しかしながら、上記従来の構成でも、検査者が目視により、主走査方向、副走査方向に生じる、画像の位置のわずかなずれ量を短時間で確認するには熟練を要し、かつ、困難を強いる作業であるといった問題が、以前としてある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、主走査方向及び副走査方向への画像の位置ずれ量を容易に確認することができる、画像の位置ずれ検査シート作成装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供するものである。
本発明に係る検査シート作成装置は、上記課題を解決するために、複数の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットで形成された画像を重ね合わせて重畳画像とし、該重畳画像を担持したシートを排出する画像形成装置より、前記画像形成ユニット間における画像位置のずれ量を検出するための検査シートを出力させる検査シート作成装置において、以下の手段を講じている。
即ち、第1画像形成ユニットにて形成される第1検査パターンの画像を生成する第1検査パターン生成部と、第2画像形成ユニットにて形成される第2検査パターンの画像を生成する第2検査パターン生成部と、画像形成装置に指示して、第1画像形成ユニットにて第1検査パターンの画像を形成させ、第2画像形成ユニットにて第2検査パターンの画像を形成させ、形成された第1、第2の各検査パターンの画像を重ね合わせて検査パターン重畳画像とし、該検査パターン重畳画像をシートに担持させて排出させる指示部とを備え、前記第1検査パターンは、N(N:正の整数)ドット間隔にて縦横が区切られたマトリクス領域に、升目を埋める正方形パターンが市松模様状に配されてなる第1マトリクスパターンを含み、前記第2検査パターンは、NドットとN−a(a:正の整数)ドットの2種類の間隔にて縦横が区切られると共に、N−aドット間隔を有する行と列とが、Nドット間隔を有する行或いは列M(M:2以上の正の整数)本置きに所定の周期で配されたマトリクス領域に、升目を埋める正方形パターン或いは矩形パターンが市松模様状に配されてなる第2マトリクスパターンを含み、前記第1マトリクスパターンと前記第2マトリクスパターンとは、予め定める重ね合わせの基準にて重ね合わされた場合に、前記重ね合わせの基準に最も近い縦横M×Mの正方形の升目にて形成される升ブロックにおいて、正方形パターンの配置位置が互いに逆の関係となっている。
これによれば、第1検査パターン生成部が、第1画像形成ユニットにて形成される第1検査パターンの画像を生成し、第2検査パターン生成部が、第2画像形成ユニットにて形成される第2検査パターンの画像を生成する。
そして、指示部が画像形成装置に指示して、第1画像形成ユニットにて第1検査パターンの画像を形成させると共に、第2画像形成ユニットにて第2検査パターンの画像を形成させ、これらを重ね合わせて検査パターン重畳画像とし、シートに担持させて排出させる。これが、画像の位置ずれ量を求めるための検査シートである。
上記第1検査パターンは、N(N:正の整数)ドット間隔にて縦横が区切られたマトリクス領域に、升目を埋める正方形パターンが市松模様状に配されてなる第1マトリクスパターンを含んでいる。
また、第2検査パターンは、NドットとN−a(a:正の整数)ドットの2種類の間隔にて縦横が区切られると共に、N−aドット間隔を有する行と列とが、Nドット間隔を有する行或いは列M(M:2以上の正の整数)本置きに所定の周期で配されたマトリクス領域に、升目を埋める正方形パターン或いは矩形パターンが市松模様状に配されてなる第2マトリクスパターンを含んでいる。
そして、これら第1マトリクスパターンと第2マトリクスパターンとは、予め定める重ね合わせの基準にて重ね合わされた場合に、前記重ね合わせの基準に最も近い縦横M×Mの正方形の升目にて形成される升ブロックにおいて、正方形パターンの配置位置が互いに逆の関係となっている。
ここで、具体例として、前記Mが3であり、第2マトリクスパターンにおいて、N−aドット間隔を有する行と列とは、Nドットの間隔を有する行或いは列3本置きに配置され、検査パターン重畳画像における升ブロックが3×3である場合を例示して説明する。
この例を、異なる表現を用いて説明すると、第1検査パターンに含まれる第1マトリクスパターンは、1辺がNドットの正方形パターンが、縦横3×3ずつの9つの升目(升ブロックに相当)に市松模様状に配されてなる第1基本パターン団を、Nドットの間隔を隔てて複数配置し、かつ、該間隔領域に、市松模様状を保持するように、1辺がNドットの正方形パターンを配置してなる構成と表現できる。
また、同様に、第2検査パターンにおける第2マトリクスパターンは、1辺がNドットの正方形パターンが縦横3×3の9つの升目(升ブロックに相当)に市松模様状に配されると共に、前記第1基本パターン団とは正方形パターンの配置が逆をなしている第2基本パターン団を、N−aドットの間隔を隔てて複数配置し、かつ、該間隔領域に、市松模様状を保持するように、1辺がN−aドットの正方形パターン、或いはN×(N−a)ドットの矩形パターンを配置してなる構成と表現できる。
そして、第1マトリクスパターンと第2マトリクスパターンとは、予め定める重ね合わせの基準を基に重ね合わせた場合に、重ね合わせの基準に最も近い第1基本パターン団と、第2基本パターン団とが、互いの空の升目を埋め合うように重畳される、と表現することもできる。
上記構成によれば、検査シートに担持されている検査パターン重畳画像においては、第1基本パターン団と第2基本パターン団とが重なり合ってなる重畳基本パターン団が、マトリクス状(行列状)に形成される。第1基本パターン団と第2基本パターン団とは、基本パターン団同士を繋ぐ間隔が異なっているので、重ね合わせ基準に最も近い位置にある重畳基本パターン団を除いて、互いの空の升目を完全に埋め合って重なり合うことは、位置ずれが無い限り、基本的には起こらない。
つまり、第1画像形成ユニットと第2画像形成ユニットとの間に画像の位置ずれがない場合、重ね合わせ基準に最も近い位置にある第1基本パターン団と第2基本パターン団とは、空の升目を埋め合うように重なり合い、重畳基本パターン団は、9つの升目全てが色材(トナー像、インク)で隙間無く完全に埋め尽くされた状態となる。
これに対し、位置ずれがある場合、全ての升目が色材で埋め尽くされた状態となる重畳基本パターン団の位置が、画像位置のずれている方向に、かつ、ずれ量に応じて移動する。
例えば、上記Nを10、aを1とし、第1基本パターン団を10ドット間隔で繋ぎ、第2基本パターン団を9ドット間隔で繋ぎ、第2画像形成ユニットの画像位置が左に1ドット、下に3ドットずれていた場合を想定する。
この場合、重ね合わせの基準に最も近い位置にある重畳基本パターン団が含まれる行と列を基準として、左方向に2列目の位置にあり、下方向に4行目の位置にある重畳基本パターン団が、完全に重なり合うこととなる。
即ち、本発明の検査シートを用いることで、上記の例においては、1ドットのずれを、40ドットの位置変化(N×Nドットの升目4つ分の位置変化)として認識できることとなる。したがって、画像の1ドットのずれを、そのまま1ドットのずれとして確認する方法よりも、容易にかつ短い時間にて、画像位置のずれを確認することができ、画像形成装置における、画像形成ユニット間の画像位置を調整するにあたり、困難な作業を強いることもなく、熟練を要することも無い。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記第2マトリクスパターンにおいて、M×Mの升ブロックが縦、横に並ぶ数は、N/a(余り繰り上げ)、或いはこれよりも少ない構成とすることが好ましい。
これはすなわち、M×Mの升ブロックが縦、横に並ぶ数、つまり、上記した第1、第2の基本パターン団の数を、N/a(余り繰り上げ)、或いはN/a(余り繰り上げ)よりも少ない構成とするということである。
1〜Nドットまでの画像の位置ずれは、第1、第2の基本パターン団をN/a(余り繰り上げ)個をつなげることで検出できるので、これ以上つなげても、無駄に検査パターン重畳画像のサイズが大きくなるだけであり、色材の消費が増す。このような範囲とすることで、画像の位置調整で消費する色材の量を、抑えることができる。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記第1、第2の検査パターンはそれぞれ、Nドットの間隔を隔てて縦横2×2に配置された4つの前記第1或いは第2のマトリクスパターンを有しており、第1、第2の検査パターンにおける前記重ね合わせの基準は、縦横2×2に配置された前記4つの第1或いは第2のマトリクスパターンにおける配置中心に設定されている構成とすることが好ましい。
これによれば、第1画像形成ユニットと第2画像形成ユニットとの間に画像の位置ずれがない場合、重ね合わせ基準のある、検査パターン重畳画像の中心部に位置する重畳基本パターン団が隙間無く埋まるので、検査パターン重畳画像の中心部の濃度が高くなる。
一方、位置ずれが起こると、そのずれの方向、及びずれ量に応じて、隙間無く埋まった重畳基本パターン団の位置が、検査パターン重畳画像の中心部からずれるので、濃度の高い位置もずれる。
したがって、第1、第2のマトリクスパターンを1つのみ含み、その中心部に、重ね合わせの基準を設けた構成の検査パターンよりも、このような検査パターンの方が、より容易に画像の位置ずれを検出できる。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記N、aが変更可能である構成とすることが好ましい。
Nは、検出可能なずれ量の最大値を規定するものであり、例えば、Nが10、aが1の場合、この検査シートにおいては1〜10ドットのずれまでは検出できるが、11ドットのずれは、1ドットのずれと同じとなるため検出できない。
そこで、11ドット以上のずれも考えられるような画像形成装置の場合は、Nを20ドットとした検査シートを作成することで、11ドット以上のずれでも、検出することが可能となる。
このように、N、aが変更可能な構成としておくことで、無駄に大きな検査パターンとすることなく、画像ずれ量の大小に対応した適切なサイズの検査パターンを作成することができる。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記aが、前記画像形成ユニットにおける画像位置の調整単位に応じて設定される構成とすることもできる。
aは、検出可能なずれ量の単位を規定するものであり、例えば、aが1の場合、ずれを1ドット毎に検出でき、aが2の場合、ずれを2ドット毎に検出する。したがって、画像形成ユニットにおける画像位置の調整単位が2ドットである場合に、1ドット単位で検出できるようにしても無駄になる。1ドット単位で検出できる検査シートの大きさは、2ドット単位で検出できる検査シートのサイズの約4倍に相当し、色材の無駄な消費につながる。
そこで、このように、aを前記画像形成ユニットにおける画像位置の調整単位に応じて設定しておくことで、無駄に大きさ検査パターンが形成される不具合を回避して、適切なサイズの検査パターンを作成することができる。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記Nが10〜20である構成とすることもできる。
Nを10〜20とした検査パターンとすることで、ほとんどの画像形成装置において、画像の位置ずれを調整することが可能である。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記画像形成装置が、3つ以上の画像形成ユニットを備える場合、複数ある画像形成ユニットのうちの1つを第1画像形成ユニット、残りを第2画像形成ユニットとし、前記指示部は、前記画像形成装置に指示して、第1画像形成ユニットにて第1検査パターンの画像を第2画像形成ユニットの数に応じて複数個位置をずらせて形成させると共に、各第2画像形成ユニットそれぞれに、第2検査パターンの画像を形成させる構成とすることもできる。
このような構成によれば、3つ以上の画像形成ユニットを備える画像形成装置においても、複数ある画像形成ユニットの各画像の位置ずれを、1枚の検査シートにて検出し、調整することができる。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記指示部は、前記画像形成装置に指示して、第1、第2の各検査パターンの画像を、シートのシート搬送方向と直交する方向の両側端部に形成させる構成とすることもできる。
これによれば、検査パターン重畳画像は、シートのシート搬送方向と直交する方向の両側端部に形成されるので、画像形成装置の前面側と背面側についてそれぞれ画像の位置ずれ量を検出することができる。
したがって、書込み装置が例えばLSU装置であれば、出射部に設けられたシリンドリカルレンズを長手方向に対して傾斜させて、傾きがなくなるよう調整することで、書込み開始のタイミングのずれに起因した画像ずれの調整だけでなく、書込み装置の取り付けに起因した画像ずれも調整することができる。
本発明の検査シート作成装置においては、さらに、前記画像形成装置と、通信ネットワークを介して接続されており、前記指示部が通信ネットワークを介して前記画像形成装置に指示する構成とすることもできる。
このような構成とすることで、通信ネットワークを介して接続されている複数の画像形成装置に対して、1つの検査シート作成装置にて検査シートの排出を指示できるので、複数の画像形成装置を使用する作業環境において、有効である。
本発明の画像形成装置は、上記した本発明の検査シート作成装置を備えることを特徴としている。
本発明の検査シート作成装置を搭載することで、容易にかつ短い時間にて、画像形成ユニット間における画像位置のずれを確認して、困難な作業を強いることもなく、熟練を要することも無く、容易に画像の位置ずれを調整することが可能となる。
また、上記検査シート作成装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各部として動作させることにより、上記検査シート作成装置をコンピュータにて実現させるプログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
以上のように、本発明の検査シート作成装置、及びこれを搭載した本発明の画像形成装置によれば、容易にかつ短い時間にて、画像形成ユニット間における画像位置のずれを検出することができ、困難な作業を強いることもなく、熟練を要することも無く、容易に画像の位置ずれを調整することが可能となるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図15に基づいて説明すると以下の通りである。
図2に、本実施形態の画像の位置ずれ検査シート作成装置を備えた画像形成装置100の概要を示す。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するもので、装置本体110と、装置本体110の上に配された自動原稿処理装置120とを備えている。
装置本体110は、画像データに基づいて画像をシート(記録用紙)上に形成するもので、プリンタに相当するものである。装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等を有して構成されている。
装置本体110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側に、自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図2に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
露光ユニット1は、画像書込み装置に該当するものであり、例えば、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)にて構成される。露光ユニット1は、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。露光ユニット1を構成する光走査装置の構成については、後述する。なお、露光ユニット1としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いることもできる。
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。また、各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなどを用いることもできる。
上述のように、各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト61の回転によって、後述のシートと中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によってシート上に転写される。
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーをシートに転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10もしくは前記中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が用いられる。
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によってシートに転写が行われず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
給紙カセット81は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110の露光ユニット1の下側に設けられている。また手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを置くことができる。また、装置本体110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
また装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状のシート搬送路Sが設けられている。給紙カセット81ないし手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までのシート搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d,レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
搬送ローラ12a〜12dは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。またピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップしてシート搬送路Sに供給する。同様にまたピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップしてシート搬送路Sに供給する。
また、レジストローラ13は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ10に搬送する機能を有している。
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。またヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。またヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
次にシート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置には予めシートを収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82からシートを給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、シートを1枚ずつ搬送路Sに導くようになっている。
各給紙カセット81,82から搬送されるシートはシート搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、シート上に画像情報が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c,12dに導く。そしてその後レジストローラ13を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
図3に、本画像形成装置100の要部ブロック図を示す。
本画像形成装置100は、CPU、ROM、及びRAM等よりなる制御部31を備えている。上記ROMには、本画像形成装置100の各部を制御するために必要なプログラム等が格納されている。CPUは、ROMより読み出したプログラムに基づき、RAMを作業領域として、本画像形成装置100の各部を制御する。
なお、図3においては、制御部31にて制御される、画像形成部30、メモリ32、及び操作パネル33のみを例示し、他の部材については記載を省略している。
メモリ32には、露光ユニット1の書込み位置の調整に用いられる画像の位置ずれ検査パターンの画像データが格納されている。画像形成部30は、上記した装置本体110における、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7‥よりなり、シートに画像を形成して出力するものである。
制御部31は、画像の位置ずれ検査シートの印字出力が指示されると、メモリ32より画像の位置ずれ検査パターンの画像データを読み出して露光ユニット1に送信し、画像形成部30における感光体ドラム3上に上記検査パターンの画像データに応じた潜像を形成させる。そして、制御部31は、画像形成部30の駆動を制御して、感光体ドラム3上に形成された静電潜像をトナー像として顕像し、これをシート上に転写することで、検査シートを排出させる。
本実施形態においては、画像形成装置100に備えられた制御部31とメモリ32とで、本発明の画像の位置ずれ検査シート作成装置が構成されており、制御部31とメモリ32にて、検査シート作成装置における、第1検査パターン作成部、第2検査パターン作成部、及び指示部が構成されている。
なお、画像形成装置100とLAN等の通信ネットワークを介して接続されているパーソナルコンピュータに、画像の位置ずれ検査シート作成装置を具備させることも可能である。
操作パネル33は、使用者が、画像形成装置100に対して指示を入力するものであり、液晶表示部等の表示部と操作キーを備えている。また、操作パネル33は、サービスマン等の操作者が、画像形成装置100の各部を調整したりするのにも使用されるもので、画像の位置ずれ検査シートの印字出力の指示や、露光ユニット1の書込み位置を調整するための調整値の入力に用いられる。制御部31は、露光ユニット1の調整値が入力されると、当該調整値に基づいて、露光ユニット1の書込み位置を調整する。
以下、図1、図4〜図15を用いて、画像形成ユニット間における、露光ユニット1の書込み位置のずれ量の検出方法について説明する。
ここでは、4つある画像形成ユニットのうちの1つの画像形成ユニットを基準として、該基準の書込み位置に対する、他3つの画像形成ユニットの書込み位置のずれ量を検出する。
書込み位置のずれ量は、画像の位置を調整する被検査装置である画像形成装置100自身が、画像の位置ずれ検査パターン(以下、単に検査パターンと称する)を印字出力することで得られる、画像の位置ずれ検査シート(以下、単に検査シートと称する)を用いて検出する。
上記検査パターンは、基準となる画像形成ユニット(第1画像形成ユニット)の感光体ドラム3に静電潜像が形成されて顕像化される第1検査パターンと、調整される側の画像形成ユニット(第2画像形成ユニット)の感光体ドラム3に静電潜像が形成されて顕像化される第2検査パターンとからなる。基準となる画像形成ユニットにて形成された第1検査パターンのトナー像と、調整される側の画像形成ユニットにて形成された第2検査パターンのトナー像とは、中間転写ベルト61上で重ね合わされ、シートに転写され、検査シートが排出される。なお、中間転写ベルト61を備えないタイプの画像形成装置の場合は、第1検査パターンのトナー像と、第2検査パターンのトナー像とは、シート上で重ね合わされる。
上記基準となる画像形成ユニットとしては、本画像形成装置100のように、ブラック(K)トナーを用いる場合は、ブラックの画像形成ユニットを使用することが適している。これは、ブラックの画像は、シアン(C)、マゼンタ(M)、或いはイエロー(Y)のいずれの画像と重畳しても、画像のエッジを判別しやすいためである。なお、ブラックトナーを用いない構成では、シアン或いはマゼンタを基準とすることが適している。
図4に、基準となる画像形成ユニットにて形成される第1検査パターン210を示す。第1検査パターン210は、Nドットの間隔を隔てて縦横2×2に配置された4つの第1マトリクスパターン200−1〜200−4を有している。本実施形態ではN=10として、10ドットの間隔を保持している。縦横2×2に配置された第1マトリクスパターン200−1〜200−4における配置中心には、N×Nドットの中心点Z(重ね合わせの基準)が存在する。
ここでは、縦横2×2に配置された4つの第1マトリクスパターン200−1〜200−4の間に位置する十字の横方向に延びるラインをX軸、縦方向に延びるラインをY軸として、第1象限に位置する右上の第1マトリクスパターンを200−1、第2象限に位置する右下の第1マトリクスパターンを200−2、第3象限に位置する左下の第1マトリクスパターンを200−3、第4象限に位置する左上の第1マトリクスパターンを200−4としている。
図5に、第1マトリクスパターン200を拡大して示す。第1マトリクスパターン200は、破線L1にて示す第1基本パターン団202を基に作られている。第1基本パターン団202は、図6に示すように、N×Nドット、本実施形態ではN=10として、10×10ドットの正方形パターン201(黒ベタ部分)を、10ドット(Nドット)の間隔を隔てて市松模様状に配置した、縦横3個ずつの9つの升目(升ブロック)からなる。
第1マトリクスパターン200は、図5に示すように、このような第1基本パターン団202が複数個、縦横に10ドット(Nドット)の間隔を隔てて配置され、かつ、この10ドット(Nドット)隔てる繋ぎ領域203に、市松模様状を保持するように、10×10ドット(N×Nドット)の正方形パターン201a(クロスハッチ部分)が配置されている。
このような第1マトリクスパターン200において、トナーは、正方形パターン201(黒ベタ部分)と、正方形パターン201a(クロスハッチ部分)に付着する。
なお、図5では、第1マトリクスパターン200として、第1基本パターン団202が縦横2個ずつ4個配置されてなる構成を例示しているが、これは、第1マトリクスパターン200の1部分を示しているに過ぎない。本実施形態では、第1マトリクスパターン200は、縦横に10個(N個)ずつ配置された合計100個の第1基本パターン団202にて構成されている。
そして、このような第1マトリクスパターン200が4つ、10ドット(Nドット)の間隔を保持して縦横2×2に配置されることで、図4に示す第1検査パターン210を構成する。そして、ブラックの画像形成ユニットにおいては、このような第1検査パターン210が、マゼンタ、シアン、及びイエロー応じて、3つ形成される。
一方、図7に、調整される側のマゼンタ、シアン、及びイエローの画像形成ユニットにて形成される第2検査パターン310を示す。第2検査パターン310も、縦横2×2に配置された4つの第2マトリクスパターン300−1〜300−4よりなる。また、ここでも、4つの第2マトリクスパターン300は、第1マトリクスパターン200と同様に、10(Nドット)の間隔を保持しており、縦横2×2に配置された第2マトリクスパターン300−1〜300−4における配置中心に、N×Nドットの中心点Z(重ね合わせの基準)が存在する。
そして、第1象限に位置する右上の第2マトリクスパターンを300−1、第2象限に位置する右下の第2マトリクスパターンを300−2、第3象限に位置する左下の第2マトリクスパターンを300−3、第4象限に位置する左上の第2マトリクスパターンを300−4とする。
図8に、第2マトリクスパターン300を拡大して示す。第2マトリクスパターン300は、破線L2にて示す第2基本パターン団302を基に作られている。第2基本パターン団302は、図9に示すように、10×10ドット(N×Nドット)の正方形パターン301(グレーベタ部分)を、10ドット(Nドット)の間隔を隔てて市松模様状に配置した、縦横3個ずつの9つの升目(升ブロック)からなる。
図6と図9とを比較するとわかるように、第2基本パターン団302における正方形パターン301が配置されている升目の位置は、第1基本パターン団202の正方形パターン201が配置されている升目の位置とは逆の関係となっている。したがって、第1基本パターン団202と第2基本パターン団302とを重ね合わせた場合、9つの升目は全て、正方形パターン201,301にて、隙間なく、埋まるようになっている。
そして、第2マトリクスパターン300においても、第1マトリクスパターン200と同様に、第2基本パターン団302が複数個、縦横に所定の間隔を保持して配置されているが、隔てる間隔が第1マトリクスパターン200とが異なるのが特徴である。つまり、第1マトリクスパターン200では、図5に示したように、各第1基本パターン団202は、10ドット(Nドット)の間隔を隔てて配置されている。これに対し、第2マトリクスパターン300では、図8に示すように、各第2基本パターン団302は、Nドットよりも小さい間隔であるN−a(aは正の整数)ドット、本実施形態ではa=1としているので、9ドットの間隔を隔てて配置されている。
9ドット(N−aドット)隔てる繋ぎ領域303には、ここでも、市松模様状を保持するように、9×10ドットの略正方形パターン301a(ハッチング部分)、或いは9×9ドットの正方形パターン301b(ハッチング部分)とが配置されている。第2マトリクスパターン300において、トナーは、正方形パターン301(グレーベタ部分)、301b(ハッチング部分)、略正方形パターン301a(ハッチング部分)に付着する。
なお、図8においても、第2マトリクスパターン300として、第2基本パターン団302が縦横2個ずつ4個配置されてなる構成を例示しているが、これは、第2マトリクスパターン300の1部分を示しているに過ぎず、本実施形態では、第1マトリクスパターン200と同様に、縦横に10個(N個)ずつ、合計100個の第2基本パターン団302が配置されている。
そして、このような第2マトリクスパターン300が4つ、10ドット(Nドット)の間隔を保持して、縦横2×2に配置されることで、図7に示す第2検査パターン310を構成する。マゼンタ、シアン、及びイエローの各画像形成ユニットにおいてはそれぞれ、このような第2検査パターン310が形成される。
そして、このようなブラックの画像形成ユニットにて形成された3つの第1検査パターン210のトナー像と、シアン、マゼンタ、イエローの各画像形成ユニットにて形成された第2検査パターン310のトナー像とは、図10、図12に示すように、各々の中心点Zを一致させて、中間転写ベルト16上で重ね合わされて、検査パターンの重畳画像となり、シートに転写され、検査シートが排出される。
図10、図12は、ブラックの第1検査パターン210のトナー像と、マゼンタ、シアン、或いはイエローのうちの何れかの第2検査パターン310のトナー像とが重畳され、検査シートに印刷された、検査パターンの重畳画像の例である。
このうち、図10は、第1検査パターン210を形成した基準の画像形成ユニットと、第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットとの間に、書込み位置のずれ(画像ずれ)がない場合のものであり、図12は、書込み位置のずれがある場合のものである。
書込み位置にずれがない場合、図10に示すように、第1検査パターン210のトナー像と、第2検査パターン310のトナー像とは、中心点Zを中心に、ぴったりと重なり合う。つまり、この状態では、第1象限〜第4象限に位置する4つのマトリクスパターン重畳画像400-1〜400−4における、中心点Zに最も近い位置にある各基本パターン団重畳画像402aが、9つある升目(升ブロック)全てを正方形パターン201と正方形パターン301とで隙間なく、埋められた状態となる。
このように、検査シートに形成された検査パターン重畳画像において、中心点Zに隣接する周囲の4つの基本パターン団重畳画像402aにおいて、互いの市松模様が重なり合って、隙間が形成されていなければ、位置ずれがない状態である。
図11に、図10において第3象限に位置するマトリクスパターン重畳画像400-3を拡大して示す。図11には、破線L3にて示す4つの基本パターン団重畳画像402a〜402dが含まれている。
4つの基本パターン団重畳画像402a〜402dのうち、中心点Zに最も近い位置にある、右上の基本パターン団重畳画像402aのみ、9つある升目(升ブロック)全てが、正方形パターン201と正方形パターン301とで隙間なく、埋められている。
これに対し、右上にある基本パターン団重畳画像402aに隣接する3つの基本パターン団重畳画像402b〜402d(時計回りにb,c、d)には、1ドットの幅をもつ白抜きの隙間150が、正方形パターン301が埋める升に出現している。
この隙間150は、図8に示したように、第2マトリクスパターン300では、第2基本パターン団302同士を繋ぐ間隔が、第1マトリクスパターン200における10ドットよりもaドット分、つまり1ドット短くされていることによるものである。
詳細には、基本パターン団重畳画像402aの直ぐ下に位置する基本パターン団重畳画像402bでは、第2基本パターン団302が、対応する第1基本パターン団202よりも1ドット上方に移動したことにより、1ドット幅の横方向に延びる白抜きの隙間150が出現している。
また、基本パターン団重畳画像402aの直ぐ左横に位置する基本パターン団重畳画像402dでは、第2基本パターン団302が、対応する第1基本パターン団202よりも1ドット右に移動したことにより、1ドット幅の縦方向に延びる白抜きの隙間150が出現している。
そして、基本パターン団重畳画像402aの左斜め下に位置する基本パターン団重畳画像402cでは、第2基本パターン団302が、対応する第1基本パターン団202よりも1ドット上方に、かつ、1ドット右に移動したことにより、1ドット幅の横方向に延びる白抜きの隙間150と、1ドット幅の縦方向に延びる白抜きの隙間150とが出現している。
なお、白抜きの隙間150のサイズは、中心点Zから離れるほど大きくなる。例えば、3つの基本パターン団重畳画像402b〜402cのさらに1つ外側に隣接する基本パターン団重畳画像においては、図示してはいないが、隙間150の幅がさらに1ドット増して2ドット幅の隙間が形成され、そのさらに1つ外側に隣接する基本パターン団重畳画像においては、隙間150の幅がさらに1ドット増して3ドット幅の隙間が形成される。
このように、隙間150の幅は、中心点Zから離れるに従って、1ドット(aドット)ずつ太くなっていく。
一方、図12に示すように、書込み位置にずれがある場合は、第1検査パターン210のトナー像の中心点Zに対して、第2検査パターン310のトナー像の中心点Z’がずれてしまう。そのため、第1象限〜第4象限に位置する4つのマトリクスパターン重畳画像400-1〜400−4における、中心点Zに最も近い位置にある各基本パターン団重畳画像402aにおいて、9つある升目(升ブロック)全てが正方形パターン201と正方形パターン301とで隙間なく、埋められた状態とはならず、白抜きの隙間150が出現する。
そして、中心点Zに最も近い基本パターン団重畳画像402a以外の基本パターン団重畳画像402において、9つある升目全てが、正方形パターン201と正方形パターン301とで隙間なく、埋められた状態が出現する。
図12の例では、第3象限に位置するマトリクスパターン重畳画像400-3における、基本パターン団重畳画像402aの直ぐ左横に位置する基本パターン団重畳画像402d、及び、第4象限に位置するマトリクスパターン重畳画像400−4における基本パターン団重畳画像402aの直ぐ左横に位置する基本パターン団重畳画像402bが、全て埋まった状態となっている。
図13に、図12において第3象限に位置するマトリクスパターン重畳画像400-3を拡大して示す。図13には、破線L3にて示す4つの基本パターン団重畳画像402a〜402dが含まれている。
4つの基本パターン団重畳画像402a〜402dのうち、中心点Zに最も近い基本パターン団重畳画像402aには、横方向に延びる白抜きの隙間150は出現していないものの、1ドット幅の縦方向に延びる白抜きの隙間150が出現している。これは、第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットにおいて、図において縦方向の書込み位置のずれはないが、横方向の書込み位置に1ドットのずれがあった状態である。
図13において、縦方向(Y軸方向)が主走査方向、横方向(X軸方向)が副走査方向であるとした場合、第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットにおける書込み位置が、副走査方向に1ラインずれていることとなる。そして、より詳細には、図において、右から左へとシートが搬送されているのであれば、第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットにおける書込み開始のタイミングが、基準の画像形成ユニットにおける書込み開始のタイミングよりも、1ライン分速いということであり、書込み開始のタイミングを、1ライン遅らせるような調整が行われる。
そして、ここで注目すべきは、図13において、中心点Zに最も近い基本パターン団重畳画像402aの直ぐ左横に位置する基本パターン団重畳画像402dが、9つある升目全て埋まった状態となっている点である。
第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットの書込み位置が、右方向に1ドットずれることにより、第2検査パターン310が全体的に左方向にずれ、このずれにて、左方向に隣り合う第2基本パターン団302間の間隔を1ドット狭くした分が吸収されてしまい、中心点Zに最も近い基本パターン団重畳画像402aの直ぐ左横に位置する基本パターン団重畳画像402dにおいて、全ての升目に隙間150が形成されない状態となった。
これはつまり、この検査シートにおいては、わずか1ドットのずれを、9つ全ての升目が埋まった状態の基本パターン団重畳画像の移動量40ドット(N×Nドットの升目4つ分の位置変化)として検出できるということである。
なお、ここでは左方向のずれのみを示したが、仮に、第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットの書込み位置が、右方向に2ドットずれていた場合は、このずれは、第1、第2象限に配された、マトリクスパターン重畳画像400−1、400‐2において、中心点Zに最も近い基本パターン団重畳画像から数えて、右に2つ目の基本パターン団重畳画像が、9つある升目全て埋まった状態となる。
そして、上下方向においても同様であり、仮に、第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットの書込み位置が、上方向に2ドットずれていた場合は、このずれは、第1、第4象限に配された、マトリクスパターン重畳画像400−1、400‐4において、中心点Zに最も近い基本パターン団重畳画像から数えて、上に2つ目の基本パターン団重畳画像が、9つある升目全て埋まった状態となる。
図1に、ある画像形成装置より排出された検査シートにおける第3象限に位置するマトリクスパターン重畳画像の状態を拡大して示す。中心点Zに最も近い、[B]の基本パターン団重畳画像(1行目1列目)から数えて、左に2つ目(3列目)、下に1つ目(2行目)の位置にある[A]と記した基本パターン団重畳画像において、9つある升目全て埋まった状態となっている。
調整者は、この検査シートより、第2検査パターン310を形成した画像形成ユニットの書込み位置は、基本の画像形成ユニットに対して、左に2ドット、下方向に1ドットずれていると判断する。
図14に、検査パターン重畳画像のイメージ図を示す。調整者は、このような検査シートを拡大して実際に、9つある升目全て埋まった状態となっている基本パターン団重畳画像の移動量を計測してもよいし、9つある升目全て埋まった状態となっている基本パターン団重畳画像は、濃度が最も高くなるので、画像の濃度を基に、濃度の高い部分の位置の変化から、ずれの方向及び量を算出してもよい。
なお、上記した第1、第2の基本パターン団202,302を配置する数は、N/a(余り繰り上げ)、或いはN/a(余り繰り上げ)よりも少ない構成とすることが望ましい。これは、1〜Nドットまでの画像の位置ずれは、第1、第2の基本パターン団202,302をN/a(余り繰り上げ)個をつなげることで検出でき、これ以上つなげても、無駄に検査パターン重畳画像のサイズが大きくなるだけであり、色材の消費が増してしまうためである。
また、本実施形態においては、図6、図9に示した3×3の升ブロックを、第1、第2の基本ブロック団とし、これら基本ブロック団を繋げることで、第1、第2のマトリクスパターン、第1、第2の検査パターンを説明したが、換言すれば、以下のように表現することができる。
つまり、第1検査パターンは、N(N:正の整数)ドット間隔にて縦横が区切られたマトリクス領域に、升目を埋める正方形パターンが市松模様状に配されてなる第1マトリクスパターンを含み、第2検査パターンは、NドットとN−a(a:正の整数)ドットの2種類の間隔にて縦横が区切られると共に、N−aドット間隔を有する行と列とが、Nドット間隔を有する行或いは列M(M:2以上の正の整数)本置きに所定の周期で配されたマトリクス領域に、升目を埋める正方形パターン或いは矩形パターンが市松模様状に配されてなる第2マトリクスパターンを含み、第1マトリクスパターンと第2マトリクスパターンとは、予め定める重ね合わせの基準にて重ね合わされた場合に、前記重ね合わせの基準に最も近い縦横M×Mの正方形の升目にて形成される升ブロックにおいて、正方形パターンの配置位置が互いに逆の関係となっている。
本実施形態で提示した第1、第2の検査パターン210,310の例は、前記Mが3であり、第2マトリクスパターンにおいて、N−aドット間隔を有する行と列とが、Nドットの間隔を有する行或いは列3本置きに配置され、検査パターン重畳画像における升ブロックが3×3である場合である。
また、本実施形態では、第1、第2の検査パターン210,310の例として、それぞれ4つの第1マトリクスパターン200-1〜200-4と第2マトリクスパターン300-1〜300−4を、Nドットの間隔を隔てて縦横2×2に配置し、重ね合わせの基準である中心点Zを配置中心に設定した構成とした、上記第1、第2のマトリクスパターン200、300を1つのみ含み、その中心部に、重ね合わせの基準を設けた構成の検査パターンも、本発明の範疇ではある。
ただし、本実施形態のように、上記第1、第2のマトリクスパターン200、300を、縦横2×2に配置した構成とした場合、中心点Zに対して上下左右何れの方向にずれても位置ずれを検出できるといった利点がある。
なお、N、aについては、変更自在としておくことが好ましく、aについては、画像形成ユニットにおける画像位置の調整単位に応じて設定される構成とすることが好ましい。
N、aが変更可能な構成としておくことで、無駄に大きな検査パターンとすることなく、画像ずれ量の大小に対応した適切なサイズの検査パターンを作成することができる。また、aを前記画像形成ユニットにおける画像位置の調整単位に応じて設定しておくことで、無駄に大きさ検査パターンが形成される不具合を回避して、適切なサイズの検査パターンを作成することができる。
また、前記Nとしては、10〜20としておくことで、ほとんどの画像形成装置において、画像の位置ずれを調整することが可能である。
また、第1、第2の各検査パターンの画像については、図15に示すように、シートにおけるシート搬送方向と直交する方向の両方の端部(画像形成装置前面側(F側)、画像形成装置背面側(R側))形成する構成とすることが好ましい。
中間転写ベルト16を備えた本画像形成装置では、図15に示すように、中間転写ベルト16の搬送方向と直交する幅方向の両端部に、マゼンタ、シアン、イエローの3つの検査パターンよりなる検査パターンセットが形成されるようになっている。
このような構成とすることで、マゼンタ、シアン、イエローの画像形成ユニットと黒の画像形成ユニットとの画像の位置ずれとして、書込み開始のタイミングによるずれにだけでなく、画像形成ユニットが備える露光ユニット1の取り付け位置のずれに起因する画像ずれも検出して調整することが可能となる。
つまり、装置前面側と装置背面側とについてそれぞれ画像のずれ量を検出できるので、調整者は、例えば露光ユニット1がLSUよりなる構成であれば、出射部に設けられたシリンドリカルレンズを長手方向に対して傾斜させて、ブラックの露光ユニット1に対するマゼンタ、シアン、イエローの傾きがなくなるよう調整する。
なお、本実施形態では、検査シート作成装置を備える画像形成装置を例示したが、検査装置が、画像形成装置と通信ネットワークを介して接続され、通信ネットワークを介して前記画像形成装置に指示する構成とすることもできる。
このような構成とすることで、通信ネットワークを介して接続されている複数の画像形成装置に対して、1つの検査シート作成装置にて検査シートの排出を指示できるので、複数の画像形成装置を使用する作業環境での調整において、有効である。
最後に、画像形成装置100における検査シート作成装置を構成する第1検査パターン作成部、第2検査パターン作成部、及び指示部は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、画像形成装置100、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像形成装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、画像形成装置100を、通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。