以下に、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の内部構成例を示す縦断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、原稿の画像を読み取るスキャナ機能、読み取った画像に基づいてコピー用紙、OHP(Over Head Projector)フィルム等のシート(記録媒体)上に多色及び単色の画像を形成する複写機能、外部に接続されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置(図示せず)からの画像データに基づいてシート上に多色及び単色の画像を形成するプリンタ機能等を有している。
画像形成装置100の最下部にはシートを収容するトレイを有する引出し式の給紙カセット81が配設されている。給紙カセット81は、ユーザが手前側に引き出すことによりトレイを開放することができ、トレイを開放させた状態でシートの補充を行なうことができる。また、図1における画像形成装置100の右側面には、少量のシートを載置する手差しトレイ82が設けられており、手差しトレイ82上に載置されたシートも画像形成装置100内部に取り込まれて画像形成される。
画像形成装置100の中央部には、原稿の画像を読み取って取得した画像データに基づく画像、又は外部から取得した画像データに基づく画像を、給紙カセット81又は手差しトレイ82から搬送されてくるシート上に形成する画像形成部110が配設されており、画像形成部110の上面には、画像形成部110によって画像形成されたシートがフェイスダウンの状態で排出される排紙トレイ83が設けられている。
画像形成部110の上部には原稿読取部90が設けられており、原稿読取部90の上部で画像形成装置100の最上部にはADF(Automatic Document Feeder)120が設けられている。ADF120は、原稿トレイ121上にフェイスアップの状態で積層された原稿を1枚ずつ分離して取り込み、原稿読取部90の上面に設けられたプラテンガラス91の所定の読取位置まで搬送し、更に原稿を排出トレイ122上へ排出する。なお、ADF120は、原稿読取部90に対して例えば矢符Mで示す方向に回動自在に取り付けられており、ADF120を回動させてプラテンガラス91上を開放させることにより、プラテンガラス91上に原稿を載置させることができる。また、画像形成装置100の最上部には、ユーザが画像形成装置100を操作するための操作パネル123(図2参照)も設けられている。
原稿読取部90は、光源ユニット92、ミラーユニット95、結像レンズ98、CCD(Charge Coupled Devices)ラインセンサ99等を備えており、ADF120によって搬送されてきた原稿の表面に光源ユニット92が読取用の光を照射し、原稿からの光像をミラーユニット95及び結像レンズ98を用いてCCDラインセンサ99に結像させ、原稿表面に記録された画像を読み取るように構成されている。
光源ユニット92は、光源ランプ93から照射される読取用の照明光を凹面のリフレクタによりプラテンガラス91の適宜の読取位置に集光させ、プラテンガラス91の面に対して反射面を45°に設置したミラー94によって原稿からの反射光の光路を90°変更してミラーユニット95へと導くように構成されている。ミラーユニット95は、光源ユニット92のミラー94によって光路を90°変更された光の光路を更に180°変更するために、反射面が相互に直交するように配置された一対のミラー96,97を備えている。
上述した構成の原稿読取部90は、ADF120によって搬送されてくる原稿を読み取る場合、光源ユニット92を所定の読取位置に保持した状態で画像を読み取り、プラテンガラス91上にセットされた原稿を読み取る場合、光源ユニット92をプラテンガラス91の下面に平行に走査させながら画像を読み取るように構成されている。
ミラーユニット95によって導かれた光は結像レンズ98の作用によりCCDラインセンサ99に結像する。CCDラインセンサ99は入力された光をその光量に応じたアナログ電気信号に変換して出力する。CCDラインセンサ99から出力されたアナログ電気信号は、図示していないA/D(アナログ/デジタル)変換器によりデジタル信号に変換され、原稿読取時の光源の配光特性、CCDラインセンサ99の感度ムラ等の補正が施された後、複数の色成分毎に複数のラインデータを有する画像データとして生成される。生成された画像データは画像メモリ104(図2参照)へ出力されて記憶される。
画像形成部110は、給紙カセット81の上部に露光ユニット1を備えている。また、画像形成部110は、露光ユニット1の上部に、黒(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色を用いて多色画像を形成するために、各色毎の現像器2a,2b,2c,2d、感光体ドラム3a,3b,3c,3d、クリーナユニット4a,4b,4c,4d、帯電器5a,5b,5c,5d等を備えている。
なお、各符号に付したa、b、c、dの記号は、例えば黒(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色に対応するように記載しているが、以下では、特定の色に対応する部材を指定して説明する場合を除いて、各色に対して設けられている部材をまとめて、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5と記載することとする。
帯電器5a〜5dには、それぞれ対応する感光体ドラム3a〜3dに接触するように構成されたローラ型帯電器が用いられており、感光体ドラム3a〜3dの表面を所定の電位に均一的に帯電させる。なお、ローラ型帯電器の代わりに、ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器を用いる構成であっても良い。また、帯電器5a〜5dはそれぞれ対応する感光体ドラム3a〜3dの表面をマイナス極性に帯電させる。
露光ユニット1は、レーザ光を照射するレーザダイオード1BK,1C,1M,1Y(図3参照)及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)により構成されており、レーザダイオード1BK,1C,1M,1Yから発せられたレーザ光が感光体ドラム3a〜3d上に照射されるようにポリゴンミラー及び反射ミラーが設けられている。なお、露光ユニット1には、LSUのほかに、例えばEL(Electro Luminescence:エレクトロルミネセンス)やLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の発光素子をアレイ状に並べた書込みヘッドを用いることもできる。
露光ユニット1は、画像メモリ104から転送されてきた印刷用の画像データに基づいてレーザ光を発し、帯電器5a〜5dにより帯電された感光体ドラム3a〜3dの表面にレーザ光を照射して感光体ドラム3a〜3d上のマイナス電荷を除去することにより、前記画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム3a〜3d上に形成する。
現像器2a〜2dのそれぞれは、黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色のトナー(現像剤)を収納しており、収納しているトナーをマイナス極性に帯電させると共に、このトナーを感光体ドラム3a〜3dの表面に形成された静電潜像に対して供給する。マイナス極性に帯電しているトナーは、感光体ドラム3a〜3dの表面においてレーザ光によってマイナス電荷が除去された部分に吸着し、これにより、現像器2は、それぞれ対応する感光体ドラム3上の静電潜像を顕像化したトナー像を形成する。
感光体ドラム3a〜3dの周囲には、現像器2a〜2d及び帯電器5a〜5dのほかに、感光体ドラム3a〜3dの表面に顕像化されたトナー像をシートに転写した後に感光体ドラム3a〜3dの表面に残留するトナーを回収及び除去するクリーナユニット4a〜4dが設けられている。
本実施形態の画像形成部110は、感光体ドラム3a〜3d上のトナー像を中間転写方式によってシート上に転写するように構成されており、感光体ドラム3a〜3dの上部に中間転写ユニット60を備えている。中間転写ユニット60は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ6a,6b,6c,6dを備えている。なお、以下では、中間転写ローラ6a,6b,6c,6dをまとめて中間転写ローラ6と記載することとする。
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ6等は、中間転写ベルト61を張架し、中間転写ベルト駆動ローラ62の駆動力により中間転写ベルト61を図中の矢符で示す方向(副走査方向)へ回転させるように構成されている。なお、中間転写ベルト従動ローラ63は、図示しない電源部に接続されており、電源部からの帯電電位によって中間転写ベルト61との接触部分において中間転写ベルト61を所定電位に帯電させることにより、感光体ドラム3a〜3dのそれぞれから転写されるトナー像を中間転写ベルト61に吸着させる。
中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、その表面を感光体ドラム3a〜3dのそれぞれに接触させて設けられている。感光体ドラム3a〜3dのそれぞれに形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することにより、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。
感光体ドラム3a〜3dから中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ6a〜6dによって行なわれる。中間転写ローラ6a〜6dには、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス、すなわち、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加されている。中間転写ローラ6a〜6dは、直径8〜10mmの金属(例えば、ステンレス)軸をベースとし、その表面はEPDM、発砲ウレタン等の導電性の弾性材により覆われているローラである。この導電性を有する弾性材により中間転写ローラ6a〜6dは中間転写ベルト61に対して均一的に高電圧を印加することができる。本実施形態では、転写電極としてローラ形状の電極を用いているが、ブラシ形状の電極を用いることもできる。
上述したように各感光体ドラム3a〜3d上で各色に応じて顕像化されたトナー像は中間転写ベルト61上で積層され、印刷用の画像が多色トナー像により中間転写ベルト61上で再現される。このように中間転写ベルト61上に転写された多色トナー像は、中間転写ベルト61の回転によって、シートと中間転写ベルト61との接触位置に配置される転写ローラ10によってシート上に転写される。
このとき、中間転写ベルト61及び転写ローラ10は所定のニップで圧接されると共に、転写ローラ10には多色トナー像をシート上に転写させるための電圧、すなわち、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加される。ここで、中間転写ベルト61と転写ローラ10との間のニップを定常的に得るために、転写ローラ10又は中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を金属等の硬質材料により構成し、他方を弾性ゴム、発泡性樹脂等の軟質材料により構成している。
また、上述のようにして感光体ドラム3a〜3dとの接触により中間転写ベルト61に付着したトナー、又は転写ローラ10によってシート上に転写が行なわれずに中間転写ベルト61上に残留したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるため、中間転写ベルト従動ローラ63の近傍に設けられた中間転写ベルトクリーニングユニット64によって除去及び回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット64には、中間転写ベルト61に接触するクリーニング部材としてクリーニングブレードが設けられており、クリーニングブレードが中間転写ベルト61と接触する部分は、中間転写ベルト61の裏側から中間転写ベルト従動ローラ63が支持している。
給紙カセット81及び手差しトレイ82は、それぞれに積層されたシートの先端部近傍にピックアップローラ81a,82aを有しており、各ピックアップローラ81a,82aにより分離給送されたシートは搬送経路sを通じて画像形成部110内部へ供給される。なお、搬送経路s上の適宜箇所には複数の搬送ローラ11a,11b,11c,11dが設けられており、ピックアップローラ81a,82aによりそれぞれ分離給送されて搬送ローラ11a,11bまで搬送されたシートは、搬送ローラ11a,11b,11c,11dによってレジストローラ12まで搬送経路sを通じて搬送される。
レジストローラ12は、上述した転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62の下側に設けられている。レジストローラ12が、給紙カセット81又は手差しトレイ82から搬送されてきたシートの先端と中間転写ベルト61上のトナー像の先端とを整合するタイミングでシートを転写ローラ10へ搬送することにより中間転写ベルト61上のトナー像を前記シート上に転写する。
トナー像が転写されたシートは略垂直に搬送され、転写ローラ10の上側に設けられた定着ユニット7に到達する。定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えており、温度センサ71b(図3参照)の検出値に基づいてヒータ71a(図3参照)を制御することによりヒートローラ71を所定の定着温度に保つ。また、定着ユニット7は、多色トナー像が転写されたシートをヒートローラ71と加圧ローラ72とに挟んで回転させ、ヒートローラ71の熱によりシート上に多色トナー像を熱定着させる。熱定着したシートは、定着ユニット7の出口近傍に設けられた搬送ローラ73により排出される。
定着ユニット7を通過したシートは、片面印刷要求の場合、排紙ローラ13を通じて排紙トレイ83上にフェイスダウンで排出され、両面印刷要求の場合、排紙ローラ13により一旦チャックされた後、排紙ローラ13が逆回転されることにより両面原稿搬送路S1へと導かれ、搬送ローラ14a,14bにより再度レジストローラ12まで搬送される。そして、シートは、裏面側にトナー像を転写及び熱定着された後、排紙ローラ13により排出トレイ83上に排出される。
なお、画像形成装置100は、上述した構成のほかにも、例えば、サイズが異なる複数種のシートを収容できる給紙カセット、数千枚単位のシートを収容できる大容量給紙カセット、複数の排紙トレイ及び画像形成されたシートを各排紙トレイに搬送するための搬送機構等を備えることもでき、また、これらをオプション機能として後付けできる構成とすることもできる。
図2は本発明に係る画像形成装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。画像形成装置100はメインCPU101を備えている。メインCPU101には、ROM102、RAM103、画像メモリ104、NIC(Network Interface Card)105、画像処理部106、原稿読取部90、画像形成部110、ADF120、操作パネル123等の各種ハードウェアがバス100aを介して接続されている。また、画像形成装置100は図示しない電源装置を備えており、電源装置から供給される電力によって上述したようなハードウェア各部が動作することができる。
ROM102は、上述したようなハードウェア各部をメインCPU101が制御するための制御プログラムを予め格納している。RAM103は揮発性の半導体メモリであり、メインCPU101による制御プログラムの実行中に発生するデータを一時的に記憶する。メインCPU101が、ROM102に記憶してある制御プログラムをRAM103に読み出して順次実行することにより、画像形成装置100に本発明の画像処理装置及び画像形成装置としての動作を行なわせることができる。
画像メモリ104は揮発性の半導体メモリであり、原稿読取部90によって原稿から読み取った画像データ、NIC105を介して外部の装置から受信した印刷ジョブを展開して得られる印刷用の画像データ、画像処理部106によって所定の画像処理が施された画像データ等を一時的に記憶するためのページメモリである。画像メモリ104に記憶された画像データはメインCPU101が指示するタイミングで画像形成部110へ読み出され、画像形成部110の露光ユニット1へ送出される。
NIC105は、外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置と通信回線を介して通信を行うための通信インタフェースであり、外部の情報処理装置から転送されてくる印刷ジョブを受信すると共に、情報処理装置に対して報知すべき情報を送信する。NIC105は、受信した印刷ジョブを画像処理部106へ転送し、画像処理部106が印刷ジョブを展開して画像データを生成する。なお、画像処理部106によって生成された画像データは画像メモリ104に記憶される。
操作パネル123は、ユーザからの操作指示を受け付けるための各種操作ボタンを備えた操作部と、ユーザに対して報知すべき情報を表示するLEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示部とにより構成されている。なお、操作パネル123を、表示画面に触れることで入力が可能なタッチパネルによって構成してもよい。
上述した構成により、本実施形態の画像形成装置100は、原稿読取部90によって読取対象の原稿から読み取った画像データに基づく画像、又はNIC105を介して外部の情報処理装置から受信した画像データに基づく画像を、画像形成部110によってシート上に形成することができる。
原稿読取部90は、上述した構成のほかに、メインCPU101からの制御に従って原稿読取部90を構成するハードウェア各部を制御するサブCPU90a、光源ランプ93を駆動するドライバ90b、光量センサ90c、A/D変換器90dを備えている。ドライバ90bは、サブCPU90aからの制御に従って光源ランプ93を点灯及び消灯させる。光量センサ90cは光源ランプ93が照射した光の光量を検出し、A/D変換器90dは、光量センサ90cが検出した光量をデジタルの光量データに変換し、得られた光量データをサブCPU90aへ送出する。
画像形成装置100が起動された場合、メインCPU101は、原稿読取部90のサブCPU90aに所定のウォームアップコマンドを送出する。サブCPU90aは、メインCPU101から所定のウォームアップコマンドを取得すると、ドライバ90bによって光源ランプ93への通電を開始し、光量センサ90c及びA/D変換器90dによって得られた光量データを基に、光源ランプ93の光量が所定の光量に一定化するようにドライバ90bによる光源ランプ93への通電を制御する。光源ランプ93の光量が所定の光量に到達した場合、サブCPU90aは、処理可能状態(レディ状態)に達したと判断し、メインCPU101へ通知する。これにより、メインCPU101は、原稿読取部90による原稿の読取処理の実行が可能であることを把握することができる。
なお、サブCPU90aには、上記以外にも原稿読取部90内のモータ、クラッチ、ソレノイド及びセンサ等の原稿読取処理時に動作する多数の入出力機器が接続されており、原稿読取処理時に所定のタイミングでセンサの検出データを読み取り、検出データに応じてモータ等を駆動する。
図3は画像形成部110の制御系の構成例を示すブロック図である。画像形成部110は、上述した構成のほかに、メインCPU101からの制御に従って画像形成部110を構成するハードウェア各部を制御するサブCPU111、定着ユニット7のヒータ71aを駆動するドライバ112、温度センサ71bが検出した温度をデジタルの温度データに変換するA/D変換器113を備えている。
ドライバ112は、サブCPU111からの制御に従ってヒータ71aを駆動する。温度センサ71bは、ヒータ71aによって加熱されたヒートローラ71の温度を検出し、A/D変換器113は、温度センサ71bが検出した温度を温度データに変換してサブCPU111へ送出する。
画像形成装置100が起動された場合、メインCPU101は、画像形成部110のサブCPU111に所定のウォームアップコマンドを送出する。サブCPU111は、メインCPU101から所定のウォームアップコマンドを取得すると、ドライバ112によってヒータ71aへの通電を開始し、温度センサ71b及びA/D変換器113によって得られた温度データを基に、ヒータ71aによって加熱されるヒートローラ71の表面温度が所定の温度に一定化するようにドライバ112によるヒータ71aへの通電を制御する。ヒートローラ71の表面温度が所定の温度に到達した場合、サブCPU111は、処理可能状態(レディ状態)に達したと判断し、メインCPU101へ通知する。これにより、メインCPU101は、画像形成部110による画像の形成処理の実行が可能であることを把握することができる。
また、画像形成部110は、第1レジストセンサ65、第2レジストセンサ66、傾き調整部114を備えている。第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66は、光学センサであり、中間転写ベルト61上に転写されたトナー像の位置を検出する。具体的には、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66は、中間転写ベルト61の感光体ドラム3aとの接触面から転写ローラ10との接触面までのいずれかの箇所において、矢符で示す中間転写ベルト61の回転方向(副走査方向)に直交する方向(主走査方向)の両端の近傍にそれぞれ設けられており、中間転写ベルト61上に転写されたトナー像において、同一の走査線上の両端部分の位置を検出し、検出した位置をサブCPU111へそれぞれ通知する。
なお、ここでは、第1レジストセンサ65は図1における画像形成装置100の手前側に設けられており、第2レジストセンサ66は図1における画像形成装置100の奥側に設けられているとする。従って、第1レジストセンサ65は、中間転写ベルト61上に転写されたトナー像における同一の走査線上の手前側の位置を検出し、第2レジストセンサ66は、中間転写ベルト61上に転写されたトナー像における同一の走査線上の奥側の位置を検出する。
傾き調整部114は、画像形成部110によって画像形成するために画像メモリ104から転送されてくる画像データに対して画像の傾きを調整する処理を行なう回路であり、各色毎にBK調整部114BK,C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114Yを備えている。サブCPU111は、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66から通知された情報に基づいて、感光体ドラム3a〜3dのそれぞれに形成される各色のトナー像に生じる傾きを算出しており、算出した傾きを示す調整指示値を傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yへそれぞれ送出する。
調整指示値は、感光体ドラム3a〜3dのそれぞれに形成される各色のトナー像における各走査線がどちらの方向に何ドット傾くかを示す情報であり、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yによって補正すべき傾きを示している。具体的には、各走査線において、一端に対して他端が副走査方向の前方に何ドットずれるか又は後方に何ドットずれるかを示す情報である。従って、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yは、サブCPU111から取得した調整指示値に基づいて、自身が行なう傾き調整処理における調整量を生成し、生成した調整量に基づく傾き調整処理を、画像メモリ104から取得した画像データに対して実行し、傾きを調整した各色の画像データを露光ユニット1のレーザダイオード(以下、LDという)1BK,1C,1M,1Yのそれぞれへ送出する。
なお、サブCPU111は、各色のトナー像に生じる傾きを算出するだけでなく、算出した傾きに基づいて傾き調整部114が行なう傾き調整処理における調整量を算出して傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yへ送出してもよい。この場合、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yは、サブCPU111から取得した調整量をそのまま用いた傾き調整処理を、画像メモリ104から取得した画像データに対して行なえばよい。
このように画像データに対して所定の傾き調整処理を施すことにより、露光ユニット1、感光体ドラム3、中間転写ユニット60等における取り付け角度のずれ等によって中間転写ベルト61の表面に形成されるトナー像に生じる主走査方向に対する傾きを抑制することができる。従って、主走査方向に対する傾きを抑制して中間転写ベルト61の表面に形成されたトナー像に基づいて、色ズレを抑制し、良好な画質の画像をシートに形成することができる。
なお、画像形成装置100のサブCPU111には、上記以外にも画像形成部110内のモータ、クラッチ、ソレノイド及びセンサ等の画像形成処理時に動作する多数の入出力機器が接続されており、画像形成処理時に所定のタイミングでセンサの検出データを読み取り、検出データに応じてモータ等を駆動する。
以下に、傾き調整部114による傾き調整処理についてより具体的に説明する。図4は傾き調整部114の制御系の構成例を示すブロック図である。なお、図4にはBK調整部114BKの構成についてのみ図示するが、C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114Yのそれぞれも同様の構成を有している。
BK調整部114BKは、第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142、第3ラインメモリ1143、調整量発生部1144、補正部1145、合成メモリ1146等を備えている。画像形成装置100のメインCPU101は、画像メモリ104に記憶してある画像データを順次読み出し、画像形成部110の傾き調整部114へシリアル転送する。
第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142及び第3ラインメモリ1143のそれぞれは、画像データ中の主走査方向に1ライン分の画像データ(ラインデータ)を記憶するFIFO(First-In First-Out)メモリである。第1ラインメモリ1141は、画像メモリ104からシリアル転送されてくる画像データ中の黒のラインデータを順次格納し、第2ラインメモリ1142は、第1ラインメモリ1141からシフト転送されてくるラインデータを順次格納し、第3ラインメモリ1143は、第2ラインメモリ1142からシフト転送されてくるラインデータを順次格納する。
補正部1145は、第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142及び第3ラインメモリ1143のそれぞれに格納されたラインデータを基に、補正後(傾き調整後)のラインデータを生成して合成メモリ1146へ送出する。具体的には、補正部1145は、第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142及び第3ラインメモリ1143に対して、それぞれのアドレスを指定し、指定したアドレスに記憶してあるデータの読み出しを要求する。第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142及び第3ラインメモリ1143のそれぞれは、補正部1145から指定されたアドレスに記憶してあるデータを補正部1145へ送出する。
そして、補正部1145は、第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142及び第3ラインメモリ1143のそれぞれから取得したデータを合成し、合成メモリ1146に記憶させる。合成メモリ1146は、補正部1145から取得して記憶してある傾き調整処理後のラインデータを露光ユニット1のLD1BKへ出力する。従って、LD1BKが、合成メモリ1146から取得した画像データに基づくレーザ光を照射することにより、傾きが補正された静電潜像を感光体ドラム3の表面に形成することができる。
なお、補正部1145は、第1ラインメモリ1141,第2ラインメモリ1142及び第3ラインメモリ1143のそれぞれに格納してあるラインデータにおいて、各ラインメモリ1141,1142,1143のどのアドレスに記憶してあるデータを読み出すかを、調整量発生部1144から取得する調整量に基づいて決定する。なお、調整量発生部1144は、サブCPU111から調整指示値を取得しており、取得した調整指示値に基づいて調整量を生成する。なお、サブCPU111による調整指示値の算出処理、調整量発生部1144による調整量の生成処理の詳細については後述する。
図5は補正部1145による傾き調整処理を説明するための説明図である。ここでは、図5(b)に示すように、中間転写ベルト61の表面に形成されるトナー像における各走査線が、中間転写ベルト61の移動方向Sに対して右上がりに傾く場合の傾き調整処理について説明する。また、図5(a)に示すように、第1ラインメモリ1141には、画像メモリ104から転送されてくる画像データ中のn+1ライン目のラインデータが記憶されており、第2ラインメモリ1142にはnライン目のラインデータが記憶されており、第3ラインメモリ1143にはn−1ライン目のラインデータが記憶されている状態での補正部1145の処理について説明する。
補正部1145は、調整量発生部1144から第1調整量及び第2調整量(第1調整量<第2調整量)の2つの調整量を取得した場合、第3ラインメモリ1143に対しては先頭アドレスから、先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスまでのデータの読み出しを指示し、第2ラインメモリ1142に対しては、先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスから、先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスまでのデータの読み出しを指示し、第1ラインメモリ1141には対しては先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータの読み出しを指示する。
補正部1145は、第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142及び第3ラインメモリ1143のそれぞれから取得したデータを合成し、図5(a)に示すように、先頭アドレスから第1調整量までのデータはn−1ライン目のデータであり、第1調整量から第2調整量までのデータはnライン目のデータであり、第2調整量から最終アドレスまでのデータはn+1ライン目のデータであるラインデータを生成し、合成メモリ1146に格納する。
上述した傾き調整処理を行なうことにより、露光ユニット1、感光体ドラム3、中間転写ユニット60等における取り付け角度のずれ等によって、図5(b)に示すように、中間転写ベルト61の表面に形成されるトナー像が、中間転写ベルト61の移動方向Sに対して右上がりに傾く場合であっても、傾きを抑制したトナー像を中間転写ベルト61の表面に形成することができる。
従って、補正部1145は、各ラインデータを、先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスの位置と、先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスの位置とにおいて複数に区分する区分手段として動作すると共に、各区分毎に傾きを補正する処理を行なう補正手段として動作する。なお、補正部1145は、調整量発生部1144から取得する調整量に従って各ラインメモリ1141,1142,1143から読み出すデータのアドレスを決定しているので、調整量発生部1144は、補正部1145が各ラインデータを区分する位置を色成分毎に設定する設定手段として動作する。
図6は傾き調整部114による傾き調整処理を説明するための説明図である。図6には、Y調整部114Yの補正部によって補正されて合成メモリに格納されたラインデータと、M調整部114Mの補正部によって補正されて合成メモリに格納されたラインデータとを示している。本実施形態では、傾き調整部114のBK調整部114BK,C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114Yはそれぞれ異なる調整指示値をサブCPU111から取得するので、BK調整部114BK,C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114Yそれぞれの調整量発生部1144によって生成される調整量(第1調整量、第2調整量)もそれぞれ異なる。
なお、傾き調整部114のBK調整部114BK,C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114YがサブCPU111から同じ調整指示値を取得する場合もあるが、BK調整部114BK,C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114Yのメモリ(図示せず)にはそれぞれ異なる所定の数値が記憶されており、同じ調整指示値に基づいて調整量を生成する場合であっても、それぞれのメモリに記憶してある数値に基づいて、生成する調整量を異ならせることができる。
従って、Y調整部114Yの調整量発生部が生成したYの第1調整量及び第2調整量と、M調整部114Mの調整量発生部が生成したMの第1調整量及び第2調整量とが異なる値となるため、図6に示すように、Y調整部114Yの合成メモリに格納されたラインデータとM調整部114Mの合成メモリに格納されたラインデータとにおいて、補正前のn−1ライン目のデータとnライン目のデータとの区切れの位置、補正前のnライン目のデータとn+1ライン目のデータとの区切れの位置にズレが生じる。従って、補正前のn−1ライン目のデータとnライン目のデータとの濃度の差、及び補正前のnライン目のデータとn+1ライン目のデータとの濃度の差に基づく段差の位置を色成分毎に異ならせることができる。
図7は傾き調整部114による傾き調整処理を説明するための説明図である。図7には、図6に示したY成分のラインデータ及びM成分のラインデータに基づいて画像形成部110によって中間転写ベルト61の表面に形成されるトナー像における走査線A,B,Cの一部を示すとともに、Y成分及びM成分の走査線Aにおける各画素の濃度分布の例を示している。
上述したように、各色成分の画像データにおいて段差が生じた場合であっても、その段差の位置を色成分間において異ならせることができるので、図7に示すように、各色成分における濃度のピークP,Pを分散させることができる。従って、濃度のピークP,Pに基づいて発生する副走査方向に延びるスジを目に付きにくい状態にすることができ、このような各色成分の画像データに基づいて良好な画質の画像を形成することができる。
以下に、サブCPU111による調整指示値の算出処理、及び調整量発生部1144による調整量の生成処理について説明する。まず、サブCPU111による調整指示値の算出処理について説明する。ユーザ又はサービスマンが操作パネル123を介して画像形成装置100をテストモードに設定した場合、メインCPU101からの指示に従って画像形成部110のサブCPU111は、調整指示値の算出処理を開始する。
サブCPU111は、露光ユニット1及び定着ユニット7等のハードウェア各部への通電を開始し、ハードウェア各部による画像の形成処理の実行が可能となった場合、図示しないメモリ又は画像メモリ104に記憶してあるテスト用のラインデータを露光ユニット1へ入力し、このラインデータに基づくトナー像を中間転写ベルト61の表面に形成する。図8及び図9はテスト用のラインデータに基づくトナー像の例を示す模式図である。なお、図8には傾きが生じていないトナー像を示し、図9には傾きが生じたトナー像を示している。
図8及び図9に示すトナー像は、テスト用のラインデータに基づくトナー像であり、BK−1及びBK−2で示す黒のトナー像は同一の走査線上の画像であり、M−1及びM−2で示すマゼンタのトナー像は同一の走査線上の画像であり、C−1及びC−2で示すシアンのトナー像は同一の走査線上の画像であり、Y−1及びY−2で示すイエロのトナー像は同一の走査線上の画像である。
図8及び図9に示すように、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66は、中間転写ベルト61の移動方向Sへの移動に伴って、中間転写ベルト61に形成された同一の走査線上の両端部分のトナー像を同時に検出するように設けられている。従って、図8に示すように中間転写ベルト61に形成されたトナー像に傾きが生じていない場合、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66は、同一の色成分のトナー像を同時に検出することができる。
一方、図9に示すように中間転写ベルト61に形成されたトナー像に傾きが生じている場合、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66は、同一の色成分のトナー像を同時に検出することができず、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66が異なるタイミングでトナー像を検出する。なお、図9では、マゼンタ及びシアンのトナー像に傾きが生じている例を示している。
第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66は、中間転写ベルト61上に形成されたトナー像を検出し、出力信号をサブCPU111へ送出しており、サブCPU111は、この出力信号に基づいて、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yへ入力する調整指示値を算出する。
図10は第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66からの出力信号の例を示す模式図であり、時間軸を横軸とし、図9に示したトナー像を検出した場合の第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66の出力信号を示している。図10に示すように、第1レジストセンサ65は、図9中の黒のトナー像BK−2、マゼンタのトナー像M−2、シアンのトナー像C−2、イエロのトナー像Y−2を順に検出しており、第2レジストセンサ66は、図9中の黒のトナー像BK−1、マゼンタのトナー像M−1、シアンのトナー像C−1、イエロのトナー像Y−1を順に検出している。
ここで、図9に示すマゼンタ及びシアンのトナー像には傾きが生じているので、図10に示すように第1レジストセンサ65がマゼンタのトナー像M−2、シアンのトナー像C−2を検出するタイミングと、第2レジストセンサ66がマゼンタのトナー像M−1、シアンのトナー像C−1を検出するタイミングとの間には時間差が生じる。
サブCPU111は、このように第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66が同一の色成分のトナー像を検出するタイミングに生じた時間差に、中間転写ベルト61の移動速度を乗じて、テスト用のラインデータに基づくトナー像の両端部分における副走査方向の距離(ズレ)を算出する。なお、第1レジストセンサ65による検出タイミングが第2レジストセンサ66による検出タイミングよりも早い場合、中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右上がりの傾きがトナー像に生じており、第1レジストセンサ65による検出タイミングが第2レジストセンサ66による検出タイミングよりも遅い場合、中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右下がりの傾きがトナー像に生じていることになる。
従って、サブCPU111は、第2レジストセンサ66による検出タイミングを基準とする第1レジストセンサ65による検出タイミングの時間差、即ち、第1レジストセンサ65による検出タイミングが第2レジストセンサ66による検出タイミングよりも早い場合には負の数で表される時間差、第1レジストセンサ65による検出タイミングが第2レジストセンサ66による検出タイミングよりも遅い場合には正の数で表される時間差に、中間転写ベルト61の移動速度を乗じて、テスト用のラインデータに基づくトナー像の両端部分における副走査方向のズレ(傾き方向及び傾き量)を算出する。なお、ここで算出されたズレが正の数であれば中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右下がりの傾きがトナー像に生じており、算出されたズレが負の数であれば中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右上がりの傾きがトナー像に生じていることになる。
また、サブCPU111は、算出したズレを画像形成部110が形成するドットの直径で除し、テスト用のラインデータに基づくトナー像の両端部分における副走査方向のズレをドット数分に換算する。このように算出されたドット数が、傾き調整部114によって補正すべき傾きを示す調整指示値である。なお、算出されたドット数(調整指示値)が負の数であれば中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右上がりの傾きがトナー像に生じており、ドット数が正の数であれば中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右下がりの傾きがトナー像に生じていることを示している。また、サブCPU111は、このような調整指示値を各色成分毎に算出し、傾き調整部114の各調整部傾き調整部114BK,114C,114M,114Yへ入力する。
なお、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66は、同一の走査線上の両端部分のトナー像のみを検出するので、図8及び図9に示したように、両端部分以外は画素値が0のラインデータをテスト用のラインデータに用いればよい。しかし、テスト用のラインデータはこれに限られず、第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66が設けられる位置に応じて適切なものを用いればよい。
次に、上述したようにサブCPU111が算出した調整指示値に基づいて、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144が行なう調整量の生成処理について説明する。上述したように算出された調整指示値をサブCPU111から取得した場合、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yにおいて、調整量発生部1144は、補正部1145による傾き調整処理に用いる調整量を生成する。
まず、サブCPU111によって算出された調整指示値が0である場合は、中間転写ベルト61上に形成されるトナー像には傾きが生じないため、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yは何も行なわずに、画像メモリ104から転送されてきた画像データをそれぞれ露光ユニット1のLD1BK,1C,1M,1Yへ出力する。なお、このとき、各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144は、調整量として0をメモリ(図示せず)に記憶しておき、補正部1145が傾き調整処理を行なう際に補正部1145へ出力する。
サブCPU111によって算出された調整指示値が0でない場合、例えば正の数である場合は、中間転写ベルト61上に形成されるトナー像は、中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右下がりに傾き、左端と右端との間に|調整指示値|(調整指示値の絶対値)ドット分のズレが生じているため、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yは、画像メモリ104から転送されてきた画像データに対して右上がりに補正する傾き調整処理を行なった後、それぞれ露光ユニット1のLD1BK,1C,1M,1Yへ出力する。
また、調整指示値が負の数である場合は、中間転写ベルト61上に形成されるトナー像は、中間転写ベルト61の移動方向Sを上にして右上がりに傾き、左端と右端との間に|調整指示値|(調整指示値の絶対値)ドット分のズレが生じているため、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yは、画像メモリ104から転送されてきた画像データに対して右下がりに補正する傾き調整処理を行なった後、それぞれ露光ユニット1のLD1BK,1C,1M,1Yへ出力する。
具体的には、各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144は、サブCPU111から調整指示値を取得した場合、1本のラインデータに含まれる画素の画素数を(|調整指示値|+1)で除し、1本のラインデータを(|調整指示値|+1)個に区分した各区分に含まれる画素数を算出する。また、各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144は、それぞれ異なる数値をメモリに記憶しており、メモリに記憶してある数値を、算出した画素数に加算して第1調整量を算出する。また、各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144は、算出した第1調整量に、各区分に含まれる画素数を加算して第2調整量を算出する。
なお、調整量発生部1144は、サブCPU111から取得した調整指示値の絶対値の数だけ調整量を算出するように構成されており、例えば調整指示値が−1又は+1の場合には1つの調整量を算出し、調整指示値が−2又は+2の場合には2つの第1調整量及び第2調整量を算出する。
各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144のメモリに記憶してある数値はそれぞれ異なる数値であればよく、例えば、−100、−50、+50、+100が各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144のメモリに記憶されている。これにより、各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144はそれぞれ異なる第1調整量及び第2調整量を生成することができる。
各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144は、それぞれ生成した調整量をメモリに記憶すると共に、サブCPU111から取得した調整指示値が正の数であれば、右上がりに補正することを示す情報をメモリに記憶し、サブCPU111から取得した調整指示値が負の数であれば、右下がりに補正することを示す情報をメモリに記憶する。また、各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144は、補正部1145が傾き調整処理を行なう際に、メモリに記憶してある調整量と、右上がり又は右下がりに補正することを示す情報とを補正部1145へ出力する。
ここで、本実施形態では、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yはそれぞれ3つのラインメモリ1141,1142,1143を備えており、補正部1145は、隣接する3本のラインデータの合成処理を行なうことができる。このような構成によれば、トナー像の主走査方向における左端と右端との間に生じた2ドット分までのズレを解消することができる。即ち、サブCPU111が算出する調整指示値は−2,−1,0,+1,+2のいずれかとなる。しかし、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yが4つ以上のラインメモリを備える構成とした場合には、隣接する4本以上のラインデータの合成処理を行なうことができるのでトナー像の主走査方向における左端と右端との間に生じた4ドット以上のズレも解消することができる。この場合、サブCPU111が算出する調整指示値は−2,−1,0,+1,+2に限られない。
次に、上述したように傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144が生成した調整量と、右上がり又は右下がりに補正することを示す情報とに基づいて、補正部1145が行なう傾き調整処理について説明する。上述したように生成された調整量及び各情報を調整量発生部1144から取得した場合、補正部1145は、取得した調整量が0であるか否かを判断する。
調整量発生部1144によって生成された調整量が0である場合、この色成分の画像(トナー像)には傾きが生じないので、補正部1145は傾き調整処理を行なわずに、画像メモリ104から転送されてきた画像データをそのまま露光ユニット1のLD1BK,1C,1M,1Yへ出力する。具体的には、補正部1145は、画像メモリ104から転送されてきて第1ラインメモリ1141、第2ラインメモリ1142、第3ラインメモリ1143を順次シフト転送されてきたラインデータを第3ラインメモリ1143から読み出し、そのまま合成メモリ1146へ送出する。より具体的には、補正部1145は、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスから最終アドレスまでの全てのデータを読み出し、合成メモリ1146へ送出する。
なお、合成メモリ1146は、記憶したラインデータを所定のタイミングで対応する露光ユニット1のLD1BK,1C,1M,1Yへ出力し、これにより、画像メモリ104に記憶されていた画像データに基づく画像をシート上に形成することができる。
調整量発生部1144によって生成された調整量が0でない場合、補正部1145は、調整量発生部1144から取得した情報に基づいて、右上がりに補正すべきであるか、右下がりに補正すべきであるかを判断すると共に、調整量発生部1144から取得した調整量が1つであるか2つであるかに基づいてトナー像の主走査方向における左端に対して右端を何ドット移動させるか(補正するか)を判断する。
補正部1145は、右上がりに補正すべきであると判断すると共に、調整量発生部1144から取得した調整量が1つである場合、右上がりに1ドット補正すると判断する。この場合、補正部1145は、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスから、先頭アドレスに調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスに調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146へ送出する。
補正部1145は、右下がりに補正すべきであると判断すると共に、調整量発生部1144から取得した調整量が1つである場合、右下がりに1ドット補正すると判断する。この場合、補正部1145は、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスから、先頭アドレスに調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスに調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146へ送出する。
補正部1145は、右上がりに補正すべきであると判断すると共に、調整量発生部1144から取得した調整量が2つ(第1調整量<第2調整量)である場合、右上がりに2ドット補正すると判断する。この場合、補正部1145は、第1ラインメモリ1141の先頭アドレスから、先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスから、先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146へ送出する。
補正部1145は、右下がりに補正すべきであると判断すると共に、調整量発生部1144から取得した調整量が2つ(第1調整量<第2調整量)である場合、右下がりに2ドット補正すると判断する。この場合、補正部1145は、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスから、先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスから、先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し、第1ラインメモリ1141の先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146へ送出する。
補正部1145は、画像メモリ104から転送されてくる画像データ中の全てのラインデータに対する上述した処理が終了するまで処理を繰り返し、合成して得られたラインデータを順次合成メモリ1146に記憶させる。また、合成メモリ1146に記憶されたラインデータは所定のタイミングで順次露光ユニット1へ出力され、LD1BK,1C,1M,1Yは、入力されたラインデータに従ってレーザ光を照射する。
上述したように、テスト用のラインデータに基づいて形成されたトナー像に実際に生じた傾きを検出し、検出した傾きを補正するような傾き調整処理を行なうことにより、画像データにおける主走査方向の同一ラインデータ中に濃度の差に基づく段差が生じた場合であっても、図7に示すように各色成分間において段差の発生位置を異ならせることができる。従って、このような画像データに基づいて形成した画像には、この段差に基づく副走査方向に延びるスジの位置が色成分毎に異なるため、スジが目立ちにくくなり、画質の劣化を抑制することができる。
以下に、サブCPU111による調整指示値の算出処理についてフローチャートに基づいて説明する。図11はサブCPU111による調整指示値の算出処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、図示しないメモリに記憶してある制御プログラムに従ってサブCPU111によって実行される。
調整指示値の算出処理を行なう場合、サブCPU111は、テスト用のラインデータを露光ユニット1へ入力し、このラインデータに基づくトナー像を中間転写ベルト61の表面に形成させる(S1)。サブCPU111は、中間転写ベルト61上に形成したトナー像を検出した第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66からの出力信号を取得したか否かを判断し(S2)、取得していない場合(S2:NO)、取得するまで待機する。
第1レジストセンサ65及び第2レジストセンサ66からの出力信号を取得したと判断した場合(S2:YES)、サブCPU111は、第2レジストセンサ66による検出タイミングを基準とする第1レジストセンサ65による検出タイミングの時間差を算出し(S3)、算出した時間差に中間転写ベルト61の移動速度を乗じて、ラインデータに基づくトナー像の両端部分における副走査方向のズレを算出する(S4)。
サブCPU111は、算出したズレを、画像形成部110が形成するドットの直径で除してドット数分に換算し(S5)、得られたドット数を調整指示値として傾き調整部114へ出力する(S6)。なお、サブCPU111は、ステップS3からS5までの処理を各色成分毎に行ない、各色成分毎に算出したドット数をそれぞれ対応するBK調整部114BK,C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114Yに出力する。
次に、上述したようにサブCPU111が算出した調整指示値に基づいて、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144が行なう調整量の生成処理についてフローチャートに基づいて説明する。図12は調整量発生部1144による調整量の生成処理の手順を示すフローチャートである。
調整量発生部1144は、サブCPU111から調整指示値を取得した場合、取得した調整指示値が0であるか否かを判断し(S11)、0であると判断した場合(S11:YES)、調整量として0をメモリに記憶し(S12)、調整量の生成処理を終了する。
取得した調整指示値が0でないと判断した場合(S11:NO)、調整量発生部1144は、1本のラインデータに含まれる画素数を(|調整指示値|+1)で除し、1本のラインデータを(|調整指示値|+1)個に区分した各区分に含まれる画素数を算出する(S13)。調整量発生部1144は、算出した画素数にメモリに記憶してある所定の数値を加算して調整量(第1調整量)を算出してメモリに記憶する(S14)。
調整量発生部1144は、算出した調整量の数が|調整指示値|に一致するか否かを判断し(S15)、一致しないと判断した場合(S15:NO)、ステップS14へ処理を戻し、算出した調整量(第1調整量)に、ステップS13で算出した各区分に含まれる画素数を加算して調整量(第2調整量)を算出してメモリに記憶する(S14)。
算出した調整量の数が|調整指示値|に一致すると判断した場合(S15:YES)、調整量発生部1144は、サブCPU111から取得した調整指示値が正の数であるか否かを判断する(S16)。調整量発生部1144は、調整指示値が正の数であると判断した場合(S16:YES)、右上がりに補正することを示す情報をメモリに記憶し(S17)、調整指示値が正の数でないと判断した場合(S16:NO)、即ち、調整指示値が負の数である場合、右下がりに補正することを示す情報をメモリに記憶し(S18)、上述した処理を終了する。
上述したように、本実施形態では、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yが、サブCPU111から取得した調整指示値に基づいて調整量を生成する構成である。しかし、例えば、各調整部114BK,114C,114M,114Yが各色成分の画像データに対して行なう傾き調整処理における調整量をサブCPU111が生成する構成でもよい。この場合、各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144は不要となり、補正部1145は、サブCPU111から取得する調整量に基づいて傾き調整処理を行なえばよい。
また、本実施形態では、傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yのメモリに異なる数値が予め記憶されており、この数値に基づいて、それぞれの調整量発生部1144が生成する調整量を異ならせている。従って、例えば、黒及びシアンの画像には傾きが生じない場合であっても、M調整部114M及びY調整部114Yの調整量発生部は、自身のメモリに記憶してある数値に基づいて、マゼンタ及びイエロの画像データに対して行なう傾き調整処理における調整量を算出する。しかし、上述したようにサブCPU111が調整量を生成する場合、各色成分における傾き方向及び傾き量に基づいて、各色成分における調整量を適切に算出することができるので、傾きが生じない色成分がある場合には、そのことも加味した調整量を算出することができる。
次に、上述したように傾き調整部114の各調整部114BK,114C,114M,114Yの調整量発生部1144が生成した調整量と、右上がり又は右下がりに補正することを示す情報とに基づいて、補正部1145が行なう傾き調整処理についてフローチャートに基づいて説明する。図13及び図14は補正部1145による傾き調整処理の手順を示すフローチャートである。
補正部1145は、調整量発生部1144から調整量と、右上がり又は右下がりに補正することを示す情報とを取得した場合、取得した調整量が0であるか否かを判断し(S21)、0であると判断した場合(S21:YES)、第3ラインメモリ1143に記憶してある全てのデータを読み出し、合成メモリ1146に記憶させる(S22)。なお、合成メモリ1146は、記憶するラインデータを順次露光ユニット1へ出力する。補正部1145は、画像メモリ104から転送されてくる画像データ中の全てのラインデータに対する処理が終了したか否かを判断し(S23)、終了していないと判断した場合(S23:NO)、終了するまでステップS22の処理を繰り返し、終了したと判断した場合(S23:YES)、傾き調整処理を終了する。
取得した調整量が0でないと判断した場合(S21:NO)、補正部1145は、調整量発生部1144から取得した情報及び調整量の数に基づいて、右上がりに1ドット補正するか否かを判断する(S24)。右上がりに1ドット補正すると判断した場合(S24:YES)、補正部1145は、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスから、先頭アドレスに調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し(S25)、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスに調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し(S26)、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146に記憶させる(S27)。
補正部1145は、画像メモリ104から転送されてくる画像データ中の全てのラインデータに対する処理が終了したか否かを判断し(S28)、終了していないと判断した場合(S28:NO)、終了するまでステップS25〜S27の処理を繰り返し、終了したと判断した場合(S28:YES)、傾き調整処理を終了する。
補正部1145は、右上がりに1ドット補正すると判断しなかった場合(S24:NO)、調整量発生部1144から取得した情報及び調整量の数に基づいて、右下がりに1ドット補正するか否かを判断する(S29)。右下がりに1ドット補正すると判断した場合(S29:YES)、補正部1145は、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスから、先頭アドレスに調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し(S30)、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスに調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し(S31)、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146に記憶させる(S32)。
補正部1145は、画像メモリ104から転送されてくる画像データ中の全てのラインデータに対する処理が終了したか否かを判断し(S33)、終了していないと判断した場合(S33:NO)、終了するまでステップS30〜S32の処理を繰り返し、終了したと判断した場合(S33:YES)、傾き調整処理を終了する。
補正部1145は、右下がりに1ドット補正すると判断しなかった場合(S29:NO)、調整量発生部1144から取得した情報及び調整量の数に基づいて、右上がりに2ドット補正するか否かを判断する(S34)。右上がりに2ドット補正すると判断した場合(S34:YES)、補正部1145は、第1ラインメモリ1141の先頭アドレスから、先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し(S35)、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスから、先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し(S36)、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し(S37)、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146に記憶させる(S38)。
補正部1145は、画像メモリ104から転送されてくる画像データ中の全てのラインデータに対する処理が終了したか否かを判断し(S39)、終了していないと判断した場合(S39:NO)、終了するまでステップS35〜S38の処理を繰り返し、終了したと判断した場合(S39:YES)、傾き調整処理を終了する。
補正部1145は、右上がりに2ドット補正すると判断しなかった場合(S34:NO)、即ち、右下がりに2ドット補正する場合、第3ラインメモリ1143の先頭アドレスから、先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し(S40)、第2ラインメモリ1142の先頭アドレスに第1調整量を加算したアドレスから、先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスまでのデータを読み出し(S41)、第1ラインメモリ1141の先頭アドレスに第2調整量を加算したアドレスから最終アドレスまでのデータを読み出し(S42)、1つのラインデータを生成して合成メモリ1146に記憶させる(S43)。
補正部1145は、画像メモリ104から転送されてくる画像データ中の全てのラインデータに対する処理が終了したか否かを判断し(S44)、終了していないと判断した場合(S44:NO)、終了するまでステップS40〜S43の処理を繰り返し、終了したと判断した場合(S44:YES)、傾き調整処理を終了する。
上述したような傾き調整処理を行なうことにより、画像データにおいて主走査方向の同一ラインデータ中に濃度の差に基づく段差が生じた場合であっても、図7に示すように各色成分間において段差の位置を異ならせることができる。従って、このような画像データに基づいて形成した画像には、この段差に基づく副走査方向に延びるスジの位置が色成分毎に異なるため、スジが目立ちにくくなり、画質の劣化を抑制することができる。
上述した実施形態では、画像形成部110の傾き調整部114はBK調整部114BK,C調整部114C,M調整部114M,Y調整部114Yを備え、黒、シアン、マゼンタ、イエロの各色の画像データに対してそれぞれ傾き調整処理(補正処理)を行なうように構成されていた。しかし、1つの色を基準色として他の色成分の画像データを、基準色の画像(トナー像)に生じる傾きに合わせるような傾き調整処理を行なうことによっても、各色間におけるズレを抑制することができる。
具体的には、基準色の画像データに基づいて形成される画像から画像の傾きを検出し、検出した傾きに補正する処理を、他の色の画像データに対して実行する。このように構成した場合、基準色の画像データに対しては傾き調整処理を行なう必要がないので、回路規模を削減することができる。また、例えば、黒文字の周辺に対する他の色の付着(文字縁)は文字の画質を大幅に低減させるが、黒を基準色とした場合、黒の画像データに対する各色の画像データの色ズレが抑制されるので文字縁が改善でき、良好な画像を形成することができる。
上述した実施形態では、傾き調整部114によって画像データに行なう傾き調整処理の際の調整量をテスト用のラインデータに基づくトナー像から算出する構成について説明したが、通常動作持において中間転写ベルト61上に形成されるトナー像に基づいて算出するように構成してもよい。この場合、露光ユニット1、感光体ドラム3、中間転写ユニット60等における取り付け角度のずれだけでなく、画像形成装置100が動作することによって生じた露光ユニット1、感光体ドラム3、中間転写ユニット60等におけるずれに基づいて生じるトナー像の傾きも補正することができる。
上述した実施形態では、本発明の画像形成装置をデジタルカラー複合機に適用した形態を例に説明したが、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能を有する各種の画像形成装置に適用することもできる。また、上述した実施形態の画像形成装置100は、中間転写方式のカラー画像を形成する構成を例としたが、例えばタンデム方式で配置された各色に対応する感光体ドラムに形成されたトナー像を搬送されるシート上に順次転写する構成の画像形成装置にも適用することができる。