の胸部に付することができる。
ペンダントYの例においても、突出体の頭部の側面及び土台部の側面が嵌合部の開口へ圧接されるとともに、突出体の軸部が嵌合部の突起部に挟持され、かつ、頭部の下面とテーパ状の軸部によって形成される形状に嵌合部の突起部が引っ掛かって、ペンダント本体が回転するのに伴って嵌合部の突起部に生じる嵌め合わせが外れる向きの応力が押さえ込まれる本発明に係る装身具用取付構造を備えるので、第2嵌合部の雄型構造が破壊されない限り、ペンダント本体がホルダから外れることがない。また、胸に手が触れた、胸が物体に触れたといった場合等の意図しないペンダント本体の回転を防ぐこともできる。
その他、本発明に係る装身具用取付構造と、これを備えた装身具の例は、図示を省略したが、指輪といった宝飾品をリングに嵌め合わせて取り付ける装身具にも適用することができ、上述した効果を具備させることができる。
なお、徽章X、ペンダントY、指輪等のいずれの装身具の例においても、徽章本体やペンダント本体、宝飾品本体に雄型構造の第2嵌合部を備えさせ、ホルダ又はリングに雌型構造の嵌合部を備えさせるようにしてもよい。
以上、本発明の一実施形態を例示して詳述したが、上述したとおり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、装身具本体被取付体(ホルダ)の幅や長さといった大きさに関し、装身具本体(徽章本体、ペンダント本体)の大きさに従って、収まりの良い大きさに適宜変更すればよい。また、装身具本体に表れるデザイン、色、材質等との兼ね合い、調和等の観点から、装身具本体被取付体(ホルダ)の材質を選ぶことも可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を逸脱することがなければ種々の設計変更を行うことができるものである。なお、本発明における嵌合部の雌型構造として、所謂スナップボタンの雌型ボタンを活用した例を挙げることができる。
X・・・・・徽章(本発明)
Y・・・・・ペンダント(本発明)
1・・・・・徽章本体(装身具本体)
11・・・・嵌合部
111・・・線材
11a・・・突起部
2・・・・・ホルダ(装身具本体被取付体)
2A・・・・上面部
2B・・・・下面部
2C・・・・連結部
21・・・・第2嵌合部
211・・・円形底面
212・・・円周壁面
213・・・突出体
2131・・頭部
2131a・先端面(先端)
2131b・下面
2131c・側面
2132・・軸部
2133・・土台部
2133a・上面
2133b・側面
22・・・・留部
23・・・・調整ネジ
23a・・・保護部

Claims (3)

  1. 中心部が凹み、この凹んで形成された開口に突起を有する雌型構造の嵌合部と、この嵌合部に嵌り合う雄型構造の第2嵌合部とから構成され、この第2嵌合部と前記嵌合部との嵌め合わせを通じて装身具本体を、装身具本体被取付体へ回転可能に取り付ける装身具用取付構造であって、
    前記第2嵌合部の雄型構造は、円形底面と、この円形底面の周縁から突出する円周壁面と、前記円形底面の中心部から突出し、前記円周壁面よりも背の高い先端を有する突出体とで形成され、
    前記突出体は、前記円形底面と平行な下面及び前記円周壁面と平行な側面を有し、この側面と前記下面と前記先端とで形成される頭部と、前記円形底面と平行な上面及び前記円周壁面と平行な側面を有し、前記円形底面と接して形成される土台部と、この土台部と前記頭部を連結する軸部とからなり、前記軸部が、前記土台部の上面の中心部から前記頭部の下面の中心部へ向けてテーパ状に拡開して連結され、軸中心から前記頭部の側面までの径と、前記軸中心から前記土台部の側面までの径とが同一であり、
    前記雌型構造の嵌合部の開口は、前記突出体の前記頭部の側面及び前記土台部の側面が圧接される径を有していて、
    前記突出体の前記頭部の側面及び前記土台部の側面が前記嵌合部の開口へ圧接されるとともに、前記軸部が前記嵌合部の突起に挟持され、かつ、前記頭部の下面とテーパ状の前記軸部によって形成される形状に前記突起が引っ掛かって、前記装身具本体の回転に伴って前記突起に生じる嵌め合わせが外れる向きの応力が押さえ込まれることで、前記嵌合部と前記第2嵌合部との嵌め合わせが、前記雄型構造が破壊されない限り維持されてなる、
    ことを特徴とする装身具用取付構造。
  2. 請求項1に記載の装身具用取付構造を備えた装身具であって、
    前記装身具本体被取付体は、一枚の略矩形状板が折り曲げられて形成され、上面部と、下面部と、この下面部及び前記上面部を連結する連結部とから弾性を有する側面視略コの字形状になり、この側面視略コの字形状の開放側から被装身体へ取り付けることで、嵌め合わされた前記装身具本体を装身可能にするホルダであり、
    前記上面部に、前記嵌合部又は前記第2嵌合部が設けられ、
    前記下面部に、その一部を前記上面部側へ向けて略への字に屈曲させて形成した留部が設けられている、
    ことを特徴とする装身具。
  3. 請求項1に記載の装身具用取付構造を備えた装身具であって、
    前記装身具本体被取付体は、一枚の略矩形状板が折り曲げられ、上面部と、下面部と、この下面部及び前記上面部を連結する連結部とから側面視略コの字形状に形成されて、この側面視略コの字形状の開放側から被装身体へ取り付けることで、嵌め合わされた前記装身具本体を装身可能にするホルダであり、
    前記上面部に、前記嵌合部又は前記第2嵌合部が設けられ、
    前記下面部に、前記被装身体を受け入れ可能な前記コの字形状の開放側の幅を調整する調整部材が備えられている、
    ことを特徴とする装身具。
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