JP4973920B2 - エポキシ樹脂の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ樹脂中から、残留するアルカリ金属水酸化物及び反応により副生するアルカリ塩などに由来するアルカリ金属イオンを効率よく除去することができるエポキシ樹脂の精製方法に関する。
エポキシ樹脂は、一般的に、フェノール類やアルコール類とエピハロヒドリン類とを、アルカリ金属水酸化物の存在下で反応させ、次いで、有機溶剤に溶解し、未反応のアルカリ金属水酸化物及び副成したアルカリ塩、あるいは未反応のアルカリ水酸化物をリン酸一ナトリウムなどで中和したアルカリ塩などを系外に取り除いて製造する方法、あるいはシクロヘキセン系化合物などの不飽和有機化合物と過酢酸などの有機過酸類とを、有機溶剤の存在下で反応させ、次いで、副成した酸性物質にアルカリ金属水酸化物などを加えて中和し、生成したアルカリ塩を、系外に取り除いて製造する方法などによって工業的に生産されている。
これらの工業的生産方法は、何れもアルカリ金属水酸化物或いはアルカリ塩に起因するアルカリ金属イオンが生成したエポキシ樹脂中に残存し易いものであった。エポキシ樹脂に残留するアルカリ金属イオンは、該エポキシ樹脂を電子部品、電気部品に用いた場合、微細配線の腐食を引き起こす直接の原因となるため、エポキシ樹脂の工業的生産プロセスにおける生成エポキシ樹脂中のアルカリ金属イオン量の低減は不可欠であった。
そこで、エポキシ樹脂の粗生成物からアルカリ金属イオンを除去する工業的精製方法としては、エポキシ樹脂の溶液状の粗生成物を、混合槽を用いて、大量の水と混合、攪拌して洗浄し、その後、水洗水を静置分離あるいは、遠心分離し、次いで溶剤を除去、あるいは樹脂溶液中の水分を脱水後、精密濾過し、精製エポキシ樹脂を得る方法が用いられている。
しかしながら、この静置分離による方法では、水洗温度や液の混合状態によっては水分が安定して除去できないため、安定したアルカリ金属イオンの除去が困難なものであった。他方、遠心分離による方法においても、エポキシ樹脂溶液と水がエマルジョンに近い状態まで混合されると、やはり微量成分であるアルカリ金属イオンの除去は困難であり、特に親水性の強いエポキシ樹脂や水性エポキシ樹脂を用いた場合、或いは、反応触媒として界面活性効果を発現する相関移動触媒を用いた場合には、完全に安定したエマルジョンを形成したり、或いは、均一水溶液を形成してしまうため、実質的に精製は極めて困難なものであった。
そこで、従来より、例えば合成後のエポキシ樹脂の粗生成物を水洗、中和し、次いで、コアレッサーにより水分を分離することによってアルカリ金属イオンを除去する方法(下記、参考文献1参照)、及び、合成後のエポキシ樹脂の粗生成物に、イオン吸着剤として非水溶液型陽イオン交換樹脂を添加し、攪拌混合後、濾過してエポキシ樹脂中のアルカリ金属イオンを除去する方法(下記、参考文献2参照)が知られている。
特開2003−12659号公報 特開平05−209039号公報
然し乍ら、前記したコアレッサーを用いて水分を分離し、エポキシ樹脂の粗生成物を精製する方法の場合、アルカリ金属イオンを十分に除去するには、特別の装置を要するか、或いは煩雑な操作を数回繰り返して行わなければならず、プロセス経済性の観点から有利な方法とはいえず、生産性の低下を招くものであった。また、非水溶液型陽イオン交換樹脂を用いる方法は、樹脂溶液中に微量の水分が存在すると非水溶液型陽イオン交換樹脂がプロトンを供与できる酸型陽イオン交換樹脂に変化するため、エポキシ樹脂を部分的にゲル化させてしまうものであった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、特殊な装置、煩雑な作業を必要とせず、工業的に有利で簡便な方法であって、かつ、アルカリ金属イオンの除去効果が格段に優れ不純物の含有率が著しく少なくなるエポキシ樹脂の精製方法および該方法によって得られたエポキシ樹脂、並びに該エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
上述の従来の技術に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、アルカリ金属イオンを含有するエポキシ樹脂の粗生成物に、リン酸アルミニウム類を接触させることにより、何等特殊な装置や煩雑な作業を要することなく、然も効率的にエポキシ樹脂中のアルカリ金属イオンを除去できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はアルカリ金属イオンを含有するエポキシ樹脂(A)と有機溶剤(B)とを含有するエポキシ樹脂溶液(C)に、メタリン酸アルミニウム(D)を接触させて前記エポキシ樹脂(A)中に含まれるアルカリ金属イオンを除去することを特徴とするエポキシ樹脂の精製方法に関する。
本発明によれば、特殊な装置、煩雑な作業を必要とせず、工業的に有利で簡便な方法でアルカリ金属イオンを粗エポキシ樹脂から効率的に除去することができる。
本発明のエポキシ樹脂の精製方法は、前記した通り、アルカリ金属イオンを含有するエポキシ樹脂(A)と有機溶剤(B)とを含有するエポキシ樹脂溶液(C)に、メタリン酸アルミニウム(D)を接触させて前記エポキシ樹脂(A)中に含まれるアルカリ金属イオンを除去するものであり、このように極めて簡便な方法で、かつ、効果的にエポキシ樹脂の粗生成物からアルカリ金属イオンを除去できるという特徴を有するものである。
ここで精製の対象となる、アルカリ金属イオンを含有するエポキシ樹脂(A)は、例えば、フェノール類やアルコール類とエピハロヒドリン類の反応によって合成した粗生成物(以下、これを「エポキシ樹脂(a1)」と略記する。)が挙げられる。具体的には、フェノール類又はアルコール類とエピハロヒドリン類とを、アルカリ金属水酸化物の存在下で反応させ、次いで、反応生成物を有機溶剤に溶解し、未反応のアルカリ金属水酸化物及び副成したアルカリ金属塩、あるいは未反応のアルカリ水酸化物をリン酸一ナトリウムなどで中和して生成するアルカリ金属塩を水洗若しくは濾過、又は水洗及び濾過の両方法によって系外に取り除いた粗反応生成物が挙げられる。
ここで使用し得るエピハロヒドリン類は、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられるが、エピクロルヒドリンが特に好ましい。
また、前記フェノール類は、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ジナフトール等の2価のフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック等のフェノール類とホルムアルデビドから得るノボラック樹脂類、モノナフトールノボラック、ジナフトールノボラック、ビス−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−1,1−メタン、(2−ヒドロキシナフチル)−1−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−1−メタン、ビス−(2−ヒドロキシナフチル)−1,1−メタン等のナフトール類とホルムアルデヒドから得られるナフトールノボラック樹脂、ジナフトールノボラック、ビス−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−1,1−メタン、(2−ヒドロキシナフチル)−1−(2,7−ジヒドロキシナフチル)−1−メタン、ビス−(2−ヒドロキシナフチル)−1,1−メタン等の多官能型ナフトール類、或いは、フェノール、クレゾール、ビスフェノール類、及びナフトール類とジシクロペンタジエン等不飽和脂環式炭化水素等との反応物である水酸基含有化合物のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
他方、前記アルコール類は、例えば、エチレングリコールプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF等の2価のアルコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリグリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール等の多価のアルコール類、ブチルアルコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物等のアルコールにアルキレンオキサイドを付加したもの等が挙げられる。
フェノール類又はアルコール類とエピハロヒドリン類との反応は、反応速度を高める有機溶剤の存在下で行うことが好ましく、ここで用いる有機溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
前記エピハロヒドリン類の使用量は、フェノール類又はアルコール類の水酸基1当量に対して1当量以上使用することが好ましい。しかしながらノボラック樹脂の水酸基1当量に対して15当量を超えると増量した効果はほとんどなくなり、寧ろ容積効率が低下する。
また、上記反応の反応触媒として用いられるアルカリ金属水酸化物は、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどが挙げられ、特に苛性ソーダや苛性カリが反応性に優れる点から好ましい。アルカリ金属水酸化物の使用量は、フェノール類やアルコール類の水酸基1当量に対して、0.9〜1.20当量使用することが副反応を抑制できる点、及び、反応性が良好となる点から好ましい。
反応温度は、30〜100℃の範囲であることが好ましい。反応温度が30℃未満であると反応が遅くなり長時間の反応が必要となる。一方、反応温度が100℃を超えると副反応が多く起こる。なお、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みエピハロヒドリン類の全てを新しいものを使用するが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分及で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが好ましい。
反応終了後、過剰のエピハロヒドリン類及び有機溶剤を減圧下留去した後、目的とするエポキシ樹脂(a1)を得ることができる。このようにして得られたエポキシ樹脂(a1)の粗生成物は、通常、該粗生成物中にアルカリ金属イオンを質量基準で500〜5000ppmとなる割合で含有するものである。
上記エポキシ樹脂(a1)は、その合成の任意の段階で有機溶剤(B)を反応系に加えてもよいし、エポキシ樹脂(a1)の合成後に有機溶剤(B)を加えてもよい。本発明では特に上記方法によりエポキシ樹脂(a1)の粗生成物を得た後に、有機溶剤(B)を加えエポキシ樹脂溶液(C)を調整することがアルカリ金属イオンの除去効率の点から好ましい。
ここで用いる有機溶剤(B)は、エポキシ樹脂(a1)に対する溶解性が良好で、かつ、水に対して不溶乃至は難溶性の有機溶剤であることが好ましく、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶剤が挙げられる。また、エポキシ樹脂溶液(C)の流動性に優れる点から、質量基準で粗エポキシ樹脂/有機溶剤=100/200〜100/50であることが好ましい。
また、エポキシ樹脂(a1)の粗生成物に前記有機溶剤(B)を加える際、更にアルカリ金属水酸化物を水溶液の状態で加え、脱ハロゲン化水素反応を行うことが目的とするエポキシ樹脂中の塩素含有率を低減できる点から好ましい。脱ハロゲン化水素反応の反応温度は60〜90℃であることが好ましい。また、ここで加えるアルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ樹脂(a1)の固形分100質量部に対して、アルカリ金属水酸化物水溶液中のアルカリ金属水酸化物量が1〜10であることが好ましい。
また、上記脱ハロゲン化水素反応後は、未反応のアルカリ金属水酸化物及び副成したアルカリ塩を水洗処理あるいは中和処理にて取り除くことが好ましい。この際、中和処理と水洗処理の順番は粗エポキシ樹脂中のアルカリ金属イオンを形成する物質の種類や濃度により、水洗処理、中和処理のどちらの処理を先にしても良いし、どちらか一方のみを行ってもよい。また、水洗処理は複数回行ってもよい。
ここで、水洗処理方法は、ミキサーセトラータイプや抽出塔などの装置を用いてもよいし、水との接触時間を短くしたい場合は遠心抽出器を用いてもよい。水洗水と反応粗液の比率は、水洗水/反応粗液=0.1〜3の範囲であることが好ましく、特には1〜2の範囲であることが好ましい。水洗温度は水層と有機層との分液に必要な比重差を保つ範囲で行う必要があり、水洗温度を調節しても分液能が悪い場合には溶媒を添加して比重芸を確保する。
中和処理方法は、中和剤を添加してエポキシ樹脂溶液(C)のpHが6〜4となるように行う。ここで用いる中和剤は、具体的には、リン酸、リン酸−ナトリウム、シュウ酸、酢酸、炭酸などが挙げられる。
このようにして得られるエポキシ樹脂溶液(C)は、これに含まれるエポキシ樹脂(A)中にアルカリ金属イオンを、通常、質量基準で50〜300ppmとなる割合で含有するものである。
本発明で用いるエポキシ樹脂溶液(C)中のエポキシ樹脂(A)としては、前記エポキシ樹脂(a1)のみならず、例えば、不飽和有機化合物と有機過酸類の反応などによって得られるエポキシ樹脂(以下、これを「エポキシ樹脂(a2)」と略記する。)であってもよい。本発明では、特に、該エポキシ樹脂(a2)として、水溶性低分子量化合物を用いる場合には、通常、アルカリ金属イオン低減を目的とした水洗が困難である為、本発明の精製方法を適用することで効果的にアルカリ金属イオンを除去することができる。
かかるエポキシ樹脂(a2)について詳述すれば、例えば不飽和有機化合物と過酢酸などの有機過酸類とを、有機溶剤の存在下で反応させ、副成した酸性物質にアルカリ金属水酸化物などを加えて中和し、生成したアルカリ塩を、系外に取り除くことによって、本発明による精製の対象となる、エポキシ樹脂(a2)を得ることができる。
前記不飽和有機化合物は、例えば、シクロヘキセン系化合物、ノルボルネン系化合物などの不飽和脂環式化合物、スチレンなどの側鎖に不飽和基を有する芳香族化合物、水酸基末端ポリブタジエンなどのジエン系化合物が挙げられる。これらのなかでもエポキシ化反応が容易である点からシクロヘキセン系化合物が好ましく、具体的には、
(イ)3−シクロヘキセニルメチルアクリレートまたはそのラクトン付加物、
(ロ)3−シクロヘキセニルメチルメタクリレートまたはそのラクトン付加物、
(ハ)3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートまたはそのラクトン付加物、
(ニ)ビニルシクロヘキセン、及び
(ホ)α−ピネン系化合物等が挙げられる。
また、前記ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、σ−バレロラクトン等が挙げられる。これらの中でも汎用性の点でε−カプロラクトンが特に好ましい。
前記(イ)〜(ホ)の各化合物をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂(a2)は、具体的には、以下のものが挙げられる。
前記(イ)の化合物を用いる場合:3−シクロヘキセニルメチルアクリレート又はそのε−カプロラクトン付加物を有機過酸でエポキシ化した構造を有する3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート又はそのε−カプロラクトン付加物。
前記(ロ)の化合物を用いる場合:3−シクロヘキセニルメチルメタクリレート又はそのε−カプロラクトン付加物を有機過酸でエポキシ化した構造を有する3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート又はそのε−カプロラクトン付加物。
前記(ハ)の化合物を用いる場合:3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレート又はそのε−カプロラクトン付加物を有機過酸でエポキシ化して3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート又はそのε−カプロラクトン付加物。
前記(ニ)の化合物を用いる場合:ビニルシクロヘキセンを有機過酸でエポキシ化した構造を有するビニルシクロヘキセンモノエポキシド。
前記(ホ)の化合物を用いる場合:α−ピネンを有機過酸でエポキシ化してα−ピネンオキサイドを製造する場合の反応粗液、1−メチル−4−イソプロペニル−1−シクロヘキセン(以下、「ジペンテン」と略す。)を有機過酸でエポキシ化した構造を有するジペンテンジエポキサイド。
また、ノルボルネン系化合物を有機過酸類でエポキシ化した構造を有する化合物としては、2,3−オキシノルボルネンが挙げられ、スチレンモノマーを有機過酸でエポキシ化した構造を有するものとしてはスチレンオキサイドが挙げられる。水酸基末端ポリブタジエンを有機過酸でエポキシ化した構造を有するものとしてはエポキシ化ポリブタジエンが挙げられる。
これらの中でも特に、前記した通り、前記(イ)〜(ホ)に代表されるシクロヘキセン系化合物をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂が、その製造が容易である点から特に好ましい。なお、これらの化合物は何れも、反応粗液を用いて後述するエポキシ樹脂溶液(C)を調整することができる。
前記した不飽和有機化合物と有機過酸類とを反応させてエポキシ樹脂(a2)を製造する方法について詳述すれば、具体的には、有機過酸類と前記不飽和有機化合物とを、有機過酸類と前記不飽和有機化合物中の二重結合とのモル比(前者/後者)が0.5〜3.0、好ましくは、1.0〜1.5となる割合で反応させる方法が挙げられる。即ち、反応中に有機過酸類が少量ではあるものの分解することがあることから、有機過酸類を理論量よりやや過剰に用いることが好ましい。
ここで使用する有機過酸類としては、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸、m−クロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸等を挙げられる。エポキシ化には有機過酸と触媒を併用してもよく、例えば炭酸ソーダ等のアルカリや硫酸などの酸を触媒として用い得る。
また、前記した有機過酸類と前記不飽和有機化合物との反応は、有機溶剤の存在下で行ってもよい。有機溶剤を用いることにより、得られるエポキシ樹脂の粗生成物の粘度低下、有機過酸の希釈による反応の安定化を図ることができる他、さらには有機酸とエポキシ基との反応速度を遅延させることができる。なお、ここで有機溶剤を用いる場合、反応生成物であるエポキシ樹脂溶液を前記したエポキシ樹脂溶液(C)として精製処理に供することができる為、前記有機溶剤は、前記有機溶剤(B)として使用することができる。
ここで用いる有機溶剤は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、p−シメン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン等の脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素、シクロヘキサノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、フルフリルアルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸n−アミル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸イソアミル、安息香酸メチル等のエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールとその誘導体、クロロホルム、ジメチルクロライド、四塩化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化合物、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル化合物等が挙げられる。
この有機溶剤の使用量は、通常、質量基準で前記不飽和有機化合物の0.1〜10倍量であり、特に0.5〜3.0倍量であることが好ましい。0.5倍重量より少ない場合には、反応安定化などの効果が少なく、逆に3倍重量より多くても反応安定化などの効果はそれほど上昇せず、溶媒の回収に多大の費用を要することになる。
エポキシ化反応を行う際には必要に応じて、重合禁止剤を添加してもよい。重合防止剤としてはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、クレゾール、t一ブチルカテコール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,5−ジヒドロキシ−p−キノン、ピペリジン、エタノールアミン、α−ニトロソ−β−ナフトール、ジフエニルアミン、フェノチアジン、N−ニトロソフエニルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができる。これらは、単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
更に必要な場合には、有機過酸の安定剤としてリン酸水素アンモニウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸−2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステル、ピロリン酸ナトリウム−2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸、トリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸−2−エチルヘキシルエステル、トリポリリン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステル、テトラポリリン酸、テトラポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸−2−エチルヘキシルエステル、テトラポリリン酸カリウム−2−エチルヘキシルエステル、テトラポリリン酸ナトリウム−2−エチルヘキシルエステル、ヘキサメタリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。これらは、単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
エポキシ化の反応温度は、エポキシ化反応が有機過酸の分解反応に優先するような上限値以下であればよく、たとえば有機過酸として過酢酸を用いる場合には0〜70℃であることが好ましい。また、エポキシ化反応の際に有機過酸の副生などによってエポキシ基が開環する副反応を防止する点から、予め副反応量が少なくなるような温度を前記したような温度領域から選定することが好ましい。
また、前記エポキシ化反応は、一般的には常圧下で操作されるが、加圧または減圧下でおこなってもよい。反応方式は、連続方式もしくはバッチ方式の何れでもよいが、連続方式の場合はピストンフロー型式が好ましい。またバッチ方式の場合は、有機過酸は逐次的に仕込むセミバッチ方式であることが好ましい。セミバッチ方式で有機過酸を逐次的に仕込むには、反応容器内にシクロヘキセン系化合物および使用する反応溶媒を所定量仕込み、この中に必要に応じて触媒や有機過酸の安定剤を溶解させ、この中に前記有機過酸を滴下して行う。反応の終点の確認は残存する有機過酸の濃度等の測定を滴定法等により行うことができる。
このようにして得られるエポキシ樹脂の組成生成物は、次いで、水洗処理を施すことがアルカリ金属イオン低減効果の点から好ましく、かかる水洗処理はミキサーセトラータイプや抽出塔などの装置を用いてもよいし、エポキシ化合物と有機酸や水との接触時間を短くしたい場合は遠心抽出器を用いてもよい。水洗水と前記粗生成物との比率は、質量基準で、水洗水/反応粗液=0.1〜3の範囲であることが好ましく、特には1〜2の範囲であることが好ましい。水洗温度は水層と有機層との分液に必要な比重差を保つ範囲で行う必要があり、水洗温度を調節しても分液能が悪い場合には溶媒を添加して比重芸を確保する。
このようにして水洗処理された前記粗生成物は、アルカリ中和槽等で酸性物質を適量のアルカリ水溶液を加えて中和処理され、目的とするエポキシ樹脂溶液(C)を得ることができる。アルカリ水溶液は、通常、水酸化ナトリウムの6〜10質量%水溶液を前記粗生成物と等質量の割合で用いられる。
なお、前記中和・水洗に先立ち、有機過酸を抽出する工程を設けてもよい。この抽出工程としては、遠心抽出器、ミキサー・セトラー型抽出器、向流微分型抽出塔、攪拌式・非攪拌式段型抽出塔などが挙げられる。
また、上記したエポキシ化反応で有機溶媒を用いなかった場合には、前記した有機溶剤を本発明で使用する有機溶剤(B)として、該粗生成物に加え目的とするエポキシ樹脂溶液(C)とすることができる。
このようにして調整されたエポキシ樹脂(a2)と有機溶剤(B)とのエポキシ樹脂溶液(C)は、通常、前記エポキシ樹脂(a2)中、アルカリ金属イオンを質量基準で50〜300ppmとなる割合で含有するものである。
本発明で用いるエポキシ樹脂(A)及び有機溶剤(B)を含有するエポキシ樹脂溶液(C)は、以上詳述したエポキシ樹脂(a1)と有機溶剤(B)との溶液、或いは、エポキシ樹脂(a2)と有機溶剤(B)との溶液を用いることができるが、本発明では特に、エポキシ樹脂(a1)と有機溶剤(B)との溶液であることが、アルカリ金属イオンの除去する効果が顕著に現れる点から好ましい。
このようにして調整されたエポキシ樹脂(A)及び有機溶剤(B)を含有するエポキシ樹脂溶液(C)は、次いで、メタリン酸アルミニウム(D)と接触される。
ここで用いるメタリン酸アルミニウム(D)は、具体的にはその形状は粉末状、顆粒状のいずれかであることが好ましく、体積平均粒子径は1〜100μmであることがアルカリ金属イオンの除去が容易となる点から好ましい。
リン酸アルミニウム類との接触処理方法は、エポキシ樹脂(A)及び有機溶剤(B)を含有するエポキシ樹脂溶液(C)を含む反応容器内に一定量添加して一定時間攪拌混合するバッチ式でもよいし、精密ろ紙用のろ過器に粉末状、あるいは顆粒状のリン酸アルミニウムを敷き詰め、これに前記エポキシ樹脂溶液(C)を通過させる方法でもよい。尚、ろ過式の場合は、目詰まり防止のために市販のろ過助剤を併用することが好ましい。
また、エポキシ樹脂溶液(C)にメタリン酸アルミニウム(D)を接触させる際、該エポキシ樹脂溶液(C)中の水分量は、1.0質量%以下であることがナトリウム低減効果が顕著なものとなる点から好ましい。一方、エポキシ樹脂溶液(C)中の水分の下限値は、特に制限はないが、0.01%未満にコントロールするには操作が煩雑となるため、エポキシ樹脂溶液(C)中の水分量は、0.01〜1.0質量%であることが好ましい。
また、エポキシ樹脂溶液(C)にメタリン酸アルミニウム(D)を接触させる際の温度条件は、アルカリ金属イオンの除去効率が良好となる点から40〜130℃の範囲であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例等に基づいて、本発明を具体的に説明する。尚、以下の実施例及び比較例において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
実施例1
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、クレゾールノボラック樹脂120g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをPHが中性となるまで添加した。次いで105℃に昇温することによって系内を水分0.5%まで脱水し、テイカ株式会社製メタリン酸アルミニウム(体積平均粒子径10μm「K−BOND#90」)を2mm厚に敷いた直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂171gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で0.3ppmであった。
実施例2
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、クレゾールノボラック樹脂120g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをpHが中性となるまで添加した。次いで120℃に昇温することによって系内を水分0.05%まで脱水し、テイカ株式会社製メタリン酸アルミニウム(体積平均粒子径10μm「K−BOND#90」)を2mm厚に敷いた直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂171gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で0.1ppmであった。
実施例3
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、ポリエチレングリコール(分子量400)200g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し、この溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをPHが中性となるまで添加した。次いで120℃に昇温することによって系内を水分0.05%まで脱水し、テイカ株式会社製メタリン酸アルミニウム(体積平均粒子径10μm「K−BOND#90」)を2mm厚に敷いた直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂240gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で0.1ppmであった。
実施例4
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、クレゾールノボラック樹脂120g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをPHが中性となるまで添加した。次いで、テイカ株式会社製メタリン酸アルミニウム(体積平均粒子径10μm「K−BOND#90」)を1g添加し、80℃で2時間混合攪拌した。120℃に昇温することによって系内を水分0.05%まで脱水し、直径70mmの5Bろ紙(ADVANTEC製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂171gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で0.1ppmであった。
比較例1
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、クレゾールノボラック樹脂120g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをpHが中性となるまで添加した。次いで105℃に昇温することによって系内を水分0.5%まで脱水し、直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂171gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で5.2ppmであった。
比較例2
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、クレゾールノボラック樹脂120g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをpHが中性となるまで添加した。次いで120℃に昇温することによって系内を水分0.05%まで脱水し、非水溶液型陽イオン交換樹脂を2mm厚に敷いた直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂171gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で4.6ppmであった。
比較例3
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、クレゾールノボラック樹脂120g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをpHが中性となるまで添加した。次いで非水溶液型陽イオン交換樹脂を1g添加し、80℃で2時間混合攪拌した。120℃に昇温することによって系内を水分0.05%まで脱水し、直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過を試みたが部分的なゲル化が発生し、十分な量の濾別が出来なかった。次いで濾別分の溶媒を減圧下で留去して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂52gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で4.4ppmであった。
比較例4
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、ポリエチレングリコール(分子量400)200g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し、この溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に第一リン酸ソーダをPHが中性となるまで添加した。次いで120℃に昇温することによって系内を水分0.05%まで脱水し、直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂240gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で8.5ppmであった。
比較例5
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、ポリエチレングリコール(分子量400)200g、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。生成した塩を水180gで洗浄し、この溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に、水150gで水洗を試みたが、エポキシ樹脂成分が水に溶解したため洗浄不能であった。次いで120℃に昇温することによって系内を水分0.05%まで脱水し、直径70mmの5Bろ紙(アドバンテック製)を用いろ過した後に、溶媒を減圧下で留去して、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂240gを得た。得られたエポキシ樹脂のナトリウムイオンを炎光光度法により分析したところ質量基準で4100ppmであった。

Claims (6)

  1. アルカリ金属イオンを含有するエポキシ樹脂(A)と有機溶剤(B)とを含有するエポキシ樹脂溶液(C)に、メタリン酸アルミニウム(D)を接触させて、前記エポキシ樹脂(A)中に含まれるアルカリ金属イオンを除去することを特徴とするエポキシ樹脂の精製方法。
  2. アルカリ金属イオンを含有するエポキシ樹脂(A)に、有機溶剤(B)を加えて、前記エポキシ樹脂溶剤溶液(C)を得、次いで、これにメタリン酸アルミニウム(D)を接触させる請求項1記載のエポキシ樹脂の精製方法。
  3. 前記有機溶剤溶液(B)中の水分含有量が0.01〜1.0重量%である請求項1又は2記載のエポキシ樹脂の精製方法。
  4. 前記メタリン酸アルミニウム(D)が、粉末状又は顆粒状の形状を有し、かつ、その体積平均粒子径が1〜100μmの範囲のものである請求項1、2、又は3記載のエポキシ樹脂の精製方法。
  5. 前記エポキシ樹脂溶剤溶液(C)が、エポキシ樹脂(A)と有機溶剤(B)とを、質量基準の比率で、(A)/(B)=100/200〜100/50となる割合で含有するものである請求項1〜4の何れか1つに記載のエポキシ樹脂の精製方法。
  6. 前記したアルカリ金属イオンを含有するエポキシ樹脂(A)がフェノール類あるいはアルコール類とエピハロヒドリン類とを反応させて得られるものである請求項1〜5の何れか1つに記載のエポキシ樹脂の精製方法。
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