JP4976983B2 - 筒状部材の成形用コア金型、成形装置、成形方法、および再成形用コア金型 - Google Patents
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Description
特許文献1には、上パンチと下パンチの間に粉末を充填し、上パンチおよび下パンチを相対的に移動させることによって、複層筒状圧粉体を成形する方法が記載されている。
圧粉成形法によって、図14(a)に示すように、ドーナツ状又は円筒状の本体部210を有し、本体部210の内周側に軸方向に突出した突起部201、或いは半径方向の突起部201の外面、内面間の段差部または窪み部を有する筒状の圧粉成形体200を製造する場合には、下記の点が問題になる。
第2に、パンチで形成する成形体の段差高さをh(図14(a)参照)としたときに、h/δが大きい筒状部材を成形するのは、加える荷重が大きくなるために難しいことである。
なお、図15は、段付きコア金型220の形状を示したものであり、図15(a)は、段付きコア金型220を側面上方向から見た斜視図であり、図15(b)は、図15(a)に示す段付きコア金型220をその上面から見た平面図である。
図15(a)に示すように、段付きコア金型220は、円柱形状をしたコア本体221の外周面に、半径方向に突出した凸形状の段差部225が、図15(b)に示すように、周方向に3個設けられた構造を有する。
図15(a)に示すように、段付きコア金型220では、段差部分のコーナ部226に応力が集中する。このコーナ部226には、段差部225の上面227に加わる力f1と、段差部225の上部のコア側面228に加わる力f2により引っ張り力が発生する。
Rがゼロに近づき、段差部225のコーナ部226での応力が破壊強度以上になると、他の部分では問題が生じないにもかかわらず、コーナ部226のみに亀裂が生じる可能性がある。
図16(a)、図17は、それぞれ図15(a)のB−B線断面で示す段付きコア金型220を備えた圧粉成形装置100の要部断面図であり、中心線から左側は段差構造有り部分のコア220での装置構成であり、右側は段差構造無し部分のコア220での装置構成である。なお、図16(b)は、図16(a)のC部拡大図である。
この圧粉成形装置100で製造された圧粉成形体が、図14(a)に示す筒状の圧粉成形体200である。
そして、下パンチ103とダイ106と段付きコア金型220の間に粉体105を充填し、図17に示すように、上方から上パンチ104によって、下方から下パンチ103及び段付きコア金型220の段差部225の上面227によって、粉体105に荷重を加えることにより、図14に示す内周側に突起部201を有する筒状の圧粉成形体200が成形される。
図15に示す段付きコア金型220において、コア本体221に設けられた段差部225の上面227は、圧粉成形体200の突起部201の先端面202を形成する部分になる。
段差部の上面227とコア側面228に垂直に加わる荷重は、一定の割合で加わることから、コーナ部226に引っ張り応力が加わり、コーナ部226が角部である場合、引っ張り応力が集中する。
ここで、コーナ部226での曲率半径をRとしたとき、コーナ部226での応力集中の大きさは、1/Rλと加わる圧力とに比例する。
従って、コア金型220の損壊を防止することを目的に、コア金型220のコーナ部226に適度なRを付けるため、コア金型220を用いて成形される図14(a)に示す圧粉成形体200の突起部201の内周面203と先端面202との連結部205には、対応するコア金型220のコーナ部226のR、曲率半径0.5mmで成形される曲率半径0.5mmのRが形成されている。
また、本発明の好ましい形態では、上下に分割されたコアの少なくとも一方の分割面にショットピーニングによる表面処理が施され、圧縮残留応力が与えられる。
本発明のコア金型において、上下に分割されたコアのうち上部のコアは圧粉成形される筒状部材の形状に対応させて変更することが好ましい。
また、再成形用コア金型として活用することが好ましい。
1)成形用コア金型の窪み部における側面と底面が材料的に一体化されていないので、コーナ部分に該底面と側面の応力の加算がない。
2)強い荷重が成形用コア金型の窪み面に垂直に加わるが、成形用コア金型の窪み部の上面と同一平面上での分割され連結された構成により、窪み部での引っ張り応力が弱まる。
3)窪み部分で成形用コア金型が分離されているので、亀裂の進行がない。
そのため、成形用コア金型の窪み上面と、これに連結するコア側面との連結部であるコーナ部が曲面的ではないか、あるいは曲率半径が小さい場合であるにも拘わらず、コーナ部の応力集中を低減できる。
さらに、コア接続前にコア金型の窪み面を含んだコア断面部のショットピーニングにより、コーナ部の応力集中部に初期圧縮力を加えることで、破壊寿命を大幅に長期化できる。
<<第1実施形態>>
図1は、第1実施形態の窪み付きコア金型10の構成を示したものであり、図1(a)は上部コア11と下部コア12が連結された窪み付きコア金型10の斜視図であり、図1(b)は上部コア11と下部コア12が分離された状態の窪み付きコア金型10の斜視図である。
図1(a)に示すように、第1実施形態の窪み付きコア金型10は、成型体の内周面形状を形作るものであり、略円柱状を呈しており、上側部には半径方向に凹形状の窪み部7が、周方向に3個形成されている。
この分割面10Bにて、上下のコア11、12が分割可能な接続法で連結されており、例えば、下部コア12の中央部分にボルト(図示せず)を取り付け、上部コア11の中央部分にナット(図示せず)を取り付けることで、上下のコア同士を分割面10Bにてボルト締めし強く接続することができる。
この上下コア11、12の連結方法は、ボルト締結に限らず、図1(b)に示すように、上下コア11、12の一方に凹部を形成し、他方に凸部を形成して、嵌め込みにより締結しても良い。図1(b)では、一方の上部コア11に凹部3を形成し、他方の下部コア12に凸部4を形成して、上部コア11と下部コア12とを該凹凸部3、4を嵌合し圧入等により結合している。
この窪み付きコア金型10には、分割面10Bの上面と下面、窪み部7の上面7u、および窪み部7の側面7sに、それぞれショットピーニングが施され残留圧縮応力が加えられ、応力腐食割れが防止されている。
上述した如く、窪み付きコア金型10は、上部コア11の下面および下部コア12の上面となる平らな面の分割面10Bで、上部コア11と下部コア12とが接合されている。
そのため、窪み付きコア金型10の段差が形成される窪み部7の上面7uと側面7sとで形成されるコーナ部7cは非曲面構造を形成可能であり、例えば垂直面等の角張った形状で形成されている。
図2、図3において、中心線cから左側は窪み部7の構造有り部分の窪み付きコア金型10(図1参照)での装置構成図であり、中心線cから右側は窪み部7の構造無し部分の窪み付きコア金型10での装置構成図である。
図2に示すように、圧粉成形装置1は、窪み付きコア金型10の外周面10Gの外側部分に、下方から押圧力を加える下パンチ13が配置され、さらに該下パンチ13の外周面外側部分にダイ16が配置され、このダイ16、窪み付きコア金型10、および下パンチ13で形成される空間P1の上方に、上方から押圧力を加える上パンチ14が配置されている。
なお、粉体15として圧粉磁心材を用いて、圧粉成形体20の全体密度を、粉体15を構成する圧粉磁性材が真密度の92%以上となるように、プレス機の圧粉成形装置1によって荷重を加え、図4に示す構造の圧粉成形体20を製造した。
図4に示すように、圧粉成形装置1を用いることにより、ドーナツ状構造の本体部21の下面に、周方向に3個の突起部22を有する圧粉成形体20が成形される。
圧粉成形体20は、略筒形状を有するとともに、内周側に軸方向に突出した突起部22、または半径方向の段差部または窪み部、すなわち突起部22を形成する半径方向の段差部または窪み部を有している。
コア金型220で成型される圧粉成形体の粉体の真密度が高いほどコア金型220に加わる荷重が大きくなるので、コア金型220の寿命は短くなる。
これに対して、第1実施形態では、窪み付きコア金型10が、図1に示すように、窪み部7の上面7uと同一面で上部コア11と下部コア12とに上下に2分割され連結される構成なので、窪み付きコア金型10の窪み部7の上面7uと側面7sとで形成されるコーナ部7cは、別体の上部コア11と下部コア12とで形成されるため、応力集中が起こることがなく、窪み付きコア金型10に過大な応力が加わることが防止され、破損することはない。
なお、3次元有限要素法による窪み付きコア金型10に加わる応力計算を実施した結果では、窪み付きコア金型10に加わる最大の応力は、図15に示すコア金型220に加わる最大応力の約半分であった。
一方、図4に示すように、窪み付きコア金型10を用いて成型された圧粉成形体20は、突起部22の先端面24と突起部22の内周側面23との連結部25が、図1(a)に示す窪み付きコア金型10の上部コア11と下部コア12とを連結して形成されるコーナ部7cで成型されるため、応力集中が起こることはなく、曲面構造ではない非曲面構造で構成できる。
一方、前記の図14(b)の場合、図14(b)に示す圧粉成形体200のコーナ部205は、曲率半径0.5mmの曲面構造であるため、従来の図14(b)に示す先端面202のフラットな領域の面積は、Rが付く分狭くなっている。
これに対して、第1実施形態の図4(b)に示す圧粉成形体20における突起部22の先端面24と内周側面23との連結部25の曲率半径は、ほぼゼロであることから、第1実施形態の突起部22の先端面24の方が、従来の図14(b)に示す先端面202より、フラットな領域が広い。
このように、圧粉成形体20の突起部22の先端面24の平坦性が向上した場合、下記の効果が得られる。
1)圧粉成形体20の突起部22の先端面24を近接させるアキシャル・ギャップモータのような製品では、圧粉成形体20で形成される回転子と固定子との間隔が狭いので、先端面24がフラットの方が、位置決めの基準面が明らかで位置決めし易い。そのため、アキシャル・ギャップモータの回転子が固定子と接触することが防止され回転が停止することはない。よって、回転子の固定子との接触に起因するノイズの発生を抑制できる。
圧粉成形体20の突起部22の先端面24と平面状の材料との接続時に、先端面24のフラットな領域で形成される接続面を最大とすることが可能であり、接続面間の接触力を向上できる。更に、フラットな先端面24により密着性が向上し、無駄なスペースを無くすことができる。
3)圧粉成形体20の先端面24で構成される全端面がフラットな方が、幅の薄い、幅寸法δが小さい機器向けに、薄型にできる点で好ましい。
ここで、第1実施形態では、曲率半径Rがゼロの場合で説明したが、曲率半径Rが有限の場合でも、R/δ<0.2mm、若しくは、R<0.1mmであれば上記効果は十分得られる。
また、圧粉成形体20の全体密度を、粉体を構成する物質の真密度の92%以上と高密度化することにより下記効果が得られる。
2)搭機部品の様に限られたスペースに搭載する場合、フラットな先端面24により密着性が向上し、有効である。
3)削らず熱を加えず最終形状に成形できるネットシェイプ鍛造で成形可能であり、生産性が向上する。
4)必要がない曲面形状を避け得るので、磁束の歪みが防止され磁束密度が向上し、モータ出力や、モータトルクが大きくなる。
5)従来と同等の磁束密度が必要な場合、圧粉成形体20の磁束密度の向上を図れるので、圧粉磁心を小型化することができる。
また、圧粉成形体20の全体密度が、粉体を構成する物質の真密度の94%以上、96%以上と高くなるにつれ、上記効果はさらに高まる。
1)、窪み付きコア金型10に加わる応力が平均化し、圧粉成形体20の密度を均一化できる。
2)圧粉成形体20の一部に集中する残留応力を低減でき、圧粉成形体20のヒステリシス損が低減する。
3)粉体に絶縁被覆を施した圧粉磁心材を利用している場合、圧粉成形体20に加わる応力が平均化して集中しないため、その絶縁被覆の破壊が低減し、渦電流損が削減する。
4)窪み付きコア金型10の金型寿命が長くなる。
第1実施形態では、図4に示すように、圧粉成形体20の突起部22の数が3個の場合を示したが、3個以外のものでも同様の効果がある。
第2実施形態の3D(ディメンション)モータの固定子のコアを圧粉成形する場合を、図5〜図8を用いて説明する。
図5は、3Dモータコアを圧粉成形する圧粉成形装置1の構成を示す要部断面図であり、圧粉成形直後で圧粉成形体の抜き出し前の装置構成を示している。
図5の中心線cの左側は、窪み構造である窪み部37が有る部分の上部コア31kでの装置構成、中心線cの右側は窪み構造無し部分の上部コア31nの装置構成を示している。なお、図5の圧粉成形装置1は、図6に示すF−F線断面の圧粉成形体50を成形する場合を示している。
窪み付きコア金型30の上部コア31と下部コア32は、分割面30Bの中央部分において、上部コア31の短円柱様凹部形状の凹部31oと、該凹部31oに嵌入される凸部32tが下部コア32に形成されており、下部コア32の凸部32tに上部コア31の凹部31oを嵌め込むことにより、上部コア31と下部コア32とが連結されている。
この窪み付きコア金型30において、上部コア31の下面および下部コア32の上面が平面である分割面30Bで、上部コア31と下部コア32とが2分割されることから、窪み付きコア金型30の窪み部の上面37uと、これに連結する窪み部の側面37sとで形成されるコーナ部37cは、非曲面構造の角張った例えば、垂直面或いは非垂直面の形状にすることができる。
上部コア31および下部コア32の分割面30Bを成す両面と、分割面30Bと同一面をなす窪み部上面37uと、これに連結する窪み部側面37sには、ショットピーニングが施され、残留圧縮応力が加えられている。
なお、窪み付きコア金型30に隣接する下パンチ41は、内周方向に窪み付きコア金型30が配置される窪み構造を有しており、また、下パンチ40は、内周方向に下パンチ41が配置される窪み構造を有している。
なお、図6は、図5に示す圧粉成形装置1により成形された圧粉成形体50をモータの固定子に適用した例を示す斜視図であり、図7は、圧粉成形装置1により成形された圧粉成形体50を大きなモータの固定子に適用した例を示す斜視図である。
図8(a)、図8(c)は、圧粉成形装置1により成形された圧粉成形体50、50のモータの固定子の斜視図であり、図8(b)は、これらの圧粉成形体50、50のモータの固定子により挟着される電流を流すためのコイル59の斜視図である。
従来、このような高密度では、前記の図15に示すように、段付きコア金型220のコーナ部226で亀裂が生じ、コア金型220が短期間で破損する。この状況は、段付きコア金型220を用いて成形される成形体の材料の密度が高くなるほど、コア金型220に加わる荷重が大きくなるため、寿命が短くなる。
しかし、本第2実施形態においては、窪み付きコア金型30の窪み部37のコーナ部37cが、上部コア31と下部コア32とが分割され連結され構成されているため、窪み付きコア金型30の破損が防止される。
前記の成形により、図6、図7、図8(a)、図8(c)に示すように、環状構造体51の上面に突起部52が周方向に12個(図6)および30個(図7)存在している圧粉成形体50が成形される。
圧粉成形体50は、略筒形状を有するとともに、内周側に軸方向に突出した突起部52、または半径方向の段差部または窪み部、すなわち突起部52を形成する半径方向の段差部または窪み部を有している。
すなわち、図6に示すように、圧粉成形体50の突起先端面53と内周側面54との連結部55を曲面構造ではなく、非曲面構造の垂直面等で構成できることから、先端面53の幅δが狭い場合でも、先端面53の平らな領域の面積を大きくできる。
1)圧粉成形体50の突起部52の先端面53で重ね合わせていくとき、平らな面の方が、密着力が向上する。
先端面53と平面状の材料の接続時に、平らな領域が大きい先端面53で接続面を最大化することができ、接触力を向上できるとともに、無駄なスペースを無くすことができる。
2)先端面53が平らな方が幅の薄い機器向けに、薄型にできる点で好ましい。
本第2実施形態では、曲率半径Rがゼロの場合を例示して説明したが、曲率半径Rが有限でも、R/δ<0.2、若しくはR<0.1mmであれば上記効果は十分得られる。なお、図6に示すように、δは圧粉成形体50の突起部52の先端面53の幅寸法である。
さらに、R/δ<0.1、R/δ<0.05と小さな値になるにつれ、上記効果は高まり、また、R<0.1mm、R<0.05mmと小さな値になるにつれ、上記効果は高まる。
1)圧粉成形体50が高密度化することにより堅くなり、圧粉成形体50の強度が向上する。
2)搭機部品である場合のように限られたスペースに圧粉成形体50を搭載する場合、有効である。
3)ネットシェイプ鍛造で圧粉成形体50の成形が可能であり、生産性が向上する。
4)圧粉成形体50をより所望の形状に成形できるので、磁束の歪みが抑制され磁束密度が向上し、磁束密度に依存するモータ出力や、モータトルクが大きくなる。
5)従来と同等の磁束密度とする場合、圧粉成形体50の磁束密度が高いため、圧粉成形体50で構成する圧粉磁心を小型化することが可能である。
圧粉成形体50の全体密度が、粉体を構成する物質の真密度の94%以上、96%以上と高くなるにつれ、上記効果はさらに高まる。
1)圧粉成形体50に加わる応力が平均化し、成形体密度を均一化できる。
2)圧粉成形体50の一部に集中する残留応力を低減でき、ヒステリシス損が低減する。
3)粉体に絶縁被覆を施した圧粉磁心材を利用している場合、圧粉成形体50に加わる応力が平均化して集中しないため、その絶縁被覆の破壊が防止され、渦電流損が低下する。
4)窪み付きコア金型30における応力集中が防止されるので、過大な応力がかかることがなく金型寿命が長くなる。
5)上述のことから、モータの部品、アクチュエータの部品、または電装部品に使用した場合に効果がある。
第1実施形態、第2実施形態において、圧粉成形体20、50の先端面24、53或いは窪み面の内周側面23、54に連結する複数面の中で、2面以上と連結するコーナ部25(図4参照)、55(図6参照)等が非曲面構造の垂直面、非垂直面等の角張った形状である場合、下記に示すように先端面或いは窪み面をフラットにしたことの効果はさらに高まる。
2)突起部22、52の先端面24、53(図4、図6、図7参照)で重ね合わせていく場合、平らな面の方が、接触面積が拡大し密着力が向上する。
先端面24、53と平面状の材料の接続時に、接続面を先端面24、53全面と最大化することができ、接触力を向上することが可能であり、更には、無駄なスペースを無くすことができる。
3)突起部22、52の先端面24、53が、平らな方が幅の薄い、幅寸法の小さい機器向けに、薄型にできる点で好ましい。
特に、モータの部品、アクチュエータの部品、電装部品に効果がある。
第1実施形態、第2実施形態において、圧粉成形体20、50(図4、図6参照)の外周の平均半径をAとするとき、突起部22、52の先端面24、53、若しくは窪み構造の径方向の幅δはδ/A<0.2若しくは、δ<3mmの場合、突起部22、52で形成するリングの幅が狭くなる。
δ/A<0.1、δ/A<0.05と小さくなるにつれ、またはδ<2mm、δ<1mmと小さくなるにつれ、より、コンパクト性が高まる。
この第4実施形態の圧粉成形体20、50を、モータの部品、若しくはアクチュエータの部品、電装部品に使用した場合、効果がある。
第1実施形態、第2実施形態において、圧粉成形体20、50の突起高さ、若しくは段差高さ、若しくは窪みの高さをh(図4、図6参照)とすると、h/δ>2では、成形体20、50の突起部22、52のリングの幅δは狭く、かつhに関係する厚みがある部品となる。
成形体20、50の突起部22、52のリングの幅δを狭くしても、先端面24、53が平らであるため、部品特性を変化させず、圧粉成形体20、50をコンパクトにできる。また、h/δ>4、h/δ>8となるにつれ、よりコンパクト性が高まる。
この第5実施形態の圧粉成形体20、50を、比較的厚さがあるモータの部品、アクチュエータの部品、電装部品に使用した場合に効果がある。
第1実施形態、第2実施形態における圧粉成形体20、50の成形において、突起部22、52(図4、図6参照)の部分に加わる荷重を大きくして、突起部22、52の部分の密度を真密度の94%以上とすることで下記の効果がある。
1)突起部22、52の部分の密度が高まることから、圧粉成形体20、50の強度が向上する。
2)搭機部品の様に限られたスペースに圧粉成形体20、50を搭載する場合、有効である。
3)ネットシェイプで成形可能であり、生産性が向上する。
さらに、圧粉磁心材を使ったモータコアなどの成形に活用した場合、下記の効果がある。
4)従来と同等の磁束密度とした場合、圧粉磁心材の密度が高まることから同体積で高磁束が得られ、圧粉磁心を小型化することができる。
突起部22、52の部分の密度が真密度の96%以上、98%以上となるにつれ、上記効果はさらに高まる。
5)圧粉成形体20、50を、モータの部品、アクチュエータの部品、電装部品に適用した場合、効果がある。
第1実施形態、第2実施形態において成形した成形体の突起部22、52の部分、若しくは窪み部分の形状に対応させて、コア金型分割面の上部の分割金型要素のみを変更または取り替えることにより、低コストで、かつ早く金型を変更可能である。
次に、第8実施形態について、図9、図10を用いて説明する。
第8実施形態の圧粉成形装置61(図9、図10参照)は、第1実施形態の窪み付きコア金型10と同様な形状の再成形用窪み付きコア金型10'を用いて、既に製造した圧粉成形体60の形を整えたり、或いは、密度を高める成形、もしくは、圧粉成形した成形体を焼結した後、焼結体60の寸法を矯正し、密度を高める再成形(いわゆる、再圧若しくは再圧縮)を行う場合を例示している。
ここで、第8実施形態の再成形用窪み付きコア金型10'は、図1に示す窪み付きコア金型10と同様な形状であるので、図1に示す窪み付きコア金型10の符号に'(ダッシ)を付して示し、詳細な説明は省略する。
図9に示すように、圧粉成形装置61は、再成形用窪み付きコア金型10'の外周面10G'の外側部分に、下方から押圧力を加える下パンチ63が配置され、さらに該下パンチ63の外周面外側部分にダイ66が配置され、このダイ66、再成形用窪み付きコア金型10'、および下パンチ63で形成されるキャビティの空間P6の上方に、上方から押圧力を加える上パンチ64が配置されている。
ここで、図9に示すように、再成形用窪み付きコア金型10'の上端面とダイ66の上端面を一致させているので、再成形用窪み付きコア金型10'がダイ66より上方に突出せず、既製造の圧粉成形体60または焼結体60を、横方向からキャビティの空間P6にセットすることが可能で、セットが容易に行える。これに対して、セット時に、再成形用窪み付きコア金型10'の上端面を、ダイ66の上端面より突出させて構成した場合には、既製造の圧粉成形体60または焼結体60を、再成形用窪み付きコア金型10より高い位置からセットしなければならないため、セットがしにくい。
ここで、図10に示すように、再成形用窪み付きコア金型10'の窪み部および下パンチ63で下方から再成形を行うため、該窪み部7'および下パンチ63による圧粉再成形体60'への加圧力が発生し、再成形用窪み付きコア金型10および下パンチ63は、ダイ66に対して相対的に上昇することになる。
第9実施形態の窪み付きコア金型80を、図11〜図13を用いて説明する。
図11(a)は上部コア81と下部コア82が連結された窪み付きコア金型80の斜視図であり、図11(b)は上部コア81と下部コア82が分離された窪み付きコア金型80の斜視図である。
図11(a)に示すように、窪み付きコア金型80は、略円柱状の形状を呈しており、下側部に半径方向に凹んだ窪み形状の窪み部87が、周方向に3個存在する。
図11に示すように、窪み付きコア金型80における上下のコア81、82の分割面80Bは、窪み部87の上面87uと同一面を成している。
さらに、下記の図12、図13に示す構造の圧粉成形装置90、95で、既に成形済みの成形体の再成形を行える。
なお、再成形とは、既に製造した圧粉成形体の形を整えたり、或いは、密度を高める成形、もしくは、圧粉成形した成形体を焼結した後、焼結体の寸法を矯正し、密度を高める成形(いわゆる再圧)をいう。
この構成の圧粉成形装置90で再成形を行うに際しては、窪み付きコア金型80を下方に移動させて圧粉成形体70もしくは焼結体70の内孔に窪み付きコア金型80を嵌合させるとともに、上パンチ91を下方に移動させる。そして、圧粉成形体70もしくは焼結体70に、下パンチ93、上パンチ91および窪み付きコア金型80の窪み部で圧力を加えることにより、再成形が行われる。
この構成の圧粉成形装置95で再成形を行うに際しては、窪み付きコア金型80を下方に移動させて圧粉成形体71もしくは焼結体71の内孔に窪み付きコア金型80を嵌合させるとともに、上パンチ96および99を下方に移動させる。そして、圧粉成形体71もしくは焼結体71に、下パンチ98、および上パンチ96と99、および窪み付きコア金型80の窪み部で圧力を加えることにより、再成形が行われる。
粉体の真密度が高いほど、成形時の圧力は高まるため、コア金型に加わる荷重は高くなり、コア金型の寿命は短くなる。
しかし、第9実施形態では、窪み付きコア金型80が窪み部上面87uと同一面の分割面80Bで上下に分割され連結され構成されるため、応力集中等の過大な応力が窪み付きコア金型80に働くことが防止され、破損しない。
また、前記実施形態においては、コア金型の上部コアと下部コアとが、中央部分でボルト締結、ネジ締結、あるいは一方のコアに凹部を形成し他方のコアに凸部を形成して嵌め込みによって締結する場合を例示したが、中央部分以外で締結し連結してもよい。
また、特許請求の範囲に記載した筒状部材は、同心の内周面と外周面を有する部材であり、外径に比して高さが小さい環状のものも含むものである。
3…凹部、
4…凸部、
7、7'、37、87…窪み部、
7c、37c、87c…コーナ部、
7u、7u'、37u、87u…窪み部の上面、
10、30、80…窪み付きコア金型(成形用コア金型)、
10'…再成形用窪み付きコア金型(再成形用コア金型)、
10B、30B、80B…分割面、
10G、30G、80G…外周面、
11、11'、31、81…上部コア(上下に分割されたコア)、
12、12'、32、82…下部コア(上下に分割されたコア)、
13、40、41、93、98…下パンチ、
14、44、91、96…上パンチ、
15、45…粉体、
16、46、92、97…ダイ、
20、50…圧粉成形体(筒状部材)、
22、52…突起部(突出部)、
R…曲率半径(コーナ部の曲率半径)、
δ…突起部の先端面の幅寸法(段差部の半径方向の幅)
Claims (8)
- 略筒形状を有するとともに内周側に軸方向に突出した突出部または半径方向の段差部または窪み部を有する筒状部材を圧粉成形するために使用する成形用コア金型であって、
外周面の少なくとも一部に中心方向に窪んだ窪み部を有し、該窪み部の上面と同一面で上下に2分割され、分割された面同士が機械的に締結され又は接着材により接着されている
ことを特徴とする筒状部材の成形用コア金型。 - 請求項1において、
前記上下に分割されたコア同士が、前記分割面の中央部分でボルト締結、ネジ締結、或いは一方のコアに凹部を形成し他方のコアに凸部を形成して嵌め込みによって締結されている
ことを特徴とする筒状部材の成形用コア金型。 - 請求項1において、
前記上下に分割されたコアの少なくとも一方の分割面にショットピーニングによる表面処理が施され、圧縮残留応力が与えられている
ことを特徴とする筒状部材の成形用コア金型。 - 請求項1において、
圧粉成形される筒状部材の形状に対応させて上下に2分割されたコアのうち上部のコアが変更可能である
ことを特徴とする筒状部材の成形用コア金型。 - 請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載の筒状部材の成形用コア金型において、
前記窪み部の上面と前記窪み部の側面との連結部であるコーナ部が、非曲面構造の角張った形状であるか、または、前記コーナ部の曲率半径をR、前記窪み部の半径方向の幅をδとした場合にR/δ<0.2を満足するか、または、前記コーナ部の曲率半径をRとした場合にR<0.2mmであるか、のうちの少なくとも何れか1つである
ことを特徴とする筒状部材の成形用コア金型。 - 請求項1から請求項5のうちの何れか一項に記載の筒状部材の成形用コア金型の外側に、上パンチと下パンチを配置し、その外側にダイを配置した構造を有し、前記上パンチと前記下パンチの間に充填された粉体を、前記上パンチと前記下パンチと成形用コア金型を相対的に移動させることによって成形する
ことを特徴とする筒状部材の成形装置。 - 外周面の少なくとも一部に中心方向に窪んだ窪み部を有し、前記窪み部の上面と同一面の分割面で上下に2分割され、前記分割面で上下のコアが締結部材により機械的に締結され又は接着材により接着されている成形用コア金型の外側に上パンチと下パンチを配置し、その外側にダイを配置して、前記上パンチと前記下パンチの間に充填した粉体を、前記上パンチと前記下パンチを相対的に移動させるとともに、前記成形用コア金型を移動させることにより前記上パンチ、前記下パンチおよび前記成形用コア金型の前記窪み部で圧粉成形し、略筒形状を有し内周側に段差または窪みを有する筒状部材を製造する
ことを特徴とする筒状部材の成形方法。 - 略筒形状を有するとともに内周側に軸方向に突出した突出部または半径方向の段差部または窪み部を有する筒状部材を圧粉成形するために使用する再成形用コア金型であって、
外周面の少なくとも一部に中心方向に窪んだ窪み部を有し、前記窪み部の上面と同一面で上下に2分割され、分割された面同士が機械的に締結され又は接着材により接着されている
ことを特徴とする筒状部材の再成形用コア金型。
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