JP4973029B2 - 受信装置及びその利得制御方法 - Google Patents
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Description
受信装置1は、受信信号を受信するためのアンテナ11と、アンテナ11で受信された受信信号を増幅する低雑音増幅器(LNA)12と、所要の周波数帯の無線周波数信号のみを受信信号から取り出すためのバンドパスフィルタ(BPF)13と、バンドパスフィルタ13で帯域濾過されたアナログ形式の無線周波数受信信号をディジタルベースバンド信号に復調する無線周波数信号処理部20と、無線周波数信号処理部20で復調されたディジタルベースバンド信号を処理するベースバンド信号処理部60とを備えて構成される。
また無線周波数信号処理部20は、ルートロールオフフィルタ32及び42から取り出されたQ信号及びI信号のそれぞれの信号成分の周波数特性の偏差を補正するためのイコライザ(Com)33及び43を備える。このイコライザ33及び43もまたFIRディジタルフィルタで構成される。
なお、以下の説明の便宜のために、後段のベースバンド信号処理部60へ入力される段階のベースバンド信号を、以下「IQ信号S」と記すことがある。
ベースバンド信号の復調処理を正しく行うためにはIQ信号Sの信号対ノイズ比(S/N)がある一定値以上である必要があり、IQ信号Sは、必要なS/Nに対応するダイナミックレンジを確保できるビット数で表されていなければならない。このため自動利得制御部61は、IQ信号Sが必要なS/Nを確保できるビット数で表されるように、IQ信号Sの電力値を一定に保つ機能を有する。
いずれの場合も着信性能に大きな影響を与えるため、着信レベルが変動してもベースバンド信号処理部60へ入力するIQ信号Sが、入力ビット数に対して最適な振幅となるように無線周波数信号処理部20内部の利得を調節する機能が必要となる。このような機能を自動利得制御(AGC: Auto Gain Control)と呼ぶ。
ベースバンド信号処理部60内の自動利得制御部61は、ベースバンド信号処理部60内に入力されたIQ信号Sの電力レベルを検出し、検出された電力レベルをベースバンド信号処理部60に適した電力レベルとするために必要な電力利得量を求め、求められた連力利得量に応じた利得制御信号GSを無線周波数信号処理部20にフィードバックする。
ここで、可変利得デジタルアンプ34、44によるIQ信号Sの電力レベル調整処理によって、レベル調整されたIQ信号SのS/Nが、このIQ信号Sに割り当てられたビット数に応じたS/Nよりも劣化することを防止するために、可変利得デジタルアンプ34、44の入力ビット数(ダイナミックレンジ)は、可変利得デジタルアンプ34、44が出力するIQ信号Sに割り当てた出力ビット数に、可変利得デジタルアンプ34、44による利得可変幅分のビット数を加えたビット数としている。
またこれに伴って、可変利得デジタルアンプ34、44よりも前段のディジタル処理回路においても、図2に示すように可変利得デジタルアンプ34、44の入力ビット数と同じかそれ以上のビット数で信号を処理することが必要となる。
ここで、予想される着信電力の変動が可変利得デジタルアンプ34、44の利得可変幅より小さければ特に問題はないが、実際には殆どの場合、着信電力の変動は可変利得デジタルアンプ34、44の利得可変幅より大きなものとなる。このため不足分の利得調整をアナログディジタル変換回路31、41の前段のアナログ信号回路で行う必要があり、図1の構成例では低雑音増幅器12の利得を変化させる構成としている。
ここで無線周波数信号処理部20で使用されるFIRディジタルフィルタは、一般にシフトレジスタと乗加算器で構成され、その回路規模と消費電流は処理を行うビット数に比例して増加する。
このため従来の構成では、無線周波数信号処理部20内のFIRディジタルフィルタの回路規模は本来ベースバンド信号処理部60で必要な回路規模以上のものになっており、低消費電力が重要視される移動通信端末においては不利な構成となっている。
したがって、まず利得制御可能なディジタル有限長インパルス応答フィルタを構成例を説明する。図3は、従来のFIRディジタルフィルタの構成例を示す図であり、図4は、後述する本発明の実施例による受信装置に使用されるFIRディジタルフィルタの第1構成例を示す図である。
一般にFIRフィルタによって行う演算の演算式は、次式(1)で表され、そのインパルス応答及び伝達関数は式(2)及び(3)でそれぞれ表される。
図3に示すように、FIRディジタルフィルタ70は、M個のシフトレジスタR1〜RMを有し、各々のシフトレジスタで入力信号列xnを1サンプリング時間分遅延させる。またFIRディジタルフィルタ70は、入力信号xnにタップ係数h0を乗じる乗除算器P0、並びにシフトレジスタR1〜RMによって1〜Mサンプリング時間分だけ各々遅延した入力信号x(n−1)〜x(nーM)に各タップ係数h1〜hMをそれぞれ乗じる乗除算器P1〜PMと、これら入力信号xn〜x(n−M)にタップ係数h0〜hMをそれぞれ乗じた結果を合計して出力信号列ykを算出する加算器71とを備えて構成される。
ここで1ビット分のダイナミックレンジは6dBに相当するので、入力ビット数に対する出力ビット数の最大許容低減量は、可変通過利得FIRディジタルフィルタ70に与えられた利得可変幅を6で割った商となる。
出力ビット数を低減するため、例えば加算器71は、入力信号xn〜x(n−M)にタップ係数G×h0〜G×hMをそれぞれ乗じた結果を合計した信号から、低減量分の下位ビットを捨てた値を出力信号ykとして算出してよい。
本構成例では、図4及び図5を参照して説明した可変通過利得FIRディジタルフィルタ70を用いて、ルートロールオフフィルタ32及び42を構成する。そして自動利得制御部61が生成する利得制御信号GSに従ってルートロールオフフィルタ32及び42の通過利得を制御することによって、無線周波数信号処理部20の自動利得制御を行っている。
自動利得制御部61による利得制御はディジタル信号による制御なので、利得Gはある決まった離散値を取る。そこで予想される利得Gi(i=1、2、3、…、n)を各タップ係数h0〜hMに各々乗じた利得別タップ係数の組合せGi×h0〜Gi×hMを予め算出しておき、タップ係数テーブルTとして所定の記憶手段(本明細書では、タップ係数記憶部71と記す)に記憶しておく。
このため、可変通過利得FIRディジタルフィルタ70は、自動利得制御部61からの利得制御信号GSが示す利得Giに従って、乗算器P0〜PMでそれぞれ乗じるべき各タップ係数Gi×h0〜Gi×hMをタップ係数記憶部71内のタップ係数テーブルTから順次読み出し、乗算器P0〜PMに入力するタップ係数を変更するタップ係数変更部72を備える。タップ係数変更部72は、例えばメモリ素子で実現されたタップ係数記憶部71内に記憶された、各利得Giに応じて予め定めた各タップ係数Gi×h0〜Gi×hMの記憶場所を、自動利得制御部61から入力したディジタル形式の利得制御信号GSによって特定するデコード回路を備えて構成してよい。
図9の構成例では、ルートロールオフフィルタ32及び42において、利得可変幅12dB及び利得分解能(利得制御ステップ幅)1dBの利得制御を行う。このために必要な利得別タップ係数は13組となる。なお、ルートロールオフフィルタ32及び42では12dBの利得制御を行うので、着信電力の変動を12dB吸収できるのと同意であり、入力信号のS/Nを損なうことなく出力信号のビット数を2ビット低減することが可能である。このため、96dB相当のダイナミックレンジを有する16ビットの信号を入力して、84dB相当のダイナミックレンジを有する14ビットの信号を出力している。
したがって、ルートロールオフフィルタ32及び42及びイコライザ33及び43において、利得可変幅12dB+36dB=48dB、及び利得分解能1dBの利得制御を行うことが可能である。かつこのために必要な利得別タップ係数は13+4=17組であり、1つのFIRディジタルフィルタで同等の利得制御を行うために必要な利得別タップ係数である49組に比べて大幅に節減することが可能である。
図13の例では2段構成のデシメーションフィルタ36及び46並びに37及び47のうち最終段のデシメーションフィルタ37及び47を上述の可変通過利得FIRディジタルフィルタ70で構成し、自動利得制御部61からの利得制御信号GSに従って、デシメーションフィルタ37及び47の利得を制御する。
また、ルートロールオフフィルタ32及び42では12dBの利得制御を、利得分解能6dBで行うこととし、90dB相当のダイナミックレンジを有する15ビットの入力信号のビット数を2ビット低減して、出力信号のビット数を78dB相当のダイナミックレンジを有する13ビットとする。ルートロールオフフィルタ32及び42での利得制御に必要な利得別タップ係数の数は3組である。
図14は出力ビット数の低減量に対するルートロールオフフィルタ32及び42の周波数特性の変化を説明する図である。図14において、点線は出力ビット数の低減を行わず入力ビット数と同じ16ビットの信号を出力する場合を示し、実線は16ビット数の入力ビット数に対し出力ビット数を13ビットに低減した場合を示し、一点鎖線は16ビット数の入力ビット数に対し出力ビット数を8ビットに低減した場合を示す。
このように、ルートロールオフフィルタ32及び42における入力ビット数に対する出力ビット数の低減量は、ルートロールオフフィルタ32及び42に必要とされる所定の周波数特性の範囲を満たすように(例えば出力ビット数を13ビットとして本来の周波数特性を損なわないように)、決定することが好適である。
受信信号をディジタルベースバンド信号に復調する復調回路と、復調された前記ディジタルベースバンド信号をフィルタリングするディジタル有限長インパルス応答フィルタと、を有する受信装置であって、
前記ディジタルベースバンド信号の電力値を所望の値に正規化するための利得制御の少なくとも一部を、前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタの利得を可変制御することによって行うことを特徴とする受信装置。
前記ディジタルベースバンド信号の電力値に応じて前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタのタップ係数を変更する利得制御部を備えることを特徴とする付記1に記載の受信装置。
利得が異なる複数のタップ係数を予め記憶するタップ係数記憶部と、
前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタのタップ係数を、前記タップ係数記憶部に記憶された前記複数のタップ係数のいずれかに変更するタップ係数変更部と、
を備えることを特徴とする付記2に記載の受信装置。
前記ディジタルベースバンド信号をフィルタリングする、複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタを多段接続して備え、
これら複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタのうちの複数の利得を可変制御することを特徴とする付記1〜3のいずれか一項に記載の受信装置。
利得が制御される前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタは、入力ビット数に比べて出力ビット数が小さいことを特徴とする付記1〜4のいずれか一項に記載の受信装置。
前記ディジタルベースバンド信号をフィルタリングする、複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタを多段接続して備え、
多段接続された前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタのうちのいずれか少なくとも一つの前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタは、これより前段に設けられた他のいずれかの前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタよりも、可変制御される利得幅が大きいことを特徴とする付記1〜3のいずれか一項に記載の受信装置。
利得が可変制御される前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタは、入力ビット数に比べて出力ビット数が小さく、
このディジタル有限長インパルス応答フィルタにおける前記入力ビット数に対する前記出力ビット数の低減量は、このビット数の低減に伴い増加する前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタの周波数特性の変動量が所定の範囲内に収まるように定められることを特徴とする付記1〜3及び付記6のいずれか一項に記載の受信装置。
受信信号を復調したディジタルベースバンド信号の電力値を所望の値に正規化する、受信装置の利得制御方法であって、
前記ディジタルベースバンド信号をフィルタリングするディジタル有限長インパルス応答フィルタの利得を可変制御することにより、前記ディジタルベースバンド信号の利得制御を行うことを特徴とする利得制御方法。
前記ディジタルベースバンド信号の電力値に応じて前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタのタップ係数を変更することを特徴とする付記8に記載の利得制御方法。
利得が異なる複数のタップ係数を所定のタップ係数記憶部に予め記憶し、
前記タップ係数記憶部に記憶された前記複数のタップ係数のいずれかを選択し、前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタのタップ係数を、選択された前記タップ係数に変更する、ことを特徴とする付記8に記載の利得制御方法。
前記ディジタルベースバンド信号をフィルタリングする多段接続された複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタのうちの複数の利得を可変制御することを特徴とする付記8〜10のいずれか一項に記載の利得制御方法。
利得が制御される前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタは、入力ビット数に比べて出力ビット数が小さいことを特徴とする付記8〜11のいずれか一項に記載の利得制御方法。
前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタを複数個多段接続し、
多段接続された前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタのうちのいずれか少なくとも一つの前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタは、これより前段に設けられた他のいずれかの前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタよりも、可変制御される利得幅が大きいことを特徴とする付記8〜10のいずれか一項に記載の利得制御方法。
前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタは、入力ビット数に比べて出力ビット数が小さく、
このディジタル有限長インパルス応答フィルタにおける前記入力ビット数に対する前記出力ビット数の低減量は、このビット数の低減に伴い増加する前記ディジタル有限長インパルス応答フィルタの周波数特性の変動量が所定の範囲内に収まるように定められることを特徴とする付記8に記載の利得制御方法。
11 アンテナ
12 低雑音増幅器
13 バンドパスフィルタ
20 無線周波数信号処理部
21 直交復調器
30、40 アンチエイリアスフィルタ
31、41 アナログディジタル変換器
32、42 ルートロールオフフィルタ
33、43 イコライザ
34、44 可変利得デジタルアンプ
60 ベースバンド信号処理部
61 自動利得制御部
S IQディジタルベースバンド信号
Claims (4)
- 受信信号をディジタルベースバンド信号に復調する復調回路と、
復調された前記ディジタルベースバンド信号をフィルタリングする多段接続された複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタと、を有し、
前記ディジタルベースバンド信号の電力値の利得制御の少なくとも一部は、前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタのそれぞれの利得を可変制御することによって行われ、かつ、
前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタは、入力ビット数に比べて出力ビット数が小さいことを特徴とする受信装置。 - 請求項1記載の受信装置であって、
前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタにおける前記入力ビット数に対する前記出力ビット数の低減量は、前記ビット数の低減に伴い増加する前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタの周波数特性の変動量が所定の範囲内に収まるように定められることを特徴とする受信装置。 - 受信装置の利得制御方法であって、
受信信号をディジタルベースバンド信号に復調し、
多段接続された複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタにより前記ディジタルベースバンド信号をフィルタリングし、
前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタのそれぞれの利得を可変制御することによって、前記ディジタルベースバンド信号の電力値の利得制御の少なくとも一部を行い、
前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタは、入力ビット数に比べて出力ビット数が小さい、ことを特徴とする受信装置の利得制御方法。 - 請求項3記載の受信装置の利得制御方法であって、
前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタにおける前記入力ビット数に対する前記出力ビット数の低減量は、前記ビット数の低減に伴い増加する前記複数のディジタル有限長インパルス応答フィルタの周波数特性の変動量が所定の範囲内に収まるように定められることを特徴とする受信装置の利得制御方法。
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