JP4973814B2 - 有機el素子用駆動装置および有機el照明装置 - Google Patents

有機el素子用駆動装置および有機el照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機EL素子を駆動するための有機EL素子用駆動装置、および有機EL照明装置に関する。
近年、照明の省エネルギー性に優れた電球型蛍光灯や、電球型LED(Light Emitting Diode)照明の開発が加速している。それらと同様に省エネルギー性に優れた有機EL(Electro Luminescence)照明は、面発光光源であるとともに、薄い、軽い、曲がるといった優れた特徴を持つ。このような特徴により、有機ELは、従来にはない新しい照明デザイン、ショーケース、ショールームを提供するとともに、店舗などでの新しい演出を可能にする。また、有機ELは、水銀レス、という対環境性に優れた特徴を持つことから、開発が進められている。
図6は、一般的な有機EL素子100の断面構造を示す概略図である。
図6に示すように、有機EL素子100は、基材104の上に積層配置された、ITO101と、有機EL層102と、アルミ層103とを含む。有機EL素子100では、アルミ層103とITO101との間に直流電圧が印加される構造となっている。
有機EL素子の発光原理としては、基板の上に透明導電膜(アノード)、有機EL材料、および金属電極(カソード)の、極めて薄い薄膜を積層させたものに電流を流すことにより、有機EL材料中で電子−正孔の再結合を起こさせ、これにより光を発生させる、というものである。
図7は、有機EL素子100の温度毎の電圧と電流密度との関係である電流−電圧特性の一例を示すグラフである。図8は、有機EL素子100の温度毎の電流密度と輝度との関係の一例を示すグラフである。
図7に示すように、有機EL素子100の電流−電圧特性は、ダイオードの電流−電圧特性に似ており、電圧が低い時はほとんど電流が流れないが、ある閾値電圧を境に急激に電流が流れる特性を示す。さらに図7からわかるように、室温26.0度から81.0度まで温度を変化させて電流密度を測定すると、温度が高くなるにつれ、閾値電圧が低下方向にシフトし、電圧一定の場合、温度が変わると急激に電流が増加する。しかし、図8に示すように、電流密度と輝度とは、ほぼリニアな関係にある上に、温度に対しても比較的安定な挙動を示す。
このような挙動を示す有機EL素子100を、電圧制御で駆動すると仮定すると、非常に高精度に電圧値をコントロールする必要がある上に、温度に対する補償も同じく高精度に行う必要がある。また、電圧制御で駆動するとなると、電光変換効率が、有機EL素子100の製造による閾値電圧のばらつきの影響を大きく受けることになる。したがって、有機EL素子100を駆動する場合は、電流制御で駆動する方が、温度変動等に対してより安定な輝度を得られる。
図9は、有機EL素子100を駆動する一般的な電流駆動装置のブロック図である。駆動対象である有機EL素子100と、電源202と、電流制御部203とが直列に接続される。電流制御部203は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)205と、電流制御回路204と、電流検出用抵抗201とを含む。
電流制御部203は、電流制御回路204を用いて有機EL素子100に一定の電流Ioledを流すために、抵抗値Rsを有する電流検出用抵抗201の両端の電圧Vsを測定する。電流制御部203は、測定された電圧Vsと基準電圧Vrefとを比較して、電圧Vs=基準電圧Vrefとなるように、電流制御回路からの信号によりMOSFET205のゲート電圧をコントロールすることで、MOSFET205に流れる電流を変化させる。有機EL素子100に流れる電流Ioledは、Vref=Vsの場合には次式で求められる。
Ioled=Vref/Rs
この式からわかるように、電流Ioledを変えたい時は、Vrefの値を変えればよい。
電源202から有機EL素子100へ供給される電圧Voは、有機EL素子100での電圧降下Voledと、MOSFET205での電圧降下Vmosと、電流検出用抵抗201での電圧降下Vsとの合計となる。しかし、実際には、有機EL素子100の輝度の調整、有機EL素子100の製造段階でのばらつき、温度特性、経時変化など、に対応するためのマージンを考慮して、電圧Voに余裕を持たせて十分大きい値に設定する必要がある。
しかしながら、この余裕を持たせて十分に大きい値に設定した電圧分は、MOSFET205および/または電流検出用抵抗201で熱になることで消費される。すなわち、この余分な電圧に基づく電力は、発光に寄与することなく、無駄に消費されることになる。
特に、有機EL素子100の輝度の調整、すなわち調光を必要とする場合、その調光範囲は2桁程度必要となるので、電流の範囲も2桁必要となる。したがって、調光に際して、電流検出用抵抗201で検出する電圧も2桁変動することになる。すると、消費電力は電圧の2乗に比例するため、電圧が2桁変動すると、電力は4桁変動することになり、特に低輝度領域での電力の無駄が多い。
特許文献1は、複数の発光素子(発光ダイオード)群が複数の定電流源にそれぞれ直列接続された駆動装置において、定電流源の降下電圧のうちの最も低い電圧が一定となるように電源回路のスイッチング制御を行う技術を開示する。この技術によれば、定電流源の降下電圧が一定値に制御されるから、発光ダイオードに流れる電流が大きくなった場合でも抵抗検出での電圧検出における損失の増加はないとされている。
また、特開2008−134288号公報(特許文献2)は、LEDに電力を供給するLEDドライバであって、LEDに直列に接続され、自己に流れる電流を所定値に調整する定電流回路部と、該定電流回路部に直列に接続され、スイッチングレギュレータにより電圧を調整する電圧調整部と、を備えたLEDドライバを開示する。このLEDドライバによれば、スイッチングレギュレータにより電圧を調整するから、降圧処理に伴う無駄な電力の消費を極力抑えることが可能であるとされている。
特開2005−033853号公報 特開2008−134288号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の技術においては、上述した電流制御部における抵抗等の回路定数が可変でなく一定の値に設定されていると考えられるので、低輝度領域に対応できる電流検出用抵抗を用いた場合には、高輝度領域において電流制御部で無駄な電力が消費される。
したがって、本発明は、従来の技術に比べてさらに省電力化を達成することが可能な有機EL素子用駆動装置および有機EL照明装置を提供する。
本発明のある局面に従えば、有機EL素子を定電流で駆動するとともに、輝度制御に応じて定電流の値を変更可能な有機EL素子用駆動装置を提供する。有機EL素子用駆動装置は、有機EL素子と直列に接続された電源と、有機EL素子と直列に接続された電流制御部とを含む。電流制御部は、並列接続された複数の電流制御回路を含む。複数の電流制御回路の各々は、有機EL素子に流れる電流を制御するためのMOSFETと、当該MOSFETと直列に配置されて有機EL素子に流れる電流の値を検出するための抵抗を有する電流検出回路とを含む。電流制御部は、有機EL素子に流すべき電流を輝度制御に応じた所定値に設定するとともに、選択された電流検出回路の出力に応じて有機EL素子に流れる電流が所定値となるように制御する。複数の電流制御回路の抵抗の抵抗値は互いに異なるように構成されている。複数の電流制御回路のうちいずれに電流を流すかが制御されることで、電流検出回路の抵抗の値は、輝度制御に応じて変更される。
本発明の別の局面に従う有機EL照明装置は、上記の有機EL素子用駆動装置と、有機EL素子用駆動装置によって駆動される有機EL素子とを含む
本発明によれば、従来の技術に比べてさらに省電力化を達成することが可能な有機EL素子用駆動装置および有機EL照明装置を提供できる。
第1の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。 MOSFETのドレイン−ソース間電圧Vdsをパラメータとしたゲート電圧Vgsとドレイン−ソース間電流Idsとの電流−電圧特性を示すグラフである。 電流検出回路の構成を示す回路図である。 第2の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。 電流検出回路の別の構成を示す回路図である。 一般的な有機EL素子の断面構造を示す概要図である。 有機EL素子の温度毎の電圧と電流密度との関係である電流−電圧特性の一例を示すグラフである。 有機EL素子の温度毎の電流密度と輝度との関係の一例を示すグラフである。 有機EL素子を駆動する一般的な電流駆動装置のブロック図である。
[第1の実施形態]
以下に本発明の第1の実施形態を図面により説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施形態に限られるものではない。
図1は、第1の実施形態に係る有機EL照明装置M1の構成を示す図である。同図において、一点鎖線に囲まれた部分が有機EL素子用駆動装置20である。
有機EL照明装置M1は、有機EL素子2と、有機EL素子2と直列に接続された電源3および電流制御部4と、電圧制御部6とを含む。有機EL素子用駆動装置20は、有機EL照明装置M1から有機EL素子2を除いた部分、すなわち、電源3と、電流制御部4と、電圧制御部6とで構成される。有機EL素子用駆動装置20は、有機EL素子2を定電流で駆動する。
電源3は、出力電圧を電圧制御部6からの電圧制御信号S4により可変することができる可変電圧源である。すなわち、電源3は、有機EL素子2への印加電圧を変更可能な可変電圧源である。電圧制御部6は、電流制御部4のMOSFET8のドレインD−ソースS間の電圧を検出し、電源3の出力電圧を制御する機能を有する。すなわち、電圧制御部6は、電源3による印加電圧を輝度制御に応じて変更する。
有機EL素子2は、図6で説明した構成と同様の構成である。図1では、1つのダイオードとして示しているが、複数の有機EL素子を直列に接続したものであってもよい。有機EL素子2は、電源3の電圧出力端子と、電流制御部4との間に直列に接続される。
電流制御部4は、電流制御回路5と、差動アンプ7と、MOSFET8と、電流検出回路9とを含み、有機EL素子2に流れる電流を後述のように所定の一定値に制御する機能を有する。
電流検出回路9は、有機EL素子2に流れる電流の値を検出するための抵抗を有しており、この抵抗に生じる電圧降下に基づいて電流の値を検出する。具体的には、電流検出回路9は、有機EL素子2に流れる電流を導く複数の電流検出用抵抗Rを並列に有している。これら複数の電流検出用抵抗Rのうち選択された1つに生じる電圧降下が検出され、電流検出用抵抗Rの抵抗値と電圧降下とから電流検出用抵抗Rに流れる電流値を検出できる。
電流制御回路5は、電流検出回路9を用いて検出した有機EL素子2に流れる電流値に基づいて、差動アンプ7を介してMOSFET8を制御し、有機EL素子2に流れる電流を制御する。すなわち、MOSFET8は、有機EL素子2と電流検出回路9との間に配置され、有機EL素子2に流れる電流を制御する。
有機EL素子2の輝度は、外部からの信号である輝度制御信号S0により指示される。この輝度制御信号S0は、電流制御回路5に入力される。なお、外部とは、例えばPC(Personal Computer)であり、輝度制御信号S0は、PCに備え付けたDA(Digital to Analog)端子からのアナログ出力である。輝度を制御する信号を出力する機器であればPCに限られない。
電流制御回路5は、この輝度制御信号S0に基づいて、最適な抵抗値を有する電流検出用抵抗Rを決定し、抵抗切替信号S3を電流検出回路9に出力する。この抵抗切替信号S3に基づいて、電流検出回路9は、電流制御回路5で決定された電流検出用抵抗Rを選択し、選択された電流検出用抵抗Rに有機EL素子2からの電流を導く。
本実施形態においては、有機EL素子2に流れる電流値を制御するにあたって、電流検出回路9が、電流検出用抵抗Rに生じる電圧降下を検出することで電流値を検出する。電流検出用抵抗Rでの電圧降下の検出を行う場合、検出できる限界の電圧値、すなわち検出限界が存在する。
一方、本実施形態においては、有機EL素子2の輝度の調整(調光)を行う結果、有機EL素子2に流れる電流値が大きく変化することになる。特に、有機EL素子2に流れる電流値を大きくした場合、電流検出回路9の消費電力は、有機EL素子2の輝度に貢献しない無駄な消費電力であるため、できるだけ小さい方が望ましい。
したがって、検出限界の電圧値に比べて、有機EL素子2の電流が流れる電流検出用抵抗Rにおける電圧降下が大きい場合には、電流検出用抵抗Rにおける電圧降下の電圧の検出を充分行えるので、電流検出用抵抗Rの抵抗値は、より小さい方が望ましい。
そこで、本実施形態では、有機EL素子2に流れる電流値が小さい場合には、より大きな抵抗値を有する電流検出用抵抗Rを選択して、有機EL素子2を流れる電流を電流検出用抵抗Rに導き、有機EL素子2に流れる電流が大きい場合には、より小さな抵抗値を有する電流検出用抵抗Rを選択して、有機EL素子2を流れる電流を電流検出用抵抗Rに導くことで、検出限界の電圧値よりも大きい電圧降下を確保しつつ、電流検出用抵抗Rにおいて消費される電力を小さくするものとする。
有機EL素子2の輝度の調整を行う際には、電流制御回路5が、電源3によって電圧を印加される、有機EL素子2、MOSFET8、および電流検出回路9の全ての動作を考慮して、有機EL素子2に流れる電流を決定する。
有機EL素子2に流れる電流は、MOSFET8を制御することで決められる。図2は、MOSFET8のドレインD−ソースS間電圧Vdsをパラメータとしたゲート電圧VgsとドレインD−ソースS間電流Idsとの電流−電圧特性を示すグラフである。
MOSFET8には、ゲート電圧Vgsに閾値電圧Vthという電圧があり、Vds<Vgs−Vthのときを線形領域、Vds>=Vgs−Vthのときを飽和領域という。Idsは、各領域に応じて下記式で変化する。
Vds<Vgs−Vth:線形領域 Ids=K×((Vgs−Vth)×Vds−1/2×Vds
Vds>=Vgs−Vth:飽和領域 Ids=1/2×K×(Vgs−Vth)×(1+Vds)
ここで、Kは、MOSFET毎の定数を表す。MOSFET8における消費電力を最小化するには、VdsおよびIdsの各々を小さくする必要があるが、Idsは、Ioledと等しいので、図2に示す電流−電圧特性を有するMOSFET8の場合には、Vdsを必要最小限の値、例えば、0.1Vに設定し、Vgsを制御することで、有機EL素子2が所望の輝度になるようなドレイン−ソース間電流Ids=Ioledを流すことができる。なお、本実施形態では、Vdsを0.1Vとしたが、使用するトランジスタに応じて最適な値を設定すればよい。
MOSFET8のVgsを上記のように決定した値にするには、電源3から有機EL素子2へ供給される電圧Voが、有機EL素子2における電圧降下Voled、MOSFET8における電圧降下Vmos、電流検出用抵抗Rにおける電圧降下Vsの各々に、どう配分されるかを考慮して全体が制御される。
具体的には、電流制御回路5は、電圧値である輝度制御信号S0に応じた有機EL素子2の電流値を決定し、そのときの電流検出用抵抗Rにおける電圧降下Vsを、有機EL素子2の電流値と電流検出用抵抗Rの抵抗値との積で決定し、その電圧降下Vsを電圧値である輝度制御信号S1として出力する。
差動アンプ7は、輝度制御信号S1と、電流検出用抵抗Rにおける降下電圧である電流検出信号S2とを比較し、輝度制御信号S1と電流検出信号S2との電圧が同じになるようMOSFET8のゲート電圧Vgsを制御する。このようにして、電流検出用抵抗Rの両端の電圧をS1と同じにすることにより、有機EL素子2に流れる電流を所定の値とする。この輝度制御信号S1は、予め有機EL素子2の輝度−電流特性と、電流検出用抵抗Rの値とを基に決定し、図示しない記憶部に記憶させておき、電流制御部4が輝度制御信号S0に基づいて該記憶部から取り出せばよい。
差動アンプ7は、輝度制御信号S1に対して電流検出信号S2の電圧が低いときは、MOSFET8のゲート電圧Vgsを上昇させ、逆に高いときは、下降させることで、輝度制御信号S1と電流検出信号S2とが一致するゲート電圧Vgsに調整する。また、これと並行し、電圧制御部6は、MOSFET8のドレインD−ソースS間電圧を検出し、このドレインD−ソースS間電圧が予めMOSFET8の特性に応じて定められた値(例えば0.1Vや1V)となるように電源3に対して電圧制御信号S4を出力する。この電圧制御部6の具体的な構成としては、前述した特開2005−033853号公報や特開2008−134288号公報に開示されたような公知の構成を用いることができる。
すなわち、有機EL素子用駆動装置20では、輝度制御信号S0による輝度制御に応じて定電流の値を変更可能になっている。そして、電流制御部4は、有機EL素子2に流すべき電流を輝度制御信号S0による輝度制御に応じた所定値に設定するとともに、電流検出回路9の出力に応じて有機EL素子2に流れる電流が所定値となるように制御する。さらに、電流検出回路9の抵抗の値は、輝度制御信号S0による輝度制御に応じて変更される。
以上のように制御することにより、電流検出用抵抗における電流検出の精度を維持しつつ、電流制御部4で消費される電力を最小にすることが可能となる。
次に、電流制御回路5および電流検出回路9について詳細に説明する。電流制御回路5は、例えば、メモリ内蔵マイクロコントローラを有しており、入力された輝度制御信号S0の値に応じて電流検出用抵抗Rを選択するためのテーブルを記憶している。表1は、かかるテーブルの一例である。
Figure 0004973814
図3は、電流検出回路9の構成を示す回路図である。電流検出回路9は、並列に配置された複数の抵抗と、当該複数の抵抗のいずれに電流を流すかを制御するためのスイッチング素子とを含む。具体的には、電流検出回路9は、並列に並べられた2つの電流検出用抵抗R1およびR2と、有機EL素子2と電流検出用抵抗R1およびR2との間にそれぞれ直列に設けられたMOSFET31および32とを含む。MOSFET31および32は、電流検出用抵抗R1およびR2のうちの1つを選択する。抵抗選択回路33は、電流制御回路5からの抵抗切替信号S3に応じて、MOSFET31および32のゲート電圧を変更し、電流検出用抵抗R1およびR2のうちの1つに電流が流れるように制御を行う。有機EL素子2からの電流Ioledは、MOSFET31または32のドレインD−ソースS間電流として流れる。抵抗選択回路33は、MOSFET31および32のゲート電圧を変更し、出力選択(スイッチング)を行う回路であり、公知の出力選択回路を採用することができる。
なお、本実施形態の電流検出回路9としては、2つの電流検出用抵抗を切り替えて用いるものとしたが、3つ以上の電流検出用抵抗を切り替えて用いるものとすればより高い省電力性を図ることができる。また、前述の構成では、2つの電流検出用抵抗R1およびR2のいずれか一方を選択するようにしたが、抵抗値を変更するための方法としては、電流検出用抵抗R1およびR2の両方を選択してその合成抵抗を用いるようにすることも可能である。
本実施形態において、例えば、電流値を変化させる範囲を10〜1000mA、電流検出信号S2の最小精度を10mVとすると、電流検出用抵抗を変更しない場合には1Ω固定となり、検出電圧は、10mVから1Vまで変動することになる。この場合、最大時に電流検出用抵抗で約1Wもの電力を消費することとなる。これは、有機EL素子2が約3.5W消費するのに対し非常に大きい値となる。一方、本実施形態では、電流値を変化させる範囲が10〜100と100〜1000とで、R1=1ΩとR2=0.1Ωとに切り替え、電流検出信号S2を10〜100mVで使用することで、最大でも消費電力は0.1Wとなり、低い消費電力が達成できる。
[第2の実施形態]
以下に第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の説明にあたっては、特に第1の実施形態と相違する部分についての説明を行う。
図4は、第2の実施形態に係る有機EL照明装置M2の構成を示す図である。同図において、一点鎖線に囲まれた部分が有機EL素子用駆動装置40である。
第2の実施形態の有機EL照明装置M2は、電流制御部10によって制御される2つの電流制御回路11および12を有する点で、第1の実施形態とは異なっている。
電流制御回路11は、差動アンプ41と、MOSFET43と、電流検出用抵抗R1とを有し、電流制御回路12は、差動アンプ42と、MOSFET44と、電流検出用抵抗R2とを有する。電流制御回路の数は、本実施形態では2つであるが、より高い省電力性をねらう場合は、3つ以上設けてもよい。
第1の実施形態においては、電流検出用抵抗R1およびR2を、抵抗選択回路33で切り替えたが、第2の実施形態においては、差動アンプ、MOSFETおよび電流検出用抵抗を一体として切り替えるものとする。この場合、抵抗選択回路33を省略し、その代わりに電流制御部10で差動アンプ41および42のうちの1つを選択することで、有機EL素子2からの電流が流れる電流検出用抵抗R1およびR2のうちの1つを選択する。すなわち、輝度制御信号S0を受けた電流制御部10は、この輝度制御信号S0から最適な電流検出用抵抗を決め、最適な電流検出用抵抗を有する電流制御回路の方へ電圧を出力する。選択された電流制御回路には有機EL素子2から電流が流れ、選択されない電流制御回路には電圧が出力されないので、有機EL素子2から電流は流れないことになる。
また、電圧制御部6は、その電位差が小さい方の電圧を採用することで、電源3を制御するものとする。
このようにして、第2の実施形態は、電流制御回路を選択することで、電流検出用抵抗を選択するものである。抵抗が選択された後の動作は第1の実施形態と同様であるので、説明は繰り返さない。なお、この第2の実施形態においては、電流検出用抵抗自体が電流検出回路を構成している。
このように、電流制御部10は、並列接続された複数の電流制御回路11および12を含み、複数の電流制御回路11および12の各々は、有機EL素子2に流れる電流を制御するためのMOSFET43および44と、MOSFET43および44とそれぞれ直列に配置された電流検出用抵抗R1およびR2とを含む。ここで、複数の回路の電流検出用抵抗R1およびR2の抵抗値は互いに異なるように構成されており、複数の電流制御回路11および12のうちいずれに電流を流すかが制御される。
[その他の実施形態]
電流検出回路については、図3に示した回路の他、図5に示すような、直列に配置された複数の抵抗と、当該複数の抵抗のいずれに電流を流すかを制御するための、複数の抵抗とそれぞれ並列に設けられた複数のスイッチング素子とを含む構成を採用することもできる。具体的には、電流検出回路9#は、直列に接続された電流検出用抵抗R1およびR2と、これらの電流検出用抵抗R1およびR2にそれぞれ並列に接続されたMOSFET31および32とを含む。電流検出回路9#では、MOSFET31および/または32のゲート電圧を変更し、電流検出用抵抗R1およびR2のうちの一方を選択的にバイパスすることにより、他方の抵抗のみに電流が流れるようにすることができる。また、抵抗値を変更するための方法としては、2つの電流検出用抵抗R1およびR2のいずれか一方を選択することと、電流検出用抵抗R1およびR2の両方を選択することとを切り替えるようにしてもよい。
図3および図5に示した電気検出回路は、必要に応じて電流検出用抵抗の抵抗値を変化させる可変抵抗を構成する。
[利点]
以上のように、上述した実施形態によれば、有機EL素子に流れる電流を制御する際に、電流検出用抵抗等の回路定数を電流の値に応じて可変とするため、電流検出の制度を維持しつつ、さらに省電力化を達成する有機EL素子用駆動装置を提供できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2,100 有機EL素子、3,202 電源、4,10,203 電流制御部、5,11,12,204 電流制御回路、6 電圧制御部、7,41,42 差動アンプ、8,31,43,44,205 MOSFET、9,9# 電流検出回路、20,40 有機EL素子用駆動装置、33 抵抗選択回路、101 ITO、102 有機EL層、103 アルミ層、104 基材、201,R,R2 電流検出用抵抗、M1,M2 有機EL照明装置。

Claims (4)

  1. 有機EL素子を定電流で駆動するとともに、輝度制御に応じて定電流の値を変更可能な有機EL素子用駆動装置であって、
    前記有機EL素子と直列に接続された電源と
    前記有機EL素子と直列に接続された電流制御部とを備え、
    前記電流制御部は、並列接続された複数の電流制御回路を含み、
    前記複数の電流制御回路の各々は、前記有機EL素子に流れる電流を制御するためのMOSFETと、当該MOSFETと直列に配置されて前記有機EL素子に流れる電流の値を検出するための抵抗を有する電流検出回路とを含み、
    前記電流制御部は、前記有機EL素子に流すべき電流を前記輝度制御に応じた所定値に設定するとともに、選択された電流検出回路の出力に応じて前記有機EL素子に流れる電流が前記所定値となるように制御し、
    前記複数の電流制御回路の前記抵抗の抵抗値は互いに異なるように構成されており、
    前記複数の電流制御回路のうちいずれに電流を流すかが制御されることで、前記電流検出回路の抵抗の値は、前記輝度制御に応じて変更される、有機EL素子用駆動装置。
  2. 前記電源は、印加電圧を変更可能な可変電圧源であり、
    前記電源による印加電圧を前記輝度制御に応じて変更するための電圧制御部をさらに備える、請求項1に記載の有機EL素子用駆動装置。
  3. 前記電流制御回路の各々において前記MOSFETは、前記有機EL素子と前記抵抗との間に配置される、請求項1または2に記載の有機EL素子用駆動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL素子用駆動装置と、
    前記有機EL素子用駆動装置によって駆動される有機EL素子とを備える、有機EL照明装置。
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