<第1実施形態>
図1はこの発明の実施形態である実装機M1の一例を示す平面図、図2は実装機M1のヘッドユニット周辺を示す正面図である。
両図に示すように、この実装機M1は、基台11上に配置されるコンベア20と、このコンベア20の両側に設けられた部品供給部30と、基台11の上方に設けられたヘッドユニット40とを備えている。
コンベア20は、未実装のプリント基板Wを基板搬入部から実装位置まで搬送するとともに、実装処理された基板Wを、実装位置から基板排出部に搬送できるようになっている。
部品供給部30は、コンベア20に対してフロント側とリア側にそれぞれ設けられている。この実施形態では、部品供給部30は、部品供給手段としてのテープフィーダ31…を複数並べて取付可能に構成されている。各テープフィーダ31のリールには、IC、トランジスタ、コンデンサ等の電子部品が所定間隔おきに格納されたテープが巻回されてセットされており、テープが順次繰り出されることにより、電子部品が部品供給位置(供給窓)35に順次供給されるようになっている。
ヘッドユニット40は、部品供給位置35に供給された部品をピックアップして基板W上に装着し得るように、部品供給部30と基板W上の実装位置とにわたる領域を移動可能となっている。具体的には、ヘッドユニット40は、X軸方向(コンベア20の基板搬送方向)に延びるヘッドユニット支持部材42にX軸方向に移動可能に支持されている。ヘッドユニット支持部材42はその両端部においてY軸方向(水平面内でX軸と直交する方向)に延びるガイドレール43,43にY軸方向に移動可能に支持されている。そしてヘッドユニット40は、X軸モータ44によりボールねじ45を介してX軸方向の駆動が行われ、ヘッドユニット支持部材42は、Y軸モータ46によりボールねじ47を介してY軸方向の駆動が行われるようになっている。
なお本実施形態においては、ヘッドユニット支持部材42、ガイドレール43、X軸モータ44、ボールねじ45、Y軸モータ46、およびボールねじ47等によって、ヘッドユニット移動手段4が構成されている。
ヘッドユニット40には、部品搭載用の複数のヘッド41…がX軸方向に並んで配置されている。
各ヘッド41…は、Z軸モータを駆動源とする昇降機構による上下方向(Z軸方向)に駆動されるとともに、R軸モータを駆動源とする回転駆動機構により回転方向(R軸方向)に駆動されるようになっている。
各ヘッド41…には、電子部品Aを吸引吸着して基板Wに装着するための吸着ノズル411…がそれぞれ設けられている。
各吸着ノズル411は、図示しない負圧手段に接続されており、負圧手段から負圧が供給されると、その負圧による吸引力で電子部品が吸着されるようになっている。
図1〜3に示すように、ヘッドユニット40には、カメラユニット2が設けられている。カメラユニット2は、下方側を撮像できる態様に設けられる下方認識カメラ21と、そのカメラ21をヘッドユニット40に移動自在に支持するカメラ移動手段25とを備えている。
カメラ移動手段25は、ヘッドユニット40のフロント側に設けられ、かつX軸方向に連続して延びるリニアガイド26を有している。このリニアガイド26は、ヘッドユニット40におけるX軸方向の一端から他端までの長い範囲にわたって配置されている。
さらにこのリニアガイド26には、リニアガイド26の長さ方向(X軸方向)に沿ってスライド自在にカメラ支持部材27が設けられている。
カメラ支持部材27の下端部には、カメラ21がその撮像方向(画像取込部)を下向きに配置した状態で固定されている。このカメラ21の両側には、複数のLED等によって構成される照明手段23が設けられ、この照明手段23によって撮像領域(被写体)を照明できるようになっている。
下方認識カメラ21は、ラインセンサや、並列に配置された複数段のラインセンサによって電荷を蓄積する蓄積型ラインセンサ(TDIセンサ「Time Delay Integration sensor」)等のスキャンカメラにより構成されており、後述するように部品供給位置35上を通過しながら、その位置35の部品を撮像したり、基板W上を通過しながら、基板Wの位置基準マークや、基板IDマーク等を撮像できるようになっている。
また図1〜3に示すように、ヘッドユニット40のフロント側にはボールねじ28が軸心回りに回転自在に設けられている。このボールねじ28は、リニアガイド26と平行にX軸方向に沿って配置されるとともに、ヘッドユニット40におけるX軸方向の一端から他端までの長い範囲にわたって配置されている。
下方撮像カメラ21を支持する上記カメラ支持部材27には、ボールねじ28に対応して、ボールナット281が固定されており、このボールナット281が、ボールねじ28に螺合される態様に取り付けられている。
さらにヘッドユニット40のフロント側には、ボールねじ28の一端に対応してサーボモータ等のカメラ移動用モータ(カメラX軸モータ)29が取り付けられている。そしてこのモータ29が回転駆動することにより、ボールねじ28が回転して、カメラ支持部材27がカメラ21と共にX軸方向に沿って移動されるようになっている。
なおカメラ21の移動範囲は、ヘッドユニット40におけるX軸方向の一端から他端までの範囲に設定されて、両端のヘッド41,41よりもさらに外側まで移動できるようになっている。
本実施形態においては、リニアガイド26、カメラ支持部材27、ボールねじ28およびカメラ移動用モータ29等によって、カメラ移動手段25が構成されている。
また実装機M1における部品供給部30とコンベア20との各間には、ラインセンサカメラ、TDIセンサカメラ等のスキャンカメラからなる部品認識カメラ12が設けられている。このカメラ12は、ヘッドユニット40によって移送される部品を下方側から撮像して、部品の位置ずれ等を検出できるようになっている。
なお本実施形態においては、部品認識カメラ12をスキャンカメラによって構成しているが、それだけに限られず、本発明においては、部品認識カメラをエリアセンサカメラ等によって構成しても良い。
図4は実装機M1の制御系を示すブロック図である。同図に示すように本実施形態の実装機M1は、パーソナルコンピュータ等からなる制御装置(コントローラ)6を備え、この制御装置6によって、実装機M1の各種動作が制御される。
制御装置6は、演算処理部60、実装プログラム記憶手段63、搬送系データ記憶手段64、モータ制御部65、外部入出力部66および画像処理部67を備えている。
演算処理部60は、実装機M1の各種動作を統括的に管理する。
実装プログラム記憶手段63は、基板Wに各電子部品を実装するための実装プログラム(実装データ)を記憶する。この生産プログラムには、基板Wの回路パターンに基づく各電子部品の実装位置(座標)や向き、各電子部品に供給されるテープフィーダ31の位置(座標)等に関するデータ等が含まれている。
搬送系データ記憶手段64は、生産ライン上での基板Wの搬送に関する各種データが記憶されている。
またモータ制御部65は、ヘッドユニット40(ヘッド41)のXYZR各軸の駆動モータ、さらにカメラ移動用のモータ(カメラX軸駆動モータ)29等の動作を制御する。
外部入出力部66は、実装機M1が備える各種センサ類、吸着ノズル進退用のエアシリンダ等の駆動部との間で各種情報の入出力を行う。
画像処理部67は、部品撮影カメラ12および基板撮影カメラ21によって撮像された画像データ(画像情報)を処理する。
また制御装置6には、各種の情報を表示するためのCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示ユニット62が接続されている。さらに制御装置6には、各種の情報を入力するためのキーボードやマウス等の入力ユニット(図示省略)が接続されている。
以上の構成の実装機M1においては、入力ユニットを介して入力された動作開始指令に応答して制御装置6が作動し、その制御装置6によって各駆動部の駆動が制御されて、以下の動作が自動的に行われる。
この実装機M1の動作においてはまず、図5に示すように実装しようとする基板Wに関する実装プログラム(実装データ)が読み込まれる(ステップS1)。この実装データは、CD−ROM、DVD−ROM、ディスケット等の記録媒体や、ハードディスク等の記憶装置、LANやインターネットのネットワーク回線を介して上位のコンピュータ等から取り込まれる。
次にコンベア20によって、未実装の基板Wが所定位置まで搬入される(ステップS2)。
続いてヘッドユニット40は、搬入された基板Wの位置まで移動して、ヘッドユニット40の下方認識カメラ21によって、基板Wに設けられた基準マーク等が撮像されて、基板Wの位置や種類等が認識される。
次に、1サイクルの動作(ヘッドユニット40による1回の実装動作)において各ヘッド41…に吸着される複数の部品のグループを同一吸着グループとしたとき、これから実装しようとする同一吸着グループの各部品データが、上記実装データから取得される(ステップS3)。
この部品データとしては、部品種類毎に設けられた部品固有の番号(部品番号)、その番号の部品を吸着するヘッドの番号(ヘッド番号)、当該番号の部品を供給するフィーダの番号(フィーダ番号)、そのフィーダの部品供給位置(座標)、当該部品における基板上への搭載位置(座標)、搭載方向(向き)等に関するデータが含まれている。
続いてヘッドユニット40による部品吸着処理(ステップS4)が行われるが、この部品吸着処理においてはまず図6に示すように、吸着すべき部品の供給位置(部品位置)を撮像する(ステップS41)。本実施形態では、部品位置を撮像する場合、下方認識カメラ21をX軸方向下流側(下流方向X2)に移動させながら撮像する正方向スキャンと、下方認識カメラ21をX軸方向上流側(上流方向X1)に移動させながら撮像する逆方向スキャンとが行われる。
正方向スキャンにおいては、同一吸着グループの部品を供給するテープフィーダ31が、図9〜11の斜線ハッチングで示すように配列されている場合、そのテープフィーダ31…のうち、テープフィーダ配列方向(X軸方向)の上流側端部(図9〜11の右側端部)の位置に、下方認識カメラ21を配置し、その位置から下方認識カメラ21を正方向に移動させていき、その移動中に、各テープフィーダ31の部品供給位置(部品供給窓35)を撮像する。
なお、図9〜11、図12〜14及び図22〜28において、ヘッドユニット40は、下方認識カメラ21のY軸方向位置がテープフィーダ31の部品供給位置のY軸方向位置と一致するように、Y軸方向に位置している。
また図12〜14に示すように逆方向スキャンにおいては、同一吸着グループの部品を供給するテープフィーダ31…のうち、X軸方向の下流側端部位置(図12〜14の左側端部位置)に、下方認識カメラ21を配置し、その位置から下方認識カメラ21を上流方向X1に移動させていき、その移動中に、各テープフィーダ31の部品供給位置(部品供給窓35)を撮像する。
さらに本実施形態においては、下方認識カメラ21によって撮像を行う場合、以下に説明するように、ヘッド単軸動作と、カメラ単軸動作と、二軸動作とのいずれかの動作条件(スキャン動作条件)に従って撮像する。
ヘッド単軸動作では図9等に示すように、下方認識カメラ21をヘッドユニット40に対し固定しておいて、ヘッドユニット40のみをX軸方向に沿って移動させながら撮像する。
カメラ単軸動作では、ヘッドユニット40は固定しておいて、下方認識カメラ21のみをヘッドユニット40に対しX軸方向に沿って移動させながら撮像する。
二軸動作では図10,11に示すように、ヘッドユニット40をX軸方向に沿って移動させるのに並行させて、下方認識カメラ21もヘッドユニット40に対し同方向に移動させながら撮像する。
なお本第1実施形態のように、同一吸着グループの部品供給位置35…を連続して一度に撮像するような場合基本的には、カメラ単軸動作を用いることはない。つまり下方認識カメラ21のヘッドユニット40上での移動速度は、ヘッドユニット40の移動速度に比べて遅い上、カメラ単軸動作ではカメラ移動距離(撮像距離)が短く、撮像範囲全域を確実に撮像できなくなる場合もある。このため、カメラ単軸動作を行える状況下であっても、ヘッド単軸動作を優先して行うのが通例であり、本第1実施形態においては、カメラ単軸動作による撮像は行わないようにしている。言うまでもなく、本第1実施形態(本発明)においては、撮像後の下方認識カメラ21の位置やヘッドユニット40の位置等を考慮して、カメラ単軸動作による撮像を行っても良い。参考までに後述の第2実施形態においては、カメラ単軸動作による撮像が行われる。
本実施形態において、これらの動作条件のうち、いずれの条件で撮像するかについては、後に詳述するものとする。
なお本実施形態においては、下方認識カメラ21を移動させつつ、部品供給位置を撮像するように制御する制御装置6が、撮像制御手段として機能する。
次に、撮像した部品供給位置の画像データ(撮像情報)を加工して、吸着対象となる全てのテープフィーダの部品供給位置(供給窓)35毎に部分画像を切り出して、各テープフィーダ毎の部分画像を取得する。そしてその部分画像から、各テープフィーダ毎に、部品の中心位置(吸着位置)のX軸方向位置(座標)、Y軸方向位置(座標)およびR軸方向を検出する(図6のステップS42)。なお各部品の吸着位置を検出する際には、画像データを、各部品供給位置毎に切り出さずに、繋ぎ合わせた状態で検出するようにしても良い。
検出された実際の部品吸着位置および向き(R軸方向)と、実装データに含まれる基準の部品吸着位置(吸着目標位置)および向きとが照合されて、異なる場合には、補正値が算出される。こうして各ヘッド41毎に、対応する各テープフィーダ31…における部品供給位置35…に対して補正値がそれぞれ算出される(ステップS43)。
本実施形態においては、画像データを加工して、部品吸着位置および部品向きを検出するとともに、その検出された実際の部品吸着位置および向きと、実装データに含まれる基準の部品吸着位置および向きとを照合して、補正値を算出するように制御する制御装置6が、吸着位置確認手段として機能する。
補正値が算出された後、位置の補正値が加算された吸着目標位置に向けて、ヘッドユニット40が移動することによって、1番目に吸着を行うヘッド41が、対応するテープフィーダ31の部品供給位置の上方に配置されるとともに、R軸方向の補正値に応じてヘッド41(吸着ノズル411)がR軸方向に回転することによって、吸着ノズル411の部品に対する向きが調整される。こうして、ヘッド41が降下すると同時に、吸着ノズル411が負圧に設定されて、吸着ノズル411によって部品の中心位置(補正された吸着目標位置)が吸着される(ステップS44)。
続いて同一吸着グループ内で吸着されていない部品が残っている場合には(ステップS45でNO)、上記と同様に、必要に応じて部品目標位置および向きが補正されながら、次のヘッド41が、対応するテープフィーダ31の部品供給位置35に移動して、当該ヘッド41の吸着ノズル41によって部品が吸着される。
本実施形態においては、補正値を加算しつつ、各ヘッド41によって部品を吸着するように制御する制御装置6が、部品吸着制御手段として機能する。
そして同一吸着グループの全ての部品の吸着が完了すれば(ステップS45でYES)、吸着処理(ステップS4)が完了する。
なお言うまでもなく、吸着処理において、位置や向きの補正が不要な場合(補正値「0」場合等)には、実装データに予め含まれる吸着目標位置および向きに従って、部品の吸着が行われる。
吸着処理が完了した後は、ヘッドユニット40に吸着された部品が基板Wに搭載される(ステップS5)。
この搭載処理においては図7に示すように、部品供給部30からヘッドユニット40が移動して、各吸着ノズル41に吸着された各部品が、部品認識カメラ12を順次通過して撮像される(ステップS51)。
次に、撮像した部品の画像データを加工して、各部品毎の部品画像を取得する。そしてその各部品画像から、吸着ノズル41に対する部品の位置(座標)およびR軸方向を検出する(ステップS52)。
このように検出された実際の部品位置および向き(R軸方向)が、実装機側に保持されている理想状態の部品位置(吸着目標位置)および向きと照合されて、異なる場合には、位置ずれ量および回転ずれ量(補正値)が算出される。こうして各ヘッド41毎に、各部品に対して補正値がそれぞれ算出される(ステップS53)。
一方、補正値の算出と並行して、その位置の補正値(位置ずれ量)が加算されつつ、ヘッドユニット40は、基板位置へと移動していき、1番目に搭載を行うヘッド41が、基板Wの搭載すべき位置上に配置されるとともに、向きの補正値(回転ずれ量)に応じてヘッド41(吸着ノズル411)がR軸方向に回転することによって、吸着ノズル411の部品に対する向きが調整される。続いてヘッド41(吸着ノズル411)が降下すると同時に、吸着ノズル411が正圧に設定されて、吸着ノズル411に保持された部品が、基板Wの所定位置に搭載される。こうして補正されつつ、ヘッドユニット40の各ヘッド41…に保持された部品が順次、基板上に搭載されて、ヘッドユニット40に保持された全ての部品が基板上に搭載される(ステップS54)。これにより搭載処理(ステップS5)が完了する。
ここで本実施形態においては、ヘッド41により吸着した部品を、基板位置まで移送して基板Wに搭載するように制御する制御装置6が、部品移送搭載手段として機能する。
搭載処理(ステップS5)が完了した後、基板Wに対し搭載すべき部品が残っている場合には(ステップS6でYES)、上記と同様に、ヘッドユニット40によってテープフィーダ31から部品が順次吸着されて、その吸着された各部品が基板位置まで移動されて、所定位置に搭載される。
そして基板Wに対し予定していた全ての部品が搭載されると(ステップS6でNO)、当該基板Wに対する実装処理が完了し、その基板Wがコンベア20によって搬出される(ステップS7)。
続いて、本実装機M1において、次に実装すべき基板Wがあるか否かが判断されて、ある場合には(ステップS8でYES)、実装すべき次の基板Wが、コンベア20によって所定の実装位置まで搬入されて(ステップS2)、上記と同様の実装動作が繰り返し行われる。
そして実装すべき基板Wがなくなった場合には(ステップS8でNO)、実装動作が終了して、基板搬入待ちの状態となる。
次に上記ステップS41における部品位置撮像動作について詳細に説明する。
各テープフィーダ31の部品供給位置35を認識するに際してはまず、撮像範囲を算出する(ステップS411)。この撮像範囲は、ステップS3で取得した部品データに基づいて、同一吸着グループの各部品を供給する各テープフィーダ31の部品供給位置を取得し、その位置データから算出することができる。
すなわち取得した全てのテープフィーダ31の部品供給位置のうち、X座標位置が最も大きい位置から最も小さい位置までの範囲が撮像範囲として特定される。なお両座標位置の差によって撮像距離も正確に算出することができる。
ここで本実施形態においては図9〜11に示すにように、撮像範囲を「R」とし、撮像範囲Rの上流側端部位置を「Pr1」、下流側端部位置を「Pr2」とする。さらにこれらの図において、ヘッド41により吸着すべき部品(同一吸着グループの部品)を供給するテープフィーダ31を斜線ハッチングにより示す(以下の図12〜17においても同じ)。
撮像範囲Rを特定した後は、現在のヘッドユニット40の位置(座標)およびヘッドユニット40に対する下方撮像カメラ21の位置(座標)を取得する(ステップS412)。これらの現在位置は例えば、生産開始直後の場合には、初期の基準位置データに基づいて取得することができ、生産中の場合には、部品の基板Wに対する搭載が完了した時点での位置データに基づいて取得することができる。
次にヘッドユニット40および下方撮像カメラ21の現在位置と、撮像範囲Rとに基づいて、選択可能なスキャン動作条件を抽出して、各スキャン動作条件毎の所要時間(準備撮像時間)を算出する(ステップS413)。
すなわち撮像範囲Rの撮像を行う場合には、下方撮像カメラ21を現在位置から撮像範囲Rの端部位置「Pr1」「Pr2」のいずれかに移動させる一方、本実施形態においては既述したように、ヘッド単軸動作、二軸動作のいずれかのスキャン動作条件で撮像範囲Rを撮像するものである。
従って、正方向ヘッド単軸動作で撮像を行う場合には例えば図9の実線に示すように、下方認識カメラ21を上流側端部位置「Pr1」に配置して、そこからヘッドユニット40のみを下流方向X2に移動させて、同図想像線(一点鎖線)に示すように下方認識カメラ21を下流側端部位置「Pr2」まで移動させるとともに、その移動中に撮像領域Rを撮像することになる。
逆に、逆方向ヘッド単軸動作スキャンを行う場合には例えば、図12の実線に示すように下方認識カメラ21を下流側端部位置「Pr2」に配置して、そこからヘッドユニット40のみを上流方向X1へ移動させて、同図想像線に示すように下方認識カメラ21を上流側端部位置「Pr1」まで移動させるとともに、その移動中に撮像領域Rを撮像することになる。
一方、正方向二軸動作での撮像を行う場合、下方認識カメラ21を上流側端部位置「Pr1」まで移動させた際に、下方認識カメラ21が、ヘッドユニット40の下流側端部位置にあると、下方認識カメラ21をヘッドユニット40に対し下流方向X2に移動させることができないため、下方認識カメラ21をヘッドユニット40の上流側に配置しておく必要がある。そしてその状態から、ヘッドユニット40を下流方向X2に移動させるとともに、下方認識カメラ21もヘッドユニット40に対し下流方向X2に移動させて、撮像範囲Rを撮像することとなる。この撮像において、下方認識カメラ21の撮像範囲Rに対する速度は、ヘッドユニット40の移動速度に、下方認識カメラ21の移動速度を加えた速度となり、撮像を高速に行うことが可能となる。
例えば図10,11の各実線に示すように、ヘッドユニット40の上流側に配置された下方認識カメラ21を、上流側端部位置「Pr1」に配置した状態で、ヘッドユニット40および下方認識カメラ21を共に下流方向X2側に移動させて、両図想像線に示すように下方認識カメラ21を下流側端部位置「Pr2」まで移動させる。
また逆方向二軸動作で撮像を行う場合には例えば図13,14の各実線に示すように、ヘッドユニット40の下流側に配置された下方認識カメラ21を、下流側端部位置「Pr2」に配置した状態で、ヘッドユニット40および下方認識カメラ21を共に上流方向X1に移動させて、両図想像線に示すように下方認識カメラ21を上流側端部位置「Pr1」まで移動させる。
ここで、下方認識カメラ21の撮像範囲Rに対する速度が、撮像中に変化すると、下方認識カメラ21によって精度良く撮像範囲Rを認識できず、画像処理を行ったとしても画像に歪みが生じて、撮像精度が低下して部品供給位置を精度良く把握することが困難になるおそれがある。
そこで本実施形態においては、二軸動作で撮像する場合、撮像範囲Rの全域にわたって、下方認識カメラ21の撮像範囲Rに対する速度が一定となるように、例えばヘッドユニット40および下方認識カメラ21を共に等速で移動させるようにしている。
このため図10に示すように正方向二軸動作で撮像するに際して、撮像時における下方認識カメラ21のヘッドユニット40に対する移動距離に対し、ヘッドユニット40の移動距離が極端に長いような場合には、撮像途中で下方認識カメラ21がヘッドユニット40の下流側端部位置「Ph2」まで移動して下方認識カメラ21のみが停止することがあるため、下方認識カメラ21の移動速度を定格速度よりも遅くして、撮像終了時点までヘッドユニット40と下方認識カメラ21とがそれぞれ等速で移動するように調整する。
また下方認識カメラ21のヘッドユニット40に対する移動距離を大きく確保できるような場合例えば、下方認識カメラ21がヘッドユニット40の上流側端部に配置されているような場合図11に示すように、ヘッドユニット40および下方認識カメラ21をそれぞれ定格の最高速度で移動させながら撮像するように調整する。
なお撮像範囲Rが狭いような場合には、下方認識カメラ21がヘッドユニット40の下流側端部位置まで移動せずに中間位置で、下方認識カメラ21が撮像範囲Rの下流側端部位置に到達して、撮像が終了することもあるが、その場合には、撮像終了後に下方認識カメラ21を撮像を行わずにヘッドユニット40の上流側端部や下流側端部に移動させるようにすれば良い。また場合によっては、撮像終了以降、下方認識カメラ21をヘッドユニット40の中間位置に配置するようにしても良い。
また撮像終了時点で、下方認識カメラ21をヘッドユニット40の下流側端部位置に配置しておきたいような場合には、ヘッドユニット40の移動速度を定格速度よりも遅くして、撮像終了時点で下方認識カメラ21がヘッドユニット40の下流側端部位置に到達するように調整すれば良い。
このように二軸動作においては、ヘッドユニット40および下方認識カメラ21をそれぞれ定格の高速で移動させる高速二軸動作(図11参照)と、ヘッドユニット40および下方認識カメラ21のいずれかを定格速度よりも遅くして移動させる変速二軸動作(図10参照)とに分けることができる。
なお逆方向二軸動作で撮像する場合でも、上記と同様に、逆方向変速二軸動作(図13参照)と、逆方向高速二軸動作(図14参照)とに分けることができる。
本実施形態においては、上記のスキャン動作の中で撮像時間が最も短いのは、高速二軸動作での撮像(高速二軸動作スキャン)あり、次に変速二軸動作での撮像(変速二軸動作スキャン)、そして撮像時間が最も長いのは、ヘッド単軸動作での撮像(ヘッド単軸動作スキャン)となる。なお、変速二軸動作スキャンにおいて、ヘッドユニット40側の移動速度を遅くする場合には、ヘッド単軸動作スキャンよりも撮像時間が長くなる可能性もあるが、そのような場合には、二軸動作スキャンを行わずに、ヘッド単軸動作スキャンを行えば良いため、本実施形態では、変速二軸動作スキャンは常に、ヘッド単軸動作スキャンよりも撮像時間(移動時間)が短くなっている。
一方、各吸着ノズル411にそれぞれ吸着された電子部品が全て基板W上に実装された後、ヘッドユニット40を基板W上方位置から移動し、撮像を始める前に、下方認識カメラ21を、撮像可能位置「Pr1」「Pr2」に配置する必要がある。つまり、吸着部品の実装を終えた直後の現在位置から、ヘッドユニット40を移動し、あるいはさらに下方認識カメラ21を移動し、下方認識カメラ21を撮像可能位置(下方認識カメラ21のY軸方向位置がテープフィーダ31の部品供給位置のY軸方向位置と一致するとともに、下方認識カメラ21のX軸方向位置が撮像範囲のいずれか一方の外側近傍位置)に移動させるための準備時間が必要となる。本実施形態では、この準備時間と、実際に撮像する撮像時間とを加え合わせたものを、準備撮像時間とし、選択可能な全てのスキャン動作条件での準備撮像時間を予め算出し、最も準備撮像時間が短いスキャン動作条件を選択し、その条件で実際の撮像を行うものである。
ヘッド単軸動作スキャンの準備時間は、実装直後の基板W上方位置におけるヘッドユニット40および下方認識カメラ21の状態から、ヘッド単軸動作スキャンを可能な状態に移行させるまでの時間となる。
例えば図15に示すように、実装直後の基板W上方位置におけるヘッドユニット40の現在位置が、撮像範囲Rに対しX軸方向の上流側に位置し、テープフィーダ31の部品供給位置に対しヘッドユニット40に搭載の下方認識カメラ21がY軸方向いおいてLyだけ基板W側に位置しているとともに、下方認識カメラ21がヘッドユニット40に対し下流側に配置されている場合に、正方向ヘッド単軸動作スキャンを行うには、ヘッドユニット40をX軸方向およびY軸方向に並行して移動させて、図9に示すように下方認識カメラ21を上流側端部位置「Pr1」に配置する。この場合、ヘッドユニット40のX軸方向の移動時間およびY軸方向の移動時間のうち、長い方の移動時間が準備時間となる。
本実施形態においては既述したように、ヘッドユニット40をスキャン可能な状態に実際に移動させる前に、移動時間(準備時間)を推定するものであるが、この準備時間は、現在位置(座標)およびスキャン開始位置(座標)からX軸方向の移動量(距離Lx)およびY軸方向移動量(距離Ly)を求めて、各移動量Lx,Lyと、XY各方向の移動速度とから算出することができる。
なお、図15〜図17は、ヘッドユニット40が基板W上方で全てのヘッド41が吸着部品の実装を終えた直後の状態にあるものを、Y軸方向に見た図である。下方認識カメラ21のY軸方向位置がテープフィーダ31の部品供給位置のY軸方向位置と一致するためには、ヘッドユニット40をY軸方向にLyだけ移動させる必要があり、それをLyの矢印で示し、そのY軸方向移動と並行してヘッドユニット40をX軸方向に移動させる距離をLxの矢印で示している。
撮像時間は、撮像を開始してから終了するまでの時間である。この撮像時間も予め算出するものであるが、正方向ヘッド単軸動作スキャンによる撮像時間は、ヘッドユニット40の定格移動速度と、撮像範囲RのX軸方向長さとによって算出することができる。
こうして算出された準備時間および撮像時間が加算されて、ヘッドユニット40をスキャン可能な状態に移動させる前に、正方向ヘッド単軸動作スキャンによる準備撮像時間が算出される(図8のステップS413)。
一方、実装直後の基板W上方における現在位置が上記図15と同様で、正方向変速二軸動作スキャンを行うには、ヘッドユニット40をXY軸方向に移動させると同時に、下方認識カメラ21をヘッドユニット40に対し上流方向X1に移動させて、図10に示すように下方認識カメラ21をヘッドユニット40の中間位置に配置した状態で上流側端部位置「Pr1」に配置する。この場合、ヘッドユニット40のX軸方向移動時間、Y軸方向移動時間および下方認識カメラ21の上流方向移動時間のち、最も長い移動時間が準備時間となる。なお下方認識カメラ21の準備時間は、カメラ21の移動量(距離)と、移動速度とから算出することができる。
また正方向変速二軸動作スキャンによる撮像時間は、ヘッドユニット40のX軸方向移動速度および下方認識カメラ21の移動速度を加算した速度と、撮像範囲RのX軸方向長さとに基づいて算出することができる。
こうして算出された準備時間および撮像時間が加算されて、正方向変速二軸動作スキャンによる準備撮像時間が算出される(ステップS413)。
実装直後の基板W上方における現在位置が上記図15と同様で、正方向高速二軸動作スキャンを行うには、ヘッドユニット40をXY軸方向に移動させると同時に、下方認識カメラ21を上流方向X1に移動させて、図11に示すように下方認識カメラ21をヘッドユニット上流側に配置した状態で上流側端部位置「Pr1」に配置する。そして上記と同様に、ヘッドユニット40のX軸移動時間、Y軸移動時間、カメラ移動時間のうち、最も長い移動時間が準備時間として保持される。
また正方向高速二軸動作スキャンによる撮像時間は、ヘッドユニット40の定格(最速)移動速度および下方認識カメラ21の定格(最速)移動速度を加算した速度と、撮像範囲RのX軸方向長さとに基づいて算出することができる。
こうして算出された準備時間および撮像時間が加算されて、正方向高速二軸動作スキャンによる準備撮像時間が算出される(ステップS413)。
一方図15の想像線に示すように、ヘッドユニット40が基板W上方に配置された実装直後の状態において、下方認識カメラ21がヘッドユニット40に対し下流側に配置されている場合においても基本的には、下方認識カメラ21を上流側から下流側に移動させる正方向スキャンを行うものである。すなわちヘッドユニット40が基板W上方に配置された実装直後の状態から、正方向単軸動作スキャンを行える状態(図9参照)への移行時間(準備時間)、正方向二軸動作スキャンを行える状態(図10,11参照)への移行時間(準備時間)をそれぞれ上記と同様に算出するとともに、各スキャン動作条件での撮像時間を上記と同様に算出して、各スキャン動作条件毎の準備撮像時間を算出する(ステップS413)。
ここで本実施形態では、図15に示す状態からヘッドユニット40のスキャン可能な位置に移動させるに際して、ヘッドユニット40のX軸移動量LxがY軸移動量Lyに比べて短いような場合、Y軸移動に比べてX軸移動に余裕があるため、その余裕の時間を利用して、ヘッドユニット40を下流方向X2へさらに移動させるとともに、下方認識カメラ21を上流方向X1に移動させるようにする。これにより準備時間を増加させることなく、撮像時間の短い高速二軸動作スキャンや変速二軸動作スキャンを行うことができるようになり、準備撮像時間を短縮することが可能となる。
また逆にヘッドユニット40のX軸移動量LxがY軸移動量Lyに比べて長い場合には、X軸移動時間の全てを利用して、下方認識カメラ21を移動させることにより、速度の速いスキャン動作条件で撮像することも可能である。
なお本実施形態においては、図15に示すように基板W上方に配置された実装直後のヘッドユニット40の現在位置が、撮像範囲Rに対しX軸方向上流側の場合には基本的に、下方認識カメラ21を上流側から下流側に移動させる正方向スキャンを行う方が、準備撮像時間を短くできる。もっとも本発明においては、ヘッドユニット40の現在位置が、撮像範囲Rよりも上流側の場合であっても、逆方向スキャンを行うようにしても良い。
一方図16に示すように、基板W上方に配置された実装直後のヘッドユニット40が、撮像範囲Rに対しX軸方向下流側に配置される場合には、上記図15に示す場合と左右対象の関係となり、下方認識カメラ21を撮像範囲下流側端部位置「Pr2」に移動させて、そこから逆方向スキャンを行うことになる。
従って図16に示すヘッドユニット40が基板W上方に配置された実装直後の状態から、逆方向単軸動作スキャンを行える状態(図12参照)への移行時間(準備時間)、逆方向変速二軸動作スキャンを行える状態(図13参照)、逆方向高速二軸動作スキャンを行える状態(図14参照)への移行時間(準備時間)をそれぞれ、ヘッドユニット40の移動量Lx,Lyおよび各移動速度等に基づいて、上記と同様に算出するとともに、各スキャン動作条件での撮像時間をそれぞれ上記と同様に算出して、各スキャン動作条件毎の準備撮像時間を算出する(ステップS413)。
また言うまでもなく、ヘッドユニット40が基板W上方に配置された実装直後の状態における下方認識カメラ21のヘッドユニット40に対する位置が、図16の実線に示すようにカメラ21が下流側に配置される場合と、同図想像線に示すように上流側に配置される場合とでは、各スキャン動作条件での準備時間は異なるものである。
なお本発明においては、ヘッドユニット40の現在位置が、図16に示すように撮像範囲Rよりも下流側の場合であっても、正方向スキャンを行うようにしても良い。
一方図17に示すように、基板W上方に配置された実装直後のヘッドユニット40が撮像範囲Rの範囲内に配置される場合には、スキャン方向も十分に考慮される。すなわちヘッドユニット40が基板W上方に配置された実装直後の状態から、正方向ヘッド単軸動作スキャンを行える状態(図9参照)への移行時間(準備時間)、正方向変速二軸動作スキャンを行える状態(図10参照)への移行時間(準備時間)、正方向高速二軸動作スキャンを行える状態(図11参照)への移行時間(準備時間)、さらに逆方向ヘッド単軸動作スキャンを行える状態(図12参照)への移行時間(準備時間)、逆方向変速二軸動作スキャンを行える状態(図13参照)への移行時間(準備時間)、逆方向高速二軸動作スキャンを行える状態(図14参照)への移行時間(準備時間)をそれぞれ、ヘッドユニット40の移動量Lx,Lyおよび各移動速度等に基づいて、上記と同様に推定し、各スキャン動作条件での撮像時間を上記と同様に算出して、各スキャン動作条件毎の準備撮像時間を算出する(図8のステップS413)。
なお図17の実線に示すように、ヘッドユニット40が基板W上方に配置された実装直後の状態で、下方認識カメラ21がヘッドユニット40に対し下流側に配置されている場合には、下方認識カメラ21を撮像範囲下流側端部位置「Pr2」に配置させて、逆方向高速二軸動作スキャンを行うのがもっとも準備撮像時間を短くできるのが通例であるため、この場合には、優先的に逆方向高速動作スキャンを選択するように構成しても良い。
また図17の想像線に示すように、ヘッドユニット40が基板W上方に配置された実装直後の状態で下方認識カメラ21がヘッドユニット40に対し上流側に配置されている場合には、下方認識カメラ21を撮像範囲上流側端部位置「Pr1」に配置させて、正方向高速二軸動作スキャンを行うのがもっとも準備撮像時間を短くできるのが通例であるため、この場合には、優先的に逆方向高速動作スキャンを選択するように構成しても良い。
以上のように、本実施形態の実装機M1においては、選択可能な全てのスキャン動作条件による準備撮像時間をそれぞれ算出し(図8のステップS413)、そのスキャン動作条件の中から、最も短い準備撮像時間のスキャン動作条件を特定し(ステップS414)、その動作条件に従って実際に撮像を行う。
すなわち特定されたスキャン条件が、正方向ヘッド単軸動作、正方向二軸動作の場合には、下方認識カメラ21を図9〜11に示すスキャン開始位置まで移動させて(ステップS415)、その位置から下方認識カメラ21を下流方向X2に移動させて、撮像範囲R内の部品供給位置を撮像する。また特定されたスキャン条件が、逆方向ヘッド単軸動作、逆方向二軸動作の場合には、下方認識カメラ21を図12〜14に示すスキャン開始位置まで移動させて(ステップS415)、その位置から下方認識カメラ21を上流方向X1に移動させて、撮像範囲R内の部品供給位置を撮像する。
以上のように、本第1実施形態の実装機によれば、ヘッドユニット40に、部品供給位置撮像用に設けられる下方認識カメラ21を、ラインセンサやTDIセンサ等のスキャンカメラによって構成しているため、部品供給位置上を移動させながら部品を撮像することができる。従って、撮像時にヘッドユニット40や下方認識カメラ21を一旦停止させる必要がなく、撮像をスムーズに行うことができ、生産効率を向上させることができる。
特に本実施形態においては、同一吸着グループの部品に対応する複数の部品供給位置(撮像範囲R)を一度に連続して撮像するようにしているため、複数の部品供給位置毎に、ヘッドユニットの移動、停止を行う場合と比較して、撮像をよりスムーズに行うことができ、撮像に要する時間を一層短縮できて、生産効率を一層向上させることができる。
しかも本実施形態においては、下方認識カメラ21をヘッドユニット40に対しX軸方向に移動できるように構成しているため、場合によっては、ヘッドユニット40の移動と並行させて、下方認識カメラ21を同方向に移動させながら、撮像することができる。このため、下方認識カメラ21の撮像範囲Rに対する移動速度をより一層速くすることができ、撮像に要する時間をより一層短縮できて、生産効率をより一層向上させることができる。
また本実施形態においては、撮像範囲Rを撮像する際に、スキャン動作条件に応じて、ヘッドユニット40および下方認識カメラ21の準備時間および撮像時間を予め算出し、準備時間および撮像時間の総時間(準備撮像時間)が最も短いスキャン動作条件に基づいて、実際の撮像を行うようにしているため、撮像をより一層効率良く行うことができる。
また本実施形態においては、下方認識カメラ21をヘッドユニット40のフロント側に設けているため、フロント側に配置されたテープフィーダ31に対して、吸着処理を行う場合には、部品供給位置撮像後の補正値算出中(補正演算中)に、ヘッドユニット40をフロント側に移動することにより、ヘッド41を、吸着すべき部品の真上に配置することができる。従って部品位置認識後、短時間で部品を吸着でき、生産効率をさらに向上させることができる。
さらに本実施形態においては特に、二軸動作スキャンを行う場合、下方認識カメラ21を撮像範囲Rに対し、撮像範囲全域にわたって等速で移動させて撮像するようにしているため、撮像画像に歪み等の不具合が生じるのを有効に防止でき、撮像精度を向上させることができ、ひいては部品吸着位置をより一層精度良く検出することできる。
<第2実施形態>
図18はこの発明の第2実施形態である実装機M2のヘッドユニット周辺を示す正面図、図19はその実装機M2におけるカメラユニット周辺を示す側面図である。両図に示すように、この実装機M2では、ヘッドユニット40に、電子部品Aの下面側を撮像するための部品認識カメラ7が設けられている点が、上記第1実施形態の実装機M1と大きく相違している。
この第2実施形態の実装機M2のヘッドユニット40に設けられるカメラユニット2は、下方認識カメラ21と、部品認識カメラ51と、両カメラ21,51をヘッドユニット40に移動自在に支持するカメラ移動手段25とを備えている。
カメラ移動手段25は、ヘッドユニット40のリア側に設けられ、かつX軸方向に連続して延びるリニアガイド26を有している。このリニアガイド26は、ヘッドユニット40におけるX軸方向の一端から他端までの長い範囲にわたって配置されている。
さらにカメラ移動手段25には、両カメラ21,51が取り付けられるカメラ支持部材27を備えている。
カメラ支持部材27は、垂直に配置される垂直片271を備え、その垂直片271が、上記リニアガイド26に長さ方向(X軸方向)に沿ってライド自在に支持されている。さらにカメラ支持部材27は、垂直片271の下端に設けられ、かつY軸方向のフロント側(前方)へ延びるよう水平に配置される水平片272を備え、この水平片272の先端が、ヘッドユニット40における吸着ノズル411の下方に対応して配置されている。そしてこの水平片272の先端下面に上記下方認識カメラ21が設けられるとともに、先端上面側に上記部品認識カメラ51が設けられる。
下方認識カメラ21は、ヘッドユニット40の下方側を撮像できるように撮像方向(画像取込部)を下向きに配置した状態に固定されている。さらにこの下方認識カメラ21の両側には、複数のLED等によって構成される照明手段23が設けられ、この照明手段23によって撮像範囲を照明できるようになっている。
また部品認識カメラ51は、吸着ノズル411に吸着される部品Aの下面側を撮像できるように、撮像方向を上向きに配置した状態で固定されている。さらにこの部品認識カメラ51の両側には、複数のLED等によって構成される照明手段53が設けられ、この照明手段53によって撮像範囲を照明できるようになっている。
下方認識カメラ21および部品認識カメラ51は、上記第1実施形態と同様、ラインセンサや、並列に配置された複数段のラインセンサの電荷を蓄積する蓄積型ラインセンサ(TDIセンサ)等のスキャンカメラにより構成されており、撮像部を通過しながら、その撮像部を撮像できるようになっている。
また図19に示すように、ヘッドユニット40のリア側にはボールねじ28が軸心回りに回転自在に設けられている。このボールねじ28は、リニアガイド26と平行にX軸方向に沿って配置されるとともに、ヘッドユニット40におけるX軸方向の一端から他端までの長い範囲にわたって配置されている。
さらに上記カメラ支持部材27には、ボールねじ28に対応して、ボールナット281が固定されており、このボールナット281が、ボールねじ28に螺合される態様に取り付けられている。
さらにヘッドユニット40のリア側には、ボールねじ28の一端に対応してサーボモータ等のカメラ移動用モータ(カメラX軸モータ)29が取り付けられている。そしてこのモータ29が回転駆動することにより、ボールねじ28が回転して、カメラ支持部材27が両カメラ21,51と共にX軸方向に沿って移動されるようになっている。
なお両カメラ21,51の移動範囲は、上記第1実施形態と同様、ヘッドユニット40におけるX軸方向の一端から他端までの範囲に設定されて、両端のヘッド41,41よりもさらに外側まで移動できるようになっている。
本実施形態においては、リニアガイド26、カメラ支持部材27、ボールねじ28およびカメラ移動用モータ29等によって、カメラ移動手段25が構成されている。
なお本実施形態では、下方認識カメラ21および部品認識カメラ51における垂直方向のカメラ軸は互いに一致するように配置されており、両カメラ21,51を、いずれかの吸着ノズル411の下方に移動させた際には、両カメラ21,51のカメラ軸が、当該吸着ノズル411(ヘッド41)の軸心に一致するようになっている。
本第2実施形態の実装機M2において、他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同一部分に同一符号を付して、重複説明は省略する。
この実装機M2においては図20に示すように、上記第1実施形態と同様に、実装プログラム(実装データ)が読み込まれた後、基板Wが搬入されるとともに、同一吸着グループの部品データが取得される(ステップS11〜S13)。
続いて、ヘッドユニット40におけるヘッド41の並びと、各ヘッド41により吸着される部品を供給する各テープフィーダ31の並びとが一致するか否かが判断される(ステップS14)。
すなわち部品を供給する複数のテープフィーダ31を例えば、上流側または下流側から順に、1番目のテープフィーダ31、2番目のテープフィーダ31、3番目のテープフィーダ31…と順番付けを行うとともに、ヘッドユニット40の複数のヘッド41を同様に、上流側または下流側から順に、1番目のヘッド41、2番目のヘッド41、3番目のヘッド41…と順番付けを行ったときに、1番目のテープフィーダ31から供給される部品を1番目のヘッド41により吸着し、2番目のテープフィーダ31から供給される部品を2番目のヘッド41により吸着し、3番目のテープフィーダ31から供給される部品を3番目のヘッド41により吸着し…、最終番目のテープフィーダ31から供給される部品を最終番目のヘッド41により吸着するような場合には、ヘッド順序(並び)とテープフィーダ順序(並び)とが一致していると判断される。
なお部品を供給するテープフィーダ31の位置(座標)、吸着順序、ヘッドユニット40における各ヘッド41の吸着順序、各ヘッド41に吸着される部品種類、部品種類とテープフィーダとの関係に関するデータは、上記ステップS13で取得した部品データに含まれている。
そしてヘッド並びとフィーダ並びとが一致しない場合には(ステップS14でNO)、上記第1実施形態で説明した吸着処理(ステップS4,ステップS41〜S45,ステップS411〜416)と同様な第1吸着処理(ステップS15)が行われる。
一方、ヘッド並びとフィーダ並びとが一致する場合には(ステップS15でYES)、本第2実施形態特有の第2吸着処理(ステップS16)が行われる。
第2吸着処理においてはまず図22に示すように、下方認識カメラ21がヘッドユニット40の上流側端部まで移動した状態で、下方認識カメラ21が1番目のテープフィーダ31における部品供給位置35上の少し上流側に配置される(図21のステップS161)。この状態において、ヘッドユニット40の1番目のヘッド41(1番目の吸着ノズル411)は、1番目のテープフィーダ31の部品供給位置35の上方にほぼ対応して配置されている。なお図22において、ヘッド41によって吸着すべき部品を供給するテープフィーダ31には、斜線によるハッチングを示している(以下の図23〜28においても同じ)。
続いて図23に示すように、下方認識カメラ21がカメラ単軸動作によってヘッドユニット40に対し下流方向X2に少量移動することにより、1番目のテープフィーダ31の部品供給位置35上を通過して停止する一方、通過中に下方認識カメラ21によって部品供給位置35(部品)を撮像する(ステップS162)。さらにこの下方認識カメラ21の移動によって、下方認識カメラ21が、1番目のヘッド41の下流側に配置されて、1番目のヘッド41の下方が開放される。
次に、撮像部品供給位置の画像データを加工して、吸着対象となるテープフィーダ31の部品供給位置(供給窓35)を取得し、その画像から、テープフィーダ31から供給される部品Aの中心位置(吸着位置)の位置(XY座標)およびR軸方向を検出する(ステップS163)。
次に、こうして検出された実際の部品吸着位置および向き(R軸方向)と、実装データに予め含まれる吸着目標位置および向きとが照合されて、補正値が算出される(ステップS164)。
その後、位置の補正値に応じてヘッドユニット40が移動して位置補正されることによって、1番目のヘッド41が、1番目のテープフィーダ31の部品供給位置35の真上に配置されるとともに、R軸方向の補正値に応じてヘッド41(吸着ノズル411)がR軸方向に回転することによって、吸着ノズル411の部品に対する向きが調整される。
続いて図24に示すようにヘッド41が降下すると同時に、吸着ノズル411が負圧に設定されて、吸着ノズル411によって部品が吸着される(ステップS165)。
その後、部品を吸着するヘッド41が残っている場合には(ステップステップS166でYES)、ヘッドユニット40が下流方向X2に移動して、当該ヘッド(2番目のヘッド41)が、対応するテープフィーダ(2番目のテープフィーダ31)における部品供給位置35上にほぼ対応して配置される(ステップS167)。なおこの状態において、下方認識カメラ21も、2番目のテープフィーダ31にほぼ対応して配置されている。
続いて図25に示すように、上記と同様に、下方認識カメラ21がヘッドユニット40に対し下流方向X2に少量移動することにより、2番目のテープフィーダ31の部品供給位置35上を通過して停止する一方、その通過中にテープフィーダ31の部品供給位置35を撮像する(ステップS162)。
続いて図26に示すように上記と同様に、画像処理(ステップS163)、補正値算出(ステップS164)を行って、必要に応じて補正されつつ、2番目のヘッド41によって2番目の部品Aが吸着される(ステップS165)。
さらに上記と同様に図27に示すように、3番目のテープフィーダ31の部品供給位置35が、下方認識カメラ21によって撮像された後、図28に示すように3番目のヘッド41によって、部品Aが吸着される。
こうして予定していた全てのヘッド41…に、所定の部品Aが吸着されると(ステップS166でNO)、第2吸着処理(図20のステップS16)が終了する。
一方、吸着処理(ステップS15,S16)が終了した後は、搭載処理が行われる(ステップS17)。
この搭載処理においては、ヘッドユニット40の基板Wへの移動中に、ヘッドユニット40に設けられた部品認識カメラ51によって、ヘッドユニット40に吸着された全部品Aが撮像される。すなわち部品認識カメラ51をヘッドユニット40の上流側および下流側のいずれかの端部に配置しておき、その部品認識カメラ51をX軸方向(ヘッド並び方向)に沿って、各ヘッド41…に吸着された各部品A…の下方を順次通過させるとともに、その通過中に、部品認識カメラ51によって、全部品A…の吸着状態を下面側から撮像する。
次に、撮像した部品の画像データを加工して、各ヘッド毎の部品画像を取得する。そしてその各部品画像から、吸着ノズル41に対する部品の位置(座標)およびR軸方向を検出する。
こうして検出された部品位置および向き(R軸方向)が、実装機側に予め保持されている部品位置および向きと照合されて、位置ずれ量および回転ずれ量(補正値)が算出される。このように各ヘッド41毎に、各部品に対して補正値がそれぞれ算出される。
一方、部品認識カメラ51の撮像および補正値の算出を行っている間に、位値補正値を考慮しつつ、ヘッドユニット40は、基板位置へと移動していき、1番目に搭載を行うヘット41が、基板の搭載すべき位置上に配置されるとともに、向きの補正値に応じてヘッド41(吸着ノズル411)がR軸方向に回転することによって、吸着ノズル411の部品に対する向きが調整される。続いてヘッド41(吸着ノズル411)が降下すると同時に、吸着ノズル411が正圧に設定されて、吸着ノズル411に吸着された部品が、基板Wの所定位置に搭載される。以下同様に、補正値が考慮されつつ、ヘッドユニット40の各ヘッド41…に保持された部品が順次、基板上に搭載される。
こうして搭載処理(ステップS17)が完了した後、基板Wに対し搭載すべき部品が残っている場合には(ステップS18でYES)、上記と同様に、ヘッドユニット40によってテープフィーダ31から部品が順次吸着されて、その吸着された各部品が基板位置まで移動されて、所定位置に搭載される。
そして、基板Wに対し予定していた全ての部品が搭載されると(ステップS18でNO)、当該基板Wに対する実装処理が完了し、その基板Wがコンベア20によって搬出される(ステップS19)。
続いて、本実装機M2において、次に実装すべき基板Wがある場合には(ステップS20でYES)、次の基板Wがコンベア20によって所定の実装位置まで搬入されて(ステップS12)、上記と同様の実装動作が繰り返し行われる。
そして実装すべき基板Wがなくなった場合には(ステップS20でNO)、実装動作が終了して、基板搬入待ちの状態となる。
以上のように本第2実施形態によれば、ヘッド41を、吸着すべき部品(テープフィーダ)に位置的に対応させた状態で、カメラ単軸動作によって部品位置を認識した後、ヘッド41により部品を吸着するようにしているため、部品の認識後、短時間でスピーディに部品を吸着でき、生産効率を向上させることができる。
しかも、ヘッドユニット40に設けられた全てのヘッド41において、部品の認識後、短時間で吸着できるため、より一層生産効率を向上させることができる。
さらに本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、部品供給位置35を認識するための下方認識カメラ21として、ラインセンサカメラやTDIセンサカメラ等のスキャンカメラを用いているため、部品供給位置35上を移動させながら部品を撮像することができる。従って、撮像時に下方認識カメラ21を一旦停止させる必要がなく、撮像をスムーズに行うことができ、生産効率を向上させることができる。
なお上記第2実施形態においては、同一吸着グループ内の部品を吸着する場合、第1吸着処理および第2吸着処理のいずれか一方の吸着処理で部品を吸着するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、第1および第2吸着処理を併用するようにしても良い。例えば同一吸着グループ内の一部の部品に対しては、第1吸着処理で吸着するとともに、残りの部品に対しては、第2吸着処理で吸着するようにしても良い。
また上記実施形態においては、ヘッドユニット40のフロント側およびリア側の両側にそれぞれ、多数のテープフィーダ31…からなる部品供給部30,30が設けられた実装機を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、ヘッドユニットのフロント側およびリア側のいずれか一方に、部品供給部が設けられた実装機にも適用することができる。
さらに上記実施形態においては、部品供給部30に多数のテープフィーダ31…を配置する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、部品供給部の少なくとも一部に、パレット等の部品供給容器を積層したトレイフィーダ(部品供給手段)を配置するようにしても良い。